生理を遅らせるにはピルの選択肢!飲み方・費用・副作用を完全ガイド

旅行や結婚式、大切な試験など、「この日だけは生理と重なってほしくない!」と願うことはありませんか?大事なイベントを万全のコンディションで楽しむために、生理日を一時的にコントロールしたいと考えるのは自然なことです。

現在、医学的に安全かつ確実に生理を遅らせる方法は、産婦人科で処方される「医療用ピル」の服用が唯一の選択肢です。

しかし、ピルと聞くと「副作用は?」「費用はいくらかかるの?」「いつから飲めばいいの?」など、さまざまな疑問や不安が浮かぶかもしれません。

この記事では、そんなあなたの悩みを解消するために、生理を遅らせる仕組みから、ピルの種類と正しい飲み方、気になる副作用や費用、そして処方してもらう方法まで、網羅的に、そして分かりやすく解説します。この記事を最後まで読めば、安心して月経移動の準備を進め、大切な一日を心から楽しめるようになるはずです。

目次

生理をを遅らせる方法とは?

月経移動とはホルモン量を調整して生理日をずらすこと

月経移動とは、医療用のピルを使って女性ホルモンの量を人為的に調整し、生理(月経)が始まる日を意図的にずらすことを指します。

私たちの体では、エストロゲン(卵胞ホルモン)プロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンが、約1ヶ月の周期でバランスを変えながら分泌されています。このホルモンの周期的な変動によって、排卵が起こり、子宮内膜が厚くなり、そして妊娠が成立しなかった場合に内膜が剥がれ落ちて出血する、という一連の流れが「生理周期」です。

月経移動は、この自然なホルモンサイクルにピルで介入し、子宮内膜が剥がれ落ちるタイミングをコントロールする医療技術です。日本産科婦人科学会も、この方法の有効性と安全性を認めており、適切に行えば体に大きな負担をかけることなく生理日を調整できます。

ピルで生理が遅れるメカニズム

では、なぜピルを飲むと生理が遅れるのでしょうか。その鍵を握るのが、女性ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモン)です。

  1. 通常時の生理:
    排卵後、プロゲステロンの分泌量が増え、妊娠に備えて子宮内膜を厚く、ふかふかな状態に維持します。しかし、妊娠しなかった場合、プロゲステロンの分泌量は急激に減少します。この「プロゲステロンの減少」が合図となり、不要になった子宮内膜が剥がれ落ち、生理が始まります。
  2. ピル服用時の生理:
    ピルには、このプロゲステロン(または類似の合成ホルモン)が含まれています。生理が始まりそうなタイミングでピルを服用すると、体内のプロゲステロン濃度が高いまま維持されます。すると、脳は「まだプロゲステロンが十分にある」と判断し、子宮内膜は剥がれ落ちません。

つまり、ピルを飲み続けることで、人為的にプロゲステロンを補充し、子宮内膜を維持することで生理の開始を遅らせる、というのがピルで生理が遅れる基本的なメカニズムです。そして、ピルの服用をやめると、プロゲステロンの供給がストップするため、2〜3日後には生理が始まります。

生理を「早める」方法と「遅らせる」方法の違い

月経移動には、生理を「遅らせる方法」だけでなく、「早める方法」もあります。どちらを選ぶかは、あなたの状況や希望によって異なります。

方法 メリット デメリット こんな人におすすめ
遅らせる方法 ・生理予定日の直前から始められる
・急な予定にも対応しやすい
・成功率が高い
・生理を避けたい期間中もピルを飲む必要がある
・飲み忘れのリスクがある
・予定が急に決まった人
・確実性を重視する人
早める方法 ・生理を避けたい期間にピルを飲まなくて済む ・前の生理中から服用を始める必要があり、計画性が求められる
・ホルモン調整がやや複雑で、不正出血などが起こりやすい場合がある
・イベント期間中に薬を飲みたくない人
・かなり前から予定が決まっている人

どちらの方法も可能ですが、一般的には調整がしやすく成功率も高い「遅らせる方法」が選択されるケースが多いです。本記事でも、この「遅らせる方法」に焦点を当てて詳しく解説していきます。

生理を遅らせるピルは2種類|中用量ピルと低用量ピルを比較

生理を遅らせるために使われるピルには、ホルモン含有量の違いから「中用量ピル」と「低用量ピル」の2種類があります。どちらのピルが適しているかは、あなたの状況によって異なります。それぞれの特徴を理解し、医師と相談しながら最適なピルを選びましょう。

【中用量ピル】月経移動が目的の場合の第一選択肢

中用量ピルは、その名の通り、低用量ピルよりも女性ホルモンの含有量が多いピルです。主に月経困難症の治療や、今回のような月経移動を目的として処方されます。

  • 特徴: ホルモン量が多いため、子宮内膜を維持する作用が強く、月経移動をより確実に行えるとされています。
  • メリット: 生理予定日が迫っている場合(約1週間前)でも対応可能で、突発的なイベントにも間に合わせやすいのが大きな利点です。
  • デメリット: ホルモン量が多いため、低用量ピルに比べて吐き気や頭痛などの副作用がやや出やすい傾向があります。

初めて月経移動を行う方や、確実性を最優先したい方にとっては、中用量ピルが第一選択肢となります。

【低用量ピル】普段から服用している人向け・副作用が軽め

低用量ピルは、ホルモン含有量を必要最小限に抑えたピルで、主に避妊や、月経困難症・PMS(月経前症候群)の改善目的で長期間にわたって継続的に服用されます。

  • 特徴: ホルモン量が少ないため、体への負担が少なく、吐き気や頭痛といった副作用のリスクが中用量ピルよりも低いとされています。
  • メリット: 副作用が軽いため、比較的安心して服用できます。また、普段から避妊や月経困難症の治療で低用量ピルを服用している人は、わざわざ中用量ピルを処方してもらう必要がなく、今飲んでいるピルの飲み方を調整するだけで月経移動が可能です。
  • デメリット: 月経移動のみを目的として初めて服用する場合、中用量ピルほどの確実性は期待できないことがあります。

状況別ピルの選び方と特徴比較表

あなたの状況に合わせて、どちらのピルが良いか下の表で確認してみましょう。

項目 中用量ピル 低用量ピル
主な目的 月経移動、月経困難症の治療 避妊、月経困難症・PMSの改善
こんな人におすすめ 初めて月経移動をする
確実性を重視したい
イベントまで時間がない
普段から低用量ピルを飲んでいる
副作用が心配
・避妊やPMS改善も兼ねたい
飲み始めるタイミング 生理予定日の5〜7日前 (普段から飲んでいる場合)
休薬期間を設けずに次のシートへ
副作用 低用量ピルよりやや出やすい 中用量ピルより出にくい
費用(自費) 比較的安価な傾向 種類により様々
避妊効果 月経移動目的の飲み方では期待できない 正しく服用すれば高い効果あり

最終的にどちらのピルを使うかは、医師があなたの健康状態や希望を考慮して判断しますので、診察の際にしっかり相談しましょう。

注意:市販薬やアフターピルでは生理を遅らせられない

ここで非常に重要な注意点です。薬局やドラッグストアで購入できる鎮痛剤などの市販薬では、生理痛を和らげることはできても、生理そのものを遅らせることは絶対にできません。

また、緊急避妊薬である「アフターピル」を月経移動の目的で使用することも絶対にやめてください。アフターピルは非常に高用量のホルモン剤であり、あくまで意図しない妊娠を防ぐための最終手段です。月経移動に使うとホルモンバランスが著しく乱れ、体に大きな負担をかけるだけでなく、不正出血などを引き起こし、かえって生理周期が予測不能になる危険性があります。

医学的根拠に基づき、安全に生理を遅らせる方法は、医師の処方が必要な「中用量ピル」または「低用量ピル」のみであることを覚えておいてください。

【いつから飲む?】ピルの種類別・生理の遅らせ方完全ガイド

ピルで月経移動を成功させるためには、正しいタイミングで服用を開始し、正しく飲み続けることが何よりも重要です。ここでは、中用量ピルと低用量ピル、それぞれのケースについて、具体的な飲み方をステップバイステップで解説します。

ケース①:中用量ピルで生理を遅らせる場合

中用量ピルは、月経移動をしたいと思った時に、その都度処方してもらうのが一般的です。

ステップ1:受診と処方
まず、生理をずらしたい日程が決まったら、なるべく早く婦人科やオンライン診療を受診します。遅くとも生理予定日の1週間前までには受診しましょう。医師に月経移動をしたい旨を伝え、中用量ピルを処方してもらいます。

ステップ2:服用開始
生理予定日の5〜7日前から、ピルの服用を開始します。 例えば、8月22日が次の生理予定日で、8月25日まで生理を避けたい場合、8月17日頃から飲み始めます。

【クリニックでの会話例】

患者Aさん: 「先生、来週の23日から海外旅行に行くのですが、ちょうど生理と重なりそうなんです。生理を遅らせることはできますか?」

医師: 「はい、できますよ。次の生理予定日はいつですか?」

患者Aさん: 「8月22日の予定です。」

医師: 「それでしたら、今日から中用量ピルを飲み始めましょう。1日1錠、旅行が終わる28日まで毎日飲んでください。飲み終えれば、2〜3日後にいつもの生理が来ますからね。」

ステップ3:服用継続
1日1錠、毎日なるべく同じ時間に服用します。生理を避けたい期間の最終日まで、毎日飲み続けてください。

ステップ4:服用中止
生理を避けたい期間が終わったら、ピルの服用を中止します。服用を中止すると、ホルモンの供給がストップするため、通常2〜3日後に生理(専門的には消退出血と呼びます)が始まります。

ケース②:低用量ピルで生理を遅らせる場合(連続服用)

普段から避妊や月経困難症の治療目的で低用量ピルを服用している方は、飲み方を少し変えるだけで簡単に生理を遅らせることができます。

ステップ1:医師への事前相談
まず、普段ピルを処方してもらっている医師に、月経移動をしたい旨を相談します。ピルの種類によっては連続服用に向かないものもあるため、必ず自己判断で行わず、医師の許可を得てください。

【オンライン診療での会話例】

患者Bさん: 「いつもお世話になっています。今飲んでいる低用量ピルで、来月の生理をずらしたいのですが可能でしょうか?月末に大事な資格試験があって…。」

医師: 「はい、可能ですよ。Bさんが飲んでいるピルは連続服用ができます。今飲んでいるシートの実薬(ホルモンが含まれている錠剤)を21日間飲み終えたら、普段は7日間お休み(偽薬を飲む期間)しますよね。そのお休みを取らずに、22日目からすぐに新しいシートの1錠目を飲み始めてください。

ステップ2:連続服用
医師の指示に従い、今飲んでいるシートの実薬を飲み終えたら、休薬期間(または偽薬の服用期間)をスキップし、翌日からすぐに新しいシートの1錠目を飲み始めます。

ステップ3:服用継続
生理を避けたい期間が過ぎるまで、新しいシートの実薬を飲み続けます。

ステップ4:休薬期間の設定
生理を起こさせたいタイミングで、ピルの服用を7日間中止します(休薬期間)。休薬期間に入ると、2〜3日後に生理が始まります。
※どこまで連続服用が可能かは、ピルの種類や個人の状況によります。必ず医師の指示に従ってください。

ピルを飲み忘れた場合の対処法

月経移動で最も避けたいのが「飲み忘れ」です。飲み忘れると不正出血が起きたり、月経移動が失敗したりする可能性があります。

  • 1錠飲み忘れた場合(24時間以内):
    気づいた時点ですぐに飲み忘れた1錠を服用してください。そして、その日のいつもの時間にもう1錠服用します。(結果的に1日に2錠飲むことになる場合もあります)
  • 2日以上(48時間以上)飲み忘れた場合:
    不正出血が起こり、月経移動が失敗する可能性が高くなります。服用を一旦中止し、次の生理を待つか、処方してもらった医師にすぐに相談してください。

【多くの方が見落としががちなポイント】
飲み忘れを防ぐ最大のコツは、生活習慣に組み込むことです。「朝食後」「歯磨きの後」「寝る前」など、毎日必ず行う行動とセットにすると忘れにくくなります。また、スマートフォンのリマインダーやアラーム機能を設定するのも非常に有効です。

生理を遅らせるピルの副作用|主な症状と血栓症のリスク

ピルは安全性の高い薬ですが、ホルモンバランスを人為的に変えるため、一部の人には副作用が出ることがあります。多くは一時的で軽度なものですが、ごく稀に重篤な副作用も報告されています。事前に正しい知識を身につけ、安心して服用できるようにしましょう。

主な副作用は吐き気・頭痛・不正出血など

ピルの服用開始後、特に最初の数日間に以下のような症状が現れることがあります。これらは、体が新しいホルモン環境に慣れるまでの一時的な反応であることがほとんどです。

  • 吐き気、嘔吐
  • 頭痛
  • 乳房の張りや痛み
  • 下腹部痛
  • むくみ
  • 気分の落ち込み、気分の変動
  • 不正出血(少量の出血が続く)

これらの症状は、通常2〜3日、長くても1週間程度で自然に軽快していくことがほとんどです。しかし、症状が非常に強く日常生活に支障が出る場合や、長期間改善しない場合は、我慢せずに処方医に相談してください。

副作用を和らげる3つの工夫

少しの工夫で、つらい副作用を軽減できる場合があります。ぜひ試してみてください。

  1. 吐き気対策:服用時間を変える
    吐き気が最も出やすい副作用です。空腹時を避け、胃に食べ物が入っている食後に服用することで、胃への刺激を和らげることができます。また、就寝前に服用するのもおすすめです。もし吐き気が出ても、眠っている間に症状が治まっていることが多いためです。
  2. 頭痛対策:鎮痛剤の活用
    ピルによる頭痛が辛い場合、市販の鎮痛剤(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)を服用しても基本的には問題ありません。ただし、念のため処方医や薬剤師に「ピルを飲んでいますが、この鎮痛剤を併用しても大丈夫ですか?」と確認しておくとより安心です。
  3. むくみ対策:生活習慣の見直し
    ピルに含まれるホルモンの影響で、体に水分を溜め込みやすくなり、むくみを感じることがあります。塩分を控えた食事を心がけたり、ウォーキングなどの軽い運動やストレッチで血行を促進したりすることが効果的です。

【要注意】血栓症の初期症状を見逃さないで

ピルの副作用の中で、最も注意が必要なのが「血栓症」です。血栓症とは、血管の中に血の塊(血栓)ができてしまい、血管を詰まらせる病気です。発症頻度は極めて稀(年間1万人に3〜9人程度)ですが、肺や脳、心臓の血管が詰まると命に関わる可能性があります。

以下の「ACHES」と呼ばれる初期症状を必ず覚えておいてください。万が一、このような症状が現れた場合は、直ちにピルの服用を中止し、すぐに救急外来など医療機関を受診してください。

  • Abdominal pain (激しい腹痛)
  • Chest pain (激しい胸痛、息苦しさ、押しつぶされるような痛み)
  • Headache (激しい頭痛)
  • Eye / speech problems (見えにくい、視野が狭くなる、舌がもつれる、失神)
  • Severe leg pain (ふくらはぎの痛み・むくみ・腫れ・赤み、しびれ)

喫煙者、肥満、35歳以上、家族に血栓症の既往歴がある方などはリスクが少し高まると言われています。診察時には、必ずご自身の健康状態や生活習慣を正確に医師に伝えてください。

ピルはどこで手に入る?費用と処方の流れ【婦人科・オンライン診療】

月経移動ピルは医師の処方が必要な医療用医薬品です。安全に使用するためにも、必ず正規の医療機関で処方してもらいましょう。ここでは、主な入手方法と費用の目安について解説します。

入手方法は「婦人科受診」と「オンライン診療」の2択

ピルを処方してもらう方法は、大きく分けて2つあります。

① 婦人科・産婦人科クリニックでの対面診療
最も一般的な方法です。

  • メリット: 医師と直接顔を合わせて相談できるため、安心感が高いです。内診や超音波検査で子宮や卵巣の状態をチェックしてもらうこともできます(月経移動目的では必須ではありません)。その場でピルを受け取れることが多いのも利点です。
  • デメリット: 診療時間内にクリニックへ行く必要があります。待ち時間が発生することもあります。

② オンライン診療
近年、利用者が急増している方法です。スマートフォンやPCを使い、ビデオ通話やチャットで医師の診察を受けます。

  • メリット: 通院の手間が不要で、自宅や職場など好きな場所から受診できます。受付から診察、決済までスマホ一つで完結し、薬は後日自宅のポストに届きます。忙しい方や、婦人科受診に抵抗がある方におすすめです。
  • デメリット: 薬が届くまで1〜3日程度の郵送期間がかかります。直接的な診察(内診など)はできません。

[ピルのオンライン診療におすすめのクリニック]([ピルのオンライン診療おすすめ10選|安くて早いクリニックを徹底比較])

月経移動は保険適用外(自費診療)になる

月経困難症や子宮内膜症などの病気治療を目的とするピルの処方には健康保険が適用されます。しかし、旅行やイベントに合わせるなど、個人的な都合による月経移動は病気の治療とは見なされないため、保険適用外の「自費診療(自由診療)」となります。費用は全額自己負担です。

費用相場は診察料込みで3,000円〜10,000円

自費診療のため、費用はクリニックによって自由に設定されており、金額には幅があります。

  • 費用の内訳: 診察料 + ピル代 (+ オンライン診療の場合は送料)
  • 費用の相場: 全体で3,000円〜10,000円程度

中用量ピルは1錠あたりの価格が低いため比較的安価に、低用量ピルはシート単位での処方になるためやや高価になる傾向があります。多くのクリニックではウェブサイトに料金を明記しているため、事前に確認しておくと安心です。

生理を遅らせる方法に関するよくある質問(Q&A)

ここでは、生理を遅らせたいと考える多くの人が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。

Q. ピルなしで、市販薬や食べ物で生理を遅らせる方法はありますか?

A. 医学的・科学的根拠のある方法は、一切ありません。

インターネット上には「大豆イソフラボンを多く摂ると良い」「このツボを押すと効く」といった情報が見られますが、これらで生理日をコントロールできるという科学的な証拠は存在しません。 安全かつ確実に生理を遅らせる方法は、医師が処方する医療用ピルを服用することだけです。不確かな情報に頼って体調を崩したり、大切な予定を台無しにしたりしないよう、必ず医療機関に相談してください。

Q. イベントの何日前までに受診すれば間に合いますか?

A. 遅くとも「生理予定日の1週間前」までには受診してください。

中用量ピルは生理予定日の5〜7日前から服用を開始する必要があるため、これが最終デッドラインです。
ただし、これはあくまでギリギリのタイミングです。もしオンライン診療を利用する場合は、診察からピルが自宅に郵送されるまで1〜3日程度かかります。 この配送期間も考慮し、生理予定日の10日前など、できるだけ余裕を持って受診することを強くお勧めします。予定が決まったら、その時点ですぐに相談するのが最も確実で安心です。

Q. 最大で何日間くらい生理を遅らせることが可能ですか?

A. 目安として、最大で7〜10日間程度です。

ピルを飲み続ける限り理論上は生理を遅らせることができますが、長期間の服用はホルモンバランスを不自然な状態に保つことになり、不正出血などの副作用のリスクが高まります。安全性を考慮すると、月経移動の期間は長くても7〜10日程度に留めるのが一般的です。これ以上の日数を希望する場合は、自己判断で服用を延長せず、必ず医師に相談し、その指示に従ってください。

Q. ピル服用中に避妊効果はありますか?

A. 飲み方によります。月経移動のためだけに中用量ピルを服用した場合は、確実な避妊効果は期待できません。

  • 低用量ピルを普段から正しく飲んでいる場合:
    低用量ピルを生理初日など正しいタイミングから継続的に服用している場合は、月経移動のために連続服用をしている期間中も高い避妊効果が維持されます。
  • 中用量ピルを月経移動のためだけに服用した場合:
    生理予定日の直前から中用量ピルを飲み始めた場合、その周期の排卵がすでに終わっている可能性があります。ピルは排卵を抑制することで避妊効果を発揮するため、この飲み方では確実な避妊効果は期待できません。 妊娠を望まない場合は、必ずコンドームなど他の避妊法を併用してください。

避妊効果の有無は非常に重要なポイントです。もし避妊も同時に行いたい場合は、その旨を必ず医師に伝え、適切なピルの種類や飲み方について指導を受けてください。

実践のための3つのヒント|安心して月経移動に臨むために

知識を身につけた上で、月経移動を成功させるための具体的なコツを3つご紹介します。

  • ヒント1:カレンダーアプリとアラームをフル活用する
    月経移動の成否は「飲み忘れをしないこと」にかかっています。処方された日から服用を終える日まで、スマートフォンのカレンダーに予定を入れ、毎日飲む時間にアラームを設定しましょう。「1日くらい大丈夫」という油断が、不正出血や失敗につながります。ツールを賢く使って、飲み忘れを徹底的に防ぎましょう。
  • ヒント2(盲点):『ついでに』婦人科系の悩みを相談しておく
    せっかく婦人科を受診するのですから、月経移動のことだけでなく、普段気になっている体の悩みを相談する絶好のチャンスです。「生理痛が重い」「経血量が多い」「PMSの症状が辛い」など、気になることがあれば遠慮なく医師に話してみましょう。今回の月経移動をきっかけに、長年の悩みが解決するかもしれません。
    [月経困難症(ひどい生理痛)の原因と治療法|保険適用のピルについても解説]([月経困難症(ひどい生理痛)の原因と治療法|保険適用のピルについても解説])
  • ヒント3:オンライン診療なら『移動中』や『前日』でも相談可能
    「忙しくて病院に行く時間がない」「イベント直前になって生理日をずらしたいと思い立った」という方もいるでしょう。そんな時こそオンライン診療が役立ちます。サービスによっては当日予約や夜間診療に対応しているところもあり、移動中の電車の中からでも診察を受けることが可能です。諦める前に、一度オンライン診療のクリニックを探してみてください。

まとめ:生理を遅らせるには正しい知識と医師への相談が不可欠

今回は、大切な予定と生理が重ならないように、安全に生理日を遅らせる方法について詳しく解説しました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。

  • 生理を遅らせる確実な方法は「医療用ピル」の服用のみ。
  • ピルには「中用量ピル」と「低用量ピル」があり、状況に応じて使い分ける。
  • 中用量ピルは「生理予定日の5〜7日前」から服用を開始する。
  • 副作用のリスク(特に血栓症)を正しく理解し、初期症状に注意する。
  • 費用は保険適用外の自費診療で、3,000円〜10,000円程度が目安。
  • 入手方法は「婦人科」または「オンライン診療」で、必ず医師の診察・処方を受ける。

月経移動は、正しい知識を持ち、専門家である医師のサポートを受ければ、決して怖いものではありません。むしろ、女性が自分の体のリズムをコントロールし、人生の大切なイベントを最大限に楽しむための、心強い味方となってくれます。

もしあなたが今、生理日のことで少しでも悩んでいるなら、ためらわずに婦人科やオンライン診療で相談してみてください。専門家のアドバイスのもと、万全の準備を整え、最高のコンディションでその日を迎えられることを心から願っています。


【免責事項】

本記事は、月経移動に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療に代わるものではありません。ピルの服用に関しては、必ず医師の診察を受け、その指示に従ってください。個々の健康状態や体質により、治療法や副作用は異なります。ご自身の健康に関する懸念や質問がある場合は、速やかに医療専門家にご相談ください。

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