リウマチを悪化させない!やってはいけない日常生活の注意点

リウマチは、主に手足の関節に炎症が起こり、腫れや痛みを引き起こす自己免疫疾患です。
進行すると関節の破壊や変形が進み、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
適切な治療とセルフケアを行うことで、病気の進行を抑え、症状をコントロールすることが可能になります。
しかし、日々の生活の中で「やってはいけないこと」を知らずに行っていると、病状を悪化させてしまうことも少なくありません。
この記事では、リウマチ患者さんが特に注意すべき、食事、運動、生活習慣、治療に関する「やってはいけないこと」について詳しく解説します。
日々のセルフケアの参考にしていただければ幸いです。

目次

リウマチを悪化させる要因は?

リウマチは、免疫システムが自分の体の一部、主に関節を攻撃してしまうことで起こる病気です。
なぜこのような異常が起こるのか、その詳しいメカニズムはまだ完全に解明されていませんが、遺伝的な要因に加えて、様々な環境要因が引き金になると考えられています。

病気の活動性そのものが悪化の最大の要因ですが、これは主に適切な治療によってコントロールする必要があります。
しかし、それ以外にも、日々の生活の中で病状を悪化させる可能性がある要素が存在します。
これらの要因を理解し、適切に対処することが、病気と上手く付き合っていく上で非常に重要になります。

症状悪化につながる生活習慣

自分で意識的にコントロールできる生活習慣は、リウマチの病状に大きく影響を与える可能性があります。
特に、喫煙、過度の飲酒、慢性的なストレス、そして十分な休息を取らないことによる疲労は、リウマチの炎症を悪化させることが複数の研究で示唆されています。

喫煙や過度の飲酒

喫煙は、リウマチの発症リスクを高めるだけでなく、診断された後の病状も悪化させることが明らかになっています。
タバコに含まれる有害物質は、全身の炎症を促進し、免疫系の異常な働きを強める可能性があります。
また、喫煙は関節の破壊を早めることにも繋がると考えられています。
リウマチ患者さんにとって、禁煙は治療の一部として非常に重要です。

過度の飲酒も、炎症を悪化させる可能性があります。
また、リウマチの治療薬の中には、アルコールとの相互作用によって効果が減弱したり、副作用が強く現れたりするものがあります。
アルコール摂取は控えめにし、主治医に相談しながら適量を楽しむようにしましょう。

ストレスや疲労

慢性的なストレスは、体内の炎症反応を高めることが知られています。
リウマチは炎症性の病気ですから、ストレスによって炎症が強まり、関節の痛みや腫れが悪化する可能性があります。
また、ストレスは睡眠障害を引き起こし、十分な休息が取れないことで疲労が蓄積します。
疲労もまた、免疫系のバランスを崩し、病状を不安定にする要因となります。

心身の健康を保つためには、ストレスを軽減し、十分な睡眠時間を確保することが大切です。
リラクゼーションの方法を見つけたり、趣味の時間を設けたり、必要であれば専門家のサポートを受けたりすることも有効です。

食事や飲み物に関する注意点

リウマチは炎症性の疾患であるため、食事が病状に影響を与える可能性が指摘されています。
特定の食品や栄養素が炎症を促進したり抑制したりすることが研究されており、「これを食べれば治る」といった特効薬的な食事療法はありませんが、炎症を抑えるような食事を心がけ、逆に炎症を悪化させる可能性がある食品を控えることは、症状の緩和や病状の安定に繋がる可能性があります。

リウマチで食べてはいけない食材は?

「絶対的に食べてはいけない食材」と厳密に定められているものはありません。
しかし、一部の食品は炎症を悪化させる可能性があると考えられています。
特に注意が必要なのは、体内で炎症を引き起こしやすいとされる物質を含む食品や、加工の過程で炎症を助長するような成分が添加された食品です。

リウマチに良くない飲み物は?

食事と同様に、飲み物の中にも炎症に影響を与える可能性があるものが存在します。
特に、糖分が多く含まれる清涼飲料水や、一部のアルコールは注意が必要です。
水分補給は重要ですが、何を飲むかを選ぶことも大切です。

炎症を悪化させる可能性のある食品

炎症を悪化させる可能性が指摘されている食品群には、以下のようなものがあります。
ただし、これらの食品を摂取したからといって必ずしも病状が悪化するわけではなく、個人差が大きいことを理解しておく必要があります。

  • 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の多い食品: 肉の脂身、バター、ラードなどの動物性脂肪、揚げ物、加工食品(マーガリン、ショートニングを使用したパンや菓子類)などに多く含まれます。
    これらは体内で炎症を促進する物質の生成に関与する可能性が指摘されています。
  • オメガ6脂肪酸を過剰に含む油: コーン油、サラダ油、大豆油などに比較的多く含まれます。
    オメガ6脂肪酸自体は体に必要な栄養素ですが、炎症を抑える効果が期待されるオメガ3脂肪酸(魚油などに多い)とのバランスが崩れると、炎症を促進しやすくなると言われています。
  • 糖分の多い食品・飲料: 砂糖が多く含まれるお菓子、ジュース、清涼飲料水などは、体内で炎症反応を高める可能性があります。
    血糖値の急激な上昇も炎症に関係すると考えられています。
  • 加工食品: ソーセージ、ハム、インスタント食品、スナック菓子などは、炎症を促進する可能性のある添加物や、飽和脂肪酸、糖分が多く含まれている場合があります。
  • 食品アレルギーを引き起こす可能性のある食品: 個人によっては、特定の食品に対するアレルギー反応や過敏症が炎症を引き起こすことがあります。
    もし特定の食品を摂取した後に症状が悪化するようであれば、医師や栄養士に相談してみましょう。

避けるべき食事や飲み物の具体例

以下の表に、リウマチ患者さんが避けるべき、あるいは摂取を控えるべき食事や飲み物の具体例をまとめました。
これは一般的な傾向であり、個々の体質や病状によって注意すべき内容は異なります。
必ず主治医や栄養士に相談し、個別に適した食事指導を受けてください。

食品・飲み物の種類 具体例 避ける/控える理由
肉類 脂身の多い肉(牛肉、豚肉)、加工肉(ソーセージ、ベーコン、ハム) 飽和脂肪酸が多く、炎症を促進する可能性
乳製品 バター、生クリーム、チーズ(種類による) 飽和脂肪酸が多く、炎症を促進する可能性。一部で炎症との関連が指摘されることがあるが、個人差が大きい。
油類 マーガリン、ショートニング、ラード、一部の植物油(コーン油、大豆油、ひまわり油) トランス脂肪酸やオメガ6脂肪酸の過剰摂取につながりやすく、炎症を促進する可能性
穀類・加工品 白パン、白米(過剰摂取)、甘いシリアル、精製された小麦粉を使った製品 血糖値の急激な上昇を招きやすく、炎症に関与する可能性
菓子類・デザート ケーキ、クッキー、チョコレート、キャンディー、アイスクリーム、パイ 砂糖、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸が多い。
清涼飲料水 砂糖入りジュース、炭酸飲料、スポーツドリンク 砂糖が多く、炎症を促進する可能性。
揚げ物・ファストフード フライドポテト、フライドチキン、ハンバーガー、ピザなど 飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、塩分、糖分が多く、炎症を促進する可能性が高い。
アルコール ビール、ワイン、日本酒、焼酎など 過度の摂取は炎症を悪化させる可能性、治療薬との相互作用。

これらの食品を完全にゼロにする必要はありませんが、普段から摂取量が多い場合は、減らすことを意識してみましょう。
代わりに、炎症を抑える効果が期待されるオメガ3脂肪酸を多く含む魚(サバ、イワシ、サーモンなど)や、抗酸化作用のある野菜、果物、ナッツ類、全粒穀物などをバランス良く取り入れることが推奨されます。
バランスの取れた食事が、全身の健康維持と炎症のコントロールに繋がります。

日常生活で避けるべき動作や習慣

リウマチによる関節の炎症や変形は、関節の機能障害を引き起こします。
痛みや腫れがある時に無理な動作をしたり、関節に過度な負担をかけたりすることは、病状を悪化させたり、関節の破壊を早めたりする原因となります。
日常生活の中で、関節を守るための動作や習慣を身につけることが非常に大切です。

関節リウマチの日常生活でしてはいけない10項目は?

「関節リウマチの日常生活でしてはいけない10項目」という固定的なリストがあるわけではありませんが、関節に負担をかけやすい、あるいは病状を悪化させる可能性のある一般的な注意点を10項目にまとめるとすれば、以下のような内容が考えられます。

  • 痛い関節を無理に動かすこと
  • 炎症が強い時に激しい運動をすること
  • 関節に体重が集中するような姿勢を長時間続けること(例:正座、しゃがむ)
  • 重いものを持ち上げたり、運んだりすること
  • 関節を冷たい環境に長時間晒すこと
  • 同じ動作を繰り返し行うこと(特に指先など)
  • 関節を保護する工夫をせずに家事や作業を行うこと
  • 疲労が溜まっているのに無理をすること
  • 過度のストレスを溜め込むこと
  • 医師の指示なしに治療を自己判断で変更すること

これらの項目は、次のセクションでより具体的に解説する内容と関連しています。

関節に負担をかける動作

関節リウマチの関節は炎症を起こしており、健康な関節よりも構造が弱くなっています。
そのため、ちょっとした無理な動作でもダメージを受けやすくなります。
関節に負担をかける動作を避ける工夫が必要です。

激しい運動や無理な動き

炎症が強い急性期には、関節を安静に保つことが重要です。
この時期に激しい運動や痛みを伴う無理な動きをすると、炎症を悪化させたり、関節内の構造を傷つけたりする可能性があります。
運動療法はリウマチ治療において重要ですが、病状に合わせて専門家(医師や理学療法士)の指導のもとで行うことが不可欠です。
無理のない範囲で、関節に負担の少ない運動(水中運動、軽いウォーキングなど)から始めることが推奨されます。

正座や和式トイレの使用

正座や和式トイレの使用は、膝や足首などの関節に大きな負担をかけます。
特に膝関節に炎症や変形がある場合、正座をすると関節に体重が集中し、強い痛みが生じたり、軟骨や骨へのダメージが進んだりするリスクがあります。
可能な限り椅子に座る生活スタイルや、洋式トイレの使用を心がけましょう。

重いものを持つこと

重いものを持つ動作は、手首、肘、肩、腰、膝など、全身の関節に負担をかけます。
特に、炎症や変形が進んでいる関節では、本来の機能を十分に果たせないため、無理な力を加えることで痛みが強くなったり、関節が不安定になったりする可能性があります。
重い荷物を持つ際は、無理せず小分けにしたり、カートやリュックサックを活用したり、誰かに手伝ってもらったりする工夫が必要です。
フライパンや鍋など、日常的に使う調理器具も、軽量なものを選ぶと手首や指への負担を減らせます。

体温管理と関節の保護

関節の温度管理も、リウマチの症状に影響を与えることがあります。
特に冷えは関節の痛みを悪化させることが多いため、注意が必要です。

関節を冷やすこと

関節を冷やすと、血行が悪くなり、筋肉が硬直しやすくなります。
これにより、痛みが強まったり、関節の動きが悪くなったりすることがあります。
特に冬場の寒い時期はもちろんのこと、夏場でも冷房の効きすぎた部屋に長時間いる場合や、寝ている間に窓を開け放しておく場合などは注意が必要です。

夏場・冬場の注意点

  • 冬場: 暖かい服装を心がけ、特に手足の関節を冷やさないように手袋や厚手の靴下、レッグウォーマーなどを活用しましょう。
    カイロなどで部分的に温めるのも有効ですが、低温やけどには注意が必要です。
  • 夏場: 冷房の設定温度を適切にし、肌寒いと感じたら羽織るものを用意しましょう。
    寝る際も、直接冷気が当たらないように工夫したり、薄手のブランケットを使ったりするなどの対策が大切です。

温めることは一般的に痛みの緩和に効果がある場合が多いですが、炎症が強い時や腫れがひどい時は、かえって症状が悪化することもあります。
温湿布や冷却スプレーなどを使用する際は、自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。

姿勢や体格に関する注意点

普段の姿勢や体重も、関節への負担に大きく関わります。
意識的に改善することで、関節へのストレスを減らすことができます。

高すぎる枕の使用

高すぎる枕を使用すると、寝ている間に首の関節(頸椎)が不自然な角度になり、負担がかかります。
首に痛みやこわばりがあるリウマチ患者さんの場合、これにより症状が悪化する可能性があります。
体格に合った、首のカーブを自然に保てる高さの枕を選びましょう。

肥満への注意

体重が増加すると、特に体重を支える下肢の関節(膝、股関節、足首)への負担が大きくなります。
この負担は、関節の炎症や変形を進行させる原因の一つとなります。
適正体重を維持することは、関節への負担を軽減し、痛みを和らげる上で非常に重要です。
バランスの取れた食事と、無理のない範囲での運動を組み合わせ、体重管理に努めましょう。
肥満は全身の炎症を強める因子でもあるため、体重管理はリウマチ全体の病状コントロールにも繋がります。

治療に関してやってはいけないこと

リウマチの治療は、病気の進行を抑え、関節の破壊を防ぎ、生活の質を維持するために不可欠です。
現代のリウマチ治療薬は非常に効果が高く、早期に適切な治療を開始することで、寛解(症状がほとんどない状態)を目指すことも可能になっています。
しかし、治療に関して自己判断で「やってはいけないこと」をしてしまうと、病状が急激に悪化したり、治療効果が得られなかったり、思わぬ健康被害を招いたりするリスクがあります。

自己判断での治療薬の変更・中断

リウマチの治療薬、特にメトトレキサートや生物学的製剤、JAK阻害剤などは、病気の原因である免疫の異常に働きかけ、炎症を強力に抑える薬です。
これらの薬は、医師が患者さんの病状、全身状態、他の病気の有無、副作用のリスクなどを慎重に評価した上で処方しています。

症状が落ち着いてきたからといって、医師に相談せずに薬の量を減らしたり、服用を完全にやめてしまったりすることは絶対に避けてください。
自己判断で治療を中断すると、病気の活動性が再び高まり、症状が再燃したり、以前よりも病状が悪化したりする可能性があります。
一度悪化した病状を再びコントロールすることは、より困難になることも少なくありません。

また、薬の種類によっては、急に服用を中止することで離脱症状が出たり、病気が悪化したりするリスクがあります。
例えば、ステロイド薬を自己判断で急に中止すると、副腎機能不全を起こす危険性があります。

医師の指示を守ることの重要性

リウマチの治療は、長期にわたることが一般的です。
病状は常に一定ではなく、良い時期もあれば、悪くなる時期もあります。
治療薬の種類や量、飲み方、あるいは注射の間隔などは、病状の変化に合わせて医師が調整を行います。

  • 服薬量を守る: 処方された量よりも多く飲んでも、効果が強まるわけではなく、かえって副作用のリスクが高まります。
    逆に少なく飲むと、十分な治療効果が得られない可能性があります。
  • 服薬タイミングを守る: 薬によっては、効果を最大限に引き出すために、特定のタイミングで服用する必要があるものがあります。
  • 定期的な受診: リウマチの治療薬、特に免疫を抑える薬を使用している場合、感染症のリスクが高まったり、肝機能や腎機能に影響が出たりすることがあります。
    定期的に血液検査などを受け、薬の効果や副作用が出ていないかを確認することが非常に重要です。
    検査の予約を自己判断でキャンセルしたり、受診を怠ったりしないようにしましょう。
  • 疑問や不安は相談する: 薬の効果が感じられない、副作用が気になる、他の病気にかかった、市販薬やサプリメントを使いたいなど、治療に関する疑問や不安、変化があれば、必ず次の受診時を待たずに医師や薬剤師に相談しましょう。

医師の指示は、最新の研究結果やガイドライン、そして患者さん個々の状態に基づいて決定されています。
これを遵守することが、安全に、そして効果的にリウマチの治療を進める上で最も重要な原則です。

また、リウマチ以外の病気で他の医療機関を受診する場合や、歯科を受診する場合なども、必ずリウマチの治療を受けていること、服用している薬の種類を伝えましょう。
薬の飲み合わせや、歯科治療における注意点など、共有すべき情報があるからです。

まとめ:リウマチと上手く付き合うために

リウマチは、残念ながら現在の医学では完治が難しい慢性的な病気ですが、適切な治療と日々のセルフケアによって、病状をコントロールし、質の高い生活を送ることが十分可能です。

この記事で解説した「やってはいけないこと」は、リウマチの病状を悪化させたり、関節に負担をかけたりする可能性のある行動や習慣です。

  • 生活習慣: 喫煙、過度の飲酒、慢性的なストレスや疲労は避けましょう。
  • 食事: 炎症を促進する可能性のある食品(飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、糖分の多い加工品など)は控えめにし、バランスの取れた食事を心がけましょう。
  • 日常生活の動作: 関節に負担をかける無理な動きや姿勢(正座、重いものを持つなど)は避け、関節保護の工夫を取り入れましょう。
    関節を冷やさないように注意し、適正体重を維持しましょう。
  • 治療: 最も重要なのは、医師の指示を守り、自己判断で治療薬を変更したり中断したりしないことです。

病状や体力、生活環境は一人ひとり異なります。
「やってはいけないこと」の全てを完璧に守るのは難しいかもしれませんが、できることから少しずつ意識し、日々の生活に取り入れていくことが大切です。

リウマチと向き合う上で最も頼りになるのは、主治医です。
病状の変化、気になる症状、日常生活での悩みなど、どんなことでも遠慮なく相談し、二人三脚で治療を進めていきましょう。
正しい知識を持ち、「やってはいけないこと」を避け、前向きに病気と付き合っていくことが、活動的な毎日を送るための鍵となります。

【免責事項】
この記事で提供している情報は、一般的な知識に基づいており、個々の病状に対する診断や治療法を保証するものではありません。
リウマチの診断や治療、日常生活における具体的な注意点については、必ず主治医の指示に従ってください。
自己判断での治療薬の変更や中止は、病状悪化や健康被害を招く危険性があります。

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