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ウゴービを使っているのに期待通りに痩せないと感じている方は少なくありません。ウゴービは肥満症治療薬として効果が認められていますが、その効果は個人差が大きく、また正しい使い方や生活習慣の改善が伴わないと十分な結果が得られないこともあります。この記事では、ウゴービで痩せない原因を探り、効果を最大限に引き出すための具体的な対策、治療の注意点、そして専門医と連携する重要性について詳しく解説します。
ウゴービのダイエット効果と期待できる期間
ウゴービ(セマグルチド)は、GLP-1受容体作動薬と呼ばれる種類の注射薬です。2024年3月に日本で肥満症治療薬として承認され、大きな注目を集めています。しかし、「打てば痩せる」という魔法の薬ではなく、適切な使用と生活習慣の改善が必須となります。
ウゴービで痩せる仕組みとは
ウゴービの有効成分であるセマグルチドは、体内で分泌されるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)というホルモンと似た働きをします。GLP-1は食後に小腸から分泌され、以下のような作用で血糖値を調整したり、食欲を抑制したりします。
- 満腹感の促進と食欲抑制: 脳の満腹中枢に作用し、食欲を抑え、食べる量を減らす効果があります。
- 胃内容物の排出遅延: 胃から腸への食物の移動をゆっくりにすることで、満腹感が持続しやすくなります。
- インスリン分泌促進(血糖値が高い場合): 血糖値が高いときに膵臓からのインスリン分泌を促し、血糖値を下げるのを助けます。
- グルカゴン分泌抑制(血糖値が高い場合): 血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑えます。
これらの作用のうち、肥満症治療において体重減少に特に寄与するのは、満腹感の促進、食欲抑制、胃内容物排出遅延による効果と考えられています。結果として、総摂取カロリーを自然に減らすことにつながり、体重減少を促します。
ウゴービで期待できる平均体重減少率
ウゴービの体重減少効果は、大規模な国際共同臨床試験(STEP試験)によって確認されています。これらの試験では、生活習慣の改善指導と併用した場合、プラセボ(偽薬)と比較して有意な体重減少が認められています。
例えば、STEP 1試験では、非糖尿病の肥満または過体重(BMI 27以上で少なくとも一つの体重関連の併存疾患がある場合)の成人患者を対象に、ウゴービ(週1回皮下注射、最高用量2.4mg)またはプラセボを68週間投与した結果が報告されています。
ウゴービ投与群 | プラセボ投与群 | |
---|---|---|
体重減少率 | 平均でベースラインから約15~17%の体重減少 | 平均で約2~3%の体重減少 |
このデータからわかるように、ウゴービは体重を減らす上で非常に高い効果が期待できる薬剤です。しかし、これはあくまで「平均」の数値であり、すべての人が同じように痩せるわけではないことに留意が必要です。
効果を実感できるのはいつから?必要な期間
ウゴービの治療は、副作用(特に消化器症状)を軽減するため、少量から開始し、段階的に用量を増やしていきます。通常、週1回0.25mgから開始し、4週間ごとに0.5mg、1.0mg、1.7mg、そして維持量である2.4mgへと増量していきます。維持量に達するまでに約16週間(約4ヶ月)かかります。
効果が出始めるまでの期間には個人差がありますが、一般的には用量が増えるにつれて食欲抑制効果などが現れやすくなります。多くの臨床試験では、数ヶ月の投与期間を経て有意な体重減少が確認されています。明確な効果を実感するには、最低でも数ヶ月、維持量に達してからの期間を含めると半年から1年程度の継続が必要となることが多いです。
「ウゴービを使い始めたばかりなのに痩せない」と感じる場合、まだ用量が十分に増えていなかったり、体が薬に慣れていなかったりする可能性があります。焦らず、医師の指示に従って段階的に用量を増やしていくことが重要です。
ウゴービで何キロ痩せる?個人差について
前述の通り、臨床試験の平均では15%以上の体重減少が報告されています。しかし、実際に「何キロ痩せるか」は、治療開始時の体重、年齢、性別、体質、併存疾患、そして最も重要な生活習慣の改善の度合いによって大きく異なります。
- 開始時の体重: 体重が重い人ほど、キロ数としての減少幅は大きくなる傾向があります。
- 体質・遺伝: GLP-1製剤に対する体の反応性は個人差があります。
- 生活習慣: ウゴービはあくまで食欲をサポートする薬です。どれだけ食事内容を見直し、運動を取り入れるかが、最終的な減量幅に大きく影響します。
- 併存疾患: 糖尿病や甲状腺疾患など、他の健康問題が体重に影響している場合があります。
例えば、開始時体重が80kgの人であれば、15%の減少で12kgの減量となります。しかし、同じ80kgの人でも、生活習慣の改善をしっかり行えば20kg以上痩せる可能性もありますし、生活習慣があまり変わらなければ数キロ程度の減少にとどまる可能性もあります。
「ウゴービで〇〇キロ痩せる」と断定することはできません。目標体重や期間については、医師と相談し、ご自身の体質やライフスタイルに合わせた現実的な計画を立てることが大切です。
ウゴービを使っても痩せない主な原因
ウゴービを正しく使っているつもりでも、なかなか体重が減らない、あるいは全く減らないという場合、いくつかの原因が考えられます。薬の効果だけに頼りすぎず、自身の治療状況や生活習慣を振り返ってみましょう。
用法・用量が適切でない
ウゴービは週に1回、同じ曜日に皮下注射します。効果と副作用のバランスを考慮して、少量から開始し、徐々に用量を増やしていくのが標準的な治療プロトコルです。
- 用量不足: まだ治療を開始して間もない、あるいは副作用のために用量を十分に増やせていない場合、薬の作用が十分に発揮されていない可能性があります。特に治療初期は効果が出にくいと感じることがあります。
- 投与間隔の不規則さ: 毎週決まった曜日に注射しないと、体内の薬物濃度が不安定になり、効果に影響が出る可能性があります。
- 自己判断での中断・減量: 効果が出ないからといって自己判断で注射を中断したり、用量を減らしたりすると、治療計画が崩れ、効果が得られにくくなります。
- 正しい注射方法: 皮下注射の方法を誤っていると、薬が正しく吸収されない可能性があります。初めて使用する際は、医師や看護師から正しい方法の指導をしっかり受けることが重要です。
必ず医師の指示通りの用法・用量を守り、定期的に診察を受けて、体の状態に合わせて用量調整を行うことが重要です。
食事療法や運動療法が不足している
ウゴービは食欲を抑えるのを助ける薬であり、摂取カロリーを減らしやすくするツールです。しかし、薬を打っているからといって、好きなだけ食べたり飲んだりしていては、摂取カロリーが消費カロリーを上回り、体重は減りません。
- カロリー過多: 食欲は抑えられても、無意識のうちに高カロリーなものを摂取している可能性があります(例: 菓子パン、清涼飲料水、油っこい食事、間食など)。特に液体カロリー(ジュースやアルコール)は見落としがちです。
- 栄養バランスの偏り: 糖質や脂質に偏った食事は、体重増加を招きやすいです。タンパク質や食物繊維が不足すると、満腹感が得られにくくなることもあります。
- 運動不足: 消費カロリーを増やすためには運動が効果的です。運動は体重減少だけでなく、体組成の改善(筋肉量の維持・増加)や代謝の向上にも寄与します。日常生活での活動量が少ないと、体重は落ちにくくなります。
- 基礎代謝の低下: 無理な食事制限や運動不足が続くと、筋肉量が減少し、基礎代謝が低下することがあります。基礎代謝が低いと、同じ量の食事をしても消費カロリーが少なくなり、痩せにくくなります。
ウゴービによる治療は、「肥満症治療における食事療法及び運動療法の補助」として位置づけられています。薬の効果を最大限に引き出すためには、食事内容の見直しと適度な運動を組み合わせることが不可欠です。
体質や基礎疾患によるもの
体重増加の原因は、単純なカロリー摂取過多だけではありません。体質や、背景にある別の病気が影響している可能性も考えられます。
- 遺伝的要因: 肥満になりやすい体質は、遺伝的な要因も関係しています。遺伝的な影響が強い場合、平均よりも効果が出にくいことがあります。
- ホルモンバランスの異常:
- 甲状腺機能低下症: 甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、代謝が落ちて体重が増加しやすくなります。
- クッシング症候群: 副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌されると、中心性肥満(体幹に脂肪がつく)や体重増加を招きます。
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS): 女性の場合、ホルモンバランスの乱れによりインスリン抵抗性や体重増加が見られることがあります。
- 特定の薬剤の使用: 向精神薬、ステロイド薬、一部の糖尿病治療薬など、体重増加を招きやすい薬剤を服用している場合があります。
- 睡眠不足: 睡眠不足は食欲を増進させるホルモン(グレリン)を増やし、食欲を抑えるホルモン(レプチン)を減らすなど、食行動や代謝に悪影響を与え、体重増加につながることが知られています。
- ストレス: 慢性的なストレスはコルチゾールの分泌を増やし、脂肪蓄積を促進したり、やけ食いを招いたりすることがあります。
これらの体質や基礎疾患がある場合、ウゴービによる治療だけでは十分な効果が得られない、あるいは原因の根本的な解決にならない可能性があります。医師に現在の健康状態や服用中の薬を正確に伝え、必要に応じて他の検査や治療を並行して行うことが重要です。
GLP-1製剤への反応に個人差がある
人間の体は一人ひとり異なり、同じ薬を使用しても効果の現れ方には個人差があります。GLP-1製剤に対しても、その感受性や代謝のスピードなどが異なり、効果が出やすい人、出にくい人がいます。
- GLP-1受容体の感受性: 体内のGLP-1受容体の数や感受性には個人差があり、これが薬への反応性の違いにつながる可能性があります。
- 体内GLP-1の分泌量: 元々の体内でのGLP-1分泌量や分解速度も個人によって異なります。
- 消化器系の状態: 胃内容物排出遅延の効果なども、個人の消化器系の機能によって差が出ることがあります。
これらの要因により、平均的な体重減少率が見られないとしても、それは必ずしも間違った使い方をしているわけではなく、単に体質によるものである可能性も考慮する必要があります。
耐性がついてしまった可能性
長期間にわたってGLP-1製剤を使用していると、体が薬の効果に慣れてしまい、当初ほど食欲抑制効果を感じにくくなる「耐性」のような現象が起こる可能性が指摘されることがあります。ただし、GLP-1受容体作動薬における明確な耐性のメカニズムはまだ十分に解明されていません。
臨床試験データでは、治療期間が長くなるにつれて体重減少効果のピークを過ぎる傾向は見られますが、これは必ずしも薬の耐性によるものではなく、目標体重に近づいて減少のペースが落ちた、あるいは治療を継続する中で生活習慣の改善がおろそかになってきた、などの要因も考えられます。
もし長期間使用していて効果が鈍くなってきたと感じる場合は、自己判断で用量を増やしたりせず、必ず医師に相談してください。原因が耐性なのか、他の要因なのかを一緒に検討し、今後の治療方針(用量調整、他の治療法の検討など)を決定することが重要です。
ウゴービで痩せない場合の具体的な対策
ウゴービを使っているのに痩せないと感じる場合、闇雲に続けるのではなく、専門家のサポートを受けながら具体的な対策を講じることが重要です。
医師と相談し用法・用量を見直す
まず最初に行うべきは、治療を受けている医師に現状を正直に伝えることです。「効果が出ない」「食欲があまり抑えられない」「副作用がつらい」など、感じていることを具体的に伝えましょう。
- 用量調整: まだ維持量に達していない場合は、段階的な増量を続けることで効果が得られる可能性があります。ただし、副作用が強い場合は無理な増量は避け、医師と相談しながら調整します。
- 投与方法の確認: 正しく注射できているか、医師や看護師に再度確認してもらいましょう。
- 他の原因の検討: 医師は体重が減らない原因が、薬の反応性だけでなく、基礎疾患や他の薬剤、あるいは生活習慣のどこにあるのかを一緒に探ってくれます。必要に応じて、追加の検査(ホルモン検査など)を行うこともあります。
医師はあなたの健康状態や治療経過を把握している最適な相談相手です。一人で悩まず、必ず相談してください。
食事内容・運動習慣を見直す(食事療法・運動療法)
ウゴービの効果を最大限に引き出すには、食事と運動の改善が不可欠です。これは、ウゴービによる治療の「補助」として位置づけられているからです。
- 食事療法:
- 総カロリーの見直し: 医師や管理栄養士と相談し、目標体重に応じた適切な摂取カロリーを設定します。
- 栄養バランス: 高タンパク質、低脂質、適量の炭水化物を意識したバランスの取れた食事を心がけましょう。タンパク質は満腹感を高め、筋肉量の維持にも重要です。食物繊維の豊富な野菜やきのこ類を積極的に摂りましょう。
- 食事記録: 自分が何をどれだけ食べているかを把握するために、食事記録をつけるのが有効です。
- 食べるタイミング: 夜遅い時間の食事は控えめにし、規則正しい食事時間を意識します。
- 水分摂取: 十分な水分を摂ることも、満腹感の維持や代謝にとって重要です。
- 運動療法:
- 有酸素運動: ウォーキング、ジョギング、水泳など、継続できる有酸素運動を週に150分以上(できれば毎日30分程度)目指しましょう。脂肪燃焼効果が期待できます。
- 筋力トレーニング: スクワット、プッシュアップ、軽いウェイトトレーニングなど、週に2〜3回取り入れましょう。筋肉量を維持・増加させることで、基礎代謝の向上につながります。
- 日常生活での活動量アップ: エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩く、家事や通勤で体を動かすなど、意識的に活動量を増やすことも効果的です。
生活習慣の改善は、ウゴービの効果を高めるだけでなく、治療終了後の体重維持にも非常に重要です。無理なく続けられる範囲で、少しずつでも良いので取り組みましょう。
他の医療ダイエット方法を検討する(GLP-1以外の選択肢)
ウゴービを使用しても期待通りの効果が得られない場合や、副作用が強く続けられない場合は、他の医療ダイエット方法を検討することも可能です。
- 他のGLP-1製剤: ウゴービ以外のGLP-1受容体作動薬(リラグルチドなど)や、異なる作用機序を持つ肥満治療薬(承認されている場合は検討可能)があるか、医師に相談してみましょう。効果や副作用のプロファイルが異なる場合があります。
- 食欲抑制薬: 一部の医療機関では、保険適用外で食欲抑制効果のある薬剤(例: マジンドールなど)が処方される場合があります。ただし、効果や副作用に注意が必要であり、医師の厳重な管理のもとで使用されます。
- 漢方薬: 肥満症に対して体質改善を目的とした漢方薬が処方されることもあります。食欲調整や代謝促進などを期待するものがあります。
- 体質改善治療: 肥満の原因となっている可能性のある基礎疾患(甲状腺機能異常など)があれば、その治療を優先したり、並行して行ったりします。
- 外科的治療: 高度な肥満症(BMIが高いなど)で、内科的治療では十分な効果が得られない場合、胃のサイズを小さくするなどの外科的治療(減量手術)が選択肢となることもあります。これは専門的な医療機関で慎重に検討されます。
どの方法が適しているかは、個々の病状、体質、ライフスタイルによって異なります。自己判断せず、必ず医師と十分に話し合い、ご自身にとって最適な治療法を選択してください。
医療機関での専門的な指導を受ける重要性
肥満症治療は、単に体重を減らすだけでなく、健康状態の改善や維持を目指す医療行為です。そのため、自己流のダイエットや個人輸入した薬剤の使用は危険を伴います。
専門的な医療機関では、以下のようなメリットがあります。
- 正確な診断: 肥満の原因(生活習慣性、遺伝性、二次性など)を正確に診断し、最適な治療法を提案してもらえます。
- 安全な薬剤の処方: 厚生労働省の承認を得た安全性が確認された薬剤を、医師の管理のもとで使用できます。個人輸入などによる偽造品や粗悪品のリスクを回避できます。
- 個別化された治療計画: 体質、健康状態、ライフスタイル、目標などを考慮した、一人ひとりに合った治療計画を立ててもらえます。
- 生活習慣改善のサポート: 医師だけでなく、管理栄養士や運動指導士といった専門家から、具体的な食事や運動に関するアドバイス、サポートを受けることができます。
- 経過観察とリスク管理: 定期的な診察や検査を通じて、治療の効果を確認し、副作用や合併症のリスクを管理してもらえます。
- モチベーション維持: 専門家との定期的な面談は、治療を継続する上でのモチベーション維持にもつながります。
ウゴービによる治療は、専門医の指導のもとで行うことで、より安全に、より効果的に体重減少を目指すことができます。「痩せない」と感じる時こそ、専門家と密に連携し、原因を探り、適切な対策を講じることが成功への鍵となります。
ウゴービ治療の注意点・デメリット
ウゴービは効果的な肥満症治療薬ですが、すべての患者さんに適しているわけではありません。治療を受ける前に知っておくべき注意点やデメリットがあります。
よくある副作用について
ウゴービの投与中に最もよく見られる副作用は、主に消化器系の症状です。これらは治療開始時や用量増加時に起こりやすく、多くは一時的で、体が慣れてくると軽減する傾向があります。
- 吐き気、嘔吐: 最も頻繁に見られる副作用です。少量から開始し、段階的に増量することでリスクを減らします。
- 下痢、便秘: 腸の動きに影響するため、便通の変化が起こることがあります。
- 腹痛、腹部膨満感: 胃の動きが遅くなることなどが原因で起こることがあります。
- 消化不良: 食事内容によっては消化不良を起こしやすくなることがあります。
これらの副作用が出た場合は、自己判断せず医師に相談してください。用量調整や対症療法で対処できることが多いです。
稀ではありますが、以下のような重篤な副作用の可能性も報告されています。
- 急性膵炎: 激しい腹痛や背中の痛みなどがあれば、速やかに医師に連絡してください。
- 胆嚢炎、胆石症: 腹痛や発熱などが起こることがあります。
- 低血糖: ウゴービ単独での低血糖リスクは低いですが、特にスルホニルウレア薬やインスリンなどの糖尿病治療薬を併用している場合は注意が必要です。
- アレルギー反応: 発疹、かゆみ、呼吸困難など、アレルギー症状が出た場合はすぐに医療機関を受診してください。
副作用について不安がある場合は、事前に医師とよく相談し、どのような症状に注意すべきか確認しておきましょう。
保険適用と適応外診療について
ウゴービは、日本では以下の条件をすべて満たす「肥満症」の患者さんに対して、2024年3月から保険適用となりました。
- 高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかがある
- BMIが27kg/m²以上であり、2つ以上の肥満関連疾患がある
- または、BMIが35kg/m²以上
これらの条件を満たさない場合、例えば「美容目的」での減量や、上記以外の肥満関連疾患のみがある場合などは、保険適用外となり、自費診療となります。
保険適用の場合と自費診療の場合では、薬剤費用の負担額が大きく異なります。
区分 | 条件 | 費用負担 |
---|---|---|
保険適用 |
|
自己負担割合(3割など) |
自費診療 | 上記の保険適用条件を満たさない場合(例: 美容目的、健康診断で高血圧を指摘されただけ、BMI 27未満など) | 全額自己負担(医療機関により価格設定が異なる) |
保険適用となるかどうかは、医師が診断し判断します。ご自身の状況が保険適用の対象となるか、事前に医療機関に確認することをおすすめします。自費診療の場合は高額になることが予想されるため、費用についてもよく確認しておく必要があります。
リベルサスなど他のGLP-1製剤との違い
肥満症治療や糖尿病治療に用いられるGLP-1受容体作動薬には、ウゴービ以外にも様々な種類があります。代表的なものに、セマグルチド経口薬の「リベルサス」、リラグルチドの「サクセンダ」(肥満症)、デュラグルチドの「トルリシティ」、リラグルチドの「ビクトーザ」(糖尿病)などがあります。
特徴 | ウゴービ(セマグルチド注射薬) | リベルサス(セマグルチド経口薬) | サクセンダ(リラグルチド注射薬) |
---|---|---|---|
有効成分 | セマグルチド | セマグルチド | リラグルチド |
投与方法 | 週1回 皮下注射 | 1日1回 経口(水120mL以下で、起床時に最初の飲食前に服用) | 1日1回 皮下注射 |
肥満症の保険適用 | 条件を満たす場合、2.4mgまで(2024年3月承認) | なし(糖尿病には保険適用あり) | なし(海外では肥満症薬として承認・使用されている国が多い) |
期待できる体重減少 | 高い(臨床試験で平均15%以上) | 比較的高い(糖尿病患者の臨床試験で平均5-10%程度) | 比較的高い(肥満症患者の臨床試験で平均5-10%程度) |
主な用途 | 肥満症(保険適用条件あり)、2型糖尿病(オゼンピックとして保険適用) | 2型糖尿病(保険適用) | 肥満症(海外)、2型糖尿病(ビクトーザとして保険適用) |
投与量 | 最大2.4mg/週 | 最大14mg/日 | 最大3mg/日 |
ウゴービとリベルサスは同じ有効成分(セマグルチド)ですが、投与方法が異なり、保険適用の対象疾患や期待できる体重減少率も異なります(ウゴービの方が高用量で使用されるため、体重減少効果は大きい傾向があります)。サクセンダは有効成分がリラグルチドで、毎日注射する必要があります。
「ウゴービで痩せない」と感じる場合、これらの他のGLP-1製剤が選択肢になる可能性もありますが、それぞれの特徴や保険適用の有無、費用などを医師とよく相談して検討することが重要です。
ウゴービ治療を検討している方へ
ウゴービによる肥満症治療は、効果的な減量手段となり得ますが、メリットだけでなくデメリットやリスクも理解した上で始める必要があります。
医療機関選びのポイント
ウゴービによる治療を受ける医療機関を選ぶ際には、以下の点を考慮すると良いでしょう。
- 肥満症治療や内分泌代謝疾患に関する専門性: 肥満症治療の経験が豊富で、内分泌代謝内科医など専門的な知識を持つ医師がいる医療機関を選ぶと安心です。肥満の原因特定や、合併症の管理にも長けている可能性があります。
- 十分なカウンセリングと説明: 治療内容、期待できる効果、期間、費用、副作用、リスク、生活習慣改善の重要性などについて、丁寧に分かりやすく説明してくれるかを確認しましょう。疑問点にしっかり答えてくれるかも重要です。
- 管理栄養士や運動指導士との連携: 薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法に関する専門的なサポートを提供できる体制があるかどうかも重要なポイントです。
- 定期的なフォローアップ体制: 治療効果の評価、副作用の確認、用量調整などを目的とした定期的な診察や検査をしっかり行ってくれるか確認しましょう。
- アクセスの利便性: 定期的に通院(またはオンライン診療)が必要になるため、通いやすい場所にあるか、オンライン診療に対応しているかなども考慮します。
- 保険適用・自費診療について明確な説明: ご自身の状況が保険適用となるか、あるいは自費診療となる場合の費用について、事前に明確な説明があるかを確認しましょう。
安易に「痩せる」と謳っているだけのクリニックではなく、医学的な根拠に基づいた適切な肥満症治療を提供しているかを見極めることが大切です。
治療中止について
ウゴービによる治療は、目標体重を達成した後や、何らかの理由で継続が難しくなった場合に中止を検討します。ただし、自己判断で急に中止することは避けるべきです。
- リバウンドのリスク: ウゴービの効果で抑えられていた食欲は、薬を中止すると元に戻る可能性が高いです。薬なしで体重を維持するためには、治療中に身につけた生活習慣(食事内容、運動習慣)を継続することが非常に重要です。治療中に十分な生活習慣改善ができていないと、リバウンドしやすい可能性があります。
- 医師との相談: 治療を中止したい、あるいは中止を検討する際は、必ず医師に相談してください。中止のタイミングや、徐々に減量していく方法、中止後の体重維持に向けたアドバイスなどを得ることができます。
- 他の治療法への移行: ウゴービが合わなかった場合でも、体重管理が必要であれば、他の薬剤や治療法に移行することも考えられます。これも医師と相談して決定します。
ウゴービによる治療は、あくまで「補助」です。治療を通じて健康的な生活習慣を確立し、治療終了後もその習慣を維持していくことが、長期的な体重管理の鍵となります。
ウゴービで痩せないに関するよくある質問
ウゴービはダイエットに効果がある?
ウゴービは、日本では高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかがあり、BMIが27kg/m²以上で2つ以上の肥満関連疾患があるか、またはBMIが35kg/m²以上の「肥満症」と診断された患者さんに対して、食事療法および運動療法の補助として保険適用が認められている医療用医薬品です。臨床試験では、生活習慣改善と併用することで有意な体重減少効果が確認されています。
ウゴービで何キロ痩せる?
臨床試験では、ウゴービ(最大2.4mg/週)を68週間投与した場合、平均でベースラインから約15~17%の体重減少が報告されています。ただし、これはあくまで平均値であり、実際に何キロ痩せるかは、開始時の体重、体質、生活習慣の改善度合いなど、個人によって大きく異なります。
10キロ痩せるのに何日くらいかかりますか?
10キロの減量をウゴービ治療のみで達成するのにかかる期間は、個人の開始体重、用量、体の反応性、そしてどれだけ生活習慣を改善できるかによって大きく異なります。臨床試験のデータから推測すると、多くの被験者で10%以上の体重減少に達するまでに数ヶ月を要しています。開始体重が重いほどキロ数としての10キロは相対的に達成しやすく、数ヶ月で達成できる人もいるかもしれません。しかし、体質や生活習慣によっては半年から1年以上かかることも、あるいは10キロに満たない場合もあります。医師と相談し、現実的な目標設定と期間を見積もることが重要です。
ウゴービのデメリットは?
主なデメリットとしては、以下が挙げられます。
- 副作用: 特に吐き気、下痢、便秘などの消化器症状が起こりやすいです。
- 費用: 保険適用となるには特定の条件を満たす必要があり、条件を満たさない場合は自費診療となり高額になります。
- 投与方法: 注射薬であるため、週1回自己注射する必要があります。
- 継続性: 効果を維持するためには、治療の継続が必要となることが多いです。
- 保険適用の条件: 誰でも保険で使えるわけではないため、対象者が限られます。
ウゴービを中止するとどうなる?
ウゴービを中止すると、薬による食欲抑制効果や満腹感の促進効果がなくなるため、食欲が元に戻り、治療中に減少した体重がリバウンドする可能性が高いです。治療中に身につけた健康的な食事習慣や運動習慣を継続しないと、体重は容易に増加してしまいます。治療を中止する場合や、中止後の体重管理については、必ず医師と相談し、リバウンドを防ぐための計画を立てることが重要です。
まとめ:ウゴービで痩せないと感じたら専門医へ相談を
ウゴービは肥満症に対して高い減量効果が期待できる医療用医薬品ですが、「ウゴービを使っても痩せない」と感じる場合、その原因は用法・用量の不適切さ、食事療法や運動療法の不足、体質や基礎疾患、GLP-1製剤への反応性の個人差など、様々な要因が考えられます。
ウゴービによる治療は、あくまで食事療法と運動療法の補助であり、薬の効果だけに頼るのではなく、生活習慣の改善とセットで行うことが成功の鍵となります。
もしウゴービを使用しているのに期待通りの効果が得られない場合は、一人で悩まず、必ず治療を受けている専門医に相談してください。医師はあなたの状況を詳細に把握し、体重が減らない原因を特定し、用量調整や生活習慣への具体的なアドバイス、あるいは他の治療法の検討など、最適な対策を一緒に考えてくれます。専門家のサポートのもと、安全かつ効果的に肥満症治療に取り組むことが、健康的な体重管理への近道です。
(本記事は情報提供を目的としており、特定の製品の使用を推奨したり、医学的なアドバイスを行うものではありません。肥満症治療に関しては、必ず専門の医療機関で医師の診断を受け、指示に従ってください。)