糖尿病の間食、これで大丈夫!血糖値を守る「質・量・タイミング」の秘訣

糖尿病と診断された方の中には、「もう間食は一切できないのだろうか」と不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、無計画な間食は血糖値のコントロールを難しくし、糖尿病の合併症リスクを高める可能性があります。しかし、すべての間食がダメというわけではありません。

糖尿病でも、工夫次第で間食を楽しむことは可能です。大切なのは、何を、どれだけ、いつ食べるか、という「質」「量」「タイミング」を意識することです。正しい知識を身につけ、賢く間食を選べば、日々の生活に彩りを加えながら、良好な血糖コントロールを目指すことができます。

この記事では、糖尿病の間食が血糖値に与える影響、おすすめの間食の選び方、適切な量やタイミングについて詳しく解説します。さらに、1型糖尿病の方の間食の考え方や、専門家からの指導についてもご紹介します。

目次

糖尿病患者は間食しても大丈夫?

結論から言うと、糖尿病患者さんでも間食をすることは可能です。ただし、健康な方と同じように好きなものを好きなだけ食べて良いわけではありません。糖尿病の管理においては、日々の食事全体のバランスと血糖値のコントロールが最も重要です。間食は、このバランスを崩す要因となり得るため、注意が必要です。

過去には「糖尿病だから間食は一切禁止」と言われることもありましたが、現在の糖尿病治療の考え方では、個々のライフスタイルや血糖コントロールの状態に合わせて、適切に間食を取り入れることも選択肢の一つと考えられています。

間食の目的は、主に以下の点が挙げられます。

  • 次の食事までの空腹を和らげる
  • 低血糖の予防(特にインスリン療法を行っている場合)
  • 気分転換や満足感を得る

米国糖尿病協会は、血糖値を安定させるために4~5時間ごとのバランスの取れた食事を推奨しており、間食はこの推奨される食事スケジュールを維持するのに役立つ可能性があるとしています。(Clemson University Cooperative Extensionより)これらの目的を踏まえつつ、血糖値に配慮した間食選びが求められます。

間食の可否より「質」と「量」「タイミング」が重要

間食ができるかできないか、という二者択一で考えるのではなく、「どのような間食を」「どのくらいの量」「いつ食べるか」に焦点を当てることが非常に重要です。

  • 質: 血糖値を急激に上げにくい食品を選ぶことが基本です。砂糖が多く含まれるものや、精製された炭水化物は避けるべきです。食物繊維やタンパク質を含む食品は、血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できます。
  • 量: 摂取カロリーや糖質の量が過剰にならないよう、あらかじめ量を決めておくことが大切です。一度にたくさんの量を食べるのは避けましょう。一般的に、間食で摂る炭水化物の量は5~30g程度に抑えることが推奨されています。(Clemson University Cooperative Extensionより)
  • タイミング: 食事の直前や寝る前は、血糖値が上昇しやすくなるため避けるべきです。食事と食事の間に適度な時間を取り、空腹感が強い時に少量の間食を摂るのが望ましいとされています。

これらの「質」「量」「タイミング」を意識することで、間食が血糖コントロールの妨げになるリスクを減らし、むしろ空腹によるドカ食いを防いだり、低血糖を予防したりといった良い効果をもたらす可能性もあります。

糖尿病の間食が血糖値に与える影響(ダメな理由)

無計画な間食が糖尿病の管理にとって「ダメな理由」は、主に血糖値の変動とそれに伴う体への負担にあります。

血糖値の急激な上昇(血糖値スパイク)

特に砂糖や精製された炭水化物を多く含むお菓子や清涼飲料水などは、摂取後すぐに消化・吸収され、血液中のブドウ糖濃度を急激に上昇させます。これが「血糖値スパイク」と呼ばれる現象です。

血糖値スパイクが頻繁に起こると、血管の内壁が傷つきやすくなり、動脈硬化を進行させるリスクが高まります。動脈硬化は、糖尿病の三大合併症(神経障害、網膜症、腎症)だけでなく、心筋梗塞や脳卒中の原因にもなります。

また、血糖値が急上昇した後は、それを下げるために体から大量のインスリンが分泌されます。インスリンの過剰な分泌は、膵臓の負担を増やし、インスリンを分泌する機能がさらに低下する悪循環を招く可能性があります。

インスリン分泌への負担増

糖尿病患者さんの多くは、インスリンの働きが十分でないか、インスリンの分泌量が少ない状態です。間食によって血糖値が上昇すると、その血糖値を下げるために残っているインスリンをさらに分泌させる必要があります。
毎日のように血糖値を急激に上げるような間食を続けていると、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞は疲弊し、その機能はさらに低下していきます。これは、糖尿病の病状を進行させることにつながります。インスリン治療を行っている場合でも、想定外の血糖上昇はインスリン量の調整を難しくさせます。

カロリー過多による体重増加

多くの場合、間食は食事とは別に摂取されるため、一日の総摂取カロリーを増加させる傾向があります。特に、小さなお菓子や飲み物でも、意外とカロリーが高いことがあります。

糖尿病患者さんの多くは、肥満やメタボリックシンドロームを合併しています。過剰なカロリー摂取による体重増加は、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる状態)を悪化させ、血糖コントロールをさらに困難にします。体重管理は糖尿病治療の基本の一つであり、間食によって体重が増加することは、治療の効果を打ち消してしまう可能性があります。

したがって、間食は単に空腹を満たす行為としてではなく、血糖値やカロリー摂取に与える影響を十分に理解した上で、計画的に取り入れる必要があります。

糖尿病でも安心!おすすめの間食の選び方

糖尿病患者さんが間食を選ぶ際には、血糖値を急激に上げにくい食品を選ぶことが最も重要です。以下のポイントを参考に、賢く間食を選びましょう。

低GI食品を選ぶ

GI(グリセミック・インデックス)は、食品に含まれる糖質がどれくらいの速さで血糖値を上昇させるかを示す指標です。GI値が低い食品は、血糖値の上昇を緩やかにする傾向があります。

低GI食品の一般的な特徴:

  • 食物繊維が豊富
  • 精製されていない穀物
  • タンパク質や脂質を含む食品

具体的には、野菜、きのこ類、海藻類、豆類、乳製品などが低GI食品に分類されます。間食としては、これらの食品を原料としたものや、これらそのものを選ぶのがおすすめです。

逆に、高GI食品(白いご飯、パン、麺類、砂糖を多く含むお菓子や飲み物、じゃがいもなど)は血糖値を急激に上げるため、間食には不向きです。

食物繊維やタンパク質が豊富な食品

食物繊維やタンパク質は、糖質の消化・吸収を遅らせる働きがあります。これにより、食後の血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待できます。

  • 食物繊維: 野菜、きのこ、海藻、豆類、ナッツ類などに豊富に含まれます。これらは満腹感を得やすく、食べ過ぎ防止にもつながります。
  • タンパク質: 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などに豊富に含まれます。タンパク質は筋肉量の維持にも重要であり、基礎代謝の維持にも役立ちます。

間食を選ぶ際には、これらが含まれているかどうかも重要な判断基準となります。

おすすめ間食リスト

具体的に、どのようなものが間食に適しているのでしょうか。以下にいくつか例を挙げ、それぞれの特徴と注意点を説明します。

チーズ

チーズはタンパク質と脂質が豊富で、糖質がほとんど含まれていません。そのため、血糖値への影響が少なく、満腹感も得やすい間食と言えます。

  • 選び方のポイント: プロセスチーズよりもナチュラルチーズの方が添加物が少ない場合が多いですが、どちらも糖質は少ないです。種類によって脂質量が異なるため、脂質の摂取量も考慮して選びましょう。塩分の摂りすぎにも注意が必要です。
  • 適量: スライスチーズなら1~2枚、ベビーチーズなら1~2個程度が目安です。

ナッツ類

アーモンド、くるみ、ピーナッツなどのナッツ類も、食物繊維、タンパク質、良質な脂質が豊富で、低GI食品です。ビタミンやミネラルも含まれています。

  • 選び方のポイント: 素焼きで無塩のものを選びましょう。油で揚げてあったり、塩分や砂糖が添加されているものは避けてください。
  • 適量: 脂質が高カロリーなので、食べ過ぎは禁物です。片手に軽く一杯乗る程度(約20g、アーモンドなら20粒程度)を目安にしましょう。

ヨーグルト

無糖ヨーグルトは、タンパク質やカルシウムが豊富で、血糖値の上昇を緩やかにします。腸内環境を整える善玉菌も含まれています。

  • 選び方のポイント: 必ず無糖のものを選んでください。加糖ヨーグルトやフルーツソース入りのものは糖分が多く含まれています。プレーンヨーグルトに、血糖値への影響が少ない果物(後述)を少量加えるのは良いでしょう。
  • 適量: 100g〜150g程度が目安です。

血糖値への影響が少ない果物

果物には果糖が含まれているため、種類によっては血糖値を上げやすいものもあります。しかし、種類を選び、量を控えめにすれば、ビタミンや食物繊維の補給源として間食に取り入れることも可能です。

  • おすすめの果物: いちご、ブルーベリー、ラズベリーなどのベリー類は比較的糖質が少なく、食物繊維や抗酸化物質が豊富です。アボカドも良質な脂質が多く、血糖値への影響が少ない果物です。
  • 避けるべき果物: バナナ、ぶどう、柿、缶詰の果物などは糖質が多い傾向にあるため、少量にするか避けた方が良いでしょう。
  • 適量: 1日の果物の摂取量として、両手のひらに乗る程度の量が推奨されています。間食として摂る場合は、その一部(例えばいちご5~6粒、ブルーベリー一掴み程度)に留めましょう。ジュースは食物繊維が失われやすく血糖値を急激に上げるため、果物そのものを食べる方が良いです。

これらの他にも、ゆで卵や、野菜スティックなども良い間食の選択肢となります。

避けるべき間食の種類

糖尿病患者さんが間食で最も避けなければならないのは、血糖値を急激に上昇させ、カロリー過多になりやすい食品です。

砂糖や炭水化物の多いもの

これらは血糖値スパイクの主な原因となります。

  • 具体例:
  • 清涼飲料水、加糖コーヒー・紅茶: 液体は吸収が早く、大量の砂糖が含まれていることが多いです。
  • 菓子パン、ドーナツ: 砂糖、バター、小麦粉などが多く使われており、高カロリーで血糖値を上げやすいです。
  • ケーキ、チョコレート、クッキー、飴: 砂糖が主成分であり、少量でも血糖値に大きく影響します。
  • ポテトチップス、スナック菓子: 炭水化物と脂質が多く、塩分も高めです。

これらの食品は、たとえ少量でも血糖値に与える影響が大きいため、極力避けるようにしましょう。

加工食品や菓子類

これらの多くは、砂糖、塩分、脂質が多く添加されているだけでなく、食物繊維やビタミン・ミネラルなどの栄養素が少ない「エンプティカロリー」になりがちです。

  • 具体例: 市販のゼリー、プリン(無糖・低糖質タイプを除く)、アイスクリーム、和菓子の一部(大福、団子など餡子や砂糖が多いもの)。

加工度が高い食品は、原材料や栄養成分表示をよく確認し、糖分や脂質が少ないものを選ぶようにしましょう。理想的には、自然な食品そのままの形に近いものを選ぶのが望ましいです。

おすすめ間食と避けるべき間食の比較

間食の種類 特徴 おすすめ度 避けるべき理由
チーズ タンパク質、脂質豊富、糖質ほぼなし、低GI 脂質・塩分量に注意
ナッツ類(素焼き無塩) 食物繊維、タンパク質、良質な脂質豊富、低GI 高カロリーのため食べ過ぎに注意
無糖ヨーグルト タンパク質、カルシウム豊富、低GI 加糖タイプは糖分過多
ベリー類(いちご、ブルーベリー等) 糖質比較的少なく、食物繊維、ビタミン豊富 量に注意
ゆで卵 タンパク質豊富、糖質ほぼなし コレステロールを気にする方は適量に
野菜スティック 食物繊維、ビタミン豊富、低カロリー、低GI マヨネーズなどの高カロリーソースは避ける
清涼飲料水、加糖飲料 砂糖多量、吸収が早い、血糖値スパイクの原因 血糖値急上昇、カロリー過多
菓子パン、ドーナツ 砂糖、脂質、精製炭水化物多量、高カロリー 血糖値急上昇、カロリー過多、栄養価低い
ケーキ、チョコレート、クッキー、飴 砂糖が主成分、高カロリー 血糖値急上昇、カロリー過多
ポテトチップス、スナック菓子 炭水化物、脂質、塩分多量 血糖値上昇、カロリー過多、塩分過多

糖尿病の間食の適切な量とタイミング

間食は、何を食べるかだけでなく、どれだけ食べるか、そしていつ食べるかも非常に重要です。

一日の間食目安量

間食で摂って良い量は、個々の糖尿病の状態、治療法、活動量、そして全体の食事療法計画によって異なります。一律に「何キロカロリーまで」と断言することは難しいですが、一般的には、1日の総摂取カロリーの10%以内に抑えることが推奨されることが多いです。

例えば、1日の摂取カロリー目安が1600kcalの方であれば、間食のカロリーは160kcal程度が目安となります。この量は、前述のナッツ類であれば20g程度、チーズなら2個程度に相当します。また、間食で摂る炭水化物の量は5gから30g程度に留めることが推奨されています。(Clemson University Cooperative Extensionを参照)

また、カロリーだけでなく、糖質の量にも注意が必要です。糖質が少ない間食であれば、多少カロリーがあっても血糖値への影響は抑えられます。しかし、脂質が多い食品はカロリーが高くなりがちなので、やはり量には注意が必要です。

間食の量については、必ずかかりつけの医師や管理栄養士に相談し、個別の食事療法計画の中でどれくらいまで許容されるのかを確認することが最も安全で確実です。

間食に最適な時間帯

間食を摂るタイミングも、血糖値コントロールにおいて非常に重要です。

  • おすすめのタイミング:
  • 朝食と昼食の間、昼食と夕食の間: 食事と食事の間隔が長く空き、空腹感が強い時間帯です。特に午後の遅い時間は、夕食までの時間が長く、活動量も減ってくるため、少量の間食で空腹を紛らわせるのが効果的な場合があります。
  • 運動の前後: 運動前に少量の間食(特に糖質を含むもの)を摂ることで、運動中のエネルギー源とする、あるいは運動後の低血糖を予防することができます。ただし、これは個々の運動強度や時間、現在の血糖値によって判断が必要です。
  • 避けるべきタイミング:
  • 食事の直前: 食事の前に間食をすると、その後の食事でさらに血糖値が上昇しやすくなります。また、食事が食べきれず、食事療法全体のバランスが崩れる可能性もあります。
  • 寝る前(就寝2~3時間前以降): 寝る前に食べると、血糖値が高いまま就寝することになり、夜間の高血糖(ナイトメア現象など)や、翌朝の高血糖(暁現象など)につながるリスクがあります。また、消費されなかったエネルギーは体脂肪として蓄積されやすくなります。

特に低血糖のリスクがある方(インスリン療法や一部の飲み薬を使用している方)は、空腹時や運動前に計画的に間食を摂ることが、低血糖予防のために重要となります。この場合も、どのような間食をどのくらい摂るべきか、事前に医師や管理栄養士と相談しておきましょう。

食事療法全体のバランス

間食は、あくまで1日の食事療法全体の一部として考える必要があります。間食で何かを食べる分、3食の食事で調整するなど、1日の総摂取カロリーや糖質量が目標値を超えることがないように配慮しなければなりません。

例えば、間食で果物を食べた場合は、その日の他の食事で果物を控える、あるいは主食の量を減らすなどの調整が必要になることもあります。

間食を含めた日々の食事内容を記録する「食事記録」は、食事療法のバランスを把握し、改善点を見つける上で非常に役立ちます。食べたもの、量、時間、そして可能であれば食後の血糖値を記録することで、どのような間食が自分の体に合っているのか、避けるべき間食は何か、などを具体的に把握することができます。

1型糖尿病の場合の間食とインスリン注射

1型糖尿病の方は、自己の膵臓からインスリンがほとんど、あるいは全く分泌されないため、インスリン療法が必須です。間食を摂る際には、血糖値を上昇させる糖質の量(カーボハイドレート)に合わせてインスリン量を調整する「カーボカウント」の考え方が重要になります。

インスリンの種類と間食の関連性

インスリン療法には、基礎分泌を補う持効型(または中間型)インスリンと、食事による血糖上昇を抑える超速効型(または速効型)インスリンがあります。

  • 持効型/中間型インスリン: これらは1日を通して一定の効果が持続するため、基礎的な血糖値をコントロールします。間食の有無にかかわらず、概ね決まった時間に注射します。
  • 超速効型/速効型インスリン: 食事の直前や食後すぐに注射し、食事で摂取した糖質による血糖上昇を抑えます。食事の際に摂取する炭水化物の量に合わせて、超速効型または速効型インスリンの量を調整することが重要です。(CDCを参照)間食を摂る場合、間食に含まれる糖質の量に応じて、この超速効型/速効型インスリンを追加で注射(追加打ちやスポット打ちなどと呼ばれる)することがあります。

間食の内容(特に糖質量)によって、追加で注射するインスリンの単位数が変わってきます。

カーボカウントの考え方

カーボカウントは、食品に含まれる糖質量(カーボハイドレート)を計算し、その量に応じて必要なインスリン量を決定する方法です。特に、食事ごとに超速効型/速効型インスリンの量を調整する強化インスリン療法を行っている場合に有効です。米疾病対策センター(CDC)によると、糖尿病の食事計画において、炭水化物1サービングは約15gとされています。(CDCより)

間食を摂る場合、まずその間食に含まれる糖質量を把握します(食品表示を見たり、食品交換表などを参考に計算します)。そして、自分のインスリン効果値(カーボインスリン比:糖質何gに対してインスリン何単位が必要か)を基に、必要なインスリン量を計算して注射します。

  • 例: カーボインスリン比が「糖質10g = インスリン1単位」の方で、間食に糖質20gを含む食品を食べる場合、追加でインスリン2単位を注射する、といった具合です。

カーボカウントを習得することで、食事や間食の自由度が高まり、より柔軟な糖尿病管理が可能になります。しかし、カーボカウントは専門的な知識や練習が必要です。必ず医師や管理栄養士から指導を受け、適切に行うようにしましょう。誤ったインスリン量で注射すると、高血糖や重症低血糖を引き起こすリスクがあります。

1型糖尿病の方の間食は、単に空腹を満たすだけでなく、低血糖予防や運動時のエネルギー補給といった目的を持つことも多いです。これらの目的や、間食の内容に合わせて、インスリン注射のタイミングや量を調整することが重要になります。

糖尿病の間食指導について

糖尿病患者さんが間食を上手に取り入れるためには、専門家からの指導を受けることが非常に有効です。自己判断だけでなく、医師や管理栄養士に相談し、個別の状況に合ったアドバイスをもらいましょう。

医師・管理栄養士への相談

主治医や、糖尿病療養指導士の資格を持つ管理栄養士は、あなたの病状、治療内容、ライフスタイル、食習慣などを踏まえ、間食に関する具体的なアドバイスをしてくれます。

相談すべき主な内容は以下の通りです。

  • 現在の間食習慣について: 普段どのようなものを、どのくらいの量、いつ食べているか正直に伝えましょう。
  • 間食の可否と適量: 自分の血糖コントロールの状態や目標に応じて、間食をしても良いのか、もし良いなら1日にどれくらいの量・カロリー・糖質量まで許容されるのかを確認します。
  • おすすめ・避けるべき間食: 具体的な食品名について、食べても良いか、どのくらいの量なら良いかなどを質問しましょう。
  • 低血糖時の間食: 低血糖が起きた場合の対処として、どのような食品をどのくらい摂るべきか(例:ブドウ糖10gなど)について指導を受けましょう。
  • 1型糖尿病の方のインスリン調整: 間食時のインスリン追加注射の方法やカーボカウントについて、具体的な指導や練習を受けましょう。

医師や管理栄養士は、あなたの疑問や不安に寄り添い、無理のない範囲で継続できる間食の取り入れ方を提案してくれます。定期的に相談し、アドバイスを参考に間食習慣を調整していくことが大切です。

指導パンフレットの活用

病院やクリニックでは、糖尿病の食事療法に関する様々な指導パンフレットが用意されていることがあります。間食に関するパンフレットも配布されている場合が多いので、積極的に活用しましょう。

指導パンフレットには、以下のような情報が記載されていることがあります。

  • 間食の考え方や注意点
  • 血糖値を上げにくい間食の具体的な食品リストと目安量
  • 食品交換表を活用した間食の選び方
  • 市販の間食を選ぶ際のポイント(栄養成分表示の見方など)

これらのパンフレットは、日々の間食選びの際に手元に置いておくと非常に参考になります。不明な点があれば、パンフレットの内容について医師や管理栄養士に質問しましょう。

また、日本糖尿病学会などの公的機関や、信頼できる医療機関のウェブサイトでも、糖尿病の食事療法や間食に関する情報が公開されています。これらの情報も参考にしつつ、最終的にはかかりつけの専門家に確認することをお勧めします。

まとめ:糖尿病でも間食を上手に取り入れよう

糖尿病だからといって、間食を完全に諦める必要はありません。大切なのは、間食が血糖コントロールに与える影響を正しく理解し、「質」「量」「タイミング」を考慮して賢く取り入れることです。

  • 避けるべき間食: 砂糖や精製された炭水化物が多量に含まれるお菓子や清涼飲料水は、血糖値スパイクやカロリー過多を招くため避けるべきです。
  • おすすめの間食: 低GIで、食物繊維やタンパク質が豊富な食品(チーズ、ナッツ類、無糖ヨーグルト、血糖値への影響が少ない果物など)を選びましょう。
  • 適切な量: 1日の総摂取カロリーや糖質量に影響を与えない範囲で、少量に留めましょう。間食の炭水化物量は5gから30g程度に抑えることが推奨されています。(Clemson University Cooperative Extensionより)具体的な目安量は医師や管理栄養士に相談してください。
  • 良いタイミング: 食事と食事の間に適度な時間を置いて、空腹が強い時に摂るのがおすすめです。(Clemson University Cooperative Extensionを参照)食事の直前や寝る前は避けましょう。
  • 1型糖尿病の場合: 間食に含まれる糖質量(炭水化物1サービング約15gなど)(CDCより)を把握し、カーボカウントに基づいてインスリン量を調整することが重要です。食事の炭水化物量に合わせてインスリン調整を行う考え方も参考になります。(CDCを参照)

間食は、単なる嗜好品ではなく、血糖コントロールを助ける、あるいは低血糖を予防するための手段として活用できる場合もあります。日々の血糖測定結果や体調の変化も参考にしながら、自分にとって最適な間食の取り入れ方を見つけていくことが大切です。

一人で悩まず、必ず主治医や管理栄養士に相談し、個別の状況に合った指導を受けてください。専門家のアドバイスを基に、計画的に間食を管理することで、糖尿病とうまく付き合いながら、より豊かな食生活を送ることができるはずです。

免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の病状や治療に関する医学的なアドバイスではありません。間食を含む食事療法については、必ずかかりつけの医師や管理栄養士の指導を受けてください。本記事の情報に基づいて行われた行為によって生じたいかなる結果に関しても、当方は一切の責任を負いかねます。

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