痰の色で体のサインがわかる!要注意な色と原因を解説

咳をしたときに出る「痰(たん)」。普段はあまり意識しないかもしれませんが、その色がいつもと違うと「何か悪い病気では?」と不安になりますよね。実は、痰の色は体の中で何が起きているかを知るための重要なサインです。

この記事では、痰の色が示す体の状態や考えられる病気について、医師監修のもと詳しく解説します。透明、白、黄、緑、赤、黒など、色別の原因や危険なサイン、どのような場合に病院へ行くべきかの目安まで、あなたの疑問や不安にお答えします。

目次

正常な痰の色と役割

そもそも痰とは、気管や気管支から分泌される粘液です。その主な役割は、気道の粘膜を潤し、外部から侵入してきたウイルスや細菌、ホコリなどの異物を絡め取って、体の外に排出することです。

健康な状態であれば、痰は無色透明でサラサラしており、量も少なく、日常生活で意識することはほとんどありません。

しかし、体に何らかの異常が起きると、痰の量が増えたり、色や粘り気が変化したりします。

痰の色別の原因と可能性のある病気

痰の色は、その中に含まれる成分によって変化します。ここでは、色別に考えられる原因や病気について見ていきましょう。

透明・白っぽい痰の色

無色透明または白っぽい痰は、基本的には正常に近い状態です。ただし、量が多い場合や粘り気が強い場合は、何らかの異常を示している可能性があります。

風邪の初期や治りかけ

風邪のひき始めは、ウイルスを排出しようとしてサラサラした透明な痰が増えることがあります。また、治りかけに白っぽい痰が出ることもあります。

気管支炎や気管支ぜん息

気道の粘膜に炎症が起きることで、分泌物が増えて白く濁った痰が出ることがあります。特に気管支ぜん息の場合は、粘り気の強い痰が特徴です。

アレルギー性鼻炎や後鼻漏

アレルギー性鼻炎などによって作られた鼻水が、喉の方へ流れてくる「後鼻漏(こうびろう)」という状態で、痰のように感じられることがあります。

黄色っぽい痰の色

黄色い痰は、体内の免疫細胞である白血球が、ウイルスや細菌と戦った後の死骸などが混ざることで生じます。

細菌やウイルスによる感染症(風邪の進行期など)

風邪やインフルエンザなどが進行し、気道で炎症が強くなると黄色い痰が出やすくなります。これは体がしっかりと病原体と戦っている証拠でもあります。

炎症が活発な状態

急性気管支炎や肺炎など、細菌感染によって気道で強い炎症が起きているサインです。

緑色の痰の色

緑色の痰は、黄色い痰の状態がさらに長引いたり、特定の細菌に感染したりした場合に見られます。

細菌感染(肺炎や気管支炎など)

緑膿菌などの細菌に感染すると、緑色の痰が出ることがあります。肺炎や慢性気管支炎、気管支拡張症などの可能性が考えられます。

慢性呼吸器疾患の悪化

COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの持病がある方が、細菌感染を合併して症状が悪化している時に見られることがあります。

茶色・赤っぽい痰の色

痰に血液が混ざると、茶色や赤っぽい色になります。これは「血痰(けったん)」と呼ばれ、注意が必要なサインです。

出血(気管支拡張症、肺がんなど)

鮮やかな赤い色の痰は、気道からの出血を示唆します。肺がん、肺結核、気管支拡張症といった重篤な病気の可能性も考えられるため、少量でも必ず医療機関を受診してください。

古い出血や炎症

茶色やサビのような色の痰は、少し前に起きた出血が酸化した場合に見られます。

喫煙によるもの

長年の喫煙習慣により、タバコのタールが気道に沈着し、茶色っぽい痰が出ることがあります。

黒っぽい痰の色

黒い痰は、特定の環境要因や病気による可能性があります。

喫煙者や煤塵の吸入

ヘビースモーカーの方や、粉塵・排気ガスなどを多く吸い込む環境(工事現場、交通量の多い場所など)で生活している方に見られることがあります。また、稀に真菌(カビ)の感染症の可能性もあります。

その他(ピンク色など)

ピンク色の泡立った痰は、心不全による肺水腫という非常に危険な状態を示している可能性があります。この場合は、ただちに救急車を呼ぶ必要があります。

こんな痰の色や症状は要注意!医療機関受診の目安

痰の色だけで病気を断定することはできませんが、以下のような場合は早めに呼吸器内科などの医療機関を受診しましょう。

特定の痰の色(赤、茶、黒)の場合

鮮血が混ざった赤い痰や、茶色・黒い痰が出た場合は、重篤な病気が隠れている可能性があるため、できるだけ早く受診してください。

症状が長引く場合(咳が続く、熱なしでも)

痰の色にかかわらず、咳や痰が2週間以上続いている場合は、単なる風邪ではない可能性があります。特に熱がないからといって放置せず、一度医師に相談しましょう。

息苦しさや胸の痛みなど他の症状がある場合

痰に加えて、以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 息苦しさ、呼吸困難
  • 胸の痛み
  • 38度以上の高熱が続く
  • 急激な体重減少

コロナウイルス感染症の可能性

発熱や倦怠感、味覚・嗅覚障害などとともに痰の症状がある場合は、新型コロナウイルス感染症の可能性も考慮し、かかりつけ医や地域の相談窓口に連絡しましょう。

痰を出しやすくするための対処法

痰が絡んで不快な時は、以下の方法を試してみてください。

水分補給と加湿の重要性

こまめに水分(水やお茶など)を摂ることで、痰が柔らかくなり、排出しやすくなります。また、加湿器を使ったり、濡れタオルを干したりして、部屋の湿度を適切に保つことも効果的です。

正しいたんの吐き出し方

無理に「ゴホン、ゴホン」と強く咳き込むと、喉や気管を傷つけてしまうことがあります。まずはゆっくり深呼吸し、お腹に力を入れて「フッ」と短く息を吐き出すように咳をすると、体への負担が少なく痰を出すことができます。

禁煙の検討

喫煙は痰の最大の原因の一つです。痰の症状を根本的に改善するためには、禁煙が最も効果的な対策となります。

痰の色に関するよくある質問

風邪の治りかけの痰の色は何色?

風邪の経過とともに、透明→黄色→白っぽい痰へと変化し、快方に向かうのが一般的です。ただし、最後まで黄色っぽい痰が続くこともあります。痰の色だけでなく、量や咳、熱などの他の症状が改善しているかどうかが重要です。

たんは吐き出した方が良い?

痰には体にとって不要なウイルスや細菌が含まれているため、無理のない範囲で吐き出す方が良いとされています。ただし、飲み込んでしまっても、多くは胃酸で処理されるため大きな問題にはなりません。無理に咳をしてまで出す必要はありません。

黄色い痰が出たら病院に行くべき?

黄色い痰は風邪の過程でよく見られるため、それだけで慌てて病院に行く必要はありません。しかし、高熱を伴う、息苦しい、症状が1週間以上改善しない、といった場合は、細菌感染が強まっている可能性があるので受診を検討しましょう。

まとめ|痰の色に不安を感じたら医師へ相談

痰の色は、私たちの健康状態を映す鏡のようなものです。ほとんどは風邪などの一過性のものですが、中には危険な病気のサインが隠れていることもあります。

  • 正常な痰は無色透明
  • 黄色や緑色は感染症のサイン
  • 赤、茶、黒の痰は特に注意が必要
  • 長引く症状や他の症状がある場合は早めに受診を

この記事を参考に、ご自身の体の変化に気づくきっかけとしてください。そして、少しでも「おかしいな」と感じたり、不安が解消されなかったりした場合は、自己判断せずに、必ず呼吸器内科などの専門医に相談することが大切です。


免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療に代わるものではありません。具体的な症状については、必ず医療機関にご相談ください。

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