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「ダイエットが続かない」「食べ過ぎてしまう」そんな悩みを持つ方にとって、GLP-1受容体作動薬を利用したメディカルダイエットは新しい選択肢の一つです。
中でも「サクセンダ」は、本当に痩せるのか、いつから効果が出るのか、気になる点が多いのではないでしょうか。
サクセンダは、食欲を自然に抑えることで体重減少をサポートする肥満治療薬です。
この記事では、サクセンダで痩せる仕組みや具体的な効果、正しい使い方、そして「痩せない」と感じたときの原因と対策まで、医師の視点から詳しく解説します。
サクセンダを使ったダイエットを検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
サクセンダとは?肥満治療薬としてのメカニズム
サクセンダは、デンマークのノボノルディスク社が開発したGLP-1受容体作動薬です。「リラグルチド」を有効成分とし、肥満治療薬としてアメリカのFDA(食品医薬品局)やヨーロッパのEMA(欧州医薬品庁)などで承認されています。
日本では、同じ成分の薬剤が2型糖尿病治療薬として承認されていますが、肥満治療目的での使用は自由診療となります。
GLP-1受容体作動薬の作用
サクセンダの主成分であるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、もともと私たちの体内に存在するホルモンです。食事をすると小腸から分泌され、血糖値をコントロールする働きを持っています。
サクセンダは、このGLP-1と似た構造を持ち、体内のGLP-1受容体に作用することで、食欲や体重に影響を与えます。
なぜサクセンダで痩せるのか
では、なぜサクセンダを使うと痩せるのでしょうか。その主な理由は、以下の3つの作用にあります。
食欲抑制効果
サクセンダは、脳の視床下部にある食欲中枢に働きかけ、満腹感を持続させ、空腹感を抑えます。これにより、自然と食事量が減り、間食をしたいという欲求も少なくなります。無理な食事制限によるストレスなく、摂取カロリーをコントロールしやすくなるのが大きな特徴です。
胃排出遅延作用
胃の内容物が小腸へ送られるスピードを緩やかにする作用があります。食べ物が胃に長く留まることで、満腹感が続きやすくなります。結果として、一度に食べる量が減り、次の食事までの時間も長くなる傾向があります。
体重減少への影響
これらの「食欲抑制」と「胃排出遅延」の相乗効果により、総摂取カロリーが自然に減少します。摂取カロリーが消費カロリーを下回る状態が続くことで、体に蓄積された脂肪がエネルギーとして使われ、結果的に体重減少につながるのです。
サクセンダでどれくらい痩せる?期待できる効果と体重
サクセンダの使用を検討する上で、最も気になるのが「具体的にどれくらい痩せるのか」という点でしょう。
平均的な体重減少
海外で行われた臨床試験では、サクセンダを56週間使用したグループで、平均して約8%の体重減少が報告されています。例えば、体重80kgの人であれば、約6.4kgの減量に相当します。
もちろん、これはあくまで平均値であり、効果には個人差があります。
臨床試験データから見る効果
サクセンダのBMI30以上の肥満者を対象とした臨床試験では、プラセボ(偽薬)群と比較して、以下のような結果が示されています。
- 5%以上の体重減少を達成した人の割合: サクセンダ群 63.2% vs プラセボ群 27.1%
- 10%以上の体重減少を達成した人の割合: サクセンダ群 33.1% vs プラセボ群 10.6%
このように、多くの方が5%以上の体重減少を達成しており、サクセンダの有効性がデータで裏付けられています。
個人差について
サクセンダで痩せる効果には個人差が伴います。もともとの体重や体質、年齢、性別のほか、治療と並行して行う食事管理や運動習慣の有無によって、体重の減り方は大きく変わってきます。医師の指導のもと、生活習慣の改善を併せて行うことが、効果を最大限に引き出す鍵となります。
サクセンダはいつから痩せる?効果が出る期間
「サクセンダを始めたら、いつから痩せ始めるの?」という疑問も多く寄せられます。効果を実感できるまでの期間について見ていきましょう。
効果が出始める時期
多くの場合、サクセンダの投与を開始して数日〜1週間程度で、食欲の変化や満腹感の持続といった効果を感じ始めます。ただし、これは体重減少に直結するわけではなく、あくまで「痩せやすい状態」への第一歩です。
1ヶ月での効果について
開始から1ヶ月経つ頃には、食欲抑制効果に体が慣れ、食事量のコントロールがしやすくなります。この段階で、体重に変化が現れ始める方が多いです。個人差はありますが、1ヶ月で体重の1〜3%程度の減少が一つの目安となるでしょう。
3ヶ月以降の経過
治療を継続し、3ヶ月が経過する頃には、多くの方が体重減少をはっきりと実感できるようになります。この時期までに効果が見られない場合は、用法・用量や生活習慣の見直しが必要かもしれません。医師と相談しながら治療方針を調整していくことが重要です。
目標体重までの目安期間
目標とする体重や減量幅によって、治療期間は異なります。一般的には、3ヶ月〜1年程度の期間をかけて、緩やかに体重を落としていくのが理想的です。焦らず、着実に継続することが成功への近道です。
サクセンダの正しい使い方と投与量
サクセンダの効果を最大限に引き出し、安全に使用するためには、正しい使い方を守ることが不可欠です。
自己注射の方法
サクセンダは、1日1回、皮下脂肪の多い場所(腹部、太もも、上腕など)に自分で注射します。注射針は極細で、痛みはほとんど感じない方が多いです。
クリニックで初回に丁寧な指導がありますので、初めての方でも安心して始めることができます。
- サクセンダペンに新しい注射針を取り付ける。
- ダイヤルを回して、医師に指示された投与量を設定する。
- 注射部位を消毒し、皮膚をつまんで針を刺す。
- ペンの注入ボタンを押し、設定した量の薬剤を注入する。
- 注入後、数秒待ってから針を抜き、針は毎回交換して安全に廃棄する。
段階的な投与量増加
サクセンダは、吐き気などの消化器系の副作用を軽減するため、低用量から開始し、段階的に増量していきます。
- 開始用量: 0.6mg/日
- 増量: 1週間以上の間隔をあけて、0.6mgずつ増量
- 維持用量: 1.2mg〜3.0mg/日(効果や副作用を見ながら医師が調整)
自己判断で急に増量すると、強い副作用が現れる可能性があるため、必ず医師の指示に従ってください。
投与タイミング・時間
サクセンダは1日1回、毎日なるべく同じ時間帯に注射することが推奨されています。食事の前後に関わらず投与できますので、ご自身のライフスタイルに合わせて、朝食前や就寝前など、忘れにくい時間を決めると良いでしょう。
サクセンダで痩せないケース・原因と対策
「サクセンダを使っているのに、なかなか痩せない」と感じる方もいます。その場合、いくつかの原因が考えられます。
効果が出にくい人の特徴
もともと食が細い方や、摂取カロリーがそれほど多くない方は、サクセンダの食欲抑制による効果を感じにくい場合があります。また、代謝が低下している場合も、体重が減りにくい傾向があります。
痩せない場合に考えられる原因
用法・用量を守っていない
注射を打ち忘れる日が多い、自己判断で投与量を減らしているなど、用法・用量が正しく守られていないと、十分な効果が得られません。
食事・運動習慣の不足
サクセンダは食欲を抑えるサポートをする薬ですが、薬だけに頼って高カロリーな食事を続けていたり、全く運動をしていなかったりすると、消費カロリーが増えず、痩せることは難しくなります。
体質や他の疾患の影響
むくみやすい体質の方や、甲状腺機能低下症など、代謝に関わる他の病気が隠れている場合、体重が減りにくいことがあります。また、他の服用薬が影響している可能性も考えられます。
「痩せない」と感じた時の対処法
まずは、用法・用量を正しく守れているか、食生活が乱れていないかを見直しましょう。その上で、効果が実感できない場合は、一人で悩まずに処方を受けた医師に相談してください。投与量の調整や、生活習慣改善への具体的なアドバイス、他の原因がないかの確認など、適切な対処法を一緒に考えてくれます。
他のGLP-1製剤(オゼンピック・リベルサス・マンジャロ)との比較
GLP-1受容体作動薬には、サクセンダ以外にもいくつか種類があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
製剤名 | 有効成分 | 投与方法 | 投与頻度 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
サクセンダ | リラグルチド | 自己注射 | 1日1回 | 漸増法で副作用を調整しやすい。肥満治療薬として海外承認。 |
オゼンピック | セマグルチド | 自己注射 | 週1回 | 週1回の投与で利便性が高い。体重減少効果が比較的高いとされる。 |
リベルサス | セマグルチド | 経口薬(錠剤) | 1日1回 | 唯一の経口薬。注射が苦手な人向け。起床後の空腹時に服用。 |
マンジャロ | チルゼパチド | 自己注射 | 週1回 | GLP-1とGIPの2つの受容体に作用。体重減少効果が最も高いとされる。 |
サクセンダとオゼンピックの違い
どちらも注射薬ですが、サクセンダは毎日、オゼンピックは週1回の投与です。利便性ではオゼンピックが優れますが、サクセンダは毎日投与するため、微細な用量調整がしやすいというメリットがあります。
サクセンダとリベルサスの違い
最大の違いは投与方法です。サクセンダが注射薬であるのに対し、リベルサスは経口薬です。注射に抵抗がある方にはリベルサスが向いていますが、服用方法に「起床後空腹時にコップ半分の水で服用し、その後30分は飲食・他の薬剤の服用禁止」という厳しい制約があります。
サクセンダとマンジャロの違い
マンジャロはGLP-1に加え、GIPという別のホルモン受容体にも作用する新しいタイプの薬剤で、より高い体重減少効果が期待されています。ただし、新しい薬である分、長期的なデータはサクセンダの方が多いと言えます。
どの製剤を選ぶべきか
どの薬剤が最適かは、その人のライフスタイル、健康状態、減量目標、注射への抵抗感などによって異なります。自己判断で選ぶのではなく、必ず専門の医師と相談し、自分に合った薬剤を処方してもらうことが重要です。
サクセンダの副作用と危険性
医薬品である以上、サクセンダにも副作用のリスクは伴います。安全な治療のために、正しく理解しておきましょう。
主な副作用
最も多く見られるのは、吐き気、便秘、下痢、嘔吐、胃のむかつきといった消化器系の症状です。これらは治療開始時や増量時に現れやすいですが、体が慣れるにつれて軽減していくことがほとんどです。
重篤な副作用のリスク
頻度は非常に稀ですが、以下のような重篤な副作用が報告されています。
- 急性膵炎: 激しい腹痛、背中の痛み、嘔吐などが続く場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 腸閉塞: 激しい腹痛、お腹の張り、便秘、嘔吐などが現れた場合は、直ちに使用を中止し、医師の診察を受けてください。
- 低血糖: 脱力感、冷や汗、動悸、めまいなどの症状。特に他の糖尿病治療薬と併用する場合に注意が必要です。
- 甲状腺髄様癌: 動物実験で甲状腺C細胞腫瘍の発生が報告されています。甲状腺腫瘍の既往歴や家族歴がある方は使用できません。
使用できない人・注意が必要な人
以下に該当する方は、サクセンダを使用できません。
- 妊娠中、授乳中、または妊娠を希望している方
- 甲状腺髄様癌の既往歴または家族歴のある方
- 膵炎の既往歴のある方
- 重度の腎機能障害、肝機能障害のある方
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方
安全な治療のための注意点
副作用のリスクを最小限に抑えるためには、医師の指示通りの用法・用量を守ること、そして少しでも体調に異変を感じたら速やかに医師に相談することが何よりも大切です。
サクセンダ治療をやめたらどうなる?
目標体重を達成し、サクセンダの治療を中止した後についても考えておく必要があります。
リバウンドのリスク
サクセンダの投与をやめると、薬による食欲抑制効果はなくなります。そのため、治療中と同じような感覚で食事をしていると、摂取カロリーが増えてリバウンドしてしまうリスクがあります。
治療中止後の体重維持の重要性
サクセンダは、あくまで食生活や運動習慣を改善するための「サポートツール」です。治療期間中に、健康的でバランスの取れた食事や適度な運動を習慣化することが、治療終了後の体重維持、ひいてはダイエットの本当の成功につながります。
サクセンダでダイエットを成功させるためのポイント
サクセンダの効果を最大限に引き出し、健康的に痩せるためには、薬だけに頼らない姿勢が重要です。
食事療法と併用する
高タンパク・低脂質・低糖質な食事を心がけ、野菜や海藻類から食物繊維をしっかり摂りましょう。栄養バランスの取れた食事は、体重減少だけでなく、健康維持の基本です。
適度な運動を取り入れる
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は脂肪燃焼に効果的です。また、筋力トレーニングで筋肉量を増やすと基礎代謝が上がり、痩せやすく太りにくい体になります。無理のない範囲で、継続できる運動を見つけましょう。
医師の指導をしっかり守る
定期的に通院し、医師の診察を受けることが安全で効果的なダイエットの鍵です。体重や体調の変化を報告し、適切なアドバイスを受けながら治療を進めましょう。
サクセンダに関するよくある質問
サクセンダで何キロ痩せられますか?
個人差が大きいですが、海外の臨床試験では平均して約8%の体重減少が報告されています。もともとの体重や生活習慣の改善度合いによって結果は変わります。
サクセンダはいつから効果が出ますか?
食欲の変化は数日〜1週間で感じ始める方が多いです。体重の変化は、生活習慣の改善と合わせて、1ヶ月頃から徐々に現れ始めます。
GLP-1ダイエットは1ヶ月でどれくらい痩せますか?
個人差はありますが、1ヶ月で体重の1〜3%程度の減少が一つの目安です。大切なのは、短期間での大幅な減量ではなく、継続的に健康的なペースで体重を落としていくことです。
サクセンダの治療期間はどのくらいですか?
目標体重や効果の現れ方によって異なりますが、一般的には3ヶ月〜1年程度継続することが推奨されます。
サクセンダは保険適用されますか?
日本では、肥満治療目的でのサクセンダの使用は承認されていないため、保険適用外の自由診療となります。
サクセンダの費用はどのくらいですか?
自由診療のため、費用はクリニックによって異なります。1本あたり(約1ヶ月分)の相場はクリニックや為替によって変動しますが、診察料やその他の費用も含めて、事前に確認することが重要です。
サクセンダによるダイエットまとめ
サクセンダは、科学的根拠に基づいた有効な肥満治療の選択肢です。GLP-1の働きにより自然に食欲を抑え、無理なく摂取カロリーをコントロールすることで、痩せる効果が期待できます。
しかし、その効果を最大限に引き出し、リバウンドを防ぐためには、薬だけに頼るのではなく、食事や運動といった生活習慣の改善を並行して行うことが不可欠です。また、安全な治療のためには、副作用のリスクを理解し、必ず医師の指導のもとで正しく使用しなければなりません。
サクセンダを使ったメディカルダイエットに興味がある方は、まずは専門のクリニックでカウンセリングを受け、ご自身の体質や目標に合った治療法かどうかを相談することから始めてみましょう。
免責事項:
本記事は、サクセンダに関する情報提供を目的としており、特定の治療を推奨するものではありません。治療の開始にあたっては、必ず専門の医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。本記事の情報に基づいた個人の行動によるいかなる結果についても、責任を負いかねますのでご了承ください。