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パレオダイエットとは、人類が農耕を始める前の旧石器時代(Paleolithic時代)の食生活に範をとった食事法です。
約250万年前から1万年前まで続いたこの時代の人類は、狩猟や採集によって食料を得ていました。
現代のように加工食品や穀物、乳製品などが存在しない、より自然な食材を中心とした食生活を送っていたと考えられています。
この原始時代の食生活を現代に取り入れることで、現代の多くの健康問題に対処できるのではないかという考えに基づいています。
パレオダイエットとは?
パレオダイエットは、「旧石器時代の食事法」とも呼ばれ、現代の食生活が人類の進化のスピードに追いついていないという「不一致仮説(Mismatch Hypothesis)」に基づいて提唱されています。
人類の遺伝子は数百万年かけて原始時代の環境に適応してきましたが、農耕の開始(約1万年前)や産業革命以降の急激な食環境の変化には十分に順応できていない、と考えるのです。
この不一致が、肥満、糖尿病、心血管疾患、自己免疫疾患などの現代病の増加につながっているのではないか、という仮説です。
パレオダイエットでは、原始時代の人類が食べていたと考えられる食品、すなわち肉、魚、卵、野菜、果物、ナッツ、種子類、健康的な油などを中心に摂取します。
一方で、農耕が始まってから登場したと考えられる穀物、豆類、乳製品、さらに現代の加工食品や精製された砂糖などは避けるのが基本的な考え方です。
この食事法は、単なるダイエットとしてだけでなく、健康的なライフスタイル全般を追求するアプローチとしても注目されています。
パレオダイエットの基本原則
パレオダイエットの根底にあるのは、人類の遺伝子に適した食事を摂ることで、本来持っている体の機能を最大限に引き出すという考え方です。
その基本原則はシンプルですが、現代の一般的な食事とは大きく異なります。
主な原則は以下の通りです。
- 狩猟採集時代の食品に焦点を当てる: 肉、魚、卵、野菜、果物、ナッツ、種子類、一部の油などを中心に食べる。
- 農耕時代以降の食品を避ける: 穀物(小麦、米、トウモロコシなど)、豆類(大豆、レンズ豆、インゲン豆など)、乳製品を基本的に避ける。
- 加工食品・精製食品を避ける: 砂糖、人工甘味料、植物性オイル(キャノーラ油、大豆油など)、添加物の多い食品は避ける。
- 可能な限り自然な食材を選ぶ: 牧草飼育の肉、天然の魚、有機栽培の野菜など、品質の高い食材を選ぶことを推奨する場合が多い。
これらの原則を守ることで、体内の炎症を抑えたり、血糖値の急激な上昇を避けたり、必須栄養素を豊富に摂取したりすることが期待されます。
パレオダイエットの目的と背景
パレオダイエットの最大の目的は、健康の最適化です。
原始時代の食事を再現することで、現代人が抱えがちな慢性的な炎症を抑え、消化器系の負担を減らし、血糖値の安定化を図り、体重管理を容易にすることを目指します。
背景にあるのは、前述の「不一致仮説」です。
私たちの体が数百万年かけて狩猟採集に適応してきたにも関わらず、ここわずか数千年、特にここ数百年の間に、穀物主体の食生活、工業的な食品加工、砂糖の大量消費などが急速に進みました。
体はこの急激な変化についていけず、新しい食品群に含まれる成分(グルテンやレクチンなどの抗栄養素)、高糖質、不飽和脂肪酸のバランスの崩れなどが、様々な病気の原因になっていると考えられているのです。
例えば、穀物に含まれるグルテンは腸壁にダメージを与え、リーキーガット(腸管壁浸漏症候群)を引き起こす可能性が指摘されています。
豆類に含まれるレクチンやフィチン酸は栄養素の吸収を阻害したり、消化不良の原因になったりすることがあります。
乳製品のカゼインは一部の人にアレルギー反応を引き起こし、ラクトース(乳糖)は多くの成人が消化できません。
また、精製された砂糖や加工食品に含まれる人工的な成分、質の悪い油は、全身の炎症を促進し、代謝を悪化させることが知られています。
パレオダイエットは、これらの現代的な食品を避けることで、体への負担を減らし、本来持っている健康的な機能を回復させることを目指しているのです。
単に体重を減らすだけでなく、アレルギー症状の軽減、関節痛の改善、気分の安定、肌の調子の改善など、全身の健康状態の向上を目的としています。
パレオダイエットで期待できる効果
パレオダイエットを実践することで、多くの人が様々なポジティブな効果を実感していると報告されています。
もちろん個人差はありますが、主に以下のような効果が期待できます。
ダイエット効果
パレオダイエットを実践する多くの人が、体重の減少を経験します。
これは主に以下の要因によるものです。
- 高タンパク質・高食物繊維: 肉、魚、卵、野菜などを豊富に食べるため、タンパク質と食物繊維の摂取量が増えます。
これらは満腹感を持続させ、間食や過食を抑えるのに役立ちます。 - 血糖値の安定: 穀物や砂糖などの高GI食品を避けることで、食後の血糖値の急激な上昇とそれに続くインスリンの大量分泌を抑えることができます。
血糖値が安定すると、空腹感を感じにくくなり、脂肪が蓄積されにくくなります。 - 加工食品の排除: 栄養価が低く、カロリーだけが高い加工食品やスナック菓子などを避けることで、自然と総摂取カロリーを抑えることができます。
- 健康的な脂質の摂取: ナッツやアボカド、オリーブオイルなど、健康的な脂質を適切に摂取することで、脂溶性ビタミンの吸収が促進され、ホルモンバランスが整いやすくなります。
脂質は消化吸収に時間がかかるため、満腹感の持続にも寄与します。
これらの要素が複合的に作用し、無理なカロリー制限をしなくても自然と体重が適正な範囲に落ち着きやすくなる可能性があります。
健康面でのメリット
ダイエット効果以外にも、パレオダイエットは様々な健康上のメリットが期待できます。
- 炎症の軽減: 穀物、豆類、加工食品、質の悪い油などを避けることで、体内で慢性的な炎症を引き起こす原因を取り除くことができます。
炎症は心臓病、糖尿病、自己免疫疾患など多くの病気と関連しているため、炎症を抑えることは全身の健康にとって非常に重要です。 - 消化器系の改善: グルテンやレクチンなど、消化器系に負担をかける可能性のある成分を避けることで、お腹の張りやガス、下痢、便秘といった不調が改善されることがあります。
腸内環境の改善にもつながる可能性があります。 - 血糖値コントロールの改善: 特に2型糖尿病や予備群の人にとって、穀物や砂糖を避けることは血糖値の管理に大きく貢献する可能性があります。
インスリン感受性が向上し、血糖値の変動が少なくなることで、エネルギーレベルが安定し、疲労感や気分の落ち込みが軽減されることもあります。 - 心血管疾患リスクの低下: 健康的な脂質を摂取し、加工食品や砂糖を避けることで、悪玉コレステロール(LDL)の低下、善玉コレステロール(HDL)の上昇、中性脂肪の減少など、脂質プロファイルが改善される可能性があります。
これは心臓病や脳卒中のリスク低下につながります。 - 自己免疫疾患症状の軽減: 一部の自己免疫疾患(関節リウマチ、橋本病、セリアック病など)は、食事に含まれる特定の成分(グルテン、カゼインなど)が症状を悪化させることがあります。
パレオダイエットはこれらの成分を避けるため、症状が軽減される可能性があります。
ただし、これは個人差が大きく、専門家との相談が必要です。 - エネルギーレベルの向上: 血糖値の安定、炎症の軽減、必須栄養素の適切な摂取により、慢性的な疲労感が軽減され、日中のエネルギーレベルが向上したと感じる人も多くいます。
- 肌の状態の改善: 炎症が軽減されることや、加工食品・砂糖を避けることで、ニキビや湿疹などの肌トラブルが改善される可能性があります。
ただし、これらの効果はすべての人に等しく現れるわけではありません。
また、パレオダイエットの実践にあたっては、栄養バランスに注意し、自身の体調に合わせて調整することが重要です。
パレオダイエットで「食べていいもの」
パレオダイエットでは、旧石器時代の人類が狩猟や採集によって得られたと考えられる自然に近い食品を中心に摂取します。
具体的には、以下のような食品群が「食べていいもの」とされています。
肉類
パレオダイエットの中心となる食品の一つです。
動物性タンパク質や鉄分、ビタミンB群などの重要な栄養素を豊富に含んでいます。
できる限り、放牧されたり牧草飼育されたりした動物の肉が推奨されます。
これは、飼育環境が自然に近いほど、動物の健康状態が良く、肉の栄養価(特にオメガ3脂肪酸の含有量)も高くなる傾向があるためです。
牛肉、豚肉、鶏肉、ラム肉、鹿肉(ジビエ)など、様々な種類の肉が許可されています。
加工肉(ソーセージ、ベーコンなど)は添加物や保存料が多く含まれているため、基本的には避けます。
魚介類
魚や貝類もパレオダイエットにおいて重要な食品です。
特に、サケ、サバ、イワシなどの脂肪分の多い魚は、脳の健康や炎症抑制に重要なオメガ3脂肪酸(EPAやDHA)を豊富に含んでいます。
新鮮な魚介類を選び、水銀などの有害物質の蓄積が少ないものを選ぶことも考慮に入れると良いでしょう。
エビ、カニ、貝類なども含め、様々な種類の魚介類が許可されています。
卵
卵は「自然が作り出した完全食品」とも呼ばれるほど栄養価が高く、パレオダイエットでも推奨されています。
良質なタンパク質、ビタミン(A, D, E, B群)、ミネラル(鉄、亜鉛、セレン)などを豊富に含んでいます。
特に、放し飼いの鶏が産んだ卵は、通常の卵よりも栄養価が高い場合があります。
黄身コレステロールを気にする人もいますが、近年の研究では食事からのコレステロール摂取と血中コレステロール値、心臓病リスクとの関連性は低いとされています。
野菜
野菜はパレオダイエットにおいて非常に重要な位置を占めます。
ビタミン、ミネラル、食物繊維、抗酸化物質などを豊富に含んでおり、体内の炎症を抑え、消化器系の健康を保つために不可欠です。
デンプン質の多い野菜(ジャガイモ、サツマイモ、カボチャなど)も許容されますが、糖質量が多いものは適量に留めることが推奨されることもあります。
葉物野菜、アブラナ科野菜(ブロッコリー、カリフラワー)、ナス科野菜(トマト、ナス)、根菜類(ニンジン、大根)、キノコ類など、多種多様な野菜を彩り豊かに摂取することが望ましいです。
果物
果物はビタミン、ミネラル、抗酸化物質、食物繊維の良い供給源ですが、天然の糖分(フルクトース)も含まれています。
そのため、現代の果物は原始時代に比べて甘みや糖度が増している可能性があり、摂取量には注意が必要です。
特に、ダイエット目的の場合は、ベリー類など比較的糖質の少ない果物を中心に、適量を摂取することが推奨されます。
生の果物をそのまま食べるのが最も健康的です。
ジュースは食物繊維が失われ、糖分が濃縮されているため、避けるべきとされています。
ナッツ・種子類
ナッツや種子類は、健康的な脂質、タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルを含んでいます。
アーモンド、くるみ、マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツ、チアシード、フラックスシード、パンプキンシードなどが許可されています。
ただし、ナッツや種子類にはフィチン酸やレクチンといった抗栄養素が含まれているものもあり、これらの摂取を最小限に抑えるために、水に浸けたり発芽させたりするなどの工夫が推奨されることもあります。
また、高カロリーなので、食べすぎには注意が必要です。
ピーナッツは厳密には豆類なので、パレオダイエットでは避けるべきとされています。
健康的な油
調理や味付けに使用する油も重要です。
加工度の低い、自然由来の油が推奨されます。
- オリーブオイル: 特にエキストラバージンオリーブオイルは、オレイン酸や抗酸化物質を豊富に含み、心臓病予防に良いとされています。
ただし、高温加熱には向きません。 - ココナッツオイル: 飽和脂肪酸が多いですが、中鎖脂肪酸を含み、比較的高温加熱に強い油です。
- アボカドオイル: オレイン酸を豊富に含み、発煙点が高いため加熱調理に適しています。
- 動物性脂肪: 牛脂や豚脂(ラード)など、牧草飼育された動物由来の脂肪も、自然な状態であれば使用されることがあります。
一方で、大豆油、キャノーラ油、コーン油、ひまわり油などの植物性オイルは、加工の過程で化学物質が使用されたり、オメガ6脂肪酸が過剰に含まれていたりするため、パレオダイエットでは避けるべきとされています。
パレオダイエットで「避けるべきもの(NG)」
パレオダイエットでは、農耕が始まってから人類の食卓に登場した食品や、現代の加工技術によって作られた食品を基本的に避けます。
これらは、人類の体が長期にわたって適応していない、あるいは健康に悪影響を与える可能性のある成分を含んでいると考えられているためです。
穀物
小麦、米、トウモロコシ、大麦、ライ麦、オーツ麦など、あらゆる種類の穀物とその加工品(パン、パスタ、シリアル、クッキーなど)はパレオダイエットでは避けるべき食品の代表例です。
避けるべき理由としては、主に以下の点が挙げられます。
- グルテン: 小麦、大麦、ライ麦などに含まれるグルテンは、多くの人に消化不良やアレルギー反応を引き起こしたり、腸壁にダメージを与えたりする可能性があります。
セリアック病患者にとっては厳禁です。 - レクチン: 多くの穀物に含まれるレクチンは、消化管の内壁を傷つけたり、栄養素の吸収を阻害したり、自己免疫疾患の引き金となる可能性が指摘されています。
- フィチン酸: 穀物の外皮部分に多く含まれるフィチン酸は、鉄、亜鉛、カルシウムなどのミネラルの吸収を妨げます。
- 血糖値への影響: 特に精製された穀物製品は糖質が高く、食後の血糖値を急激に上昇させやすい性質があります。
これはインスリン抵抗性や肥満の原因となる可能性があります。
米はパレオダイエットで食べてもいい?
厳密なパレオダイエットでは、米も穀物として避けるべきとされています。
しかし、米は小麦などに含まれるグルテンを含まず、アレルギー反応を引き起こしにくいという特徴があります。
また、白米は玄米に比べてフィチン酸などの抗栄養素が少ないという側面もあります。
そのため、ゆるやかなパレオダイエット(緩和パレオや現代パレオと呼ばれることもあります)では、活動量の多い人や体重減少が目的でない人など、個人の体質や目標によっては、白米を少量許容する場合もあります。
これは、米が比較的消化しやすく、アジア圏などでは長い食経験があること、他の穀物に比べて問題となる成分が少ないと考えられているためです。
ただし、これはあくまで例外的な考え方であり、基本的なパレオダイエットの原則からは外れます。
もし米を摂取する場合は、適量に留めることが重要です。
豆類
大豆(豆腐、納豆、味噌、醤油などの加工品を含む)、レンズ豆、インゲン豆、ひよこ豆、ピーナッツなど、ほとんどの豆類はパレオダイエットでは避けるべきとされています。
避けるべき理由としては、主に以下の点が挙げられます。
- レクチン: 豆類、特に加熱が不十分な豆には有害なレクチンが多く含まれており、消化不良、吐き気、下痢などの症状を引き起こすことがあります。
適切な調理法(長時間水に浸ける、十分に加熱するなど)でレクチンの量を減らすことは可能ですが、完全に除去するのは難しい場合が多いです。 - フィチン酸: 豆類にもフィチン酸が多く含まれており、ミネラルの吸収を阻害する可能性があります。
- サポニン: 一部の豆類に含まれるサポニンも、腸壁への影響や栄養吸収阻害の可能性が指摘されています。
- 消化の問題: 豆類に含まれるオリゴ糖は、一部の人にとって消化が難しく、お腹の張りやガスの原因となります。
ただし、厳密なパレオダイエットの枠を超えて、発酵させた大豆製品(納豆や味噌など)や、適切な下処理(長時間水に浸ける、発芽させるなど)と加熱を行った豆類を少量許容する考え方もあります。
これも個人の体質や目標に応じて検討される場合があります。
乳製品
牛乳、ヨーグルト、チーズ、バターなど、ほとんどの乳製品はパレオダイエットでは避けるべきとされています。
人類が成体になってから乳製品を消化できるようになる遺伝的変異は、農耕が始まって比較的最近になって広まったものであり、全ての人類がこれを持つわけではありません。
避けるべき理由としては、主に以下の点が挙げられます。
- ラクトース(乳糖): 成人の多くは乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)の活性が低下しており、乳糖をうまく消化できません。
これが腹痛、下痢、お腹の張りといった乳糖不耐症の症状を引き起こします。 - カゼイン・ホエイ: 乳製品に含まれるタンパク質であるカゼインやホエイは、一部の人にアレルギー反応や炎症を引き起こす可能性があります。
カゼインは腸壁に影響を与える可能性も指摘されています。 - ホルモン: 現代の乳製品には、牛の成長を促進するためのホルモンや抗生物質の残留が含まれている可能性があり、それが人体に影響を与える懸念も示唆されています(ただし、規制や基準は各国で異なります)。
ただし、バターを精製して作られる「ギー(Ghee)」は、乳糖やカゼインのほとんどが取り除かれているため、一部のパレオダイエット実践者の間で許容される場合があります。
また、牧草飼育牛由来の発酵食品(ヨーグルトやケフィア)を少量試す人もいますが、これは厳密なパレオダイエットではありません。
加工食品・砂糖
現代の加工食品や、精製された砂糖、人工甘味料は、パレオダイエットでは最も避けるべき食品群の一つです。
避けるべき理由としては、以下の点が挙げられます。
- 栄養価の低さ: 加工の過程でビタミンやミネラル、食物繊維などが失われていることが多いです。
- 高糖質・高脂質: 嗜好性を高めるために砂糖、質の悪い植物油、人工的な風味付けなどが多用されており、エネルギー過多になりやすいです。
- 添加物: 保存料、着色料、香料、乳化剤など、人工的な添加物が多く含まれており、これらの健康への長期的な影響は不明な点が多いです。
- 中毒性: 砂糖や加工食品は脳の報酬系を刺激し、依存性を引き起こしやすい性質があります。
- 炎症促進: 質の悪い植物油(オメガ6脂肪酸が過剰に含まれるもの)や大量の砂糖は、体内の炎症を促進します。
クッキー、ケーキ、スナック菓子、清涼飲料水、ファストフード、冷凍食品の多くなどがこれに該当します。
自炊を中心とし、可能な限り原材料がシンプルな食品を選ぶことが重要です。
アルコール
アルコールは、基本的にパレオダイエットでは推奨されません。
避けるべき理由としては、以下の点が挙げられます。
- 肝臓への負担: アルコールの分解は肝臓に大きな負担をかけます。
- 空のカロリー: アルコール自体に栄養価はほとんどなく、「空のカロリー」と呼ばれます。
- 血糖値への影響: アルコールは血糖値を不安定にさせることがあります。
- 判断力の低下: 食事選択や運動習慣など、健康的なライフスタイルを維持するための判断力が低下する可能性があります。
ただし、社交的な場などで、少量であれば許容されるという考え方もあります。
その場合でも、ワインやシードルなど、比較的加工度の低いものを選ぶ傾向があります。
ビールや日本酒など穀物を原料とする醸造酒は、パレオダイエットの原則に照らすと避けるべきとされます。
パレオダイエットの正しいやり方と実践
パレオダイエットを始めるにあたっては、基本的な「食べていいもの」と「避けるべきもの」を理解することが出発点です。
しかし、それを日常生活にどう落とし込むか、という実践的な側面も重要です。
1日の食事例・献立のアイデア
パレオダイエットの献立は、肉、魚、卵、豊富な野菜を中心に構成されます。
以下に1日の食事例を示します。
食事 | 献立例 | ポイント |
---|---|---|
朝食 | グラスフェッド牛肉と野菜の炒め物、または卵料理(スクランブルエッグやオムレツ)とアボカド ※フルーツ(ベリー類など少量)を追加しても良い |
タンパク質と良質な脂質で満腹感を高め、午前中のエネルギーを安定させる。 |
昼食 | 鶏むね肉のグリルまたはサケのソテー、たっぷり野菜のサラダ(オリーブオイルとレモン汁ドレッシング)、またはローストした根菜類 | 食物繊維とタンパク質をしっかり摂る。 外食なら焼き魚定食の魚と野菜を選ぶなど。 |
夕食 | ラム肉のソテーまたは白身魚の蒸し料理、葉物野菜のソテー、キノコのオーブン焼き | バラエティ豊かな食材を使う。 消化を考慮し、脂質の多い肉は昼食に回しても良い。 |
間食 | ナッツ類(ひとつかみ程度)、種子類、生の野菜スティック、ベリー類、ゆで卵 | 空腹を感じたら、加工度の低い健康的な食品を選ぶ。 |
献立のアイデア:
- スープ: 野菜や肉、魚を使った具沢山のスープは、手軽に多くの栄養を摂れるパレオフレンドリーな一品です。
- カレー/シチュー: 穀物粉や乳製品を使わず、ココナッツミルクやトマト、スパイス、野菜、肉/魚介類で作ることで、パレオ仕様にできます。
- ハンバーグ: つなぎにパン粉を使わず、卵やみじん切り野菜、ココナッツフラワーなどを使うことでパレオ対応に。
- サラダ: 葉物野菜だけでなく、ローストした野菜、肉や魚の切り身、ゆで卵、アボカド、ナッツなどを加えてボリュームアップ。
重要なのは、単一の食品に偏らず、様々な種類の肉、魚、野菜、果物を組み合わせることです。
これにより、幅広い栄養素をバランスよく摂取できます。
外食やコンビニでの注意点
パレオダイエットは自炊が基本ですが、外食やコンビニを利用せざるを得ない場合もあります。
その際の選び方には工夫が必要です。
- レストランでの外食:
- 肉や魚のグリル・ソテー: シンプルな調理法の肉や魚料理を選び、ソースに何が使われているか(砂糖や小麦粉など)を確認する。
可能な限りソースを避けるか、別添えにしてもらう。 - サラダ: ドレッシングはオリーブオイルとビネガーを選ぶか、何もかけずに提供してもらい、自分で用意したパレオフレンドリーなドレッシング(レモン汁など)を使う。
クルトンやベーコンビッツなどは避ける。 - 付け合わせ: ポテトやパスタ、パンなどは避け、代わりに野菜(ほうれん草のソテー、アスパラガスなど)に変更できないか尋ねてみる。
- 避けたいメニュー: パン、パスタ、ピザ、揚げ物、衣のついた料理、クリーム系のソースを使った料理、デザート類は避ける。
- 肉や魚のグリル・ソテー: シンプルな調理法の肉や魚料理を選び、ソースに何が使われているか(砂糖や小麦粉など)を確認する。
- コンビニでの購入:
- サラダチキンやゆで卵: 手軽なタンパク質源として利用できますが、原材料や添加物は確認する。
- サラダ: ドレッシングは自分で用意するか、シンプルなノンオイルのものを選び、少なめに使う。
- カットフルーツや一部のドライフルーツ: 手軽な果物として。
ただし、ドライフルーツは糖分が濃縮されているので少量に。
砂糖が添加されていないか確認。 - 無糖のナッツ(素焼き): 間食に。
塩や油で調理されていないものを選ぶ。 - 焼き魚: 添加物の少ないものを選ぶ。
- 避けたいもの: パン、おにぎり、パスタ、弁当、サンドイッチ、お菓子、清涼飲料水、乳製品(牛乳、ヨーグルト)、惣菜(加工品が多い)。
完全にパレオ対応の外食は難しい場合が多いですが、可能な範囲で「食べていいもの」を中心に選び、避けるべきものを最小限にする努力をすることが大切です。
ゆるく始めるパレオダイエット
厳格なパレオダイエットはハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。
その場合は、まずできる範囲から「ゆるく」始めることをお勧めします。
- ステップ1: 加工食品と砂糖を減らす
まずは、お菓子、清涼飲料水、スナック菓子、冷凍食品、インスタント食品など、最も加工度の高い食品や砂糖を多く含む食品を食生活から減らすことから始めます。
これは、パレオダイエットで得られるメリットの中でも、比較的早く実感しやすい部分です。 - ステップ2: 穀物や豆類の一部を減らす
次に、パンやパスタ、ご飯、うどんなどの主食を全てなくすのではなく、量を減らしたり、週に数回だけにするなど、少しずつ減らしていきます。
朝食のパンを卵と野菜に変えるなど、1食だけパレオにするという方法もあります。 - ステップ3: 乳製品を試す
乳製品は個人差が大きいので、いきなり全てを断つのではなく、まずは牛乳やヨーグルトを控えめにし、体に合うかどうか様子を見ながら進めることも可能です。
完全にやめるのが難しければ、乳糖の少ないチーズや、発酵させた乳製品を少量試すなど段階的に行います。 - 「チートデイ」を設定する
週に1日や月に数回など、あらかじめパレオ以外の食事を許容する「チートデイ」や「チートミール」を設定することで、精神的な負担を軽減し、継続しやすくなります。
ただし、チートデイでも暴飲暴食にならないよう注意が必要です。 - 完璧を目指さない
最初から完璧を目指す必要はありません。「8割パレオ」のように、全体の8割程度をパレオに準拠した食事にし、残りの2割は柔軟に対応するなど、自分に合ったスタイルを見つけることが大切です。
ゆるく始めることで、体調の変化を感じながら無理なく継続できます。
そして、変化を実感するにつれて、自然と避けるべき食品を減らしていけるようになることもあります。
パレオダイエットの注意点と危険性
パレオダイエットは多くの健康効果が期待できる一方で、実践にあたってはいくつかの注意点があります。
また、特定の食品群を避けることから、栄養バランスの偏りや、実践方法によっては潜在的なリスクも考えられます。
考えられるデメリットと対策
パレオダイエットを実践する上で考えられる主なデメリットとその対策は以下の通りです。
デメリット | 考えられる理由 | 対策 |
---|---|---|
特定の栄養素不足のリスク | 乳製品を避けることによるカルシウム・ビタミンD、穀物や豆類を避けることによる食物繊維・ビタミンB群・マグネシウムなどの不足の可能性。 | 骨付きの魚、葉物野菜(ケール、小松菜など)、ナッツ、種子類、サツマイモなど、パレオで許容される食品からこれらの栄養素を積極的に摂取する。 必要に応じてサプリメントも検討する。 |
食事制限によるストレスや社会的な孤立 | 外食や人との集まりで食べられるものが限られること。 | 外食先を慎重に選ぶ、事前にメニューを確認する、ゆるく始める、チートデイを設定するなど、柔軟な考え方を取り入れる。 周囲の人に食事法について理解を求める。 |
食費が高くなる傾向がある | 質の良い肉や魚、オーガニック野菜などは一般的に価格が高い。 | 旬の食材を利用する、特売品を活用する、冷凍保存する、安い部位の肉を活用する(鶏もも肉など)、豆類や穀物を避ける分の食費を他の食品に回す工夫をする。 |
実践の難しさ・手間がかかる | 自炊が中心になる、食材の選択肢が限られる、慣れるまで献立に悩む可能性がある。 | 簡単なパレオレシピをいくつか覚える、作り置きをする、パレオ関連のレシピ本やブログ、コミュニティを活用する。 |
初期に体調が悪化する可能性(ケトフルーなど) | 糖質制限により体がエネルギー源を糖から脂質に切り替える際に起こる一時的な不調(頭痛、疲労感など)。 | 水分と電解質(特にナトリウム、カリウム、マグネシウム)をしっかり補給する。 急激な糖質制限ではなく、段階的に糖質を減らしていく。 |
栄養バランスについて
パレオダイエットは、特定の食品群を完全に排除するため、意図しない栄養素不足を引き起こす可能性があります。
特に懸念されるのは以下の栄養素です。
- カルシウム: 乳製品は主要なカルシウム源の一つです。
乳製品を避ける場合、骨付きの小魚(しらす、いわしなど)、葉物野菜(ケール、小松菜、チンゲンサイなど)、種実類(ごま、アーモンドなど)から十分に摂取する必要があります。 - ビタミンD: カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、日光浴の他に、サケやサバなどの魚、卵黄などに含まれます。
乳製品からの摂取がなくなるため、これらの食品を積極的に摂るか、必要に応じてサプリメントを検討します。 - 食物繊維: 穀物や豆類は食物繊維の良い供給源です。
これらの食品を避ける場合、代わりに豊富な野菜、果物(特に皮ごと食べられるもの)、ナッツ、種子類から十分な食物繊維を摂取する必要があります。
特に根菜類や葉物野菜、ベリー類は食物繊維が豊富です。 - ビタミンB群: 穀物には強化されたビタミンB群が含まれていることがあります。
パレオダイエットでは、肉(特に内臓肉)、魚、卵、葉物野菜、ナッツなどからこれらの栄養素を摂取します。 - マグネシウム: マグネシウムは穀物や豆類にも含まれます。
パレオダイエットでは、葉物野菜、ナッツ(アーモンド、カシューナッツ)、種実類(かぼちゃの種)、魚、アボカドなどから摂取します。
パレオダイエットを実践する際は、単に「食べていいもの」と「避けるべきもの」のリストに従うだけでなく、栄養の多様性を意識し、様々な種類のパレオフレンドリーな食品を組み合わせて摂取することが重要です。
心配な場合は、栄養士などの専門家に相談することも有効です。
パレオダイエットとケトジェニックの違い
パレオダイエットとケトジェニックダイエットは、どちらも穀物や砂糖を避けることから混同されることがありますが、その基本的な考え方や重点を置く栄養素のバランスには違いがあります。
項目 | パレオダイエット | ケトジェニックダイエット |
---|---|---|
目的 | 原始時代の食生活を模倣し、人類の遺伝子に適した食事で健康を最適化する。 | 体をケトーシス状態に誘導し、主なエネルギー源を糖質からケトン体(脂質由来)に切り替える。 |
炭水化物の量 | 原始時代の食生活に準ずるため、ケトジェニックよりは多い。 野菜や果物、一部の根菜から摂取する。 |
極端に制限する(通常1日20-50g以下)。 体のエネルギー源をケトン体にするため。 |
脂質の量 | 健康的な脂質を摂取するが、ケトジェニックほど極端な高脂質ではない。 | 非常に多い(総カロリーの70-80%)。 体の主なエネルギー源として脂質とケトン体を活用するため。 |
タンパク質 | 適量~やや多めに摂取する。 | 適量に制限する(過剰摂取すると糖新生によりケトーシスが阻害される可能性がある)。 |
避ける食品 | 穀物、豆類、乳製品、加工食品、砂糖、一部の植物油など。 | 高炭水化物の食品全般(穀物、豆類、砂糖、多くの果物、デンプン質野菜など)、加工食品、質の悪い油。 |
許容する食品 | 肉、魚、卵、野菜、果物、ナッツ、種子類、健康的な油。 | 肉、魚、卵、低炭水化物の野菜(葉物など)、ナッツ、種子類、アボカド、健康的な油、高脂肪の乳製品(バター、ギー、一部のチーズ)。 |
乳製品 | 基本的に避ける。 | 高脂肪の乳製品(バター、ギー、一部のチーズなど、炭水化物・タンパク質が少ないもの)は許容される場合がある。 |
このように、ケトジェニックダイエットは特定の代謝状態(ケトーシス)を目的として炭水化物と脂質の摂取量を厳密にコントロールするのに対し、パレオダイエットは特定の食品群を避けることで、より「原始的」な食生活を再現することに重点を置いています。
パレオダイエットでは、野菜や果物からある程度の糖質を摂取するため、通常ケトーシス状態にはなりません。
どちらの食事法が適しているかは、個人の体質、健康状態、目標によって異なります。
パレオダイエットを続けるためのヒント
新しい食事法を継続するのは時に難しいものですが、いくつかの工夫でパレオダイエットを楽しみながら続けることができます。
- 美味しいレシピを見つける: パレオフレンドリーな食材を使った美味しいレシピを探したり、自分で開発したりすることで、食事の時間を楽しめます。
インターネットやSNS、レシピ本には多くのパレオレシピがあります。 - 作り置きを活用する: 週末などにまとめて調理しておけば、平日の食事準備が楽になります。
焼き野菜、ゆで卵、グリルした肉や魚などを冷蔵・冷凍しておくと便利です。 - パレオ関連のコミュニティに参加する: オンラインフォーラムやSNSグループなどで、他のパレオ実践者と交流することで、情報交換したり、モチベーションを維持したりできます。
- 柔軟性を持つ: 完璧主義にならず、時には例外を設けることも大切です。「ゆるパレオ」から始めて、徐々に慣れていくのも良い方法です。
- ポジティブな変化に注目する: 体重の変化だけでなく、肌の調子、睡眠の質、エネルギーレベル、気分の安定など、パレオダイエットを始めてから感じた良い変化に意識を向けることで、モチベーションを保てます。
- なぜパレオダイエットを始めたのかを思い出す: 健康の改善、ダイエット、特定の症状の緩和など、始めた時の目的を明確にしておくと、困難に直面したときに乗り越える力になります。
- 食以外の健康習慣も大切にする: パレオダイエットだけでなく、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理なども健康には不可欠です。
食事以外の側面もバランス良く取り組むことで、相乗効果が期待できます。 - 栄養士や専門家に相談する: 特に特定の疾患がある場合や、栄養バランスに不安がある場合は、パレオダイエットに詳しい栄養士や医師に相談することで、より安全かつ効果的に実践できます。
継続の鍵は、自分に合った無理のない方法を見つけ、楽しむことです。
まとめ|パレオダイエットを理解し実践しよう
パレオダイエットは、旧石器時代の狩猟採集民の食生活を模範とした食事法であり、現代の食生活に起因する様々な健康問題への対処法として注目されています。
その基本的な考え方は、人類の遺伝子に適応した自然に近い食品を中心に摂り、農耕以降に登場した穀物、豆類、乳製品、そして加工食品や砂糖などを避けるというものです。
パレオダイエットを実践することで、体重減少、血糖値の安定、炎症の軽減、消化器系の改善、エネルギーレベルの向上など、様々なダイエット効果や健康面でのメリットが期待できる可能性があります。
しかし、特定の食品群を排除するため、カルシウム、ビタミンD、食物繊維などの栄養素が不足しないよう注意が必要です。
また、外食や社会生活での制約、食費が高くなる傾向といったデメリットも考えられます。
これらの課題に対しては、多様なパレオフレンドリーな食材をバランスよく取り入れる、ゆるく始める、作り置きを活用する、コミュニティと交流するなど、柔軟な工夫で対処することができます。
パレオダイエットがすべての人に最適な食事法であるとは限りません。
個人の体質、健康状態、ライフスタイルによって合う合わないがあります。
興味を持たれた方は、まずはパレオダイエットの基本原則を理解し、ご自身の体調や目標に合わせて、無理のない範囲で試してみるのが良いでしょう。
始める前に医師や栄養士などの専門家に相談することもお勧めします。
パレオダイエットを通して、ご自身の健康をより深く考え、意識的な食選択を行うきっかけとしてみてください。
免責事項: この記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の個人に対する医学的アドバイスや食事指導を行うものではありません。
個人の健康状態や疾患によっては、推奨されない場合があります。
新しい食事法を開始する際は、必ず医師や栄養士などの専門家にご相談ください。