あざ(内出血)を早く治す!冷やす?温める?効果的なセルフケア方法

内出血は、多くの人が経験する比較的よくある体の変化です。皮膚の下で血管が損傷し、血液が漏れ出すことで起こります。一般的には自然に治癒していきますが、見た目が気になったり、痛みを伴ったりすることもあり、「できるだけ早く治したい」と考える方も少なくありません。

この記事では、内出血(あざ)がなぜできるのか、そしてその治癒メカニズムを解説した上で、内出血を早く治すためにご自身でできる効果的な対処法やセルフケア、治るまでの期間の目安、そして注意が必要なケースについて詳しくご紹介します。適切なケアを知ることで、内出血の早期改善を目指しましょう。

目次

内出血(あざ)とは?原因と治癒のメカニズム

内出血は、一般的に「あざ」とも呼ばれる状態で、皮膚の下にある細い血管(毛細血管など)が破れて血液が周囲の組織に漏れ出し、皮膚表面から色が透けて見える現象です。主に、体をどこかに強くぶつけたり、転んだりといった外部からの物理的な衝撃によって発生します。スポーツ中の接触や、固いものに体を打ち付けた場合などに起こりやすいでしょう。

また、打撲などの外傷以外にも、医療行為が原因で内出血が起こることもあります。例えば、採血や点滴、注射、手術、美容医療などが挙げられます。これらは意図的に皮膚の下に針などを刺入するため、血管を傷つけて内出血を引き起こすリスクが伴います。

内出血ができてしまうと、最初は赤紫色に見えることがほとんどです。これは、漏れ出したばかりの新鮮な血液の色が透けて見えているためです。時間とともに、漏れ出した血液中のヘモグロビンという色素が体内で分解されていきます。この分解の過程で色が変化していくのが、内出血が治る際に見られる「あざの色変化」の正体です。

具体的には、ヘモグロビンが分解されるにつれて、色は赤紫色から青色、そして緑色へと変化します。さらに分解が進むと、黄色や黄褐色になり、最終的には元の皮膚の色に戻っていきます。この一連の色変化は、体が漏れ出した血液を吸収・処理している証拠であり、治癒が進んでいるサインと言えます。個人差はありますが、この色変化を経て完全に消えるまでには、数日から数週間かかるのが一般的です。このような外傷性皮下出血の病態生理や治癒過程については、日本皮膚科学会のガイドラインでも詳しく解説されています。

内出血は、ほとんどの場合、体の自然治癒力によって時間とともに改善しますが、適切なケアを行うことで、治癒を早めたり、症状を和らげたりすることが期待できます。

内出血を早く治すための基本的な対処法

内出血ができてしまったら、できるだけ早く、そして適切な方法で対処することが、早期回復のカギとなります。特に、内出血が発生した直後と、数日経ってからのケアでは、ポイントが異なります。

内出血直後の応急処置は「冷やす」

内出血ができた直後(通常は24時間から48時間以内)は、炎症と出血が進行している可能性があります。この時期の最も効果的な対処法は、「冷やす」ことです。

冷やすことによって、以下のような効果が期待できます。

  • 血管の収縮: 冷たい刺激によって血管が収縮し、出血の広がりを抑えることができます。
  • 炎症の抑制: 炎症反応を抑え、腫れや痛みを和らげることができます。

冷やす際は、アイスパックや氷嚢(ひょうのう)に氷や保冷剤を入れ、タオルで包んで内出血ができている部分に当てます。直接皮膚に当てると凍傷を起こす可能性があるため、必ずタオルなどで包んで使用しましょう。
冷やす時間の目安は、1回あたり15分から20分程度です。これを1日に数回、間隔を空けて繰り返します。特に、内出血が発生した当日は、こまめに冷やすことが推奨されます。安静にすることも大切です。患部をなるべく動かさないようにし、可能であれば内出血部分を心臓より高い位置に挙げておくと、血流が滞りやすくなり、腫れや出血の拡大を抑える助けになります。この「安静」「冷却」「圧迫」「挙上」は、外傷時の基本的な応急処置であるRICE処置の考え方に基づいています。内出血の場合、圧迫は強く行わず、優しく行うようにしましょう。

時期に応じた温めケアへの切り替え

内出血ができてから2日から3日ほど経過し、新しい出血の心配がなくなった段階からは、温めるケアに切り替えることが推奨されます。

温めることによって、以下のような効果が期待できます。

  • 血行促進: 温めることで血管が拡張し、患部の血行が促進されます。
  • 吸収促進: 血行が良くなることで、漏れ出した血液や老廃物を体外に運び出す働きが活性化され、内出血の吸収を早める効果が期待できます。

温める際は、ホットタオルや湯たんぽ、電気毛布などを利用します。火傷に注意し、心地よい温度で行いましょう。お風呂で患部を温めるのも効果的です。湯船にゆっくり浸かることで、全身の血行も促進され、内出血の治癒を助けることにつながります。

温める時間の目安は、1回あたり10分から15分程度です。これも1日に数回繰り返すと良いでしょう。温めケアは、内出血の色が青色や緑色、黄色に変化してきた段階で始めるのが一般的なタイミングです。最初の赤紫色の段階で温めてしまうと、かえって血管が拡張して出血が広がる可能性があるため注意が必要です。

このように、内出血の発生からの経過時間や症状の段階に応じて、「冷やす」と「温める」を適切に使い分けることが、早く治すための基本的なポイントとなります。

時期 目安日数 適したケア 理由 具体的な方法 注意点
発生直後(初期) 〜2〜3日 冷やす 出血・炎症の拡大抑制 アイスパック、氷嚢(タオルで包む) 直接皮膚に当てない(凍傷予防)、強く圧迫しない
経過後(中期〜後期) 2〜3日後〜 温める 血行促進、漏れ出した血液の吸収促進 ホットタオル、湯たんぽ、入浴(全身浴) 火傷に注意、赤紫色の初期には行わない

内出血の色変化と治癒過程に合わせた対処法

内出血は、治る過程でその色を変化させていきます。この色の変化は、体内で漏れ出した血液が分解・吸収されているサインであり、その段階に合わせたケアを行うことが、治癒をスムーズに進める上で有効です。

最初の時期(赤紫色)の注意点とケア

内出血ができてすぐは、皮膚の下に溜まった新鮮な血液の色が透けて見えるため、鮮やかな赤紫色をしています。この時期は、まだ血管からの出血が続いている可能性や、炎症が起こっている可能性が高い状態です。

この赤紫色の時期に最も大切なケアは、前述の通り「冷やす」ことと「安静」にすることです。患部を冷やし、余分な動きを避けることで、出血の拡大や腫れを最小限に抑えることができます。また、この時期に患部を強く押したり、マッサージしたりすることは絶対に避けましょう。まだ血管が傷ついている状態であるため、刺激を与えることで再び出血を招いたり、症状を悪化させたりするリスクがあります。

入浴についても、熱いお湯に長時間浸かるなど、全身の血行が過度に促進されるようなことは、この初期段階では避けた方が無難です。シャワーで済ませるか、短時間で済ませるようにしましょう。

色が変化してきた時期(青色~緑色、黄色)のケア

内出血ができてから数日経つと、血液中のヘモグロビンが分解され始め、内出血の色が青色、緑色、そして黄色や黄褐色へと変化していきます。この色の変化は、体が内出血を処理している証拠であり、治癒が進んでいるサインです。痛みや腫れも初期に比べて和らいでくることが多いでしょう。

この時期からは、治癒をさらに促進するためのケアを取り入れることができます。

  • 温める: 赤紫色の段階が過ぎたら、患部を温めるケアに切り替えましょう。温めることで血行が良くなり、血液の吸収を助けます。ホットタオルや入浴などが効果的です。
  • マッサージ(優しく): 内出血の色が黄色に近づいてきたら、患部周辺を優しくマッサージすることも有効な場合があります。血行促進やリンパの流れを助けることで、老廃物や分解された血液成分の排出を促す効果が期待できます。ただし、痛みが残っている場合や、強く押すと痛みが増す場合は行わないでください。皮膚をこすりすぎないように、クリームやオイルを使って滑りを良くして行うのがおすすめです。
  • 塗り薬の活用: この時期から、内出血の吸収を助ける効果が期待できる市販の塗り薬を使用することも有効です。これについては、次のセクションで詳しく解説します。

色の変化は内出血の治癒経過を示す重要なサインです。ご自身の内出血の色を観察し、その段階に合わせた適切なケアを行うことで、より早く内出血を治すことにつながります。

内出血をさらに早く治すためのセルフケア

基本的な対処法に加えて、日常生活で取り入れられる様々なセルフケアも、内出血を早く治す手助けとなります。塗り薬の使用や食生活、マッサージなど、多角的なアプローチを試してみましょう。

内出血に効果が期待できる塗り薬・市販薬

薬局やドラッグストアで購入できる市販薬の中には、内出血の治癒を助ける効果が期待できる成分を配合した塗り薬があります。これらの薬は、主に血行促進作用や抗炎症作用によって、内出血による症状の改善や吸収促進を目指します。

内出血(あざ)に対してよく使用される市販薬には、以下のような成分が配合されていることがあります。

  • ヘパリン類似物質: 血行促進作用、抗炎症作用、保湿作用があります。皮膚の代謝を促進し、滞った血液の吸収を助ける効果が期待できます。乾燥肌や傷跡ケアにも使われる成分ですが、内出血に対しても有効とされています。日本皮膚科学会のガイドラインなどでも、塗布薬としての有効性について触れられています。
  • ビタミンK: 血液凝固に関わるビタミンですが、外用として使用することで、内出血の吸収を助けるという報告もあります。ただし、効果については議論の余地がある成分です。
  • アルニカ: ヨーロッパなどで伝統的に打撲や捻挫、内出血などに用いられてきたハーブのエキス。抗炎症作用や血行促進作用が期待されています。クリームやジェルとして市販されています。

これらの成分を含む市販薬を使用する際は、必ず添付文書をよく読み、用法・用量を守って使用してください。特に、皮膚に傷がある部分や、目の周りなどのデリケートな部分に使用する際は注意が必要です。どの薬を選べば良いか迷う場合は、薬剤師や登録販売者に相談してみましょう。

ヘパリン類似物質配合の薬について

内出血のケアとして、特に推奨されることが多いのがヘパリン類似物質を配合した塗り薬です。この成分は、元々アトピー性皮膚炎など乾燥を伴う皮膚疾患や、血行障害に基づく症状の改善に使われてきた成分です。

ヘパリン類似物質が内出血に対して効果を示すメカニズムとしては、以下が考えられています。

  • 血行促進作用: 皮膚の血流量を増やし、漏れ出した血液やその分解産物の吸収を助けます。
  • 抗炎症作用: 内出血に伴う軽い炎症を抑え、痛みや腫れを和らげる効果が期待できます。
  • 保湿作用: 皮膚のバリア機能をサポートし、健康な皮膚状態を保つことで、治癒しやすい環境を整えます。

ヘパリン類似物質配合の薬には、クリーム、ローション、スプレータイプなど様々な剤形があります。内出血の部位や広さに応じて使いやすいものを選べます。ただし、出血している傷口には使用できないため、内出血を伴う切り傷などがある場合は注意が必要です。また、血液凝固抑制作用のある薬(ワーファリンなど)を内服している方は、使用前に医師や薬剤師に相談してください。

治癒を助ける食べ物や栄養素

内出血の治癒は、体が傷ついた組織を修復し、漏れ出した血液を吸収するプロセスです。このプロセスを円滑に進めるためには、体の基本的な健康状態が良好であることが重要であり、バランスの取れた食事は非常に大切です。特に、以下の栄養素は内出血の治癒を助けるのに役立つと考えられています。

  • ビタミンC: 血管を強くする働きがあり、コラーゲンの生成にも不可欠です。コラーゲンは血管壁の構成成分でもあり、丈夫な血管を作ることで新たな内出血の予防にもつながります。また、ビタミンCは抗酸化作用もあり、組織の修復を助けます。これらの栄養素の重要性については、国立健康・栄養研究所の報告でも指摘されています。
    • 多く含む食品:柑橘類、イチゴ、キウイ、ブロッコリー、パプリカなど。
  • 鉄分: 血液の成分であるヘモグロビンを構成する重要なミネラルです。内出血によって一時的に失われた血液成分の補給を助けるとともに、全身への酸素供給をサポートし、組織の修復に必要なエネルギー供給を円滑にします。国立健康・栄養研究所の報告では、鉄分の酸素運搬機能と組織修復における役割が解説されています。
    • 多く含む食品:レバー、赤身肉、ほうれん草、プルーン、ひじきなど。
  • タンパク質: 体を作る基本的な材料であり、傷ついた組織や血管の修復にはタンパク質が不可欠です。国立健康・栄養研究所の報告では、タンパク質の組織修復における役割について言及されています。
    • 多く含む食品:肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆)、乳製品など。
  • ビタミンK: 血液凝固に関わるビタミンですが、内出血の吸収を助ける可能性も指摘されています。厚生労働省のガイドラインでも、高齢者の転倒予防策の一つとして栄養管理(ビタミンK摂取)に触れられています。
    • 多く含む食品:ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、納豆など。

これらの栄養素を意識的に食事に取り入れることは、内出血の治癒を内部からサポートすることにつながります。特定の食品だけを大量に摂取するのではなく、様々な食品からバランス良く栄養を摂ることが大切です。

内出血部分のマッサージは時期を選んで行う

内出血ができている部分をマッサージすることは、血行促進やリンパの流れを改善し、漏れ出した血液の吸収を早める効果が期待できます。しかし、行う時期と方法には十分な注意が必要です。

マッサージを行って良い時期:

内出血ができてから2〜3日経過し、新しい出血の心配がなくなり、痛みが和らいできた段階で開始します。特に、内出血の色が青色、緑色、黄色へと変化してきた頃が適しています。最初の赤紫色の段階でマッサージを行うと、かえって出血を悪化させてしまうリスクがあります。

マッサージの正しい方法:

  • 優しく行う: 強い力で揉むのではなく、皮膚表面を滑らせるような優しいタッチで行います。
  • 周辺から中心へ: 内出血の中心部分だけでなく、その周囲から始め、ゆっくりと中心に向かって、あるいはリンパ節(内出血部分より心臓に近い側の関節近くなど)に向かって流すようにマッサージします。
  • クリームやオイルを使う: 皮膚への摩擦を減らすために、ボディクリームやマッサージオイルなどを塗ってから行うと良いでしょう。
  • 痛みを感じたら中止: マッサージ中に痛みを感じたり、痛みが強くなったりした場合は、すぐに中止してください。無理なマッサージは逆効果になることがあります。

マッサージはあくまで補助的なケアであり、万能ではありません。状態を観察しながら、心地よい範囲で行うことが大切です。

内出血に湿布は有効か?

内出血ができたときに「湿布を貼れば早く治るのでは?」と考える方もいるかもしれません。湿布には、冷感湿布と温感湿布がありますが、内出血に対する効果は限定的であることが多いです。

  • 冷感湿布: 内出血の初期段階で、冷却による痛みの緩和や炎症抑制を目的として使用されることがあります。ただし、湿布の冷却効果は氷嚢などによる直接的な冷却に比べて弱い場合が多いです。また、湿布に含まれる消炎鎮痛成分が、打撲に伴う痛みに対しては効果を示すことがありますが、内出血そのものの吸収を直接的に早める効果は期待できません。
  • 温感湿布: 内出血の経過後、血行促進を目的として使用される可能性が考えられます。しかし、温感湿布の温める効果も限定的であり、ホットタオルや入浴による温めの方が血行促進効果は高いと考えられます。また、湿布に含まれる成分が皮膚に刺激を与えたり、かぶれを引き起こしたりするリスクもあります。

結論として、湿布は内出血そのものを早く治すための第一選択肢とは言えません。痛みや炎症が強い場合には、消炎鎮痛効果のある湿布が症状緩和に役立つ可能性はありますが、内出血の吸収促進という点では、前述の「冷やす」「温める」の適切な使い分けや塗り薬の使用の方が効果的と言えるでしょう。

特定の部位の内出血を早く治すには

体の中でも特にデリケートな部位や、見た目が気になる部位に内出血ができてしまった場合は、特別な配慮が必要になります。

顔や目の周りの内出血対処法

顔や目の周りは皮膚が薄く、血管も多いため、比較的内出血ができやすい部位です。また、非常に目立つ場所であるため、できるだけ早く治したいと強く願う方が多いでしょう。

顔や目の周りの内出血に対処する際は、以下の点に注意が必要です。これらの部位のケア注意点については、日本皮膚科学会のガイドラインでも触れられています。

  • 冷却は優しく: 内出血直後の冷却は効果的ですが、顔や目の周りの皮膚は非常にデリケートです。強い圧迫は避け、ソフトな保冷剤をタオルで厚めに包むなどして、優しく短時間(10分程度)冷却を繰り返しましょう。直接氷を当てるのは厳禁です。
  • 温めは時期を選んで: 冷やす時期が過ぎたら、温めケアに移行します。蒸しタオルなどを使用する際は、温度が高すぎないように注意し、火傷を防ぎましょう。
  • 塗り薬は刺激の少ないものを: 内出血に効果が期待できる塗り薬を使用する場合でも、顔や目の周りは刺激に弱いため、顔用の製品や敏感肌用の製品を選ぶなど、刺激の少ないものを選びましょう。目の粘膜に入らないように十分注意が必要です。
  • マッサージは慎重に: マッサージを行う場合も、非常に優しいタッチで行います。特に目の周りは皮膚を引っ張らないように、そっと押さえる程度に留めるか、血行促進を目的とした顔全体の軽いリンパマッサージに留めるのが無難です。
  • 見た目のケア: 内出血が目立つ時期は、コンシーラーやファンデーションを使ってカバーすることもできます。ただし、皮膚に負担をかけないよう、専用の製品を選び、優しくメイクオフすることを心がけましょう。

顔や目の周りの内出血は、他の部位に比べて皮膚の再生能力が高いため、比較的早く色が薄くなる傾向がありますが、完全に消えるまでにはやはり時間が必要です。根気強くケアを続けましょう。また、目の周りの強い衝撃は、眼球自体に影響を与える可能性もあるため、視力に異常を感じたり、痛みが強かったりする場合は、眼科を受診してください。

内出血が治る期間の目安

内出血が治るまでにかかる期間は、内出血の大きさや深さ、できた部位、そして個人の体質や年齢によって大きく異なります。一般的に、健康な若い人ほど治癒は早い傾向があります。

軽度な内出血の治癒期間

小さな内出血や、皮膚の比較的浅い部分にできた内出血は、治癒が早いです。

  • 目安: 数日〜1週間程度で、色味が薄くなり目立たなくなってくることが多いです。

この場合、冷やす、温めるといった基本的なケアを適切に行えば、さらに治癒を早めることが期待できます。

症状が重い場合や特定の部位の治癒期間

広範囲に広がった内出血、深部にできた内出血、あるいは打撲の程度が強かったことによる内出血は、治癒に時間がかかります。

  • 目安: 1週間〜2週間、場合によっては数週間(1ヶ月以上)かかることもあります。

また、体の部位によっても治癒期間は異なります。例えば、皮膚が厚い場所や血行があまり良くない場所は、治癒に時間がかかる傾向があります。逆に、顔のように血行が良く、皮膚の代謝が活発な部位は、色の変化が早く、比較的早く目立たなくなることが多いですが、完全に消えるまでにはやはり時間がかかります。

内出血の一般的な治癒期間目安

内出血の症状・部位 治癒期間の目安
軽度(小さい、浅い) 数日〜1週間
中等度 1〜2週間
重度(大きい、深い) 数週間〜1ヶ月以上
顔・目の周り 色変化は比較的早い傾向、完全に消えるのに数日〜数週間

これらの期間はあくまで目安です。上記の期間を過ぎても改善が見られない場合や、悪化しているように見える場合は、医療機関を受診することをおすすめします。

こんな内出血は要注意!病院を受診すべきケース

ほとんどの内出血は、特に心配のないものであり、時間とともに自然に治癒します。しかし、中には医療機関での診察が必要となる、注意すべき内出血も存在します。以下のようなケースに当てはまる場合は、自己判断せずに必ず医師の診察を受けてください。

  • 原因不明の内出血が頻繁に、あるいは突然広範囲にできる: 思い当たるような外傷がないのに、あざがよくできる、または突然体のあちこちに大きなあざができる場合は、血液の病気(血小板減少症、白血病など)や血管の病気、内臓の病気などが隠れている可能性があります。異常内出血の鑑別基準やスクリーニング項目については、日本循環器学会のガイドラインなどでも詳しく解説されています。
  • 打撲の程度に比べて内出血が異常に大きい、あるいは急速に広がる: 強い衝撃を受けたわけではないのに、大きな内出血ができた場合や、内出血の範囲が時間とともに急速に広がっていく場合は、内部で大きな血管が損傷している可能性や、止血機能に問題がある可能性が考えられます。
  • 内出血だけでなく、強い痛みや腫れ、しびれを伴う: 単なる内出血ではなく、激しい痛みや患部の強い腫れ、あるいは手足のしびれや動きの制限を伴う場合は、骨折や靭帯損傷、筋肉損傷などの他の怪我を合併している可能性があります。
  • 患部に熱感があり、赤みが増す: 内出血の部分が熱を帯びて赤みが増している場合は、細菌感染を起こしている可能性があります。
  • 数週間から1ヶ月以上経っても全く改善が見られない、あるいは悪化している: 通常の経過であれば、内出血は時間とともに色や大きさが変化し、徐々に薄くなっていきます。長期間変化がない、あるいはかえってひどくなっている場合は、他の原因や治癒の遅れが考えられます。
  • 特定の薬剤(抗凝固薬、抗血小板薬など)を服用中にできた内出血: 血液を固まりにくくする作用のある薬を服用している場合、内出血が起こりやすく、また止まりにくくなることがあります。医師に相談し、適切な対処法を確認する必要があります。抗凝固薬服用中の出血リスク管理については、日本循環器学会のガイドラインでも注意喚起されています。
  • 発熱や倦怠感など、全身症状を伴う: 内出血とともに発熱や体の怠さ、体重減少などの全身症状がある場合は、感染症や血液の病気など、より深刻な病気が隠れている可能性があります。
  • 頭部を打撲した後に目の周りや耳の後ろにあざができた(パンダの目、バトル兆候): 頭蓋骨骨折などの重篤な頭部外傷を示唆するサインである可能性があります。

これらのサインを見逃さず、速やかに医療機関(整形外科、皮膚科、内科など)を受診することが、早期発見・早期治療につながり、より深刻な事態を防ぐために非常に重要です。

内出血の予防策

内出血は不意にできてしまうことが多いですが、日頃から意識することで、そのリスクを減らすことは可能です。特に、日常的に内出血ができやすいと感じている方は、以下の予防策を参考にしてみてください。

  • 怪我をしやすい状況に注意する: スポーツをする際や、DIY、引っ越し作業など、体をぶつけやすい状況では、周囲の環境に注意を払い、必要に応じてプロテクターやサポーターを使用しましょう。家具の角などに緩衝材をつけるといった工夫も有効です。高齢者の転倒予防策として、厚生労働省のガイドラインでも環境整備の重要性が示されています。
  • 栄養バランスの取れた食事を心がける: 血管を丈夫に保つために、ビタミンCやタンパク質などを積極的に摂取しましょう。体の組織が健康であれば、血管も丈夫になり、衝撃に対する抵抗力も高まります。国立健康・栄養研究所の報告では、栄養素と組織修復の関係について解説されています。
  • 皮膚の健康を保つ: 特に高齢になると皮膚が薄くなり、血管も脆くなる傾向があります。乾燥を防ぎ、皮膚の保湿をしっかり行うことで、外部刺激から皮膚を守りましょう。
  • 特定の薬剤に注意する: 血液を固まりにくくする作用のある薬剤(アスピリン、ワーファリンなど)や、ステロイド剤を長期間使用している場合、内出血が起こりやすくなることがあります。これらの薬を使用している方は、医師や薬剤師から注意点を聞き、不必要な怪我を避けるよう心がけましょう。抗凝固薬服用中のリスクについては、日本循環器学会のガイドラインでも注意喚起されています。
  • 持病の管理: 血液疾患や肝臓病など、内出血ができやすい基礎疾患がある場合は、主治医の指示に従って適切に病気を管理することが重要です。
  • 転倒予防: 特に高齢者は、筋力低下やバランス能力の低下から転倒しやすくなります。適度な運動で筋力を維持したり、手すりを設置したり、滑りにくい履物を選ぶなど、転倒予防に努めましょう。厚生労働省のガイドラインに詳細な情報があります。

完全に内出血を防ぐことは難しいかもしれませんが、これらの予防策を実践することで、内出血ができるリスクを減らし、できたとしても軽度で済む可能性を高めることができます。

まとめ|内出血を早く治すために大切なこと

内出血(あざ)は、皮膚の下で血管が損傷して起こるものですが、体の自然治癒力によって時間の経過とともに改善していきます。しかし、適切な対処法やセルフケアを取り入れることで、治癒を早めたり、症状を和らげたりすることが期待できます。

内出血を早く治すために大切なポイントは以下の通りです。

  1. 時期に応じた基本的な対処法:
    内出血ができた直後(〜2〜3日)は、冷やすことで出血と腫れを抑えます。
    出血が止まった後(2〜3日後〜)は、温めることで血行を促進し、血液の吸収を助けます。
  2. 色変化に合わせたケア: 内出血の色が赤紫→青→緑→黄色と変化するのは治癒のサインです。日本皮膚科学会のガイドラインにもあるように、色の変化に合わせてケア方法を調整しましょう。特に黄色くなってきたら、温めケアやマッサージ(優しく)を始めると効果的です。
  3. 積極的なセルフケア:
    ヘパリン類似物質配合の塗り薬などが、血行促進や吸収促進に役立つ可能性があります。日本皮膚科学会のガイドラインでも触れられています。
    ビタミンC、鉄分、タンパク質など、血管や組織の修復に必要な栄養素をバランス良く摂取しましょう。これらは国立健康・栄養研究所の報告でも重要性が指摘されています。
    痛みがなければ、経過後には優しくマッサージすることも血行促進に繋がります。
    湿布は痛みの緩和には役立つことがありますが、内出血そのものの治癒効果は限定的です。
  4. 特定の部位への配慮: 顔や目の周りなど、デリケートな部位はより優しくケアする必要があります。日本皮膚科学会のガイドラインでも特定の部位のケア注意点について触れられています。
  5. 治癒期間の理解: 内出血が治る期間は個人差や症状によって異なりますが、数日から数週間が目安です。
  6. 注意が必要なケースを知る: 原因不明のあざ、異常な広がり、強い痛みや腫れ、長期間治らないなど、通常と異なる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。日本循環器学会のガイドラインなどでも異常出血のサインについて言及されています。

内出血は誰にでも起こりうるものですが、正しい知識を持って適切に対処することで、見た目の回復を早め、快適な日常生活を取り戻すことができます。ご自身の体の変化をよく観察し、ご紹介した方法を試してみてください。もし不安な点があれば、お近くの医療機関に相談することをおすすめします。

【免責事項】
この記事で提供される情報は一般的な知識に関するものであり、医学的なアドバイスや診断、治療を代替するものではありません。内出血の症状や健康状態に不安がある場合は、必ず医療専門家の診断を受けてください。この記事の情報を利用した結果生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。

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