肺炎ってうつるの?感染経路や予防法や対応策を解説

「肺炎はうつる病気なの?」と不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。風邪が悪化して肺炎になったり、他の病気が原因で肺炎を発症することもありますが、肺炎の原因となる病原体によっては、人から人へと感染することがあります。特にご家族や周囲の方にうつさないか、自分が感染しないか、心配になることもあるでしょう。

この記事では、肺炎の原因となる病原体や主な感染経路、うつりやすい人の特徴、感染力のある期間、そして効果的な予防法について解説します。ご自身や大切な方を守るために、肺炎に関する正しい知識を身につけましょう。肺炎に関してご不安な点があれば、お近くの医療機関にご相談ください。

肺炎は、肺の組織に炎症が起きる病気です。この炎症は、主に細菌やウイルスなどの病原体が肺に入り込むことによって引き起こされます。これらの病原体が人から人へ、あるいは環境から人へと移動することで、「うつる」という状況が発生します。

目次

肺炎はうつるのか?感染経路、期間、予防法

肺炎の主な原因となる病原体

肺炎の原因となる病原体は多岐にわたります。最も一般的なのは、細菌による肺炎(細菌性肺炎)と、ウイルスによる肺炎(ウイルス性肺炎)です。

  • 細菌性肺炎: 肺炎球菌が最も多く、日本で発生する市中肺炎(病院外で感染する肺炎)の原因の約20〜40%を占めると言われています。その他、インフルエンザ菌、マイコプラズマ、クラミジアなども原因となります。
  • ウイルス性肺炎: インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、新型コロナウイルスなどが原因となります。これらのウイルスが引き起こす風邪やインフルエンザの症状が悪化して肺炎に至るケースも少なくありません。
  • その他: 真菌(カビ)、リケッチアなどの特殊な病原体によって引き起こされる肺炎や、食べ物などが誤って気管に入り込むことによる誤嚥性肺炎などもあります。ただし、誤嚥性肺炎は通常、病原体が直接人から人へうつるタイプの肺炎ではありません。

人から人にうつる肺炎の多くは、細菌性肺炎やウイルス性肺炎、特に肺炎球菌やインフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなどによるものです。

肺炎の主な感染経路(飛沫・接触感染)

肺炎の原因となる病原体が人から人へうつる主な経路は、「飛沫感染」と「接触感染」です。

  • 飛沫感染: 感染者が咳やくしゃみをした際に飛び散る小さな飛沫(しぶき)の中に病原体が含まれており、それを周囲の人が吸い込むことで感染します。特に、感染者から1〜2メートル以内の距離で起こりやすいとされています。インフルエンザや一部の細菌性肺炎がこの経路で感染します。
  • 接触感染: 感染者が咳やくしゃみを手で押さえたり、鼻をかんだりした後に、その手で周囲の物に触れると、病原体が物に付着します。健康な人がその病原体が付着した物に触れ、その手で目、鼻、口などを触ることで粘膜から病原体が体内に入り込み感染します。ドアノブ、手すり、電車のつり革、共有の筆記用具など、様々な場所で接触感染のリスクがあります。

多くの肺炎の原因病原体は、この飛沫感染や接触感染によって広がります。特に人が集まる場所や、家庭内での感染リスクが高まります。

空気感染はしない?

肺炎の原因病原体の多くは、飛沫感染や接触感染が主な経路であり、「空気感染」は一般的ではありません。空気感染とは、病原体を含む非常に小さな粒子(飛沫核)が空気中を長時間漂い、離れた場所にいる人がそれを吸い込むことで感染するものです。麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)、結核などが空気感染を起こす代表的な病気です。

一般的な細菌性肺炎やウイルス性肺炎は、飛沫が落下しやすい比較的短い距離での感染が主であり、空気感染のような広範囲かつ長時間にわたる感染リスクは低いと考えられています。しかし、病原体の種類によっては例外もあります。例えば、結核菌による肺結核は肺炎の一種であり、空気感染を起こします。また、新型コロナウイルスについても、閉鎖空間や換気の悪い場所ではエアロゾル感染(空気感染に近い形態)のリスクが指摘されています。

この記事で主に扱う一般的な市中肺炎(肺炎球菌性肺炎、インフルエンザ肺炎など)については、飛沫感染と接触感染が主な感染経路であると理解しておきましょう。

肺炎がうつりやすい人・うつりにくい人

肺炎の原因となる病原体に接触しても、必ずしも全員が肺炎を発症するわけではありません。個人の体の状態、特に免疫力が感染リスクに大きく関わってきます。一般的に、免疫力が低下している人は、肺炎にかかりやすく、また重症化しやすい傾向があります。

免疫力が低下している方

人間の体には、病原体が侵入してもそれを排除したり、増殖を抑えたりする「免疫システム」が備わっています。しかし、様々な要因でこの免疫力が低下すると、病原体に対する抵抗力が弱まり、感染しやすくなります。

免疫力が低下する主な要因としては、以下のようなものがあります。

  • 加齢: 年齢とともに免疫機能は徐々に衰えます。
  • 疲労や睡眠不足: 体が疲れていると、免疫システムが十分に機能しません。
  • 栄養不足: バランスの取れた食事は免疫機能を維持するために不可欠です。
  • ストレス: 精神的なストレスも免疫力に影響を与えます。
  • 特定の疾患: 糖尿病、腎臓病、肝臓病、自己免疫疾患、がんなどの病気は免疫力を低下させることがあります。
  • 免疫抑制剤やステロイド薬の使用: 臓器移植後や特定の病気の治療で使用されるこれらの薬剤は、意図的に免疫を抑制するため、感染リスクが高まります。
  • 喫煙: 喫煙は気道の防御機能を低下させ、肺炎にかかりやすくします。

これらの要因に当てはまる方は、日頃からより一層の感染予防対策が必要です。

高齢者や小さなお子さん

免疫機能は、人生の早期(乳幼児期)と後期(高齢期)に特に注意が必要です。

  • 高齢者: 高齢になると、免疫細胞の機能が低下し、新しい病原体に対する反応が鈍くなります。また、咳をする力や痰を出す力が弱まるため、病原体が肺から排除されにくくなります。さらに、複数の基礎疾患を抱えていることも多く、これが免疫力低下や重症化リスクを高める要因となります。
  • 小さなお子さん(特に乳幼児): まだ免疫システムが発達途上であり、様々な病原体に対する免疫がないため、感染しやすい状態です。特に気道が細く、炎症を起こしやすいこともあり、肺炎を発症することがあります。

高齢者施設や保育園・幼稚園などで集団生活を送る環境では、感染が広がりやすいため注意が必要です。

基礎疾患がある方

すでに持病をお持ちの方は、肺炎にかかりやすく、また重症化するリスクが高いことが知られています。特に以下のような疾患をお持ちの方は注意が必要です。

基礎疾患の種類 肺炎にかかりやすい理由
呼吸器疾患 慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、間質性肺炎など。肺や気道の防御機能が低下しており、病原体が侵入・増殖しやすいため。
循環器疾患 心不全、虚血性心疾患など。全身の血流が悪くなり、免疫機能が低下したり、肺のうっ血により病原体が増殖しやすい環境になることがあるため。
糖尿病 免疫機能が低下し、感染症全般にかかりやすくなるため。
腎臓病 免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなるため。
肝臓病 免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなるため。
神経疾患・筋疾患 脳卒中後遺症、パーキンソン病、ALSなど。嚥下機能が低下し、誤嚥性肺炎のリスクが高まるため。
悪性腫瘍 がん自体や、がん治療(化学療法、放射線療法など)により免疫機能が低下するため。
免疫不全疾患 エイズ(HIV感染症)など。免疫システム自体が機能不全に陥っているため。

これらの基礎疾患をお持ちの方は、かかりつけ医と相談しながら、適切な予防策(ワクチン接種など)を検討することが非常に重要です。

肺炎はいつまでうつる?感染力のある期間

肺炎が人から人へうつる可能性がある期間は、原因となる病原体の種類や、治療が開始されたかどうかによって異なります。

病原体ごとの感染期間

主な肺炎の原因となる病原体について、一般的な感染力のある期間は以下の通りです。

  • 肺炎球菌: 抗菌薬による治療が開始されると、通常24時間以内に感染力は大幅に低下すると言われています。治療開始前の喀痰(痰)や鼻汁には病原体が含まれている可能性があります。
  • マイコプラズマ: 感染初期から症状が軽快して数週間、あるいは治療開始後数日間は感染力があると考えられています。比較的長く感染力を持つ可能性があります。
  • インフルエンザウイルス: 発症前日から発症後5〜7日間程度が感染力のある期間とされています。特に症状が強く出ている期間(発熱など)に感染力が高い傾向があります。抗インフルエンザ薬による治療が開始されると、感染力のある期間が短縮されることがあります。
  • RSウイルス: 乳幼児では1週間〜数週間にわたってウイルスを排出し続けることがあります。比較的長く感染力を持つ可能性があります。
  • 新型コロナウイルス: 発症2日前から発症後7〜10日間程度が感染力のある期間とされています。発症直前・直後が特に感染力が高いと言われています。ウイルスの種類(変異株)や個人の免疫状態によって変動する可能性があります。
  • 結核菌: 排菌している(痰の中に結核菌が含まれている)期間に感染力があります。適切な治療(抗結核薬)が開始され、排菌が止まると感染力はなくなります。治療開始から排菌が止まるまでには通常2週間〜数週間かかります。

肺炎の原因を特定することが、感染期間を把握し、適切な対策をとる上で重要になります。自己判断せず、医師の診断を仰ぐことが大切です。

治療開始後の感染力

細菌性肺炎の場合、適切な抗菌薬による治療が開始されると、病原体の増殖が抑えられ、体内から排出される量が減少するため、感染力は急速に低下します。多くのケースで、治療開始から24時間〜数日で感染力はほとんどなくなると考えられています。

ウイルス性肺炎の場合も、抗ウイルス薬がある場合は治療により感染力のある期間が短縮されることがあります。しかし、ウイルスによっては特効薬がない場合もあり、その場合は症状が軽快し、病原体の排出が収まるまで感染力があると考えられます。

いずれの場合も、症状が続いている間や、特に咳や痰が多く出ている間は、飛沫や接触による感染リスクがあるため、注意が必要です。治療を開始し、症状が落ち着いてきても、念のためしばらくの間は感染予防対策を継続することが推奨されます。具体的な隔離期間や注意点については、医師の指示に従うようにしましょう。

肺炎の感染を予防する方法

肺炎の感染を防ぐためには、病原体が体内に入り込むのを防ぐことが重要です。日頃からできる基本的な感染対策に加え、リスクに応じた予防策を組み合わせることで、効果的に肺炎を予防することができます。

感染者との適切な距離と対策

飛沫感染を防ぐためには、感染者との距離を適切に保つことが有効です。

  • 物理的な距離: 咳やくしゃみが飛ぶ範囲は1〜2メートル程度と言われています。可能な限り、感染者とはこの距離を保つようにしましょう。
  • マスクの着用: 感染者自身がマスクを着用することで、飛沫の飛散を大幅に抑えることができます。周囲の人もマスクを着用することで、飛沫を吸い込むリスクを減らせます。
  • 咳エチケット: 咳やくしゃみが出る際は、口と鼻をティッシュやハンカチ、あるいは袖の内側で覆い、飛沫が飛び散らないようにしましょう。使用済みのティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、手を洗いましょう。

感染者と接する機会がある場合は、これらの対策を徹底することが重要です。

マスク着用、手洗い、うがい

インフルエンザや新型コロナウイルスなど、飛沫・接触感染する多くの感染症と同様に、肺炎予防においても基本的な衛生習慣が非常に効果的です。

  • マスク着用: 人混みの中や、感染リスクが懸念される場所では、不織布マスクなどを正しく着用しましょう。自身の飛沫拡散を防ぐだけでなく、飛沫を吸い込むリスクも減らすことができます。
  • 手洗い: 外出から帰宅した際、食事の前、咳やくしゃみをした後、鼻をかんだ後などは必ず石鹸と流水で丁寧に手を洗いましょう。指の間、爪の間、手首までしっかり洗うことが重要です。アルコール手指消毒液も、石鹸と水が使えない場合に有効です。
  • うがい: 帰宅後や、人が多く集まる場所にいた後などにうがいをすることで、喉や口の中についた病原体を洗い流す効果が期待できます。

これらの習慣を日常的に行うことで、様々な感染症の予防につながります。

肺炎球菌ワクチンなどの予防接種

肺炎の原因となる病原体の中には、ワクチンで予防できるものがあります。特に肺炎にかかりやすい方にとっては、ワクチン接種が非常に有効な予防策となります。

ワクチンの種類 予防できる病原体 主な対象者 備考
肺炎球菌ワクチン 肺炎球菌 高齢者(定期接種:65歳)、小児(定期接種)、基礎疾患がある方など 成人向けには複数種類(23価莢膜ポリサッカライドワクチン、13価結合型ワクチン)がある。
インフルエンザワクチン インフルエンザウイルス 生後6ヶ月以上すべての方(特に高齢者、基礎疾患がある方、妊婦、医療従事者など) 接種してもインフルエンザにかかる可能性はあるが、重症化や肺炎合併のリスクを減らす効果がある。
新型コロナワクチン 新型コロナウイルス 生後6ヶ月以上すべての方 発症予防に加え、重症化や肺炎合併のリスクを減らす効果がある。

これらのワクチンについて、ご自身の年齢や健康状態に応じて接種が推奨される場合があります。かかりつけ医と相談し、積極的にワクチン接種を検討しましょう。

免疫力を高める生活習慣

免疫力を維持・向上させることは、病原体に対する体の抵抗力を高める上で非常に重要です。

  • バランスの取れた食事: 様々な種類の栄養素を偏りなく摂取しましょう。特にタンパク質、ビタミン(特にA, C, D, E)、ミネラル(亜鉛など)は免疫機能に関わります。
  • 十分な睡眠: 睡眠不足は免疫力を低下させます。毎日規則正しい時間に、質の良い睡眠を確保しましょう。
  • 適度な運動: 適度な運動は血行を良くし、免疫細胞の働きを活性化させます。ただし、過度な運動はかえって免疫力を低下させることもあるため、無理のない範囲で行いましょう。
  • 禁煙・節酒: 喫煙は気道の防御機能を著しく低下させます。過度な飲酒も免疫力を低下させる可能性があります。
  • ストレス管理: ストレスは免疫システムに悪影響を与えます。趣味やリラクゼーションなど、自分に合った方法でストレスを解消しましょう。
  • 体の冷えを防ぐ: 体温が低いと免疫機能が低下しやすいと言われています。体を冷やさないように注意しましょう。

これらの健康的な生活習慣は、肺炎だけでなく様々な病気の予防につながります。

家族が肺炎になった場合の注意点と対策

もしご家族が肺炎と診断された場合、家庭内で他の家族への感染を防ぐために、いくつかの点に注意し、対策を行うことが重要です。

家庭内で気をつけること

  • 部屋を分ける: 可能な限り、感染者の方と他の家族が同じ部屋で過ごす時間を減らしましょう。別々の部屋で休むのが理想的です。
  • 換気: 定期的に窓を開けるなどして部屋の換気を行いましょう。空気中の病原体の濃度を下げる効果があります。1時間に数回、数分程度でも有効です。
  • マスク着用: 感染者の方も、看病する方も、他の家族も、部屋を移動する際や近くで会話する際にはマスクを着用しましょう。
  • 手洗い・手指消毒の徹底: 感染者本人も、看病する人も、他の家族も、こまめに手洗い・手指消毒を行いましょう。特に感染者の世話をした後や、感染者が触れた可能性のある場所に触れた後は必ず行います。
  • タオル・食器・コップなどの共有を避ける: 感染者の使用したタオル、食器、コップ、歯ブラシなどは他の家族と共有しないようにしましょう。
  • ドアノブ、電気のスイッチなどの消毒: 感染者がよく触れる場所(ドアノブ、電気のスイッチ、リモコン、水道の蛇口など)は、定期的にアルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどを用いて消毒するとより安心です。

看病する際のポイント

ご家族の看病をする際は、自身の感染を防ぐためにも以下の点に注意しましょう。

  • マスク・手袋の着用: 痰の処理やおむつ交換など、感染者の体液に触れる可能性がある場合は、マスクに加え使い捨ての手袋を着用しましょう。
  • 衣類の洗濯: 感染者の使用した寝具や衣類は、分けて洗濯する必要は必ずしもありませんが、通常の洗剤を使用して洗濯すれば問題ありません。できれば他の家族の物とは分けて洗う方がより安心かもしれません。
  • ゴミの扱い: 感染者の使用したティッシュやマスクなどは、ビニール袋に入れて密閉し、適切に処理しましょう。
  • 体調管理: 看病する側も、十分な睡眠と栄養を取り、自身の免疫力を維持することが大切です。体調に異変を感じたら、無理せず休養し、必要であれば医療機関に相談しましょう。

これらの対策は、インフルエンザや新型コロナウイルスなど、他の感染症の家庭内感染予防にも共通する基本的な事項です。

肺炎がうつったかもしれない時の症状と受診目安

肺炎にかかった場合の症状は、原因となる病原体や個人の健康状態によって様々ですが、典型的な症状を知っておくことで、早期の発見や適切な対応につながります。

肺炎の初期症状

肺炎の初期症状は、風邪の症状と似ていることが多く、見分けがつきにくい場合があります。

一般的な肺炎の初期症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 発熱: 比較的高い熱が出ることが多いですが、高齢者などではあまり熱が出ない場合もあります。
  • 咳: 乾いた咳から始まり、次第に痰が絡む湿った咳になることが多いです。痰の色は黄色や緑色になることもあります。
  • 痰: 咳に伴って痰が出ます。量が増えたり、色がつくことがあります。
  • 息切れ・呼吸困難: 階段を上るなど軽い労作でも息切れを感じたり、安静時でも息苦しさを感じることがあります。肺炎が進行すると呼吸が速くなったり、浅くなったりします。
  • 胸の痛み: 呼吸をしたり、咳をしたりする際に胸が痛むことがあります。
  • 全身倦怠感: 体がだるく、疲れやすいと感じます。
  • 食欲不振: 食欲がなくなることがあります。

高齢者では、典型的な症状が出にくく、元気がない、食欲がない、意識がぼんやりするといった非典型的な症状で始まることもあります。また、誤嚥性肺炎の場合は、発熱や咳に加え、むせ込みやすくなる、食事中にゴホゴホするという症状が見られることがあります。

病院を受診すべきタイミング

風邪症状と思って様子を見ていても、以下のような症状が見られる場合は、肺炎の可能性も考えられるため、早めに医療機関を受診しましょう。

症状 受診目安
38℃以上の発熱が数日続く 解熱剤を飲んでも熱が下がらない、または一時的に下がってもすぐにまた上がる場合。
咳や痰がひどく、なかなか改善しない 咳が止まらない、夜間にひどくなる、痰の量が増えたり、色が濃くなったりする場合。
息切れや呼吸困難を感じる 安静時でも息苦しさを感じる、少し動くだけで息が切れる、呼吸が速い・浅い、会話をするのがつらい場合。
胸の痛みが続く 特に深呼吸や咳をする際に痛む場合。
全身の状態が悪い(だるさ、食欲不振など)が続く 食事がとれない、水分もあまり飲めない、意識がはっきりしないなど。
基礎疾患がある方で、普段より体調が明らかに悪い 糖尿病の血糖コントロールが悪化、心不全の症状が悪化、呼吸器疾患の症状が悪化など。
高齢者や小さなお子さんで、普段より様子がおかしいと感じる 元気がない、ぐったりしている、ミルクの飲みが悪い、機嫌が悪いなど。
誤嚥の可能性があり、その後発熱や咳が出ている 食事中や食後にむせ込んだ後、数時間〜数日経ってから症状が出た場合。

これらの症状は、肺炎以外の病気でも起こり得ますが、肺炎の可能性を念頭に置き、医師の診察を受けることが大切です。特に息苦しさが強い場合や、意識状態がおかしい場合は、速やかに救急医療機関を受診してください。

医療機関では、問診、聴診、レントゲン検査、血液検査、喀痰検査などを行い、肺炎かどうか、原因は何かなどを診断します。早期に診断を受けて適切な治療を開始することが、重症化を防ぐ上で非常に重要です。

まとめ

肺炎は、原因となる病原体によって人から人へうつる可能性がある感染症です。特に肺炎球菌やインフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなどによる肺炎は、主に飛沫感染や接触感染によって広がります。

肺炎がうつりやすいのは、高齢者や小さなお子さん、免疫力が低下している方、そして糖尿病や心臓病、呼吸器疾患などの基礎疾患をお持ちの方です。これらのリスクが高い方は、特に注意が必要です。

感染力のある期間は病原体の種類によって異なりますが、多くの場合は症状が出ている期間や、治療開始から数日間は感染力があると考えられます。適切な抗菌薬や抗ウイルス薬による治療が始まると、感染力は低下していきます。

肺炎の感染を予防するためには、マスクの着用、手洗い、うがいといった基本的な衛生習慣が非常に重要です。また、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンなどの予防接種は、肺炎の発症や重症化を防ぐ上で非常に効果的です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動といった免疫力を高める生活習慣も大切です。

もしご家族が肺炎にかかった場合は、部屋を分ける、換気を徹底する、タオルなどを共有しない、こまめに手洗い・消毒を行うなどの家庭内での感染対策を行いましょう。看病する際は、マスクや必要に応じて手袋を着用することも二次感染予防につながります。

肺炎の初期症状は風邪と似ていますが、高熱が続く、咳や痰がひどい、息切れや呼吸困難があるといった症状が見られる場合は、肺炎の可能性も考えられます。特にリスクの高い方や、症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

肺炎は予防や早期治療が可能な病気です。正しい知識を持って、ご自身や大切な方を肺炎から守りましょう。ご不明な点やご不安なことがあれば、お近くの医療機関にご相談ください。

免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の病状や治療法に関する医学的なアドバイスではありません。具体的な診断や治療については、必ず医師にご相談ください。

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