「みぞおち 痛み」の原因と病気|押すと痛い?息苦しい?症状別解説

みぞおちの痛みは、誰もが一度は経験する可能性のある症状です。
チクチクとした軽い痛みから、思わずうずくまるような激しい痛みまで、その感じ方は人によって様々です。
一時的な不調で済むことも多い一方で、時として体の奥深くに潜む病気のサインであることもあります。

この記事では、みぞおちの痛みがなぜ起こるのか、考えられる様々な原因や病気について詳しく解説します。
さらに、自宅でできる対処法や、どのような場合に医療機関を受診すべきかの目安、そして何科に行けば良いのかについてもご紹介します。
つらいみぞおちの痛みに悩む方が、ご自身の症状を理解し、適切な対応をとるための一助となれば幸いです。

みぞおちの痛みは、横隔膜のすぐ下の、胸とお腹の境目あたりに感じる痛みを指します。
この場所には、胃や十二指腸、膵臓、胆嚢、胆管など、消化に関わる重要な臓器が集まっています。
そのため、これらの臓器の不調や病気が痛みの原因となることが非常に多いです。
しかし、消化器以外の原因で痛みが生じることもあります。

みぞおちの痛みの原因は多岐にわたりますが、大きく分けて「一過性の痛み(病気以外の原因)」と「疾患(病気)による痛み」に分類できます。

一過性の痛み(病気以外の原因)

日常生活の中で起こる一時的な体の反応として、みぞおちの痛みが現れることがあります。
これらの原因による痛みは、原因が解消されれば比較的短時間で和らぐことが多いのが特徴です。

ストレスによるみぞおちの痛み

心や体に強いストレスがかかると、自律神経のバランスが乱れます。
自律神経は胃腸の働きもコントロールしているため、バランスが崩れると胃酸の分泌が過剰になったり、胃腸の動きが悪くなったりします。
これにより、みぞおちあたりに痛みや不快感、胃もたれ、吐き気などの症状が現れることがあります。
特に精神的なストレスは、胃の粘膜を荒らしやすく、痛みを感じやすくさせると言われています。

食べ過ぎ・飲み過ぎや冷え

暴飲暴食は胃腸に大きな負担をかけます。
特に脂っこいものや刺激物、アルコールの摂りすぎは、胃酸の分泌を増やしたり、胃の粘膜を傷つけたりして、みぞおちの痛みを引き起こすことがあります。
また、冷たいものを大量に摂ったり、体が冷えたりすると、胃腸の血行が悪くなり、働きが低下して痛みに繋がることがあります。

姿勢や物理的な圧迫

長時間、前かがみの姿勢をとったり、猫背になったりすることで、腹部が圧迫され、みぞおち周辺に違和感や痛みを覚えることがあります。
また、きつすぎる服装やベルトなども、物理的な圧迫となり、痛みの原因となることがあります。
これらの痛みは、姿勢を正したり、圧迫を避けたりすることで改善することが多いです。

疾患(病気)によるみぞおちの痛み

みぞおちの痛みが繰り返し起こる、痛みが強い、長く続く、他の症状(発熱、吐き気、体重減少など)を伴う場合は、何らかの病気が原因である可能性が高まります。
原因となる病気は、みぞおち周辺の臓器だけでなく、体の他の部位の病気が痛みを引き起こすこともあります。

胃や十二指腸の病気

みぞおちの痛みの原因として最も一般的なのが、胃や十二指腸の病気です。
これらの臓器はみぞおちのすぐ裏側にあるため、不調が痛みに直結しやすいと言えます。

胃炎(急性胃炎・慢性胃炎)

胃炎は、胃の粘膜に炎症が起きている状態です。

  • 急性胃炎:突然、みぞおちの強い痛み、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。
    原因としては、暴飲暴食、ストレス、特定の薬(痛み止めなど)、食中毒の原因菌などが考えられます。
    多くは一過性ですが、痛みが非常に強いこともあります。
  • 慢性胃炎:胃炎が長期間続いている状態です。
    症状は、みぞおちの痛みや不快感、胃もたれ、食欲不振など比較的軽いことが多いですが、痛みが続いたり繰り返したりします。
    主な原因はピロリ菌感染ですが、不規則な生活やストレスも関与します。
    慢性胃炎から胃潰瘍や胃がんへ進行する可能性もあるため注意が必要です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の粘膜がただれるだけでなく、深くえぐれてしまった状態を潰瘍といいます。

  • 胃潰瘍:食事中や食後にみぞおちの痛みが強くなる傾向があります。
    吐き気や食欲不振、げっぷなどの症状を伴うこともあります。
  • 十二指腸潰瘍:空腹時や夜間にみぞおちの痛みが強くなる傾向があり、食事を摂ると痛みが和らぐことが多いです。
    背中が痛むと感じることもあります。

これらの潰瘍の主な原因は、ピロリ菌感染や痛み止め(NSAIDs)などの薬です。
潰瘍が進行すると、出血(吐血や黒い便)や穿孔(胃や十二指腸に穴が開くことによる激痛)といった重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

機能性ディスペプシア

内視鏡検査などで胃や十二指腸に明らかな異常が見られないにもかかわらず、みぞおちの痛みや胃もたれなどの不快な症状が慢性的に続いている状態です。
胃の動きの異常、知覚過敏、ストレス、遺伝などが関与していると考えられています。
痛みの特徴や随伴症状は様々で、診断には医師による詳しい問診と検査が必要です。

膵臓の病気

膵臓は、みぞおちの裏側、胃の後ろに位置する臓器で、消化酵素やホルモン(インスリンなど)を分泌しています。
膵臓の病気も、みぞおちの痛みの原因となり得ます。

急性膵炎・慢性膵炎

膵臓に炎症が起きる病気です。

  • 急性膵炎:膵臓が自分の消化酵素によって自己消化されてしまう病気で、突然、みぞおちから左上腹部にかけての非常に強い痛みが現れます。
    痛みは背中にも突き抜けるように感じる(放散痛)ことが多く、前かがみになると少し楽になるのが特徴です。
    吐き気、嘔吐、発熱などを伴い、重症化すると命に関わることもあります。
    原因の多くはアルコールの飲みすぎや胆石です。
  • 慢性膵炎:膵臓に繰り返し炎症が起こり、徐々に膵臓の機能が失われていく病気です。
    初期はみぞおちの痛みが繰り返し起こりますが、進行すると痛みが持続するようになります。
    消化酵素の分泌が悪くなることで、脂肪便や消化不良による下痢、栄養失調などが起こり得ます。
    主な原因は長期間にわたるアルコールの多飲です。

膵臓がん

膵臓がんは早期発見が難しく、進行するとみぞおちや背中の痛みを訴えることが増えます。
初期にはほとんど症状がないことが多く、痛みが出た時には病状が進んでいるケースが少なくありません。
痛みの他にも、食欲不振、体重減少、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などの症状が現れることがあります。

胆嚢や胆管の病気

胆嚢は肝臓で作られた胆汁を一時的に蓄え、濃縮する袋状の臓器です。
胆管は胆汁を十二指腸へ運ぶ通り道です。
これらの臓器の病気も、みぞおちの痛みに関わります。

胆石症・胆嚢炎

  • 胆石症:胆嚢や胆管の中に石ができる病気です。
    胆石が胆管に詰まると、胆汁の流れが悪くなり、みぞおちから右脇腹にかけての強い痛みが起こります(胆石発作)。
    痛みは食後や夜間に起こりやすく、数時間続くことが多いです。
    吐き気や冷や汗を伴うこともあります。
  • 胆嚢炎:胆石などが原因で胆嚢に炎症が起きる病気です。
    みぞおちから右上腹部にかけての痛みに加えて、発熱や吐き気、黄疸などが現れることがあります。

腸の病気

みぞおちの痛みは、腸の病気でも起こり得ます。

過敏性腸症候群(IBS)

IBSは、腸の運動や機能に異常があるものの、炎症や潰瘍などの明らかな病変が見られない病気です。
お腹の痛みや不快感、便秘や下痢などの便通異常が慢性的に続きます。
お腹の痛みは排便によって和らぐことが多いのが特徴です。
痛みを感じる場所は一定しないこともありますが、みぞおちのあたりに痛みを感じることもあります。
ストレスや不安が症状を悪化させることが知られています。

急性虫垂炎(盲腸)

いわゆる「盲腸」として知られる病気です。
初期症状として、みぞおちのあたりや胃の不快感、吐き気などから始まることが多く、時間が経つにつれて右下腹部へと痛みが移動するのが典型的な経過です。
発熱を伴うこともあり、放置すると腹膜炎などの重篤な合併症を起こす可能性があります。

その他の内臓の病気

みぞおちの痛みは、消化器以外の臓器の病気によって引き起こされることもあります。
痛む場所がみぞおちでも、原因となる臓器は別の場所にある場合があるのです。

心臓病(狭心症・心筋梗塞など)

心臓の病気、特に狭心症や心筋梗塞では、胸の痛みが典型的な症状ですが、痛みがお腹の上部、つまりみぞおちのあたりに感じられることがあります(放散痛)。
特に高齢者や女性では、典型的な胸痛よりもみぞおちの痛みや胃の不快感、吐き気などが強く現れることがあります。
運動時や労作時に痛みが起こりやすい、締め付けられるような痛みなどの特徴があれば、心臓病の可能性も考慮が必要です。
緊急性の高い病気であるため、疑わしい場合はすぐに医療機関を受診する必要があります。

腎臓結石・尿管結石

腎臓や尿管にできた石が尿の通り道を塞ぐことで、非常に強い痛みが起こります。
痛みは脇腹や背中から始まり、下腹部や足の付け根、そしてみぞおちのあたりに放散することがあります。
痛みは波があり、吐き気や嘔吐、血尿を伴うことが多いです。

腹部大動脈瘤

お腹の中を通る最も太い血管である腹部大動脈の一部がコブのように膨らんでしまう病気です。
通常、破裂するまで無症状のことが多いですが、破裂が差し迫っている場合や、実際に破裂した場合には、みぞおちや腰、背中に激しい痛みが現れます。
破裂すると命に関わる緊急事態です。

目次

痛みの特徴から探る原因と病気

みぞおちの痛みの原因を特定するためには、痛みの「質」や「タイミング」、そして「他の症状の有無」が重要な手がかりとなります。
以下に、痛みの特徴から考えられる主な原因や病気をまとめます。
ただし、自己判断は危険ですので、あくまで参考として捉え、最終的な診断は医師に委ねてください。

急に強いみぞおちの痛みが起きた場合

突然、我慢できないほどの激しいみぞおちの痛みに襲われた場合、緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。

  • 考えられる病気: 急性膵炎、胆石発作、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の穿孔、心筋梗塞、腹部大動脈瘤破裂、急性虫垂炎(初期)など。
  • 注意点: 冷や汗、吐き気、息切れ、背中の痛みなどを伴う場合は、特に危険なサインかもしれません。
    迷わず救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください。

波がある痛みの原因

痛みが続いているのではなく、強くなったり弱くなったりと波がある、あるいは差し込むような痛みが繰り返し起こる場合。

  • 考えられる病気: 胆石発作、腎臓結石・尿管結石など。
    管状の臓器が収縮したり、石が移動したりすることによって痛みが起こることが多いです。

みぞおちを「押すと痛い」のはなぜ?

みぞおちの辺りを軽く押しただけで痛みを感じる場合、腹壁(お腹の壁)やそのすぐ下の臓器に炎症があることが考えられます。

  • 考えられる病気: 胃炎、胃潰瘍、腹膜炎(他の臓器の炎症が波及した場合)、筋肉痛など。
    痛みの範囲や硬さなども診断の参考になります。

みぞおちの左側がチクチク痛む場合

みぞおち全体というより、やや左寄りにチクチクとした痛みや違和感を感じる場合。

  • 考えられる原因・病気: 胃の不調(胃炎、機能性ディスペプシアなど)、膵臓関連(膵炎など)、大腸の左側の部分の不調、心臓関連の放散痛などが考えられます。
    痛みの感じ方や他の症状も合わせて判断する必要があります。

慢性的な痛みが続く場合

痛みが数週間から数ヶ月にわたって続いている、あるいは繰り返し起こる場合。

  • 考えられる病気: 慢性胃炎、機能性ディスペプシア、慢性膵炎、過敏性腸症候群(IBS)など。
    これらの病気は、器質的な病変が明らかでない場合や、炎症が慢性化している場合に起こりやすいです。
    ストレスや生活習慣が大きく関与していることもあります。

痛みの特徴と関連疾患の例

痛みの特徴 考えられる原因・病気 随伴症状の例 緊急性
突然の激痛 急性膵炎、胆石発作、胃潰瘍・十二指腸潰瘍穿孔、心筋梗塞、腹部大動脈瘤破裂 吐き気、嘔吐、冷や汗、背中の痛み、息切れ、黄疸 高い
食後または空腹時痛 胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍 胃もたれ、吐き気、食欲不振、げっぷ、黒い便、吐血 中程度
波のある差し込み痛 胆石症、腎臓結石・尿管結石 吐き気、嘔吐、血尿、脇腹・背中への放散痛 中程度
慢性的な痛み/不快感 慢性胃炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群、慢性膵炎 胃もたれ、食欲不振、便通異常(下痢/便秘)、体重減少 低~中程度
押すと痛い 胃炎、胃潰瘍、腹壁の問題(筋肉痛など)、腹膜炎 低~高い
労作時の締め付けられる痛み 狭心症、心筋梗塞 胸痛、左肩・腕・顎への放散痛、息切れ、冷や汗 高い
右下腹部へ移動する痛み 急性虫垂炎(盲腸) 吐き気、嘔吐、発熱 中~高い

この表はあくまで典型的な例であり、すべてのケースに当てはまるわけではありません。
ご自身の症状に当てはまるからといって断定せず、必ず医師の診断を受けてください。

みぞおちの痛みの対処法

みぞおちの痛みの対処法は、その原因によって異なります。
一時的な軽い痛みであれば、自宅でできるセルフケアで様子を見ることも可能ですが、病気が原因の場合は専門家による治療が必要です。

痛みが和らぐまで自宅でできること

みぞおちの痛みが軽度で、急激に発症したものではない場合、まずは自宅で様子を見ながら症状を和らげるためのケアを試みることができます。

安静にして体を休める

痛みがある時は無理せず、体を休めることが大切です。
横になったり、座ってリラックスしたりして、胃腸への負担を減らしましょう。
体を締め付けるような服装は避け、ゆったりとした服装で過ごすのがおすすめです。
ストレスや疲労も痛みを悪化させる要因となるため、心身ともに安静にすることが重要です。

食事を工夫する

胃腸に優しい食事を心がけましょう。

  • 避けるべきもの: 脂っこいもの、刺激物(香辛料、カフェイン、炭酸飲料)、アルコール、冷たいもの。
    これらは胃酸の分泌を増やしたり、胃の粘膜を刺激したり、胃腸の動きを悪くしたりする可能性があります。
  • おすすめのもの: 消化の良いもの(お粥、うどん、柔らかく煮た野菜など)、温かいスープや飲み物。
    少量ずつよく噛んでゆっくり食べるようにしましょう。
    食事の時間を規則正しくすることも大切です。

市販の胃薬も痛みを和らげるのに役立つ場合があります。
胃酸の分泌を抑えるタイプや、胃の粘膜を保護するタイプなど、様々な種類があります。
薬剤師に相談して、症状に合った薬を選びましょう。
ただし、薬で一時的に痛みが和らいでも、痛みが続く場合や他の症状がある場合は、医療機関を受診することが重要です。

温めるケア

みぞおちのあたりを温めることで、血行が促進され、痛みが和らぐことがあります。
カイロや温かいタオルをみぞおちのあたりに当てたり、温かい飲み物をゆっくり飲んだりするのも良いでしょう。
ただし、炎症性の病気(急性虫垂炎など)の場合、温めることで症状が悪化することもあるため、効果がない場合や痛みが強くなる場合は中止してください。

専門家による治療法

病気が原因でみぞおちの痛みが生じている場合は、原因に応じた専門的な治療が必要です。

  • 薬物療法:
    • 胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍: 胃酸分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬:PPI、H2ブロッカーなど)、胃の粘膜を保護する薬、胃の動きを改善する薬などが処方されます。
      ピロリ菌が原因の場合は、除菌療法(抗生物質と胃酸分泌抑制薬を組み合わせた治療)が行われます。
    • 機能性ディスペプシア: 胃の動きを改善する薬、知覚過敏を抑える薬、抗不安薬や抗うつ薬などが用いられることもあります。
    • 急性膵炎: 絶食、輸液、痛み止め、膵酵素阻害薬など、全身管理を含めた治療が行われます。
    • 過敏性腸症候群(IBS): 整腸剤、下痢止め、便秘薬、腹痛を抑える薬、ストレスを和らげる薬などが症状に合わせて処方されます。
  • 手術:
    • 胆石症: 症状が強い場合や胆嚢炎を繰り返す場合などは、胆嚢を摘出する手術が検討されます。
    • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の穿孔や大量出血: 緊急手術が必要になる場合があります。
    • 虫垂炎: 多くの場合、手術で虫垂を摘出します。
  • 生活習慣指導: 喫煙、飲酒、食生活、ストレス管理など、痛みの原因となっている生活習慣の改善指導が行われます。

専門家による正確な診断に基づいた治療を受けることが、痛みの根本的な解決につながります。

みぞおちの痛みで病院に行くべき目安

みぞおちの痛みがある時に、自宅で様子を見て良いのか、それとも医療機関を受診すべきなのかを判断することは重要です。
特に以下のような場合は、できるだけ早く医療機関を受診することを強く推奨します。

痛みが続く期間(何日続いたら受診?)

一時的な痛みであれば数時間から1日程度で治まることが多いですが、痛みが数日(目安として2~3日以上)続いている場合や、痛みが一旦治まっても繰り返し起こる場合は、医療機関を受診した方が良いでしょう。
慢性的な病気が原因である可能性があります。

痛みの強さや種類の変化

痛みが時間とともに強くなっている場合や、痛みの性質(ズキズキ→キリキリなど)が変わった場合は注意が必要です。
特に痛みがどんどん増していく場合は、急性期の病気が進行しているサインかもしれません。

痛みに伴うその他の症状

みぞおちの痛みに加えて、以下のような症状が現れている場合は、病気の可能性が高く、早期に医療機関を受診する必要があります。
これらの症状は、時に緊急性の高い病気のサインであることもあります。

発熱や吐き気・嘔吐

発熱は炎症が起きている可能性を示唆します。
吐き気や嘔吐を伴う場合、胃腸の強い不調だけでなく、膵炎や胆嚢炎、虫垂炎、腎臓結石など、様々な病気が考えられます。
特に繰り返し吐く、水分も摂れないといった場合は脱水のリスクもあり危険です。

血便やタール便

便に血が混じっている(血便)、あるいは黒いドロドロとした便(タール便)が出る場合は、胃や十二指腸、大腸など、消化管からの出血が考えられます。
タール便は、胃や十二指腸からの出血が胃酸と混じって黒くなったもので、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などが疑われます。
これらの症状がある場合は、緊急性が高いためすぐに受診してください。

体重減少

特に食事の量を減らしていないにもかかわらず、意図せず体重が減っている場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
慢性的な炎症や消化吸収不良、悪性腫瘍などが原因となることがあります。

その他の注意すべき症状

  • 黄疸: 皮膚や白目が黄色くなる症状は、胆管が詰まる病気(胆石、腫瘍など)や肝臓の病気が考えられます。
  • 背中への放散痛: みぞおちの痛みが背中にも響く場合、膵炎や心臓病などが疑われます。
  • 息切れや冷や汗: 心臓病(狭心症、心筋梗塞など)の可能性も考えられます。

どの診療科を受診すべきか

みぞおちの痛みの原因として最も可能性が高いのは消化器系の病気です。
そのため、まずは消化器内科を受診するのが一般的です。

消化器内科では、問診、触診に加え、血液検査、尿検査、腹部超音波検査、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)、大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)、CT検査などの画像検査を行い、痛みの原因を詳しく調べます。

ただし、痛みの特徴や随伴症状によっては、他の診療科が適切である場合もあります。

  • 心臓病が疑われる場合:循環器内科
  • 腎臓結石・尿管結石が疑われる場合:泌尿器科
  • 緊急性の高い激痛の場合:救急病院の救急外来

迷う場合は、かかりつけ医や内科医に相談し、適切な診療科を紹介してもらうのも良いでしょう。

痛みの特徴や随伴症状 適切な診療科の目安
胃もたれ、食後・空腹時痛、吐き気、便通異常 消化器内科
突然の激痛、発熱、強い吐き気・嘔吐、血便、タール便 消化器内科、または救急外来
労作時の痛み、息切れ、冷や汗、胸痛 循環器内科、または救急外来
脇腹・背中からの放散痛、血尿 泌尿器科、または消化器内科救急外来
黄疸、体重減少 消化器内科

【まとめ】みぞおちの痛み、放置せず原因を知ることが大切

みぞおちの痛みは非常に身近な症状ですが、その原因は一時的なものから、早期発見・早期治療が必要な病気まで多岐にわたります。
ストレスや食べ過ぎ、冷えなどによる一時的な痛みの場合は、安静や食事の工夫といったセルフケアで改善することが多いでしょう。

しかし、痛みが数日続く、痛みが強くなる、波がある、発熱や吐き気、体重減少、血便などの他の症状を伴う場合は、消化器系の病気(胃炎、胃潰瘍、膵炎、胆石症など)や、時には心臓病、腎臓結石といった消化器以外の病気が原因となっている可能性も十分に考えられます。

痛みの原因を特定するためには、ご自身の痛みの特徴(いつ、どんな時に、どのように痛むか、他の症状はあるか)をよく観察することが大切です。
そして、少しでも気になる症状がある場合や、痛みが続いたり悪化したりする場合は、自己判断で済ませず、早めに医療機関(まずは消化器内科が一般的です)を受診して専門家による診断を受けるようにしましょう。

みぞおちの痛みは、体が発する大切なサインです。
そのサインを見逃さず、適切に対応することが、ご自身の健康を守ることにつながります。


免責事項:
この記事は情報提供のみを目的としており、医療行為や診断に代わるものではありません。
個々の症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。
記事内容の利用によって生じた、いかなる結果に関しても、当方では一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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