鼻水が止まらないという症状は、多くの人が経験する不快なものです。
一時的なものであれば心配ないことが多いですが、長引いたり、他の症状を伴ったりする場合は、何らかの病気が原因である可能性も考えられます。
この記事では、鼻水が止まらない原因を種類別に解説し、自宅でできる対処法、そして病院に行く目安や治療法について詳しくご紹介します。
ご自身の症状と照らし合わせながら、適切な対応を検討するための一助としてください。
鼻水が止まらない原因と種類
鼻水は、鼻の粘膜から分泌される液体で、外部からのウイルスや細菌、花粉などの異物を洗い流したり、鼻腔内の湿度を保ったりする重要な役割を担っています。
健康な状態でも少量分泌されていますが、何らかの刺激や炎症が起こると、その分泌量が増えたり、性状が変わったりします。
鼻水が止まらない場合、その原因を探る上で、鼻水の「性状」と「色」が大きなヒントになります。
主に「サラサラ透明な鼻水」と「ネバネバした鼻水・色付きの鼻水」に分けられます。
サラサラ透明な鼻水が止まらない原因
サラサラとして水のように透明な鼻水が大量に出る場合、体は異物をいち早く洗い流そうとしています。
このタイプの鼻水が止まらない場合に考えられる主な原因は以下の通りです。
- アレルギー反応: 花粉、ハウスダスト、ペットの毛、カビなどのアレルゲンが鼻粘膜に触れると、ヒスタミンなどの物質が放出され、鼻水、くしゃみ、鼻づまりといったアレルギー症状を引き起こします。
特に、季節性の花粉症や通年性のアレルギー性鼻炎の場合、アレルゲンに曝露されている間はサラサラとした鼻水が止まらない状態が続くことがあります。 - ウイルスの初期感染: 風邪などのウイルス感染の初期段階では、ウイルスを洗い流そうとして透明でサラサラの鼻水が出ることがよくあります。
この段階ではまだ炎症が進んでいないため、鼻水の色は透明です。 - 寒暖差: 急激な温度変化に鼻の粘膜が刺激されて、自律神経のバランスが崩れ、鼻水やくしゃみが出る「寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)」の場合も、サラサラとした透明な鼻水が特徴です。
アレルギー検査では陽性になりませんが、症状はアレルギー性鼻炎に似ています。 - 刺激物質への反応: タバコの煙、香水、排気ガスなどの刺激物質を吸い込んだ際にも、鼻粘膜が反応してサラサラの鼻水が出ることがあります。
- 泣いた後: 感情によって涙腺が刺激されると、涙が鼻涙管を通って鼻に流れ込み、鼻水として出てくることがあります。
ネバネバした鼻水・色付きの鼻水が止まらない原因
ネバネバしていたり、黄色や緑色に変色した鼻水が出たりする場合、鼻の粘膜で炎症が進行しているか、細菌感染が疑われます。
- ウイルス感染の進行: 風邪などのウイルス感染が進むと、鼻の粘膜で炎症が強くなり、鼻水がネバネバしてきます。
これは、ウイルスと戦うために集まった免疫細胞や、剥がれ落ちた粘膜などが混ざるためです。 - 細菌感染: ウイルス感染に続いて細菌感染が起こると、鼻水が黄色や緑色になることがあります。
これは、細菌やそれを排除しようとする白血球(好中球)の残骸の色素によるものです。
副鼻腔炎(蓄膿症)の典型的な症状の一つです。 - 副鼻腔炎(蓄膿症): 鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)に炎症が起こり、膿が溜まる病気です。
慢性化すると、常に黄色や緑色のネバネバした鼻水が出る、鼻の奥から嫌な臭いがする、頬や額が痛む、頭が重いといった症状が現れます。
急性副鼻腔炎は風邪などがきっかけで発症し、慢性副鼻腔炎はこれが長引いたり繰り返されたりして起こります。 - アレルギー性鼻炎の慢性化・合併症: アレルギー性鼻炎が長引くと、鼻の粘膜が厚くなり、鼻水がネバネバしてくることがあります。
また、アレルギー性鼻炎から副鼻腔炎を合併することも少なくありません。
鼻水の色や性状は、原因を特定する上での重要な手がかりとなりますが、これらの特徴だけで病気を確定することはできません。
症状が長引く場合や他の症状を伴う場合は、医療機関での正確な診断が必要です。
考えられる主な病気
鼻水が止まらない症状を引き起こす、より具体的な病気をいくつかご紹介します。
風邪(急性鼻炎)
最も一般的な原因の一つです。
ライノウイルスやコロナウイルスなど、さまざまなウイルス感染によって鼻の粘膜に炎症が起こります。
初期はサラサラとした透明な鼻水が出ますが、数日経つとネバネバしたり、黄色や緑色に変化したりすることがあります。
鼻水以外にも、くしゃみ、鼻づまり、喉の痛み、咳、発熱、だるさなどの全身症状を伴うことが多いです。
通常は1週間から10日程度で自然に改善しますが、細菌の二次感染を起こすと副鼻腔炎に移行することもあります。
アレルギー性鼻炎(花粉症など)
特定のアレルゲン(花粉、ハウスダスト、ダニ、ペットの毛など)に対する体の過剰な免疫反応です。
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)は特定の季節に症状が現れ、通年性アレルギー性鼻炎は年間を通して症状が続きます。
主な症状は、発作的で連発するくしゃみ、水のようにサラサラとした鼻水、鼻づまりの3つです。
目のかゆみや充血を伴うこともよくあります。
アレルゲンに曝露されている限り症状が続くため、「鼻水が止まらない」状態になりやすい病気です。
副鼻腔炎(蓄膿症)
鼻の周囲にある、骨に囲まれた空洞である副鼻腔に炎症が起こる病気です。
急性副鼻腔炎は、風邪などのウイルス感染や、虫歯などが原因で細菌感染が起こり発症します。
鼻水が黄色や緑色になり、ネバネバして鼻の奥に流れ込んだり、鼻づまりがひどくなったりします。
頬や額の痛み、歯の痛み、頭痛、鼻の奥からの嫌な臭い(後鼻漏)といった症状を伴うことも多いです。
炎症が3ヶ月以上続く場合や、繰り返す場合は慢性副鼻腔炎(蓄膿症)と呼ばれます。
慢性化すると、嗅覚障害や頭重感などが続くことがあります。
寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)
アレルギーとは異なり、温度や湿度の変化といった物理的な刺激によって鼻の粘膜の血管の収縮・拡張を調整する自律神経のバランスが乱れることで起こります。
特に温かい場所から寒い場所へ移動したときや、冷たい飲み物を飲んだ後などに、突然サラサラとした大量の鼻水とくしゃみが出ることが特徴です。
鼻づまりを伴うこともありますが、目のかゆみなどアレルギー特有の症状は通常ありません。
検査でアレルギー反応が出ないため、診断には症状の経過や問診が重要になります。
その他の鼻水が止まらない原因(自律神経、妊娠性鼻炎など)
このように、鼻水が止まらない原因は多岐にわたります。
自己判断せずに、症状が続く場合は専門家の診断を仰ぐことが重要です。
- 自律神経の乱れ: ストレスや生活習慣の乱れなどにより自律神経のバランスが崩れると、血管運動性鼻炎のように鼻の粘膜の血管の調節がうまくいかなくなり、鼻水や鼻づまりが起こることがあります。
- 妊娠性鼻炎: 妊娠中にホルモンバランスが変化することで、鼻の粘膜が充血・腫脹し、鼻水や鼻づまりが生じることがあります。
特に妊娠後期に多くみられ、出産後に改善することがほとんどです。 - 薬剤性鼻炎: 特定の薬(例:一部の降圧薬、点鼻薬の使いすぎなど)の副作用として、鼻水や鼻づまりが起こることがあります。
- CSF鼻漏(脳脊髄液漏出症): 非常に稀ですが、頭部の外傷や手術などが原因で、脳を覆う膜が破れて脳脊髄液が鼻から漏れ出すことがあります。
透明でサラサラした鼻水のように見えますが、体を傾けたときに片側の鼻から多量に出るといった特徴があり、放置すると髄膜炎などの重篤な合併症を引き起こす危険があるため、緊急で医療機関を受診する必要があります。
鼻水が止まらない時の対処法(自宅でできること)
医療機関を受診する前に、あるいは軽度の症状の場合に、自宅でできる対処法をいくつかご紹介します。
これらの対処法は、症状の緩和や不快感の軽減に役立ちますが、原因そのものを治療するものではありません。
正しい鼻のかみ方
鼻水をかむ際は、強くかみすぎないことが重要です。
強くかむと、鼻水が耳管を通って中耳に入り込み、中耳炎を引き起こす可能性があります。
また、鼻の粘膜を傷つけたり、出血させたりすることもあります。
正しい鼻のかみ方:
- 片方ずつかむ: 必ず片方の鼻の穴を指で押さえ、もう片方の鼻の穴からゆっくりと優しくかみます。
- 力を入れすぎない: 強い力で一気にではなく、何度かに分けて優しくかむようにします。
- 口を開けてかむ: 少し口を開けながらかむと、耳にかかる圧力を軽減できます。
- ティッシュは清潔なものを: 使用済みのティッシュはすぐに捨て、常に清潔なティッシュを使いましょう。
- こまめにかむ: 鼻水が溜まりすぎる前にこまめにかむことで、鼻づまりの悪化や、鼻水が喉に流れるのを防ぎます。
特に小さなお子さんの場合、自分でうまく鼻をかめないため、親御さんが吸引器を使って吸い取ってあげるのも有効です。
鼻腔や喉を加湿する(蒸しタオル・マスク・加湿器)
鼻や喉の粘膜が乾燥すると、症状が悪化したり、ウイルスや細菌に感染しやすくなったりします。
加湿は、鼻水を排出しやすくし、不快感を和らげるのに効果的です。
- 蒸しタオル: 温かい蒸しタオルを鼻や顔にあてると、鼻腔内の湿度が上がり、鼻の通りがよくなります。
顔を温めることで血行も促進されます。 - マスク: マスクを着用すると、呼気に含まれる水分で鼻や喉が加湿されます。
外出時だけでなく、就寝時に着用するのも効果的です。 - 加湿器: 部屋全体の湿度を適切(50〜60%程度)に保つことで、鼻や喉の乾燥を防ぎます。
ただし、加湿器のタンクにカビや雑菌が繁殖しないよう、こまめな手入れが必要です。
これらの方法は、特に乾燥しやすい冬場や、エアコンを使用する際に有効です。
体を温めて血行を促進する
体が冷えると、鼻の粘膜の血行が悪くなり、鼻水や鼻づまりが悪化することがあります。
体を温めて血行を促進することは、症状の緩和につながります。
- 温かい飲み物や食事: 温かいスープや飲み物は、体の内側から温めるだけでなく、湯気で鼻や喉を加湿する効果も期待できます。
- 入浴: ゆっくり湯船につかることで、全身の血行が促進され、鼻の通りが一時的に良くなることがあります。
ただし、熱すぎるお湯や長湯は避け、湯冷めしないように注意しましょう。 - 首や肩を温める: 首の後ろや肩周りの血行を良くすることも、鼻の症状緩和に繋がると言われています。
温かいタオルをあてたり、軽いストレッチをしたりするのも良いでしょう。
鼻水を止める?民間療法や裏ワザ
インターネット上には、鼻水を止めるための様々な民間療法や裏ワザが紹介されています。
科学的な根拠が不明確なものも多いため、試す場合は自己責任で、体調をよく観察しながら行うようにしましょう。
一般的に言われるものとしては、
- ツボ押し: 鼻の周りや眉間、手足にある特定のツボを押すと、鼻の通りがよくなると言われることがあります。
リラックス効果も期待できます。 - 特定の飲み物: 生姜湯やミントティーなど、体を温めたり、鼻の通りをスッキリさせたりする効果が期待される飲み物があります。
ただし、これらの方法で劇的に鼻水が止まるわけではありませんし、体質によっては合わないこともあります。
効果がないと感じたら無理に続けないことが大切です。
鼻水に効く市販薬の選び方
市販薬は、鼻水の原因や症状によって選び方が異なります。
主な成分とその効果、選び方のポイントを理解しておきましょう。
市販薬の主な成分と効果:
成分の種類 | 主な効果 | 適した症状 | 注意点 |
---|---|---|---|
抗ヒスタミン薬 | 鼻水、くしゃみを抑える | サラサラ透明な鼻水、くしゃみ(アレルギー性鼻炎、風邪初期) | 眠気を催すものがある(第二世代は少ない)、口渇 |
鼻粘膜血管収縮薬 | 鼻粘膜の充血や腫れを抑え、鼻づまりを改善 | 鼻づまり | 高血圧、心臓病、甲状腺機能亢進症などの持病がある人は医師・薬剤師に相談必要、長期連用で薬剤性鼻炎のリスク |
抗コリン薬 | 鼻水の分泌を抑える | 鼻水(特に水っぽい鼻水) | 口渇、便秘、排尿困難などの副作用(特に緑内障や前立腺肥大症の人) |
去痰薬 | 鼻水や痰の粘りを減らし、排出しやすくする | ネバネバした鼻水、痰 | 水分を多めに摂ると効果的 |
生薬(漢方薬) | 体のバランスを整え、症状を緩和 | 鼻水、鼻づまりなど(体質に合わせて選ぶ) | 証(体質や症状)に合わないと効果が出ない、副作用のリスクもゼロではない |
市販薬を選ぶ際のポイント:
- 症状に合わせて選ぶ: サラサラの鼻水やくしゃみがひどい場合は抗ヒスタミン薬、鼻づまりが辛い場合は血管収縮薬や漢方薬など、最も辛い症状に合った成分を選びましょう。
- 鼻水の色・性状で判断: 透明でサラサラなら抗ヒスタミン薬が有効なことが多いですが、黄色や緑色のネバネバ鼻水で副鼻腔炎が疑われる場合は、去痰薬や、医療機関での治療が必要な場合が多いです。
- 副作用を確認: 特に眠気や口渇、特定の持病がある場合の注意点などをよく確認しましょう。
運転や危険な作業をする前には、眠気を催す成分が含まれていないか注意が必要です。 - 他の薬との飲み合わせ: 現在服用している他の薬がある場合は、飲み合わせに問題がないか、薬剤師に相談しましょう。
- 症状が改善しない場合: 市販薬を数日使用しても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、自己判断を中止し、医療機関を受診してください。
市販薬はあくまで一時的な症状緩和を目的としたものです。
根本的な原因の治療には医療機関での診断と処方薬が必要になる場合があります。
鼻水が止まらない、病院に行く目安は?
自宅での対処法や市販薬を試しても鼻水が改善しない場合や、特定の症状を伴う場合は、医療機関を受診して正確な診断を受けることが重要です。
放置すると、症状が慢性化したり、より重い病気に進行したりする可能性もあります。
受診を検討すべき症状
以下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診することを検討しましょう。
- 鼻水の色が黄色や緑色で、ネバネバしている: 細菌感染や副鼻腔炎の可能性が高いです。
- 鼻水が片側の鼻からだけ多量に出る(特に頭を傾けたとき): 稀ですが、脳脊髄液漏出症の可能性もゼロではありません。
- 鼻水だけでなく、頬や額、歯の痛み、頭痛を伴う: 副鼻腔炎の可能性が非常に高いです。
- 鼻の奥から嫌な臭いがする(後鼻漏): 副鼻腔炎の典型的な症状です。
- 発熱やだるさなど、全身症状が強い: 風邪だけでなく、他の感染症の可能性も考えられます。
- 症状が1〜2週間以上続く: 急性の炎症が慢性化したり、他の原因が隠れていたりする可能性があります。
- 市販薬を使用しても全く効果がない、あるいは悪化する: 診断や治療法を見直す必要があります。
- 嗅覚が低下した、またはなくなった: 副鼻腔炎や他の鼻の病気の影響が考えられます。
- 睡眠中に鼻づまりがひどく、睡眠の質が著しく低下している: 日常生活に支障が出ている場合。
これらの症状は、単なる風邪の鼻水ではない可能性を示唆しています。
特に、色付きのネバネバした鼻水や、顔の痛み、嗅覚障害を伴う場合は、副鼻腔炎を強く疑い、早めに受診することが大切です。
何科を受診すれば良い?
鼻水が止まらない症状で受診する場合、基本的には「耳鼻咽喉科」が最も適切です。
- 耳鼻咽喉科: 鼻、耳、喉の専門家です。
鼻の内部を詳しく診察し、原因に応じた検査や専門的な治療を受けることができます。
アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、血管運動性鼻炎など、鼻水に関する多くの病気に対応しています。 - 内科: 風邪など全身のウイルス感染が原因の場合、内科でも診察してもらえます。
しかし、鼻の症状がメインで長引く場合や、副鼻腔炎が疑われる場合は、専門的な検査や治療が必要になることがあるため、耳鼻咽喉科への受診をおすすめします。 - アレルギー科: アレルギー性鼻炎が強く疑われる場合は、アレルギー科でも診察が可能です。
アレルギーの原因特定のための検査(血液検査など)を専門的に行えます。
耳鼻咽喉科でもアレルギー検査は可能ですので、かかりつけ医や症状の程度に応じて選択すると良いでしょう。
迷う場合は、まずお近くの耳鼻咽喉科を受診するのが良いでしょう。
病院で行われる主な検査と治療法
医療機関では、問診や視診に加え、必要に応じて以下のような検査が行われます。
これらの検査結果をもとに、原因を特定し、適切な治療法が選択されます。
主な検査:
- 問診: 症状が始まった時期、鼻水の性状や色、頻度、鼻水以外の症状(くしゃみ、鼻づまり、痛み、咳、発熱など)、アレルギーの既往歴、服用中の薬、仕事や生活環境などを詳しく聞かれます。
- 視診・鼻鏡検査: 鼻の穴の中(鼻腔)を、ライトや鼻鏡を使って医師が直接観察します。
鼻粘膜の色、腫れ、鼻水の性状、ポリープの有無などを確認します。 - 内視鏡検査(ファイバースコープ検査): 細くやわらかいカメラ(内視鏡)を鼻腔内に挿入し、より詳細に鼻腔や副鼻腔の開口部の状態を観察します。
粘膜の状態や、鼻水の溜まり具合などを確認できます。 - 画像検査(X線検査・CT検査): 副鼻腔炎が疑われる場合に行われます。
副鼻腔に膿が溜まっているか、粘膜が厚くなっているかなどを画像で確認できます。
CT検査はX線検査よりも詳細な情報を得られます。 - アレルギー検査: アレルギー性鼻炎が疑われる場合に行われます。
血液検査で、特定のアレルゲン(花粉、ハウスダスト、ダニなど)に対する抗体の量を調べたり、皮膚テストを行ったりします。 - 細菌検査: 色付きの鼻水が出る場合などに、鼻水を採取して原因となっている細菌の種類を特定することがあります。
主な治療法:
- 薬物療法:
- 抗ヒスタミン薬: アレルギー反応を抑え、鼻水やくしゃみを和らげます。
- ステロイド点鼻薬: 鼻粘膜の炎症を抑え、鼻水、鼻づまり、くしゃみなどアレルギー症状全般に効果があります。
副鼻腔炎にも使用されることがあります。 - 鼻粘膜血管収縮薬(点鼻薬・内服薬): 鼻の血管を収縮させて、鼻づまりを改善します。
ただし、点鼻薬の使いすぎは薬剤性鼻炎を引き起こす可能性があるため注意が必要です。 - 抗アレルギー薬(内服薬・点眼薬など): アレルギー反応を抑える様々な種類の薬があります。
- 抗菌薬(抗生物質): 細菌感染が原因の副鼻腔炎などに処方されます。
ウイルス感染には効果がありません。 - 去痰薬・粘液溶解薬: 鼻水や痰の粘りを少なくし、排出しやすくします。
- 漢方薬: 体質や症状に合わせて処方されます。
鼻水や鼻づまりに効果が期待できるものがあります。
- 鼻洗浄・ネブライザー療法: 生理食塩水などで鼻腔内を洗い流し、鼻水や異物を除去します。
ネブライザー療法では、薬液を霧状にして鼻や喉に吸入することで、直接患部に作用させます。 - Bスポット療法: 上咽頭(鼻の奥、喉の上の部分)に炎症がある場合に行われる治療法です。
消炎剤を塗布することで、炎症を鎮め、鼻や喉の不快な症状を緩和します。 - 手術療法: 慢性副鼻腔炎で薬物療法で改善しない場合や、鼻ポリープが大きい場合などに検討されます。
内視鏡を用いた手術が一般的で、副鼻腔の換気改善や病変の除去を行います。
治療法は、鼻水が止まらない根本的な原因によって大きく異なります。
医師の診断に基づき、ご自身の病状に合った適切な治療を受けることが、症状改善への最も確実な道です。
まとめ:長引く鼻水は原因を特定し適切に対処しましょう
鼻水が止まらないという症状は、単なる風邪から、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、さらには稀な病気まで、様々な原因が考えられます。
鼻水の色や性状、伴う症状は、原因を特定する上での重要なヒントとなります。
自宅でできる対処法としては、正しい鼻のかみ方、鼻腔や喉の加湿、体を温めることなどがありますが、これらはあくまで症状の緩和に留まります。
市販薬も一時的な症状緩和に役立ちますが、原因によっては効果が限定的であったり、副作用のリスクがあったりするため、症状に合ったものを慎重に選び、使用上の注意をよく守ることが大切です。
特に、黄色や緑色のネバネバした鼻水、顔の痛み、頭痛、嗅覚障害を伴う場合や、症状が1〜2週間以上長引く場合は、副鼻腔炎などの病気が隠れている可能性が高いため、迷わず耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
医療機関では、問診や視診、必要に応じた内視鏡検査や画像検査、アレルギー検査などを行い、正確な診断に基づいた適切な薬物療法や処置を受けることができます。
長引く鼻水は不快なだけでなく、集中力の低下や睡眠不足など、日常生活の質を著しく低下させる可能性があります。
原因を正しく理解し、必要に応じて専門家の助けを借りながら、ご自身の症状に合った適切な対処を行うことが、早期改善への鍵となります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や薬剤を推奨するものではありません。
個々の症状については、必ず医療機関で医師の診断と指導を受けてください。