頬の赤み、気になっていませんか?
鏡を見るたびに憂鬱になったり、人から指摘されて恥ずかしく感じたり、メイクで隠しきれないことに悩んだり…。
顔の中でも特に目立ちやすい頬の赤みは、多くの人が抱える肌悩みの一つです。
その原因は一つではなく、乾燥やニキビといった肌トラブルから、外部からの刺激、さらには体の内側の問題まで多岐にわたります。
この記事では、頬の赤みに悩むあなたが、ご自身の赤みの原因を見つけるヒントを得られるよう、様々な可能性を詳しく解説します。
また、今すぐできる応急処置から、日々のスキンケアや生活習慣の見直し、そして皮膚科での専門的な治療法まで、赤みを改善するための具体的な対策・治療法をご紹介します。
つらい頬の赤みを改善し、自信を持って過ごすための一歩を踏み出しましょう。
頬の赤み、その原因とは?
頬の赤みは、肌の内部で炎症が起こっているサインであることが多いです。
原因は皮膚自体に問題がある場合と、外部からの刺激や体の内側の状態が影響している場合があります。
ご自身の頬の赤みがどれに当てはまるか、考えてみましょう。
主な皮膚トラブルによる赤み
頬の赤みの最も一般的な原因は、皮膚そのものに起こっているトラブルです。
特定の皮膚疾患や肌の状態によって、赤みが生じやすくなります。
敏感肌・乾燥肌
敏感肌や乾燥肌は、皮膚のバリア機能が低下している状態です。
バリア機能とは、皮膚の一番外側にある角層が、外部からの刺激(紫外線、ホコリ、化学物質など)の侵入を防ぎ、同時に肌内部の水分が蒸発するのを防ぐ役割を担っています。
このバリア機能が低下すると、わずかな刺激にも肌が過敏に反応しやすくなり、炎症を起こして赤みが生じます。
特に乾燥肌では、肌の水分が不足しているため、角層が乱れやすくなり、バリア機能がさらに低下するという悪循環に陥ることがあります。
頬は皮脂腺が比較的少なく、乾燥しやすい部位であるため、乾燥や敏感さが赤みにつながりやすいのです。
症状としては、洗顔後や特定の化粧品を使ったときにヒリつきやかゆみを感じたり、常に肌がカサついて粉をふいたりすることが挙げられます。
赤みは頬全体に広がる傾向があり、肌が薄くデリケートに見えることもあります。
【乾燥肌・敏感肌による赤みの特徴】
- 洗顔後や特定の刺激で赤みやヒリつきが出やすい
- 肌がカサつきやすい、粉吹きしやすい
- 頬全体がうっすら赤みを帯びている
- 季節の変わり目や体調によって悪化しやすい
例えば、空気が乾燥する冬場に頬が真っ赤になりやすい、新しいスキンケアを試すとすぐにピリピリするなどと感じる場合は、乾燥や敏感さが原因の赤みかもしれません。
酒さ(しゅさ)・脂漏性皮膚炎
これらは慢性的な炎症性の皮膚疾患で、頬の赤みの主な原因となることがあります。
酒さ(しゅさ)は、顔、特に頬や鼻を中心に慢性的な赤みが生じる病気です。
原因は完全に解明されていませんが、血管の異常、免疫システムの異常、皮膚の常在菌(ニキビダニなど)の関与などが考えられています。
酒さにはいくつかの病型があり、それぞれ症状が異なります。
- 紅斑血管拡張型酒さ: 顔の中心部、特に頬や鼻に持続的な赤みが生じ、細かい血管(毛細血管)が浮き上がって見える(毛細血管拡張)のが特徴です。
熱いものを食べたり、アルコールを飲んだり、温度変化があったりすると赤みが強くなる「潮紅(ちょうこう)」を伴うこともあります。 - 酒さ性丘疹膿疱型: 紅斑に加え、ニキビに似た赤いぶつぶつ(丘疹)や膿を持ったぶつぶつ(膿疱)が現れます。
ニキビと間違えられやすいですが、コメド(毛穴の詰まり)がない点が異なります。 - 鼻瘤型酒さ: 鼻の皮膚が厚くなり、ごつごつした塊のようになる病型で、主に男性にみられます。
これは進行した酒さの症状です。 - 眼型酒さ: 目の周りやまぶたの炎症、乾燥、充血などを伴う病型です。
酒さは進行性の病気であり、適切な治療を受けずに放置すると症状が悪化する可能性があります。
【酒さによる赤みの特徴】
- 頬や鼻など顔の中心部に赤みが持続する
- 細かい血管が浮き出て見える(毛細血管拡張)
- 熱いもの、アルコール、温度変化などで赤みが強くなる(潮紅)
- ニキビのようなぶつぶつ(丘疹、膿疱)を伴うことがある
例えば、若い頃から顔が赤くなりやすく、特に飲酒後に頬が真っ赤になる、最近鼻の周りの血管が目立つようになってきた、といった場合は酒さを疑うべきかもしれません。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位(顔のTゾーン、頭皮、脇など)にできる慢性的な炎症です。
原因の一つに、皮膚の常在菌であるマラセチア菌が関与していると考えられています。
皮脂のバランスが崩れたり、免疫力が低下したりすると、マラセチア菌が増殖し、皮膚に炎症を起こして赤みやフケ(落屑)が生じます。
顔では、眉間、鼻の脇、そして頬の内側など、皮脂腺が多い部分に赤みや黄色っぽいカサつき(脂っぽいフケ)が現れることが多いです。
かゆみを伴うこともあります。
【脂漏性皮膚炎による赤みの特徴】
- 皮脂の多い部位(鼻の脇、頬の内側など)に赤みが出る
- 黄色っぽいカサつきやフケを伴う
- かゆみがあることがある
- 体調やストレスで悪化しやすい
例えば、鼻の脇から頬にかけて常に赤くカサついている、シャンプーしても頭皮のフケとかゆみが治まらない、といった場合は脂漏性皮膚炎の可能性があります。
酒さも脂漏性皮膚炎も自己判断が難しく、適切な診断と治療が必要な皮膚疾患です。
症状が続く場合は皮膚科医に相談することが重要です。
ニキビ・ニキビ跡
ニキビは、毛穴が皮脂や古い角質で詰まり、そこにアクネ菌が増殖して炎症を起こすことで生じます。
炎症を起こしたニキビは、赤く腫れた状態(赤ニキビ)として現れます。
この炎症が頬にできると、当然頬が赤く見えます。
ニキビが治った後も、炎症が強かった場合や適切なケアがされなかった場合、赤みが残ってしまうことがあります。
これをニキビ跡の赤みと呼びます。
ニキビ跡の赤みは、炎症によってダメージを受けた皮膚の毛細血管が拡張したり、新しい毛細血管が増生したりすることで生じます。
正式には「炎症後紅斑(えんしょうごこうはん)」と呼ばれ、時間の経過とともに自然に薄れていくことが多いですが、数ヶ月から1年以上続くこともあります。
また、赤みを伴うニキビが多発している場合や、ニキビ跡の赤みが広範囲にわたっている場合、頬全体が赤みを帯びて見えることがあります。
【ニキビ・ニキビ跡による赤みの特徴】
- ニキビができやすい場所に一致して赤みがある
- 赤いぶつぶつ(炎症性ニキビ)を伴う
- ニキビが治った後も同じ場所に赤みが残っている
- 毛穴が目立つことが多い
思春期やホルモンバランスが乱れやすい時期に頬にニキビができやすい、ニキビが治ってもいつまでも赤みが消えない、といった経験がある方は、ニキビやその跡による赤みが原因かもしれません。
外部からの刺激による赤み
肌に直接加わる刺激も、頬の赤みを引き起こす大きな要因となります。
日常の中に潜む様々な刺激に注意が必要です。
寒暖差や温度変化
急激な温度変化に肌がさらされると、顔の毛細血管が拡張したり収縮したりを繰り返します。
この血管の反応が、一時的な赤みや火照りとして現れることがあります。
特に、寒い屋外から暖かい屋内に入った時や、熱いお風呂に入った後などに頬が真っ赤になる方は、この寒暖差による赤み(寒暖差による血管拡張反応)が原因と考えられます。
これは生理的な反応であり、通常はしばらくすれば元に戻ります。
しかし、この反応が頻繁に繰り返されると、血管の収縮力が弱まり、毛細血管が拡張したままになりやすく、慢性的な赤み(毛細血管拡張症)につながることがあります。
特に皮膚の薄い方や、血管の反応が過敏な方に起こりやすい傾向があります。
【寒暖差による赤みの特徴】
- 温度変化(特に寒い場所から暖かい場所へ移動した時)に一時的に赤くなる
- 火照りを伴うことが多い
- 暖房の効いた部屋にいると赤みが続く
例えば、冬場に外出先から帰宅すると必ず頬が真っ赤になり、しばらく消えない、という方は寒暖差が原因かもしれません。
紫外線や摩擦
紫外線は、皮膚に炎症を引き起こす最大の外的要因の一つです。
紫外線を浴びると、肌は日焼けを起こし、赤みや炎症が生じます。
これは「サンバーン」と呼ばれる状態です。
頬は顔の中でも特に紫外線が当たりやすい部位であるため、日焼けによる赤みが出やすい傾向があります。
軽度の日焼けであれば数日で赤みは引きますが、繰り返しの紫外線暴露は肌のバリア機能を低下させ、慢性的な炎症や赤み、シミ、しわの原因となります。
また、物理的な摩擦も肌にダメージを与え、炎症や赤みを引き起こします。
洗顔時にゴシゴシこする、タオルで強く拭く、衣服やマスクが擦れる、頻繁に顔を触る、といった行為は、肌の表面を傷つけ、バリア機能を破壊します。
これにより、肌は外部刺激に対して無防備になり、赤みが生じやすくなります。
【紫外線・摩擦による赤みの特徴】
- 屋外での活動後に赤みや火照りが出る(日焼け)
- 洗顔後やタオルで拭いた後に赤みが強くなる
- マスクや衣類で擦れる部分に赤みがある
- 肌触りがザラついていることがある
例えば、夏場にしっかり日焼け止めを塗らなかった日に頬がヒリヒリして赤くなった、洗顔は優しくしているつもりでも、洗顔後に頬が赤くなっていることが多い、といった場合は、紫外線や摩擦が原因の赤みが考えられます。
合わないスキンケア・化粧品
使用しているスキンケア製品や化粧品に含まれる特定の成分が、肌に刺激を与えたり、アレルギー反応を引き起こしたりして、赤みが生じることがあります。
- 刺激性接触皮膚炎: 特定の成分(アルコール、香料、防腐剤、界面活性剤、ピーリング成分など)が肌に物理的な刺激を与え、赤み、ヒリつき、かゆみなどを引き起こします。
肌のバリア機能が低下しているときに起こりやすい反応です。 - アレルギー性接触皮膚炎: 特定の成分(金属、植物エキス、香料、防腐剤など)に対して体がアレルギー反応を起こし、赤み、かゆみ、湿疹などが生じます。
これはアレルゲンに対する免疫反応であり、一度感作されると、ごく少量でも症状が出やすくなります。
新しい製品を使い始めたときや、特定の成分が含まれる製品を使ったときに赤みが生じる場合は、その製品や成分が肌に合っていない可能性があります。
肌に合わない製品を使い続けると、慢性的な炎症につながり、赤みが固定化してしまうこともあります。
【合わないスキンケア・化粧品による赤みの特徴】
- 特定の製品や成分を使った後に赤みやヒリつき、かゆみが出る
- 使用を中止すると症状が改善する
- 同じ成分が含まれる他の製品でも同様の症状が出ることがある
例えば、新しい美容液を使い始めたら頬が赤く火照るようになった、特定のクレンジングを使うといつも肌がヒリつく、といった場合は、使用しているスキンケア製品が原因である可能性が高いです。
体の内側の原因
肌の状態は、体の内側の健康状態を映し出す鏡でもあります。
ストレスや生活習慣の乱れ、さらには全身の病気が頬の赤みとして現れることもあります。
ストレスや生活習慣
慢性的なストレスや睡眠不足、栄養バランスの偏りといった生活習慣の乱れは、自律神経のバランスを崩し、血行やホルモンバランスに影響を与えます。
これにより、肌のターンオーバーが乱れたり、バリア機能が低下したり、炎症が起こりやすくなったりして、頬の赤みにつながることがあります。
特にストレスは、皮膚の炎症を抑制するコルチゾールというホルモンのバランスを崩したり、血行をコントロールする自律神経を乱したりすることで、肌荒れや赤みを引き起こしやすいことが知られています。
また、睡眠不足は肌の修復や再生を妨げ、バリア機能の回復を遅らせます。
【ストレスや生活習慣の乱れによる赤みの特徴】
- 疲れているときや寝不足のときに赤みが強くなる
- ストレスを感じると肌荒れと一緒に赤みが出る
- 食事のバランスが偏っていると感じる
- 顔全体がくすんで見えたり、血色が悪く見えたりすることもある
仕事で忙しい時期に肌の調子が悪くなる、寝不足が続くと肌が敏感になって赤みが出る、といった場合は、ストレスや生活習慣が原因となっている可能性があります。
その他の疾患との関連(肝臓など)
非常に稀なケースではありますが、全身の疾患の症状の一つとして顔に赤みが出ることがあります。
例えば、自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)では、頬から鼻にかけて蝶が羽を広げたような形の紅斑(蝶形紅斑)が現れることがあります。
また、肝臓の機能が低下している場合に、ホルモンバランスや血行に影響が出て、顔色が悪くなったり、毛細血管が拡張して顔が赤みを帯びたりすることがあります。
これは「クモ状血管腫」と呼ばれる、中心から放射状に広がる細い血管の集まりとして現れることもあります。
これらの全身疾患による赤みは、通常、他の全身症状(倦怠感、発熱、関節痛、黄疸など)を伴います。
顔の赤みだけをみて特定の疾患を疑うことは難しいですが、原因不明の赤みが長く続いたり、他の気になる症状があったりする場合は、念のため内科や皮膚科で相談してみることをお勧めします。
【その他の疾患による赤みの特徴】
- 顔の赤み以外の全身症状を伴うことが多い
- 赤みの形が特徴的な場合がある(蝶形紅斑、クモ状血管腫など)
- 皮膚科医や内科医による専門的な診断が必要
原因不明で慢性的な赤みが続いている場合は、念のため専門医に相談することが大切です。
薬剤やサプリメント(ビタミンCなど)
服用している特定の薬剤やサプリメントが、血管を拡張させる作用があったり、アレルギー反応を引き起こしたりして、顔の赤みにつながることがあります。
例えば、高血圧の薬の一部には、血管拡張作用を持つものがあり、顔の紅潮を引き起こす可能性があります。
また、一部のサプリメントに含まれる成分(ナイアシンなど)が一時的な血管拡張による顔の火照りや赤み(ナイアシンフラッシュ)を引き起こすことがあります。
ビタミンC自体は通常赤みを引き起こすものではありませんが、高濃度製剤の外用など、使い方によっては刺激になる可能性はゼロではありません。
新しい薬を飲み始めた後や、サプリメントを摂取し始めた後に顔が赤くなるようになった場合は、その薬剤やサプリメントが原因である可能性を考える必要があります。
自己判断で服用を中止せず、必ず処方した医師や薬剤師に相談してください。
【薬剤やサプリメントによる赤みの特徴】
- 特定の薬剤やサプリメントの服用開始時期と赤みの出現時期が一致する
- 服用後しばらくすると赤みや火照りが出る(薬剤の作用による場合)
- 全身の他の部位に症状を伴わないことも多い
何か新しいものを服用し始めてから赤みが出るようになった場合は、原因を特定するために医師や薬剤師に相談することが重要です。
頬の赤みを今すぐ落ち着かせたい時の対処法
急な頬の赤みや火照りを感じた時、一時的に症状を落ち着かせたい場合があります。
ここでは、すぐに試せる対処法をご紹介します。
ただし、これらは根本的な治療法ではなく、あくまで一時的な対処であることを理解しておきましょう。
一時的な冷却や保護
赤みや火照りは、皮膚の血管が拡張しているサインです。
これを一時的に落ち着かせるためには、肌を穏やかに冷却するのが有効です。
清潔なタオルを冷たい水に浸して軽く絞り、頬に優しく当てます。
冷やしすぎはかえって刺激になることがあるため、気持ちが良いと感じる程度の温度にしましょう。
保冷剤を使う場合は、直接肌に当てず、タオルなどでくるんで使用してください。
数分間冷やすことで、拡張した血管が収縮し、赤みや火照りが和らぐことがあります。
また、外部からの刺激(乾燥、摩擦、ホコリなど)から肌を保護することも重要です。
特に乾燥が原因で赤みが出ている場合は、低刺激性の保湿剤を優しく塗布することで、肌のバリア機能をサポートし、刺激から保護することができます。
ただし、敏感になっている肌に合わない成分が含まれていると、かえって悪化することもあるため、成分に注意し、パッチテストをしてから使用するのが望ましいです。
【一時的な冷却・保護のポイント】
- 清潔な冷たいタオルや、タオルで包んだ保冷剤を使用する
- 冷やしすぎに注意し、数分間に留める
- 低刺激性の保湿剤で肌を保護する
- 肌をこすらず優しく行う
症状が出たときにすぐに試せる簡単な方法ですが、効果は一時的です。
根本的な原因に対処することが重要です。
メイクでのカバーテクニック
どうしても赤みを隠したい場合は、メイクでカバーすることも可能です。
ただし、肌に負担をかけないよう、使うアイテムや方法に注意が必要です。
赤みをカバーするためには、補色である緑色のコントロールカラーや下地が有効です。
赤みのある部分に少量、薄く均一に塗布します。
塗りすぎると顔色が悪く見えてしまうので、少量ずつ重ねるのがポイントです。
その上から、肌に優しいミネラルファンデーションや、カバー力のあるコンシーラーを赤みの部分にだけ少量重ねます。
広範囲に厚塗りするよりも、気になる部分にピンポイントで使う方が自然に仕上がります。
ただし、肌が炎症を起こして敏感になっている場合は、メイク自体が刺激になることもあります。
赤みがひどいときや、メイクをすると悪化する場合は、可能な限りノーメイクで過ごし、肌を休ませてあげることが大切です。
また、メイクをした日は、肌に負担をかけないよう、洗浄力の強すぎないクレンジングで優しくメイクオフすることも忘れてはいけません。
【メイクでのカバーテクニックのポイント】
- 緑色のコントロールカラーや下地を少量使用する
- 肌に優しいファンデーションやコンシーラーで気になる部分をカバーする
- 厚塗りせず、薄く重ねる
- 肌が敏感なときは可能な限りメイクを控える
- メイクオフは肌に優しい方法で行う
メイクはあくまで一時的なカバーであり、肌の健康状態を改善するものではありません。
症状が悪化する場合は中止しましょう。
頬の赤みを根本的に治すための対策・治療法
一時的な対処だけでなく、頬の赤みを根本的に改善するためには、原因に応じた対策や治療が必要です。
日々のケアを見直すことから始め、必要に応じて専門家である皮膚科医の力を借りましょう。
日常のスキンケア改善
頬の赤みの多くの原因は、肌のバリア機能の低下や炎症に関連しています。
日々のスキンケアは、肌のバリア機能を回復させ、炎症を鎮めるために非常に重要です。
優しい洗顔方法
洗顔は、肌の汚れや余分な皮脂、古い角質を取り除くために不可欠ですが、方法を間違えると肌に大きな負担をかけ、赤みを悪化させてしまいます。
- 洗顔料の選び方: 洗浄力が強すぎる洗顔料は、肌に必要な皮脂や潤い成分まで奪ってしまい、バリア機能を低下させます。
肌に優しいアミノ酸系の洗浄成分を使ったものや、弱酸性の洗顔料を選びましょう。
香料や着色料、防腐剤などが少ない、低刺激性のものがおすすめです。 - 泡立て: 洗顔料はしっかりと泡立てて使用します。
キメ細かい泡が、肌と手の間のクッションとなり、摩擦を減らしてくれます。
泡立てネットなどを活用すると簡単に豊かな泡を作ることができます。 - 洗い方: 泡を顔に乗せ、肌の上で転がすように優しく洗います。
指の腹でゴシゴシこすったり、スクラブ入りの洗顔料で強く洗ったりするのは絶対に避けましょう。
皮脂の多いTゾーンから洗い始め、乾燥しやすい頬は最後に、手早く洗います。 - すすぎ: すすぎ残しは肌トラブルの原因になります。
ぬるま湯(30℃〜32℃くらい)で、フェイスラインや髪の生え際までしっかりと洗い流しましょう。
熱いお湯は肌の乾燥を招くためNGです。 - 拭き取り: 清潔で柔らかいタオルで、肌をこすらず、押さえるように優しく水分を拭き取ります。
【優しい洗顔のステップ】
- ぬるま湯で顔全体を予洗いする
- 洗顔料をしっかりと泡立てる
- 泡を顔に乗せ、Tゾーン→Uゾーンの順で優しく洗う(頬は手早く)
- ぬるま湯で洗い残しがないよう十分にすすぐ
- 清潔なタオルで優しく水分を拭き取る
洗顔は1日に1〜2回に留め、洗いすぎにも注意しましょう。
朝はぬるま湯のみの洗顔でも十分な場合があります。
十分な保湿ケア
洗顔後の肌は、水分が蒸発しやすく無防備な状態です。
化粧水や乳液、クリームなどを使って、肌に十分な潤いを与え、保持することが重要です。
保湿は、低下したバリア機能を回復させるための基本中の基本であり、赤みの改善に大きく貢献します。
- 保湿剤の選び方: 低刺激性で、肌のバリア機能をサポートする成分(セラミド、ヒアルロン酸、NMF(天然保湿因子)、スクワランなど)が配合されたものがおすすめです。
乾燥がひどい場合は、油分の多いクリームやワセリンなどで水分を閉じ込めることも有効です。
敏感肌の方は、エタノール(アルコール)や香料、着色料などが含まれていないかをチェックしましょう。 - 使用方法: 洗顔後、化粧水で肌に水分を補給し、その水分が逃げないように乳液やクリームで蓋をします。
乾燥しやすい頬には重ね付けしたり、パックを取り入れたりするのも良いでしょう。 - 塗り方: 肌をこすらないよう、手のひらで優しく押さえるように馴染ませます。
摩擦は赤みを悪化させる原因になります。 - 保湿の頻度: 朝晩の洗顔後はもちろん、肌の乾燥を感じたときには日中も保湿を心がけましょう。
【保湿ケアのポイント】
- 肌のバリア機能をサポートする成分(セラミドなど)配合の保湿剤を選ぶ
- 洗顔後すぐに化粧水で水分補給、乳液・クリームで蓋をする
- 肌をこすらず、優しく押さえるように塗る
- 乾燥を感じたら日中も保湿する
保湿を徹底することで、肌のバリア機能が整い、外部刺激への抵抗力が高まり、炎症や赤みが起こりにくくなります。
徹底した紫外線対策
紫外線は、肌の炎症やバリア機能の低下を招き、赤みを悪化させる大きな要因です。
季節や天候に関わらず、一年中紫外線対策を行うことが重要です。
- 日焼け止めの選び方: 紫外線吸収剤不使用のノンケミカル処方や、敏感肌向けの製品など、肌に優しいタイプを選びましょう。
日常使いであれば、SPF30、PA+++程度のもの、レジャーや紫外線の強い場所ではSPF50+、PA++++のものを選ぶのが目安です。 - 使用方法: 日焼け止めは量をケチらず、顔全体にムラなく塗布することが大切です。
特に頬骨の高い位置など、紫外線が当たりやすい部分は重ね付けしましょう。
効果を持続させるためには、汗をかいたりタオルで拭いたりした後は、2〜3時間おきに塗り直すことが推奨されています。 - 日焼け止め以外の対策: 日焼け止めだけでなく、つばの広い帽子やUVカット効果のあるサングラス、マスク、衣服などを活用して、物理的に紫外線をカットすることも有効です。
【紫外線対策のポイント】
- 一年中、外出時は日焼け止めを塗る
- 肌に優しいタイプを選び、適量をムラなく塗布する
- こまめに塗り直す
- 帽子や衣類などで物理的に紫外線をカットする
紫外線対策を徹底することで、新たな炎症を防ぎ、既存の赤みが悪化するのを防ぐことができます。
生活習慣の見直し
食生活や睡眠、ストレスなどは、皮膚の状態に密接に関わっています。
これらの生活習慣を見直すことは、体の内側から肌の状態を整え、赤みを改善するために重要です。
食事内容の改善
特定の食品が、肌の炎症や血管拡張を招き、赤みを悪化させることがあります。
また、肌の健康に必要な栄養素を意識して摂取することも大切です。
- 避けるべき食品: 辛いものや熱すぎる飲食物は、血管を拡張させて顔の赤みを一時的に強める可能性があります。
アルコールやカフェインも同様に血管に作用したり、肌を乾燥させたりすることがあるため、摂りすぎには注意が必要です。
揚げ物やジャンクフードなど、高脂質で偏った食事は、炎症を促進したり、腸内環境を乱したりして肌の状態を悪化させる可能性があります。 - 積極的に摂りたい栄養素:
- ビタミンB群: 皮膚や粘膜の健康を保ち、ターンオーバーをサポートします。(例:レバー、うなぎ、鮭、バナナ、ナッツ類)
- ビタミンC: 抗酸化作用があり、肌の炎症を抑え、コラーゲンの生成を助けます。(例:パプリカ、ブロッコリー、キウイ、いちご)
- ビタミンE: 血行を促進し、肌の新陳代謝を助けます。(例:ナッツ類、アボカド、かぼちゃ)
- オメガ3脂肪酸: 炎症を抑える効果があり、肌のバリア機能をサポートします。(例:青魚(サバ、イワシ)、アマニ油、エゴマ油)
- 亜鉛: 皮膚の修復や再生に関わり、免疫機能もサポートします。(例:牡蠣、牛肉、豚レバー、大豆製品)
これらの栄養素をバランスよく含む、野菜中心の食事を心がけましょう。
【食事改善のポイント】
- 辛いもの、熱いもの、アルコール、カフェインの摂りすぎに注意する
- 高脂質で偏った食事を避ける
- ビタミンB群、C、E、オメガ3脂肪酸、亜鉛などを意識して摂取する
- バランスの取れた食事を心がける
食事が直接的な原因でなくても、肌の健康状態を維持するためには非常に重要です。
質の良い睡眠とストレス解消
睡眠不足は、成長ホルモンの分泌を妨げ、肌のターンオーバーや修復を遅らせます。
また、ストレスは自律神経の乱れを通じて血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こし、肌の状態を悪化させます。
質の良い睡眠を確保し、ストレスを適切に解消することが、健康な肌を保つために不可欠です。
- 質の良い睡眠: 毎日決まった時間に寝起きし、7〜8時間の睡眠時間を確保するよう努めましょう。
寝る前にスマホやパソコンの使用を避けたり、ぬるめの湯船に浸かったり、軽いストレッチをしたりと、リラックスできる習慣を取り入れるのも有効です。
寝室の環境(温度、湿度、明るさ)も整えましょう。 - ストレス解消: ストレスを感じたときは、自分に合った方法で解消することが大切です。
軽い運動(ウォーキング、ヨガなど)、趣味に没頭する時間を作る、音楽を聴く、瞑想や深呼吸、親しい友人や家族に話を聞いてもらうなど、様々な方法があります。
【睡眠とストレス解消のポイント】
- 毎日決まった時間に寝起きし、十分な睡眠時間を確保する
- 寝る前にリラックスできる習慣を取り入れる
- 自分に合ったストレス解消法を見つける
- 無理をせず、心身ともに休息をとる時間を作る
体全体の健康が肌の健康につながることを意識し、積極的に生活習慣を見直しましょう。
皮膚科での専門的治療
日々のスキンケアや生活習慣の改善で効果が見られない場合や、酒さや重症のニキビといった皮膚疾患が原因で赤みが生じている場合は、皮膚科医による専門的な診断と治療が必要です。
皮膚科では、赤みの原因を正確に診断し、症状に合わせた様々な治療法が提供されます。
レーザー治療・光治療(フォトフェイシャル)
血管が拡張して生じる赤み(毛細血管拡張症、酒さの紅斑血管拡張型、ニキビ跡の赤みなど)に対しては、レーザー治療や光治療が非常に有効な選択肢となります。
これらの治療は、皮膚の表面を傷つけずに、異常な血管や色素沈着に光エネルギーを当てることで、それらを破壊したり、機能を抑制したりします。
代表的な治療法として、以下のようなものがあります。
治療法 | 特徴・効果 | 適応 | 治療回数(目安) | 費用相場(1回あたり) | ダウンタイム(目安) |
---|---|---|---|---|---|
Vビーム | 赤い色素(ヘモグロビン)によく吸収される波長のレーザー。 異常な血管を選択的に破壊し、赤みを軽減する。 |
毛細血管拡張症、酒さの赤み、ニキビ跡の赤み、単純性血管腫 | 3〜5回 | 2万円〜5万円 | 数日〜1週間(紫斑が出ることも) |
IPL(フォトフェイシャル) | 複数の波長を含む光を照射する治療法。 ヘモグロビンだけでなく、メラニン色素にも反応するため、赤みと同時にシミやくすみにも効果が期待できる。 |
酒さの赤み、ニキビ跡の赤み、シミ、くすみ、肌質改善 | 3〜5回 | 1万円〜3万円 | ほぼなし(軽度の赤みや乾燥) |
ロングパルスヤグレーザー | 比較的長い波長を持つレーザー。 皮膚の深部まで届き、太い血管にもアプローチできる。 |
毛細血管拡張症、酒さの赤み | 3〜5回 | 2万円〜5万円 | 軽度の赤みや腫れ、かさぶた |
(※費用相場や治療回数はクリニックや症状によって異なります。保険適用外の自由診療となることが多いです。)
これらの治療は、赤みの原因となっている血管そのものに作用するため、他の治療法では難しい毛細血管拡張症などに対して特に高い効果が期待できます。
ただし、複数回の治療が必要となる場合が多く、治療後のケアも重要です。
外用薬・内服薬による治療
赤みの原因となっている皮膚疾患(酒さ、脂漏性皮膚炎、ニキビなど)に対しては、医師の診断に基づき、様々な外用薬(塗り薬)や内服薬(飲み薬)が処方されます。
- 外用薬:
- 抗炎症作用のある薬: ステロイド(短期・局所的な使用)、タクロリムス、ピメクロリムス(酒さや脂漏性皮膚炎に)、アゼライン酸(酒さやニキビに)など。
皮膚の炎症を抑え、赤みを鎮める効果があります。 - 抗菌薬: メトロニダゾール(酒さの丘疹・膿疱に)、抗菌成分配合のニキビ治療薬(ニキビの原因菌を抑える)など。
細菌や常在菌の増殖を抑え、炎症を鎮めます。 - 血管収縮剤: ブルモニジン(酒さの紅斑に)。
一時的に血管を収縮させ、赤みを軽減します。 - その他: ビタミンC誘導体(抗酸化作用、炎症抑制)、ヘパリン類似物質(保湿、血行促進)、保湿剤(バリア機能改善)など。
- 抗炎症作用のある薬: ステロイド(短期・局所的な使用)、タクロリムス、ピメクロリムス(酒さや脂漏性皮膚炎に)、アゼライン酸(酒さやニキビに)など。
- 内服薬:
- 抗生物質: テトラサイクリン系(ミノサイクリン、ドキシサイクリンなど)(酒さやニキビの炎症を抑える)、ロキシスロマイシン(酒さの炎症に)など。
炎症や細菌の増殖を抑えます。 - 抗ヒスタミン剤: かゆみを伴う赤み(脂漏性皮膚炎など)に対して使用されることがあります。
- イソトレチノイン: 重症ニキビや一部の酒さに非常に高い効果を示すことがありますが、副作用のリスクもあるため、専門医の厳重な管理のもとで使用されます。
- 漢方薬: 体質改善を図り、赤みを軽減するために処方されることがあります。(例:桂枝茯苓丸、黄連解毒湯など)
- 抗生物質: テトラサイクリン系(ミノサイクリン、ドキシサイクリンなど)(酒さやニキビの炎症を抑える)、ロキシスロマイシン(酒さの炎症に)など。
どのような薬が処方されるかは、赤みの原因、症状の程度、肌の状態などによって異なります。
医師の指示通りに正しく使用することが重要です。
治療法の選択は、赤みの原因や症状の重症度、患者さんの希望などを総合的に考慮して皮膚科医が行います。
自己判断で市販薬を試したり、間違ったケアを続けたりするよりも、早めに専門医に相談することで、より効果的で適切な治療を受けることができます。
頬の赤みが改善しない場合は皮膚科へ相談を
ここまで、頬の赤みの様々な原因と対策について解説してきました。
日々のスキンケアや生活習慣を見直すことで改善する赤みもありますが、中には専門的な治療が必要なケースも多くあります。
特に以下のような場合は、自己判断せずに皮膚科医に相談することをお勧めします。
- 赤みが数週間以上続いている、あるいは悪化している:一過性の赤みではなく、慢性的な炎症や皮膚疾患の可能性があります。
- 赤みにかゆみ、痛み、ひどいカサつき、ぶつぶつ(丘疹・膿疱)を伴う:特定の皮膚疾患(酒さ、脂漏性皮膚炎、ニキビなど)が疑われます。
- セルフケアを試しても改善が見られない:原因がセルフケアでは対応できないレベルである可能性があります。
- 原因が分からない、あるいは複数の原因が考えられる:専門的な診断が必要です。
- メイクで隠しきれない、日常生活に支障が出ている:精神的な負担も大きい場合は、積極的に治療を検討しましょう。
- 急に赤みが広がる、他の全身症状を伴う:稀ですが、全身疾患の可能性も考慮し、早めに受診すべきです。
皮膚科医は、問診や視診、必要に応じてダーモスコピー(拡大鏡での観察)や皮膚生検、アレルギー検査などを行い、赤みの原因を正確に診断します。
そして、その診断に基づき、一人ひとりの肌の状態やライフスタイルに合わせた最適な治療プラン(スキンケア指導、外用薬・内服薬の処方、レーザー治療など)を提案してくれます。
インターネットの情報や友人のアドバイスだけで自己判断し、間違ったケアを続けると、かえって症状を悪化させたり、治るまでに時間がかかったりすることがあります。
早期に皮膚科を受診することで、適切な診断と治療を受けられ、症状の早期改善や悪化予防につながります。
頬の赤みに悩んでいるなら、「これは病気かな?」「どうすれば治るんだろう?」と一人で抱え込まず、まずは気軽に皮膚科医に相談してみましょう。
専門家のアドバイスを受けることが、赤み改善への確実な一歩となります。
まとめ
頬の赤みは、乾燥肌、敏感肌、酒さ、脂漏性皮膚炎、ニキビといった皮膚トラブルだけでなく、寒暖差、紫外線、摩擦、合わないスキンケアといった外部刺激、さらにはストレスや生活習慣の乱れ、ごく稀に全身疾患など、様々な原因によって引き起こされます。
一時的に赤みを落ち着かせたい場合は、穏やかな冷却や肌への保護、メイクでのカバーといった対処法がありますが、これらは根本的な解決にはなりません。
頬の赤みを根本的に治すためには、原因に応じた適切な対策が必要です。
日々のスキンケアでは、肌に優しい洗顔で摩擦を避け、十分な保湿でバリア機能を整え、徹底した紫外線対策で炎症を防ぐことが基本となります。
また、バランスの取れた食事、質の良い睡眠、ストレス解消といった生活習慣の見直しも、体の内側から肌を健康に保つために非常に重要です。
これらのセルフケアで改善が見られない場合や、特定の皮膚疾患が疑われる場合は、迷わず皮膚科医に相談しましょう。
皮膚科では、正確な診断に基づき、外用薬や内服薬による薬物療法、あるいはレーザー治療や光治療といった専門的な治療を受けることができます。
特に毛細血管の拡張による赤みには、レーザー治療が有効な選択肢となります。
頬の赤みは、放置すると慢性化したり、精神的な負担になったりすることもあります。
原因を正しく理解し、適切なケアや治療を早期に行うことが、つらい赤みを改善し、健やかな肌を取り戻すための鍵となります。
一人で悩まず、まずは日々のケアを見直し、必要であれば皮膚科医に相談して、ご自身に合った方法で頬の赤みと向き合っていきましょう。
【免責事項】
この記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。
ご自身の症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。
記事内で言及されている治療法や薬剤についても、個人の症状や体質によって効果やリスクが異なります。