【完全版】太りたいけど太れない原因と健康的な増量方法

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「太りたいのに、どれだけ食べてもなかなか太れない…」そんな悩みをお持ちではありませんか?周りからは「羨ましい」と言われるかもしれませんが、痩せすぎていることには、見た目のコンプレックスだけでなく、実は健康上のリスクも潜んでいます。理想の体型を目指すことは、単に見た目を良くするためだけでなく、健康を維持・向上させるためにも非常に重要です。

この記事では、「太りたいけど太れない」と悩むあなたのために、その主な原因から、健康的かつ効果的に体重を増やすための具体的な方法までを詳しく解説します。食事、運動、生活習慣、さらには考えられる病気の可能性についても触れ、健康的に理想の体を
目指すためのロードマップを示します。ガリガリ体型にサヨナラして、自信を持って毎日を過ごしましょう。

目次

なぜ「太りたいのに太れない」のか?考えられる主な原因

体重が増えない原因は一つとは限りません。複数の要因が絡み合っていることも少なくありません。まずは、ご自身の状況と照らし合わせながら、何が「太れない」原因になっているのかを探ってみましょう。考えられる主な原因は以下の通りです。

体質的に太りにくい(遺伝など)

「親も兄弟も痩せ型だ」「昔からたくさん食べても太らない」という方は、体質的に太りにくい可能性があります。これは、遺伝的に基礎代謝が高い、あるいは消化器系の機能が人より活発で、食べたものがエネルギーとしてすぐに消費されたり、脂肪として蓄えられにくかったりすることが関係しています。

また、生まれつき胃腸が強くなく、一度にたくさんの量を食べられなかったり、食べても胃もたれしやすいといった体質の方もいます。このような体質は確かに体重増加のハードルになりますが、適切なアプローチをすることで改善や増量を目指すことは可能です。体質だからと諦めず、ご自身に合った方法を見つけることが大切です。

摂取カロリーが消費カロリーを下回っている

体重が増える、減る、維持されるという体のメカニズムは、基本的に「摂取カロリー」と「消費カロリー」のバランスによって決まります。体重を増やしたい場合は、摂取カロリーが消費カロリーを上回っている状態(カロリープラスの状態)を継続する必要があります。

「たくさん食べているつもり」でも、実際には活動量に見合う、あるいはそれを上回るカロリーを摂取できていないケースが非常に多いです。例えば、活動量が多い仕事をしている、運動習慣がある、通勤でよく歩くなど、日常生活での消費カロリーが高い場合、意識して多めに食べないと、摂取カロリーが消費カロリーに追いつかないことがあります。

また、食が細い、食事にあまり興味がない、忙しくてゆっくり食べる時間がないといった理由で、物理的に十分な量を食べられていないことも、摂取カロリー不足の大きな原因となります。まずは、ご自身の「食べている量」と「活動量」を見直してみることが重要です。

胃腸の機能が低下している

いくらたくさん食べても、食べたものがきちんと消化・吸収されなければ、栄養として体に取り込まれず、体重増加には繋がりません。胃腸の機能が低下していると、食べたものの栄養素が効率的に吸収されず、そのまま体外に排出されてしまいます。

例えば、食事の後に胃がもたれる、お腹を下しやすい、便秘がちである、特定の食品を食べると体調が悪くなるなどの症状がある場合、胃腸の機能が十分に働いていない可能性があります。胃腸の機能低下は、不規則な食生活、過度の飲酒や喫煙、冷たいものの摂りすぎ、そして次に挙げるストレスなどが原因となることがあります。健康的な増量には、食べることと合わせて胃腸のケアも欠かせません。

ストレスや睡眠不足などの生活習慣

心と体は密接に関わっています。過度なストレスは、自律神経のバランスを崩し、食欲不振や胃腸の働きの低下を引き起こすことがあります。ストレスを感じると、消化酵素の分泌が悪くなったり、胃酸の分泌が増えすぎて胃が荒れたりすることが知られています。

また、睡眠不足も体重管理に大きく影響します。睡眠時間が不足すると、食欲を増進させるホルモン「グレリン」が増加し、食欲を抑制するホルモン「レプチン」が減少することが研究で分かっています。これは通常、食べ過ぎに繋がることが多いのですが、同時に自律神経の乱れや疲労感から、逆に食欲が湧かなくなったり、消化吸収能力が落ちたりする場合もあります。さらに、睡眠中に分泌される成長ホルモンは、体の修復や筋肉の合成に関わるため、睡眠不足は増量(特に筋肉量の増加)の妨げになります。

病気が隠れている可能性

まれではありますが、「太りたいのに太れない」という背景に、何らかの病気が隠れている可能性も否定できません。特に、急激な体重減少が見られる場合や、体重減少以外にも体の不調(発熱、倦怠感、下痢、動悸など)がある場合は、注意が必要です。

考えられる病気としては、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、糖尿病、胃腸の病気(炎症性腸疾患、吸収不良症候群など)、悪性腫瘍(がん)、精神疾患(うつ病、摂食障害など)などが挙げられます。これらの病気は、体の代謝を異常に高めたり、栄養の吸収を妨げたり、食欲を著しく低下させたりすることで体重減少を引き起こします。病気が原因の場合は、自己流の対策では改善しないだけでなく、病気の進行を招く恐れがあります。

ご自身の「太れない」状態が、単なる体質や生活習慣の問題なのか、それとも病気によるものなのかを判断するためには、医療機関での正確な診断を受けることが最も重要です。

「太りたい」を実現!効果的な増量方法

ご自身の「太れない」原因が見えてきたら、次はその原因に合わせた具体的な増量方法を実践していきましょう。健康的に体重を増やすためには、単にカロリーを摂取するだけでなく、バランスの取れた栄養摂取と、体を健康な状態に整えるアプローチが必要です。

食事で摂取カロリーを増やすポイント

健康的な増量の基本は、やはり食事です。消費カロリーを上回るカロリーを、バランス良く、そして継続的に摂取することが最も重要です。しかし、「それが難しいから悩んでいるんだ」という方も多いでしょう。ここでは、無理なく摂取カロリーを増やすための具体的なポイントをご紹介します。

食事回数を増やす(1日4〜6食)

一度にたくさんの量を食べるのが難しい方は、1回の食事量を減らし、食事の回数を増やすことを試みましょう。例えば、1日3食を1日4〜6食に分けて食べるようにします。これは、胃腸への負担を軽減しながら、総摂取カロリーを増やすのに有効な方法です。

  • メリット:
    胃腸への負担が少なく、消化不良を起こしにくい
  • 空腹の時間を減らし、カタボリック(筋肉分解)を防ぐ
  • 体に必要な栄養素を常に供給できる
  • 総摂取カロリーを無理なく増やせる

朝食、昼食、夕食の間に、軽食(補食)を2〜3回挟むイメージです。後述する間食の選び方も参考にしてください。

栄養バランス(PFCバランス)を考慮する

ただカロリーを増やせば良いというわけではありません。健康的に、そして筋肉をつけながら増量するためには、PFCバランス(タンパク質、脂質、炭水化物のバランス)を考慮することが重要です。それぞれの栄養素が体の中で果たす役割を理解し、バランス良く摂取することで、脂肪だけでなく筋肉も効率的に増やすことができます。

  • P(Protein/タンパク質): 筋肉や臓器、皮膚、髪の毛など、体の組織を作る重要な栄養素。増量期は特に、体重1kgあたり1.6g〜2.2gを目安に積極的に摂取したいところです。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などに多く含まれます。
  • F(Fat/脂質): エネルギー源として、またホルモン生成やビタミンの吸収を助ける重要な役割を持ちます。増量期でも、総摂取カロリーの20%〜30%程度に抑えるのが一般的です。質の良い脂質(不飽和脂肪酸:オリーブオイル、アボカド、ナッツ、魚など)を意識して摂取しましょう。
  • C(Carbohydrate/炭水化物): 体を動かす主要なエネルギー源です。タンパク質や脂質で摂取したカロリーの残りを炭水化物で補うイメージです。お米、パン、麺類、イモ類、果物などに多く含まれます。エネルギーが不足すると、体が筋肉を分解してエネルギーを得ようとするため、筋肉量の減少を防ぐためにもしっかり摂取することが大切です。
栄養素 一般的な増量期目安(体重60kgの場合) 役割 おすすめの食材例
タンパク質 96g~132g程度 筋肉・組織の生成・修復 鶏むね肉、牛肉(赤身)、鮭、卵、豆腐、牛乳、ヨーグルト
脂質 総摂取カロリーの20~30% エネルギー源、ホルモン生成 オリーブオイル、アボカド、ナッツ、青魚
炭水化物 残りのカロリー分 主なエネルギー源 ご飯、パン、パスタ、うどん、じゃがいも、さつまいも、バナナ

※活動量や体質により調整が必要です。ご自身の体重と活動量に合わせて計算してみましょう。また、ビタミンやミネラルも体の機能を円滑にするために不可欠ですので、野菜や海藻類などもバランス良く摂取することが大切です。栄養素の摂取基準については、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」などもご参照ください。

消化の良い食品を選ぶ

胃腸が弱い方や食が細い方は、消化に負担のかかる食事は避け、消化の良い食品を選ぶようにしましょう。これにより、胃腸への負担を減らし、効率的に栄養を吸収することができます。

  • おすすめの食品・調理法:
    炭水化物: 白米、おかゆ、うどん、食パン(耳なし)など。パスタやそばはしっかり茹でる。
    タンパク質: 鶏むね肉(皮なし)、白身魚、豆腐、卵(半熟など)、脂肪分の少ないヨーグルトなど。肉はひき肉や柔らかく煮込んだもの。
    脂質: 揚げ物や炒め物は控えめに。煮物や蒸し料理を中心に。質の良い植物性油(オリーブオイルなど)を少量使う。
    野菜: 葉物野菜は柔らかく茹でる。根菜類は煮込む。生野菜は量に注意。
  • 避けるべき食品・調理法:
    揚げ物、炒め物など油っこいもの
    香辛料や酸味の強いもの
    食物繊維が豊富すぎるもの(きのこ、こんにゃく、海藻など)の摂りすぎ
    冷たいもの、刺激物

食事はゆっくりとよく噛んで食べ、食後すぐに激しい運動をするのは避けましょう。温かいスープやお茶と一緒に摂るのもおすすめです。

間食(補食)を賢く活用する

前述の食事回数を増やすことと関連しますが、食事と食事の間に計画的に間食(補食)を取り入れることは、摂取カロリーを無理なく増やすための非常に効果的な手段です。これにより、空腹による筋肉分解を防ぎ、継続的にエネルギーを供給できます。

  • おすすめの間食:
    おにぎり: 炭水化物の補給に最適。鮭やツナマヨなど具材を変えて飽きずに。
    バナナ: 手軽に食べられ、炭水化物とカリウムを補給。
    ヨーグルト: タンパク質やカルシウム、乳酸菌を摂取。脂肪分が含まれるものを選ぶとカロリーアップに。
    ナッツ類: 良質な脂質とタンパク質、食物繊維を摂取。高カロリーなので少量でもカロリーアップ。
    ドライフルーツ: 手軽に炭水化物とビタミンを摂取。
    プロテイン: 手軽に高タンパク質を摂取できる最強の補食。後述します。
    あんぱん、カステラなど: 手軽に炭水化物とカロリーを補給できますが、脂質や砂糖が多いものもあるのでバランスに注意。

間食は、次の食事に響かない量に調整し、食事の2〜3時間後など、お腹が少し空いてきたタイミングで摂るのがおすすめです。

筋肉量を増やすための筋力トレーニング

健康的に体重を増やすためには、脂肪だけでなく、筋肉を増やすことが非常に重要です。筋肉は脂肪よりも密度が高いため、同じ体重増加でもより引き締まった体を作ることができます。また、筋肉が増えると基礎代謝も向上し、太りにくい体質になるのでは?と心配されるかもしれませんが、これは健康な体を維持するために必要な代謝であり、増量を目指す上でも大きなメリットとなります。

  • なぜ筋トレが重要か:
    脂肪だけでなく筋肉を増やし、健康的で引き締まった体を作る
  • 適切な負荷は食欲増進に繋がることも
  • 筋肉の合成にはエネルギーが必要なため、摂取したカロリーを利用しやすい体になる
  • 効果的な筋トレのポイント:
    全身をバランス良く: 特定の部位だけでなく、全身の大きな筋肉群(脚、胸、背中など)を鍛えることで、効率的に筋肉量を増やせます。スクワット、デッドリフト、ベンチプレス、ベンチプレスなどが効果的です。
    適切な負荷: 軽い負荷で回数をこなすよりも、少し重い負荷で8〜15回程度が限界になるようなトレーニングが筋肉肥大に効果的です。
    休息も重要: 筋肉はトレーニング中に破壊され、休息中に修復・成長します。毎日同じ部位を鍛えるのではなく、週2〜3回程度の頻度で、体の部位ごとに休息日を設けることが大切です。
    有酸素運動は控えめに: ランニングや長時間・高強度の有酸素運動は消費カロリーが増えすぎてしまうため、増量を目的とする場合は控えめにするか、短時間・低強度(ウォーキング程度)に留めましょう。運動に関する一般的な基準については、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準」なども参考にできます。

筋トレ初心者の方は、自宅でできる自重トレーニングから始めても良いですし、ジムで専門的な指導を受けるのも効果的です。正しいフォームで行うことが、怪我を防ぎ、効果を最大化するために非常に重要です。

胃腸の働きを整えるケア

食べてもうまく栄養を吸収できない、胃腸が弱いという方は、増量に加えて胃腸の働きを整えるケアを行いましょう。健康な胃腸は、食べたものを効率的に消化・吸収し、栄養を体に行き渡らせるために不可欠です。

  • 胃腸の働きを整えるための具体的なケア:
    規則正しい食事: 毎日決まった時間に食事を摂ることで、胃腸のリズムが整います。
    ゆっくりよく噛む: 咀嚼回数を増やすことで唾液の分泌が促進され、消化を助けます。
    温かいものの摂取: 冷たい飲み物や食べ物は胃腸を冷やし、働きを鈍らせることがあります。温かいスープやお茶などを積極的に摂りましょう。
    発酵食品の活用: ヨーグルト、納豆、味噌、漬物などの発酵食品に含まれる善玉菌は、腸内環境を整え、栄養の吸収を助けます。
    食物繊維の適切な摂取: 食物繊維は腸内環境を整えるのに重要ですが、胃腸が弱い方は、不溶性食物繊維(ゴボウ、キノコなど)の摂りすぎに注意し、水溶性食物繊維(海藻類、果物など)を意識的に摂ると良いでしょう。
    消化酵素サプリメント: 食事だけでは改善が難しい場合、医師や専門家と相談の上、消化酵素サプリメントの活用も検討できます。

胃腸の不調が続く場合は、自己判断せず、一度医療機関で相談することをおすすめします。

質の高い睡眠とストレス対策

「太りたい」目標達成のためには、食事や運動だけでなく、質の高い睡眠と適切なストレス対策も欠かせません。これらは体の回復、ホルモンバランスの調整、食欲の正常化に大きく関わります。

  • 睡眠の重要性:
    ホルモンバランスの調整: 睡眠不足は食欲を増進させるグレリンを増やし、食欲を抑制するレプチンを減らす可能性があります。十分な睡眠は食欲を正常に保つ手助けになります。
    筋肉の修復と成長: 睡眠中に分泌される成長ホルモンは、筋肉の修復や合成を促進します。筋トレの効果を最大化するためにも、質の高い睡眠は必須です。
    胃腸機能の回復: 睡眠は体の休息時間であり、胃腸の回復にも重要です。

1日7〜8時間を目安に、できるだけ毎日同じ時間に寝起きするよう心がけましょう。寝る前にカフェインを摂らない、寝室を暗く静かにするなど、睡眠の質を高める工夫も有効です。

  • ストレス対策の重要性:
    食欲不振や胃腸機能低下の予防: ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、食欲不振や消化不良を招くことがあります。
    コルチゾール(ストレスホルモン)の影響: 慢性的なストレスによるコルチゾールの過剰分泌は、筋肉を分解しやすく、脂肪を溜め込みやすくする可能性があります(これは通常、痩せ型の人よりも太りやすい人に顕著ですが、健康状態の維持という意味で重要です)。

ストレスを全くなくすことは難しいですが、自分なりのリラックス方法を見つけて、ストレスを溜め込まないようにしましょう。軽い運動、趣味に没頭する、瞑想、友人と話す、十分な休息をとるなどが効果的です。

太るためのプロテイン・サプリメント活用

食事で十分な栄養やカロリーを摂取するのが難しい場合、プロテインやサプリメントを賢く活用することも有効な手段です。これらはあくまで「補助」であり、基本はバランスの取れた食事であることを忘れずに。

  • プロテイン:
    ホエイプロテイン: 吸収が速く、特に筋トレ後の栄養補給に適しています。
    カゼインプロテイン: 吸収がゆっくりで、持続的にアミノ酸を供給したい場合(例: 就寝前)に適しています。
    ソイプロテイン: 大豆由来で、植物性タンパク質を摂取したい場合に。
    ゲイナー(ウェイトゲイナー): タンパク質だけでなく炭水化物も多く含まれており、効率的にカロリーアップしたい増量期に特化したプロテインです。食事量が少ない人におすすめです。

プロテインは、間食として、あるいは食後のデザート代わりに飲むことで、手軽にタンパク質とカロリーを摂取できます。

  • その他のサプリメント:
    BCAA(分岐鎖アミノ酸): 筋肉の分解抑制や合成促進に役立つと言われています。
    クレアチン: 筋トレのパフォーマンス向上をサポートし、結果的に筋肉量増加に繋がる可能性があります。
    消化酵素サプリメント: 胃腸の働きをサポートし、栄養の吸収を助けます。(医師や専門家と相談の上検討)
    マルチビタミン・ミネラル: 食事で不足しがちなビタミン・ミネラルを補給し、体の機能を整えます。

サプリメントを選ぶ際は、目的(タンパク質補給、カロリーアップ、吸収サポートなど)を明確にし、成分表示をよく確認することが重要です。体質に合うか心配な場合は、少量から試す、専門家に相談するなどの対応をしましょう。

男性が太るためのポイント

男性の場合、女性に比べて筋肉がつきやすい傾向があります。そのため、筋力トレーニングと高タンパク質の食事に重点を置くことで、効率的に体重(筋肉量)を増やすことができる可能性が高いです。

男性ホルモンであるテストステロンは筋肉の合成に関わるため、適切な睡眠、ストレス対策、バランスの取れた食事でホルモンバランスを整えることも増量には間接的に影響します。筋トレで体を動かすことは、ストレス解消にも繋がります。

女性が太るためのポイント

女性は男性に比べて筋肉がつきにくいため、増量においても男性とは少しアプローチが異なる場合があります。極端な高カロリー・高タンパク質に偏るのではなく、バランスの取れた栄養摂取をより意識することが重要です。

特に、体脂肪率が低すぎる女性は、ホルモンバランスが乱れやすく、生理不順や無月経、将来的な骨粗しょう症リスクなどを抱えることがあります。健康的な増量とは、これらのリスクを回避し、適正な体脂肪率と筋肉量を目指すことでもあります。無理な食事制限や過度な運動を避け、健康を第一に考えた計画を立てましょう。

生理周期によって食欲や体調が変動することもあるため、ご自身の体のリズムに合わせた無理のない計画を立てることが継続の鍵となります。

「太りたい」人が避けるべきNG行動

健康的に増量を目指す上で、ついついやってしまいがちな、しかし避けるべきNG行動があります。これらの行動は、体調を崩したり、不健康な体重増加を招いたりする可能性があります。

急激な体重増加を目指す無理な食事

「早く太りたい」という気持ちから、一度に大量の食事を詰め込んだり、普段食べないような高カロリーなものばかりを無理に食べ続けたりするのは避けましょう。

NG行動 理由
一度に大量の食事を摂る 胃腸に過度な負担がかかり、消化不良や胃痛の原因となる
胃もたれしても無理して食べる 食事自体が苦痛になり、食欲がさらに低下する可能性
短期間に大幅な体重増加を目指す 体への負担が大きく、健康を損なう可能性がある

増量の目安は、1ヶ月に体重の1〜2%程度、あるいは0.5kg〜1kg程度と、緩やかに設定するのが健康的です。無理なく続けられるペースで、少しずつ摂取カロリーを増やしていくことが大切です。

偏った栄養バランス

カロリーさえ摂れば良いと考え、ジャンクフードや菓子類、清涼飲料水など、特定の高カロリー食品ばかりを食べるのはNGです。これらの食品はカロリーは高くても、ビタミンやミネラル、良質なタンパク質や脂質といった、体が健康に機能するために必要な栄養素が不足しています。

NG行動 理由
ジャンクフード中心の食生活 栄養不足を招き、肌荒れ、体調不良、免疫力低下などを引き起こす可能性
脂質や糖質に偏りすぎる 必要なタンパク質やビタミン・ミネラルが不足する
食物繊維の摂取を怠る 腸内環境が悪化し、栄養の吸収を妨げる可能性

バランスの取れた食事は、健康的な増量だけでなく、体の機能を維持し、将来的な生活習慣病のリスクを低減するためにも不可欠です。様々な食品から満遍なく栄養素を摂取するよう心がけましょう。

過度な有酸素運動

体重を増やしたいのに、長時間または高強度の有酸素運動を頻繁に行うのは、増量の妨げになります。有酸素運動は多くのカロリーを消費するため、せっかく食事で摂取したカロリーが相殺されてしまう可能性があります。

NG行動 理由
毎日長時間ランニング 大量のカロリーを消費し、摂取カロリー>消費カロリーの状態を作りにくい
ハードな有酸素運動 体の回復にエネルギーを使い、筋肉合成に回るエネルギーが減る可能性

増量を目指す期間は、筋力トレーニングを主とし、有酸素運動はウォーキングなどの軽いものに留めるか、頻度と時間を減らすのがおすすめです。ただし、適度な運動は食欲増進や血行促進に繋がることもありますので、全く行わないのではなく、バランスが重要です。

もしかして病気?「太れない」場合に考えられる疾患

「太りたい」と努力しているのに一向に体重が増えない、あるいは意図せず体重が減ってきているという場合、単なる体質や生活習慣の問題だけでなく、病気が隠れている可能性も考えられます。

痩せすぎによる健康リスク

痩せすぎ(特にBMIが18.5未満)は、見た目のコンプレックスだけでなく、様々な健康リスクを伴います。BMIに関する一般的な基準については、日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン」なども参考になります。

  • 免疫力の低下:
    風邪や感染症にかかりやすくなる。
  • 疲労感:
    体力や筋肉量が不足し、疲れやすい。
  • 貧血:
    鉄分やビタミンなどの栄養不足により起こりやすい。
  • 骨粗しょう症:
    カルシウムやビタミンDの不足、女性ホルモンの乱れにより骨密度が低下するリスク。
  • 女性の場合:
    生理不順や無月経、将来的な不妊、早産・低出生体重児のリスク増大。
  • 体温調節機能の低下:
    寒さを感じやすくなる。
  • 怪我のリスク増大:
    筋肉や脂肪のクッションがないため、転倒などで骨折しやすい。

これらのリスクを避けるためにも、健康的な範囲で体重を増やすことが望ましいと言えます。

関連性の高い病気(甲状腺機能亢進症、糖尿病、胃腸疾患など)

体重減少や「太れない」状態の背景に隠れている可能性のある病気はいくつかあります。主なものを以下に示します。

病気名 特徴・太れない理由 その他症状例
甲状腺機能亢進症 甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、体の代謝が異常に亢進し、エネルギー消費が非常に多い。 動悸、手の震え、大量の発汗、イライラ、眼球突出など。
糖尿病(特に1型) インスリンの作用不足により、食事から摂ったブドウ糖が細胞に利用されず、エネルギー不足となり体重が減少する。 多飲多尿、倦怠感、異常な喉の渇き、空腹感など。
胃腸疾患(炎症性腸疾患、吸収不良症候群など) 腸の炎症や機能障害により、栄養素がうまく消化・吸収されず、体重が減少する。 腹痛、下痢、血便、胃もたれ、吐き気、栄養不足に伴う症状。
がんなどの悪性腫瘍 がん細胞が増殖する過程で体力を消耗し、食欲不振や栄養吸収阻害などを伴うことがある。 倦怠感、痛み、発熱、しこりなど。
精神疾患(うつ病、摂食障害など) 食欲不振や食事に対する極端なこだわり(過度の食事制限、排出行為など)により、摂取カロリーが著しく不足する。 気分の落ち込み、不眠、無気力、不安感など。
感染症(結核、HIVなど) 慢性的な炎症や代謝の変化により、体重減少が見られることがある。 発熱、咳、倦怠感など、病原体による症状。

これらの病気は専門的な診断と治療が必要です。自己判断で様子を見たり、自己流の対策を続けたりせず、必ず医療機関を受診しましょう。

医療機関を受診すべきケース

以下のような症状や状況に当てはまる場合は、早めに医療機関を受診することを強くお勧めします。オンライン診療に関する適切な情報については、厚生労働省の「Online診療の適切な実施に関する指針」なども参考になります。

  • 意図せず、短期間に体重が急激に減少した(例: 1ヶ月に2〜3kg以上、または体重の5%以上)
  • 「太りたい」と努力しているのに、全く体重が増えない、むしろ減っている
  • 体重減少以外にも、以下のような体調の変化がある
    • 発熱、微熱が続く
    • 強い倦怠感、だるさ
    • 食欲不振、吐き気、胃もたれ
    • 慢性的な下痢や便秘、腹痛
    • 動悸、息切れ
    • 手の震え、異常な発汗
    • 気分の落ち込み、不眠
    • 体のどこかに痛みや違和感がある
  • 長期間(数ヶ月〜数年以上)「太れない」状態が続き、健康上の不安を感じている

これらの症状は、病気のサインである可能性があります。まずは内科やかかりつけ医に相談するのが良いでしょう。必要に応じて、消化器内科、内分泌内科、心療内科などの専門医を紹介されることもあります。現在の健康状態を正確に把握することが、健康的な増量への第一歩となります。

まとめ:健康的に「太りたい」を達成するために

「太りたいけど太れない」という悩みは、単に見た目の問題だけでなく、健康状態にも関わる重要な課題です。その原因は、体質、摂取カロリー不足、胃腸機能、生活習慣、そして時には病気など、様々なものが考えられます。

健康的に体重を増やすためには、まずご自身の「太れない」原因を見つけることが大切です。そして、以下のポイントを参考に、無理なく継続できる方法で実践していきましょう。

  • 食事: 消費カロリーを上回るカロリーを、バランス良く、そして継続的に摂取することが基本です。一度にたくさん食べられない場合は、食事回数を増やし(1日4〜6食)、間食(補食)を賢く活用しましょう。PFCバランスを意識し、タンパク質、炭水化物をしっかり摂り、良質な脂質も適量加えます。胃腸が弱い場合は、消化の良い食品を選び、よく噛んでゆっくり食べることを心がけましょう。
  • 運動: 脂肪だけでなく筋肉をつけて健康的に増量するために、筋力トレーニングを取り入れましょう。全身の大きな筋肉群をターゲットに、適切な負荷で行い、十分な休息も確保します。過度な有酸素運動は控えめにします。
  • 生活習慣: 質の高い睡眠(7〜8時間)と、自分に合ったストレス対策を行うことも、食欲の正常化や体の回復、ホルモンバランスの調整のために重要です。
  • サプリメント: 食事だけでは難しい場合、プロテイン(特にゲイナー)や増量用サプリメント、消化吸収を助けるサプリメントなども活用できます。ただし、あくまで食事の「補助」として捉え、製品選びは慎重に行いましょう。

そして何より重要なのは、無理なく、健康的な方法で増量を目指すことです。急激な体重増加や偏った食事は、体調を崩したり、健康を損なったりする可能性があります。焦らず、自分のペースで着実に進めることが成功の鍵となります。

もし、ご自身の努力だけでは体重が増えない、あるいは体調に不安がある場合は、迷わず医療機関を受診してください。病気が隠れている可能性もありますし、専門家(医師、管理栄養士など)に相談することで、ご自身の体質や状態に合った、より具体的で効果的なアドバイスを得ることができます。

「太りたい」という目標に向かって、一歩ずつ、健康的な方法で進んでいきましょう。理想の体と、それに伴う自信を手に入れる日はきっと来ます。


免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断、治療、予防を推奨するものではありません。個人の健康状態や症状に関しては、必ず専門の医療機関を受診し、医師の診断と指導を仰いでください。本記事の情報に基づいて行った行動によって生じたいかなる結果についても、本サイトは責任を負いかねます。

関連情報:

※ 「重症治療ガイドライン(2024年版)」は本記事のテーマと関連性が低いため含めておりません。

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