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肥満は、さまざまな生活習慣病のリスクを高めることが知られています。
中でも高血圧は、肥満との関連が非常に深い疾患の一つです。
内臓脂肪が増加すると、血圧を上げるホルモンの分泌が促進されたり、血管を硬くする物質が増えたりすることで、血圧が上昇しやすくなります。
高血圧が続くと、動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞といった重篤な病気を引き起こす可能性が高まります。
健康長寿の最大の阻害要因となる生活習慣病。その多くは不健全な生活の積み重ねによる内臓脂肪型肥満が原因で引き起こされますが、適度な運動、バランスの取れた食生活、禁煙を実践することによって予防が可能です。
適切な知識を持ち、日々の生活習慣を見直すことで、肥満を解消し、高血圧を予防または改善することは十分に可能です。
この記事では、肥満が高血圧を招くメカニズムから、今日から始められる具体的な予防策(食事、運動、生活習慣の改善)までを詳しく解説します。
健康な未来のために、一緒に生活習慣を見直していきましょう。
肥満が高血圧を招く原因とリスク
肥満と高血圧は、現代社会において非常に身近な健康問題です。
特に、お腹周りに脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満は、高血圧をはじめとするメタボリックシンドロームの主要な構成要素であり、その関連性が注目されています。
肥満のタイプは「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」に分けられますが、特に前者の方が生活習慣病を発症するリスクが高いことが分かっています。
なぜ肥満が高血圧を招くのでしょうか。
そのメカニズムと、肥満がもたらす高血圧のリスクについて詳しく見ていきましょう。
肥満と高血圧の関係性とは?
肥満、特に内臓脂肪の過剰な蓄積は、高血圧を引き起こす複数の要因に関与しています。
主なメカニズムは以下の通りです。
- インスリン抵抗性の亢進: 肥満になると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性」が生じやすくなります。インスリン抵抗性が高まると、体は血糖値を下げようとしてインスリンを過剰に分泌します。この過剰なインスリンが、腎臓に作用して体内の塩分や水分の排出を抑制し、血液量が増加することで血圧が上昇します。
- 交感神経の活性化: 内臓脂肪から分泌される生理活性物質の中には、交感神経を刺激するものがあります。交感神経が活性化すると、血管が収縮し、心臓の拍動が速くなるため、血圧が上昇します。
- レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の異常: 内臓脂肪は、血圧調節に関わるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系というシステムに影響を与えます。このシステムが異常に活性化すると、血管収縮作用を持つアンジオテンシンIIが増加したり、体内の塩分・水分貯留を促すアルドステロンが増加したりして、血圧が上昇します。
- アディポサイトカインの分泌異常: 脂肪細胞からは「アディポサイトカイン」と呼ばれる様々な生理活性物質が分泌されます。肥満状態では、健康な脂肪細胞から分泌される血管保護作用のあるアディポネクチンが減少し、血圧上昇に関わるレプチンやTNF-αなどが増加します。このアディポサイトカインのバランスの崩れが、血管機能の障害や炎症を引き起こし、血圧を上昇させます。
- 腎臓への負担: 肥満により血流量が増加すると、腎臓にかかる負担が増大します。腎臓は体内の水分や塩分バランスを調節し、血圧をコントロールする重要な臓器です。腎臓の機能が低下すると、これらの調節機能がうまくいかなくなり、血圧が上昇しやすくなります。
これらのメカニズムが複合的に作用することで、肥満は高血圧の発症リスクを大幅に高めるのです。
たとえ現時点では正常血圧であっても、肥満がある場合は将来的に高血圧に移行する可能性が高いと考えられます。
高血圧の基準と肥満のリスクをチェック
自分の血圧がどのくらいで、肥満がどの程度リスクを高めるのかを知ることは、予防を始める上で非常に重要です。
高血圧の診断基準は、診察室で測定した場合と家庭で測定した場合で異なります。
これは、診察室では緊張などにより血圧が高めに出やすいことがあるためです。
測定場所 | 収縮期血圧(上の血圧) | 拡張期血圧(下の血圧) |
---|---|---|
診察室血圧 | 140mmHg以上 | かつ/または 90mmHg以上 |
家庭血圧 | 135mmHg以上 | かつ/または 85mmHg以上 |
どちらかの値でも基準を超えている場合、高血圧と診断されます。
自分の肥満度を把握する指標として一般的に用いられるのがBMI(Body Mass Index)です。
BMIは「体格を評価する指標」であり、体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)で計算することができます。
BMI | 判定 | 高血圧との関連 |
---|---|---|
18.5未満 | 低体重 | |
18.5~25未満 | 普通体重 | |
25~30未満 | 過体重(プレ肥満) | リスク上昇 |
30以上 | 肥満(1度~4度) | リスク大幅上昇 |
特に、BMIが25を超えるあたりから高血圧のリスクは徐々に高まります。
さらに、BMIだけでなく、お腹周りのサイズ(腹囲)も重要です。
メタボリックシンドロームの診断基準では、男性85cm以上、女性90cm以上が内臓脂肪蓄積の目安とされており、腹囲が大きいほど高血圧のリスクは高まると考えられています。
自分のBMIや腹囲を把握し、もし過体重や肥満に当てはまる場合は、高血圧予防のために早めに生活習慣の改善に取り組むことが大切です。
楽しい健康でいきいきと過ごすためには、適切な体重の認識と体重管理が大切です。
健康診断の結果や、家庭での血圧測定も、自身の状態を把握する上で役立ちます。
肥満から高血圧を防ぐ具体的な予防策
肥満による高血圧を防ぐ、あるいは改善するためには、食習慣、運動習慣、その他の生活習慣を見直すことが不可欠です。
身体活動や運動、食事、喫煙、飲酒、睡眠、ストレス等の日常の生活習慣を改善することで予防できます。
ここでは、今日からでも始められる具体的な予防策を詳しく解説します。
食事による肥満・高血圧予防
食事は、体重管理と血圧管理の両方において最も重要な要素の一つです。
バランスの取れた食事を心がけることで、効果的に肥満と高血圧を予防・改善することができます。
塩分制限は血圧を下げる第一歩
高血圧の予防に欠かせないのが、塩分摂取量の制限です。
塩分(ナトリウム)を摂りすぎると、体内の水分量が増加し、血液量が増えることで血圧が上昇します。
日本人の食生活は、醤油や味噌、加工食品などにより塩分を摂りすぎる傾向にあります。
厚生労働省の推奨する1日の塩分摂取目標量は、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満ですが、高血圧の方はさらに厳しい1日6g未満が目標とされています。
自治体の情報でも味付けの濃いおかずを避けることが生活習慣改善のポイントとして挙げられています。
これは小さじ1杯程度の量に相当し、意識しないと簡単に超えてしまいます。
塩分を制限するための具体的な工夫としては、以下のようなものがあります。
- 加工食品を減らす: ハム、ソーセージ、漬物、練り物、インスタント食品、カップ麺などには多くの塩分が含まれています。これらを控え、できるだけ手作りしたものを食べましょう。
- 外食・市販惣菜に注意: 外食や市販のお惣菜は味が濃く、塩分が多い傾向があります。栄養成分表示を確認する習慣をつけたり、麺類の汁は残すなどの工夫をしたりしましょう。
- 調味料を工夫する: 醤油や味噌、ソースなどの使用量を減らしましょう。代わりに、だしや酢、レモン、香辛料(コショウ、唐辛子、カレー粉など)、香味野菜(生姜、大葉、みょうが、ネギなど)を活用すると、薄味でも美味しく食べられます。減塩タイプの調味料を利用するのも良い方法です。
- 食卓での追い塩・追い醤油をやめる: 食事中に醤油やソースをさらにかける習慣はやめましょう。
- 新鮮な食材を選ぶ: 新鮮な食材は素材本来の味があるため、少ない調味料で美味しく食べられます。
塩分制限は最初こそ物足りなく感じるかもしれませんが、味覚は次第に薄味に慣れていきます。
継続することが大切です。
肥満・高血圧予防のためのバランス食事
単に塩分を減らすだけでなく、食事全体のバランスを整えることも肥満と高血圧の予防には重要です。
推奨される食事パターンとして、「DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)」が知られています。
これは、高血圧予防のために考案された食事療法で、体重減少にも効果が期待できます。
DASH食のポイントは以下の通りです。
- 野菜、果物をたくさん摂る: カリウム、マグネシウム、食物繊維が豊富で、血圧を下げる効果が期待できます。
- 低脂肪または無脂肪の乳製品を摂る: カルシウムが豊富で、血圧を安定させる効果が期待できます。
- 全粒穀物を選ぶ: 白米や白いパンの代わりに、玄米、麦飯、全粒粉パン、オートミールなどを選びましょう。食物繊維が豊富で、血糖値の急激な上昇を抑え、満腹感を持続させる効果があります。
- lean protein 源を選ぶ: 魚、鶏むね肉(皮なし)、豆類、ナッツなどを積極的に摂りましょう。赤身肉や加工肉は控えめにします。
- 良質な脂質を摂る: オリーブオイルや魚油(DHA, EPA)など、不飽和脂肪酸を多く含む食品を選びましょう。バターやラードなどの飽和脂肪酸や、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は控えます。
- 砂糖の多い食品や飲料を控える: 清涼飲料水、加糖ヨーグルト、菓子類、デザートなどの過剰摂取は、体重増加を招き、高血圧のリスクを高めます。
このようなバランスの取れた食事を心がけることで、必要な栄養素をしっかり摂りながら、カロリーや塩分、飽和脂肪酸などの過剰摂取を防ぎ、体重と血圧を健康的な範囲に保つことができます。
避けるべき食品と積極的に摂りたい食品
肥満と高血圧予防のために、具体的にどのような食品を避け、どのような食品を積極的に摂るべきかをまとめました。
避けるべき食品 | 積極的に摂りたい食品 |
---|---|
高塩分食品: 漬物、梅干し、干物、塩辛、加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコン)、インスタント食品、カップ麺、スナック菓子、練り物、味噌汁やスープの飲み干し | 新鮮な野菜: 葉物野菜、根菜、きのこ、海藻類(カリウム、マグネシウム、食物繊維) |
飽和脂肪酸・トランス脂肪酸の多い食品: バター、ラード、肉の脂身、鶏皮、加工食品、揚げ物、ファストフード、菓子パン、ケーキ、マーガリン、ショートニング | 新鮮な果物: バナナ、リンゴ、みかん、ベリー類(カリウム、食物繊維) |
砂糖の多い食品・飲料: 清涼飲料水、加糖ヨーグルト、菓子類、チョコレート、アイスクリーム、ジュース(果汁100%でも摂りすぎ注意) | 魚: 青魚(サバ、イワシ、アジなど)(DHA, EPA) |
アルコール: 過剰な飲酒(詳細は後述) | 大豆・大豆製品: 豆腐、納豆、枝豆(植物性タンパク質、食物繊維) |
乳製品: 低脂肪または無脂肪の牛乳、ヨーグルト、チーズ(カルシウム) | |
全粒穀物: 玄米、麦飯、全粒粉パン、オートミール、そば(食物繊維) | |
ナッツ・種実類: アーモンド、クルミ、ごま(不飽和脂肪酸、ミネラル、食物繊維) | |
きのこ類、海藻類: (食物繊維、ミネラル) | |
植物油: オリーブオイル、菜種油(不飽和脂肪酸) |
これらの食品リストを参考に、日々の買い物や献立作りを工夫してみましょう。
運動による肥満・高血圧予防
運動は、体重を減らすだけでなく、血管をしなやかにし、高血圧を予防する効果も期待できる、肥満と高血圧予防の両方に有効な手段です。
高血圧改善に効果的な運動の種類
高血圧の改善や予防に特に効果的とされるのは、有酸素運動です。
有酸素運動とは、比較的弱い負荷を体にかけながら、酸素を使って脂肪や糖質をエネルギー源として燃焼させる運動のことです。
- ウォーキング: 最も手軽に始められる有酸素運動です。少し息がはずむ程度の速さで、姿勢良く歩くのがポイントです。
- ジョギング/ランニング: ウォーキングよりも強度が高く、より脂肪燃焼効果が期待できます。無理のない範囲で始めましょう。
- 水泳: 関節への負担が少なく、全身運動になります。水中での抵抗により、陸上よりも運動強度が高まります。
- サイクリング: 屋外やフィットネスバイクで行えます。膝への負担が比較的少ない運動です。
- アクアビクス: 水中で行うエアロビクスです。音楽に合わせて楽しく運動できます。
これらの有酸素運動は、継続することで血管が柔らかくなり、血行が促進され、血圧を下げる効果が期待できます。
有酸素運動に加えて、筋力トレーニング(レジスタンス運動)も血圧管理に有効であることが分かっています。
筋肉量が増えると基礎代謝が向上し、体重管理がしやすくなります。
また、適切に行われた筋力トレーニングは、血管の内皮機能を改善し、血圧を下げる効果も報告されています。
ただし、高血圧の方が筋力トレーニングを行う場合は、息を止めながら行う高負荷のトレーニングは一時的に血圧を急上昇させるリスクがあるため注意が必要です。
軽めの負荷で、呼吸を止めずに行うようにしましょう。
不安な場合は医師に相談してから始めることをお勧めします。
運動の頻度と時間:続けることが大切
高血圧予防・改善のための運動は、一度にたくさん行うよりも、継続することが最も重要です。
推奨される運動の目安は以下の通りです。
- 頻度: 週に3~5回
- 時間: 1回あたり30分以上
- 強度: ややきついと感じる程度(軽く息がはずむ、汗ばむ程度)
ウォーキングのような有酸素運動は、週に合計150分以上を目安に行うのが理想的です。
自治体の情報などでは、成人で1日60分(約8000歩以上)の歩行が推奨されています。
忙しくてまとまった時間が取れない場合は、10分程度の短い運動を1日に数回行うことでも効果が期待できます(例: 1日3回、10分ずつのウォーキング)。
運動を継続するためのコツとしては、
- 楽しみを見つける: 好きな音楽を聴きながら、景色を楽しみながらなど、楽しめる要素を取り入れる。
- 仲間と一緒に: 家族や友人一緒に運動する約束をする。
- 目標を設定する: 体重や血圧の目標を設定し、達成状況を記録する。
- 記録をつける: 運動した日や時間、内容などを記録すると、モチベーション維持に役立ちます。
- 生活の中に組み込む: 通勤時に一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使うなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やす。
- 駐車場で車を止める時、出入り口に近い場所にいつも止めるのをやめるなど、意識的に歩く距離を増やす。
無理のない範囲で始め、少しずつ強度や時間を増やしていくのが継続の秘訣です。
体重減少が血圧に与える影響
肥満のある方が体重を減らすことは、高血圧予防・改善において非常に大きな効果をもたらします。
たとえば、BMIが25以上の方は、まず現在の体重から3%の減量にチャレンジすることが推奨されており、5~10%減量するだけでも血圧を有意に低下させることが研究で明らかになっています。
例えば、体重が80kgの人であれば、4kg~8kg減量するだけで血圧改善効果が期待できます。
これは、脂肪細胞から分泌される血圧上昇に関わる物質が減少し、血管機能が改善されるためと考えられています。
体重を減らすことは、高血圧だけでなく、脂質異常症や糖尿病、睡眠時無呼吸症候群など、肥満に関連する他の疾患のリスクも同時に低減させます。
運動と食事改善を組み合わせることで、より効果的に体重を管理し、健康な体を目指しましょう。
生活習慣の改善で肥満・高血圧を予防
食事と運動に加えて、喫煙、飲酒、睡眠、ストレス等の日々の生活習慣全体を見直すことも、肥満と高血圧の予防には不可欠です。
喫煙・飲酒が高血圧に及ぼす影響
- 喫煙: タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させ、一時的に血圧を上昇させます。
また、喫煙は血管の内壁を傷つけ、動脈硬化を促進する最大の要因の一つです。
動脈硬化が進行すると、血管が硬くなり、さらに血圧が上昇しやすくなります。
喫煙は肥満の有無に関わらず高血圧の強力なリスクファクターであり、禁煙は高血圧予防・改善のために真っ先に取り組むべき生活習慣の改善です。 - 飲酒: アルコールは一時的に血管を拡張させて血圧を下げることもありますが、継続的な飲酒は血圧を上昇させることが分かっています。
特に、多量飲酒は高血圧の発症リスクを大幅に高めます。
また、アルコールはカロリーが高いため、飲みすぎは体重増加にもつながります。
高血圧の方や予防したい方は、飲酒量を控えるか、休肝日を設けることが推奨されます。
一般的に、適量とされるのは、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2杯程度までとされていますが、体質や疾患の状況によってはさらに少量にするか、禁酒が必要です。
禁煙と節酒は、高血圧だけでなく、がんや心疾患など、様々な病気のリスクを低減させるために非常に重要です。
ストレス管理と質の高い睡眠の重要性
- ストレス: 精神的なストレスは、交感神経を活性化させ、血圧を一時的に上昇させます。
慢性的なストレスは、ホルモンバランスを崩し、高血圧が持続する原因となる可能性があります。
ストレス発散方法が食事やアルコール摂取になっている場合は特に注意が必要です。
自分に合ったストレス解消法を見つけ、日々の生活の中に休息やリラックスできる時間を取り入れることが大切です。
趣味に没頭する、軽い運動をする、友人とおしゃべりする、深呼吸や瞑想を取り入れるなど、様々な方法があります。 - 睡眠: 睡眠不足や質の悪い睡眠は、自律神経のバランスを乱し、血圧を上昇させる可能性があります。
特に、睡眠時無呼吸症候群は肥満のある方に多く見られ、高血圧の重要な原因となります。
寝る前2時間以内に食事をすることがあるなどの習慣も睡眠の質に影響を与える可能性があります。
毎日決まった時間に寝起きする、寝る前にカフェインやアルコールを控える、寝室環境を快適にする(温度、湿度、光、音)、寝る前にスマートフォンやパソコンの使用を控えるなど、質の高い睡眠を確保するための工夫を行いましょう。
一般的に、成人は7~8時間の睡眠が必要とされていますが、必要な睡眠時間には個人差があります。
日中に眠気を感じない程度の睡眠時間を確保できるのが理想です。
これらの生活習慣の改善は、すぐに効果が見えなくても、長期的に続けることで心身の健康を保ち、高血圧のリスクを低減することにつながります。
肥満と高血圧予防で健康な未来へ
肥満と高血圧の予防は、一朝一夕に達成できるものではありません。
しかし、今日からできる小さな一歩を積み重ね、それを継続することで、健康な未来を手に入れることができます。
予防策を継続する重要性
「食事に気をつけ始めたのに続かない」「運動を始めたけれどすぐにやめてしまった」という経験がある方もいるかもしれません。
予防策を継続することは、時に難しいと感じることもあるでしょう。
しかし、高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行し、気づかないうちに血管を傷つけている「サイレントキラー」と呼ばれています。
一度診断された高血圧を完全に治すことは難しい場合が多いですが、適切な管理を続けることで、病気の進行を遅らせ、合併症を防ぐことができます。
肥満と高血圧の予防・改善は、単に病気を避けるだけでなく、生活の質(QOL)を高めることにもつながります。
適正体重を維持し、血圧を安定させることで、疲れにくくなり、体を動かすのが楽になり、活動的な毎日を送れるようになります。
継続のためには、完璧を目指しすぎず、無理のない範囲で少しずつ習慣を変えていくことが大切です。
時にはうまくいかない日があっても自分を責めず、翌日からまた再開すれば良いのです。
家族や友人の協力を得たり、かかりつけ医や管理栄養士などの専門家に相談したりすることも、継続をサポートしてくれるでしょう。
定期的な健康診断と自己測定のすすめ
自分の体の状態を客観的に把握することは、予防策を続ける上で非常に重要です。
- 定期的な健康診断: 年に一度は健康診断を受けましょう。
血圧だけでなく、体重、BMI、腹囲、血糖値、脂質の値なども確認できます。
これらの数値の変化を把握することで、自身の健康状態を継続的にモニタリングできます。
体重を測る習慣がない方も、まずは体重測定を習慣にすることから始めてみましょう。 - 家庭での血圧測定: 毎日または決まった間隔で家庭で血圧を測定し、記録をつけることをお勧めします。
診察室での血圧よりも、普段の血圧の状態をより正確に反映するため、診断や治療方針の決定に役立ちます。
朝起きてすぐ、夜寝る前など、時間を決めて測定しましょう。
測定した血圧の数値や、その日の食事、運動、体調などを記録しておくと、どのような時に血圧が変動しやすいかを知る手がかりになります。
家庭での血圧測定は、自分の努力が数値として現れるため、予防策を継続するモチベーションにもつながります。
もし測定値に異常が続いたり、体調に変化を感じたりした場合は、早めにかかりつけ医に相談しましょう。
まとめ|肥満と高血圧は予防できる
肥満は高血圧の大きなリスク要因ですが、適切な食事、運動、生活習慣の改善によって、そのリスクを大幅に低減し、高血圧を予防または改善することが可能です。
- 肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、様々なメカニズムで血圧を上昇させます。
- 自分のBMIや腹囲、血圧の基準を知り、現状を把握することが第一歩です。
- 食事では、塩分摂取量の制限を徹底し、野菜、果物、全粒穀物、低脂肪乳製品などを積極的に摂るバランスの取れた食事(DASH食など)を心がけましょう。
- 運動は、ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、筋力トレーニングも組み合わせ、週に150分以上を目安に継続することが大切です。
成人で1日60分(約8000歩以上)の歩行などが推奨されています。
5~10%の体重減少でも血圧改善効果が期待できます。 - 喫煙は血管を傷つけ血圧を上げるため、禁煙は必須です。飲酒は控えめにしましょう。
- ストレスを管理し、質の高い睡眠を確保することも血圧管理に重要です。
- 生活習慣全体を見直すことが予防の鍵となります。無理なく続けられる方法を見つけ、日々の生活に組み込みましょう。
- 定期的な健康診断や家庭での血圧測定で、自身の状態をチェックし、必要に応じて専門家と相談しましょう。
肥満と高血圧は、生活習慣病の代表格であり、将来の健康に大きく影響します。
今日からできることを一つでも多く実践し、健康な体で豊かな毎日を送りましょう。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な助言や診断に代わるものではありません。
ご自身の健康状態については、必ず医師や専門家にご相談ください。