思春期は、体も心も大きく変化する大切な時期です。その変化の一つとして、ニキビに悩む方も多いのではないでしょうか。鏡を見るたびに憂鬱になったり、人目が気になったり、思春期ニキビは見た目だけでなく、気持ちにも影響を与えることがあります。
でも、思春期ニキビができるのは決して特別なことではありません。体の成長に伴う自然な変化が大きく関係しています。そして、正しい知識を持って適切なケアを行えば、改善に向かうことが十分に可能です。
この記事では、思春期ニキビができる主な原因から、今日から実践できる正しいスキンケア、食事や生活習慣の見直し、市販薬の選び方、そして皮膚科への相談タイミングまで、具体的な治し方と予防策を詳しく解説します。いつまで続くのか、男女で違いはあるのかといった疑問にもお答えしますので、ぜひ最後まで読んで、ニキビの悩みから解放される一歩を踏み出しましょう。
思春期ニキビの主な原因とは?
思春期になると、多くの人がニキビを経験します。これは、体の成長を促すホルモンバランスの大きな変化が主な原因です。このホルモンの影響で、ニキビの発生に繋がる複数の要因が複雑に絡み合ってニキビができやすくなります。
ホルモンバランスの変化による皮脂過剰
思春期にニキビができる最大の原因は、ホルモンバランスの急激な変化です。特に「アンドロゲン」と呼ばれる男性ホルモン(女性の体内でも分泌されます)の分泌が増加します。このアンドロゲンは、皮脂腺を刺激して皮脂の分泌を活発にする働きがあります。
皮脂は肌の潤いを保つために必要なものですが、分泌量が過剰になると、毛穴の中に溜まりやすくなります。思春期は皮脂腺自体も発達するため、さらに皮脂が増えやすくなります。この増えすぎた皮脂が、後のニキビの種となるのです。
毛穴の詰まりとアクネ菌の繁殖
皮脂が過剰に分泌されることに加えて、思春期の肌はターンオーバー(肌の生まれ変わり)のバランスが崩れやすい傾向があります。これにより、古い角質が毛穴の出口に溜まりやすくなります。
過剰な皮脂と古い角質が混ざり合うと、毛穴の出口を塞いでしまいます。これが「毛穴の詰まり」、いわゆるコメド(白ニキビや黒ニキビ)の始まりです。
毛穴が詰まって皮脂が溜まった環境は、皮膚に常在している「アクネ菌」にとって格好の繁殖場所となります。アクネ菌は普段は悪さをしませんが、酸素が少なく皮脂が豊富な毛穴の奥で異常に増殖すると、炎症を引き起こす物質を産生します。この炎症こそが、赤く腫れ上がった「赤ニキビ」の正体です。
思春期ニキビができやすい人の特徴
ホルモンバランスの変化は誰にでも起こりますが、思春期ニキビができやすい人にはいくつかの特徴が見られます。
- 皮脂腺が大きい・皮脂分泌が多い体質:
これは遺伝的な要素が関わることがあります。顔のTゾーン(額から鼻にかけて)や背中、胸など、皮脂腺が多い部位にニキビができやすい傾向があります。 - 糖分の多い食事や脂っこい食事が偏っている:
特定の食品が直接ニキビの原因になるわけではありませんが、血糖値を急激に上げる食品や、飽和脂肪酸を多く含む食品は、皮脂分泌を促進したり、炎症を悪化させたりする可能性が指摘されています。 - 睡眠不足や不規則な生活:
睡眠中に分泌される成長ホルモンは肌のターンオーバーを整える働きがあります。睡眠不足が続くと肌のバリア機能が低下し、ニキビが悪化しやすくなります。 - ストレス:
ストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を増やしたり、免疫力を低下させたりすることがあります。精神的な負担が大きい時期はニキビができやすい、または悪化しやすいと感じる人が多いです。 - 間違ったスキンケア:
過度な洗顔による肌の乾燥、保湿不足、肌に合わない化粧品の使用なども、肌のバリア機能を壊し、ニキビを悪化させる原因となります。 - 顔やニキビを触る癖:
手の雑菌が肌に移り、ニキビの炎症を悪化させる可能性があります。また、ニキビを潰す行為は、跡を残すリスクを非常に高めます。
これらの要因が単独、または複数組み合わさることで、思春期ニキビができやすくなります。ただし、これらの特徴があるからといって必ずニキビができるわけではありませんし、適切なケアで予防・改善は可能です。
思春期ニキビの正しい治し方と効果的なケア方法
思春期ニキビを改善するためには、原因にアプローチする正しいケアを根気強く続けることが大切です。特別なことよりも、毎日の基本的な習慣を見直すことから始めましょう。
スキンケアの基本(洗顔・保湿)
ニキビケアの最も基本となるのが、毎日の洗顔と保湿です。正しい方法で行うことで、過剰な皮脂や古い角質を取り除き、肌の状態を健やかに保つことができます。
正しい洗顔方法
洗顔は、肌の汚れや余分な皮脂を落とし、毛穴の詰まりを防ぐために重要です。しかし、洗いすぎは肌に必要な皮脂まで取り除き、乾燥させてしまうので注意が必要です。
- 回数:
1日に朝晩の2回が基本です。汗をたくさんかいたり、汚れたりした場合は、必要に応じて優しく洗い流しても構いませんが、洗いすぎには気をつけましょう。 - 洗顔料の選び方:
泡立ちが良く、肌への刺激が少ないものを選びましょう。「ニキビ肌向け」「敏感肌向け」「弱酸性」「ノンコメドジェニックテスト済み」といった表示があるものがおすすめです。スクラブ入りのものや、洗浄力が強すぎるものは避けましょう。 - 泡立て:
洗顔料は手のひらや泡立てネットを使って、しっかり泡立てることが大切です。キメの細かい弾力のある泡を作ることで、肌を摩擦せずに汚れを吸着して落とすことができます。 - 洗い方:
泡を顔全体に乗せ、皮脂の多いTゾーン(額・鼻)から洗い始めます。指の腹を使って、優しく円を描くように洗います。ゴシゴシ擦るのは絶対に避けましょう。顔全体を洗い終わったら、泡が残らないようにぬるま湯で丁寧にすすぎます。熱すぎるお湯は肌を乾燥させるのでNGです。 - 拭き方:
清潔な柔らかいタオルで、顔を優しく押さえるように水分を拭き取ります。ゴシゴシ擦るのではなく、肌にタオルを当てるイメージです。家族と共有しているタオルではなく、自分専用の清潔なタオルを使うのが理想です。
洗顔後の保湿ケア
洗顔後は肌が無防備な状態になり、水分が蒸発しやすいです。すぐに保湿ケアを行い、肌に潤いを与え、バリア機能をサポートすることが重要です。「ニキビ肌だから保湿は不要」というのは大きな間違いです。乾燥した肌は、かえって皮脂を過剰に分泌させてしまうことがあります。
- 化粧水:
洗顔後すぐに化粧水をつけ、肌に水分を補給します。手のひらで優しく顔全体になじませるか、清潔なコットンを使っても良いでしょう。 - 乳液・クリーム:
化粧水で整えた肌に、乳液やクリームで油分を補い、水分の蒸発を防ぎます。ニキビができやすい部分は、油分が多すぎるものよりも、さっぱりとしたテクスチャーのものや、ノンコメドジェニックのものを選びましょう。 - 保湿成分:
セラミド、ヒアルロン酸、グリセリンなどの保湿成分や、肌のバリア機能をサポートする成分(例: ビタミンB群)が配合されているものがおすすめです。
肌に優しいスキンケア製品の選び方
思春期のデリケートな肌には、できるだけ刺激の少ない製品を選ぶことが大切です。
- 成分チェック:
アルコール、香料、着色料、鉱物油などが含まれていない、または少量であるものを選びましょう。これらの成分が肌への刺激となることがあります。 - ノンコメドジェニックテスト済み:
製品が毛穴を詰まりにくくする処方であるかを確認したテストです。全てのニキビを防ぐわけではありませんが、ニキビができやすい肌には一つの目安となります。 - パッチテスト済み:
製品を少量、目立たない部分(腕の内側など)につけて、かゆみやかぶれが出ないか試してから使用すると安心です。
食事と栄養バランスを見直す
食事が直接ニキビの原因となるという明確な科学的根拠は限られていますが、バランスの取れた食事は肌の健康を保つために重要です。特に、特定の栄養素は肌のターンオーバーを助けたり、炎症を抑えたりする働きがあります。
ニキビ予防に摂りたい栄養素
肌の健康をサポートし、ニキビの改善や予防に役立つ可能性のある栄養素を積極的に摂りましょう。
栄養素 | 働き | 含まれる食品例 |
---|---|---|
ビタミンA | 肌のターンオーバーを正常に保ち、皮膚や粘膜を健康に保つ | ほうれん草、にんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜、レバー、うなぎ |
ビタミンC | 抗酸化作用、コラーゲン生成を助ける、皮脂分泌の抑制を助ける可能性 | いちご、キウイ、レモン、パプリカ、ブロッコリー |
ビタミンE | 血行促進、抗酸化作用で肌のバリア機能をサポート | アーモンド、ナッツ類、アボカド、植物油 |
ビタミンB群 | 皮脂の代謝を助ける、皮膚や粘膜を健康に保つ(特にB2, B6) | 豚肉、レバー、魚、卵、乳製品、納豆、バナナ |
亜鉛 | 新陳代謝を促進、肌の修復や免疫機能に関わる | 牡蠣、牛肉、豚レバー、ナッツ類、豆類 |
食物繊維 | 腸内環境を整え、老廃物の排出を助ける(間接的に肌の状態に影響) | 野菜、果物、きのこ類、海藻類、玄米、全粒パン |
オメガ3脂肪酸 | 炎症を抑える作用が期待される | サバ、イワシ、サンマなどの青魚、亜麻仁油、えごま油 |
これらの栄養素をバランス良く、様々な食品から摂ることを心がけましょう。
避けるべき食べ物
特定の食品群がニキビを悪化させる可能性があるという研究結果がいくつかあります。完全に避ける必要はありませんが、摂りすぎには注意しましょう。
食品群 | なぜ注意が必要か? | 具体的な食品例 |
---|---|---|
高GI食品 | 血糖値を急激に上げ、インスリンの分泌を促すことで男性ホルモンや皮脂分泌が増加する可能性 | 砂糖の多い菓子類、清涼飲料水、白米、白いパン、じゃがいもなど |
飽和脂肪酸 | 皮脂分泌を促進する可能性 | バター、生クリーム、肉の脂身、揚げ物、スナック菓子など |
乳製品 | (一部の研究で関連が指摘されているが、まだ明確ではない)インスリン様成長因子(IGF-1)が増加し、皮脂分泌に関わる可能性 | 牛乳、チーズ、ヨーグルトなど(ただし、健康効果も大きいため極端な制限は不要) |
バランスの取れた食事を基本とし、これらの食品を大量に頻繁に摂取するのは控えるといった程度で考えましょう。加工食品やジャンクフードは避け、新鮮な食材を使った手作りの食事を心がけることが、肌だけでなく体全体の健康にも繋がります。
睡眠不足とストレス対策
睡眠とストレスは、肌の状態に大きく影響します。思春期は勉強や部活、友人関係など、ストレスを感じやすい時期でもあります。
- 睡眠:
睡眠中に肌の修復や再生を促す成長ホルモンが多く分泌されます。十分な睡眠時間を確保し、質の良い睡眠をとることが肌のターンオーバーを整え、ニキビの改善に繋がります。理想は7〜8時間程度の睡眠です。就寝前にスマホやゲームを控える、リラックスできる環境を作るなど、眠りの質を高める工夫をしましょう。 - ストレス:
ストレスを感じると、コルチゾールなどのストレスホルモンが分泌され、皮脂分泌の増加や免疫力の低下を招くことがあります。自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。軽い運動、好きな音楽を聴く、趣味に没頭する、信頼できる人に相談するなど、積極的にストレスを発散しましょう。
思春期ニキビのNG行動
ニキビが気になると、ついやってしまいがちな行動の中には、ニキビを悪化させたり、跡を残したりするものがあります。これらのNG行動は絶対に避けましょう。
顔を触る・ニキビを潰すリスク
- 顔を触る:
何気なく顔に触れる手には雑菌が付着しています。触ることでニキビに雑菌が移り、炎症が悪化したり、新たなニキビができたりする可能性があります。できるだけ顔に触らないように意識しましょう。 - ニキビを潰す:
毛穴に溜まった皮脂や膿を出したい気持ちは分かりますが、自分でニキビを潰すのは最も危険な行為の一つです。炎症をさらに悪化させたり、真皮層を傷つけたりして、色素沈着やクレーター状のニキビ跡になるリスクが非常に高いです。触らず、専門家に任せましょう。
刺激の強いケアは逆効果
ニキビを早く治したい一心で、強力な洗顔料でゴシゴシ洗ったり、頻繁にピーリングをしたりといった刺激の強いケアを行うのは逆効果です。
肌に必要なバリア機能まで壊してしまい、かえって乾燥や敏感肌を招き、ニキビが悪化しやすくなります。ニキビケアは、あくまで「肌に優しく」「負担をかけない」ことが鉄則です。
市販薬を活用する
軽いニキビや、皮膚科に行くほどではないと感じる場合は、市販のニキビ治療薬を試してみるのも一つの方法です。様々な種類がありますが、自分のニキビの状態に合ったものを選びましょう。
市販薬には、主に以下のような成分が含まれています。
- アクネ菌の殺菌成分:
イオウ、レゾルシン、ベンゼトニウム塩化物、サリチル酸など。毛穴の中のアクネ菌の増殖を抑えます。 - 抗炎症成分:
グリチルリチン酸ジカリウム、アラントインなど。赤ニキビの炎症を鎮めます。 - 角質軟化成分:
サリチル酸など。毛穴の詰まりを和らげるのを助けます。 - 皮脂吸着成分:
カオリンなど。余分な皮脂を吸着します。
選び方のポイント:
- 自分のニキビが「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」のどのタイプか確認し、効果的な成分が含まれているものを選びましょう。
- 刺激を感じやすい場合は、低刺激処方や保湿成分配合のものを選びましょう。
- 使用上の注意をよく読み、用法・用量を守って正しく使用しましょう。
市販薬を数週間使用しても改善が見られない場合や、ニキビが悪化する場合は、自己判断せず皮膚科を受診することをおすすめします。
治らない場合は皮膚科へ相談
セルフケアや市販薬を使ってもニキビが改善しない、むしろ悪化している、広範囲に広がっている、痛みを伴う、ニキビ跡が気になる、といった場合は、迷わず皮膚科を受診しましょう。
皮膚科では、ニキビの状態を診断し、一人ひとりに合った適切な治療法を提案してくれます。皮膚科で受けられる主な治療法には以下のようなものがあります。
治療法 | 内容 | 特徴・効果 |
---|---|---|
外用薬 | 毛穴の詰まりを改善する薬(アダパレン、過酸化ベンゾイルなど)、アクネ菌を殺菌する薬(抗菌薬、過酸化ベンゾイルなど)、炎症を抑える薬(ステロイド、非ステロイド系抗炎症薬)など。 | ニキビ治療の中心となる。種類が多く、ニキビのタイプや重症度に合わせて使い分ける。継続して使用することが多い。副作用(乾燥、赤み、かゆみなど)が出ることがある。 |
内服薬 | アクネ菌を抑える抗菌薬、炎症を抑える薬、ホルモン剤(女性の場合)、ビタミン剤など。 | 炎症が強い、広範囲にニキビがある、外用薬で効果が見られない場合などに用いられる。副作用や他の薬との飲み合わせに注意が必要。 |
面皰圧出 | 専用の器具を使って、毛穴に詰まった皮脂(コメド)を押し出す処置。 | 毛穴の詰まりを取り除くことで、炎症性のニキビへの進行を防ぐ。皮膚科医や看護師が行う。自分で行うのは危険。 |
ケミカルピーリング | 酸性の薬剤を肌に塗り、古い角質を取り除くことで肌のターンオーバーを促進し、毛穴の詰まりを改善する。 | ニキビだけでなく、ニキビ跡の色素沈着やくすみにも効果が期待できる。皮膚科で行う医療行為。 |
光線療法 | 特定の波長の光(ブルーライト、レッドライトなど)を照射し、アクネ菌を殺菌したり、炎症を抑えたりする。 | 比較的副作用が少ない。他の治療法と組み合わせて行われることが多い。 |
皮膚科医の指導のもと、根気強く治療を続けることが、ニキビをきれいに治し、ニキビ跡を残さないために最も重要です。一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けましょう。
思春期ニキビを予防するには
一度ニキビが落ち着いても、思春期の間は再発しやすい時期です。日頃からニキビを予防するための習慣を身につけることが大切です。
日常的なスキンケア習慣
- 正しい洗顔・保湿の継続:
毎日朝晩、肌に優しい洗顔と保湿を行うことで、毛穴の詰まりを防ぎ、肌のバリア機能を健やかに保ちます。ニキビができていないときも、この基本ケアは続けましょう。 - 紫外線対策:
紫外線は肌の乾燥を招き、ニキビを悪化させる可能性があります。また、ニキビ跡の色素沈着を濃くすることもあります。外出時は日焼け止めを使用しましょう。ノンコメドジェニックタイプや紫外線吸収剤フリーのものを選ぶと、肌への負担が少ないです。 - メイクの洗い残し防止:
メイクをする場合は、クレンジングでしっかりと落とすことが毛穴の詰まりを防ぐ上で重要です。ただし、洗浄力の強すぎるクレンジングは避け、肌に優しいものを選び、丁寧に行いましょう。
健康的な生活習慣の維持
- バランスの取れた食事:
ニキビ予防に良いとされる栄養素を意識しつつ、好き嫌いなく様々な食品からバランス良く栄養を摂ることが大切です。特に、高GI食品や脂質の多い食事の摂りすぎには注意しましょう。 - 十分な睡眠:
肌の修復が行われる睡眠時間をしっかりと確保しましょう。規則正しい生活リズムを心がけることも重要です。 - 適度な運動:
運動は血行を促進し、ストレス解消にも繋がります。汗をかいた後は、そのままにせずシャワーを浴びるか、清潔なタオルで優しく拭き取りましょう。 - ストレス管理:
ストレスを溜め込まないように、自分なりのリフレッシュ方法を見つけ、実践しましょう。
これらの予防策は、ニキビを防ぐだけでなく、体全体の健康にも繋がります。無理のない範囲で、できることから習慣に取り入れてみましょう。
思春期ニキビはいつまで続く?
思春期ニキビは「青春のシンボル」とも言われるように、成長期の一時的なものです。しかし、いつまでこの悩みが続くのか、不安に感じる方も多いでしょう。
症状が落ち着く一般的な時期
思春期ニキビは、体の成長が落ち着くにつれて自然と改善していく傾向があります。一般的には、高校卒業後から20代前半頃にかけて、症状が落ち着いてくる人が多いとされています。
しかし、これはあくまで一般的な目安であり、個人差が非常に大きいです。中には20代以降もニキビに悩む人もいれば、思春期にごく軽度のニキビしかできない人もいます。
思春期ニキビができる期間や程度は、ホルモンバランスの変化の仕方、遺伝的な体質、そして日々のスキンケアや生活習慣によって大きく左右されます。適切なケアを続けることで、ニキビのピークを抑え、症状が早く落ち着くことが期待できます。
大人ニキビとの違い
思春期ニキビが落ち着かずに20代以降も続く場合や、一度治った後に再びニキビができる場合は、「大人ニキビ」と呼ばれるタイプに移行している可能性があります。思春期ニキビと大人ニキビは、原因や特徴が異なります。
特徴 | 思春期ニキビ | 大人ニキビ |
---|---|---|
主な原因 | ホルモンバランスの変化による皮脂過剰、毛穴詰まり | 乾燥、ストレス、ホルモンバランスの乱れ(生理前など)、 生活習慣(睡眠不足、食生活)、誤ったスキンケア、摩擦、紫外線 |
できる場所 | Tゾーン(額、鼻、あご)や頬など、皮脂腺が多い部位 | Uゾーン(口周り、あご、フェイスライン)、首、デコルテなど |
症状 | 皮脂が多く、炎症性の赤ニキビや化膿したニキビが多い | 乾燥を伴うことが多く、同じ場所に繰り返しできやすい。 白ニキビが多い傾向も。 |
特徴 | 広範囲にできやすい | 繰り返しできやすい、治りにくい |
思春期ニキビのケアで改善しない場合や、20代以降もニキビが続く場合は、大人ニキビの原因にもアプローチできるようなケアや、皮膚科での相談を検討することをおすすめします。原因が異なれば、効果的なケア方法も変わってきます。
思春期ニキビ【男女別】特徴と対策
思春期ニキビは男女ともに見られますが、ホルモンバランスの違いなどにより、若干の特徴や悩み、適したケア方法が異なります。
思春期ニキビ 女子特有の悩みとケア
女子の場合、男性ホルモンだけでなく、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)のバランスも肌に影響を与えます。
- 特徴:
生理周期に合わせてニキビが悪化しやすいことがあります。特に生理前にプロゲステロンが増加すると皮脂分泌が活発になり、ニキビができやすくなる傾向があります。また、思春期になるとメイクを始める人が増えますが、メイク用品に含まれる油分や、メイクの洗い残しがニキビの原因になることもあります。 - 悩み:
メイクで隠そうとして悪化させてしまったり、過剰なケアで肌を傷めてしまったりする悩みが多いです。ニキビ跡や色素沈着を気にする人も多いでしょう。 - 対策:
- ホルモンバランス:
生理周期とニキビの状態を記録してみることで、自分の肌のリズムを知ることができます。生理前のニキビ悪化がひどい場合は、婦人科や皮膚科で相談することも可能です。 - メイク:
ノンコメドジェニック処方のメイク用品を選び、帰宅後はすぐに優しくクレンジングでしっかりと洗い流すことが大切です。肌への負担を減らすため、休日などはメイクを控える「肌断食」もおすすめです。 - スキンケア:
基本的な洗顔・保湿を丁寧に行い、肌に優しい製品を選びましょう。特に保湿は、肌のバリア機能を保ち、乾燥による皮脂過剰を防ぐために重要です。
- ホルモンバランス:
思春期ニキビ 男子に多いタイプと対策
男子の場合、女性に比べて男性ホルモンの影響が強く、皮脂分泌が非常に活発になる傾向があります。
- 特徴:
皮脂腺の多いTゾーン(額、鼻)や頬に、赤く炎症を伴うニキビができやすい傾向があります。顔全体にニキビが広がりやすく、重症化しやすいケースも見られます。また、ヒゲが生え始める時期と重なり、シェービングによる肌への刺激がニキビを悪化させることもあります。 - 悩み:
スキンケアに慣れていない、面倒だと感じる人も多く、正しいケアができていない場合があります。炎症性のニキビやニキビ跡が目立ちやすいことも悩みの種となります。 - 対策:
- スキンケア:
シンプルで続けやすいケア方法を取り入れましょう。朝晩の洗顔は、泡立ちが良く肌に優しい洗顔料で丁寧に洗い、その後は化粧水でしっかりと保湿する習慣をつけることが重要です。メンズ向けのさっぱりとした使用感の製品も多くあります。 - シェービング:
ヒゲを剃る際は、シェービングフォームやジェルを使って肌への摩擦を減らしましょう。清潔なカミソリを使用し、ニキビを傷つけないように注意して剃ります。シェービング後も忘れずに保湿を行いましょう。 - 重症化しやすい場合:
男子の思春期ニキビは炎症が強く出やすく、ニキビ跡になりやすい傾向があるため、セルフケアで改善しない場合は早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
- スキンケア:
男女ともに、思春期ニキビは一時的なものです。正しいケアを継続することと、必要であれば専門家の力を借りることが、ニキビの悩みを乗り越えるための鍵となります。
まとめ|思春期ニキビには適切なケアと専門家のサポートを
思春期ニキビは、ホルモンバランスの変化に伴う皮脂の過剰分泌と毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖が主な原因です。多くの人が経験する一時的な現象であり、決して恥ずかしいものではありません。
大切なのは、ニキビができるメカニズムを理解し、やみくもなケアではなく、肌に負担をかけない正しい方法で対処することです。
思春期ニキビ改善・予防のためのポイント:
- 正しいスキンケア:
1日2回の優しい洗顔で余分な皮脂や汚れを落とし、洗顔後はすぐに化粧水と乳液でしっかり保湿しましょう。肌に優しい、ノンコメドジェニックなどの製品選びがおすすめです。 - 食事と生活習慣の見直し:
バランスの取れた食事を心がけ、特にビタミン類や亜鉛、食物繊維などを意識して摂りましょう。高GI食品や脂質の多い食事の摂りすぎには注意が必要です。十分な睡眠時間を確保し、ストレスを上手に解消することも大切です。 - NG行動を避ける:
顔をむやみに触ったり、ニキビを自分で潰したりするのは絶対にやめましょう。炎症を悪化させ、治りにくいニキビ跡の原因となります。 - 市販薬の活用:
症状が軽い場合は、ニキビの原因に合わせた市販薬を試してみるのも良いでしょう。 - 必要に応じた皮膚科受診:
セルフケアや市販薬で改善しない場合、ニキビが悪化・広範囲に広がっている場合、痛みを伴う場合、ニキビ跡が気になる場合は、迷わず皮膚科を受診しましょう。専門家による適切な診断と治療が、きれいに治すための近道です。
思春期ニキビは、成長期が落ち着くにつれて自然と改善していくことが多いですが、適切なケアを続けることで、ニキビの症状を軽くし、治るまでの期間を短縮することができます。また、早期に正しいケアを始めれば、ニキビ跡を残すリスクも減らせます。
一人で悩まず、まずは今日からできる正しいケアを始めてみましょう。そして、もし不安なことや改善が見られない場合は、皮膚科の先生に気軽に相談してください。思春期ニキビの悩みを乗り越えて、健やかな肌を手に入れましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の製品や治療法を推奨するものではありません。個々の症状に関しては、必ず医師や専門家にご相談ください。