立ちくらみの原因は?病気のサインかも!症状と対処法を解説

立ちくらみは、急に立ち上がったり、長時間立ち続けたりした際に、目の前が真っ暗になったり、ふらついたりする不快な症状です。
多くの場合、一時的なものですが、頻繁に起こったり、他の症状を伴ったりする場合は、体のどこかに原因が隠れている可能性も考えられます。この記事では、立ちくらみが起こるメカニズムから、考えられる様々な原因(貧血、自律神経の乱れ、特定の病気など)、年代や性別による特徴、そしてご自身でできる対処法や予防策、医療機関を受診する目安について詳しく解説します。
ご自身の立ちくらみの原因を知り、適切な対応をとるための一歩としてお役立てください。

立ちくらみはなぜ起きる?一時的な血圧低下

立ちくらみは、重力に対して脳への血流を十分に保つための体の調節機能が一時的にうまくいかなくなることで起こります。私たちは、座ったり寝たりしている状態から立ち上がると、重力によって血液が下半身に集まりやすくなります。このとき、健康な体であれば、血管が収縮したり、心臓の拍動が速くなったり強くなったりすることで、血圧の低下を防ぎ、脳に必要な血液が送られ続けるように自動的に調節が行われます。

しかし、何らかの原因でこの調節機能がスムーズに働かないと、立ち上がった瞬間に一時的に血圧が大きく下がってしまいます。その結果、脳への血流が一時的に減少し、めまいやふらつき、目の前が暗くなる、気が遠くなるなどの立ちくらみの症状が現れるのです。これが立ちくらみの基本的なメカニズムです。

目次

立ちくらみの主な原因の種類

立ちくらみの原因は一つではなく、様々な要因が関わっている可能性があります。ここでは、代表的な原因について詳しく見ていきましょう。

起立性低血圧

立ちくらみの原因として最も一般的なものの一つが「起立性低血圧」です。これは、寝ている状態や座っている状態から立ち上がった際に、収縮期血圧(最大血圧)が20mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が10mmHg以上低下する状態を指します。血圧が低下することで脳への血流が一時的に不足し、立ちくらみやめまい、ふらつき、失神などの症状が現れます。

起立性低血圧にはいくつかの種類があります。

本態性起立性低血圧とは

本態性起立性低血圧は、特定の病気や薬剤などが原因ではなく、自律神経の機能異常によって引き起こされる起立性低血圧です。血圧を調節する自律神経の働きが悪くなることで、立ち上がった際に血管を収縮させたり心拍数を増やしたりする反応が鈍くなり、血圧が低下してしまいます。思春期の子どもや高齢者に見られることが多いですが、原因がはっきりしない場合も含まれます。

症候性起立性低血圧の原因(病気・薬剤性)

症候性起立性低血圧は、他の病気や、服用している薬の副作用として引き起こされる起立性低血圧です。

  • 病気: 糖尿病による神経障害、パーキンソン病や多系統萎縮症といった神経系の病気、アミロイドーシスなどの全身の病気、心不全や不整脈などの心臓の病気が原因となることがあります。これらの病気によって、自律神経の働きが悪くなったり、血液量や心臓の機能が低下したりすることが、起立性低血圧を招きます。
  • 薬剤性: 後述しますが、特定の薬剤の副作用として血圧が下がりやすくなり、起立性低血圧を起こすことがあります。

立ちくらみと聞いて、貧血を思い浮かべる方は多いでしょう。貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足し、全身の組織に十分な酸素を運べなくなる状態です。貧血自体が直接立ち上がったときの血圧調節を障害するわけではありませんが、全身の酸素供給能力が低下しているため、脳への血流が一時的に減少しただけでも症状が出やすくなります。

貧血

特に鉄分不足が原因となる貧血

貧血の中で最も多いのが、鉄分不足による鉄欠乏性貧血です。ヘモグロビンを作るには鉄分が必要不可欠であり、鉄分が不足すると十分なヘモグロビンを作れず、貧血になります。女性は月経による出血があるため、男性よりも鉄欠乏性貧血になりやすい傾向があります。立ちくらみの他に、全身の倦怠感、息切れ、顔色が悪いなどの症状が見られます。

立ちくらみは何か不足しているのでしょうか?

立ちくらみの原因が貧血の場合、「鉄分」が不足している可能性があります。しかし、立ちくらみの全ての原因が何かの「不足」によるものではありません。起立性低血圧のように、血圧を調節する体の機能(自律神経の働きなど)がうまく働かない「機能異常」である場合や、特定の病気による「障害」、薬剤の副作用による「影響」など、様々な背景が考えられます。立ちくらみが頻繁に起こる場合は、単に「何か不足しているのでは?」と自己判断せず、医師に相談して原因を特定することが大切です。

自律神経の乱れ

私たちの体の様々な機能を調節している自律神経(交感神経と副交感神経)は、血圧や心拍数の調整にも深く関わっています。自律神経のバランスが乱れると、立ち上がった際の血圧調節がうまくいかず、立ちくらみを引き起こすことがあります。

起立性調節障害との関連

自律神経の乱れが原因で起こる立ちくらみとして、特に思春期の子どもや若い女性に多いのが「起立性調節障害(OD)」です。起立性調節障害では、立ち上がったときに下半身にたまった血液を上半身に戻すための血管の収縮や心拍数の増加が不十分になり、脳への血流が低下します。立ちくらみの他に、めまい、全身の倦怠感、頭痛、腹痛、朝起きられないなどの様々な症状を伴うことが特徴です。

ストレスや生活習慣の影響

過度なストレス、睡眠不足、不規則な生活、疲労、脱水なども自律神経のバランスを乱す原因となります。このような状態が続くと、血圧調節機能が不安定になり、立ちくらみが起こりやすくなります。特に、忙しい現代社会では、ストレスや生活習慣の乱れが立ちくらみの原因となっているケースも少なくありません。

特定の病気が隠れている可能性

立ちくらみは、時に見過ごせない病気のサインであることがあります。特に、立ちくらみ以外に胸痛、息切れ、手足のしびれ、ろれつが回らない、意識を失うといった症状を伴う場合は注意が必要です。

心臓や血管の病気

心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っています。心臓の機能が低下したり、不整脈によって心拍のリズムが乱れたりすると、脳への血流が不安定になり、立ちくらみやめまいを引き起こすことがあります。具体的には、不整脈(徐脈、頻脈)、心不全、狭心症、大動脈弁狭窄症などが考えられます。

脳の病気

脳は体の様々な機能をコントロールしており、脳の血流障害や機能障害も立ちくらみの原因となることがあります。一過性脳虚血発作(TIA)や脳梗塞、脳出血、脳腫瘍などが立ちくらみやめまいの原因として考えられます。特に、急な立ちくらみに加えて、片方の手足の麻痺やしびれ、顔の歪み、言葉が出にくい、視野がおかしいといった症状が現れた場合は、緊急性が高いと考えられます。

内分泌系の病気

ホルモンのバランスを調節している内分泌系の病気も、立ちくらみの原因となることがあります。例えば、副腎機能低下症(アジソン病)では、血圧を調節するホルモンが不足し、低血圧や立ちくらみ、倦怠感、体重減少などが起こります。また、糖尿病による自律神経障害も起立性低血圧の原因となります。

神経系の病気

パーキンソン病や多系統萎縮症などの神経変性疾患では、自律神経の機能が徐々に障害されるため、起立性低血圧が起こりやすくなります。これらの病気では、立ちくらみの他に、手足の震え、体のこわばり、歩行障害などの特徴的な症状が見られます。

薬剤性(薬の副作用)

現在服用している薬の副作用として、立ちくらみが起こることも少なくありません。特定の薬剤は血圧を下げる作用があったり、自律神経に影響を与えたりするため、立ちくらみを引き起こす可能性があります。

立ちくらみを引き起こしやすい薬の種類

立ちくらみを副作用として起こしやすい代表的な薬剤には、以下のようなものがあります。

  • 降圧剤: 高血圧の治療薬で、血圧を下げる作用があります。特に立ち上がった際に血圧が下がりすぎる可能性があります。
  • 利尿剤: 体内の水分や塩分を排出し、血圧を下げる効果がありますが、脱水傾向になり立ちくらみを起こすことがあります。
  • 狭心症治療薬(硝酸薬など): 血管を拡張させる作用があり、血圧が下がりやすくなります。
  • 精神安定剤や睡眠薬: 自律神経や中枢神経に作用し、血圧調節に影響を与えることがあります。
  • 抗うつ剤: 種類によっては自律神経に影響を与えることがあります。
  • 前立腺肥大症治療薬: 血管を拡張させる作用を持つものがあり、立ちくらみを起こすことがあります。

複数の薬を服用している場合(多剤併用)は、副作用が出やすくなったり、薬の相互作用によって立ちくらみが起こりやすくなったりすることがあります。現在立ちくらみに悩んでいて、何か薬を服用している場合は、医師や薬剤師に相談してみましょう。

年代・性別・状況別の立ちくらみの原因

立ちくらみの原因は、その人の年代や性別、置かれている状況によっても異なってくることがあります。

女性の立ちくらみの原因

女性は男性に比べて立ちくらみを経験しやすいと言われています。その背景には、以下のような要因が考えられます。

月経や妊娠との関連

女性は月経によって定期的に血液を失うため、鉄欠乏性貧血になりやすい体質です。月経中は出血量が多いと、さらに貧血が悪化し、立ちくらみが起こりやすくなります。また、妊娠中は循環血液量が増加する一方で、ホルモンの影響で血管が拡張しやすくなったり、子宮が血管を圧迫したりすることから、立ちくらみを感じやすくなることがあります。特に妊娠初期やつわりがある時期は脱水にも注意が必要です。

貧血になりやすい体質

女性ホルモンの影響や、無理なダイエットなどによって、もともと貧血になりやすい方がいます。また、食事からの鉄分摂取が不足しがちな方も貧血による立ちくらみを起こしやすい傾向があります。

男性の立ちくらみの原因

男性の場合、女性に比べて貧血による立ちくらみは少ない傾向がありますが、年代によって原因の特徴が見られます。

年代別の特徴(50代、60代、70代)

男性も年齢を重ねるにつれて、立ちくらみの原因が多様化します。50代以降になると、高血圧や脂質異常症といった生活習慣病を抱える方が増え、これらの治療薬(降圧剤など)の副作用として立ちくらみが起こることがあります。60代、70代といった高齢者では、心臓病や脳卒中、神経系の病気など、より重篤な病気が立ちくらみの背景に隠れている可能性も考慮する必要があります。加齢に伴う身体機能の低下も立ちくらみを起こしやすくする要因となります。

高齢者の立ちくらみの原因

高齢者では、立ちくらみが転倒の原因となり、骨折などの大けがにつながるリスクが高まります。高齢者の立ちくらみには、加齢に伴う身体の変化や、複数の要因が複合的に関わっていることが多いです。

加齢に伴う身体の変化

  • 血管の弾力性の低下: 加齢により血管が硬くなり、血圧の変動に対する適応能力が低下します。
  • 自律神経機能の低下: 血圧や心拍数を調節する自律神経の働きが鈍くなります。
  • 心臓機能の低下: 心臓から送り出せる血液量が減少したり、不整脈が出やすくなったりします。
  • 脱水傾向: 喉の渇きを感じにくくなったり、トイレに行く回数を減らそうと水分摂取を控えたりすることで、脱水になりやすくなります。
  • 多剤併用: 複数の病気で多くの種類の薬を服用していることが多く、薬剤性の立ちくらみのリスクが高まります。

立ちくらみを起こしやすい人は?

高齢者以外でも、以下のような方は立ちくらみを起こしやすい傾向があります。

  • もともと血圧が低い人: 特に女性に多く見られますが、起立時の血圧低下が起こりやすいです。
  • 自律神経のバランスが乱れやすい人: ストレスが多い、睡眠不足、生活リズムが不規則な人。
  • 貧血傾向のある人: 特に鉄欠乏性貧血の女性や、消化管からの出血などがある人。
  • 脱水傾向にある人: 暑い環境にいる、下痢や嘔吐がある、水分摂取量が少ない人。
  • 特定の病気を抱えている人: 糖尿病、パーキンソン病、心臓病など。
  • 特定の薬を服用している人: 降圧剤、精神安定剤など。
  • 急な姿勢変化をする人: 特に長時間座ったり寝たりした後。

しゃがむ体勢からの立ちくらみ

日常的によく経験するのが、しゃがんだ状態から急に立ち上がった際に起こる立ちくらみです。これは、急激な姿勢の変化による影響が主な原因です。

急な姿勢変化による影響

しゃがんでいる状態では、下半身の血管が圧迫されています。この状態から急に立ち上がると、圧迫が解放されると同時に、重力によって血液が急速に下半身に流れ込みやすくなります。通常であれば、体の反射によって血管が速やかに収縮し、心拍数も増加して血圧の低下を防ぎますが、疲労や寝不足、脱水、貧血などが重なっている場合や、もともと血圧調節機能が弱い方の場合は、この調節が間に合わずに一時的な血圧低下が起こり、立ちくらみを感じてしまいます。これは生理的な反応の一つですが、頻繁に起こる場合は背景に何らかの要因がある可能性も考えられます。

立ちくらみが頻繁に起こる場合

単発的な立ちくらみであれば大きな心配がないことも多いですが、立ちくらみが繰り返し、あるいはしょっちゅう起こる場合は、体のどこかに異常があるサインかもしれません。

立ちくらみがしょっちゅうなる原因は何ですか?

立ちくらみが頻繁に起こる場合、考えられる原因は様々ですが、多くの場合、以下のような慢性的な状態が背景にあります。

  • 慢性の起立性低血圧: 自律神経機能の障害や、特定の病気(糖尿病性神経障害、パーキンソン病など)によるものが考えられます。
  • 慢性の貧血: 鉄分不足が続いている場合や、消化管からの少量ずつの出血など、貧血の原因が持続している場合。
  • 慢性の自律神経の乱れ: 長期にわたるストレス、不規則な生活、睡眠障害などが自律神経のバランスを崩し続けている場合(起立性調節障害なども含む)。
  • 潜在的な病気: 心臓病、脳血管障害、内分泌系の病気、神経系の病気など、治療が必要な病気が隠れている可能性。
  • 長期的な薬剤の影響: 服用している薬が継続的に立ちくらみを引き起こしている場合。

立ちくらみがしょっちゅう起こる場合は、自己判断で済ませずに、一度医療機関を受診して原因を調べてもらうことが重要です。

慢性的な立ちくらみの背景にあるもの

慢性的な立ちくらみは、単に不快な症状であるだけでなく、生活の質を著しく低下させたり、転倒のリスクを高めたりします。特に高齢者では、転倒がきっかけで寝たきりになることもあります。また、繰り返し立ちくらみが起こることで、外出や活動を控えるようになり、社会的な孤立や抑うつにつながる可能性も指摘されています。

慢性的な立ちくらみがある場合は、「いつものことだから」と軽視せず、その背景にある原因を特定し、適切に対処することが健康寿命を延ばす上でも大切です。

立ちくらみへの対処法と予防策

立ちくらみを経験した場合の応急処置と、日頃からできる予防策を知っておくことは非常に有効です。

立ちくらみが起きた際の応急処置

立ちくらみを感じたら、すぐに以下の行動をとることが大切です。

  1. 座るか横になる: その場にしゃがみ込むか、可能であればすぐに横になりましょう。頭を心臓より低い位置にすることで、脳への血流を速やかに回復させることができます。
  2. 衣服をゆるめる: 首元やウエストがきつい場合は、ボタンを外したりベルトをゆるめたりして体を楽にしましょう。
  3. 安静にする: 症状が落ち着くまでしばらく安静にします。無理に立ち上がると再び立ちくらみを起こす可能性があります。
  4. 水分補給: 可能であれば、ゆっくりと水分を補給しましょう。特に脱水が疑われる場合は有効です。

日常生活でできる予防策(生活習慣の改善)

立ちくらみの原因となるリスクを減らすために、日常生活で意識したい予防策がいくつかあります。

水分・塩分補給と食事

脱水は立ちくらみを起こしやすくする大きな要因です。特に夏場や運動後、入浴前後などは意識してこまめに水分を補給しましょう。水やお茶が基本ですが、スポーツドリンクなども有効です。
また、起立性低血圧の一部では、適度な塩分摂取が血圧維持に役立つ場合があります。(ただし、高血圧など塩分制限が必要な病気がある場合は、医師に相談の上で行ってください)。
バランスの取れた食事を心がけ、特に貧血が原因の場合は鉄分を多く含む食品(赤身の肉、魚、ほうれん草、大豆製品など)を積極的に摂りましょう。鉄分の吸収を助けるビタミンCも一緒に摂るのがおすすめです。

適切な睡眠と休養

睡眠不足や過労は自律神経のバランスを乱し、立ちくらみを起こしやすくします。十分な睡眠時間を確保し、疲労を感じたら無理せず休息をとることが大切です。規則正しい生活リズムを保つことも自律神経を整える上で重要です。

急激な動作を避ける工夫

寝ている状態や座っている状態から急に立ち上がると、血圧調節が追いつかずに立ちくらみを起こしやすくなります。特に朝起きた時や、長時間同じ姿勢でいた後は、ゆっくりと時間をかけて起き上がるようにしましょう。例えば、ベッドから起きる際は、まず手足の曲げ伸ばしをしてから、ゆっくりと体を起こし、しばらく座ってから立ち上がる、といった工夫が有効です。

立ちくらみを起こしやすくする要因の回避

  • 飲酒: アルコールは血管を拡張させ、血圧を下げる作用があるため、立ちくらみを起こしやすくします。特に空腹時の飲酒や多量飲酒は避けましょう。
  • 長時間の立ち仕事: 長時間同じ姿勢で立ち続けると、下半身に血液が滞りやすくなり、立ちくらみを起こすことがあります。適度に休憩をとったり、足踏みをしたり、座ったりする時間を設けましょう。
  • 熱いお風呂: 熱いお湯に長時間浸かると血管が拡張し、血圧が下がりやすくなります。お風呂から上がる際に立ちくらみを起こしやすいので注意が必要です。ぬるめのお湯に短時間浸かるようにしたり、浴槽からゆっくり立ち上がったりする工夫が有効です。

弾性ストッキングの活用

慢性的な起立性低血圧で、立ち上がった際に下半身に血液がたまりやすいタイプの方には、弾性ストッキング(着圧ソックス)が有効な場合があります。ストッキングの圧力で下半身の血管が締め付けられ、血液が下半身に滞留するのを防ぎ、脳への血流を保つのを助けます。使用を検討する場合は、医師に相談しましょう。

立ちくらみはどうやって治すの?

立ちくらみを「治す」ためには、まずその根本的な原因を特定することが重要です。原因に応じた治療法や対策が必要になります。

原因 考えられる治療法・対策
起立性低血圧(本態性) 生活習慣の改善(水分・塩分補給、ゆっくり立つ)、薬物療法(血管収縮剤など)、弾性ストッキング
起立性低血圧(症候性) 原因となっている病気の治療、原因薬剤の調整・変更
貧血 鉄剤の内服・注射、貧血の原因となっている病気の治療
自律神経の乱れ 生活習慣の改善、ストレスマネジメント、運動療法、薬物療法、カウンセリング(起立性調節障害含む)
心臓・血管の病気 原因となっている心臓病や血管の病気の治療(薬物療法、カテーテル治療、手術など)
脳の病気 原因となっている脳の病気の治療
内分泌系の病気 原因となっている内分泌系の病気の治療(ホルモン補充療法など)
神経系の病気 原因となっている神経系の病気の治療
薬剤性 服用している薬の減量、中止、他の薬への変更(必ず医師と相談の上で行う)

このように、立ちくらみの治療法は原因によって全く異なります。自己判断で対処しようとせず、医療機関で正確な診断を受けて、適切な治療や対策を行うことが、「治す」ことにつながります。

医療機関を受診する目安

立ちくらみの多くは一時的なものですが、中には医療機関での診察が必要なケースや、緊急性の高いケースもあります。

危険な立ちくらみのサイン

以下のような立ちくらみを経験した場合は、速やかに医療機関を受診することが強く推奨されます。これらの症状は、立ちくらみの背景に重篤な病気が隠れている可能性を示唆しています。

  • 頻繁に立ちくらみが起こる: 日常生活に支障をきたすほど頻繁に起こる場合。
  • 症状が強い・長引く: 立ちくらみで転倒しそうになる、実際に転倒した、症状がなかなか回復しない場合。
  • 意識を失ったことがある: 立ちくらみの症状が進んで失神した場合。
  • 立ちくらみ以外の症状を伴う:
    • 胸痛、息切れ、動悸
    • 強い頭痛、めまい
    • 手足のしびれや麻痺
    • 顔の歪み
    • ろれつが回らない、言葉が出にくい
    • 視野がおかしい(物が二重に見える、視野が狭くなるなど)
    • 体の片側だけ発汗がおかしい
    • 発熱
    • 急激な体重減少

これらのサインが見られる場合は、脳血管疾患や心臓病、神経系の病気など、早急な診断と治療が必要な病気が原因である可能性が高いため、迷わず医療機関を受診してください。

立ちくらみで悩んだら何科を受診すべき?

立ちくらみの原因は多岐にわたるため、どの科を受診すべきか悩むかもしれません。初めに受診する科としては、かかりつけ医がいる場合はまずかかりつけ医に相談するのが良いでしょう。問診や簡単な検査で原因の見当をつけ、必要に応じて専門医を紹介してもらうことができます。

原因が特定できない場合や、症状から特定の原因が疑われる場合は、以下の専門科が考えられます。

  • 内科: 立ちくらみの一般的な原因(貧血、起立性低血圧、自律神経の乱れ、薬剤性など)を広く診療します。多くの場合はまず内科を受診すると良いでしょう。
  • 循環器内科: 心臓や血管の病気が疑われる場合(胸痛、息切れ、動悸などを伴う場合)。
  • 脳神経内科: 脳や神経系の病気が疑われる場合(手足のしびれ・麻痺、ろれつが回らないなどを伴う場合や、パーキンソン病などの神経疾患が疑われる場合)。
  • 心療内科・精神科: ストレスや精神的な要因、自律神経の乱れ(起立性調節障害を含む)が強く疑われる場合。
  • 耳鼻咽喉科: めまいと同時に立ちくらみがある場合、耳の病気(メニエール病など)が原因である可能性も考慮されます。

まずはかかりつけ医に相談するか、症状に合わせて適切な専門科を選びましょう。

まとめ

立ちくらみは、立ち上がった際に一時的に脳への血流が不足することで起こる症状です。その原因は、起立性低血圧、貧血、自律神経の乱れ、特定の病気(心臓病、脳の病気、内分泌系・神経系の病気など)、薬剤の副作用など、非常に多岐にわたります。年代や性別、生活習慣によっても起こりやすさや原因が異なります。

多くの立ちくらみは、生理的な反応や一時的な体調不良によるものですが、頻繁に起こる場合や、胸痛、手足のしびれ、意識消失などの危険なサインを伴う場合は、背後に治療が必要な病気が隠れている可能性もあります。

立ちくらみが起きた際は、座るか横になるなどして安静にすることが応急処置として有効です。日頃から、十分な水分・塩分補給、バランスの取れた食事、適切な睡眠と休養を心がけ、急な動作を避ける、立ちくらみを起こしやすい状況(飲酒、長時間の立ち仕事、熱いお風呂など)を避けるといった予防策を実践することも重要です。

立ちくらみの原因を正しく理解し、ご自身の症状や状況に合わせて適切な対処を行うことが大切です。特に、頻繁に起こる場合や危険なサインを伴う場合は、自己判断で済ませずに、内科などをはじめとする医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。


免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。
立ちくらみの症状がある場合は、必ず医療機関を受診し、専門家にご相談ください。

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