流産の兆候は?初期の出血・腹痛から兆候なしまで【医師監修】

妊娠は神秘的なプロセスですが、残念ながらすべての妊娠が順調に進むわけではありません。妊娠の早い段階で起こりうる流産は、多くの妊婦さんにとって大きな不安の種となります。特に、「流産 兆候」と聞くと、どのような症状を指すのか、自分に当てはまることはないかと心配になる方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、流産の主な兆候、兆候がない流産の種類、妊娠週数別の注意点、流産の原因とリスク、そして流産が疑われる場合にどうすべきかについて、詳しく解説します。不安な症状がある場合は、決して自己判断せず、必ず専門医に相談することが重要です。この記事が、妊娠中の皆さんの不安軽減の一助となれば幸いです。

目次

流産の主な兆候とは

流産の兆候として最も一般的に知られているのは、出血腹痛です。これらの症状が現れたからといって必ずしも流産に至るわけではありませんが、注意が必要です。その他の兆候が現れることもあります。

出血の種類と注意点

妊娠中の出血は、流産以外にも様々な原因で起こり得ますが、流産の兆候として現れる出血にはいくつかの特徴があります。

  • 出血の色: 鮮血、茶褐色、ピンク色など様々です。鮮血の場合は、子宮内で新しい出血が起きている可能性があり、注意が必要です。茶褐色の場合は、少し前の出血が排出されていることが多く、比較的落ち着いていると判断されることもありますが、それでも様子観察は必要です。
  • 出血の量: 少量のおりものに混じる程度のものから、生理の時のような多量出血まで幅広くあります。量が多いほど、進行した流産の可能性が高まります。ナプキンが必要なくらいの量や、経血のような量の場合は、速やかに医療機関に連絡しましょう。
  • 出血の期間: 短時間で治まる場合もあれば、数日~数週間続く場合もあります。少量でも長期間続く場合や、一度治まったのに再び始まる場合も注意が必要です。
  • 出血と腹痛の関連: 出血と同時に腹痛を伴う場合、流産の可能性がより高まります。

【注意点】
妊娠初期には、着床出血、絨毛膜下血腫、子宮頸管ポリープなど、流産以外の原因で出血することもあります。少量の出血だけで腹痛がない場合など、一概に流産とは言えません。しかし、自己判断は危険です。どんな出血であっても、まずはかかりつけの産婦人科に連絡して指示を仰ぐようにしましょう。特に鮮血が多量に出たり、塊を伴う出血がある場合は、緊急性が高いと考えられます。

腹痛の種類と注意点

流産の兆候としての腹痛は、生理痛のような鈍い痛みから、差し込むような強い痛みまで様々です。

  • 痛みの性質: 妊娠初期の腹痛は、子宮が大きくなることによる靭帯の伸びや、ホルモンの影響で起こることもあります。流産による腹痛は、子宮が収縮して内容物を排出しようとする際に起こる痛みが主です。生理痛のような鈍い下腹部痛、あるいは腰痛を伴うことがあります。流産が進行すると、陣痛のような周期的な強い痛みに変化することもあります。
  • 痛みの強さ: 我慢できる程度の軽い痛みの場合もあれば、日常生活が困難になるほどの激しい痛みの場合もあります。痛みが強いほど、流産が進行している可能性が高まります。
  • 痛みの持続性: 一時的な痛みで治まることもありますが、流産の兆候としての腹痛は持続したり、だんだん強くなったり、周期的に繰り返したりすることが多いです。
  • 腹痛と出血の関連: 前述のように、腹痛と出血が同時に起こる場合は、流産の可能性が高い兆候と言えます。

【注意点】
妊娠初期には、子宮外妊娠や卵巣のう腫茎捻転など、緊急性の高い別の原因で腹痛が起こることもあります。軽い腹痛であっても、出血を伴う場合や痛みが続く・強くなる場合は、必ず医療機関に相談しましょう。特に、片側の強い腹痛や、肩の痛みを伴う場合は、子宮外妊娠の可能性も考慮し、すぐに受診が必要です。

その他の兆候(お腹の張りなど)

出血や腹痛以外にも、流産の兆候として現れる可能性のある症状があります。

  • お腹の張り: 妊娠が進むにつれてお腹が張ることはよくありますが、常にカチカチに張っている、痛みを伴う張りがある場合は、切迫流産や切迫早産の兆候である可能性があります。切迫流産について、さらに詳しく知りたい場合は、切迫流産とは?他の流産との違いや原因・兆候と予防法【医師監修】もご参照ください。
  • つわりが急になくなる: つわりの症状は個人差があり、時期によって変化することも自然ですが、今まであったつわり症状(吐き気、だるさ、乳房の張りなど)が急に全く感じられなくなった場合、胎児の発育が止まっている可能性も考えられます。ただし、つわりが終わる時期は個人差が大きいため、つわりがなくなったことだけで流産を断定することはできません。
  • 胎動の消失(妊娠中期以降): 胎動を感じるようになった中期以降に、胎動がほとんど感じられなくなった場合は、胎児の状態が悪化している可能性があります。いつもより胎動が少ない、あるいは全く感じない場合は、すぐに医療機関に連絡が必要です。

これらの兆候は、流産以外の原因でも起こり得ますが、気になる症状があれば、かかりつけ医に相談することが大切です。

兆候がない流産(稽留流産・化学流産)

流産の中には、目立った出血や腹痛といった兆候がほとんど現れない種類もあります。「兆候がない流産」として知られるのが、稽留流産です。また、化学流産も一般的に自覚症状がほとんどありません。

稽留流産とは?兆候がない理由

稽留流産(けいりゅうりゅうざん)は、胎児は亡くなっているにもかかわらず、子宮の中に留まっており、出血や腹痛といった目に見える兆候がほとんどない状態です。

【兆候がない理由】
通常、流産が始まると、子宮は収縮して内容物を排出しようとするため、出血や腹痛が起こります。しかし、稽留流産の場合は、何らかの原因で胎児が亡くなった後も、子宮が収縮せず、妊娠内容物が子宮内に保持されてしまうため、出血や腹痛といった症状が現れにくいのです。

稽留流産は、妊婦健診での超音波(エコー)検査で偶然発見されることがほとんどです。胎児の心拍が確認できなくなったり、胎嚢の大きさに比べて胎芽が小さかったりすることで診断されます。自覚症状がないまま診断されるため、妊婦さんにとっては大きなショックとなることが多い流産です。診断後は、自然に排出されるのを待つか、手術による処置が行われます。

化学流産とは?

化学流産(かがくりゅうざん)は、妊娠検査薬で陽性反応が出たものの、超音波検査で胎嚢が確認できる前に妊娠が終了することを指します。

受精卵が着床しかけた段階、あるいは着床した直後に妊娠の継続が難しくなった状態で、医学的には「臨床的妊娠」(超音波で胎嚢が確認できる妊娠)には至らなかったため、流産には含めないこともあります。しかし、妊娠を期待していた方にとっては、妊娠反応が出た後のことであるため、「流産した」と感じられることが多いです。

化学流産の場合、出血や腹痛といった自覚症状は、通常の生理と区別がつかないことがほとんどです。生理予定日頃に、生理よりも少し出血量が多い、あるいは期間が長い程度の自覚症状で終わることが一般的です。妊娠検査薬を使っていなければ、妊娠に気づかないまま終わってしまうことも少なくありません。特別な治療は必要なく、その後の妊娠に影響することもありません。

妊娠週数別の流産の可能性と兆候

流産は、妊娠のどの時期にも起こり得ますが、特に妊娠初期に多く発生します。週数によって、流産の可能性や現れやすい兆候も異なります。

妊娠初期(~12週未満)の流産

全流産の約8割は、この妊娠初期(妊娠12週未満)に集中しています。この時期の流産の主な原因は、胎児側の染色体異常や遺伝子異常など、受精卵側の問題であることがほとんどです。

初期流産の兆候としては、前述の出血(茶褐色~鮮血)と腹痛(生理痛のような痛み)が代表的です。これらの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診して、胎児の心拍や状態を確認してもらう必要があります。

特に流産が多い週数(5~8週)

妊娠5週から8週頃は、胎児の主要な臓器が形成される非常に重要な時期です。この時期に染色体異常などの問題が発生しやすく、初期流産の中でも特にこの期間に多く診断されます。超音波検査で胎嚢や卵黄嚢、そして心拍が確認される時期でもあります。心拍が確認できた後も流産の可能性はありますが、確認できない場合や、確認できたのに見えなくなってしまった場合は、流産の診断となることが多いです。

この時期の兆候は、比較的少量の茶褐色出血から始まり、徐々に鮮血になり、腹痛を伴うという経過をたどることがあります。しかし、稽留流産のように兆候がない場合も多いです。

10週、11週頃の流産について

妊娠10週、11週頃になると、胎児の器官形成期をほぼ終え、流産の確率は妊娠初期の最も高い時期に比べると低下してきます。しかし、残念ながら流産の可能性がゼロになるわけではありません。

この時期に起こる流産の原因も、依然として染色体異常が多いですが、子宮の形態異常や母体の疾患など、他の要因が関わる可能性も出てきます。兆候としては、引き続き出血や腹痛が主なものとなります。この時期に一度心拍が確認できていれば、その後の流産の確率は比較的低くなりますが、気になる症状があればやはり受診が必要です。

妊娠中期以降(12週~)の流産

妊娠12週以降の流産は、後期流産または死産と呼ばれることもあり、妊娠初期に比べるとその確率は大幅に低下します。全妊娠の約1~2%程度とされています。

中期以降の流産の原因は、初期とは異なり、母体側の要因が関わってくることが多くなります。例としては、子宮頸管無力症(子宮の入り口が緩んでしまう)、絨毛羊膜炎などの感染症、常位胎盤早期剥離、母体の全身疾患(高血圧、糖尿病、血栓性素因など)などが挙げられます。

中期以降の流産の兆候としては、出血や腹痛に加え、お腹の強い張り胎動の消失などが挙げられます。出血は初期ほど多くないこともありますが、腹痛や張りは強く、陣痛のような痛みを感じることもあります。胎動を感じている時期であれば、胎動の急な変化や消失は、胎児の安否を示す重要な兆候となるため、すぐに病院へ連絡することが必須です。

流産の原因とリスク

流産は、妊娠した方の約10~15%に起こるとされており、決して珍しいことではありません。多くの流産は、残念ながら防ぐことが難しい原因によって引き起こされます。

流産の主な原因(染色体異常など)

妊娠12週未満の早期流産の最も多い原因は、胎児(受精卵)の染色体異常です。

  • 染色体異常: 受精卵が分裂する過程で、偶然に染色体の数や構造に異常が生じることがあります。これにより、胎児が正常に発育できなくなり、流産に至ります。これは両親の染色体異常が原因である場合もありますが、ほとんどは偶発的に発生するものです。健康なご夫婦から生まれる受精卵にも一定の確率で染色体異常は存在するため、誰にでも起こり得ることです。このタイプの流産は、現在の医療では防ぐことが難しく、母親の行動や年齢が直接の原因となるわけではありません。
  • 母体側の原因: 全体から見ると少数ですが、母体側の要因が流産の原因となることもあります。
    • 子宮の形態異常: 子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮奇形など。
    • 内分泌異常: 糖尿病、甲状腺機能異常、黄体機能不全など。
    • 感染症: TORCH症候群などの特定の感染症。
    • 免疫学的要因: 自己免疫疾患、抗リン脂質抗体症候群など。
    • 血液凝固異常: 血栓ができやすい体質など。
    • 喫煙・飲酒: 胎児の発育に悪影響を及ぼす可能性があります。

流産しやすい人や行動、ストレスとの関連

流産のリスクを高める可能性のある要因はいくつかありますが、特定の行動やストレスが直接的に流産を引き起こすという科学的根拠は少ないのが現状です。

  • 母体の年齢: 特に高齢妊娠(35歳以上)は、流産のリスクが高まります。これは、卵子の老化に伴い染色体異常が発生しやすくなるためです。
  • 流産の既往: 過去に流産を経験したことがある方は、再び流産する可能性がわずかに高まります(習慣流産の場合は専門的な検査・治療が必要です)。
  • 母体の健康状態: 慢性疾患(糖尿病、高血圧、甲状腺疾患など)がある場合、リスクが高まることがあります。妊娠前にこれらの疾患を適切に管理することが重要です。
  • 生活習慣: 喫煙や多量の飲酒は流産のリスクを高めます。妊娠中は避けるべきです。カフェインの過剰摂取も関連が指摘されていますが、少量であれば通常問題ありません。
  • 肥満・やせすぎ: BMIが極端に高い、または低い場合もリスクが上昇すると言われています。
  • 過度な身体的・精神的ストレス: ストレスや過労、激しい運動、仕事などが直接流産を引き起こすという明確な証拠はありません。多くの流産が胎児側の染色体異常であるため、母親が無理をしたから流産した、というわけではないことがほとんどです。しかし、妊娠中は心身ともに無理をせず、体調を整えることが大切です。不安やストレスは溜め込まず、休息を十分に取りましょう。

重要なのは、多くの流産は避けられない原因で起こるということです。ご自身の行動を責める必要はありません。

流産が疑われる場合の対処法

妊娠中に「流産 兆候」かもしれないと感じる症状が現れた場合、最も重要なのは冷静になり、速やかに医療機関に連絡することです。

症状が出た場合にまずすること

  1. 落ち着く: 不安になるのは当然ですが、まずは深呼吸して落ち着きましょう。パニックにならないことが大切です。
  2. 症状の観察: どのような症状が出ているのか、具体的に観察しましょう。
    • 出血: 色(鮮血、茶褐色など)、量(少量、多量)、塊の有無、いつから始まったか。
    • 腹痛: 痛みの性質(生理痛様、差し込むような痛み)、強さ、場所(下腹部全体、片側など)、持続性(一時的か、続くか)、周期性(波があるか)。
    • その他の症状: お腹の張り、腰痛、つわりの変化など。
  3. 安静: 可能であれば、すぐに横になって安静にしましょう。切迫流産の場合は、安静が治療の一つとなります。ただし、緊急性の高い症状(後述)の場合は、安静よりも受診が優先です。
  4. かかりつけ医への連絡: 症状を詳しく伝え、指示を仰ぎましょう。夜間や休日であれば、病院の救急外来に連絡するか、時間外窓口に相談してください。

病院を受診するタイミング

症状の種類や程度によって、受診の緊急性は異なります。

  • すぐに受診すべき場合(緊急性の高い兆候):
    • 生理の時のような多量出血(塊を伴う場合を含む)。
    • 日常生活が困難になるほどの激しい腹痛
    • 出血と強い腹痛が同時に起こっている
    • 妊娠中期以降で、胎動がほとんど感じられない
    • 片側の強い腹痛や肩の痛みを伴う場合(子宮外妊娠の可能性)。

    これらの症状がある場合は、迷わず救急車を呼ぶか、自分で運転せず、誰かに送ってもらうなどして、すぐに病院を受診してください。

  • かかりつけ医に連絡して指示を仰ぐ場合:
    • 少量の出血(茶褐色やピンク色など)があるが、腹痛はほとんどない。
    • 軽い腹痛があるが、出血はない、または少量。
    • 出血や腹痛はあるが、以前にも経験したことがあり、程度も軽い。

    これらの場合は、まずかかりつけ医に連絡し、症状を伝え、予約を取って受診すべきか、すぐに来るべきかなど、指示を受けてください。自己判断で大丈夫だと決めつけないことが重要です。

  • 様子を見ても良いか相談する場合:
    • ごく少量のおりものに混じる程度の茶褐色出血が一時的で、すぐに治まった。
    • 一時的な軽い腹痛で、すぐに消失した。

    気になる症状でも、程度が軽く一時的であれば、次回の健診まで様子を見ることになる場合もあります。しかし、これも自己判断せず、必ず医師に相談した上で判断しましょう。

流産の診断方法

流産が疑われる症状で医療機関を受診した場合、医師は以下のような方法で診断を行います。

医師による診察・検査

  1. 問診: 症状(出血の量・色・期間、腹痛の性質・強さ・期間など)、最終月経日、妊娠歴、既往歴などを詳しく聞かれます。
  2. 内診: 子宮の入り口(子宮頸管)の状態(開いているか、閉じているか)、出血の量などを確認します。
  3. 超音波(エコー)検査: 最も重要な検査です。
    • 妊娠初期: 子宮内に胎嚢(赤ちゃんが入る袋)があるか、胎嚢の大きさ、胎芽(赤ちゃんの元)が見えるか、そして心拍が確認できるかを確認します。胎嚢が見えない、胎芽が見えない、心拍が確認できない(本来見えるべき週数なのに)といった所見から、流産と診断されることがあります。
    • 妊娠中期以降: 胎児の大きさ、心拍、羊水量、胎盤の位置、子宮頸管の長さなどを確認します。胎児の心拍が停止している、羊水が極端に少ない、子宮頸管が短くなっているなどの所見は、流産や切迫流産の兆候となります。
  4. 血液検査: 妊娠ホルモン(hCG)の値などを測定することがあります。hCG値が週数に対して低い、あるいは上昇が見られない場合は、妊娠の継続が難しい可能性が考えられます。ただし、超音波検査ほど確定的な診断には繋がりません。
  5. その他の検査: 母体の感染症の検査や、血栓ができやすい体質かどうかの検査など、原因を探るための検査が行われることもあります。

これらの診察や検査の結果を総合して、医師が流産の診断を行います。

自然流産について

流産の診断を受けた場合、治療法としては「自然に排出されるのを待つ(自然流産)」、「子宮内容除去術などの手術を行う」、あるいは「薬を使って排出を促す」といった選択肢があります。特に初期流産の場合は、自然流産を待つことも少なくありません。

自然流産の経過

稽留流産や進行流産の場合、特別な処置をしないまま待つと、子宮が収縮して妊娠内容物が自然に体外へ排出されます。この過程を自然流産といいます。

自然流産の経過は個人差がありますが、一般的には以下のような流れをたどることが多いです。

  1. 出血と腹痛の開始: 少量だった出血や腹痛が徐々に増してきます。生理痛よりも強い腹痛や、陣痛のような周期的な痛みを感じることもあります。
  2. 内容物の排出: 痛みや出血がピークになった頃に、血の塊や組織片(妊娠内容物)が腟から排出されます。
  3. 症状の落ち着き: 内容物が完全に排出されると、腹痛は和らぎ、出血も徐々に減っていきます。
  4. その後の出血: 生理のような出血が1~2週間程度続くことがあります。

自然流産を待つ場合、どのくらいの期間で始まるか予測できません。また、痛みが強くなることもあります。そのため、医師とよく相談し、起こりうる経過について説明を受けておくことが大切です。完全に排出されず、子宮内に内容物が残ってしまったり(不全流産)、出血が続いたり、感染を起こしたりするリスクがある場合は、手術が必要になることもあります。

自然流産に気づきにくいケース

稽留流産の場合、前述のように目立った兆候がないまま胎児が亡くなっている状態です。この状態から自然に排出が始まる場合、最初は少量の出血や軽い腹痛から始まるため、気づきにくいことがあります。また、化学流産のように、通常の生理と区別がつかない程度の経過で終了する場合もあります。

しかし、多くの場合、妊娠週数が進んでいるほど、自然排出される際の出血や腹痛は強くなる傾向があります。稽留流産と診断された後に自然排出を待つ場合は、症状の変化に注意しておく必要があります。

まとめ:不安な症状があれば専門医へ相談を

この記事では、「流産 兆候」を中心に、流産の種類、週数別の注意点、原因、そして流産が疑われる場合の対処法について解説しました。

  • 流産の主な兆候は、出血腹痛です。出血の色や量、腹痛の性質や強さ、そしてこれらの症状が同時に現れている場合は注意が必要です。
  • 稽留流産のように、目立った兆候がない流産もあります。これは主に妊婦健診の超音波検査で診断されます。化学流産は、妊娠反応が出た後に生理のような出血で終わるもので、医学的な流産には含めないこともあります。
  • 流産の確率は妊娠初期(特に5~8週頃)に最も高く、週数が進むにつれて低下します。中期以降の流産は少なく、原因も母体側の要因が関わることが多くなります。
  • 早期流産の最も多い原因は、胎児側の染色体異常であり、偶発的に起こるものがほとんどです。母体の行動やストレスが直接の原因となるわけではないことがほとんどです。
  • 流産が疑われる症状(出血、腹痛など)が現れた場合は、自己判断せず、必ずかかりつけの産婦人科に連絡して指示を仰ぐことが最も重要です。特に大量出血や激しい腹痛がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
  • 流産の診断は、医師による内診や超音波検査を中心に総合的に行われます。

妊娠中に不安な症状があると、とても心配になりますが、この記事で解説したように、出血や腹痛が全て流産の兆候であるわけではありません。また、多くの早期流産は防ぎようのない原因で起こります。

大切なのは、ご自身の体の変化に注意を払い、少しでも不安な症状があれば、抱え込まずに必ず専門医に相談することです。医師に症状を伝え、適切な診察や検査を受けることで、正確な状況を知ることができます。必要に応じて適切なアドバイスや治療を受けるためにも、躊躇せずに医療機関を受診しましょう。

妊娠期間中は心身ともに無理せず、穏やかに過ごせるように努めてください。そして、何か心配なことがあれば、いつでも専門家を頼ってください。

【免責事項】
この記事は、流産の兆候に関する一般的な情報を提供するものです。個別の症状や状況については、必ず医師や医療専門家にご相談ください。本記事の情報に基づいて行ったいかなる行為についても、その責任を負いかねます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次