【男性必見】梅毒の症状ガイド|痛くないのに放置は危険?検査・治療法

梅毒は、主に性的な接触によって感染する細菌性の感染症です。近年、日本国内で患者数が増加しており、特に男性の間で感染が広がっている傾向が見られます。内閣府政府広報室の報告によると、2023年には梅毒の報告数が7,000例を突破し過去最多を更新しました。また、鹿児島市保健所の情報では、2025年5月現在も前年比で増加傾向が続いていることが示されています。

梅毒の症状は感染からの期間によって変化し、気づきにくいものから重篤なものまで様々です。早期に発見し、適切な治療を受けることが非常に重要ですが、「症状がないから大丈夫だろう」と自己判断で放置してしまうケースも少なくありません。

この記事では、男性の梅毒の症状に焦点を当て、感染経路、段階別の詳しい症状、検査方法、治療について解説します。気になる症状がある方、梅毒について不安を感じている方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

男性梅毒の症状とは?感染経路と潜伏期間

梅毒は、「梅毒トレポネーマ」という細菌によって引き起こされる感染症です。厚生労働省の情報によると、主な感染経路は、感染している人との性的な接触(膣性交、アナルセックス、オーラルセックスなど)です。内閣府政府広報室の報告では、近年オーラルセックスによる感染が6割を占めるというデータも示されており、性器だけでなく、口唇、舌、咽頭、肛門など、菌が付着した粘膜や皮膚の小さな傷からも感染が成立します。

感染後、すぐに症状が出るわけではありません。一般的に、梅毒トレポネーマに感染してから約3週間(10日〜90日程度の幅があります)の潜伏期間を経て、最初の症状が現れます。この潜伏期間中は自覚症状がなくても、他者に感染させる可能性があります。

梅毒の症状は、病気の進行とともに第1期、第2期、潜伏梅毒、後期(第3期・第4期)と段階的に変化していくのが特徴です。それぞれの段階で現れる症状が異なるため、注意が必要です。

梅毒の症状を段階別に解説【男性に多い症状も】

梅毒の症状は、時間経過とともに特徴的な変化を見せます。ここでは、男性に多く見られる症状を中心に、各段階について詳しく解説します。

第1期梅毒の症状【感染後数週間】

感染機会からおよそ3週間(場合によっては1ヶ月以上)が経過した頃に現れるのが第1期梅毒の症状です。菌が侵入した部位(感染部位)に症状が出現します。この段階の症状は、多くの場合痛みがなく、数週間で自然に消えてしまうため、感染に気づかない、あるいは軽視してしまうことがあります。

痛みのないしこりや潰瘍(初期硬結・硬性下疳)

第1期梅毒の最も代表的な症状は、感染部位にできる「初期硬結(しょきこうけつ)」または「硬性下疳(こうせいげかん)」と呼ばれる病変です。東京都性感染症ナビでも、第1期では感染部位にしこりやただれができると説明されています。

  • 見た目:
    最初は、蚊に刺されたような小さく赤いしこりやできものとして始まります。
    数日経つと、中心部が硬くなり、次第に皮膚がただれて潰瘍(かいよう:皮膚や粘膜が深くえぐれた状態)になります。
    潰瘍の形は円形や楕円形が多く、大きさは数ミリから1~2センチ程度です。
    潰瘍の底はきれいで、軟骨のように硬い感触があります。
  • 特徴:
    痛みがないこと: これが他の性感染症による潰瘍(痛みを伴うことが多い)との大きな違いです。痛くないため、放置されやすい原因となります。
    通常は1個だけですが、複数の病変が現れることもあります。
    触ると硬い感触があるのが特徴です。

鼠径部リンパ節の腫れ

初期硬結や硬性下疳ができた数日後から、その病変がある部位に近いリンパ節が腫れてくることがあります。男性の場合、感染部位が性器や肛門であれば、鼠径部(そけいぶ:足の付け根)のリンパ節が腫れることが一般的です。

  • 見た目: 触るとコリコリとしたしこりのように感じられます。
  • 特徴:
    腫れているリンパ節は硬く、通常は痛みを伴いません。
    初期硬結や硬性下疳と同様に、数週間で自然に腫れが引くことが多いです。

男性の場合、症状が出やすい部位

男性の場合、梅毒トレポネーマが侵入しやすい部位に症状が現れます。第1期梅毒の初期硬結や硬性下疳は、具体的に以下の部位によく見られます。

  • ペニス: 特に亀頭、包皮、陰茎体部。包茎の男性は包皮の内側にできやすく、見つけにくいことがあります。
  • 陰嚢(いんのう): 玉袋の部分。
  • 肛門周囲: アナルセックスによる感染の場合。痛みが少ないため、痔と間違われることもあります。
  • 口腔内: オーラルセックスによる感染の場合。口唇、舌、歯茎、扁桃腺、咽頭などにできます。口内炎や扁桃炎と間違われやすいです。

これらの部位に痛みのないしこりや潰瘍を見つけたら、梅毒の初期症状である可能性を疑う必要があります。

【画像】第1期梅毒の症状の見た目

(※画像は表示できませんが、実際の見た目を詳しく説明します。)

第1期梅毒の初期硬結や硬性下疳は、写真で見ると以下のような特徴を持つことが多いです。

  • 色: 赤みがかった、あるいは肌色に近い色のしこり。潰瘍になると、底が白っぽいまたは赤っぽい色になります。
  • 形: きれいな円形や楕円形の形をしていることが多いです。周囲の皮膚との境界線がはっきりしている場合と、そうでない場合があります。
  • 表面: 初期は盛り上がったしこりですが、すぐに表面が破れて潰瘍になります。潰瘍の表面は湿っていたり、薄いかさぶたができていることもあります。
  • 感触: 触ると病変全体が硬く感じられます。周囲の健康な皮膚よりも明らかに硬いです。

特に注意すべき点:

  • 痛みがほとんどないため、存在に気づきにくいことがあります。
  • 性器以外にも、口の中や唇にもできる可能性があるため、注意が必要です。
  • 数週間で自然に消えてしまうため、「治った」と誤解してしまいがちです。

第2期梅毒の症状【感染後数ヶ月】

第1期の症状が自然に消えてから、数週間から数ヶ月(通常1〜3ヶ月)後に現れるのが第2期梅毒の症状です。梅毒トレポネーマが血流に乗って全身に運ばれ、様々な部位に症状が現れます。この段階の症状も、治療をしなくても数ヶ月で自然に消えることがありますが、病気が治ったわけではなく、潜伏梅毒に移行した状態です。

バラ疹(痛くも痒くもない発疹)

第2期梅毒の最も特徴的な症状の一つが「バラ疹(ばらしん)」です。東京都性感染症ナビによると、全身に発疹が現れ、特に手のひらや足の裏にも出やすいとされています。

  • 見た目:
    全身の皮膚に、ピンク色や淡い赤色の小さな発疹が多数現れます。
    大きさは数ミリから1センチ程度のものが多く、盛り上がりはほとんどありません。
    特に体幹(お腹や背中)や腕、足の付け根などによく見られます。
    手のひらや足の裏にも発疹が出やすいのが特徴で、これは他の発疹と見分けるポイントになります。
  • 特徴:
    痛くも痒くもないこと: これがバラ疹の大きな特徴です。かゆみがないため、皮膚の異常としてあまり気に留めない人もいます。
    発熱などの全身症状と一緒に出ることがあります。
    発疹の出方には個人差があり、目立たない場合や、一度消えてから再び現れることもあります。

全身のリンパ節の腫れ

第1期では感染部位に近いリンパ節が腫れましたが、第2期では全身のリンパ節が腫れることがあります。首、脇の下、肘、鼠径部など、様々な部位のリンパ節が触れるとしこりのように感じられます。

  • 特徴:
    腫れているリンパ節は硬いことが多いです。
    通常は痛みを伴いません。
    バラ疹などの皮膚症状と同時に現れることが多いです。

その他の全身症状(発熱、倦怠感、脱毛など)

第2期梅毒では、バラ疹やリンパ節の腫れ以外にも、全身に様々な症状が現れることがあります。これらの症状は、風邪やインフルエンザ、他の病気と間違えられやすいため、注意が必要です。

  • 発熱: 軽度の微熱が出ることがあります。
  • 倦怠感: 体がだるく、疲れやすいと感じることがあります。
  • 頭痛、関節痛、筋肉痛: 全身の痛みを訴えることがあります。
  • 喉の痛み: 扁桃腺が腫れることもあります。
  • 脱毛: 頭髪が斑状に抜けたり(梅毒性脱毛)、眉毛やヒゲが薄くなったりすることがあります。
  • 体重減少: 食欲不振などを伴い、体重が減少することがあります。

梅毒性アンギーナ、粘膜疹

口腔内や性器、肛門周囲の粘膜にも病変が現れることがあります。

  • 梅毒性アンギーナ: 喉の粘膜が赤く腫れたり、白い膜のようなものができたりします。扁桃炎と似ていますが、痛みが少ない場合もあります。
  • 粘膜疹(ねんまくしん): 口腔内(唇の裏、舌、歯茎など)、性器、肛門周囲の粘膜に、白い斑点やただれができます。感染力が非常に高い病変です。

コンジローマ・レベ

湿った部位(肛門周囲、陰部など)に、平らで盛り上がった、灰色やピンク色の病変ができることがあります。これを「コンジローマ・レベ(扁平コンジローマ)」と呼びます。

  • 見た目: 表面はただれて湿っており、カリフラワー状に盛り上がる尖圭コンジローマとは異なります。
  • 特徴:
    非常に多くの梅毒トレポネーマを含んでおり、強い感染力を持ちます。
    触ると柔らかい感触があります。

第2期梅毒の症状は多岐にわたり、「梅毒のグランドイミテーター(偉大な模倣者)」と呼ばれるほど、様々な病気と間違えられやすいです。しかし、これらの症状も数ヶ月経つと治療しなくても自然に消えてしまうため、治ったと勘違いしやすい時期でもあります。

潜伏梅毒【症状が一時的に消える期間】

第1期または第2期の症状が消えた後、数ヶ月から数年間、全く症状が現れない期間に入ることがあります。この状態を「潜伏梅毒(せんぷくばいどく)」と呼びます。

潜伏梅毒の期間中でも、体内に梅毒トレポネーマは生きたまま存在しており、他者に感染させる可能性があります(特に感染からの期間が短い早期潜伏梅毒の場合)。また、治療せずに放置すると、将来的にさらに重篤な後期梅毒へと進行する危険性があります。内閣府政府広報室も、無症状期間中の感染拡大が問題になっていることを伝えています。

  • 早期潜伏梅毒: 感染後1年以内の、症状がない期間。
  • 後期潜伏梅毒: 感染後1年以上経過した、症状がない期間。

潜伏梅毒は、健康診断やパートナーの梅毒感染が判明したことをきっかけに行われた検査で発見されることが多いです。症状がないからといって安心できる状態ではなく、治療は必須です。

後期(第3期・第4期)梅毒の症状【感染後数年〜数十年】

適切な治療を受けずに潜伏梅毒の期間を経過すると、感染から数年〜数十年後に後期梅毒へと進行することがあります。現代では早期に発見されることが増えたため、後期梅毒にまで進行するケースは稀になりましたが、放置した場合に起こりうる非常に重篤で命に関わる可能性のある合併症です。厚生労働省は、治療しないと数年後に心血管障害や神経症状を引き起こすと注意喚起しています。

ゴム腫

第3期梅毒では、皮膚、骨、筋肉、内臓(肝臓や胃など)などに「ゴム腫(ごむしゅ)」と呼ばれる弾力のある腫瘍が形成されることがあります。

  • 見た目: 皮膚にできた場合は、最初は小さなしこりですが、徐々に大きくなり、中心部が崩れて潰瘍になることもあります。
  • 特徴:
    周囲の組織を破壊しながら進行します。
    放置すると、骨の破壊や内臓の機能障害を引き起こす可能性があります。

心血管梅毒、神経梅毒

第4期梅毒では、血管系や神経系に重篤な障害が現れます。

  • 心血管梅毒: 大動脈(心臓から全身へ血液を送る最も太い血管)に炎症を起こし、大動脈瘤(血管が異常に膨らむ)や大動脈弁閉鎖不全(心臓の弁がうまく閉じなくなる)などを引き起こします。心不全や大動脈破裂など、命に関わる病状につながる可能性があります。
  • 神経梅毒: 脳、脊髄、末梢神経などに梅毒トレポネーマが感染し、様々な神経症状を引き起こします。
    初期: 軽い頭痛、発熱、首の硬直、めまいなど(髄膜炎症状)。
    進行すると: 認知症、麻痺、運動失調(うまく歩けない)、感覚異常、視力低下、失明、聴力低下、難聴、精神症状(うつ、幻覚など)、脊髄癆(たびたび激しい痛みが起こる、感覚が鈍くなるなど)など。不可逆的な(元に戻らない)障害を残すことがあります。

後期梅毒の症状は、患者さんのQOL(生活の質)を著しく低下させ、生命を脅かす危険性があります。これらの重篤な合併症を防ぐためにも、早期の検査と治療が極めて重要です。

無症候性梅毒とは?

梅毒に感染しているにも関わらず、自覚できる症状が全くない状態「無症候性梅毒(むしょうこうせいばいどく)」と呼びます。健康診断の血液検査や、パートナーの梅毒感染が判明した際に検査を受けて初めて感染がわかるケースです。

症状がないため、本人は感染に気づかずに生活していることがほとんどですが、血液中には梅毒トレポネーマが存在しており、他者に感染させる可能性があります。特に早期の無症候性梅毒は感染力が高いと考えられています。無症候性梅毒期間中の感染拡大を懸念する声も上がっています

無症候性梅毒も、放置すれば潜伏梅毒を経て後期梅毒に進行するリスクがあります。症状がないからといって治療の必要がないわけではなく、早期の診断と治療が重要です。

梅毒の症状は自然に消える?放置の危険性

ここまで見てきたように、梅毒の第1期や第2期に現れる症状(初期硬結、硬性下疳、バラ疹など)は、治療しなくても数週間〜数ヶ月で自然に消えてしまうという特徴があります。

しかし、これは梅毒が治癒したわけではありません。症状が消えた後も、梅毒トレポネーマは体内に潜伏しており、病気は「潜伏梅毒」という次の段階に移行しただけです。症状が消えることで東京都性感染症ナビが指摘するように、治ったと間違われる危険があります。

症状が消えたことで「治った」「気のせいだった」と思い込み、医療機関を受診しない、あるいは治療を中断してしまう方がいますが、これは非常に危険です。

梅毒を放置した場合の危険性は以下の通りです。

  • 病気の進行: 潜伏梅毒の期間を経て、数年〜数十年後にゴム腫、心血管梅毒、神経梅毒といった重篤な後期梅毒に進行するリスクがあります。厚生労働省は、治療しないと数年後に心血管障害や神経症状を引き起こすと注意喚起しています。これらの症状は、臓器の機能障害、神経系の後遺症、最悪の場合は死に至る可能性もあります。
  • 他者への感染リスク: 症状がなくても、特に早期潜伏梅毒の期間中は、他者に梅毒を感染させる可能性があります。気づかずにパートナーや他の人に感染を広げてしまうリスクが高まります。
  • パートナーへの影響: パートナーが妊娠している場合、母子感染(先天梅毒)を引き起こす可能性があります。先天梅毒は、胎児の発育不全、奇形、重い後遺症、最悪の場合は流産や死産につながる非常に危険な状態です。

症状が消えることは、病気が進行しているサインであると認識し、決して放置しないようにしましょう。

梅毒が疑われる場合は?検査と治療について

梅毒の症状に心当たりがある場合や、感染したかもしれないという不安がある場合は、できるだけ早く検査を受けることが重要です。早期発見と早期治療によって、病気の進行を防ぎ、完治を目指すことができます。

いつ検査を受けるべきか?

梅毒の検査は、主に血液中の抗体を調べる方法で行われます。抗体が検出されるまでには、感染からある程度の期間が必要です。

  • 症状がある場合: 性器、肛門、口などに疑わしい症状(痛みのないしこりや潰瘍、全身の発疹など)が見られる場合は、症状に気づいた時点で速やかに医療機関を受診して検査を受けましょう。
  • 症状がない場合: 感染の機会があったものの、自覚症状がない場合や、第1期の症状が自然に消えてしまった場合は、血液検査で抗体が検出されるまで待つ必要があります。一般的には、感染の機会から3週間以上経過してから検査を受けるのが望ましいとされています。より確実な結果を得るためには、3ヶ月後にもう一度検査を受けることが推奨される場合もあります。

パートナーが梅毒と診断された場合は、症状の有無にかかわらず、すぐに検査を受けるべきです。

梅毒の検査方法

梅毒の検査は、主に以下の方法で行われます。

  1. 血液検査: 梅毒に感染すると体内で作られる抗体を血液中で調べるのが一般的です。主な血液検査には以下の2種類があります。
    STS法(スクリーニング検査): 梅毒トレポネーマが存在することで生じる「カルジオリピン」という物質に対する抗体を調べる検査です。梅毒の活動性(現在、梅毒が進行しているか)を反映しやすいとされており、治療効果の判定にも用いられます。ただし、梅毒以外の病気(膠原病、妊娠など)でも陽性になる「生物学的偽陽性」が出ることがあります。
    TP法(確認検査): 梅毒トレポネーマそのものに対する抗体を調べる検査です。一度梅毒に感染すると、治療後も生涯陽性を示すことが多い検査です。梅毒に特異的な抗体を検出するため、STS法で陽性になった場合の確認検査として行われます。
    通常、これら複数の検査を組み合わせて診断します。感染からの期間によって、どちらかの検査が先に陽性になることもあります。
  2. 直接鏡検法: 第1期や第2期の症状(初期硬結、硬性下疳、コンジローマ・レベなど)がある場合に、病変部の分泌液を採取し、顕微鏡で梅毒トレポネーマを直接観察する検査です。その場で診断が可能ですが、設備のある一部の医療機関でしか行われません。

検査結果が陽性だった場合は、病期を判断するために追加の検査や医師の診察が必要になります。

梅毒の治療方法と治癒について

梅毒の治療には、ペニシリン系の抗菌薬が非常に有効です。病期や症状の程度によって、薬の種類、投与方法、治療期間が異なります。

  • 治療薬:
    主に内服薬(ドキシサイクリンなど)または注射薬(ベンジルペニシリンなど)が用いられます。
    病期が早い段階(第1期、第2期、早期潜伏梅毒)であれば、比較的短期間(数週間)の内服薬で治療できることが多いです。
    病期が進んでいる場合(後期潜伏梅毒、第3期、第4期、神経梅毒)や、内服薬が使えない場合は、注射薬を複数回投与したり、長期間(数週間)入院して点滴治療を行ったりすることもあります。
    ペニシリンアレルギーがある場合は、代替の抗菌薬が使用されます。
  • 治療中の注意点:
    治療開始後、一時的に発熱や倦怠感、発疹などが現れることがありますが、これはヤリッシュ・ヘルクスハイマー反応と呼ばれるもので、菌が死滅する際に起こる一時的な反応です。通常は数時間〜1日で改善します。
    治療期間中は、パートナーへの感染を防ぐために性的な接触(キスやオーラルセックスを含む)を避ける必要があります。
    医師の指示通りに、処方された薬は最後まで全て服用することが重要です。症状が消えても、自己判断で中断しないでください。
  • 治癒について:
    梅毒の「治癒」は、症状が消失し、血液検査で調べた抗体価(菌に対する抗体の量)が低下または陰性化することで判断されます。
    治療後も、定期的に血液検査を受けて、抗体価の変化を確認し、治療がうまくいっているか、再感染していないかなどをチェックする必要があります。医師の指示に従って、通院や検査を続けることが重要です。
    TP法で調べた抗体は、治療後も生涯陽性のまま残ることが多いため、完全に陰性にならない場合でも「治癒」と判断されることがあります。

適切な治療を受ければ、梅毒は完治可能な病気です。しかし、後期梅毒で生じた臓器や神経の損傷は、治療しても元に戻らない場合があります。そのため、早期発見・早期治療が何よりも大切です。

どこで検査・治療が受けられる?(医療機関・保健所)

梅毒の検査や治療を受けられる場所はいくつかあります。ご自身の状況に合わせて選択しましょう。

場所 特徴 費用 匿名性 検査項目 治療の可否
医療機関 – 皮膚科、泌尿器科、感染症内科、性病科など
– 症状がある場合や、診断・治療が必要な場合に適している
– 医師の診察に基づき、適切な検査・治療が受けられる
– プライバシーへの配慮がある
保険診療(数千円〜)
※診察料、検査費用、薬剤費など
基本的にない 血液検査(STS法、TP法など)
必要に応じて他の性感染症検査
可能
保健所 – 無料・匿名での検査が可能
– 感染の有無を確認したい場合に適している
– 検査実施日や時間が限られている場合が多い
– 予約が必要な場合が多い
無料 可能 血液検査(自治体による) 不可
性病検査クリニック
(オンライン含む)
– 性感染症専門のクリニック
– 予約不要・即日検査が可能な場合も
– 他の性感染症検査も同時に受けやすい
– オンライン診療で検査キット郵送や相談が可能な場合も
保険適用外(数千円〜)
※クリニックによる
可能 血液検査
(+他の検査)
可能
  • 医療機関(病院・クリニック):
    症状がある場合は、まず医療機関を受診するのが最も一般的で推奨される方法です。
    皮膚科、泌尿器科、感染症内科、性病科などが梅毒を診察しています。どの科を受診すればよいか迷う場合は、まず皮膚科や泌尿器科に相談してみましょう。
    保険診療が適用されるため、費用負担を抑えられます。
    医師の診察により、現在の病状や他の性感染症の可能性なども含めて、適切に診断・治療方針が決定されます。
    プライバシーに配慮した診察を行っている医療機関が多いです。
  • 保健所:
    多くの保健所では、梅毒を含む性感染症の無料・匿名検査を実施しています。「もしかしたら感染したかも」という不安がある方や、費用をかけずにまず検査だけ受けたいという方に適しています。内閣府政府広報室も自治体の匿名無料検査の活用を推奨しています。
    ただし、検査を受けられる日時が決まっていたり、予約が必要だったりする場合が多いです。事前に各自治体の保健所のウェブサイトなどで確認しましょう。
    保健所では検査のみで、陽性だった場合の治療は行っていません。検査で陽性だった場合は、改めて医療機関を受診する必要があります。
  • 性病検査クリニック(オンライン含む):
    性感染症に特化したクリニックです。予約不要で即日検査が可能な場所や、プライバシーに特化した環境で検査を受けられる場所もあります。
    オンライン診療に対応しているクリニックもあり、自宅に検査キットを郵送してもらって自己採取し、返送することで検査を受けられるサービスもあります。陽性だった場合の提携医療機関への紹介などを行っている場合もあります。
    保険適用外となるため、費用は医療機関よりも高くなる傾向があります。

ご自身の状況(症状の有無、希望する匿名性、費用、通いやすさなど)を考慮して、適切な場所を選びましょう。最も重要なのは、検査や治療を先延ばしにしないことです。

まとめ:梅毒の症状に気づいたら早期の受診を

梅毒は、早期に発見し適切な治療を受ければ完治が可能な感染症です。厚生労働省東京都性感染症ナビなどの公的機関も情報提供や注意喚起を行っています。しかし、その症状は非常に多様で、特に初期の症状は痛みがなく、数週間で自然に消えてしまうため、治ったと間違われるなど、感染に気づきにくい、あるいは軽視して放置してしまう危険性があります。

男性の梅毒の症状は、感染部位にできる痛みのないしこりや潰瘍(初期硬結、硬性下疳)から始まり、進行すると全身に痛くも痒くもないバラ疹やリンパ節の腫れ、その他全身症状が現れます。これらの症状が一時的に消えても、病気が治ったわけではなく、体内に菌が潜伏した状態です。

梅毒を放置すると、数年〜数十年後に心臓や神経に重篤な合併症(心血管梅毒、神経梅毒)を引き起こし、命に関わる危険性や不可逆的な後遺症を残す可能性があります。また、無自覚のうちにパートナーに感染を広げてしまうリスクも高まります。

「もしかしたら梅毒かも?」と感じるような症状(性器や口の痛みのないしこりや潰瘍、原因不明の全身の発疹など)がある場合や、梅毒に感染した可能性がある場合は、症状の有無にかかわらず、できるだけ早く医療機関や保健所で検査を受けることを強くお勧めします。特に保健所での匿名・無料検査は、検査のハードルを下げる有効な手段です。

早期発見・早期治療が、ご自身の健康を守り、大切なパートナーへの感染を防ぐための最善策です。一人で悩まず、まずは専門機関に相談してみましょう。


免責事項: 本記事は、梅毒の男性における症状、感染経路、検査、治療に関する一般的な情報提供を目的としています。記事の内容は、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。ご自身の健康状態や症状について不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
     ⚠️性病治療はオンライン専門⚠️
ご相談は下記の専用LINEから
     オンライン診療はLINEで相談する▶︎
目次