ダウン症の予兆は妊娠中にある?エコーと検査でわかること

妊娠中の時期は、新しい命を迎える喜びとともに、赤ちゃんの健康についての様々な不安を感じやすいものです。
特に、ダウン症(21トリソミー)について、「妊娠中に何か予兆があるのだろうか」「どのような検査でわかるのか」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
インターネット上には様々な情報がありますが、中には根拠のないものも散見されます。

この記事では、「ダウン症 妊娠中 予兆」というテーマについて、エコー検査で見られる可能性のある兆候や、妊娠中に受けられる検査の種類と時期について、医学的根拠に基づき解説します。
妊娠中の漠然とした不安を解消し、正確な知識を得るためにお役立てください。

目次

妊娠中に知りたいダウン症の可能性について

ダウン症候群は、正式には「21トリソミー」と呼ばれ、通常2本1対である21番染色体が、生まれつき3本あることによって起こる疾患です。
この染色体異常は、偶然に発生することがほとんどであり、特定の生活習慣や環境が原因となるわけではありません。

ダウン症候群を持つ赤ちゃんは、特徴的な顔立ちや身体的な特徴、発達の遅れなどを伴うことがありますが、その程度は一人ひとり大きく異なります。
知的発達の遅れが見られることが多いですが、多くの人が学校に通い、社会生活を送っています。
また、心臓や消化器などに合併症を持つこともありますが、医療の進歩により、その多くは治療可能です。

妊娠中にダウン症の可能性について知ることは、ご家族にとって様々な意味を持ちます。
出産・育児に向けての心構えや準備、必要な医療的ケアについての情報収集など、前向きな準備を進めるための一歩となる場合もあります。
一方で、可能性を知ることに精神的な負担を感じる方もいらっしゃいます。
どのような情報が必要で、どのような選択をしたいのかは、ご家族それぞれの考え方や価値観によって異なります。

妊娠中に見られる可能性のあるエコーでの兆候

妊娠中の妊婦健診で行われる超音波(エコー)検査は、胎児の発育や羊水量、胎盤の位置などを確認するための非常に重要な検査です。
エコー検査は、ダウン症候群を確定診断する検査ではありません。
しかし、ダウン症候群の赤ちゃんに比較的高頻度で見られるいくつかの身体的特徴(マーカー、あるいはソフトマーカーと呼ばれます)を捉えることができる場合があります。

これらのマーカーは、あくまで「可能性を示唆する所見」であり、これらの兆候が見られたからといって必ずしもダウン症であるわけではありません。
また、これらの兆候が全く見られない場合でも、ダウン症候群である可能性はゼロではありません。
エコー検査は、確定診断のためではなく、あくまでスクリーニング(可能性のふるい分け)の一つとして捉えることが重要です。

エコー検査で見られる具体的な特徴

妊娠中のエコー検査で、ダウン症候群の赤ちゃんに比較的多く見られるとされるいくつかの特徴的な所見があります。
これらは総称して「エコーマーカー」と呼ばれます。
代表的なものをいくつかご紹介します。

NT(項部透明層)の肥厚
妊娠初期(通常11週〜13週6日頃)に、胎児の首の後ろに見られるむくみのような透明な層の厚みを測定します。
胎児の首の後ろのむくみ(NT)は、妊娠11~13週の計測が重要で、一定値以上の厚さは染色体異常リスクの指標となります。
NTの厚さが3mm以上の場合、21トリソミー(ダウン症)のリスクが上昇するとされています。
このNTが基準値よりも厚い場合、ダウン症候群を含む染色体異常や心臓の異常のリスクが高まることが知られています。
NT測定は、コンバインド検査の一部としても行われます。

鼻骨の低形成または欠損
妊娠初期〜中期にかけて、胎児の鼻骨が短い、あるいは確認できない(欠損)といった所見が見られることがあります。
ダウン症候群の赤ちゃんは鼻骨の発育が不十分な傾向があるため、これもマーカーの一つとされます。

心臓の異常
ダウン症候群の赤ちゃんは、約半数に心臓の先天性疾患を合併すると言われています。
最も頻繁に見られるのが心臓中隔欠損といった中隔欠損です。
妊娠中期以降の精密エコー検査で発見されることがあります。

消化管の異常
十二指腸閉鎖(ダブルバブルサイン)や食道閉鎖といった消化管の閉鎖・狭窄が、ダウン症候群の赤ちゃんに見られることがあります。
これらは妊娠中期以降にエコーで確認されることがあります。
十二指腸閉鎖の場合は、胃や十二指腸に羊水が溜まり、「ダブルバブルサイン」と呼ばれる特徴的な所見が見られることがあります。

短肢症(手足が短い)
短大腿骨といった手足の骨の長さが、妊娠週数に対して短い場合も、ダウン症候群のマーカーとされることがあります。

腎盂の拡張
胎児の腎臓の一部である腎盂拡張している所見です。
これも単独で見られることもありますが、他のマーカーと合わせて評価されます。

単一臍帯動脈 (SUA)
通常、臍帯には2本の臍帯動脈と1本の臍帯静脈がありますが、臍帯動脈が1本しかない(単一臍帯動脈)場合があります。
これはダウン症候群だけでなく、他の染色体異常や胎児奇形に関連することもあるため、注意深く観察されます。

その他
その他にも、鎖骨が短い、指の関節が少ない(中節骨欠損)、猿線(手のひらの線が1本)、足の指の間が広い、などがエコーや視診で確認されることがある身体的特徴ですが、エコーで描出されにくいものや、ダウン症以外の赤ちゃんにもよく見られる特徴も含まれます。

特徴からダウン症が疑われる確率

これらのエコーマーカーが見られた場合、個々のマーカーの種類や数、見られた時期などによって、ダウン症候群である可能性が統計的に高まると考えられます。
これらのマーカーは、あくまで統計的リスク評価に限定され、確定診断には至りません。
超音波胎児スクリーニング検査は、胎児の染色体異数性リスクを評価するプログラムであり、ソフトマーカーなどの組み合わせにより、21トリソミー(ダウン症)のリスク尤度比を算出します。この検査は非確定的評価であり、結果解釈には専門的訓練が必要です。

例えば、NT肥厚が見られた場合、その厚みが基準値を超えるほど、染色体異常の可能性は高まります。
複数のエコーマーカーが見られる場合は、単独で見られるよりも可能性がさらに高くなるとされています。

しかし、重要なのは、これらのマーカーはあくまで統計的なリスク評価のためのものであり、確定診断ではないということです。
エコーマーカーが見られても、実際にダウン症候群ではない赤ちゃんの方が圧倒的に多いのが現状です。
逆に、ダウン症候群であっても、エコーマーカーが全く見られない場合もあります。

エコー検査で何らかの気になる所見が指摘された場合は、医師から詳しい説明を受け、不安な点や疑問点は遠慮なく質問しましょう。
必要に応じて、より詳細な検査(精密超音波検査など)や、後述する出生前検査について検討することになります。

エコーで指摘されない場合もある?

はい、ダウン症候群の赤ちゃんでも、妊娠中のエコー検査で明らかな特徴的な兆候が全く見られないというケースは十分にあり得ます。

エコー検査で見られるマーカーは、ダウン症候群の赤ちゃんに「比較的多く見られる傾向がある」というものであって、「必ず見られる」ものではありません。
また、エコーの解像度や胎児の位置、向き、妊娠週数など、様々な要因によってエコー所見の描出やすさは変化します。
例えば、妊娠7週の胎児は大きさ約10mmと小さく、ダウン症の確定所見を捉えるのは困難です。NT(後頸部浮腫)の計測が可能になるのは妊娠11週以降です。

そのため、「妊婦健診のエコーで何も言われなかったから、ダウン症の心配は全くない」と断言することはできません。
エコー検査は、あくまで妊婦健診における胎児の状態を確認する主要な手段であり、ダウン症候群を含むすべての染色体異常や疾患を完璧にスクリーニングできる万能な検査ではないことを理解しておくことが大切です。

エコーで気になる所見が指摘されなかったとしても、もしダウン症候群などの染色体異常について詳しく知りたい、確率を調べたいという希望がある場合は、後述する出生前検査について医師に相談することができます。

妊娠中にダウン症を調べる検査方法と時期

妊娠中に胎児のダウン症候群などの染色体異常について調べる検査には、大きく分けて「非確定検査(スクリーニング検査)」と「確定検査(診断検査)」があります。
それぞれの検査には特徴があり、受けられる時期やわかること、リスクなどが異なります。

これらの検査を受けるかどうかは、ご夫婦やご家族でよく話し合い、それぞれの検査のメリット・デメリット、そして「もし可能性がわかったらどうしたいか」ということを考えた上で、慎重に決定することが重要です。
検査を受けることを検討している場合は、必ず医療機関で遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。

非確定検査(NIPT、コンバインド検査など)

非確定検査は、あくまで「赤ちゃんが特定の染色体異常を持っている可能性が統計的にどのくらい高いか」を調べるための検査です。
陽性や陰性といった結果が出ますが、これは「可能性が高い」「可能性が低い」という意味であり、確定診断ではありません。
検査で高い可能性が示された場合、確定診断のために確定検査を検討することになります。
非侵襲的、あるいは比較的低侵襲な方法で行われるのが特徴です。

検査時期とわかること

NIPT(新型出生前診断)

  • 検査時期: 妊娠10週頃から出産まで可能です。一般的には、妊娠10週以降に受けることが多いです。
  • 検査内容: 母体から採血した血液中に含まれる、胎児由来のDNAの断片を分析します。このDNAの量や比率を調べることで、胎児の染色体異常の可能性を評価します。
  • わかること: 主に21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトー症候群)といった主要な染色体異常について、高い精度で可能性を調べることができます。施設によっては、性染色体異常やその他の染色体異常、微細欠失・重複なども調べられる場合があります。
  • 特徴:
    • メリット: 確定検査のような流産のリスクがない、採血のみで検査可能、比較的早期に検査可能(妊娠10週から)。従来の非確定検査に比べて検出精度が高い(ダウン症に対しては感度・特異度ともに99%程度とされることが多いですが、偽陽性・偽陰性の可能性はあります)。
    • デメリット: 保険適用外で費用が高額(医療機関によって異なる)、あくまで非確定検査であり確定診断には確定検査が必要、偽陽性(陽性と出ても実際は違う)や偽陰性(陰性と出ても実際はダウン症)の可能性がある、検査施設によっては調べられる項目や提供される情報に差がある、など。

コンバインド検査(超音波検査と母体血清マーカー検査の組み合わせ)

  • 検査時期: 妊娠初期(11週〜13週6日頃)に行われます。特にNT(後頸部浮腫)の計測は妊娠11~13週が重要です。
  • 検査内容: 妊娠初期の超音波検査でNT(項部透明層)の厚みを測定し、同時に採血した母体血清中の特定のタンパク質(PAPP-AやhCGなど)の量を測定します。これらの超音波所見や血清マーカーの値と、妊婦さんの年齢などを組み合わせて、ダウン症候群などの確率を算出します。
  • わかること: 21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーといった染色体異常の可能性を統計的に評価します。
  • 特徴:
    • メリット: NIPTより安価な場合がある(施設による)、超音波検査で胎児の形態異常も同時に確認できる、比較的早期に受けられる。
    • デメリット: NIPTに比べて検出精度は低い、偽陽性の確率がNIPTより高い、あくまで非確定検査である。

トリプルマーカー検査・クアトロマーカー検査

  • 検査時期: 妊娠中期(通常15週〜18週頃)に行われます。
  • 検査内容: 母体血清中の特定の物質(AFP、hCG、uE3、インヒビンAなど、トリプルマーカーは3種類、クアトロマーカーは4種類)の濃度を測定し、妊婦さんの年齢などと組み合わせて確率を算出します。妊娠15週以降に実施される母体血清マーカー検査(クアトロテスト)では、これらの値から21トリソミーの確率を推算します。
  • わかること: 21トリソミー、18トリソミー、開放性神経管欠損症などの可能性を評価します。
  • 特徴:
    • メリット: コンバインド検査が可能な時期を過ぎていても受けられる、比較的安価。
    • デメリット: コンバインド検査やNIPTに比べて検出精度は低い、偽陽性の確率が高い、検査時期が中期になるため結果が出る頃には妊娠が進んでいる。

これらの非確定検査は、あくまで次のステップ(確定検査)に進むかどうかを検討するための情報を得る目的で行われます。
陽性(可能性が高い)という結果が出ても、それは確定ではないため、正確な診断のためには確定検査が必要になります。

確定検査(羊水検査、絨毛検査)

確定検査は、胎児由来の細胞を用いて直接染色体を分析し、染色体異常の有無を確定診断するための検査です。
ダウン症の確定的診断には、NIPTや羊水検査など染色体検査が必要です。
非確定検査で高い可能性が示された場合や、エコー検査で強い異常所見が見られた場合などに検討されます。
ただし、これらの検査には流産や破水などのリスクが伴います。

検査時期とわかること

絨毛検査

  • 検査時期: 妊娠初期(通常10週〜13週頃)に行われます。羊水検査よりも早期に受けられるのが特徴です。
  • 検査内容: 経腹的(お腹から)または経頚的(子宮頚部から)に、胎盤の一部である絨毛組織を少量採取します。採取した絨毛組織から得られる胎児の細胞を用いて、染色体を分析します。
  • わかること: 21トリソミーをはじめとする染色体異常の有無を確定診断できます。
  • 特徴:
    • メリット: 妊娠比較的早期に確定診断が得られる。
    • デメリット: 約0.5%〜1%程度の流産リスクがあると言われています。検査手技が羊水検査よりもやや難しいとされることがあります。モザイク(正常な細胞と異常な細胞が混在する状態)の場合、結果の解釈が難しい場合があります。

羊水検査

  • 検査時期: 妊娠中期(通常15週〜18週頃)に行われます。妊娠15週以降に実施可能です。絨毛検査よりも時期が少し遅くなります。
  • 検査内容: 超音波で胎児や胎盤の位置を確認しながら、細い針をお腹から子宮に刺し、羊水を少量採取します。羊水中に浮遊している胎児の細胞を培養し、染色体を分析します。
  • わかること: 21トリソミーをはじめとする染色体異常の有無を確定診断できます。
  • 特徴:
    • メリット: 染色体を直接分析するため、診断精度が非常に高い。比較的安定した手技で行われることが多い。
    • デメリット: 約0.2%〜0.3%程度の流産リスクがあると言われています(ただし、実施施設の経験によってリスクは変動します)。結果が出るまでに培養期間が必要なため、時間がかかります(通常2週間程度)。検査時期が妊娠中期になるため、確定診断が得られるのが遅くなる。

NT肥厚だけで確定診断はできず、確定には羊水検査などが必要です。
確定検査を受けるかどうかは、流産リスクなどのデメリットも踏まえ、非確定検査の結果やご夫婦の考え方、遺伝カウンセリングでの情報提供などを考慮して慎重に判断する必要があります。
確定検査で染色体異常が確定した場合の選択肢についても、事前に十分な情報提供を受けることが大切です。

妊娠初期のつわりとダウン症の関連性

妊娠初期に経験するつわりは、多くの妊婦さんが悩まされる症状です。
吐き気や嘔吐、食欲不振など、その程度や期間は人それぞれ大きく異なります。

インターネット上の情報や個人的な体験談の中には、「つわりが重いとダウン症の可能性が高い」「つわりが軽いと染色体異常がない」といった話を見かけることがあるかもしれません。
しかし、現在の医学において、つわりの程度と胎児のダウン症候群との間に科学的に証明された明確な関連性は確認されていません。

つわりの原因は、妊娠によるホルモンの急激な変化など、様々な要因が複雑に関与していると考えられています。
つわりの重さや有無は、体質やその時の体調などによって異なり、胎児の染色体構成と直接関係するものではないというのが一般的な医学的見解です。

したがって、つわりの程度だけで胎児のダウン症の可能性を判断したり、過度に心配したりする必要はありません。
根拠のない情報に惑わされず、気になる症状がある場合は妊婦健診で医師に相談するようにしましょう。

高齢妊娠とダウン症の確率

ダウン症候群の発生頻度は、母親の年齢が上がるにつれて高くなることが知られています。
これは、卵子が年齢とともに老化し、減数分裂の際に染色体がうまく分離されないことが一因と考えられています。

以下の表は、母体年齢別のダウン症候群(21トリソミー)の赤ちゃんが生まれる確率の目安を示したものです。
ただし、これらの数値はあくまで統計的な平均値であり、個々の妊娠における確率を示すものではありません。

母体年齢 妊娠中のダウン症候群(21トリソミー)の確率(目安)
20歳 約1/1600
25歳 約1/1200
30歳 約1/900
35歳 約1/350
38歳 約1/150
40歳 約1/100
42歳 約1/60
45歳 約1/30

この表からわかるように、35歳頃から確率が上昇し始め、40歳を超えるとさらに顕著になります。
そのため、高齢妊娠の場合は、ダウン症候群などの染色体異常について出生前検査を受けることを検討する方が増える傾向にあります。

しかし、これはあくまで統計的な傾向であり、年齢が若ければダウン症候群の赤ちゃんが生まれないわけではありませんし、高齢であっても多くの場合は健康な赤ちゃんが生まれます。
ダウン症候群の赤ちゃんの多くは、20代、30代の比較的若い母親から生まれています。
これは、高齢出産自体が、出産全体の割合から見ると少ないためです。

母体年齢は、出生前検査を検討する上で考慮すべき要因の一つですが、それだけでダウン症の可能性を決めつけることはできません。
高齢妊娠の方は、出生前検査に関する情報提供や遺伝カウンセリングを積極的に受けることをお勧めします。

ダウン症の可能性と告知の時期

妊娠中にダウン症候群の可能性について知るタイミングは、どのような検査を受けるかによって異なります。

非確定検査(NIPT、コンバインド検査、トリプル/クアトロマーカー検査)

  • これらの検査は、妊娠初期〜中期に行われ、結果が出るまでに通常1週間〜2週間程度かかります。
  • 非確定検査で「可能性が高い」という結果が出た場合、医師や遺伝カウンセラーからその結果についての説明を受けます。この時点ではまだ確定診断ではないため、精密超音波検査や確定検査(羊水検査や絨毛検査)に進むかどうかを検討することになります。告知される内容は、「〇〇トリソミーの可能性が統計的に〇〇分の1です」といった確率に関する情報が主となります。

確定検査(羊水検査、絨毛検査)

  • 絨毛検査は妊娠初期〜中期、羊水検査は妊娠中期に行われます。
  • これらの検査で採取した細胞を培養し、染色体分析を行うため、結果が出るまでに通常2週間〜3週間程度かかります。
  • 確定検査でダウン症候群(21トリソミー)であることが確定した場合、医師からその結果について告知を受けます。この告知は、非確定検査の結果説明よりも重い意味を持ちます。告知の際には、ダウン症候群に関する詳しい情報提供や、今後の妊娠・出産についてのご夫婦の選択肢、出産後の育児に関するサポート体制などについても説明がなされます。

告知を受ける時期は、検査の種類や結果が出るまでの期間、そして確定検査に進むかどうかによって変動しますが、一般的には妊娠初期〜中期にかけて非確定検査を受け、もし「可能性が高い」と出れば中期に確定検査に進み、中期後半〜後期にかけて確定診断の結果を知る、という流れが多く見られます。

どの検査を選択するか、そして結果をどのように受け止め、その後の妊娠・出産についてどのように考えるかは、ご夫婦それぞれの意向や状況によって異なります。
検査を検討する段階から、医療機関や遺伝カウンセラーと十分にコミュニケーションを取り、納得した上で進めることが非常に重要です。

まとめ:妊娠中の不安と向き合うために

「ダウン症 妊娠中 予兆」について、妊娠中のエコー検査で見られる可能性のある兆候や、出生前検査の種類と時期について解説しました。

妊娠中のエコー検査で指摘される身体的特徴(エコーマーカー)は、ダウン症候群の赤ちゃんに比較的多く見られる傾向がありますが、これらはあくまで「可能性を示唆する所見」であり、確定診断ではありません
これらの兆候が見られてもダウン症ではない場合の方がほとんどであり、また、ダウン症であってもエコーで明らかな兆候が見られない場合もあります。
つわりの程度とダウン症の関連性についても、科学的な根拠はありません。
根拠のない情報に過度に振り回されないことが大切です。

妊娠中にダウン症候群などの染色体異常について詳しく知りたい場合は、出生前検査という選択肢があります。
検査には、リスクが低いものの確定診断ではない非確定検査(NIPT、コンバインド検査など)と、確定診断が得られるものの流産リスクなどの伴う確定検査(羊水検査、絨毛検査)があります。
それぞれの検査にはメリット・デメリットがあり、受けられる時期も異なります。

出生前検査を受けるかどうか、どのような検査を選ぶか、そして検査結果をどのように受け止めるかは、非常に個人的でデリケートな問題です。
ご夫婦やご家族で十分に話し合い、「なぜ検査を受けたいのか」「もし可能性がわかったらどうしたいのか」といったことを明確にすることが重要です。

もし妊娠中にダウン症候群の可能性について不安を感じたり、出生前検査についてもっと知りたいと思ったりした場合は、一人で抱え込まずに、必ず医療機関の医師や助産師、遺伝カウンセラーといった専門家に相談してください。
正確な情報提供を受け、それぞれの状況に合ったサポートを受けることが、妊娠中の不安と向き合うための一歩となります。

どのような結果であっても、生まれてくる赤ちゃんにとって最善の道を考え、ご家族で支え合っていくことが何よりも大切です。


免責事項
この記事は、ダウン症候群に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスや診断を行うものではありません。
特定の症状や不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、専門家の診断や指導を受けてください。
この記事の情報に基づいて生じたいかなる結果についても、当方は一切の責任を負いかねます。
出生前検査については、十分な情報提供と遺伝カウンセリングを受けた上で、ご自身の判断と責任において選択してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次