熱が上がったり下がったりする経験は、多くの人が一度は経験することかもしれません。特に熱が一度下がったのにまた上がったり、一日の中で体温が大きく変動したりすると、「体の中で何か悪いことが起こっているのではないか」と不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
熱が上がったり下がったりする現象は、必ずしも重篤な病気を意味するわけではありませんが、体の中で何らかの変化が起こっているサインであることは確かです。原因は風邪のような一般的な感染症から、ストレス、あるいはより専門的な治療が必要な病気まで多岐にわたります。
この記事では、なぜ熱が変動するのか、考えられる様々な原因や病気、そして自宅でできる適切な対処法や、病院を受診すべき目安について詳しく解説します。ご自身の状況を理解し、冷静に対処するための一助となれば幸いです。
熱が上がったり下がったりするのはなぜ?体温変動の仕組み
人間の体温は、常に一定に保たれているように感じますが、実は一日の中でもわずかに変動しています。しかし、病気などで体温が大きく、しかも波打つように変動する場合、そこには体の複雑な仕組みが関わっています。なぜ熱は上がったり下がったりするのでしょうか。
体温調節のメカニズム
私たちの体温は、脳の視床下部という部分にある体温調節中枢によって厳密にコントロールされています。視床下部は、まるで部屋のサーモスタットのように、体の「設定温度」を監視し、それに応じて体温を上げたり下げたりする指令を出しています。
体温が設定温度より低いと判断されると、体は熱をたくさん作ろうとしたり(筋肉を震わせるなど)、体の表面から熱が逃げないように血管を収縮させたりします。逆に、体温が設定温度より高いと判断されると、体は熱を外に逃がそうとします。皮膚の血管を拡張させて血流を増やしたり、汗をかいて蒸発熱で体温を下げたりします。
免疫反応と発熱サイクル
病原体(ウイルスや細菌など)が体内に侵入すると、私たちの体は免疫システムを働かせてこれらを排除しようとします。この免疫反応の一つとして「発熱」が起こります。
病原体が侵入すると、マクロファージなどの免疫細胞がそれらを認識し、サイトカインと呼ばれる様々な情報伝達物質を放出します。これらのサイトカインの中には、脳の視床下部に働きかけ、体温の「設定温度」を通常よりも高い温度に引き上げるものがあります。
体温の設定温度が上がると、体は「今の体温は低い」と勘違いし、熱を作ろうとします。これが寒気や震えとなって現れ、体温が上昇します。この高い設定温度は、病原体の増殖を抑えたり、免疫細胞の働きを活性化させたりする効果があると考えられています。
病原体の数が減り、免疫システムが病原体を制圧し始めると、サイトカインの放出が減少し、視床下部の設定温度は元の正常な状態に戻ります。すると、今度は「今の体温は高すぎる」と判断し、体は熱を下げようと働きます。これが血管拡張によるほてりや、汗となって現れ、体温が下降します。
熱が上がったり下がったりする現象は、この「設定温度の引き上げ」と「元の設定温度への下降」のサイクルが繰り返されたり、病原体との攻防や体の抵抗力、あるいは薬の効果などによって、免疫反応やサイトカインの放出量が変動したりすることで起こります。特に感染症の場合、病気の進行段階や体の状態によって、この発熱と解熱のプロセスが波打つように繰り返されることがよくあります。
熱が上がったり下がったりする原因と主な病気
熱が上がったり下がったりする症状は、様々な原因によって引き起こされます。多くの場合、感染症によるものですが、それ以外の病気や体の状態が関係していることもあります。ここでは、主な原因と関連する病気について見ていきましょう。
風邪やインフルエンザなどの感染症
最も一般的な原因は、ウイルスや細菌による感染症です。風邪やインフルエンザは代表的なもので、体内に侵入した病原体と免疫システムが戦う過程で発熱が起こります。
感染症による発熱は、一気に高熱が出る場合もあれば、微熱が続いたり、上がったり下がったりを繰り返したりすることもあります。これは、病原体の種類、感染の重症度、そして個人の免疫力によって異なります。
例えば、インフルエンザでは比較的急激な高熱が出やすいですが、風邪の場合は微熱や中程度の熱が続くことが多いです。熱が上がったり下がったりするパターンは、体が病原体を排除しようと免疫システムが波のように活動している状態を示していると考えられます。特に、朝は平熱に近いのに夕方から夜にかけて熱が上がる「弛張熱(しちょうねつ)」や、熱のある期間と平熱の期間が交互に現れる「間欠熱(かんけつねつ)」などは、感染症でよく見られる熱のパターンです。
肺炎、扁桃炎、尿路感染症、胃腸炎などの細菌感染症でも、発熱は一般的な症状です。これらの場合も、体の抵抗力や抗生物質の使用によって、熱が変動することがあります。一部のウイルス感染症(デング熱など)では、特徴的な熱の変動パターンが見られることもあります。
風邪の治りかけに熱がぶり返すケース
風邪が治りかけて一度熱が下がったのに、また熱が上がってくることがあります。これはいくつかの理由が考えられます。
一つは、体力が低下しているところに、新たな病原体による「二次感染」を起こしてしまうケースです。風邪で抵抗力が落ちているところに、別のウイルスや細菌に感染し、新たな発熱を引き起こすことがあります。
また、最初の風邪のウイルスが完全に排除されていなかった場合や、体の免疫反応が波打っている場合にも熱がぶり返すことがあります。無理をして早く活動を再開したり、十分な休息を取らなかったりすることも、体の回復を妨げ、症状のぶり返しや悪化につながることがあります。治りかけこそ、無理せず安静に過ごすことが重要です。
ストレスによる心因性発熱
精神的なストレスが原因で熱が出る「心因性発熱」という状態もあります。これは特に若い女性に比較的多く見られると言われていますが、年齢や性別に関わらず誰にでも起こりうる可能性があります。
強いストレスや不安を感じると、自律神経のバランスが乱れます。自律神経は心拍や血圧、消化器の働きなど、体の様々な機能をコントロールしていますが、体温調節にも関わっています。ストレスによって交感神経が過剰に活性化すると、熱産生が促進されたり、末梢の血管が収縮して熱が体にこもったりすることで、体温が上昇すると考えられています。
心因性発熱の特徴としては、一般的に37℃台後半から38℃台前半の比較的低い熱であることが多く、午後から夜にかけて体温が上がりやすい傾向があります。また、感染症のような他の症状(咳、鼻水、喉の痛みなど)があまり見られないか、あっても軽微であることが多いです。ただし、頭痛や腹痛、倦怠感、不眠などの身体症状を伴うことはあります。
心因性発熱の診断は、他の病気による発熱の可能性を十分に検討し、それらを除外した上で行われます。原因となっているストレスを取り除くことや、リラクゼーション、カウンセリングなどが有効な場合があります。
自己免疫疾患の可能性
自己免疫疾患とは、本来自分の体を守るはずの免疫システムが、誤って自分の体の正常な細胞や組織を攻撃してしまう病気の総称です。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎、シェーグレン症候群などが含まれます。
これらの病気では、体の中で慢性的な炎症が起こっています。この炎症反応によって、サイトカインなどの物質が過剰に産生され、体温調節中枢に影響を与えて発熱を引き起こすことがあります。自己免疫疾患による発熱は、微熱が続いたり、上がったり下がったりを繰り返したりすることが特徴です。
熱以外の症状として、関節の痛みや腫れ、筋肉痛、皮膚の発疹、倦怠感、特定の臓器(腎臓、肺など)の障害に関連した症状などを伴うことが多いです。原因不明の熱が長く続いたり、他の全身症状を伴ったりする場合は、自己免疫疾患の可能性も考慮し、専門医(膠原病内科など)の診察を受けることが重要です。
悪性腫瘍が関連する場合
一部の悪性腫瘍(がん)も、発熱の原因となることがあります。「腫瘍熱(しゅようねつ)」と呼ばれ、特にリンパ腫、腎細胞がん、白血病などで比較的多く見られますが、他の種類のがんでも起こりうる可能性があります。
腫瘍細胞そのものがサイトカインのような発熱物質を放出したり、腫瘍によって体の免疫システムが刺激されたりすることで、発熱が起こると考えられています。また、がん患者さんは免疫力が低下していることが多く、感染症を起こしやすいため、感染症による発熱と区別が難しい場合もあります。
腫瘍熱の特徴としては、抗生物質が効かない熱であることが多い点、原因不明の熱が長期間(通常2週間以上)続いたり、上がったり下がったりを繰り返したりする点が挙げられます。熱以外の症状として、体重減少、食欲不振、強い倦怠感、寝汗などを伴うことがあります。
原因不明の熱が続き、これらの症状が見られる場合は、悪性腫瘍の可能性も考慮して詳しい検査が必要です。
薬剤熱による体温変動
特定の薬剤を服用した際に、その薬に対するアレルギー反応や体の特異な反応によって発熱することがあります。これを「薬剤熱」と呼びます。
薬剤熱は、薬を飲み始めてから数日後、あるいは数週間後に起こることが多く、発熱のパターンは様々です。微熱が続く場合もあれば、比較的高熱が出たり、上がったり下がったりを繰り返したりする場合もあります。薬剤熱の最も大きな特徴は、原因となっている薬の服用を中止すると、比較的速やかに(多くの場合24~48時間以内に)熱が下がる点です。
原因となる薬剤としては、一部の抗生物質(ペニシリン系、セファロスポリン系など)、抗がん剤、抗不整脈薬、精神科の薬、痛風の薬(アロプリノール)など、非常に多岐にわたります。
原因不明の発熱があり、何か新しい薬を飲み始めた時期と重なる場合は、薬剤熱の可能性も考慮する必要があります。自己判断で薬の服用を中止するのは危険な場合もありますので、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
子供の熱が上がったり下がったりする場合
子供は大人に比べて体温調節機能がまだ十分に発達していません。そのため、少しの環境の変化や体調不良でも体温が変動しやすく、高熱が出やすい傾向があります。また、様々な感染症にかかりやすいため、熱が上がったり下がったりすることもよく見られます。
子供の熱の原因として最も多いのは、やはりウイルスや細菌による感染症です。風邪、扁桃炎、インフルエンザ、突発性発疹、ヘルパンギーナなどが代表的です。突発性発疹のように、高熱が数日続いた後に急に解熱し、同時に全身に発疹が出現するという特徴的な熱のパターンを示す病気もあります。
子供の熱が上がったり下がったりする場合、熱の高さだけでなく、子供の全身状態をよく観察することが非常に重要です。ぐったりしている、水分が摂れない、機嫌が悪い、呼吸が苦しそう、けいれんを起こしたなどの症状がある場合は、早急に医療機関を受診する必要があります。
また、熱性けいれんは子供に比較的よく見られる発熱に伴うけいれんで、通常は数分でおさまりますが、繰り返したり長時間続いたりする場合は詳しい検査が必要です。
大人の熱が上がったり下がったりする場合
大人の場合、子供に比べて体温調節機能は安定していますが、それでも熱が上がったり下がったりする現象は起こりえます。主な原因はやはり感染症ですが、子供とは異なり、ストレスや慢性的な病気が原因である可能性も十分に考慮する必要があります。
大人の熱が上がったり下がったりする原因としては、一般的な風邪やインフルエンザの他に、肺炎や気管支炎などの呼吸器感染症、尿路感染症、胆嚢炎・胆管炎などの腹部の感染症などが挙げられます。これらの感染症では、病原体の活動や体の免疫反応、抗生剤治療の効果などによって、熱が波打つように変動することがあります。
また、前述した自己免疫疾患、悪性腫瘍、薬剤熱などが原因となっている場合もあります。特に、原因不明の熱が数週間以上にわたって続いたり、熱の変動とともに体重減少、強い倦怠感、特定の部位の痛みや腫れなどの全身症状が見られたりする場合は、感染症以外のより専門的な病気の可能性も視野に入れて、詳しい検査を受けることが推奨されます。
高齢者の場合、発熱の症状が出にくいこともありますが、一度発熱すると体力消耗が激しく、重症化しやすい傾向があります。熱の変動が見られる場合は、特に注意深く観察し、早めに医療機関を受診することが重要です。
熱が上がったり下がったりする時の適切な対処法
熱が上がったり下がったりしている時は、体が病気と戦っているサインです。まずは体を休ませ、回復をサポートすることが大切です。自宅でできる基本的なケアや、熱を下げるための方法について説明します。
自宅でできる基本的なケア
熱が上がったり下がったりする場合、最も重要なのは「安静」にすることです。無理な活動は避け、十分な休息を取りましょう。体が回復するためにエネルギーを使えるように、睡眠をしっかりとることが大切です。
また、発熱時は汗をかいたり、呼吸が速くなったりして体の水分が失われやすいため、「水分補給」が非常に重要です。脱水を防ぐために、こまめに水分を摂りましょう。水、お茶、薄めたスポーツドリンク、経口補水液などが適しています。一度にたくさん飲むのではなく、少量ずつ頻繁に飲むのが効果的です。カフェインを含む飲み物やアルコールは利尿作用があるため、避けましょう。
食事については、食欲がない場合は無理に食べる必要はありませんが、少しでも食べられるようであれば、消化の良いものを少量ずつ摂るようにしましょう。おかゆ、うどん、スープ、ゼリー、プリンなどがおすすめです。体の回復には栄養が必要なので、食欲が出てきたらバランスの取れた食事を心がけましょう。
快適な環境を整えることも大切です。室温は一般的に20℃~25℃程度が快適と言われています。寒気を感じる場合は部屋を暖かくし、毛布などで体を温めましょう。熱が高く、暑がっている場合は、涼しい環境を整え、薄着にしたり布団を調整したりします。湿度も50%~60%程度に保つと、鼻や喉の粘膜が潤い、呼吸が楽になることがあります。
熱を下げるための方法
熱を下げる主な方法としては、解熱剤の使用と物理的な冷却があります。
解熱剤の使用
解熱剤は、体の設定温度を引き下げたり、痛みや炎症を和らげたりする効果があります。ただし、発熱は体が病原体と戦うための防御反応でもあります。熱が高くてつらい、だるくて眠れない、食事や水分が摂れないなど、日常生活に支障が出るような場合に、症状を和らげるために使用するのが一般的です。
解熱剤を使用する際は、必ず医師や薬剤師の指示に従いましょう。市販薬を使用する場合も、添付文書をよく読み、用法・用量を守ることが重要です。特に、他の薬を服用している場合や、持病がある場合は、飲み合わせや副作用のリスクについて薬剤師に相談してください。子供に解熱剤を使用する場合は、年齢や体重に合ったものを選び、小児用のものを使用しましょう。アスピリンは子供にはライ症候群のリスクがあるため、原則として使用しません。
解熱剤を飲むと一時的に熱は下がりますが、薬の効果が切れると再び熱が上がることがあります。これは薬が病気の原因そのものを治しているわけではないからです。熱が再び上がっても、慌てて次の薬を飲むのではなく、決められた服用間隔を守りましょう。
物理的な冷却
脇の下、首の付け根、足の付け根(鼠径部)など、太い血管が通っている場所を冷やすことは、熱を下げるのに多少効果がある場合があります。濡らしたタオルや冷却シート、氷嚢(ひょうのう)などを使いましょう。ただし、冷やしすぎると体が震えて熱を作ろうとしたり、不快に感じたりすることがあります。本人が気持ち良いと感じる範囲で行い、皮膚に直接氷を当てると凍傷になる可能性があるため、必ずタオルなどで包んで使用してください。
また、寒気を感じている時や、手足が冷たい時は、体が熱を上げようとしているサインです。この状態で体を冷やすと、かえって寒気が強くなったり、体力を消耗したりすることがあります。物理的な冷却は、熱が高くて体が熱く、本人が暑がっている時に行うのが適しています。
熱を下げることばかりに囚われず、体全体のケアと休息に重点を置くことが大切です。
病院を受診すべき目安と何科を受診すべきか
熱が上がったり下がったりする症状は、必ずしも重篤な病気であるとは限りませんが、中には医療機関での診察が必要なケースもあります。どのような場合に病院を受診すべきか、また何科を受診するのが適切かについて説明します。
こんな症状が出たら要注意
熱の変動に加えて、以下のような症状が見られる場合は、注意が必要です。これらの症状は、より重い感染症や、感染症以外の病気が隠れている可能性を示唆しています。
- 息苦しさや呼吸困難、強い咳、胸の痛み: 肺炎や気管支炎、心臓や肺の病気が疑われます。
- 水分や食事が全く摂れない、強い吐き気や下痢: 脱水症状や重度の胃腸炎、あるいは他の重い病気の可能性があります。
- 意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が鈍い、けいれん: 脳炎や髄膜炎、あるいは他の重篤な状態が考えられます。特に子供のけいれんは注意が必要です。
- 強いだるさ、ぐったりしている、顔色が悪い: 体力消耗が激しいか、重度の感染症や他の病気が疑われます。
- 手足のしびれや麻痺: 脳や神経の病気の可能性があります。
- 原因不明の発疹や皮下出血: 特定の感染症や血液の病気の可能性があります。
- 関節の強い痛みや腫れ、特定の部位の痛みや腫れ: 自己免疫疾患、炎症、感染症などが疑われます。
- 体重の急激な減少: 悪性腫瘍や慢性の炎症性疾患などが疑われます。
- いつもと明らかに様子が違う: ご本人や周囲の方が「おかしい」と感じる場合は、医療機関に相談すべきサインです。
受診を検討するタイミング
上記のような要注意症状がない場合でも、熱が上がったり下がったりする状態が続く場合は、医療機関を受診して原因を調べてもらうことが大切です。受診を検討する目安としては、以下のようなケースが挙げられます。
項目 | 受診を検討する目安 |
---|---|
発熱期間 | 熱(微熱を含む)が上がったり下がったりする状態が、3日以上続く場合 |
他の症状 | 咳、鼻水、喉の痛みなどの風邪症状が、熱とともに強く現れている場合 |
全身状態 | 熱以外に強い倦怠感や体力の消耗を感じる場合 |
改善傾向 | 安静にしていても、熱や他の症状に改善が見られない、あるいは悪化している場合 |
持病の有無 | 基礎疾患(心臓病、肺疾患、糖尿病、自己免疫疾患など)がある方や、免疫抑制状態にある方 |
年齢 | 高齢者や乳幼児の場合(一般的に抵抗力が低い、症状が出にくい、重症化しやすい) |
再発 | 一度解熱したが、数日以内に再び発熱し、症状がぶり返している場合 |
原因への不安 | 明らかな原因(風邪など)が思い当たらず、熱の変動が続くことに強い不安を感じる場合 |
これらの目安は一般的なものです。ご自身の体調や状況に合わせて、受診が必要だと感じたら迷わず医療機関に相談しましょう。
何科を受診するのが適切か
熱が上がったり下がったりする場合、最初に受診する科は、多くの場合内科です。子供の場合は小児科を受診します。
内科医や小児科医は、問診(症状の経過、熱のパターン、他の症状、持病、服用中の薬、渡航歴など)や診察(喉、肺の音、お腹など)を行い、熱の原因を探ります。必要に応じて、血液検査、尿検査、X線検査、インフルエンザやコロナウイルスの迅速検査などを行います。
診察の結果、感染症以外の原因(自己免疫疾患、悪性腫瘍など)が疑われる場合は、専門的な検査や治療のために、膠原病内科、血液内科、呼吸器内科などの専門科を紹介されることがあります。
また、心因性発熱が疑われる場合は、心療内科や精神科への相談が勧められることもあります。
まずはかかりつけ医がいる場合はそこに相談するのが良いでしょう。もし、かかりつけ医がいなかったり、症状が重かったり、夜間・休日であったりする場合は、地域の救急医療情報センターに連絡したり、当番医や救急外来を受診したりすることも検討してください。
適切な診断と治療のためには、医師に正確な情報を伝えることが重要です。いつから熱が出たのか、熱はどのように変動しているのか(例: 朝は低いが夕方になると上がる)、熱以外の症状(咳、鼻水、だるさ、痛みなど)はどのようなものがあるか、他に気になる症状はないかなどを具体的に伝えられるように整理しておくと良いでしょう。
【まとめ】熱が上がったり下がったりする場合は、原因の特定と適切な対応が重要
熱が上がったり下がったりする現象は、体が病原体と戦っているサインであり、多くの場合、風邪やインフルエンザなどの感染症によって引き起こされます。しかし、ストレスや自己免疫疾患、悪性腫瘍、薬剤熱など、感染症以外の様々な原因によっても起こりうる可能性があります。
発熱のメカニズムは、体の体温調節機能と免疫システムの複雑な相互作用によるものであり、病原体との攻防や体の状態に応じて熱が波打つように変動することがあります。
熱が変動している時は、まずは安静にして体を休ませ、十分な水分補給と消化の良い食事を心がけるなど、基本的なセルフケアを行うことが大切です。熱が高くてつらい場合は、医師や薬剤師の指示のもとで解熱剤を使用したり、本人が気持ち良いと感じる範囲で物理的に体を冷やしたりすることも症状緩和に繋がります。
しかし、熱の変動が数日以上続いたり、息苦しさ、強いだるさ、水分が摂れない、意識がはっきりしない、体重減少などの要注意症状を伴ったりする場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。特に基礎疾患がある方、高齢者、乳幼児は注意が必要です。
受診する際は、まずは内科(子供は小児科)を受診し、医師に症状や経過を詳しく伝えましょう。必要に応じて専門医に紹介されることもあります。
熱が上がったり下がったりする症状は不安を感じるかもしれませんが、原因を正しく理解し、適切な対処や受診判断を行うことで、安心して対応することができます。自己判断で済ませず、気になる症状があれば医療の専門家に相談することをおすすめします。
免責事項
本記事は、熱が上がったり下がったりする原因や対処法に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の症状に対する診断や治療を推奨するものではありません。ご自身の症状について不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。本記事の情報に基づいた行動によって生じたいかなる結果についても、当方は一切の責任を負いかねます。