アレルギー性鼻炎の治し方|原因から治療、今日からできる対策まで

アレルギー性鼻炎は、日常生活に大きな影響を与えるつらい症状を伴う慢性的な病気です。
「アレルギー性鼻炎を治したい」「少しでも楽になりたい」と、様々な「治し方」を探している方も多いのではないでしょうか。

アレルギー性鼻炎の治し方には、医療機関での専門的な治療から、ご自宅でできるセルフケアまで、様々なアプローチがあります。
この記事では、アレルギー性鼻炎の原因や症状を理解した上で、どのような治し方があるのか、それぞれの特徴や効果について詳しく解説します。
ご自身の症状やライフスタイルに合った治し方を見つける参考にしてください。

目次

アレルギー性鼻炎とは?原因と症状を理解する

アレルギー性鼻炎は、特定の物質(アレルゲン)に対して体の免疫システムが過剰に反応し、鼻の粘膜でアレルギー反応が起こることで発症します。
この反応によって鼻の粘膜が炎症を起こし、様々な不快な症状が現れます。

人間の体には、外部から侵入するウイルスや細菌といった病原体を排除するための免疫システムが備わっています。
しかし、アレルギー体質の場合、本来無害なアレルゲンに対してもこの免疫システムが過剰に働き、「異物」として攻撃しようとします。
この攻撃の過程で、ヒスタミンなどの化学物質が体内で放出され、鼻水やくしゃみ、鼻づまりといったアレルギー症状を引き起こすのです。

アレルギー性鼻炎には、原因となるアレルゲンに一年中さらされることで症状が出る「通年性アレルギー性鼻炎」と、特定の花粉など季節性のものによって症状が出る「季節性アレルギー性鼻炎」があります。
それぞれのタイプによって、主な原因物質や症状の現れ方が異なります。

アレルギー性鼻炎の主な原因物質

アレルギー性鼻炎を引き起こすアレルゲンは多岐にわたりますが、代表的なものには以下のようなものがあります。

  • ハウスダスト: 家の中のほこり全般を指し、繊維くず、カビ、細菌、フケなどが含まれます。通年性アレルギー性鼻炎の主な原因です。
  • ダニ: 特にチリダニが多く、死骸やフンがアレルゲンとなります。高温多湿を好み、寝具やカーペットなどに生息するため、ハウスダストと同様に通年性の原因となります。
  • 花粉: スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなど、植物の種類によって飛散時期が異なります。特定の時期にのみ症状が出る季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の主な原因です。地域によって飛散する花粉の種類や時期が異なります。
  • カビ: 浴室や結露しやすい場所、エアコン内部などに発生します。胞子を吸い込むことでアレルギー反応を起こすことがあります。
  • ペットのフケや毛: イヌやネコ、ハムスター、鳥などのフケや唾液、尿などが乾燥して airborne(空気中を漂う)となることでアレルゲンとなります。

これらのアレルゲンに接触したり吸い込んだりすることで、アレルギー体質の人の鼻粘膜で反応が起こり、症状が現れます。
複数のアレルゲンに反応する方も少なくありません。

アレルギー性鼻炎の代表的な症状

アレルギー性鼻炎の症状は主に鼻と目に現れますが、最も代表的な症状は以下の3つです。

  • くしゃみ: 鼻粘膜に入り込んだアレルゲンを外に排出しようとする体の防御反応です。連続して何度も出るのが特徴です。
  • 鼻水: サラサラとした透明な鼻水が大量に出ます。アレルゲンを洗い流そうとする体の反応です。
  • 鼻づまり: 鼻粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなることで起こります。片方だけ詰まることもあれば、両方詰まることもあります。夜間にひどくなりやすく、睡眠障害を引き起こすこともあります。

これらの三大症状の他にも、以下のような症状を伴うことがあります。

  • 目のかゆみ、充血
  • 涙目
  • 喉のかゆみ、イガイガ感
  • 頭痛
  • だるさ、倦怠感
  • 集中力の低下

特に鼻づまりは、口呼吸の原因となり、睡眠の質の低下、集中力の低下、顔のむくみなど、様々な二次的な影響を及ぼすことがあります。
症状の程度や組み合わせは個人やアレルゲンによって異なり、日常生活や仕事、学業に支障をきたすことも少なくありません。

アレルギー性鼻炎の主な治し方・治療法

アレルギー性鼻炎の「治し方」には、根本的な体質改善を目指すものから、つらい症状を和らげる対症療法まで、様々な方法があります。
ご自身の症状のタイプ、重症度、原因となるアレルゲンなどを正確に把握し、適切な治療法を選択することが重要です。

大きく分けて、医療機関で医師の診断のもと行われる専門的な治療法と、ご自宅でご自身で行うセルフケアや対策があります。
効果的な治し方を見つけるためには、これらの方法を組み合わせて行うことが一般的です。

医療機関で行われる専門的な治療法

アレルギー性鼻炎の症状が重い場合や、セルフケアだけでは改善しない場合は、医療機関(耳鼻咽喉科やアレルギー科など)を受診し、専門的な治療を受けることが推奨されます。
医師は問診や検査結果に基づき、個々の患者さんに最適な治療法を提案してくれます。

専門的な治療法には、主に薬物療法、アレルゲン免疫療法、手術療法があります。

薬物療法(内服薬・点鼻薬など)

薬物療法は、アレルギー性鼻炎の症状を抑えるための対症療法として最も一般的に行われる治療法です。
様々な種類の薬があり、症状の種類や重症度、ライフスタイルに合わせて使い分けられます。

主な薬剤の種類は以下の通りです。

薬剤の種類 効果 特徴 注意点
抗ヒスタミン薬 くしゃみ、鼻水、目のかゆみを抑える アレルギー反応で放出されるヒスタミンの働きをブロック。第1世代と第2世代がある。 第1世代は眠気や口の渇きが出やすい。第2世代は眠気などの副作用が比較的少ないが、個人差がある。
点鼻ステロイド薬 鼻の炎症を抑え、くしゃみ、鼻水、鼻づまり全般に効果 鼻の粘膜に直接作用するため全身への影響が少なく、比較的安全性が高い。アレルギー性鼻炎治療の中心的な薬。 効果が出るまで数日かかることがある。毎日継続して使用することで効果が高まる。
ロイコトリエン受容体拮抗薬 鼻づまりに比較的効果が高い アレルギー反応で放出されるロイコトリエンの働きをブロック。 効果が出るまで時間がかかることがある。他の薬と併用されることが多い。
Th2サイトカイン阻害薬 重症の季節性アレルギー性鼻炎の症状を抑える 注射薬。特定の免疫物質(サイトカイン)の働きを抑える。 高額になることが多い。重症例に限定される。副作用のリスクもあるため、医師との十分な相談が必要。
血管収縮薬点鼻薬 急な鼻づまりを一時的に解消する 鼻粘膜の血管を収縮させて腫れを引かせる。即効性がある。 連用すると効果が薄れたり、かえって鼻づまりが悪化(薬剤性鼻炎)したりすることがあるため、使用は最小限に留める。

これらの薬剤は、症状の程度に応じて単独で、あるいは組み合わせて使用されます。
例えば、くしゃみや鼻水がひどい場合は抗ヒスタミン薬、鼻づまりが中心の場合はロイコトリエン受容体拮抗薬や点鼻ステロイド薬、すべての症状がある場合は複数の薬剤を併用するといった形です。

薬物療法はあくまで症状を緩和するための対症療法であり、アレルギー体質そのものを治すものではありません。
しかし、適切に使用することで、つらい症状をコントロールし、日常生活の質を大きく改善することができます。

アレルゲン免疫療法(根本的な体質改善)

アレルゲン免疫療法は、アレルギー性鼻炎の「根本的な治し方」として期待される唯一の治療法です。
アレルギーの原因となっているアレルゲンを少量ずつ体内に投与し、体をアレルゲンに慣らしていくことで、アレルギー反応を弱めていくことを目指します。
これにより、症状の緩和だけでなく、長期的な寛解(症状が出なくなる、またはごく軽くなること)や、新たなアレルギーの発症を予防する効果も期待できます。

免疫療法には、古くから行われている「皮下免疫療法(SCIT)」と、近年普及が進んでいる「舌下免疫療法(SLIT)」があります。

  • 皮下免疫療法(SCIT): アレルゲンエキスを皮下注射します。週に1〜2回の注射から開始し、徐々に濃度と量を増やしていき、維持量に達したら2〜4週間に1回の注射に間隔を延ばします。治療期間は3〜5年と長期間にわたります。医療機関での注射が必要になります。
  • 舌下免疫療法(SLIT): アレルゲンエキスを含む薬剤を、舌の下に毎日投与します。自宅で手軽に行えるのが大きなメリットです。現在、スギ花粉とダニを原因とするアレルギー性鼻炎に対して保険適用となっています。治療期間は皮下免疫療法と同様に3〜5年が目安です。

免疫療法の効果は、治療開始から数ヶ月〜1年程度で現れることが多いですが、個人差があります。
全ての患者さんに効果があるわけではありませんが、適切に行えば症状の劇的な改善や、薬剤の使用量を減らせるといった効果が期待できます。

ただし、治療期間が長いこと、治療初期や増量期にアレルギー反応(局所の腫れやかゆみ、稀にアナフィラキシーなどの全身反応)が起こる可能性があることなどの注意点もあります。
治療を開始する前に、医師から十分な説明を受け、リスクと効果を理解しておくことが重要です。
特に舌下免疫療法は自宅で行えますが、最初の投与はアレルギー反応の確認のため医療機関で行うことが一般的です。

手術療法(鼻づまりがひどい場合など)

薬物療法やアレルゲン免疫療法でも改善しない、特に重度の鼻づまりに悩んでいる場合、手術療法が選択肢となることがあります。
手術は、アレルギー反応によって腫れてしまった鼻の粘膜(主に下鼻甲介)の一部を切除したり、焼灼(焼き固める)したりすることで、鼻腔内の空気の通り道を広げることを目的とします。

代表的な手術方法としては、以下のようなものがあります。

  • 下鼻甲介切除術: 腫れた下鼻甲介の一部を切除する方法。
  • 粘膜焼灼術(レーザー治療、高周波治療など): レーザーや高周波を用いて、鼻の粘膜表面を焼灼し、アレルギー反応を起こしにくくしたり、粘膜の腫れを抑えたりする方法。比較的短時間で外来でも行えることが多い。
  • 後鼻神経切断術: 鼻水やくしゃみに関わる神経を切断する方法。

手術は、特に頑固な鼻づまりに対して即効性や高い効果が期待できる場合があります。
しかし、手術方法によっては効果が一時的であったり、再発の可能性があったり、出血や感染などのリスクもゼロではありません。
また、くしゃみや鼻水といった症状には効果が限定的な場合もあります。

手術療法を検討する際は、ご自身の症状の種類や程度、他の治療法の効果などを考慮し、医師と十分に話し合った上で決定することが重要です。

自分でできるアレルギー性鼻炎の対策・セルフケア

アレルギー性鼻炎の治療は、医療機関での専門的な治療だけでなく、ご自宅でのセルフケアや生活環境の整備も非常に重要です。
ご自身でできる対策を行うことで、アレルゲンへの接触を減らし、症状を軽減することができます。

アレルゲンを回避・除去する方法(環境整備)

アレルギー性鼻炎の治し方として最も基本的なのが、原因となるアレルゲンへの接触を可能な限り避けることです。
これは「アレルゲン回避」と呼ばれ、症状の予防や軽減に非常に有効です。
原因物質別に具体的な対策を見ていきましょう。

ハウスダスト・ダニ対策

  • こまめな掃除: ダニの死骸やフン、ハウスダストは床や寝具に溜まりやすいため、掃除機を丁寧にかけ、拭き掃除も併用します。特に寝室は重要です。週に2回以上行うのが理想です。
  • 換気: 定期的に窓を開けて換気し、室内の空気の入れ替えを行います。ただし、花粉の時期は飛散量の多い時間帯(昼前後、夕方)を避ける、短時間で済ませる、窓を狭く開けるなどの工夫が必要です。
  • 寝具ケア: 寝具はダニが繁殖しやすいため、定期的に洗濯し、天日干しや布団乾燥機を利用します。防ダニ仕様の寝具カバーを使用するのも効果的です。
  • 湿度管理: ダニは湿度が高い環境を好むため、部屋の湿度を50%以下に保つように除湿機などを利用します。
  • 空気清浄機: 浮遊しているハウスダストや花粉などを除去するのに役立ちます。

花粉対策

  • 飛散情報の確認: 花粉情報サイトなどで飛散予測を確認し、飛散量の多い日は外出を控えるか、対策を強化します。
  • マスクとメガネ: 外出時には花粉症用マスクやメガネを着用し、花粉が鼻や目に入るのを防ぎます。
  • 衣類: 花粉が付着しにくいツルツルした素材の衣類を選びます。帰宅時は、玄関先で衣服についた花粉をよく払い落とします。
  • 洗濯物の干し方: 花粉飛散量が多い日は、洗濯物を屋内に干すか、乾燥機を利用します。外に干した場合は、取り込む前に花粉を払い落とします。
  • 室内への持ち込みを防ぐ: 帰宅したら、うがいや手洗いをし、顔や髪についた花粉を払い落とします。

ペットアレルギー対策

  • ペットを飼っている場合は、定期的にシャンプーをする、生活空間を分ける、寝室には入れないなどの対策が有効です。こまめな掃除も欠かせません。可能であれば、原因となるペットとの接触を避けるのが最も効果的です。

これらのアレルゲン回避・除去は、薬物療法の効果を高めたり、薬剤の使用量を減らしたりすることにもつながります。
地道な対策ですが、アレルギー性鼻炎の治し方として非常に重要な柱となります。

鼻洗浄の実践方法

鼻洗浄(鼻うがい)は、鼻腔内に生理食塩水などを通して、アレルゲンや花粉、ホコリ、分泌物などを洗い流す方法です。
鼻の通りを良くし、炎症を鎮める効果が期待できます。
薬を使わないため、副作用の心配が少ないセルフケアとして広く行われています。

鼻洗浄の正しいやり方

  1. 準備: 体温に近い(35〜40℃程度)ぬるま湯に、生理食塩水または鼻洗浄用の塩を溶かして洗浄液を作ります。水道水は鼻の粘膜を刺激したり、雑菌が入ったりする可能性があるため、沸騰させて冷ました水や精製水を使うのが望ましいです。濃度が薄すぎたり濃すぎたりすると鼻の粘膜を刺激するので注意が必要です。
  2. 洗浄: 市販の鼻洗浄器(ボトルタイプや電動タイプなど)を使用するのが便利です。前かがみになり、片方の鼻の穴から洗浄液をゆっくりと注入します。口を開けて「あー」などと声を出しながら行うと、洗浄液が喉に流れ込みにくくなります。洗浄液は反対側の鼻の穴や口から出てきます。
  3. 反対側も: 反対側の鼻の穴も同様に洗浄します。
  4. 仕上げ: 洗浄後は、鼻を軽くかんで残った洗浄液を排出します。強くかみすぎると耳に水が入る可能性があるので注意しましょう。

鼻洗浄は、朝晩の1日1〜2回行うのが一般的です。
特にアレルゲン飛散量が多い時期や、症状がつらい時に行うと効果を実感しやすいでしょう。
ただし、鼻や耳に疾患がある場合や、やり方が適切でない場合はかえって症状が悪化する可能性もあるため、不安な場合は医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

アレルギー性鼻炎と体質改善・食事(食べ物)について

アレルギー性鼻炎の「治し方」として、食生活や体質改善に関心を持つ方も多いでしょう。
特定の食品を摂取することでアレルギー体質が劇的に改善するという科学的根拠はまだ確立されていませんが、バランスの取れた食事や腸内環境を整えることは、免疫機能全体の健康に寄与する可能性が示唆されています。

  • 免疫機能に関わる栄養素: ビタミンDやビタミンC、亜鉛など、免疫機能の維持に関わる栄養素をバランス良く摂取することは大切です。特定の食品に偏らず、多様な食品からこれらの栄養素を摂るように心がけましょう。
  • 腸内環境: 腸は最大の免疫器官とも言われており、腸内環境を整えることが全身の免疫バランスに影響を与えると考えられています。ヨーグルトや発酵食品などに含まれるプロバイオティクスや、食物繊維を多く含む食品を摂取することで、腸内環境の改善を目指すことは、アレルギー体質への間接的なアプローチとなるかもしれません。
  • 特定の食品とアレルギー: 一部の食品が、アレルギー性鼻炎の症状を悪化させる可能性(交差反応など)が指摘されることもありますが、個人差が大きいため、自己判断で極端な食事制限を行うのは避けるべきです。医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。

食事だけでアレルギー性鼻炎を「治す」ことは難しいと考えられますが、健康的な食生活は体の免疫バランスを整え、症状が出にくい体質づくりをサポートする可能性があります。
薬物療法やアレルゲン回避と並行して、日々の食事にも意識を向けてみる価値はあるでしょう。

また、十分な睡眠、適度な運動、ストレスの軽減といった生活習慣全体を見直すことも、体調を整え、アレルギー症状の軽減につながることがあります。

アレルギー性鼻炎に関するよくある質問(Q&A)

アレルギー性鼻炎に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
アレルギー性鼻炎の治し方や付き合い方について、疑問を解消する助けになれば幸いです。

アレルギー性鼻炎は自力で治せますか?

「自力で治す」の定義にもよりますが、セルフケア(アレルゲン回避や鼻洗浄など)だけでアレルギー体質そのものを完全に治すことは難しいと考えられます。
これらのセルフケアは症状を和らげたり、アレルゲンへの接触を減らしたりするのに非常に有効ですが、根本的な治癒を目指す場合は、医療機関で行われるアレルゲン免疫療法が現在のところ唯一の選択肢です。

ご自身の判断だけで症状を放置したり、誤った情報に基づいて自己流の治療を行ったりすることは、かえって症状を悪化させたり、適切な治療の機会を逃したりすることにつながりかねません。
症状がつらい場合は、まずは医療機関を受診し、医師に相談することが最も安全で確実な「治し方」への第一歩と言えます。

アレルギー性鼻炎は自然に治癒しますか?

小児期に発症したアレルギー性鼻炎が、成長とともに軽快したり、稀に自然に治癒したりすることが報告されています。
しかし、特に成人してから発症した場合や、症状が慢性化している場合は、自然に治癒することはほとんど期待できません。

むしろ、適切な治療や対策を行わないと、症状が長期化したり、重症化したり、喘息や副鼻腔炎(ちくのう症)などの合併症を引き起こす可能性もあります。
症状がある場合は、「そのうち治るだろう」と放置せず、適切な対策や治療を行うことが大切です。

アレルギー性鼻炎の症状をマシにするにはどうすればいいですか?

アレルギー性鼻炎の症状をマシにするためには、以下の対策を組み合わせることが効果的です。

  • アレルゲン回避: 原因となるアレルゲン(花粉、ハウスダスト、ダニなど)への接触を可能な限り減らす。
  • 薬物療法: 医師から処方された抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイド薬などを適切に使用する。市販薬も一時的な緩和に役立つ場合があるが、症状が続く場合は医療機関への相談が望ましい。
  • 鼻洗浄: 生理食塩水などで鼻を洗い、アレルゲンや分泌物を除去する。
  • 加湿: 空気が乾燥すると鼻粘膜が刺激されやすくなるため、特に冬場は加湿器などで湿度を適切に保つ。
  • 生活習慣の見直し: 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理なども症状軽減に間接的に寄与する可能性がある。

これらの対策は、症状のタイプや重症度によって最適な組み合わせが異なります。
ご自身の状況に合った対策を見つけるためには、医師や薬剤師に相談するのが良いでしょう。

アレルギー性鼻炎の検査は必要ですか?

アレルギー性鼻炎かどうか、そして何が原因でアレルギー反応が起きているのかを正確に知るためには、検査を受けることが推奨されます。
原因アレルゲンが分かれば、より効果的なアレルゲン回避策を講じたり、アレルゲン免疫療法といった根本治療を選択したりすることが可能になります。

主なアレルギー検査には以下のようなものがあります。

  • 血液検査: 血液中のアレルギーに関わる抗体(IgE抗体)の量を調べる検査です。特定のアレルゲンに対する特異的IgE抗体の値を測定することで、何にアレルギーがあるかが分かります。一度の採血で多くのアレルゲンを調べることができます。
  • 皮膚テスト: アレルゲンエキスを皮膚に少量つけて反応を見る検査です。短時間で結果が出ますが、医師の管理下で行う必要があります。

特にアレルギー性鼻炎の診断がついていない場合や、原因が不明な場合は、検査を受けることで今後の治療方針を立てる上で非常に役立ちます。

病院を受診する目安は?

以下のような場合は、一度医療機関(耳鼻咽喉科やアレルギー科など)を受診することをおすすめします。

  • くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が長く続いている(2週間以上など)。
  • 市販薬を使っても症状が改善しない、あるいは悪化している。
  • 鼻づまりがひどく、夜眠れない、集中できないなど、日常生活に支障が出ている。
  • 原因が分からないので、アレルゲンを特定したい。
  • アレルギー体質を根本から治したい(アレルゲン免疫療法を検討したい)。
  • 市販薬を長期間使用しているが、このままで良いか不安がある。
  • 以前アレルギー性鼻炎と診断されたが、最近症状が変わってきた。

アレルギー性鼻炎の症状は風邪と似ていることもありますが、長引く場合や特定の時期に毎年繰り返す場合は、アレルギー性鼻炎の可能性が高いです。
早めに専門医に相談することで、適切な診断と治療を受け、「治し方」への具体的な道筋を立てることができます。

まとめ:アレルギー性鼻炎は専門医に相談しましょう

アレルギー性鼻炎の「治し方」には、薬物療法、アレルゲン免疫療法、手術療法といった医療機関での専門的な治療から、アレルゲン回避や鼻洗浄といったご自宅でのセルフケアまで、様々な方法が存在します。

つらい症状を効果的に改善し、QOL(生活の質)を高めるためには、ご自身の症状のタイプ(季節性か通年性か)、重症度、そして何がアレルギーの原因となっているのかを正確に把握することが何よりも重要です。
原因が分かれば、より効果的なアレルゲン回避策や、アレルゲン免疫療法といった根本治療を選択肢に入れることができます。

この記事でご紹介した様々な「治し方」は、それぞれに特徴や適応があります。
どの方法がご自身の症状やライフスタイルに最も適しているのかを判断するためには、自己判断せず、まずは専門医(耳鼻咽喉科やアレルギー科など)に相談することをおすすめします。
医師は問診や検査結果に基づき、一人ひとりに合った最適な治療計画を提案してくれます。

アレルギー性鼻炎はすぐに完治することが難しい場合もありますが、適切な治療や対策を継続することで、症状をコントロールし、快適な日常生活を送ることが十分に可能です。
つらい症状にお悩みの方は、諦めずに専門医の力を借りて、ご自身にとって最善の「治し方」を見つけていきましょう。

免責事項: 本記事はアレルギー性鼻炎に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法を推奨したり、医師の診断や治療に代わるものではありません。
ご自身の症状については、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。

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