GLP-1ダイエット注射の効果は?副作用や費用、注意点を徹底解説

【患者様へのご案内】

・ダイエット外来は「オンライン診療」のみのであり対面診療をしておりません。
・ダイエット外来は提携医院が対応しております。
・ご連絡は下記の専用LINEからご相談ください

ダイエット注射は、近年注目を集めている医療痩身の一つです。主に「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる薬剤を使用し、食欲を抑えたり満腹感を持続させたりすることで、自然な形で食事量を減らし、体重減少を目指す治療法です。この治療は、単に痩せるだけでなく、健康的な体質改善にも繋がる可能性を秘めています。しかし、薬剤の種類、効果、費用、副作用など、知っておくべきことはたくさんあります。この記事では、ダイエット注射について、医師監修のもと、その仕組みから具体的な薬剤、費用、安全性、そして治療を受ける上での注意点まで、詳しく解説していきます。ダイエット注射を検討している方、興味がある方は、ぜひ最後までお読みいただき、正しい知識を得て、後悔のない選択に繋げてください。

目次

ダイエット注射とは?GLP-1を中心に解説

ダイエット注射として広く知られているのは、主に「GLP-1受容体作動薬」を用いた治療です。GLP-1(ジーエルピーワン:Glucagon-like peptide-1)は、もともと私たちの体内で小腸から分泌されるホルモンの一種です。食事を摂ると血糖値が上昇しますが、これに反応してGLP-1が分泌され、膵臓からのインスリン分泌を促したり、逆にグルカゴンの分泌を抑えたりすることで、血糖値を適切にコントロールする働きがあります。
また、GLP-1は脳に作用して食欲を抑えたり、胃の動きをゆっくりにして食べ物が胃にとどまる時間を長くしたりする作用も持っています。これにより、満腹感が持続しやすくなり、結果として食事量が減ることに繋がります。
GLP-1受容体作動薬は、この体内のGLP-1と似た働きをするように人工的に作られた薬剤です。これを注射または内服することで、GLP-1の持つ食欲抑制や血糖コントロール作用をダイエットに応用しようというのが、GLP-1ダイエットの考え方です。
本来、GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病の治療薬として開発・使用されてきました。しかし、多くの臨床試験で体重減少効果が確認されたことから、肥満治療薬としても注目されるようになり、一部の国や地域では肥満症に対する治療薬としても承認されています。日本では、いくつかのGLP-1受容体作動薬が2型糖尿病治療薬として承認されていますが、肥満症治療薬として単独で承認されているものは限られています。そのため、ダイエット目的で使用する場合は、多くが保険適用外の自由診療となります。
この治療は、特に食事制限が苦手な方や、運動だけではなかなか体重が減らないという方にとって、強力なサポートとなり得ます。ただし、注射であることや費用がかかること、副作用の可能性もあることから、メリットとデメリットをしっかりと理解した上で検討することが重要です。

GLP-1ダイエットの仕組みと効果

GLP-1ダイエットの核となるのは、GLP-1受容体作動薬が体内でGLP-1と同様の生理作用を発揮することです。この作用が、体重減少に繋がる様々な効果をもたらします。

血糖値の上昇抑制・食欲抑制によるメカニズム

GLP-1受容体作動薬が体内に取り込まれると、以下の主要なメカニズムでダイエットをサポートします。

  • インスリン分泌促進作用:
    血糖値が高い時に限り、膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促します。インスリンは血糖値を下げるホルモンですが、GLP-1の作用によるインスリン分泌は血糖値に応じて調整されるため、単独で使用する場合、重度の低血糖を起こすリスクは低いとされています。
  • グルカゴン分泌抑制作用:
    血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑えます。これにより、食後の血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待できます。
  • 胃内容物排出遅延作用:
    胃の動きをゆっくりにし、食べたものが胃から小腸へ移動するスピードを遅くします。これにより、満腹感がより長く持続しやすくなります。食後すぐに空腹を感じやすい方にとって、この作用は特に有用です。
  • 中枢神経系への作用:
    脳の食欲中枢に作用し、食欲そのものを抑制します。これにより、食事量を自然と減らすことができます。特に、間食や夜間の食べ過ぎを抑えるのに役立つと感じる方も多いようです。

これらの作用が複合的に働くことで、摂取カロリーを無理なく減らすことが可能となり、結果として体重減少に繋がるのです。特に食欲をコントロールする点において、従来のダイエット方法で挫折しやすい方にとって、大きな助けとなるメカニズムと言えます。

具体的な体重減少効果(何キロ痩せる?)

GLP-1ダイエットによる具体的な体重減少効果は、使用する薬剤の種類、投与量、治療期間、そして最も重要なこととして、個人の体質や生活習慣(食事内容、運動量など)によって大きく異なります。
臨床試験のデータを見ると、GLP-1受容体作動薬を使用した場合、プラセボ(偽薬)と比較して有意な体重減少が報告されています。例えば、週1回投与のセマグルチド(商品名:オゼンピック、ウゴービなど)を用いた海外の大規模な臨床試験では、治療開始から約1年半で、平均して体重の15%程度が減少したという報告があります。これは、体重100kgの人であれば約15kgの減少に相当します。別の薬剤であるチルゼパチド(商品名:マンジャロなど)の臨床試験では、さらに高い体重減少率が報告されています。
ただし、これはあくまで臨床試験における平均値であり、すべての人が同じような結果を得られるわけではありません。中には数キロ程度の減少にとどまる方もいれば、より多くの体重減少を達成する方もいます。また、治療開始からすぐに効果が出るわけではなく、多くの場合、数週間から数ヶ月かけて徐々に効果が現れてきます。
重要なのは、ダイエット注射はあくまで「サポート」であるという点です。薬剤の効果を最大限に引き出し、リバウンドを防ぐためには、並行してバランスの取れた食事や適度な運動といった健康的な生活習慣を身につけることが不可欠です。医療機関では、薬剤の処方だけでなく、食事や運動に関するアドバイスも提供される場合が多いので、これらを積極的に活用することが成功への鍵となります。

ダイエット注射(GLP-1)の種類

GLP-1受容体作動薬にはいくつかの種類があり、それぞれ成分や特徴、投与方法が異なります。ダイエット目的で使用される主な薬剤について解説します。

週1回投与と毎日投与の注射薬

GLP-1受容体作動薬の注射薬は、その作用時間によって大きく「毎日投与」と「週1回投与」に分けられます。

  • 毎日投与の注射薬:
    • 例: リラグルチド(商品名: サクセンダ、ビクトーザなど)
    • 特徴: 体内からの消失が比較的早い成分です。そのため、毎日決まった時間に自己注射する必要があります。毎日注射する手間はありますが、体内の薬剤濃度を一定に保ちやすく、効果や副作用の出方を細かく調整しやすいという側面もあります。日本では2型糖尿病治療薬として承認されていますが、肥満症治療薬としてはサクセンダが承認されています(ただし保険適用外)。
  • 週1回投与の注射薬:
    • 例: セマグルチド(商品名: オゼンピック、ウゴービなど)、チルゼパチド(商品名: マンジャロなど)
    • 特徴: 体内での作用時間が非常に長く、週に1回決められた曜日に自己注射すれば効果が持続します。注射の頻度が少ないため、患者さんの負担が少なく、治療を続けやすいという大きなメリットがあります。特に忙しい方や、毎日注射するのを忘れてしまいがちな方に向いています。セマグルチドの「ウゴービ」は、日本で初めて肥満症治療薬として承認された薬剤です(ただし適用基準あり)。チルゼパチドの「マンジャロ」は2型糖尿病治療薬として承認されていますが、体重減少効果も非常に高いことが知られています。

どちらのタイプを選択するかは、患者さんのライフスタイル、注射への抵抗感、期待する効果、そして医師の診断によって決定されます。

代表的な薬剤(オゼンピック、マンジャロなど)

ダイエット注射として耳にすることが多い代表的な薬剤をいくつかご紹介します。

  • オゼンピック(有効成分: セマグルチド):
    • 投与方法: 週1回 皮下注射
    • 特徴: 日本で2型糖尿病治療薬として広く使われています。強い食欲抑制効果と高い血糖降下作用を持ち、体重減少効果も期待できます。後述のウゴービと同じ成分ですが、承認されている疾患が異なります。
  • ウゴービ(有効成分: セマグルチド):
    • 投与方法: 週1回 皮下注射
    • 特徴: オゼンピックと同じセマグルチドですが、こちらは日本で初めて「肥満症」を対象とした治療薬として承認されました(2023年3月)。ただし、保険適用となるには、BMIが一定基準以上で、かつ高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかがある、という条件を満たす必要があります。条件を満たさない場合は自由診療となります。オゼンピックよりも高用量での使用が可能です。
  • マンジャロ(有効成分: チルゼパチド):
    • 投与方法: 週1回 皮下注射
    • 特徴: GLP-1受容体だけでなく、GIP受容体という別の受容体にも作用する、「デュアルアゴニスト」と呼ばれる新しいタイプの薬剤です。日本で2型糖尿病治療薬として承認されており、オゼンピックよりもさらに高い血糖降下作用と体重減少効果が報告されています。肥満症治療薬としてはまだ日本で承認されていませんが、ダイエット目的で自由診療として使用されるケースがあります。
  • サクセンダ(有効成分: リラグルチド):
    • 投与方法: 毎日 皮下注射
    • 特徴: リラグルチドは2型糖尿病治療薬として「ビクトーザ」の商品名でも使われていますが、「サクセンダ」は高用量で肥満症治療薬として承認されています(日本、保険適用外)。毎日注射する必要はありますが、自己判断で投与量の調整が比較的容易という特徴があります。

これらの薬剤は、医師の診断と処方が必要です。自己判断での使用は絶対に避けてください。

注射薬と飲み薬(リベルサス)の違い

GLP-1受容体作動薬には、注射薬の他に飲み薬タイプも存在します。代表的なのは「リベルサス」(有効成分: セマグルチド)です。これはオゼンピックやウゴービと同じセマグルチドを成分とする内服薬です。

  • 飲み薬(リベルサス):
    • 投与方法: 1日1回 経口投与
    • 特徴: 注射が苦手な方にとって大きな選択肢となります。ただし、飲み薬として効果を発揮するためには、特定の条件下(空腹時、コップ半分の水で、他の薬剤や食事と同時摂取を避けるなど)で服用する必要があります。これにより、薬剤の吸収率が注射薬に比べて不安定になる可能性があり、効果の発現や程度に個人差が出やすいという側面があります。日本では2型糖尿病治療薬として承認されていますが、ダイエット目的での使用は自由診療となります。
    • 効果発現の早さ: 一般的に、注射薬の方が体内への吸収が早く、効果を実感しやすいと言われています。リベルサスは吸収に時間がかかるため、効果が出るまでに時間がかかる場合があります。
    • 費用: 薬剤の種類や容量、クリニックによって異なりますが、一般的に注射薬の方が高価になる傾向があります。
    • 副作用: 注射薬と同様の消化器系の副作用が見られます。飲み薬特有の副作用は少ないですが、正しい服用方法を守らないと効果が得られにくかったり、副作用が出やすくなったりする可能性があります。

注射薬と飲み薬のどちらを選ぶかは、注射への抵抗感、ライフスタイル、期待する効果、費用などを考慮し、医師と相談して決定することが重要です。

ダイエット注射(GLP-1)にかかる費用

ダイエット注射であるGLP-1受容体作動薬を用いた治療は、多くの場合、保険適用外の自由診療となります。そのため、クリニックによって費用が大きく異なることがあります。

保険適用外と自由診療の料金目安(1ヶ月いくら?)

先述の通り、GLP-1受容体作動薬は本来2型糖尿病治療薬として開発されたものがほとんどです。日本においては、「ウゴービ」がBMIなどの一定条件を満たす肥満症に対して保険適用での使用が認められていますが、それ以外の薬剤(オゼンピック、マンジャロ、サクセンダ、リベルサスなど)をダイエット目的で使用する場合は、原則として保険適用外の「自由診療」となります。
自由診療の場合、薬剤費は全額自己負担となり、さらに初診料や再診料、その他管理費用などがかかるクリニックもあります。そのため、治療にかかる費用は高額になる傾向があります。
1ヶ月あたりの費用目安は、使用する薬剤の種類、投与量、クリニックの料金設定によって大きく変動しますが、一般的には3万円~10万円以上となることが多いです。

  • 毎日投与の注射薬(サクセンダなど):
    薬剤の種類や投与量にもよりますが、1ヶ月あたり5万円〜10万円程度になることが多いです。
  • 週1回投与の注射薬(オゼンピック、マンジャロなど):
    薬剤の種類や容量によりますが、1ヶ月あたり3万円〜8万円程度になることが多いです。(ただし、高用量のウゴービやマンジャロを自由診療で使用する場合はさらに高額になる可能性もあります。)
  • 飲み薬(リベルサス):
    注射薬よりはやや安価な傾向がありますが、容量によっては注射薬とそれほど変わらない場合もあります。1ヶ月あたり3万円〜6万円程度が目安となることが多いです。

これらの費用に加えて、クリニックによっては診察料やカウンセリング料などが別途かかる場合があります。事前にクリニックの料金体系をしっかりと確認することが大切です。また、長期にわたって治療を継続する場合は、総額が高額になることを理解しておく必要があります。

クリニックごとの料金体系

ダイエット注射を提供しているクリニックは数多くあり、それぞれ料金体系が異なります。

  • 薬剤費:
    最も大きな費用を占めます。使用する薬剤の種類、容量、そしてクリニックの仕入れ価格によって大きく変動します。
  • 診察料・カウンセリング料:
    初診時や再診時にかかる費用です。無料としているクリニックもあれば、数千円程度かかるクリニックもあります。
  • 管理費:
    一部のクリニックでは、治療計画の作成や進捗管理、相談サポートなどに対して管理費を設定している場合があります。
  • その他:
    薬剤の郵送費用(オンライン診療の場合)などがかかることもあります。

多くのクリニックでは、ホームページなどで料金表を公開しています。比較検討する際には、薬剤費だけでなく、これらの付帯費用も含めた総額で考えることが重要です。また、まとめて購入することで割引が適用されるプランや、定期配送プランなどを用意しているクリニックもあります。
高額な治療であるため、複数のクリニックを比較検討し、納得のいく料金設定のクリニックを選ぶことが大切です。ただし、安さだけで選ぶのではなく、医師の経験やサポート体制なども含めて総合的に判断することをお勧めします。

ダイエット注射(GLP-1)のメリットとデメリット

ダイエット注射、特にGLP-1受容体作動薬を用いた治療には、他のダイエット方法にはないいくつかのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。これらを理解した上で、自分に合った方法かどうかを判断する必要があります。

治療の主なメリット

  1. 強力な食欲抑制効果:
    GLP-1の最大のメリットの一つは、食欲を自然に抑える効果です。特に、食事制限が苦手で、ついつい食べ過ぎてしまう方にとって、空腹感を軽減し、適切な量で満足できるようになることは大きな助けとなります。これにより、無理なく摂取カロリーを減らすことができます。
  2. 満腹感の持続:
    胃の排出を遅らせる作用により、食事後の満腹感が長く続きます。これにより、間食の回数を減らしたり、次の食事までの空腹感を抑えたりすることが期待できます。
  3. 血糖値コントロールへの寄与:
    GLP-1受容体作動薬は、血糖値のコントロールにも効果があります。特に食後の急激な血糖値の上昇を抑えることで、脂肪の蓄積を抑える効果も期待できます。また、隠れ高血糖などがある方にとっては、健康的な側面からもメリットがあります。
  4. 注射頻度の少なさ(週1回製剤の場合):
    週1回投与の薬剤であれば、自己注射の手間が週に一度で済みます。これは、毎日注射するインスリン療法などと比較して、患者さんの負担を大きく軽減し、治療継続率を高める要因となります。ペン型注射器は操作も比較的容易です。
  5. 医師の管理下で安全に実施:
    医療機関で医師の診断・指導のもとで行われる治療です。個々の健康状態や体質に合わせて薬剤の種類や量を調整してもらえるため、市販のサプリメントなどと比較して、より安全に、そして効果的に治療を進めることが期待できます。

デメリットと注意すべき点

  1. 費用が高額:
    多くの薬剤が自由診療となるため、治療費は自己負担となり、1ヶ月あたり数万円〜10万円以上かかる場合があります。長期的に継続する場合は、費用負担が大きくなることがデメリットです。
  2. 副作用の可能性:
    吐き気、下痢、便秘、腹痛といった消化器系の副作用が比較的高い頻度で見られます。これらの副作用は一時的で軽度であることが多いですが、中には不快に感じたり、日常生活に支障が出たりするケースもあります。また、稀ではありますが、膵炎や胆嚢炎などの重篤な副作用のリスクもゼロではありません。
  3. 注射への抵抗感:
    注射薬を選択した場合、自分で注射を行う必要があります。注射が苦手な方にとっては、心理的なハードルとなる可能性があります。ただし、使用する注射器は細い針を用いたペン型であり、痛みは比較的少ないとされています。
  4. 効果に個人差がある:
    すべての人が期待通りの効果を得られるわけではありません。体質や生活習慣によって、効果の出方には個人差があります。全く効果を感じないというケースも稀に存在します。
  5. 生活習慣改善も必須:
    薬剤の効果だけではなく、バランスの取れた食事や適度な運動を取り入れることが、効果を最大限に引き出し、リバウンドを防ぐために非常に重要です。薬剤を服用しているからといって、食生活が乱れたままでは十分な効果は得られません。
  6. 治療の中止によるリバウンドリスク:
    GLP-1受容体作動薬は、使用を中止すると食欲抑制効果などが失われます。治療期間中に健康的な食習慣や運動習慣が身についていないと、治療中止後にリバウンドしてしまうリスクがあります。

これらのメリットとデメリットを十分に理解し、医師とよく相談した上で、自分にとって最適なダイエット方法かどうかを慎重に検討することが重要です。

副作用と安全性について

ダイエット注射(GLP-1受容体作動薬)を使用する上で、副作用や安全性に関する正しい知識を持つことは非常に重要です。ほとんどの副作用は軽度で一時的なものですが、稀に重篤な副作用が発生する可能性もゼロではありません。

よく見られる副作用

GLP-1受容体作動薬で最もよく見られる副作用は、消化器系の症状です。これは、薬剤が胃腸の動きに作用することによるものです。

  • 吐き気:
    最も一般的な副作用の一つです。特に治療開始時や増量時に見られやすく、体が薬剤に慣れるにつれて軽減することが多いです。
  • 下痢、便秘:
    腸の動きの変化によって、下痢または便秘のいずれかが発生することがあります。
  • 腹痛:
    胃や腸の不快感、痛みを感じることがあります。
  • 食欲不振:
    薬剤の主作用の一つですが、意図せず食欲が全くなくなってしまい、食事量が極端に減ってしまう人もいます。
  • 胃部不快感:
    胃もたれや胸やけのような症状を感じることがあります。

これらの副作用は、投与量を少量から開始し、体の様子を見ながら徐々に増やしていくことで軽減できる場合があります。また、多くの場合、治療を続けるうちに体が慣れてきて、症状が軽快するか消失します。副作用が辛い場合は、自己判断せず必ず医師に相談してください。投与量の調整や、薬剤の変更を検討することが可能です。

重大な副作用やリスク

稀ではありますが、以下のような重篤な副作用が報告されています。

  • 膵炎:
    急性膵炎は、重度の腹痛や背中の痛みを伴うことがあります。GLP-1受容体作動薬との関連性が指摘されていますが、頻度は非常に稀です。激しい腹痛が続く場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
  • 胆嚢炎、胆石症:
    胆嚢や胆管に関する問題を引き起こす可能性があります。
  • 腸閉塞:
    腸の動きが極端に遅くなることで起こる可能性が指摘されています。持続する腹痛や吐き気、お腹の張りなどの症状が出た場合は注意が必要です。
  • 低血糖:
    GLP-1受容体作動薬単独での重度の低血糖リスクは低いですが、スルホニル尿素薬やインスリンなどの他の血糖降下薬を併用している場合は、低血糖が起こるリスクが高まります。低血糖の症状(冷や汗、震え、動悸、意識障害など)が出た場合は、すぐに糖分を摂取し、症状が改善しない場合は医療機関に連絡してください。
  • 急性腎障害:
    脱水などによって腎臓の機能が一時的に低下する可能性があります。特に下痢や嘔吐がひどい場合に注意が必要です。
  • 甲状腺関連の異常:
    齧歯類を用いた動物実験で、甲状腺C細胞腫瘍(髄様がん)の発生率増加が報告されています。ヒトでの関連性は明確には証明されていませんが、甲状腺髄様がんの既往がある方や、その家族歴がある方、多発性内分泌腫瘍症2型の患者さんには禁忌とされています。治療前に医師に既往歴や家族歴を正確に伝えることが重要です。

これらの重篤な副作用は非常に稀ですが、可能性を理解しておくことは大切です。異変を感じたらすぐに医師に相談することが、安全に治療を続ける上で最も重要です。

安全に治療を受けるためのポイント

ダイエット注射を安全に、そして効果的に受けるためには、以下の点を守ることが不可欠です。

  1. 必ず医療機関で医師の診察を受ける:
    自己判断や個人輸入での使用は非常に危険です。ご自身の健康状態、既往歴、現在服用している薬などを医師に正確に伝え、適応があるか、リスクはないかを確認してもらうことが第一歩です。
  2. 医師の指示された用法・用量を守る:
    薬剤の種類、投与量、投与頻度は、医師が患者さん一人ひとりの状態に合わせて決定します。自己判断での増量や減量、投与頻度の変更は、効果が得られなかったり、副作用のリスクを高めたりする可能性があります。
  3. 副作用が出た場合はすぐに医師に相談:
    吐き気や腹痛などの副作用が出た場合、我慢せずに医師や薬剤師に相談してください。投与量の調整や対処法についてアドバイスを受けることができます。特に、激しい腹痛など、普段と異なる症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
  4. 併用薬について正確に伝える:
    現在服用している全ての薬剤(処方薬、市販薬、サプリメントなど)について、医師や薬剤師に正確に伝えてください。飲み合わせによっては、薬剤の効果に影響が出たり、副作用のリスクが高まったりする可能性があります。特に、他の糖尿病治療薬や血液をサラサラにする薬などには注意が必要です。
  5. 健康的な生活習慣を並行して行う:
    ダイエット注射はあくまで減量をサポートするものであり、魔法の薬ではありません。バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせることで、より高い効果が期待でき、リバウンドを防ぐことにも繋がります。

これらのポイントを守り、医師とのコミュニケーションを密にすることで、ダイエット注射を安全に、そして成功に繋げることが可能になります。

GLP-1ダイエットで「痩せない」と感じる原因

ダイエット注射(GLP-1受容体作動薬)を使用しても、期待したほど体重が減らない、あるいは全く効果を感じないという方もいらっしゃるかもしれません。これにはいくつかの原因が考えられます。

  1. 投与量や期間が適切でない:
    GLP-1受容体作動薬は、効果が出るまでに時間がかかる場合があります。最低でも数週間から数ヶ月は継続して使用しないと、効果を実感できないことがあります。
    投与量が体に合っていない可能性もあります。少量から開始している場合、体重減少効果が現れるにはもう少し高用量が必要な場合があります。ただし、増量は医師の指示のもと慎重に行う必要があります。
  2. 生活習慣(食事・運動)の見直しが不十分:
    GLP-1受容体作動薬は食欲を抑制しますが、薬剤だけに頼り、高カロリーな食事を続けたり、運動を全くしなかったりすると、体重減少効果は限定的になります。摂取カロリーが消費カロリーを上回っていれば、痩せることはできません。薬剤はあくまでダイエットを「サポート」するものであり、主体的な生活習慣の改善が不可欠です。
    特に、無意識のうちに間食が増えていたり、清涼飲料水を多く飲んでいたりするなど、自分では気づきにくい食習慣が原因となっていることもあります。
  3. 体質や遺伝的な要因:
    薬剤に対する体の反応は、個人によって異なります。GLP-1受容体の感受性など、体質や遺伝的な要因によって、薬剤の効果が出にくい場合があります。
  4. 他の疾患や薬剤の影響:
    甲状腺機能低下症などの代謝に関わる疾患や、体重増加を招きやすい一部の薬剤(ステロイドや精神科の薬など)を使用している場合、GLP-1受容体作動薬を使用しても体重が減りにくいことがあります。
  5. ストレスや睡眠不足:
    慢性的なストレスや睡眠不足は、食欲を増進させるホルモン(コルチゾールなど)の分泌を促したり、代謝を悪化させたりすることがあります。これにより、ダイエット効果が出にくくなる可能性があります。
  6. 偽物や品質の低い薬剤を使用している:
    個人輸入などで入手した薬剤は、偽造品や品質が保証されていないものである可能性が非常に高いです。このような薬剤を使用しても効果がないばかりか、健康被害を引き起こすリスクもあります。必ず医療機関で正規の薬剤を処方してもらってください。

もしGLP-1ダイエットで効果を感じられない場合は、自己判断せず、まずは医師に相談することが重要です。医師は、投与量や期間の見直し、生活習慣に関するアドバイス、他の原因の可能性の検討など、適切な対応策を提案してくれます。

ダイエット注射(GLP-1)に関するよくある質問

ダイエット注射について、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

注射で平均何キロ痩せられますか?

GLP-1ダイエットで期待できる体重減少効果は、個人差が大きいですが、臨床試験のデータでは、薬剤の種類や投与量、治療期間にもよりますが、体重の5%〜15%程度の減少が報告されています。例えば、週1回投与のセマグルチド(ウゴービの高用量など)を用いた海外の臨床試験では、平均で体重の15%程度の減少が見られました。しかし、これはあくまで平均値であり、すべての方が同じ結果になるわけではありません。数キロしか減らない方もいれば、20%以上の減少を達成する方もいます。効果は、薬剤の使用だけでなく、並行して行う食事や運動といった生活習慣の改善努力に大きく左右されます。

治療には1ヶ月いくら必要ですか?

ダイエット目的のGLP-1受容体作動薬は、多くの場合保険適用外の自由診療となります。そのため、薬剤の種類や容量、そしてクリニックの料金設定によって費用は大きく異なります。目安としては、1ヶ月あたり3万円~10万円以上かかることが多いです。毎日投与の薬剤や、高用量の週1回製剤は費用が高くなる傾向があります。これに加えて、診察料などが別途かかる場合もあります。治療を検討する際は、クリニックのホームページなどで料金体系をよく確認し、総額でいくらかかるのか把握することが重要です。

GLP-1ダイエットの効果は何ですか?

GLP-1ダイエットの主な効果は、以下の通りです。

  • 食欲抑制: 脳に作用し、空腹感を軽減し、食事量を自然に減らすことができます。
  • 満腹感の持続: 胃の排出を遅らせることで、満腹感が長く続き、間食を減らすのに役立ちます。
  • 血糖値コントロール: 血糖値の上昇を抑え、安定させる効果があり、脂肪の蓄積抑制にも繋がります。

これらの効果により、摂取カロリーを減らし、体重減少を目指すことが治療の目的です。

GLP-1はインスリン注射と関係ありますか?

GLP-1受容体作動薬は、膵臓からのインスリン分泌を「血糖値が高い時に限り」促進する作用がありますが、インスリンそのものではありません。インスリン注射は、体内でインスリンが十分に作れない、あるいは効きにくい場合に、外部からインスリンを補う治療法です。GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌を調節する働きを持つため、単独で使用する場合、重度の低血糖を起こすリスクはインスリン注射よりも低いとされています。ただし、他の糖尿病治療薬(特にスルホニル尿素薬やインスリン)と併用する場合は、低血糖に注意が必要です。

芸能人もGLP-1を利用していますか?

一部のメディアで、芸能人がGLP-1ダイエットを利用しているという報道がされることがありますが、真偽は定かではありません。GLP-1受容体作動薬は医師の処方が必要な医療用医薬品であり、安易な目的で使用されるべきものではありません。医療機関で、ご自身の健康状態や肥満度を正確に診断してもらい、医師の指導のもと安全に使用することが最も重要です。噂話や美容目的での安易な使用は推奨されません。

ダイエット注射を検討中の方へ

ダイエット注射(GLP-1受容体作動薬)は、食欲を抑え、体重減少をサポートする有効な治療選択肢となり得ます。特に、これまでのダイエット方法で効果が得られなかった方や、BMIが高い方にとって、強力な助けとなる可能性があります。
しかし、この記事で解説してきたように、ダイエット注射は医療行為であり、薬剤の種類、費用、副作用、そして効果には個人差があります。安易に飛びつくのではなく、その仕組みやリスク、そしてメリット・デメリットを十分に理解することが重要です。

医療機関で専門家に相談することの重要性

ダイエット注射を検討する上で、最も重要なステップは、必ず医療機関を受診し、医師に相談することです。

  • 適切な診断:
    ご自身の現在の健康状態、肥満度、既往歴、アレルギー、現在服用している薬などを正確に評価してもらい、ダイエット注射が適応となるか、安全に使用できるかを確認できます。
  • 薬剤の選定と適切な用量:
    医師は、患者さんの状態や目標に合わせて、最適な薬剤の種類や開始量、増量のペースなどを決定します。これにより、効果を最大限に引き出しつつ、副作用のリスクを最小限に抑えることができます。
  • 副作用への対応:
    万が一、副作用が出た場合でも、医師の管理下であれば適切なアドバイスや対処を受けることができます。重篤な副作用のリスクについても、医師から十分な説明を受け、対応方法を知っておくことができます。
  • 生活習慣に関するアドバイス:
    ダイエット注射の効果を最大限に引き出し、リバウンドを防ぐためには、健康的な食事や運動習慣が不可欠です。医師や管理栄養士から、個別の状況に合わせた具体的なアドバイスを受けることができます。
  • 偽造品や危険な使用を避ける:
    医療機関で処方される薬剤は、品質が保証された正規のものです。個人輸入など、信頼性の低い方法で薬剤を入手することは、効果がないだけでなく、健康を損なう非常に高いリスクを伴います。

ダイエットは、単に体重を減らすだけでなく、健康的な体を目指すプロセスです。ダイエット注射は強力なツールとなり得ますが、それだけに頼るのではなく、医療専門家のサポートのもと、ご自身の体と向き合い、根本的な生活習慣の改善に取り組むことが、長期的な成功と健康に繋がります。
費用や通院の手間が気になる場合は、オンライン診療に対応しているクリニックを検討するのも良いでしょう。しかし、どの方法を選ぶにしても、まずは専門家である医師に相談し、ご自身の状況に最適な治療計画を立てることが、ダイエット成功への最も確実な道です。

この記事が、ダイエット注射について正しい知識を得て、ご自身のダイエットについて考えるための一助となれば幸いです。

免責事項: 本記事は、ダイエット注射(GLP-1受容体作動薬)に関する一般的な情報を提供するものであり、特定の薬剤の効果効能を保証したり、治療を推奨したりするものではありません。個々の患者さんの状態や治療の適応、効果、副作用、費用については、必ず医療機関で医師の診察を受け、説明を受けてください。自己判断での薬剤の使用や、個人輸入された薬剤の使用は、健康被害を引き起こす可能性があるため絶対に避けてください。医療情報は常に変化します。最新の情報やご自身の状況については、必ず専門医にご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
⚠️ダイエット外来はオンライン専門⚠️
ご相談は下記の専用LINEから
   ダイエット外来をLINEで相談する▶︎
目次