初めての胃カメラの流れ|検査前後の準備から当日まで【これで安心】

胃の不調を感じている方や、健康診断で精密検査が必要と言われた方にとって、「胃カメラ検査」は少し身構えてしまうものかもしれません。「痛そう」「苦しそう」といった不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、胃カメラ検査は、食道や胃、十二指腸の病気を早期に発見するために非常に重要な検査です。

この記事では、初めて胃カメラ検査を受ける方が安心して検査に臨めるよう、検査の予約から検査当日、そして検査後の流れまでを、時系列に沿って詳しく解説します。検査方法による違いや、気になる苦痛を和らげる方法、費用についても触れますので、ぜひ最後までお読みいただき、検査への不安を少しでも解消してください。

目次

胃カメラ検査を受ける前の流れ(準備)

胃カメラ検査は、事前の準備が非常に重要です。検査をスムーズかつ正確に行うために、医療機関からの指示をしっかり守りましょう。ここでは、予約から検査前日まで、そして検査前の食事や持ち物について詳しく説明します。

予約から検査前日までの流れ

胃カメラ検査を受けることが決まったら、まずは医療機関に予約を入れます。予約時には、いくつかの確認事項がありますので注意しましょう。

  • 検査方法の選択: 多くの医療機関では、鼻から挿入する経鼻内視鏡と、口から挿入する経口内視鏡を選択できます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを医師や看護師から聞き、自分に合った方法を選びましょう。苦痛を和らげたい場合は、経鼻内視鏡や鎮静剤の使用について相談できます。
  • 鎮静剤使用の有無: 鎮静剤を使用すると、ほとんど眠っているような状態で検査を受けられるため、苦痛を大きく軽減できます。ただし、使用した場合は検査後のリカバリー時間が長く必要になるなど、注意点もあります。希望する場合は、予約時に相談しましょう。
  • 現在の病気や服用中の薬: 持病がある方や、現在服用している薬がある場合は、必ず予約時に伝えましょう。特に、血液をサラサラにする薬(抗血小板薬や抗凝固薬など)を服用している場合、生検(組織の一部を採取する検査)ができない、または検査前に休薬が必要になることがあります。自己判断せず、必ず医師の指示に従ってください。
  • アレルギーの有無: 過去に薬や麻酔でアレルギー反応を起こしたことがある場合は、必ず伝えてください。
  • 検査前日の注意点: 検査前日の食事時間や内容、飲酒、喫煙に関する具体的な指示があります。これらは検査の精度に影響するため、厳守する必要があります。

予約後には、検査の案内や同意書などが渡されることが一般的です。内容をよく確認し、不明な点は医療機関に問い合わせましょう。

検査前の食事や飲酒の注意点

胃カメラ検査では、胃の中を空にしておく必要があります。これは、胃の中に食べ物が残っていると、観察の妨げになったり、検査中に吐き出してしまうリスクがあったりするためです。具体的な制限時間は医療機関によって異なりますが、一般的には以下のようになります。

  • 検査前日の夕食: 検査前日の夕食は、消化の良いものを午後9時頃までに済ませるように指示されることが多いです。脂っこいものや、繊維質の多い野菜、キノコ類、種実類などは消化に時間がかかるため避けるようにしましょう。
  • 検査当日の朝食: 検査当日は、絶食となります。水やお茶などの水分摂取についても制限がある場合がありますので、必ず医療機関の指示に従ってください。

飲酒や喫煙についても、通常は検査前日の夕食後から検査終了まで禁止されます。アルコールは胃粘膜を刺激し、喫煙は胃の動きを活発にさせて観察を妨げる可能性があるためです。

検査前日の食事例(避けるべきもの・推奨されるもの)

避けるべきもの 推奨されるもの
脂っこい食事(揚げ物、肉類) おかゆ、うどん、豆腐、白身魚、鶏ささみなど
繊維質の多い野菜(ごぼう、きのこ類、海藻類) 柔らかく煮た野菜少量
種実類(ごま、ナッツ、こんにゃく)
乳製品
アルコール、カフェインを含む飲み物 水、薄いお茶(医療機関の許可があれば)

これらの注意点を守ることで、安全かつ正確な検査を行うことができます。

服装や持ち物について

検査当日に慌てないよう、事前に服装や持ち物を確認しておきましょう。

  • 服装: 検査中は体を締め付けない、ゆったりとした服装が適しています。病院で検査着に着替える場合もありますが、楽な服装で行くのが良いでしょう。
  • 持ち物:
    • 保険証
    • 診察券(初めての場合は不要)
    • 検査の予約票や案内
    • 服用中の薬がある場合は、お薬手帳や薬の説明書
    • 鎮静剤を使用する場合は、公共交通機関を利用するための交通費(自家用車や自転車での来院・帰宅は避ける)
    • (必要に応じて)タオル:検査中に唾液が出ることがあるため。
    • (必要に応じて)メガネケース:検査前にメガネを外す場合があるため。

持ち物についても、医療機関からの指示がある場合はそれに従ってください。

胃カメラ検査当日の流れ

検査当日は、朝から絶食・禁煙・禁酒の状態を保ち、指示された時間に来院します。ここでは、来院から検査室に入るまでの流れと、検査前の準備について詳しく説明します。

受付から検査室への移動

  1. 受付: 予約時間に合わせて医療機関に到着したら、受付で保険証などを提示します。初めての場合は問診票の記入を求められることがあります。
  2. 待合室: 順番が来るまで待合室で待ちます。リラックスして過ごしましょう。
  3. 検査前の確認: 検査室へ案内される前に、看護師から最終的な問診や体調の確認が行われることがあります。絶食・禁煙・禁酒が守られているか、服用中の薬に変更はないかなどを確認されます。
  4. 検査着への着替え(必要な場合): 検査着への着替えが必要な場合は、更衣室へ案内されます。貴重品はロッカーに入れるなどして管理します。

検査前の準備(問診・麻酔)

検査室に入る前に、検査を安全に進めるための準備が行われます。

  • 問診: 医師や看護師から、改めて現在の体調、既往歴、アレルギー、服用中の薬などについて確認されます。検査内容や予想される偶発症についても説明があり、同意書への署名を求められます。不安な点があれば、ここで質問しましょう。
  • 消泡剤の服用: 胃の中に残った泡を消し、粘膜を見やすくするために、炭酸ガスを発生させる液体(消泡剤)を飲むことがあります。少し苦みがある場合がありますが、検査精度を高めるために重要です。
  • 喉の麻酔: 検査スコープが喉を通る際の不快感や嘔吐反射(オエッとなる反応)を和らげるために、喉に麻酔を行います。

喉の麻酔の方法

喉の麻酔方法にはいくつか種類があります。

  • スプレータイプ: 喉の奥に直接麻酔薬をスプレーします。数分で効いてきます。
  • ゼリータイプ: 麻酔薬を含んだゼリーや粘性の液体を口に含み、数分間喉に溜めておき、ゆっくり飲み込む、または吐き出す方法です。麻酔効果が比較的持続しやすいとされます。
  • うがいタイプ: 麻酔薬を溶かした水でうがいをする方法です。

麻酔が効いてくると、喉の奥がしびれたような感覚になります。唾液をうまく飲み込めなくなることがありますが、飲み込まずにティッシュなどに出すように指示されることが多いです。麻酔の効果が現れるまで、しばらく待ちます。

鎮静剤の点滴について

鎮静剤を使用して検査を受ける場合は、検査室で点滴の準備が行われます。

  • 点滴ルート確保: 腕の血管に針を刺し、鎮静剤を投与するための点滴ルートを確保します。
  • 鎮静剤の投与: 医師の指示のもと、鎮静剤が点滴でゆっくりと投与されます。薬の種類や量によって効き方は異なりますが、通常は数分で眠気を感じ始め、ウトウトしたり、ほとんど眠った状態になります。
  • モニタリング: 鎮静剤を使用する場合は、安全のため、検査中も血圧や脈拍、血中酸素飽和度などを測定するモニターを装着することが一般的です。

鎮静剤を使用すると、検査中の苦痛はほとんど感じなくなりますが、検査後の覚醒に時間がかかったり、当日の車の運転などが禁止されたりするなどの注意点があります。希望する際は、メリットだけでなくデメリットや注意点もしっかり確認しましょう。

胃カメラの種類と流れの違い(鼻/口/鎮静剤)

胃カメラ検査には、主に経鼻内視鏡と経口内視鏡の2種類があり、さらに鎮静剤を使うかどうかで検査中の感覚や流れが異なります。それぞれの特徴と流れを見ていきましょう。

鼻からの胃カメラの流れと特徴(経鼻内視鏡)

経鼻内視鏡は、名前の通り鼻から細いスコープを挿入する方法です。

  • 特徴:
    • スコープが口の奥の舌の付け根に触れにくいため、嘔吐反射が起こりにくいとされています。
    • 検査中に医師と会話できる場合があります。
    • スコープが細いため、口からの内視鏡よりも圧迫感が少ないと感じる人が多いです。
    • 鼻腔が狭い人や、鼻に病気がある人は行えない場合があります。
    • 鼻の麻酔が必要になります。
  • 流れ:
    1. 鼻腔を広げ、麻酔薬を塗布またはスプレーします。
    2. 麻酔が効いてきたら、片方の鼻からスコープをゆっくりと挿入します。
    3. スコープが喉を通過し、食道、胃、十二指腸と進んで観察が行われます。
    4. 検査中は、医師の指示に従い、リラックスして鼻で呼吸を続けます。

口からの胃カメラの流れと特徴(経口内視鏡)

経口内視鏡は、口からスコープを挿入する方法です。従来から行われている一般的な検査方法です。

  • 特徴:
    • 経鼻内視鏡よりも太いスコープを使用できるため、より詳細な観察や処置(止血、ポリープ切除など)に適している場合があります。
    • 口の奥の舌の付け根にスコープが触れやすく、嘔吐反射が起きやすいのがデメリットです。
    • 通常、マウスピースをくわえて検査を行います。
  • 流れ:
    1. 喉に麻酔を行います(スプレーやゼリーなど)。
    2. 口にマウスピースをくわえます。
    3. マウスピースを通してスコープをゆっくりと挿入します。
    4. スコープが喉を通過し、食道、胃、十二指腸と進んで観察が行われます。
    5. 検査中は、マウスピースを軽く噛み、体の力を抜いて、鼻で呼吸を続けるように指示されます。唾液は飲み込まずに口から出すようにします。

鎮静剤を使った胃カメラの流れと注意点

鎮静剤を使用する場合、経鼻内視鏡でも経口内視鏡でも選択可能です。

  • 特徴:
    • 鎮静剤の効果で眠ったような状態になるため、検査中の苦痛や不快感をほとんど感じずに済みます。
    • 検査中の記憶がほとんど残らないことが多いです。
    • 麻酔や鎮静剤によるリスクがゼロではないため、同意書への署名が必要です。
    • 検査後の回復に時間がかかり、当日の車の運転や危険な作業は禁止されます。
  • 流れ:
    1. 検査室で点滴ルートを確保し、鎮静剤を投与します。
    2. 眠気を感じ始め、ウトウトしたり眠ったりした状態で検査が行われます。
    3. 検査中は、生体モニターで状態が管理されます。
    4. 検査終了後は、回復室などで休んでから帰宅します。

胃カメラの種類と特徴の比較

検査方法 挿入経路 スコープの太さ 嘔吐反射 検査中の会話 鎮静剤併用 主なメリット 主なデメリット
経鼻内視鏡 細い 少ない 可能(場合による) 可能 嘔吐反射が少ない、会話可能、比較的楽 鼻腔が狭いと不可、鼻の麻酔、太いスコープより画質劣る場合
経口内視鏡 太い 起こりやすい 不可 可能 詳細な観察・処置に適している、一般的な方法 嘔吐反射が起こりやすい、口の麻酔が必要
鎮静剤使用 (鼻または口) (鼻または口) ほぼなし 不可 必須 検査中の苦痛をほとんど感じない、検査の記憶がない 検査後の覚醒に時間、車の運転不可、鎮静剤のリスク

どの方法を選択するかは、ご自身の希望や体質、医療機関の設備、医師の方針によって異なります。十分に相談して決めましょう。

胃カメラ検査中の流れ(時間・苦痛)

いよいよ検査本番です。検査が始まってから終了するまでの流れと、検査時間、そして気になる苦痛を軽減する方法について解説します。

検査時間と全体の所要時間

胃カメラ自体の検査時間(スコープを挿入して観察している時間)は、一般的に5分から10分程度です。病変が見つかって組織を採取する生検を行う場合でも、数分追加される程度です。

ただし、医療機関に到着してから帰宅するまでの全体の所要時間は、これよりもずっと長くなります。

  • 受付〜検査前の準備(問診、着替え、麻酔など):30分〜1時間程度
  • 検査時間:5分〜15分程度
  • 検査後のリカバリー、結果説明:30分〜1時間程度(鎮静剤を使った場合は1時間〜数時間かかることもあります)

合計すると、鎮静剤を使わない場合は1時間〜1時間半程度、鎮静剤を使った場合は2時間〜半日程度を見ておくと良いでしょう。予約状況や医療機関の混雑状況によっても変わります。当日は時間に余裕を持って来院しましょう。

検査中の体勢と医師の指示

検査中は、通常、体の左側を下にした横向き(左側臥位)になります。これは、胃の形に合わせてスコープを進めやすくするためです。ベッドに横になり、力を抜いてリラックスできる体勢を取りましょう。

検査中は、医師や看護師から呼吸の仕方や体の動かし方について指示が出されます。

  • 呼吸: 口からの検査の場合は、口にマウスピースをくわえているため、鼻でゆっくりと呼吸を続けるように指示されます。鼻からの検査の場合も、鼻で呼吸を続けましょう。呼吸を止めると体に力が入ってしまい、かえって苦痛を感じやすくなります。意識してゆっくりと鼻から息を吸って、口から(または鼻から)吐き出すようにしましょう。
  • 唾液: 検査中は唾液がたくさん出ますが、飲み込まずに口の端から出すようにします。ベッド脇にタオルや器が用意されています。
  • 体の力: 体に力が入ると、スコープが通りにくくなったり、嘔吐反射が強くなったりします。できるだけ体の力を抜いて、リラックスすることが重要です。

これらの指示に従うことで、検査がよりスムーズに進み、苦痛を軽減できます。

辛さ・苦痛を軽減する方法

胃カメラ検査の最も気になる点は「辛さ」や「苦痛」でしょう。特に嘔吐反射が強い方にとっては不安が大きいかもしれません。苦痛を軽減するための方法はいくつかあります。

  • 検査方法の選択: 前述の通り、経鼻内視鏡は経口内視鏡よりもスコープが細く、舌の付け根に触れにくいため、嘔吐反射が少ない傾向があります。苦痛が心配な場合は、経鼻内視鏡を選択肢に入れると良いでしょう。
  • 鎮静剤の使用: 鎮静剤は、検査中の苦痛を最も強力に軽減する方法です。ウトウトしたり、眠った状態で検査を受けられるため、多くの人が「全く苦痛を感じなかった」「記憶がない」と感じます。嘔吐反射が極度に強い方や、過去の検査で非常に辛い経験をした方には有効な手段です。
  • 喉の麻酔の丁寧さ: 検査前の喉の麻酔を丁寧に行うことも、苦痛軽減につながります。麻酔がしっかり効いているか確認してから検査を始める医療機関を選ぶと安心です。
  • 検査中のリラックスと呼吸法: 検査中に体が緊張してしまうと、食道や胃が収縮し、スコープの挿入が難しくなります。意識的に体の力を抜き、ゆっくりと鼻で呼吸を続けることが非常に重要です。「苦しい」「辛い」と感じると、どうしても体に力が入ってしまいますが、「大丈夫、大丈夫」と心の中で唱えたり、意識を呼吸に集中させたりすると効果的な場合があります。
  • 喉の力を抜くコツ: スコープが喉を通る時に「オエッ」となるのは、喉に力が入っている証拠です。喉の奥を広げるようなイメージで、力を抜くように意識してみましょう。特にスコープが通過する瞬間は、つばを飲み込むのを我慢して、息をフーッと細く長く吐き出すと、比較的楽に通過できることがあります。

鎮静剤の効果と安全性

鎮静剤は、静脈に注射することで脳の活動を一時的に抑え、リラックスさせたり、眠らせたりする薬です。検査中の不安や緊張を和らげ、痛みや不快感を感じにくくする効果があります。

  • 効果: 検査中の苦痛をほぼ感じなくなり、検査中の記憶もほとんど残りません。検査を受けることへの精神的な負担を軽減できます。
  • 安全性: 安全性の高い薬が使用されますが、呼吸や循環器への影響が全くないわけではありません。特に呼吸抑制(呼吸が浅くなったり遅くなったりすること)のリスクがあるため、検査中は酸素飽和度などを常にモニターで確認します。また、鎮静剤からの回復には個人差があり、高齢の方や基礎疾患がある方は鎮静な投与が必要です。非常に稀ですが、アレルギー反応や血圧低下などの合併症が起こる可能性もあります。これらのリスクについても、事前に医師から十分な説明を受け、納得した上で同意することが重要です。

喉の力を抜くコツ

喉の力を抜くことは、経口内視鏡で嘔吐反射を抑える上で非常に重要です。

  1. リラックス: まずは全身の力を抜きましょう。肩の力を抜き、深呼吸をします。
  2. マウスピースを軽く噛む: マウスピースはしっかりとくわえますが、歯を食いしばるほど強く噛む必要はありません。軽くくわえる程度で大丈夫です。
  3. 鼻でゆっくり呼吸: 口はスコープが通る場所なので、鼻で息を吸って、鼻または口からゆっくりと吐き出すことに集中します。特にスコープが喉を通る際は、息を細く長く吐き出すと喉の奥が開いて通りやすくなります。
  4. つばは飲み込まない: 検査中はつばがたくさん出ますが、飲み込もうとすると嘔吐反射を誘発します。口の端から自然に出すか、タオルで拭いてもらいましょう。
  5. 「オエッ」となっても大丈夫と知っておく: 嘔吐反射は生理的な反応であり、多くの人に起こり得ます。多少「オエッ」となっても、スコープが抜けるわけではありませんし、医療スタッフは慣れています。反射が起きても焦らず、力を抜いて次の呼吸に意識を向けましょう。

これらのコツを意識することで、検査中の苦痛を軽減できる可能性があります。

胃カメラ検査後の流れ(結果・安静)

検査が終わっても、すぐに日常生活に戻れるわけではありません。検査後の注意点や、検査結果の説明について解説します。

検査直後の注意点(麻酔の影響)

胃カメラ検査後、麻酔の効果が残っているうちは飲食に注意が必要です。

  • 喉の麻酔: 喉に麻酔をした場合、麻酔が効いている間は喉の感覚が鈍くなっています。この状態で飲食すると、誤って気管に入ってしまう(誤嚥)リスクがあります。麻酔の効果は通常30分から1時間程度で切れます。麻酔が完全に切れて、飲み物を少量飲んでむせないことを確認してから、食事を始めることができます。
  • 鼻の麻酔: 鼻に麻酔をした場合も、鼻の感覚が鈍くなっていることがあります。鼻を強くかむと鼻血が出やすくなることがあるため注意しましょう。

飲食開始のタイミングは、医療機関から具体的な指示がありますので、必ずそれに従ってください。

鎮静剤を使った場合の安静時間

鎮静剤を使用して検査を受けた場合は、麻酔からの回復に時間がかかります。

  • 回復室での安静: 検査終了後、回復室やベッドで安静にしていただきます。意識がはっきりして、ふらつきがない状態になるまで休みます。個人差がありますが、1時間から数時間かかることが多いです。
  • 当日の車の運転など: 鎮静剤の効果は完全に切れるまでに時間がかかるため、反射神経や判断力が鈍くなっている可能性があります。そのため、検査当日は車の運転、バイク、自転車の運転は絶対に避けてください。公共交通機関を利用するか、送迎をお願いしましょう。また、危険を伴う作業や、重要な契約なども避けるように言われることがあります。
  • 飲酒: 検査当日の飲酒は、鎮静剤の影響や胃粘膜の状態を考慮し、控えるように指示されることが一般的です。

鎮静剤を使った場合、検査後の過ごし方に制限がありますので、検査当日はその後の予定を調整しておく必要があります。

検査結果の説明(当日わかるか)

検査結果については、その場で医師から説明がある場合と、後日改めて説明を聞きに行く場合があります。

  • 当日わかること: 観察した範囲で明らかな炎症、潰瘍、ポリープなどが見つかった場合は、検査直後に医師から画像を見ながら説明を受けられることが多いです。悪性(がんなど)を疑う所見が見つかった場合も、その可能性や今後の検査について説明があります。
  • 後日になること: 検査中に組織の一部を採取する生検を行った場合、採取した組織は病理検査に回されます。この病理検査には通常1週間から2週間程度かかるため、その結果については後日改めて来院して説明を聞くことになります。採取した組織が悪性か良性か、炎症の程度などを詳しく調べます。

医療機関によって結果説明のスタイルは異なりますので、予約時や検査当日に確認しておくと良いでしょう。

検査後の食事や日常生活

検査後の食事や日常生活には、特に大きな制限はありませんが、いくつか注意点があります。

  • 食事: 麻酔が完全に切れて、少量水分を飲んでむせないことを確認できたら、食事を開始できます。ただし、検査で胃粘膜が少し刺激されている可能性もあるため、検査直後の食事は消化の良いものから始めると安心です。熱すぎるもの、冷たすぎるもの、香辛料など刺激の強いもの、アルコールは控えめにするのが良いでしょう。
  • 入浴: シャワーや短時間の入浴は問題ありません。ただし、長時間の入浴やサウナなど、体を温めすぎる行為は、生検を行った場合などに出血のリスクを少し高める可能性があるため、医療機関によっては当日は控えるように指示される場合があります。
  • 運動: 軽い運動であれば問題ありませんが、激しい運動は当日は控える方が無難です。生検を行った場合は、出血のリスクを考慮し、数日間は激しい運動や重いものを持つことなどを避けるように指示されることがあります。

生検を行ったかどうか、検査でどのような所見が見つかったかによって、検査後の具体的な注意点が異なります。必ず医師や看護師からの説明をよく聞き、不明な点は質問しましょう。

胃カメラ検査の費用について

胃カメラ検査にかかる費用は、保険が適用される場合と自費診療になる場合、また検査中に生検を行ったかどうかによって大きく異なります。

保険適用の場合の費用

胃の痛みや不調などの症状があり、医師が必要と判断して行う胃カメラ検査には、健康保険が適用されます。

  • 費用目安: 保険適用(自己負担3割の場合)の費用は、医療機関の種類(病院か診療所か)、使用する機器、地域などによって多少変動しますが、おおよそ5,000円から8,000円程度が目安となります。これには、検査前の診察料や薬剤費(消泡剤、麻酔など)が含まれることが多いです。
  • 鎮静剤使用の場合: 鎮静剤を使用した場合は、薬剤費や管理料が追加されるため、上記の費用に1,000円から3,000円程度加算されることが一般的です。

正確な費用については、事前に医療機関に確認することをおすすめします。

自費診療の場合の費用

症状がなく、健康診断や人間ドックの一環として任意で行う胃カメラ検査は、通常、自費診療となります。

  • 費用目安: 自費診療の場合、医療機関が自由に費用を設定できるため、幅があります。おおよそ15,000円から30,000円程度が目安となります。人間ドックのコースに含まれている場合は、別途費用がかからないこともあります。
  • メリット: 自費診療の場合、検査の予約が取りやすかったり、待ち時間が短かったりする医療機関もあります。

生検を行った場合の費用

検査中に病変が見つかり、組織の一部を採取する生検を行った場合は、追加で費用がかかります。

  • 費用目安: 生検にかかる費用は、採取する組織の数や病理検査の内容によって異なりますが、保険適用の場合、おおよそ5,000円から15,000円程度が目安となります。病理検査の費用が含まれます。

したがって、胃カメラ検査の費用は、「基本料金(保険適用または自費)」+「鎮静剤使用料(使用した場合)」+「生検料(生検を行った場合)」となります。正確な料金を知りたい場合は、事前に医療機関に問い合わせて確認することが最も確実です。

胃カメラ検査でよくある質問(FAQ)

初めて胃カメラを受ける方が疑問に思うことや、不安に感じやすいことについて、よくある質問とその回答形式でまとめました。

胃カメラ検査で何が辛いですか?

胃カメラ検査で多くの人が辛いと感じるのは、主に以下の点です。

  • 嘔吐反射(オエッとなる感覚): 特に口からの検査で、スコープが舌の付け根に触れることで起こりやすい生理的な反射です。これが最も大きな苦痛となる人が多いです。
  • 喉の異物感・圧迫感: スコープが食道を通る際の異物感や、喉が締め付けられるような感覚です。
  • ゲップや空気の膨満感: 検査中に胃を広げるために空気を入れるため、お腹が張ったような感じや、ゲップが出そうになる感覚があります。

これらの辛さは、検査方法の選択(鼻か口か)、鎮静剤の使用、そしてご自身の緊張度やリラックスの度合いによって個人差が大きいです。

胃カメラは口から入れた方が辛いですか?

一般的に、口から入れる経口内視鏡の方が、鼻から入れる経鼻内視鏡よりも嘔吐反射が起こりやすく、辛いと感じる人が多い傾向があります。これは、経口内視鏡の方がスコープが太く、口の奥の嘔吐反射が起こりやすい部分に触れやすいためです。

しかし、個人差があり、鼻からの検査でも鼻腔が狭かったり、鼻炎があったりすると、鼻の痛みが強く辛く感じたりすることもあります。また、太いスコープでなければ難しい検査や処置が必要な場合もあります。どちらが「絶対的に楽」とは言えず、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、ご自身の希望や体の状態、医療機関の設備を考慮して選択することが重要です。

胃カメラの麻酔はどのくらいで覚める?

胃カメラで使う局所麻酔(喉や鼻の麻酔)は、通常30分から1時間程度で効果が切れます。麻酔が完全に切れてから飲食が可能になります。

鎮静剤(点滴で使用する麻酔)の効果が完全に切れて、意識がはっきりし、ふらつきがなくなるまでには、個人差がありますが1時間から数時間かかります。特に当日の車の運転などは、鎮静剤の効果が残っている可能性を考慮して絶対に避ける必要があります。

鎮静剤を使った場合、何分くらい休む必要がありますか?

鎮静剤を使った場合、検査終了後、意識がはっきりして安全に帰宅できる状態になるまで、回復室などで安静にする必要があります。必要な安静時間は、使用した鎮静剤の種類や量、個人の体質によって異なりますが、目安としては1時間から3時間程度、場合によってはそれ以上かかることもあります。

医療機関の指示に従い、十分に休息を取ってから帰宅するようにしましょう。無理に早く帰宅すると、思わぬ事故や体調不良につながる可能性があります。

まとめ:胃カメラ検査は事前の準備と流れの理解が大切

胃カメラ検査は、食道、胃、十二二指腸の病気の早期発見に欠かせない検査です。初めて受ける方にとっては不安があるかもしれませんが、検査の「流れ」を知っておくことで、当日の流れをイメージしやすくなり、不安を軽減することができます。

重要なのは、以下の点です。

  • 事前の準備: 予約時の相談(検査方法、鎮静剤、服薬など)、検査前日の食事制限、当日の絶食など、医療機関からの指示をしっかり守ること。
  • 検査方法の選択: 経鼻内視鏡と経口内視鏡のそれぞれの特徴を知り、鎮静剤の使用も検討して、自分に合った方法を選ぶこと。
  • 検査中のリラックス: 検査中は体の力を抜き、鼻でゆっくり呼吸することを意識すること。
  • 検査後の注意点: 麻酔や鎮静剤の影響が切れるまで、飲食や運転などに十分注意すること。

胃カメラ検査を受けることで、ご自身の胃腸の状態を正確に把握し、病気の早期発見・早期治療につなげることができます。この記事が、初めて胃カメラ検査を受ける方の不安を少しでも和らげ、安心して検査に臨むための一助となれば幸いです。不明な点や心配な点は、遠慮なく医療機関に相談してください。

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