アフターピルの副作用はいつからいつまで?症状と対処法を解説

アフターピルを服用された方、あるいは服用を検討している方にとって、副作用に関する情報は大きな不安の種となり得ます。予期せぬ状況で必要となるアフターピルですが、服用後にどのような変化が起こりうるのか、事前に知っておくことは非常に重要です。この記事では、アフターピル服用後に起こりうる様々な副作用について、具体的な症状、いつからいつまで続くのか、個人差や確率、そして多くの人が気になる不妊への影響など、皆さんの不安を解消するための情報を詳しく解説します。

アフターピルは、性行為後に緊急的に使用する避妊薬であり、通常の経口避妊薬とは異なる性質を持ちます。含まれるホルモン量が一時的に多いため、身体に様々な変化を引き起こす可能性があるのです。しかし、これらの変化の多くは一時的なものであり、過度に心配する必要はありません。正しい知識を持ち、必要に応じて医療機関に相談することで、安心してこの時期を乗り切ることができるでしょう。

目次

アフターピルの主な副作用症状

アフターピルに含まれる高用量の女性ホルモン(プロゲステロンまたはプロゲスチンとエストロゲンの合剤、あるいはウリプリスタル酢酸エステル)は、排卵の抑制や受精卵の子宮内膜への着床を妨げることで避妊効果を発揮します。しかし、この急激なホルモン量の変化が、身体に様々な一時的な不調を引き起こすことがあります。これを「副作用」と呼びますが、多くの場合、数時間から数日で自然に改善します。

具体的な症状は、使用されたアフターピルの種類や個人の体質、体調によって異なります。ここでは、比較的よく報告される主な副作用症状について詳しく見ていきましょう。

吐き気・嘔吐

アフターピルの副作用として最もよく知られているのが吐き気や嘔吐です。これは、含まれるホルモン成分が胃腸の働きに影響を与えるために起こります。特に、過去に乗り物酔いをしやすい方や、つわりを経験した方などは感じやすいかもしれません。

吐き気の程度は個人差が大きく、軽いムカムカ感で済む場合もあれば、実際に嘔吐してしまうケースもあります。薬の種類によっても吐き気の頻度は異なり、エストロゲンとプロゲスチンの合剤(ヤッペ法)よりも、プロゲスチン単剤(レボノルゲストレル法)の方が吐き気の頻度が低いとされています。ウリプリスタル酢酸エステル(エラワン)も比較的吐き気の頻度は低い傾向にあります。

もし服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、薬の成分が十分に吸収されていない可能性があるため、クリニックに相談して再度服用する必要があるか確認してください。吐き気が辛い場合は、医師に相談して吐き気止めを処方してもらうことも可能です。

頭痛・腹痛

アフターピル服用後に頭痛や下腹部痛を感じる方もいます。頭痛はホルモンの急激な変化が血管に影響を与えることなどが原因と考えられます。ズキズキとした片頭痛のような痛みや、締め付けられるような緊張型頭痛など、感じ方は様々です。

腹痛も比較的よく見られる症状で、下腹部に生理痛のような鈍痛を感じることが多いです。これは子宮や卵巣がホルモンの影響を受けているサインかもしれません。

これらの痛みは、市販の鎮痛剤で和らげることができる場合が多いですが、服用前に他の薬剤との飲み合わせについて医師や薬剤師に確認することが重要です。痛みが強い場合や長引く場合は、他の原因も考えられるため医療機関を受診しましょう。

乳房の張り

アフターピルの副作用として、乳房が張ったり、軽く痛んだりする感覚を覚えることがあります。これも、ホルモンバランスの変化、特にプロゲステロンの影響によって起こる生理前の症状と似たものです。

通常、数日から1週間程度で自然に軽快します。乳房の張りは妊娠初期症状と似ているため、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、アフターピルの服用による一時的なホルモン変動によるものであることがほとんどです。ただし、痛みが強い場合や、しこりのようなものを触れる場合は、医療機関に相談してください。

倦怠感・眠気

アフターピル服用後に、体がだるい、疲れやすい、強い眠気を感じるといった症状が出ることがあります。これはホルモンバランスの変化が全身に影響を及ぼすために起こると考えられます。

これらの症状が出た場合は、無理をせず安静にして過ごすことが大切です。十分な休息を取り、バランスの取れた食事を心がけましょう。症状が強く、日常生活に支障が出る場合は、医師に相談してください。

不正出血・消退出血

アフターピル服用後、予期せぬタイミングで性器からの出血が見られることがあります。これを不正出血と呼びます。また、服用後数日〜2週間程度で、生理のような出血が起こることがあり、これを消退出血と呼びます。多くの場合は消退出血が避妊成功の一つの目安とされていますが、不正出血と消退出血は混同されることもあります。

不正出血は、服用後すぐに少量見られる場合もあれば、消退出血の前に起こることもあります。出血量や期間は個人差がありますが、通常は少量で数日程度で止まります。

消退出血は、アフターピルによって急激に高まったホルモンレベルが下がることで、子宮内膜が剥がれて起こる出血です。一般的に、服用後3日から2週間以内に見られることが多いです。出血量や期間は通常の生理に似ていることもあれば、少量で短期間の場合もあります。

重要なのは、不正出血や消退出血が見られたとしても、必ずしも避妊が成功した確実なサインではないということです。出血がないからといって避妊が失敗したわけでもありません。また、通常の生理ではないため、出血のタイミングや量が普段と異なることはよくあります。出血が異常に多い場合(生理の時よりも遥かに多い、塊が多いなど)や、2週間以上長引く場合は、早めに医療機関を受診してください。

胃腸障害(下痢など)

吐き気や嘔吐の他にも、下痢や腹部の不快感といった胃腸の症状が見られることがあります。これもホルモンの影響による一時的なもので、多くの場合軽度です。

食事を消化の良いものにする、水分を十分に摂取するといった対応で様子を見ることができます。症状が続く場合や脱水を伴うような重度な下痢の場合は、医療機関に相談しましょう。

その他の症状(肌荒れなど)

上記以外にも、一時的なニキビや肌荒れ、めまい、疲労感、気分の落ち込みなどを感じる方もいらっしゃいます。これらもホルモンバランスの変動によって引き起こされる可能性のある症状です。

多くの場合、ホルモンバランスが落ち着くにつれて改善していきます。症状が気になる場合は、医師に相談することをお勧めします。

副作用はいつから始まり、いつまで続く?

アフターピルの副作用について、多くの方が「いつ頃から症状が出るのか」「どのくらい続くのか」を心配されます。これらのタイミングは、服用した薬の種類や個人の体質によって異なりますが、一般的な目安を知っておくことで、より落ち着いて対応できるようになります。

服用後いつから症状が出やすいか

副作用の多くは、アフターピルを服用してから比較的早いタイミングで現れる傾向があります。具体的な発現時期は以下の通りです。

  • 吐き気・嘔吐: 服用後数時間以内に出やすい症状です。薬の成分が吸収され始める頃に現れることが多いです。
  • 頭痛・腹痛・倦怠感・乳房の張り: 服用後数時間から1日以内に出やすい症状です。
  • 不正出血: 服用後数日から、消退出血の前に見られることがあります。
  • 消退出血: 服用後3日から2週間程度で見られることが多いですが、平均的には5日から10日以内に起こることが多いとされています。

ただし、これはあくまで一般的な目安であり、個人差が大きいです。服用後すぐに症状が出る人もいれば、1日以上経ってから症状が出る人もいます。全く副作用を感じない人もいます。

副作用が続く期間の目安

アフターピルの副作用の多くは一時的なものであり、比較的短期間で改善します。

  • 吐き気・嘔吐・頭痛・腹痛・倦怠感・乳房の張り: これらの症状は、数時間から長くても2〜3日程度で自然に軽快することがほとんどです。ホルモンレベルが一時的に高まったことによる影響が、徐々に薄れていくにつれて症状も落ち着きます。
  • 不正出血: 数日程度で止まることが多いです。
  • 消退出血: 通常の生理と同様に3〜7日程度続くことが多いですが、量や期間には個人差があります。これが生理予定日よりも遅れて現れた場合は、妊娠していない可能性が高いと考えられます。

もし副作用症状が2〜3日以上経っても改善しない場合や、症状がひどくなる場合は、医療機関に相談することをお勧めします。特に、不正出血が生理の量よりもはるかに多い場合や、2週間以上続く場合は、医師の診察が必要です。

重要なのは、副作用の期間には個人差があることを理解しておくことです。「他の人はすぐに治ったのに…」と不安にならず、自分の体の変化に注意を払いながら過ごしましょう。

副作用が出ない人もいる?確率について

アフターピルを服用する際に、「副作用が出るのは避けられない」と思っている方もいるかもしれませんが、実は副作用が全く出ない方も多くいらっしゃいます。副作用の出現には個人差が大きく、また薬の種類によっても確率は異なります。

副作用の症状には個人差がある

副作用の現れ方は、まさに十人十色です。全く症状が出ない方もいれば、複数の症状を強く感じる方、特定の症状だけが出る方など様々です。この個人差は、以下のような要因によって影響されると考えられています。

  • 体質: ホルモンに対する体の感受性は人それぞれ異なります。ホルモン変動に敏感な体質の方は、副作用を感じやすいかもしれません。
  • 年齢: 年齢によってホルモンバランスが異なるため、副作用の現れ方に影響する可能性があります。
  • 体調: 服用時の体調(寝不足、疲労、ストレスなど)も副作用の感じ方に影響を与えることがあります。
  • 服用したアフターピルの種類: 後述しますが、薬の種類によって副作用の頻度や強さに傾向があります。
  • 食事: 食事の影響を受けにくい薬もありますが、空腹時や満腹時など、服用時の胃腸の状態も影響を与える可能性があります。

これらの要因が複合的に影響し合い、副作用の現れ方が変わってきます。したがって、「他の人が〇〇だったから、自分もきっと〇〇になるだろう」と決めつける必要はありません。

副作用が出る確率について

アフターピルによる副作用の確率は、使用する薬剤の種類によって異なります。主要なアフターピルには、レボノルゲストレルを主成分とするもの(ノルレボ、緊急避妊用OCなど)と、ウリプリスタル酢酸エステルを主成分とするもの(エラワン)があります。過去にはエストロゲンとプロゲスチンの合剤(ヤッペ法)も広く用いられていました。

一般的な副作用の報告頻度は以下の通りです(製薬会社や研究によって数値は多少異なります)。

副作用の種類 レボノルゲストレル法(ノルレボなど) ウリプリスタル酢酸エステル法(エラワン) ヤッペ法(過去の主流)
吐き気 比較的少ない(〜20%程度) 比較的少ない(〜15%程度) 比較的多い(〜50%程度)
嘔吐 比較的少ない(〜5%程度) 比較的少ない(〜5%程度) 比較的多い(〜20%程度)
頭痛 〜10%程度 〜10%程度 〜20%程度
腹痛(下腹部) 〜10%程度 〜10%程度 〜20%程度
乳房の張り 〜10%程度 〜10%程度 〜20%程度
倦怠感・疲労感 〜10%程度 〜10%程度 〜20%程度
不正出血 〜10%程度 〜10%程度 〜30%程度
めまい 比較的少ない 比較的少ない 比較的多い

(*これらの数値はあくまで一般的な傾向を示すものであり、厳密な確率を示すものではありません。詳細は各製剤の添付文書をご確認ください。)

このように、ヤッペ法に比べて現在主流のレボノルゲストレル法やウリプリスタル酢酸エステル法は、副作用(特に吐き気や嘔吐)の頻度が低いことがわかります。しかし、それでも一定の確率で副作用は起こり得ます。

重要なのは、副作用が出なかったからといって薬が効かなかったわけではないということです。また、副作用が出たからといって必ず避妊に成功したというサインでもありません。副作用の有無と避妊効果は直接的な相関関係はありません。

副作用がなくても避妊効果はある?

はい、副作用が出なくても、アフターピルによる避妊効果は十分に期待できます。アフターピルの避妊効果は、服用タイミングや薬の種類、性行為からの経過時間などによって決まります。副作用は、薬の作用機序に伴う一時的な身体の反応であり、避妊効果とは別のものです。

副作用が出ないのは、単にあなたの体がホルモン変動にあまり反応しない体質であるか、または特定の副作用が出にくい薬を服用したかのどちらか、あるいはその両方である可能性が高いです。副作用がないからといって不安になる必要は全くありません。

正しく服用し、指示された時間内に服用できたのであれば、副作用の有無に関わらず、その時点での最大限の避妊効果は得られていると考えられます。避妊の成否については、次の生理が来るかどうか、または妊娠検査薬での確認によって最終的に判断することになります。

アフターピル服用に関するよくある疑問

アフターピル服用後、副作用以外にも、生理や妊娠の可能性、長期的な身体への影響など、様々な疑問や不安が生じやすいものです。ここでは、特によくある疑問についてお答えします。

生理(月経)への影響

アフターピルは女性ホルモン剤であるため、月経周期に影響を与える可能性があります。服用後、最も一般的な影響は、次の生理のタイミングが普段とずれることです。

  • 消退出血: 前述の通り、服用後3日から2週間程度で生理のような出血(消退出血)が見られることがあります。これは避妊が成功した可能性を示す一つのサインとされていますが、出血量や期間は個人差があり、通常の生理とは異なることもあります。
  • 次の生理の遅延または早期化: アフターピルの服用によりホルモンバランスが一時的に乱れるため、予定していた次の生理が遅れる、あるいは早まることがあります。多くの場合は、服用後の消退出血を1回目の生理と数え、そこから約1ヶ月後に通常の生理が再開するとされていますが、個人によってはさらに数週間生理が遅れることもあります。

もし予定日から1週間以上生理が遅れている場合は、妊娠の可能性も考慮して妊娠検査薬を使用するか、医療機関を受診して相談してください。

不妊につながる可能性はある?

アフターピルは、将来の妊娠に影響を与え、不妊の原因になるのではないかと心配される方がいますが、その心配はほとんどありません。

アフターピルによるホルモン変動は一時的なものです。薬の成分は速やかに体内で分解され、数日以内には体の外に排出されます。服用後、通常のホルモンバランスは徐々に戻り、月経周期も回復します。

これまでの多くの研究や臨床経験から、アフターピル(特に現在主流のレボノルゲストレル法やウリプリスタル酢酸エステル法)の服用が、将来の不妊リスクを高めるという科学的根拠はありません。一時的に月経周期が乱れることはありますが、これが長期的な生殖機能の低下につながることは考えにくいです。

ただし、繰り返し頻繁にアフターピルを使用することは、月経周期の乱れを引き起こしやすくなる可能性があるため、推奨されません。アフターピルはあくまで緊急避妊手段であり、恒常的な避妊法としては適切ではありません。継続的な避妊を希望する場合は、低用量ピルやIUS(子宮内システム)など、より確実で安全な避妊法について医療機関で相談することをお勧めします。

ホルモンバランスへの影響について

アフターピルは、排卵を抑制したり、受精卵の着床を妨げたりするために、一時的にホルモンバランスを大きく変化させます。特に黄体ホルモン(プロゲステロン)の量が急激に増加するため、これに伴う様々な身体症状(副作用)が現れます。

しかし、このホルモンバランスの乱れは服用後数日から1〜2週間程度で元の状態に戻るのが一般的です。身体は自然と元の月経周期を取り戻そうとします。

一時的なホルモン変動により、感情的になりやすくなる、イライラするなど、精神的な変化を感じる方もいらっしゃるかもしれません。これはPMS(月経前症候群)に似た症状であり、ホルモンバランスが安定すれば改善します。

アフターピルは身体に悪い薬?(重篤な副作用)

アフターピルは、正しく使用すれば比較的安全性の高い薬剤とされています。前述の吐き気や頭痛などの副作用は一時的で軽度なものがほとんどです。

しかし、非常に稀ではありますが、重篤な副作用のリスクもゼロではありません。特に注意が必要なのは、血栓症(血管の中に血の塊ができること)のリスクです。低用量ピルと比べるとアフターピルでの血栓症リスクは低いとされていますが、リスク因子(喫煙、肥満、高齢、血栓症の既往など)を持つ方は注意が必要です。

血栓症の初期症状としては、突然の足の痛みや腫れ、手足のしびれ、鋭い胸の痛み、息切れ、ひどい頭痛、視野の異常などがあります。これらの症状が服用後に現れた場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。

また、アフターピルには服用してはいけない人(禁忌)が定められています。例えば、重度の肝臓病がある方、原因不明の性器出血がある方、妊娠している方、血栓性静脈炎や肺塞栓症などの病気がある方、これらの病気にかかったことがある方などです。必ず医師の問診を受け、自身の既往歴や健康状態を正確に伝えることが重要です。

適切に使用すれば、アフターピルは緊急時の避妊手段として大きな役割を果たしますが、リスクについても理解し、不安な点は必ず医師に相談しましょう。

避妊成功のサインは?

アフターピルを服用した後に最も知りたいのは、「避妊に成功したかどうか」です。避妊成功を示す可能性のあるサインはいくつかありますが、確実なサインというものはありません。

  • 消退出血: 服用後3日から2週間程度で生理のような出血(消退出血)が見られた場合、避妊に成功した可能性が高いと考えられます。これはアフターピルによって子宮内膜が剥がれ落ちたことを示唆するためです。ただし、出血量や期間には個人差があり、少量の不正出血と区別が難しい場合もあります。また、出血があったからといって100%避妊成功とは言えませんし、出血がなくても避妊に成功している場合もあります。
  • 次の生理が予定通りに来る(または消退出血を最初の生理として数えて約1ヶ月後に来る): 服用後の月経周期が通常に戻り、生理が予定通りに来た場合も、避妊成功の可能性が高いサインです。

最も確実な避妊成功の確認方法は、性行為から3週間後(またはアフターピル服用後3週間後)、あるいは次の生理予定日から1週間経っても生理が来ない場合に、妊娠検査薬を使用することです。妊娠検査薬で陰性であれば、避妊は成功したと考えて良いでしょう。陽性が出た場合は、速やかに医療機関を受診してください。

これらのサインはあくまで目安であり、過度に一喜一憂せず、最終的には妊娠検査薬で確認することが大切です。

アフターピル服用後に副作用が出た場合の対処法

アフターピルを服用して副作用が出た場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。症状の程度に応じて、自宅でのケアや医療機関への相談が必要になります。

症状別のケア方法

比較的軽度な副作用の場合、自宅で症状を和らげるためのセルフケアを行うことができます。

  • 吐き気・嘔吐:
    • 食事: 無理に食事をとらず、消化の良いものを少量ずつ摂取しましょう。脱水を防ぐために、水分補給も大切です。
    • 安静: 横になって安静にすると楽になることがあります。
    • 吐き気止め: 症状が辛い場合は、医師に相談して吐き気止めを処方してもらうことが可能です。服用前に相談しておくのが理想的です。市販薬を使用する場合は、必ず薬剤師に相談してください。
  • 頭痛:
    • 休息: 静かで暗い場所で休息を取りましょう。
    • 鎮痛剤: 市販の鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を服用することができます。ただし、他の薬を服用している場合は飲み合わせに注意が必要です。医師や薬剤師に相談してください。
    • 温める/冷やす: 緊張型頭痛の場合は首や肩を温める、片頭痛の場合は患部を冷やすと楽になることがあります。
  • 腹痛:
    • 温める: 下腹部を温めると痛みが和らぐことがあります。湯たんぽや使い捨てカイロ(低温やけどに注意)などを活用しましょう。
    • 休息: 無理せず安静に過ごすことが大切です。
    • 鎮痛剤: 頭痛の場合と同様に、市販の鎮痛剤を使用することができます。
  • 乳房の張り:
    • 締め付けない下着: 締め付けの少ないゆったりとした下着を選びましょう。
    • 温める/冷やす: 症状によっては、温めたり冷やしたりすることで楽になる場合があります。
  • 倦怠感・眠気:
    • 休息: 十分な睡眠をとり、体を休ませることが最も大切です。
    • 水分・栄養: バランスの取れた食事と十分な水分摂取を心がけましょう。
  • 不正出血:
    • ナプキン: 清潔なナプキンを使用して対応します。タンポンは雑菌が繁殖しやすいため、出血量が多い場合は避けた方が良いでしょう。
    • 清潔保持: 外陰部を清潔に保ち、感染を防ぎましょう。

これらのセルフケアで改善しない場合や、症状が強い場合は、我慢せずに医療機関に相談してください。

安静にして過ごす

どのような副作用症状が出た場合でも、無理をせず安静にして過ごすことが大切です。アフターピルの服用は身体に一時的な負荷をかける行為でもあります。心身ともにゆっくりと休ませることで、体の回復を助け、副作用症状の緩和につながります。

特に、吐き気や倦怠感が強い場合は、外出や激しい運動は避け、自宅で静かに過ごすようにしましょう。周りの人に協力を求めることもためらわないでください。

アフターピル服用時の注意点

アフターピルを安全かつ効果的に使用するためには、いくつかの重要な注意点があります。これらを理解しておくことで、予期せぬトラブルを防ぎ、安心して服用することができます。

服用後すぐに嘔吐した場合

アフターピルを服用した後、薬の成分が十分に吸収される前に嘔吐してしまうと、避妊効果が十分に得られない可能性があります。

一般的に、服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、再度アフターピルを服用する必要がある可能性が高いです。ただし、これは薬の種類やクリニックの方針によって異なる場合があるため、必ず服用したクリニックや医師に相談し、指示を仰いでください。自己判断で追加の薬を服用したり、何もしなかったりするのは避けるべきです。

服用から2時間以上経ってからの嘔吐であれば、薬の成分はほぼ吸収されていると考えられるため、再服用の必要はないことが多いです。しかし、不安な場合はやはり専門家に相談するのが安心です。

他の薬との飲み合わせ

アフターピルは、他の薬剤との相互作用(飲み合わせ)によって、効果が弱まったり、逆に副作用が強く出たりする可能性があります。特に注意が必要な薬剤には以下のようなものがあります。

  • 一部の抗てんかん薬: カルバマゼピン、フェニトインなど
  • 一部の抗生物質: リファンピシンなど
  • 一部の抗HIV薬: リトナビルなど
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品・サプリメント
  • グレープフルーツジュース: ウリプリスタル酢酸エステル製剤の場合、相互作用がある可能性があります。

これらの薬剤は、アフターピルの成分の代謝を促進したり阻害したりすることで、血中濃度に影響を与える可能性があります。

現在、何らかの持病で治療を受けている方や、常用薬がある方は、アフターピルを処方してもらう際に必ず医師に申告してください。市販薬やサプリメント、健康食品を服用している場合も同様です。医師は、あなたの健康状態や服用中の薬を考慮して、アフターピルが安全に使用できるか、あるいは他の避妊法が必要かを判断してくれます。

どのような場合に医療機関に相談すべきか

多くの副作用は一時的で軽度ですが、中には医療機関への相談が必要なケースもあります。以下のような場合は、我慢せずに医師の診察を受けましょう。

  • 副作用症状が重い、または我慢できないほど辛い場合: 吐き気や痛みがひどく、日常生活に支障をきたす場合。
  • 副作用症状が2〜3日以上経っても改善しない、または悪化している場合: 軽度だった症状が長引いたり、ひどくなったりする場合。
  • 不正出血が異常に多い場合: 生理の時よりも遥かに量が多い、塊が多い、出血が2週間以上続く場合。
  • 激しい腹痛がある場合: 生理痛とは異なる種類の強い痛みや、持続的な痛みがある場合。
  • 下痢が重度で脱水症状の可能性がある場合: 倦怠感がひどい、口が渇く、尿量が減るなどの症状がある場合。
  • 血栓症を疑わせる症状がある場合: 突然の足の痛みや腫れ、手足のしびれ、鋭い胸の痛み、息切れ、ひどい頭痛、視野の異常など。これらは緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診してください。
  • 服用後、予定日から1週間以上生理が遅れている場合: 妊娠の可能性があるため、妊娠検査薬で確認するか、医療機関を受診してください。
  • その他、いつもと違う体調の変化や、強い不安を感じる場合。

これらの症状が出た場合は、自己判断せずに専門家の意見を求めることが大切です。

アフターピルの種類と費用(値段)

日本で承認されている主なアフターピルには、レボノルゲストレルを主成分とするものと、ウリプリスタル酢酸エステルを主成分とするものがあります。

  • レボノルゲストレル法 (ノルレボ錠0.75mg、レボノルゲストレル錠0.75mg [GE]):
    • 性行為後72時間以内(3日以内)に1回服用。
    • 妊娠阻止率は80%程度(性行為後24時間以内であれば95%以上との報告も)。
    • 副作用は比較的少ない傾向。
    • ヤッペ法より効果が高く、副作用(特に吐き気・嘔吐)も少ないため、現在主流。
  • ウリプリスタル酢酸エステル法 (エラワン錠30mg):
    • 性行為後120時間以内(5日以内)に1回服用。
    • 妊娠阻止率はレボノルゲストレル法よりもやや高いとされる(性行為後120時間以内でも有効性が比較的高く保たれる)。
    • 副作用はレボノルゲストレル法と同程度かやや少ない傾向。
  • ヤッペ法 (プラノバール配合錠 [GE]):
    • 中用量ピルを性行為後72時間以内に2錠、その12時間後にさらに2錠、計4錠を服用。
    • 妊娠阻止率はレボノルゲストレル法より低い(約70%程度)。
    • 吐き気・嘔吐などの副作用が多い傾向。
    • 現在は推奨されませんが、やむを得ず使用されることもあります。

費用(値段)については、自由診療となるため医療機関によって異なります。保険適用外となり、全額自己負担です。

一般的な費用の目安は以下の通りです(診察料が別途かかる場合もあります)。

アフターピルの種類 費用相場(1回分) 備考
レボノルゲストレル法(先発品) 10,000円 〜 15,000円程度 ノルレボ錠
レボノルゲストレル法(ジェネリック) 7,000円 〜 10,000円程度 レボノルゲストレル錠0.75mgなど。先発品と同等の効果と安全性。
ウリプリスタル酢酸エステル法 10,000円 〜 15,000円程度 エラワン錠。
ヤッペ法(中用量ピル代のみ) 数千円程度(診察料別) 推奨されない方法。

(*上記はあくまで目安であり、クリニックやオンライン診療によって料金設定は大きく異なります。事前に確認することをお勧めします。)

近年では、オンライン診療でアフターピルを処方してもらうことも可能です。来院の手間がなく、誰にも会わずに済むため、利用者が増えています。オンライン診療の場合も、ビデオ通話や電話での医師の診察があり、処方後は薬が自宅に郵送されます。診察料が無料のクリニックや、24時間対応しているクリニックなど、様々な選択肢があります。

アフターピル服用後の不安は専門家へ相談を

アフターピルの服用は、予期せぬ妊娠という精神的な負担に加え、副作用による身体的な不調も伴う可能性があります。これらの不安を一人で抱え込む必要はありません。

アフターピルに関する疑問や副作用についての不安がある場合は、必ず専門家である産婦人科医や薬剤師に相談してください。医師は、あなたの健康状態や状況に合わせて、適切な情報提供やアドバイス、必要な処置(吐き気止めの処方や、重篤な副作用の可能性がないかの確認など)を行ってくれます。

特に、副作用が辛い、症状が長引いている、いつもと違う異常を感じる、避妊の成否について強い不安がある、といった場合は、迷わずに医療機関を受診しましょう。

また、今後継続的な避妊を希望される場合は、アフターピルは緊急時のみの使用とし、普段からの避妊方法について相談することも非常に重要です。低用量ピル、IUS(子宮内システム)、コンドームの正しい使用法など、様々な選択肢があります。

対面での受診に抵抗がある方や、すぐに受診できる時間がない方は、オンライン診療も有効な選択肢です。オンラインであれば、自宅など自分の落ち着ける場所から医師に相談することができます。

アフターピルを服用した後の期間は、心身ともに不安定になりがちです。体の変化に注意を払いながら、不安なことは遠慮なく専門家に相談し、安心して過ごせるようにしましょう。

(免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状や状況に対する診断や治療を推奨するものではありません。アフターピルの服用に関しては、必ず医療機関で医師の診察を受け、指示に従ってください。本記事の情報利用によって生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。)

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