【更年期のめまいと吐き気】つらい症状の原因と今日からできる対策

更年期に入ると、女性の体には様々な変化が訪れます。その中でも、めまいや吐き気は多くの女性が経験するつらい症状の一つです。これらの症状は、日常生活に大きな影響を与え、QOL(生活の質)を低下させる可能性があります。しかし、原因を正しく理解し、適切な対処法を知ることで、症状を和らげ、快適な毎日を取り戻すことが期待できます。この記事では、更年期におけるめまいや吐き気の原因、特徴、そして効果的な対処法について、専門的な知見に基づいて詳しく解説します。つらい症状にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みいただき、改善のための第一歩を踏み出してください。

目次

更年期にめまい・吐き気が起こる原因

更年期は、閉経を挟んだ前後約10年間を指し、一般的には40代後半から50代前半にかけて訪れます。この時期に体調の変化を感じる女性が多いのは、主に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少するためです。エストロゲン減少は、単に生殖機能に関わる変化だけでなく、全身の様々な機能に影響を及ぼします。特に、めまいや吐き気といった症状の背景には、女性ホルモンと自律神経の密接な関係があります。

女性ホルモンの急激な減少と自律神経の乱れ

女性ホルモン、特にエストロゲンは、卵巣から分泌されますが、その分泌をコントロールしているのは脳の視床下部です。視床下部は、女性ホルモンの分泌だけでなく、体温調節、血圧、心拍、消化器系の動きといった、私たちの生命維持に欠かせない自律神経の中枢でもあります。

更年期に入り、卵巣の機能が衰えてエストロゲンの分泌が減少すると、視床下部はこの変化に対応しようと混乱します。エストロゲン減少の信号を受け取り、分泌を促すための指令を出し続けますが、卵巣はそれに応えることができません。このアンバランスな状態が、視床下部の機能に影響を与え、自律神経のバランスを崩してしまうのです。

自律神経には、活動時に優位になる交感神経と、休息時に優位になる副交感神経があります。この二つの神経がバランスを取りながら、体の様々な機能を調節しています。しかし、更年期による視床下部の混乱によって自律神経のバランスが乱れると、本来協調して働くべき両者の連携がうまくいかなくなります。

血管の収縮・拡張を制御する自律神経の働きが不安定になると、脳への血流が一時的に滞ったり、逆に急に血流が増えたりすることで、めまいが発生しやすくなります。特に、ふわふわとした浮動性のめまいや、立ちくらみのような症状は、血管運動神経の調節障害が原因であることが多いです。

また、自律神経は消化器系の働きもコントロールしています。胃腸の動きや消化液の分泌なども自律神経によって調整されているため、そのバランスが乱れると、胃の不快感、膨満感、吐き気、便秘や下痢といった症状が現れることがあります。更年期の吐き気は、この自律神経の乱れによる胃腸機能の低下が関係していると考えられます。

このように、更年期に女性ホルモンが急激に減少することが、自律神経の中枢である視床下部に影響を与え、全身の自律神経のバランスを崩すことが、めまいや吐き気の直接的な原因の一つと考えられています。

ストレスや疲労との関係

更年期は、体の変化だけでなく、社会的な立場や家庭環境の変化など、精神的なストレスを抱えやすい時期でもあります。子供の独立、親の介護、自身のキャリアの転換期、夫婦関係の変化など、様々なライフイベントが重なることがあります。

ストレスや疲労は、自律神経のバランスをさらに大きく乱す要因となります。長期にわたるストレスは、交感神経を常に緊張状態にさせ、心拍数を上げたり、血管を収縮させたりします。これにより、血行が悪化し、めまいや肩こり、頭痛といった症状を悪化させる可能性があります。

また、精神的な緊張や不安は、胃酸の分泌を増やしたり、胃の動きを異常に活発にさせたりすることで、吐き気や胃痛、胸やけといった消化器症状を引き起こすこともあります。

更年期における女性ホルモンの減少という身体的な変化に加え、この時期に抱えやすい精神的なストレスや日々の疲労が重なることで、自律神経の乱れが増幅され、めまいや吐き気といった症状がより強く現れたり、長引いたりすることが少なくありません。心身両面からのケアが、更年期症状の緩和には不可欠と言えるでしょう。

更年期のめまい・吐き気の特徴

更年期に現れるめまいや吐き気は、その現れ方や他の症状との関連において特徴があります。これらの特徴を知ることで、自身の症状が更年期によるものなのか、あるいは他の原因によるものなのかを見分ける手がかりになります。ただし、自己判断は危険ですので、気になる症状があれば必ず医療機関を受診することが重要ですのです。

めまいの種類と現れ方(ふわふわ、ぐるぐるなど)

めまいは、大きく分けていくつかの種類があります。更年期に多くみられるのは、主に「浮動性めまい」と「立ちくらみ」です。

  • 浮動性めまい: まるで雲の上を歩いているような、あるいは船に乗って揺れているようなフワフワとした感覚のめまいです。体が宙に浮いているような、地面が不安定なような感じがします。常にフワフワしているように感じることもあれば、特定の動作や体勢で強くなることもあります。頭痛や肩こりを伴うことも少なくありません。自律神経の乱れによる脳血流の不安定さが原因の一つと考えられています。
  • 立ちくらみ(起立性めまい): 座っている状態や寝ている状態から急に立ち上がった際に、目の前が真っ暗になったり、意識が遠のいたりする感覚のめまいです。これは、立ち上がる際に下肢に血液が移動し、一時的に脳への血流が減少することで起こります。更年期には血圧の変動が起こりやすいため、立ちくらみを経験する女性が増えることがあります。
  • 回転性めまい: 自分自身や周囲がぐるぐる回っているように感じる、比較的激しいめまいです。耳の奥(内耳)の異常が原因で起こることが多く、メニエール病や前庭神経炎などが代表的な疾患です。更年期にこれらの疾患が起こる可能性もありますが、更年期症状としてのめまいとしては浮動性めまいの方が一般的です。

更年期のめまいは、これらの種類のめまいが単独で現れることもあれば、複数組み合わさって現れることもあります。症状の強さや頻度も個人差が大きく、軽いめまいが時々起こる程度の人もいれば、強いめまいが頻繁に起こり、日常生活に支障をきたす人もいます。朝起きた時や、疲れている時、睡眠不足の時などに症状が出やすい傾向が見られます。

吐き気の症状と他の更年期症状(ホットフラッシュ、頭痛など)

更年期の吐き気は、めまいと同時に現れることもあれば、単独で現れることもあります。胃のむかつき、食欲不振、胃もたれ、膨満感といった消化器症状を伴うことも少なくありません。乗り物酔いのような気持ち悪さを感じる人もいます。

この吐き気は、前述のように自律神経の乱れによる胃腸機能の低下が原因であることが考えられます。また、精神的なストレスや不安が強い場合に、心因性の吐き気として現れることもあります。

更年期のめまいや吐き気は、他の様々な更年期症状と併発しやすいという特徴があります。代表的な症状には以下のようなものがあります。

  • ホットフラッシュ: 突然顔や体がカーッと熱くなり、多量の汗をかく症状です。自律神経の乱れによる血管運動神経の調節障害が原因と考えられています。めまいや吐き気と同じく、自律神経の乱れが根底にあるため、同時に現れることがよくあります。
  • 頭痛: 緊張型頭痛や片頭痛が悪化したり、新たな頭痛が出現したりすることがあります。血行不良や自律神経の乱れが関与しています。
  • 肩こり・首こり: 血行不良や筋肉の緊張が原因です。めまいと同時に現れることが多く、首や肩の血行が悪くなることで脳への血流にも影響が出やすくなります。
  • 不眠: 寝つきが悪い、夜中に目が覚める、眠りが浅いといった症状です。自律神経の乱れや精神的な不安が原因となります。睡眠不足は自律神経をさらに乱し、めまいや吐き気を悪化させる可能性があります。
  • イライラ、不安、気分の落ち込み: 精神的な症状も更年期の特徴です。女性ホルモンの減少が脳の感情に関わる部位に影響を与えることに加え、体の不調が精神的な負担となります。精神的な不調は自律神経の乱れを招き、めまいや吐き気を悪化させる悪循環に陥ることがあります。

更年期のめまいや吐き気は、これらの症状と複雑に絡み合いながら現れることが多いため、単なるめまいや吐き気として捉えるのではなく、更年期という体の変化の時期に起こる一連の症状の一つとして全体的に捉えることが大切です。

更年期のめまい・吐き気への対処法

更年期のめまいや吐き気は、適切な対処によって症状を和らげることが可能です。対処法は、医療機関での治療と、日常生活で取り入れられるセルフケアに分けられます。自身の症状や体質に合った方法を見つけることが重要です。

医療機関での治療法

更年期症状がつらい場合や、セルフケアだけでは改善が見られない場合は、医療機関を受診することをおすすめします。医師に相談することで、適切な診断と治療を受けることができます。

ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法(HRT)は、更年期症状の根本的な原因である女性ホルモン(エストロゲン)の減少を補う治療法です。不足しているホルモンを体外から補充することで、自律神経の乱れを改善し、めまいや吐き気だけでなく、ホットフラッシュ、発汗、動悸、不眠、気分の落ち込みといった様々な更年期症状の緩和に高い効果が期待できます。

HRTには、主にエストロゲン単独療法と、エストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)を併用する療法があります。子宮がある女性の場合、エストロゲン単独療法を行うと子宮内膜増殖症のリスクが高まるため、通常はプロゲステロンも併用して子宮内膜を保護します。子宮を摘出している場合は、エストロゲン単独療法が選択されることが多いです。

投与方法には、飲み薬(内服薬)、皮膚に貼る貼り薬(パッチ剤)、皮膚に塗る塗り薬(ジェル剤)など様々な種類があります。飲み薬は毎日服用が必要ですが、貼り薬や塗り薬は週に数回、あるいは毎日など種類によって異なります。貼り薬や塗り薬は、肝臓への負担が少ないというメリットがあります。

HRTは多くの更年期症状に有効ですが、すべての人に適しているわけではありません。乳がんや子宮体がんの既往がある方、血栓症を起こしやすい方、重度の肝臓病がある方などはHRTが禁忌となる場合があります。また、HRTを開始する前には、問診や血液検査、乳がん・子宮がん検診などが必要です。治療を開始した後も定期的な検査を受けながら継続します。

HRTの効果やリスクについては、医師とよく相談し、自身の体質や既往症、家族歴などを考慮した上で慎重に判断することが大切です。

漢方薬やその他の薬物療法

HRTが適さない場合や、HRTに抵抗がある場合、あるいは特定の症状に特化した治療を希望する場合は、漢方薬やその他の薬物療法が選択肢となります。

漢方薬: 漢方薬は、心と体のバランスを整えることで症状の改善を目指す治療法です。更年期に用いられる漢方薬は多岐にわたりますが、めまいや吐き気といった症状によく用いられるものとしては、以下のようなものがあります。

  • 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう): 胃腸が弱く、体に余分な水分(湿)が溜まりやすく、めまいや頭痛、吐き気を伴うようなタイプのめまいに用いられます。「湿痰(しったん)」と呼ばれる体内の淀みを改善し、胃腸の働きを整える効果が期待できます。
  • 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう): 比較的体力がなく、めまいや立ちくらみ、動悸、息切れ、神経過敏などを伴う場合に用いられます。体内の水分代謝を改善し、「気」の巡りを良くすることで、自律神経の乱れからくる症状を緩和する効果が期待できます。
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん): イライラや不安感、抑うつなどの精神的な症状が強く、それに伴ってめまい、吐き気、頭痛、肩こり、腹部の張りなどが現れる場合に用いられます。気の巡りを良くし、精神的な緊張を和らげる効果が期待できます。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん): 体力がなく、冷え性や貧血傾向があり、むくみやめまい、頭痛、肩こりなどを伴う場合に用いられます。血行を促進し、体を温めることで、冷えや血行不良からくる症状を改善する効果が期待できます。

漢方薬は、個人の体質や症状(「証」といいます)に合わせて処方されるため、自己判断で選ぶのではなく、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することが大切です。効果が現れるまでに時間がかかる場合もありますが、比較的副作用が少なく、体全体のバランスを整える効果が期待できます。

その他の薬物療法: めまいや吐き気の症状が強い場合は、対症療法として西洋薬が処方されることもあります。

  • 抗めまい薬: めまいの感覚を和らげる薬です。内耳の血流を改善したり、平衡感覚を司る脳の働きを調整したりすることで効果を発揮します。
  • 制吐剤: 吐き気や嘔吐を抑える薬です。胃のむかつきや不快感を軽減します。
  • 自律神経調整薬: 自律神経のバランスを整える効果が期待できる薬です。体の緊張を和らげ、心身の状態を安定させます。
  • 抗不安薬・抗うつ薬: 不安感や気分の落ち込みといった精神的な症状がめまいや吐き気を悪化させている場合に、これらの症状を改善することで、結果的に身体症状も緩和されることがあります。少量から開始し、依存に注意しながら使用します。

これらの薬は、症状の程度や体質、他の持病などを考慮して医師が処方します。症状に合わせて適切に使用することで、つらい時期を乗り越える助けになります。

日常生活でできるセルフケア

医療機関での治療と並行して、あるいは症状が比較的軽い場合は、日常生活でできるセルフケアも非常に有効です。日々の習慣を見直すことで、自律神経のバランスを整え、症状を和らげることができます。

食事の工夫

バランスの取れた食事は、心身の健康を保つ基本です。特に更年期には、特定の栄養素を意識して摂取することで、体調の改善に繋がります。

  • バランスの取れた食事: 主食、主菜、副菜を揃え、様々な食品から栄養を摂るように心がけましょう。特定の食品に偏らず、彩り豊かな食事を意識すると、自然と多様な栄養素を摂取できます。
  • 自律神経を整える栄養素: ビタミンB群(特にB1、B6、B12)、カルシウム、マグネシウムなどは、神経機能の維持やストレス軽減に関わる重要な栄養素です。豚肉、大豆製品、魚介類、乳製品、緑黄色野菜、ナッツ類などを積極的に取り入れましょう。
  • 女性ホルモンに似た働きをする食品: 大豆製品に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをすることが知られており、更年期症状の緩和に役立つ可能性があります。豆腐、納豆、豆乳などを日常的に食べることをおすすめします。
  • カフェインやアルコールの摂取を控えめに: カフェインやアルコールは、自律神経を刺激し、めまいや動悸、不眠などを悪化させる可能性があります。過剰な摂取は控え、特に症状が出やすい時間帯や寝る前などは避けるようにしましょう。
  • 十分な水分補給: 脱水はめまいや立ちくらみを引き起こしたり悪化させたりすることがあります。こまめに水分を補給し、体を潤すようにしましょう。特に暑い時期や運動後、入浴後などは意識して水分を摂ることが大切ですのです。
  • 規則正しい食事時間: 毎日決まった時間に食事を摂ることで、体のリズムが整い、自律神経の安定に繋がります。また、胃腸への負担を減らすため、消化の良いものを、ゆっくりとよく噛んで食べることを心がけましょう。

適度な運動と休息

適度な運動は血行を促進し、自律神経の働きを整える効果があります。また、ストレス解消にも繋がり、更年期症状全般の改善に役立ちます。

  • ウォーキング: 毎日20分から30分程度のウォーキングは、全身の血行を良くし、自律神経を活性化させます。無理のないペースで、景色を楽しみながら行うとリフレッシュ効果も高まります。
  • ストレッチやヨガ: 体の筋肉の緊張を和らげ、リラックス効果を高めます。深い呼吸を意識しながら行うことで、副交感神経が優位になり、自律神経のバランスが整いやすくなります。めまいがある場合は、転倒しないように注意しながら行いましょう。
  • 軽い筋力トレーニング: 足腰の筋肉を鍛えることで、立ちくらみの予防にも繋がります。スクワットや階段昇降など、自宅で簡単にできるものから始めてみましょう。
  • 休息の重要性: 疲れは自律神経の乱れを招きます。十分な睡眠時間を確保するだけでなく、日中も適度に休憩を取り、体を休ませることが大切です。疲労を感じたら無理せず休息する習慣をつけましょう。
  • 運動の際の注意: めまいや吐き気がある時は、激しい運動は避けましょう。体調が良い時に、短時間から無理なく始め、徐々に運動量や時間を増やしていくのがおすすめです。

ストレス軽減法

更年期はストレスを抱えやすい時期であり、ストレスがめまいや吐き気を悪化させる大きな要因となります。意識的にストレスを軽減する時間を作りましょう。

  • リラクゼーションを取り入れる: 深呼吸、腹式呼吸、瞑想、アロマテラピー、音楽鑑賞など、自分がリラックスできる方法を見つけて、毎日少しでも実践しましょう。これらの方法は、心拍数や血圧を落ち着かせ、副交感神経を優位にする効果があります。
  • 趣味や好きなことに時間を使う: 好きなことに没頭する時間は、日常のストレスから離れ、気分転換になります。新しい趣味を見つけるのも良いでしょう。
  • ジャーナリング(書くこと): 感じていることや考えていることを紙に書き出すことで、気持ちを整理し、心の負担を軽減することができます。特に不安や心配事を抱えている場合に有効です。
  • デジタルデトックス: スマートフォンやパソコンから離れる時間を作ることも、脳を休ませ、ストレスを軽減するのに役立ちます。
  • 誰かに相談する: 家族や友人、信頼できる人に自分の気持ちを話すだけでも、心が軽くなることがあります。一人で抱え込まず、頼ることも大切です。必要であれば、専門家(カウンセラーなど)に相談することも検討しましょう。
  • 完璧主義を手放す: 更年期は心身ともに変化が大きい時期です。以前のように完璧に家事や仕事をこなせなくても自分を責めないこと。自分に優しくなり、できる範囲で良いと割り切ることもストレス軽減に繋がります。

睡眠の質の改善

睡眠は、心身の休息と回復のために不可欠です。質の高い睡眠を確保することは、自律神経のバランスを整え、更年期症状の緩和に大きく貢献します。

  • 規則正しい生活: 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように心がけましょう。体内時計が整い、スムーズな入眠と覚醒に繋がります。
  • 寝室環境を整える: 寝室は暗く、静かで、快適な温度(一般的に18〜22℃程度)に保ちましょう。寝具も自分に合ったものを選ぶと、リラックスして眠りに入りやすくなります。
  • 寝る前のリラックス習慣: 寝る1〜2時間前から、入浴(ぬるめのお湯にゆっくり浸かる)、読書、軽いストレッチ、音楽鑑賞など、リラックスできる習慣を取り入れましょう。スマートフォンやパソコンのブルーライトは脳を覚醒させるため、寝る前の使用は控えるのが賢明です。
  • カフェインやアルコールを避ける: 寝る前にカフェインやアルコールを摂取すると、睡眠の質が低下します。夕食後以降は控えるようにしましょう。
  • 日中の適度な運動: 日中に体を動かすことは、夜の質の良い睡眠に繋がります。ただし、寝る直前の激しい運動は避けましょう。
  • どうしても眠れない場合: 眠れない時は、無理に寝ようとせず一度ベッドから出て、リラックスできることをして、眠気を感じたら再びベッドに戻るようにしましょう。

更年期のめまい・吐き気に良いとされるツボ

東洋医学の考え方に基づいたツボ押しも、めまいや吐き気の症状緩和に役立つとされています。無理のない範囲で、優しく刺激してみましょう。

  • 内関(ないかん): 手首の内側、手首のしわから指3本分上がった中央にあるツボです。乗り物酔いや吐き気、胸のむかつきに効果があるとされています。親指で優しく押したり揉んだりします。
  • 足三里(あしさんり): 膝のお皿のすぐ下、外側にあるくぼみから指4本分下がったすねの外側にあるツボです。胃腸の働きを整え、吐き気や胃もたれ、食欲不振に効果があるとされています。また、全身の疲労回復にも良いとされています。
  • 百会(ひゃくえ): 頭のてっぺんにあるツボで、両耳の穴と鼻の付け根から頭頂部へ上がった線が交わるところにあります。めまいや頭痛、自律神経の乱れ、精神的な不調に効果があるとされています。指の腹で優しく押します。
  • 太衝(たいしょう): 足の甲、足の親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみにあるツボです。ストレスやイライラ、気の巡りを整える効果があるとされ、それに伴うめまいや頭痛にも良いとされています。

ツボ押しは、痛気持ち良い程度の力加減で行いましょう。強く押しすぎると逆効果になることもあります。症状がある時に試してみるだけでなく、毎日継続することで体調を整える効果も期待できます。

更年期のめまい・吐き気はどれくらいで治る?

更年期のめまいや吐き気の症状がどれくらい続くのかは、個人差が非常に大きいです。数ヶ月で自然に落ち着く人もいれば、閉経後数年にわたって症状が続く人もいます。

一般的に、更年期症状は閉経を挟んだ前後約10年間で現れやすいと言われています。症状のピークは閉経前後に訪れることが多く、閉経後しばらくすると女性ホルモンの極端に少ない状態に体が慣れてくるため、症状が自然と和らいでいく傾向があります。しかし、症状の感じ方や継続期間は、個人の体質、生活習慣、ストレスの程度、受けている治療など様々な要因によって異なります。

医療機関で適切な治療を受けたり、日常生活でのセルフケアを継続したりすることで、症状の程度を軽減したり、症状が出ている期間を短縮したりすることが期待できます。ホルモン補充療法(HRT)などは、つらい症状を早期に改善する効果が期待できる治療法の一つです。

重要なのは、「いつか必ず治る」という希望を持ちつつも、つらい時期は無理をせず、専門家のサポートを得ながら症状と向き合っていくことです。症状が長引く場合でも、諦めずに医師と相談し、治療法やセルフケアの方法を見直していくことが大切です。

30代でめまい・吐き気がある場合、更年期の可能性は?

更年期は一般的に40代後半から50代前半に訪れるものですが、30代でめまいや吐き気がある場合に「もしかして更年期?」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

30代でのめまいや吐き気の原因として、更年期である可能性は低いと考えられます。しかし、全くゼロというわけではありません。「早発閉経」といって、40歳未満で閉経を迎える場合があり、その場合は30代でも更年期と同様の症状が現れる可能性があります。また、30代後半(30代後半〜40代前半)は「プレ更年期」と呼ばれる時期にあたり、この時期から女性ホルモンの分泌が変動し始め、軽い更年期のような症状を感じる方もいらっしゃいます。

ただし、30代でめまいや吐き気が起こる原因は、更年期以外にも非常に多く考えられます。例えば、以下のような原因が挙げられます。

  • ストレスや疲労: 仕事や育児などによる過労や精神的なストレスは、年齢に関わらず自律神経の乱れを引き起こし、めまいや吐き気の原因となります。
  • 睡眠不足: 睡眠不足も自律神経の乱れや体調不良の原因となります。
  • 低血圧や起立性調節障害: 特に若い女性に多く見られ、立ちくらみやめまい、吐き気、倦怠感などの症状を引き起こします。
  • 耳の病気: メニエール病、前庭神経炎、良性発作性頭位めまい症など、内耳の異常が原因で起こるめまいや吐き気です。
  • 貧血: 鉄分不足などによる貧血は、立ちくらみやめまい、倦怠感の原因となります。
  • 片頭痛: 片頭痛はめまいや吐き気を伴うことがあります。
  • 消化器系の病気: 胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎など、消化器系の病気が吐き気や胃の不快感の原因となることがあります。
  • その他の病気: 脳の病気(脳腫瘍、脳梗塞など)や心臓病、甲状腺の病気など、重篤な病気が原因となっている可能性も否定できません。

このように、30代でのめまいや吐き気は、様々な原因が考えられます。自己判断で「更年期かも」と決めつけず、まずは医療機関を受診して、正確な診断を受けることが非常に重要です。特に、症状が突然始まった場合や、めまいが強くぐるぐる回る感じがする場合、手足のしびれやろれつが回らないといった他の神経症状を伴う場合などは、速やかに医療機関を受診してください。

更年期のめまい・吐き気で受診すべき科とタイミング

更年期のめまいや吐き気で医療機関を受診する場合、まずは婦人科を受診することをおすすめします。更年期症状は女性ホルモンの変動が原因であるため、婦人科で総合的な診断と治療を受けるのが最も適切です。

婦人科では、問診を通して症状の現れ方や既往症、家族歴などを詳しく聞き、必要に応じてホルモン検査やその他の検査を行います。その上で、症状が本当に更年期によるものなのか、他の原因があるのかを判断し、適切な治療法(HRT、漢方薬など)を提案してくれます。更年期症状全般に関する相談やアドバイスも受けることができます。

ただし、めまいの症状が非常に強く、ぐるぐる回る回転性のめまいが中心で聴力低下や耳鳴りを伴う場合など、耳の病気が強く疑われる場合は、耳鼻咽喉科を先に受診することも考えられます。耳鼻咽喉科では、めまいの原因を特定するための専門的な検査(聴力検査、平衡機能検査など)を受けることができます。

また、吐き気が強く、胃の不快感や腹痛などを伴う場合は、消化器内科を受診することも選択肢となります。胃カメラなどの検査で、胃腸の病気がないかを確認することができます。

さらに、不安感や気分の落ち込みといった精神的な症状が強く、それに伴ってめまいや吐き気が悪化しているような場合は、精神科や心療内科との連携が必要となることもあります。婦人科の医師に相談し、適切な科を紹介してもらうのが良いでしょう。

受診のタイミングとしては、以下のような場合が挙げられます。

  • めまいや吐き気の症状が日常生活に支障をきたしている場合(仕事や家事ができない、外出が怖いなど)。
  • セルフケアだけでは症状が改善しない、あるいは悪化している場合。
  • めまいが強く、ぐるぐる回る感じがする場合や、手足のしびれ、意識障害、激しい頭痛など、更年期症状以外の可能性も考えられる症状を伴う場合(この場合は速やかに受診)。
  • 自身の症状が更年期によるものなのかどうか不安な場合。
  • その他、気になる症状がある場合。

症状が軽いうちでも、不安を感じる場合は早めに相談することをおすすめします。医師に症状を正確に伝えるために、めまいや吐き気がいつ、どのような状況で、どのくらいの時間起こったか、他にどのような症状を伴うかなどを記録しておくと、診察の際に役立ちます。

受診すべき科 症状の例 特徴・検査など
婦人科 更年期症状全般の相談。ふわふわするめまい、立ちくらみ、吐き気、ホットフラッシュなど 女性ホルモン検査、更年期症状の評価。HRTや漢方薬など、更年期に特化した治療。
耳鼻咽喉科 ぐるぐる回る強いめまい、難聴、耳鳴りを伴う場合。 聴力検査、平衡機能検査、眼振検査など。内耳の病気(メニエール病など)の診断・治療。
消化器内科 吐き気が強く、胃痛、腹痛、胃もたれなどの消化器症状を伴う場合。 胃カメラ、腹部エコー検査など。胃炎や胃潰瘍など、消化器系の病気の診断・治療。
精神科・心療内科 不安感、気分の落ち込み、不眠など精神的な症状が強く、身体症状に影響している場合。 精神的な評価。カウンセリングや薬物療法(抗不安薬、抗うつ薬など)。婦人科と連携して治療を進めることが多い。
脳神経外科・神経内科 突然の激しいめまい、頭痛、手足のしびれ、ろれつが回らないなどの神経症状を伴う場合。 頭部MRI/CT検査など。脳卒中など、脳の病気の可能性を調べる。緊急性が高い場合があるため、速やかに受診が必要。

症状に応じて、これらの科を適切に選択したり、必要に応じて複数の科で診てもらうことが重要です。どの科に行けば良いか迷う場合は、まずはかかりつけ医や最寄りの婦人科に相談してみるのが良いでしょう。

【まとめ】更年期のめまい・吐き気に向き合うために

更年期に現れるめまいや吐き気は、女性ホルモンの減少に伴う自律神経の乱れや、ストレス、疲労などが複雑に絡み合って生じるつらい症状です。ふわふわするめまいや立ちくらみ、気持ち悪さといった症状は、日常生活の質を大きく低下させる可能性があります。

これらの症状は更年期の一時的なものと考えられがちですが、我慢せずに適切な対処を行うことが大切です。医療機関での治療(HRTや漢方薬、対症療法薬など)は、症状の根本原因に働きかけたり、つらい症状を和らげたりするのに非常に有効です。また、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な休息、ストレス軽減、質の高い睡眠といった日常生活でのセルフケアは、自律神経のバランスを整え、心身の健康を保つ上で欠かせません。ツボ押しなども、日々のケアに取り入れると良いでしょう。

症状の現れ方や程度、継続期間には個人差がありますが、「いつか必ず落ち着く時が来る」という前向きな気持ちを持つことも大切です。しかし、決して一人で抱え込まず、つらい時は迷わず医療機関を受診してください。まずは婦人科に相談することをおすすめしますが、症状によっては耳鼻咽喉科や消化器内科、心療内科など、他の専門医の診察が必要になる場合もあります。

更年期は女性にとって大きな体の変化の時期ですが、これを乗り越えることで、その後の人生をより健やかに、自分らしく過ごすことができます。めまいや吐き気といったつらい症状に悩まされている方は、この記事を参考に、ご自身に合った対処法を見つけ、上手に更年期と向き合っていきましょう。

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の疾患の診断や治療を推奨するものではありません。更年期症状やめまい・吐き気でお悩みの方は、必ず医療機関を受診し、専門医の診断と指導を受けてください。本記事の情報に基づいて行った行為によって生じたいかなる結果についても、当方は一切の責任を負いかねます。

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