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中性脂肪が高いと言われたら、多くの方が「なぜだろう?」と不安になるかもしれません。中性脂肪は私たちの体に蓄えられる脂肪の一種で、エネルギー源として重要な役割を果たしますが、増えすぎると健康に様々な悪影響を及ぼします。特に、生活習慣病や動脈硬化のリスクを高めることが知られています。この記事では、中性脂肪が高い状態になる主な原因から、見落としがちなその他の原因、そして正常値に戻すための具体的な対策方法までを詳しく解説します。ご自身の健康状態を把握し、適切な対策を始めるための参考にしてください。
中性脂肪が高い主な原因とは?
中性脂肪が高い原因の多くは、日々の生活習慣と密接に関わっています。特に、食生活の乱れ、運動不足、そして喫煙習慣は、中性脂肪の蓄積に大きく影響することが知られています。
食生活の乱れによる中性脂肪の増加
私たちの体は、食事から摂取した栄養素をエネルギーとして利用しますが、使いきれなかったエネルギーは脂肪として蓄えられます。特に、中性脂肪は摂取カロリーが消費カロリーを上回った場合に増加しやすい特徴があります。食生活の乱れは、このカロリーバランスを崩すだけでなく、中性脂肪を合成しやすい栄養素の過剰摂取につながります。
糖質の摂りすぎ
ご飯やパン、麺類といった主食、お菓子や清涼飲料水に多く含まれる糖質は、体の主要なエネルギー源です。しかし、必要以上に多くの糖質を摂取すると、余った糖質は肝臓で中性脂肪に変換され、体内に蓄積されます。特に、果糖ブドウ糖液糖などが含まれる加工食品や甘い飲み物を日常的に摂取している場合、気づかないうちに多量の糖質を摂りすぎている可能性があります。ご飯やパンなどの主食も、極端に減らす必要はありませんが、お茶碗に山盛り、おかわりをする、麺類を大盛りにするなど、必要量を超えて摂取していないか見直してみましょう。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
脂質の摂りすぎ
揚げ物、肉の脂身、バター、加工食品などに多く含まれる動物性脂肪(飽和脂肪酸)や、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は、中性脂肪を増やしやすいとされています。確かに脂質も体に必要な栄養素ですが、高カロリーであり、摂りすぎはそのまま体脂肪として蓄積されやすいため注意が必要です。調理に使う油の量や種類にも気を配り、炒め物や揚げ物中心の食生活になっていないか振り返ってみましょう。魚に含まれるDHAやEPAのような良質な脂質(不飽和脂肪酸)もありますが、全体の摂取量を意識することが大切です。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
アルコールの過剰摂取
アルコールは、肝臓で分解される過程で中性脂肪の合成を促進する働きがあります。また、アルコール自体が高カロリーである上、お酒と一緒に食べるおつまみも高カロリーなものが多いため、結果的に総摂取カロリーが増加し、中性脂肪が蓄積されやすくなります。特に、毎日の晩酌量が多い場合や、度数の高いお酒を飲む習慣がある場合は要注意です。ビールや日本酒、ワインなどは糖質も含まれるため、さらに中性脂肪を増やす要因となり得ます。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
早食いや欠食などの不規則な食事
食事を抜いたり、まとめてたくさん食べたりする不規則な食事習慣は、血糖値を急激に変動させ、インスリンというホルモンの分泌を過剰に促します。インスリンは、血糖値を下げる働きとともに、余った糖を脂肪として蓄える作用もあるため、血糖値の急上昇は中性脂肪の蓄積を招きやすくなります。朝食を抜いて昼食にドカ食いする、夜遅くに大量に食べる、といった習慣は、体に負担をかけやすく、中性脂肪の上昇につながりやすいです。また、早食いは満腹中枢が刺激される前に食べ過ぎてしまう傾向があり、結果としてカロリーオーバーにつながりやすいです。ゆっくりよく噛んで食べる習慣をつけましょう。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
運動不足が中性脂肪をため込む
現代社会ではデスクワーク中心の生活や移動手段の発達により、日常的な運動量が減少しがちです。運動はエネルギーを消費し、筋肉を維持・増加させるために重要です。運動不足になると、摂取したカロリーを十分に消費できず、余ったエネルギーが中性脂肪として蓄積されやすくなります。特に、脂肪を燃焼させる効果の高い有酸素運動が不足していると、この傾向は顕著になります。また、筋肉量が減ると基礎代謝も低下するため、さらに脂肪が燃えにくい体質になってしまいます。階段を使わずエスカレーターやエレベーターばかり使う、近距離の移動でも車を使うなど、普段の生活で体を動かす機会が少ないと感じる方は要注意です。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html、厚生労働省 身体活動基準2013 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpr1.pdf)
喫煙習慣による中性脂肪への影響
喫煙は、中性脂肪を増やすだけでなく、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を減らすなど、脂質代謝全体に悪影響を及ぼします。タバコに含まれるニコチンなどが交感神経を刺激し、インスリンの働きを妨げる(インスリン抵抗性を高める)ことが原因の一つと考えられています。インスリン抵抗性が高まると、血糖値がうまくコントロールできなくなり、糖が脂肪として蓄積されやすくなります。また、喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を進行させる要因でもあり、中性脂肪が高いことと組み合わさると、さらにリスクを高めることになります。喫煙習慣があるだけで、中性脂肪だけでなく、多くの生活習慣病リスクが跳ね上がると言っても過言ではありません。(参考:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/)
中性脂肪が高いその他の原因
中性脂肪が高い原因は、生活習慣だけではありません。体質や特定の体の状態、あるいは服用している薬などが影響している場合もあります。
体質や遺伝による影響
両親や近親者に中性脂肪が高い方がいる場合、遺伝的に中性脂肪がたまりやすい体質を受け継いでいる可能性があります。これを「家族性高トリグリセリド血症」などと呼びます。遺伝的な要因がある場合でも、必ずしも高くなるわけではありませんが、生活習慣の影響を受けやすいため、他の人以上に日々の注意が必要です。ご自身の家族歴を知ることは、健康管理において重要なヒントとなります。家族に脂質異常症や心筋梗塞、脳卒中になった人がいる場合は、早めに医師に相談してみましょう。(参考:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/)
女性ホルモンバランスの変化(特に女性の場合)
女性は閉経後、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少します。エストロゲンには、コレステロールや中性脂肪といった脂質代謝を良好に保つ働きがあるため、その減少は脂質バランスの乱れを引き起こしやすくなります。閉経後の女性で中性脂肪が高くなるのは、このようなホルモンバランスの変化も一因として考えられます。更年期以降に体重が増加したり、健康診断で脂質の値が悪くなったりした場合は、女性ホルモンの影響も考慮する必要があります。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
特定の病気や薬によるもの
一部の病気が原因で中性脂肪が高くなることがあります。例えば、甲状腺機能が低下する「甲状腺機能低下症」(基礎代謝が低下し、脂質代謝が悪くなる)、腎臓の機能に異常が生じる「ネフローゼ症候群」(血液中のタンパク質が失われ、肝臓での脂質合成が亢進する)、インスリンの働きが悪くなる「糖尿病」(血糖コントロール不良により中性脂肪が蓄積しやすい)などが挙げられます。
また、特定の薬の副作用として、中性脂肪が上昇することもあります。例としては、炎症を抑えるために使われる「ステロイド薬」、高血圧や不整脈の治療に使われる「β遮断薬」、精神疾患の治療に使われる一部の薬、一部の免疫抑制剤や経口避妊薬などが挙げられます。これらの場合は、原因となっている病気の治療や薬の変更・調整が必要となるため、自己判断せず、必ず医師と相談することが不可欠です。現在服用中の薬がある場合は、健康診断の結果を持って医師に相談してみましょう。(参考:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/)
ストレスや睡眠不足との関連性
慢性的なストレスや睡眠不足も、中性脂肪の上昇に関わっている可能性が指摘されています。ストレスを感じると、コルチゾールなどのストレスホルモンが分泌され、これが糖代謝や脂質代謝に影響を与え、中性脂肪を増やしてしまうことがあります。また、睡眠不足は食欲を増進させるホルモン(グレリン)の分泌を促したり、代謝を低下させたりするため、中性脂肪が蓄積されやすい状態を作り出す可能性があります。忙しい現代人にとって、ストレスや睡眠不足は避けられない問題かもしれませんが、意識的に休息をとる時間を設けたり、リラックスできる方法を見つけたりすることが大切です。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
太っていないのに中性脂肪が高いのはなぜ?
「私は痩せているのに、なぜか中性脂肪が高いと言われた…」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。一般的に、肥満、特に内臓脂肪が多い人は中性脂肪も高い傾向がありますが、見た目が痩せていても中性脂肪が高いケースは存在します。これは、中性脂肪の蓄積が必ずしも全身の見た目の脂肪量に比例するわけではないためです。
その理由の一つに、「隠れ肥満」と呼ばれる状態があります。これは、体重は標準的でも、体脂肪率が高く、特に内臓脂肪が多い状態を指します。筋肉量が少なく体脂肪が多い「サルコペニア肥満」の人も、見た目は痩せて見えることがあります。内臓脂肪は中性脂肪を蓄えやすく、また分解されやすいという特徴があるため、見た目以上に中性脂肪の値に影響を与えることがあります。インスリン抵抗性が高い場合も、見た目によらず内臓脂肪が蓄積しやすいことがあります。
また、痩せている人でも、糖質の多い食事やアルコールの過剰摂取が習慣になっている場合、摂取した糖質やアルコールが効率よく中性脂肪に変換され、肝臓や内臓脂肪として蓄積されることがあります。つまり、全体の摂取カロリーが多くなくても、中性脂肪に変わりやすい特定の栄養素を偏って摂っていることが原因となるのです。例えば、普段食事量は少なくても、甘い飲み物やお菓子を頻繁に口にしている、毎日ビールを数本飲む、といった習慣がある場合は、見た目の体型に関わらず中性脂肪が高くなる可能性があります。
このように、中性脂肪の高さは単に体重や体型だけで判断できるものではありません。日々の食生活の内容やアルコールの摂取量、運動習慣などが複合的に影響しています。痩せているから大丈夫、と過信せず、健康診断の結果を真摯に受け止めることが重要です。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
中性脂肪の基準値と高いことで起こるリスク
健康診断の結果を見る上で、ご自身の中性脂肪の値がどの範囲にあるのか、そしてその値が高い場合にどのようなリスクがあるのかを理解することは非常に重要です。
中性脂肪の正常な基準値
中性脂肪の値は、採血時の状況(食事からの時間など)によって変動するため、一般的に以下の基準値が用いられます。(出典:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/、厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
採血状況 | 基準値 | 判定 |
---|---|---|
空腹時 | 30~149 mg/dL | 正常 |
150 mg/dL 以上 | 高値(境界域) | |
300 mg/dL 以上 | 高値 | |
随時採血 | 30~149 mg/dL | 正常(目安) |
150 mg/dL 以上 | 高値の疑い | |
300 mg/dL 以上 | 高値 |
※空腹時とは、原則として10時間以上何も食べていない状態(水のみ可)を指します。随時採血は、食事の状況にかかわらず行われた採血です。より正確な診断のためには、空腹時採血が推奨されます。
中性脂肪が高いと指摘されたら
健康診断で中性脂肪が基準値より高いと指摘された場合、まずはその時の食事の状況(空腹時だったか、食後だったかなど)を確認しましょう。食後、特に脂っこい食事や糖質の多い食事を摂った後に採血した場合、一時的に中性脂肪が高くなることがあります。しかし、空腹時にも高い、あるいは継続的に高い場合は、何らかの原因があると考えられます。
数値が高いと指摘されたからといって、すぐに重篤な病気であるとは限りませんが、放置せずに原因を特定し、適切な対策を始めることが大切ですし、精密検査や治療が必要な場合もあります。まずはかかりつけ医に相談し、精密検査が必要かどうか(他の脂質や血糖値、血圧などを詳しく調べる)、あるいは生活習慣の改善から始めるべきかなどのアドバイスを受けることをお勧めします。医師は、あなたの全身の健康状態や他の病気の有無、家族歴なども考慮して、適切なアドバイスをしてくれます。(参考:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/)
中性脂肪が高いことによる体のリスク
中性脂肪が高い状態が長く続くと、様々な健康リスクが高まります。主なリスクは以下の通りです。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
- 動脈硬化の進行: 中性脂肪が増えると、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が小型化しやすくなり、血管の内壁に入り込んで蓄積されやすくなります。これにより、血管が硬く狭くなる動脈硬化を進行させます。動脈硬化が進行すると、血液の流れが悪くなり、最終的には心筋梗塞(心臓の血管が詰まる)や脳卒中(脳の血管が詰まる、あるいは破れる)といった、命に関わる重篤な病気の原因となります。(出典:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/)
- 脂質異常症(高脂血症): 中性脂肪だけでなく、コレステロール値(特にLDLコレステロールが高い、あるいはHDLコレステロールが低い)も異常を示すようになり、「脂質異常症」と診断されることがあります。脂質異常症は、かつては高脂血症と呼ばれていましたが、コレステロールや中性脂肪の異常が血管の健康を損なう状態であることから、現在では脂質異常症という名称が一般的です。これは動脈硬化の主要な原因の一つであり、包括的な管理が必要です。(出典:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/)
- 脂肪肝: 肝臓は脂質代謝の中心的な臓器であり、中性脂肪が過剰に蓄積された状態を脂肪肝と呼びます。脂肪肝の多くはアルコールの飲みすぎや肥満が原因ですが、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)も増えています。脂肪肝自体は自覚症状が少ないことが多いですが、進行すると肝硬変や肝臓がんに至るリスクもあります。中性脂肪が高い人は、脂肪肝を合併している可能性も高いため、肝臓の検査も併せて行うことが推奨されます。(参考:日本肝臓学会 NAFLD/NASH診療ガイドライン https://www.jsh.or.jp/guidelines/nafld_2020/)
- 急性膵炎: 中性脂肪が極めて高い(特に500 mg/dL以上など)場合、血液中の高濃度の中性脂肪が膵臓に炎症を引き起こす「急性膵炎」を発症するリスクが急激に高まります。急性膵炎は、上腹部や背中の激しい痛み、吐き気、発熱などを伴う非常に苦痛を伴う病気であり、重症化すると命に関わることもあります。(参考:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/)
これらのリスクは、中性脂肪が高いこと単独で生じるのではなく、高血圧、高血糖(糖尿病)、肥満(特に内臓脂肪型肥満)、喫煙といった他の生活習慣病やメタボリックシンドロームの危険因子と組み合わさることで、さらに高まることに注意が必要です。中性脂肪の改善は、これらのリスクをまとめて下げることにつながります。
中性脂肪300以上の場合は特に注意が必要
前述の通り、中性脂肪が300 mg/dL以上の場合は、特に注意が必要です。この値は一般的に「高度高値」とされ、動脈硬化のリスクがさらに高まることに加え、前述の急性膵炎の発症リスクも無視できないレベルになります。
このレベルまで高い場合は、生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られないこともあり、薬物療法(フィブラート系薬剤やn-3系多価不飽和脂肪酸製剤など)も検討されるケースが多くなります。(出典:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/)
中性脂肪が300 mg/dL以上と診断された場合は、自覚症状がなくても速やかに医療機関を受診し、医師の指導のもと、原因の特定と適切な治療方針の決定を行うことが重要です。早急な対応が必要なケースもあるため、自己判断で放置することは絶対に避けましょう。
中性脂肪を下げるための対策方法
中性脂肪が高いと指摘されても、適切な対策を行うことで数値を改善することは十分に可能です。原因の多くは生活習慣にあるため、まずは日々の習慣を見直すことから始めましょう。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
食事の見直しで中性脂肪を下げる
中性脂肪を下げるためには、食生活の改善が最も重要ですとも言われます。何を控え、何を積極的に摂るべきかを知り、日々の食事に取り入れましょう。(参考:厚生労働省 健康日本21 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html)
控えるべき食べ物・飲み物
中性脂肪を増やす最大の要因は、摂取カロリー過多と、糖質・脂質の過剰摂取です。特に以下の食品・飲み物には注意が必要です。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
栄養素/成分 | 具体例 | 注意点 |
---|---|---|
糖質(特に果糖) | 菓子パン、ケーキ、クッキー、チョコレート、清涼飲料水、甘い缶コーヒー、果汁100%ジュース、加糖ヨーグルト | 糖質はエネルギー源だが過剰分は中性脂肪に変換される。特に液体からの糖摂取は注意。 |
脂質(飽和脂肪酸、トランス脂肪酸) | 揚げ物(天ぷら、フライ、唐揚げ)、肉の脂身(バラ、ひき肉など)、加工肉(ソーセージ、ベーコン)、バター、生クリーム、マヨネーズ、インスタントラーメン | 動物性脂肪や加工油脂は中性脂肪を増やしやすい。調理法も揚げるより焼く・蒸すを。 |
アルコール | ビール、日本酒、ワイン、カクテル、チューハイなど | アルコール自体が中性脂肪合成を促進。おつまみにも注意。度数の高いお酒も注意。 |
これらの食品を完全にゼロにする必要はありませんが、量や頻度を減らす工夫が必要です。例えば、間食は週に数回程度にしたり、清涼飲料水を水やお茶に替えたりすることから始めましょう。揚げ物は月に数回程度にする、肉は脂身の少ない部位を選ぶ、といった選択も有効です。
積極的に摂りたい栄養素・食品
中性脂肪を下げるのを助ける栄養素や食品も存在します。(参考:厚生労働省 健康日本21 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html)
栄養素/成分 | 具体例 | 期待される効果 |
---|---|---|
食物繊維 | 野菜(葉物、根菜)、きのこ類、海藻類、こんにゃく、豆類、全粒穀物(玄米、麦など) | 糖質・脂質の吸収を穏やかにする。満腹感。腸内環境改善。 |
n-3系不飽和脂肪酸 | サバ、イワシ、サンマ、アジなどの青魚、アマニ油、エゴマ油 | 中性脂肪を下げる効果が多くの研究で示されている。血液をサラサラにする効果も期待。(出典:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/) |
植物性たんぱく質 | 豆腐、納豆、豆乳、枝豆など | 動物性脂肪を控える上で代替となる良質なたんぱく質。脂質代謝改善にも役立つとされる。 |
バランスの取れた食事を心がけ、特に野菜や魚、大豆製品を積極的に取り入れ、高糖質・高脂質な食品やアルコールを控えることが、中性脂肪を下げるための食事療法の基本です。毎食、まず野菜から食べる「ベジファースト」も、血糖値の急上昇を抑えるのに効果的です。
効果的な運動習慣で中性脂肪を減らす
運動は、体脂肪を燃焼させ、中性脂肪を減らすために非常に効果的です。特に、有酸素運動が中性脂肪の分解・利用を促進することが知られています。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
- 有酸素運動: ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング、エアロビクスなどが有酸素運動にあたります。体内の脂肪をエネルギーとして使うため、継続的に行うことで中性脂肪を減らすことができます。少し息が弾む程度の「中強度」の運動を、週に150分以上行うことが推奨されています。(出典:厚生労働省 身体活動基準2013 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpr1.pdf) 例えば、1日30分、週5日といった形でも良いですし、1回10分以上の運動を積み重ねても効果があります。大事なのは「継続」です。無理なく続けられる強度と時間を見つけることが大切です。エレベーターではなく階段を使う、一駅前で降りて歩く、自転車で買い物に行くなど、日常生活に運動を取り入れる工夫も有効です。
- 筋力トレーニング: スクワットや腹筋、腕立て伏せなどの筋力トレーニングは、筋肉量を増やし、基礎代謝を向上させる効果があります。筋肉は脂肪よりも多くのエネルギーを消費するため、筋肉量が増えると、安静時にもより多くのエネルギーが消費される体になります。これにより、中性脂肪がたまりにくい体質につながります。有酸素運動と組み合わせて行うと、より効率的に中性脂肪を減らすことが期待できます。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html) 週に2〜3回、無理のない範囲で筋力トレーニングを取り入れてみましょう。
運動は継続することが最も重要です。最初から無理な目標を立てるのではなく、まずは「毎日少しでも体を動かす」ことから始め、徐々に時間や強度を増やしていくと良いでしょう。家族や友人と一緒に運動したり、好きな音楽を聴きながら歩いたりするなど、楽しみながら続けられる方法を見つけることも大切ですいます。(参考:厚生労働省 身体活動基準2013 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpr1.pdf) 運動を習慣化することが成功の鍵となります。
その他の生活習慣で中性脂肪を改善
食事や運動だけでなく、その他の生活習慣も中性脂肪の改善に影響します。
- 禁煙: 喫煙習慣がある場合は、禁煙することが中性脂肪の改善だけでなく、全身の健康にとって非常に重要です。喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を進行させる最大の要因の一つです。禁煙は、中性脂肪を減らすだけでなく、心筋梗塞や脳卒中、がんなどのリスクを大幅に下げます。自力での禁煙が難しい場合は、ニコチンパッチや禁煙補助薬を活用したり、禁煙外来を受診したりすることも有効です。(参考:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/)
- 適正な飲酒: アルコールの過剰摂取は中性脂肪を増やす大きな原因です。飲酒の習慣がある場合は、量を減らすか、休肝日を設けるなど、適正な飲酒量を守るようにしましょう。厚生労働省が推奨する適量は、1日あたり純アルコール量で約20g(日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本程度)とされています。女性はこれより少ない量が目安です。できれば週に2日以上の休肝日を設けることが望ましいです。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
- 十分な睡眠: 毎日規則正しい時間に十分な睡眠をとることは、ホルモンバランスを整え、代謝を正常に保つために重要です。睡眠不足は、食欲を増進させたり、インスリンの働きを悪くしたりすることで、中性脂肪の増加につながることがあります。理想的な睡眠時間は個人差がありますが、一般的に7〜8時間程度が推奨されています。寝る前のスマホやカフェイン摂取を控える、寝室の環境を整えるなど、質の良い睡眠を確保できるよう工夫しましょう。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html)
- ストレス管理: 慢性的なストレスは、ホルモンバランスを乱し、中性脂肪の増加を招く可能性があります。ストレスを溜めすぎないよう、リラックスできる時間を作ったり、趣味を楽しんだり、友人や家族と話したりするなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html) 軽い運動や深呼吸、瞑想などもストレス軽減に役立ちます。
これらの生活習慣の改善は、中性脂肪だけでなく、高血圧や糖尿病、肥満といった他の生活習慣病のリスクを下げるためにも有効です。一つずつすべてを完璧に行うのは難しいかもしれませんが、まずは無理なくできることから一つずつ始めてみましょう。継続することが何よりも大切です。
中性脂肪が高い原因を知って健康的な生活を
健康診断で中性脂肪が高いと指摘されることは、ご自身の生活習慣を見直し、健康改善に取り組むための良い機会です。中性脂肪が高い原因は一つではなく、日々の食生活、運動不足、喫煙、さらには体質やストレス、睡眠不足など、様々な要因が複合的に絡み合っています。
ご自身の生活を振り返り、どの原因が最も影響しているかを理解することが、効果的な対策を立てる第一歩となります。そして、この記事でご紹介したような食事の見直し、適度な運動習慣、その他の生活習慣の改善を、できることから日常生活に取り入れてみましょう。例えば、「甘い飲み物を控える」「毎日30分散歩する」「寝る前にリラックスする時間を作る」など、具体的な目標を立てると取り組みやすいかもしれません。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html、厚生労働省 健康日本21 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html)
中性脂肪は、生活習慣の改善によって比較的数値が変動しやすい脂質です。継続的な努力によって、健康的な基準値を目指すことは十分に可能です。もし、ご自身の数値が非常に高い場合(特に300 mg/dL以上の場合)や、生活習慣の改善だけではなかなか数値が下がらない場合は、必ず医療機関を受診し、医師に相談してください。専門家のアドバイスのもと、ご自身に合った最適な治療や管理方法を見つけることが、将来の重大な病気を予防するために何よりも重要です。(出典:日本動脈硬化学会 脂質異常症診断基準・治療ガイドライン https://www.j-athero.org/guideline/) 管理栄養士に食事の相談をしたり、運動指導を受けたりするのも有効です。
中性脂肪と上手に付き合い、動脈硬化や生活習慣病のリスクを減らし、健康で豊かな生活を送りましょう。
【免責事項】
本記事は、中性脂肪に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスや診断を代替するものではありません。個人の健康状態に関するご判断や、具体的な治療方針については、必ず医師にご相談の上行ってください。本記事の情報に基づいて生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。