手足口病は大人にうつる?確率は?症状や重症化リスクを徹底解説

手足口病は、子供を中心に夏季に流行する感染症ですが、「大人にもうつるの?」「うつる確率は?」と心配される方も多いのではないでしょうか。特に小さなお子さんがいるご家庭では、感染対策が気になるところです。この記事では、手足口病が大人にうつる確率や、もし感染してしまった場合の症状、感染経路、そしてご自身や家族を守るための具体的な予防策について詳しく解説します。

手足口病 大人にうつる確率は?感染経路と対策

目次

手足口病は大人にもうつる?感染確率について

手足口病は、主にエンテロウイルス属のウイルスによって引き起こされる感染症です。子供がかかりやすい病気として知られていますが、大人も感染する可能性は十分にあります。ただし、大人への感染は子供に比べると比較的少ない傾向にあります。

手足口病を引き起こすウイルスにはいくつかの種類があり、一度感染するとその型のウイルスに対する免疫ができると考えられています。大人の場合、過去に手足口病や他のエンテロウイルス感染症にかかっていることが多く、ある程度の免疫を持っているため、感染しにくかったり、感染しても軽症で済んだりすることがあります。

しかし、手足口病の原因となるウイルスは常に変化しており、以前にかかったことのない新型のウイルスが流行することもあります。この場合、大人の免疫がないため、感染するリスクが高まります。

大人への感染は珍しい?子供からの感染が多数?

大人が手足口病に感染するケースの多くは、手足口病にかかった子供との密接な接触によるものです。特に、手足口病が流行する時期には、家庭内や保育園・幼稚園などの集団生活の場で、子供から大人へウイルスがうつる確率が高まります。

子供はウイルスの排出量が多く、また手洗いや咳エチケットが不十分になりがちです。そのため、感染した子供が触れたものや、排泄物などを介して、近くにいる大人がウイルスを取り込んでしまうリスクが高まります。

例えば、おむつ交換の際や、食事の介助、入浴、抱っこなど、子供の世話をする機会が多い親御さんや、子供と接する機会の多い職業の方(保育士、教諭など)は、感染リスクが比較的高くなると言えるでしょう。

一方で、過去に同じ型のウイルスに感染したことがある大人は、免疫によって発症しない(不顕性感染)か、ごく軽い症状で済むこともあります。そのため、全ての接触が大人の発症につながるわけではありません。感染確率については明確な統計データが少ないですが、子供からの感染が主な経路であることは確かです。

大人から大人への感染リスクは?

大人から大人への手足口病の感染リスクは、子供から大人への感染リスクに比べると一般的に低いと考えられています。

しかし、全くリスクがないわけではありません。手足口病は飛沫感染、接触感染、糞口感染といった経路で広がります。感染した大人が咳やくしゃみをした際の飛沫を吸い込んだり、発疹に触れたり、排泄物を処理した後に十分に手洗いをしないまま他の人と接触したりすることで、ウイルスが広がる可能性があります。

特に、感染した大人が医療従事者や介護職員など、免疫力の低い高齢者や病気の方と接する機会がある場合は、注意が必要です。これらの人々は手足口病の重症化リスクが高い場合があるため、大人から大人への感染にも気を配る必要があります。

一般的な日常生活を送る上での大人同士の感染は、子供がいる家庭内での感染に比べると少ないと考えられますが、流行期には注意が必要です。

手足口病の感染期間はいつまで?

手足口病の感染期間は、ウイルスの種類や個人の免疫状態によって異なりますが、一般的には発症前から回復後にかけて長期間にわたって感染力を持つ可能性があります。

潜伏期間は何日?いつからうつりやすい?

手足口病の潜伏期間は、ウイルスに感染してから症状が現れるまでの期間で、通常は3日から5日程度とされています。この潜伏期間中にも、感染者の体内ではウイルスが増殖しており、症状が現れる1~3日前頃からすでに感染力を持っていると考えられています。

つまり、見た目には元気な状態でも、ウイルスを排出して周囲の人にうつしてしまう可能性があるということです。特に、発疹が出る前や出始めたばかりの頃は、ウイルスの排出量が多く、最も感染力が強い時期とされています。

子供が手足口病と診断された場合、診断された時点ですでに数日前から感染力を持っていた可能性があるため、診断前から家族や周囲にウイルスが広がっている可能性も考慮する必要があります。

発症後の感染力はいつまで続く?(ウイルスの排出)

症状が最も強く現れる発症後数日間は、口の中の水疱や発疹の中にウイルスが多く存在するため、飛沫感染や接触感染のリスクが非常に高い期間です。

症状が回復した後も、ウイルスの排出は続きます。特に、便の中からは数週間から長い場合は1ヶ月以上にわたってウイルスが排出されることがあります。これは、手足口病の原因ウイルスが、消化管内で長く生存・増殖するためです。

便からのウイルス排出は、発症時の口からの排出に比べると感染力は低いとされていますが、乳幼児のおむつ交換時や、手洗いが不十分な場合に糞口感染を引き起こす可能性があります。

そのため、手足口病にかかった後も、しばらくの間は手洗いを徹底することが、感染拡大を防ぐ上で非常に重要となります。特に、排便後や食事の準備・摂取前には、石鹸と流水でしっかりと手を洗う習慣をつけましょう。

まとめると、手足口病の感染期間は以下のようになります。

期間 感染力 ウイルス排出源 備考
潜伏期間(3-5日) あり 口、便 症状が出る1-3日前から排出開始
発症後数日間 最も強い 口、発疹、便 発疹や水疱にウイルスが多い
回復後数週間~1ヶ月 低下するが続く 便 糞口感染に注意

大人が手足口病にかかった場合の症状

手足口病は大人がかかると、子供よりも症状が強く現れることが多いと言われています。「手足口病は大人がかかると大変」という話を耳にしたことがあるかもしれません。

子供の症状との違い

子供の手足口病は、一般的に軽症で済むことが多く、数日で回復します。主な症状は、口の中の水疱や発疹、手や足の発疹、軽度の発熱などです。機嫌が悪くなったり、食欲が落ちたりすることもありますが、全身状態が悪くなることは稀です。

一方、大人が手足口病にかかると、子供よりも発疹や口内炎の痛みが強く、全身症状も伴うことが多い傾向があります。具体的には、関節痛や筋肉痛、全身の倦怠感、発熱などが顕著に現れることがあります。

症状 子供の場合 大人の場合
発疹・水疱 手足を中心に、比較的軽度 手足、お尻、膝など広範囲に、強い痛みを伴う
口の中の水疱・潰瘍 痛みは比較的軽度、食欲不振 強い痛みを伴い、飲食が困難になることも
発熱 軽度またはなし 高熱を伴うことがある
全身症状 少ない 倦怠感、関節痛、筋肉痛、頭痛などが顕著
回復までの期間 数日~1週間 1週間~数週間かかることも

特徴的な発疹や痛みの症状

大人の手足口病で特に特徴的なのが、発疹に強い痛みを伴うことです。子供の発疹はかゆみを伴うことが多いですが、大人の場合は「触るだけで痛い」「歩くと足の裏の発疹が痛む」といった強い痛みを訴える方が多くいらっしゃいます。

発疹は手や足のひら、足の裏を中心に現れますが、膝、肘、お尻などに広がることもあります。赤みを帯びた小さなぶつぶつや水疱として現れ、数日でかさぶたになったり、皮がむけたりします。

また、口の中にも水疱や潰瘍(ただれ)ができます。これも大人の場合は痛みが強く、食事や水分を摂るのが困難になるほどの痛みを伴うことがあります。口内炎が複数できることも多く、話すことさえ辛く感じる場合もあります。

まれに、手足口病にかかった数週間後に、手足の指や爪が剥がれ落ちる「爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)」が見られることもあります。これは、爪の成長に関わる細胞がウイルス感染の影響を受けるために起こると考えられていますが、多くの場合、新しい爪が生えてくるため心配いりません。

発熱などの全身症状

大人の手足口病では、子供よりも高熱が出ることがあります。38℃以上の発熱が数日間続くことも珍しくありません。

さらに、全身の倦怠感、関節痛、筋肉痛、頭痛といったインフルエンザのような全身症状が強く現れることも、大人の手足口病の特徴です。これらの症状によって、日常生活や仕事に支障をきたす場合があります。

症状の程度は個人差が大きく、比較的軽症で済む方もいれば、上記の全身症状や発疹・口内炎の痛みが非常に強く、数週間回復に時間がかかる方もいます。

大人の手足口病が重症化しやすい理由

大人が手足口病にかかると子供より症状が重くなる傾向がありますが、子供に比べて重症化(髄膜炎や脳炎などの合併症を起こすこと)する確率は高いのでしょうか?

手足口病の合併症である髄膜炎や脳炎、心筋炎などは、原因となるウイルスの種類(特にエンテロウイルス71型)によって引き起こされやすいことが知られています。これらの重症合併症は、子供でも大人でも起こる可能性はありますが、全体としては稀なケースです。

大人の場合、普段健康であっても、疲労やストレスなどによって免疫力が低下している時に感染すると、ウイルスを排除する力が弱まり、症状が強く出やすいと考えられます。

また、糖尿病や免疫抑制剤を使用しているなど、何らかの基礎疾患を持っている大人の場合は、免疫機能が低下しているため、手足口病に限らず様々な感染症が重症化しやすいリスクがあります。

したがって、大人が手足口病にかかったからといって、必ずしも子供より重症合併症を起こす確率が高いわけではありませんが、症状自体は強く出やすく、また免疫が低下している場合は注意が必要であると言えます。

手足口病の主な感染経路と予防方法

手足口病は、主に以下の3つの経路で人から人へ感染が広がります。それぞれの感染経路を知り、適切な予防策を講じることが重要です。

飛沫感染、接触感染、糞口感染とは

  • 飛沫感染(ひまつかんせん): 感染者が咳やくしゃみをした際に飛び散る、ウイルスを含んだ小さな唾液のしぶき(飛沫)を、近くにいる人が吸い込むことによって起こる感染です。特に、発症初期の口の中にウイルスが多い時期に起こりやすいです。
  • 接触感染(せっしょくかんせん): 感染者の発疹や水疱の内容物、唾液、鼻水、便などに含まれるウイルスが、手などを介して他の人の目や口などの粘膜に触れることによって起こる感染です。感染者が触ったおもちゃやドアノブ、手すりなどを介して間接的に感染することもあります。
  • 糞口感染(ふんこうかんせん): 感染者の便に含まれるウイルスが、手などを介して口に入ることによって起こる感染です。特に、おむつ交換の後などに手洗いが不十分な場合に起こりやすく、症状が回復した後も便からウイルスが長期間排出されるため、注意が必要です。

手足口病の原因ウイルスは、アルコール消毒が効きにくいエンベロープを持たないタイプのウイルスです。そのため、アルコール消毒だけでは不十分な場合があります。

家庭や日常生活でできる予防策

手足口病の流行を防ぐためには、これらの感染経路を断つことが最も効果的です。家庭や日常生活でできる具体的な予防策は以下の通りです。

  • 手洗いの徹底: 石鹸を使い、流水で最低でも20秒以上かけてしっかりと手を洗いましょう。特に、
    • 食事前
    • トイレの後(特におむつ交換の後)
    • 咳やくしゃみを手で押さえた後
    • 外出から帰った時
    • 子供の鼻水や唾液、排泄物などに触れた後

    などには必ず手洗いを行います。指の間、爪の間、手首まで丁寧に洗うことが大切です。

  • うがい: 外出から帰った時や人ごみに行った後などは、うがいをすることも感染予防に役立ちます。
  • タオルの共用を避ける: 家族間でも、顔や手を拭くタオルは共用せず、一人ずつ別のタオルを使うようにしましょう。
  • 排泄物の適切な処理: 手足口病にかかった子供のおむつ交換をする際は、使い捨て手袋を使用し、使用済みおむつはビニール袋に入れてしっかりと縛って捨てましょう。その後は必ず石鹸と流水で丁寧に手洗いをします。
  • 環境消毒: ウイルスが付着している可能性があるドアノブ、手すり、おもちゃなど、多くの人が触れる場所は、定期的に消毒を行いましょう。手足口病のウイルスには、次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用塩素系漂白剤を薄めたものが有効とされています。(製品の表示を確認し、換気を十分に行いながら使用してください。)
  • 咳エチケット: 咳やくしゃみをする際は、ティッシュやハンカチで口と鼻を覆い、周囲の人から顔をそらすようにしましょう。使用したティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、手洗いをします。袖や肘の内側で覆うのも効果的です。
  • 体調管理: 規則正しい生活やバランスの取れた食事、十分な睡眠を心がけ、免疫力を維持することも感染予防につながります。

これらの予防策を日頃から実践することで、ご自身だけでなく、家族や周囲への感染拡大を防ぐことができます。

大人が手足口病にかかった際の対応

もし大人が手足口病にかかってしまった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。症状や状況に応じた適切な行動が大切です。

病院を受診する目安

大人の手足口病は症状が強く出やすいとはいえ、多くは安静にしていれば自然に回復します。しかし、以下のような場合には医療機関を受診することを検討しましょう。

  • 症状が非常に強い: 発疹や口内炎の痛みが激しく、水分や食事が全く摂れない場合。
  • 高熱が続く: 38.5℃以上の高熱が数日以上続く場合。
  • 全身状態が悪い: 強い倦怠感で全く動けない、ぐったりしている、水分が摂れないことによる脱水症状(尿量が少ない、口が渇くなど)が見られる場合。
  • いつもと様子が違う: 頭痛がひどい、吐き気や嘔吐がある、首の硬直があるなど、髄膜炎や脳炎などの合併症が疑われる症状が見られる場合(まれですが注意が必要です)。
  • 基礎疾患がある: 糖尿病や免疫不全など、基礎疾患がある方で症状が出た場合。

受診の際は、事前に医療機関に手足口病にかかった可能性があることを伝え、指示に従いましょう。

仕事への出勤は可能?療養期間の考え方

手足口病は学校保健安全法における「学校において予防すべき感染症」の第三種に指定されていますが、出席停止の期間については「医師において伝染のおそれがないと認めるまで」とされており、明確な基準はありません。これは、症状が回復しても便からのウイルスの排出が長く続くため、完全に感染力がなくなる時期を特定することが困難だからです。

大人の場合、法律で定められた出勤停止の基準はありません。しかし、周囲への感染を広げないため、そしてご自身の回復を優先するためにも、症状がある間は仕事を休むことが望ましいと考えられます。

  • 発熱や口内炎の痛みが強い時期: 症状が最も強く、ウイルス排出量も多い時期です。この期間は、無理せず自宅で療養しましょう。
  • 症状が回復した後: 熱が下がり、発疹や口内炎の痛みが軽快すれば、体調に合わせて出勤を検討できます。ただし、便からのウイルス排出は続いている可能性があるため、手洗いの徹底など、感染拡大防止策は続ける必要があります。

職場によっては、感染症に関する独自の規定がある場合もありますので、念のため確認しておくと良いでしょう。自身の体調を最優先しつつ、周囲への配慮も行うことが大切です。

感染拡大を防ぐための注意点

大人が手足口病にかかった場合、家庭内や職場などで他の人に感染を広げないための注意が必要です。

  • 手洗いの徹底: 回復後も、特にトイレの後や食事の前には、石鹸と流水で丁寧に手洗いを続けましょう。
  • タオルの共用禁止: 家庭内では、他の家族とタオルの共用を避けましょう。
  • 入浴: 発疹がある間は、湯船に浸かることで他の家族に感染を広げる可能性があります。シャワーで済ませるか、家族の中で最後に入浴するなどの配慮をしましょう。
  • 食器の共用: 感染している間は、食器やコップの共用を避けましょう。
  • お見舞いや訪問は控える: 特に乳幼児や高齢者、免疫力が低下している方への訪問は、症状が回復するまで控えましょう。
  • 職場で: もし出勤する場合でも、こまめな手洗い、手指消毒(アルコールが効きにくいウイルスもあるため、石鹸と流水での手洗いがより重要)、咳エチケットなどを徹底しましょう。

大人が手足口病にかかると、子供の世話や家事が難しくなったり、仕事に支障が出たりと大変なこともあります。無理せず、家族の協力を得ながら、ゆっくりと回復に専念することが大切です。

まとめ

手足口病は子供がかかりやすい病気ですが、大人にもうつる可能性はあります。特に、手足口病にかかった子供と密接に接触する機会が多い場合、大人が感染する確率は高まります。大人から大人への感染リスクは子供からに比べて低いですが、注意は必要です。

大人が手足口病にかかると、子供よりも発疹や口内炎の痛みが強く、高熱や全身倦怠感、関節痛などの全身症状を伴うことが多く、回復に時間がかかる傾向があります。重症化する確率は低いですが、免疫が低下している場合は注意が必要です。

手足口病の主な感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染です。これらの感染経路を断つためには、石鹸と流水による手洗いの徹底、うがい、タオルの共用を避ける、排泄物の適切な処理、環境消毒などが効果的な予防策となります。

もし大人が手足口病にかかってしまった場合は、症状が強い場合や全身状態が悪い場合は医療機関を受診しましょう。仕事への出勤は、症状が回復するまで控えることが望ましいです。回復後も、手洗いを続けるなど、周囲への感染拡大を防ぐための注意が必要です。

手足口病の流行期には、大人も子供も関係なく、日頃からの感染対策をしっかり行うことが大切です。正しい知識を持ち、適切な予防と対応を心がけましょう。

免責事項: 本記事は手足口病に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な助言や診断を行うものではありません。個々の症状や治療については、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。

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