「体がだるい」原因は?考えられる病気と自分でできる対処法

体がだるいと感じることは、多くの人が経験する不快な症状の一つです。単なる疲れが原因の場合もあれば、体や心の不調、さらには何らかの病気のサインである可能性も考えられます。「体がだるい」という感覚は人によって異なり、「体が重い」「力が入らない」「とにかく横になりたい」といった様々な表現で語られます。

なぜ体がだるくなるのでしょうか?その原因は多岐にわたります。このだるさを解消するためには、まずその根本的な原因を理解することが重要です。この記事では、体がだるいと感じる主な原因から、ご自身でできる解消法、そして医療機関を受診すべきケースや考えられる病気について詳しく解説します。つらいだるさを克服し、快適な毎日を取り戻すためのヒントを見つけていきましょう。

目次

体がだるいと感じる主な原因

体がだるいと感じる原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っていることがあります。主に、身体的な疲労や生活習慣の乱れ、精神的なストレスや心の状態、あるいは特定の病気などが考えられます。ここでは、体がだるくなる主な原因について掘り下げて見ていきます。

身体的な疲れ・生活習慣の乱れ

最も一般的なだるさの原因は、やはり身体的な疲労です。しかし、単に体を動かしすぎたことだけが原因ではありません。日々の生活習慣の乱れも、疲労を蓄積させ、だるさを引き起こす大きな要因となります。

睡眠不足や過労

現代社会では、仕事や学業、プライベートの多忙さから、十分な睡眠時間が取れない人が増えています。睡眠は、体と脳を休息させ、疲労を回復させるための最も重要な時間です。睡眠時間が足りないと、体は十分に回復できず、疲労が蓄積し、だるさとなって現れます。また、睡眠の質が低い場合も同様です。眠りの途中で何度も目が覚める、寝つきが悪い、眠りが浅いといった問題があると、たとえ時間を確保しても疲れが取れにくくなります。

過労も、睡眠不足と並んでだるさの主要な原因です。肉体的な過労はもちろんのこと、精神的な過労も体を疲弊させます。長時間労働、休憩時間の不足、休日が取れないといった状況は、心身に大きな負担をかけ、持続的なだるさを引き起こす可能性があります。適切な休息が取れないと、疲労は雪だるま式に増えていきます。

栄養バランスの偏り

私たちの体は、食事から様々な栄養素を摂取することでエネルギーを生み出し、活動しています。栄養バランスが偏ると、体が必要とする栄養素が不足したり、逆に特定の栄養素を過剰に摂取したりすることになり、体の機能がうまく働かなくなります。特に、エネルギー生成に関わるビタミンB群やミネラル(鉄、マグネシウムなど)、あるいはタンパク質などが不足すると、疲れやすさやだるさを感じやすくなります。

また、糖質の摂りすぎも血糖値の急激な変動を引き起こし、食後に強い眠気やだるさを感じることがあります。反対に、極端な食事制限による栄養不足も、エネルギー不足からだるさを招きます。加工食品に偏った食事や、欠食なども栄養バランスを崩しやすいため注意が必要です。

精神的な疲れ・ストレス

体のだるさは、精神的な要因とも深く関連しています。心の疲れやストレスは、目に見えにくいため軽視されがちですが、体に大きな影響を与え、だるさを引き起こすことがあります。

ストレスによる自律神経の乱れ

長期にわたるストレスは、自律神経のバランスを乱します。自律神経は、心拍、血圧、体温調節、消化、免疫機能など、体の無意識の機能をコントロールしています。ストレスがかかると、体を活動状態にする交感神経が優位になります。適度なストレスであれば問題ありませんが、強いストレスが続くと交感神経が常に優位な状態となり、体がリラックスできなくなります。これにより、全身の血行が悪くなったり、筋肉が緊張したりして、だるさや疲労感を感じやすくなります。

また、自律神経の乱れは睡眠の質を低下させたり、消化器系の不調を引き起こしたりすることもあり、これらが複合的にだるさを悪化させることがあります。ストレスは、精神的なもの(人間関係の悩み、仕事のプレッシャーなど)だけでなく、物理的なもの(騒音、不快な温度)、化学的なもの(アルコール、カフェイン)、身体的なもの(睡眠不足、過労、病気)など、様々な要因で発生します。

やる気が出ない、メンタル不調との関連

体がだるいという症状は、単なる疲労ではなく、心の状態が影響していることもあります。特に、「やる気が出ない」「何もする気が起きない」といった精神的な落ち込みを伴う場合、うつ病や適応障害などのメンタルヘルス不調が背景にある可能性も考えられます。

これらの状態では、脳の機能が変化し、体のエネルギーレベルやモチベーションが低下することがあります。体が鉛のように重く感じたり、些細なことでも疲れてしまったりと、強いだるさを感じることがあります。単に休めば回復する疲労とは異なり、休息しても改善が見られないのが特徴です。また、不安障害やパニック障害なども、体の緊張や過覚醒により疲労感を増幅させ、だるさにつながることがあります。

女性に特有のだるさ

女性はホルモンバランスの変化が大きく影響するため、特有のだるさを感じることがあります。

ホルモンバランスの変化(生理、更年期)

女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの分泌量は、月経周期やライフステージによって大きく変動します。このホルモンバランスの変化が、体のだるさを引き起こすことがあります。

  • 月経(生理): 生理前(PMS: 月経前症候群)や生理期間中は、ホルモンバランスの変動により、だるさ、眠気、疲労感、頭痛、気分の落ち込みといった様々な不調を感じやすくなります。特に生理前は、プロゲステロンの分泌が増加することで、眠気を誘発したり、体に水分を溜め込みやすくしたりするため、だるさや体の重さを感じやすい時期です。
  • 妊娠: 妊娠初期は、急激なホルモンバランスの変化やつわり、体の変化に対応するために、強いだるさや疲労感を感じることがよくあります。
  • 産後: 出産と育児による肉体的・精神的な疲労、睡眠不足、ホルモンバランスの急激な変化などが重なり、強いだるさを感じやすい時期です。
  • 更年期: 閉経前後の数年間である更年期は、エストロゲンの分泌が大きく減少します。これにより、ホットフラッシュ(ほてり)、発汗、不眠、イライラといった症状に加え、強い疲労感やだるさを感じることが多くの女性に見られます。自律神経の乱れも伴いやすいため、だるさが強く出やすい時期と言えます。

熱はないのに体がだるい場合の原因

「熱はないのに体がだるい」という場合、風邪などの一般的な感染症とは異なる原因が考えられます。このようなケースでは、以下のような原因が疑われます。

  • 感染症の回復期: 風邪やインフルエンザ、胃腸炎などの感染症にかかった後、熱は下がってもだるさが続くことがあります。これは、体が病原体と戦った後の回復過程でエネルギーを消耗しているためです。
  • 隠れた感染症: 微熱や熱感があっても気づきにくい場合や、発熱しないタイプの感染症にかかっている可能性もゼロではありません。
  • 内分泌系の病気: 甲状腺機能低下症など、ホルモンバランスの異常は発熱を伴わずに強いだるさを引き起こす代表的な病気です。副腎疲労なども関連が指摘されることがあります。
  • 自己免疫疾患: 関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患は、発熱を伴うこともありますが、病状によっては発熱がないまま全身のだるさが続くことがあります。
  • 精神的な要因: うつ病や適応障害、不安障害などによるだるさは、熱を伴わないことがほとんどです。
  • 貧血: 鉄欠乏性貧血などは、体に十分な酸素が運ばれなくなるため、発熱がなくても常にだるさや息切れを感じやすくなります。
  • 睡眠時無呼吸症候群: 夜間の睡眠中に呼吸が何度も止まる病気で、脳や体に十分な酸素が供給されず、深い眠りが妨げられるため、日中に強い眠気やだるさを感じます。発熱はありません。
  • 薬の副作用: 一部の薬は副作用としてだるさを引き起こすことがあります。

体が重いと感じる原因

「体が重い」という感覚は、だるさと似ていますが、特に筋肉や関節に力が入らない、鉛のように感じるといったニュアンスで表現されることが多いです。これには、以下のような原因が考えられます。

  • 筋肉疲労: 激しい運動や長時間同じ姿勢を続けた後の筋肉疲労は、体が重く感じることにつながります。
  • むくみ: 体に余分な水分が溜まると、体が全体的にむくみ、重く感じることがあります。塩分の摂りすぎや血行不良、特定の病気(腎臓病、心臓病など)が原因となることもあります。
  • 血行不良: 冷えや運動不足、長時間同じ姿勢でいることなどによる血行不良は、筋肉に十分な酸素や栄養が行き渡らず、老廃物が滞留しやすくなるため、体が重く感じたり、手足が冷えたりすることがあります。
  • 精神的な落ち込み: うつ病などの精神的な不調の場合、「体が重い」「手足が鉛のようだ」といった表現でだるさを訴えることがあります。これは、単なる肉体疲労とは異なる、気分の落ち込みに伴う特有の感覚です。
  • 特定の病気: 甲状腺機能低下症では、むくみとともに全身の倦怠感や体の重さを感じることがあります。筋力の低下を伴う神経や筋肉の病気も、体が重く感じることにつながります。

体がだるい時の解消法・対策

体がだるいと感じる原因が一時的な疲労や生活習慣の乱れにある場合、ご自身でできる対策を試みることで改善が期待できます。ここでは、だるさを解消するための具体的な方法を紹介します。

生活習慣の見直し

日々の生活習慣を整えることは、だるさの根本的な改善につながります。

十分な睡眠と休息

睡眠不足が原因の場合は、まず睡眠時間を確保することが最優先です。成人に推奨される睡眠時間は7〜8時間程度と言われていますが、個人差がありますので、日中に眠気を感じず、活動的に過ごせるだけの時間を目安にしましょう。また、時間だけでなく睡眠の質も重要です。

  • 規則正しい生活: 毎日同じ時間に寝て起きるように心がけ、体内時計を整えましょう。
  • 寝る前の工夫: 寝る前にカフェインやアルコールを避け、スマートフォンやパソコンの使用を控えるなど、リラックスできる環境を整えましょう。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かるのも効果的です。
  • 寝室環境: 寝室は暗く、静かで、快適な温度に保ちましょう。

仕事の合間や週末などに、意識的に休息を取る時間を作ることも大切です。短い休憩でも、心身をリフレッシュさせることができます。

バランスの取れた食事と水分補給

体が必要とする栄養素をバランス良く摂取することは、エネルギーレベルを維持し、だるさを軽減するために不可欠です。

  • 主食・主菜・副菜を揃える: 炭水化物(脳や体のエネルギー源)、タンパク質(筋肉や臓器の材料)、脂質(エネルギー源、ホルモンの材料)をバランス良く摂りましょう。
  • ビタミン・ミネラルを意識: エネルギー代謝に関わるビタミンB群、酸素運搬に必要な鉄分、体の様々な機能に関わるマグネシウムや亜鉛など、不足しがちな栄養素を積極的に摂りましょう。野菜、果物、海藻、きのこ類などを毎食に取り入れるのがおすすめです。
  • 水分補給: 体が脱水状態になると、血行が悪くなり、疲労感やだるさを感じやすくなります。喉が渇く前にこまめに水分を補給しましょう。特に夏場や乾燥する時期、運動後などは意識的に水分を摂ることが重要です。カフェインや糖分の多い飲み物よりも、水やお茶を選びましょう。

適度な運動を取り入れる

体がだるい時に運動なんて…と思うかもしれませんが、実は適度な運動はだるさの解消に効果的です。体を動かすことで血行が促進され、全身に酸素や栄養が行き渡りやすくなります。また、運動は気分転換になり、ストレス解消にもつながります。

  • 軽い運動から: 最初はウォーキングやストレッチ、軽いジョギングなど、無理のない範囲の運動から始めましょう。1日15分程度でも効果が期待できます。
  • 継続が大切: 短時間でも良いので、毎日続けることが重要です。体を動かす習慣をつけることで、エネルギーレベルが向上し、だるさを感じにくい体づくりにつながります。
  • 朝日を浴びながら: 朝のウォーキングは、体内時計をリセットし、睡眠の質を高める効果も期待できます。

ストレスの管理と軽減

精神的なストレスがだるさの原因となっている場合は、ストレスを適切に管理し、軽減することが必要です。

  • ストレスの原因特定: まずは、何がストレスになっているのかを具体的に書き出してみるなどして、原因を特定してみましょう。
  • リラクゼーション: ストレスを解消するための自分なりのリラクゼーション法を見つけましょう。深呼吸、瞑想、ヨガ、アロマテラピー、音楽鑑賞、読書、趣味の時間など、心が落ち着く時間を作るように心がけます。
  • 休息と気分転換: 頑張りすぎず、意識的に休息を取る時間を作りましょう。休暇を取って旅行に行ったり、普段とは違う場所で過ごしたりするのも良い気分転換になります。
  • 誰かに話す: 悩みやストレスを一人で抱え込まず、信頼できる家族や友人、同僚などに話を聞いてもらうだけでも心が軽くなることがあります。

栄養補給(不足しがちな栄養素)

だるさを感じやすい人が不足しがちな特定の栄養素があります。これらの栄養素を意識して補給することで、だるさの改善が期待できます。

栄養素 体内での主な働き 不足時の症状例 多く含まれる食品例
ビタミンB群 エネルギー代謝、神経機能の維持 疲労、だるさ、口内炎、皮膚炎 豚肉、レバー、魚類、大豆製品、玄米、緑黄色野菜
鉄分 酸素運搬(ヘモグロビン構成要素) 貧血、だるさ、息切れ、立ちくらみ、顔色不良 レバー、赤身肉、マグロ、カツオ、ほうれん草、大豆、プルーン
マグネシウム エネルギー産生、筋肉・神経機能、精神安定 疲労、だるさ、筋肉のけいれん、イライラ 種実類(アーモンドなど)、大豆製品、海藻類、玄米
タンパク質 筋肉、臓器、ホルモン、酵素などの構成要素 筋力低下、疲れやすさ、だるさ、免疫力低下 肉、魚、卵、乳製品、大豆製品
ビタミンC 抗酸化作用、コラーゲン生成、鉄分の吸収促進 疲労、だるさ、皮膚や血管の弱さ 果物類(柑橘類、イチゴなど)、野菜類(ピーマンなど)
亜鉛 免疫機能、細胞分裂、味覚、エネルギー代謝 疲労、だるさ、免疫力低下、味覚障害 牡蠣、牛肉、豚肉、レバー、ナッツ類

これらの栄養素を食事から十分に摂ることを基本としつつ、難しければサプリメントでの補給も検討できます。

市販薬やサプリメントの活用

一時的なだるさや栄養不足が疑われる場合、市販のビタミン剤、栄養ドリンク、漢方薬などを活用することも選択肢の一つです。

  • ビタミン剤: 特にビタミンB群を含む製剤は、エネルギー代謝を助け、だるさの軽減に役立つとされています。
  • 栄養ドリンク: 疲労回復を目的とした様々な成分(ビタミン、アミノ酸、生薬エキスなど)が含まれています。一時的に活力を得たい場合に利用できます。ただし、糖分が多いものもあるため注意が必要です。
  • 漢方薬: だるさの原因が「気」や「血」の不足、体の冷えなど、東洋医学的な考え方に基づく不調にある場合、補中益気湯や十全大補湯、当帰芍薬散などの漢方薬が効果的なことがあります。

市販薬やサプリメントを使用する際は、製品の説明書をよく読み、用法・用量を守ることが大切です。また、他の薬を服用している場合や持病がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談してから使用しましょう。自己判断での長期的な使用は避け、症状が続く場合は医療機関を受診することが重要です。

体がだるいのは病気?病院を受診すべきケース

生活習慣の見直しや休息、栄養補給などを試してもだるさが改善しない場合や、だるさ以外に気になる症状がある場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。このような場合は、早めに医療機関を受診して原因を調べることが大切です。

危険なだるさ・注意すべき症状

単なる疲れとは異なる、病気が原因である可能性が高い「危険なだるさ」や、医療機関をすぐに受診すべき「注意すべき症状」には以下のようなものがあります。

症状 考えられる危険性
強いだるさが数週間~数ヶ月以上続く 慢性的な疾患(慢性疲労症候群、甲状腺疾患など)
発熱(微熱でも)や咳、喉の痛みなどを伴う 感染症(肺炎、インフルエンザ以外の感染症など)
体重の急激な減少や増加 内分泌疾患、悪性腫瘍、消化器疾患など
首や脇の下、足の付け根などのリンパ節の腫れ 感染症、悪性腫瘍(リンパ腫など)、自己免疫疾患など
息切れや動悸を伴う 心臓病、肺の病気、貧血など
胸の痛みや圧迫感 心臓病(狭心症、心筋梗塞など)
頭痛やめまい、立ちくらみ、ふらつきを伴う 自律神経失調症、脳の血管障害、貧血、低血圧など
手足のしびれや麻痺感 脳の血管障害、神経疾患など
関節の痛みや腫れ 関節リウマチなどの自己免疫疾患
腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などを伴う 消化器疾患、感染性胃腸炎など
血尿や血便、不正出血などの出血症状 泌尿器疾患、消化器疾患、悪性腫瘍など
体に力が入らない、筋力の低下 神経疾患、筋疾患、電解質異常など
意識障害や言動がおかしい 脳疾患、重度の感染症、薬物中毒など

これらの症状が見られる場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診してください。特に、今まで経験したことのないような強いだるさが突然現れた場合や、日常生活に著しい支障が出ている場合は、緊急性の高い病気の可能性も否定できません。

だるさから考えられる病気

だるさは非常に多くの病気で現れる非特異的な症状です。しかし、他の症状と組み合わせることで、ある程度病気を絞り込むことができます。だるさを主な症状として考えられる代表的な病気は以下の通りです。

感染症によるだるさ

風邪やインフルエンザ、肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症、胃腸炎、尿路感染症など、様々な感染症は発熱や痛みとともに全身のだるさを引き起こします。感染症にかかると、体が病原体と戦うためにエネルギーを消耗し、免疫系の働きも活性化するため、だるさを感じやすくなります。回復期にもしばらくだるさが続くことがあります。

自律神経失調症

自律神経のバランスが崩れることで、全身に様々な不調が現れる状態です。明確な病変が見つからないのに、だるさ、めまい、頭痛、不眠、動悸、息苦しさ、胃腸の不調、手足の冷えやしびれなど、多岐にわたる症状が現れます。ストレスや生活リズムの乱れなどが原因となることが多いですが、原因が特定できない場合もあります。

貧血

血液中の赤血球やヘモグロビンが減少し、全身に酸素を運ぶ能力が低下する状態です。最も一般的なのは鉄欠乏性貧血で、女性に多く見られます。貧血になると、体が酸素不足になるため、少し動いただけでも息切れしたり、強いだるさや疲労感を感じたりします。顔色が悪い、立ちくらみ、爪が反る、異食症などの症状を伴うこともあります。

甲状腺の病気

甲状腺は、体の代謝を調節するホルモンを分泌する臓器です。甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの分泌が少なくなり、体の代謝が低下するため、強いだるさ、むくみ、寒がり、体重増加、便秘、声のかすれなどの症状が現れます。一方、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)では、甲状腺ホルモンが過剰になり、代謝が異常に亢進するため、疲れやすさ、だるさ、体重減少、動悸、手の震え、眼球突出などの症状が現れます。

慢性疲労症候群

十分な休息をとっても改善しない、強い疲労感(だるさ)が6ヶ月以上続く病気です。日常生活に著しい支障をきたし、倦怠感の他にも微熱、リンパ節の腫れ、筋肉痛や関節痛、思考力の低下、睡眠障害、労作後倦怠感(少し体を動かすだけでひどく疲れて回復に時間がかかる)などの症状を伴います。原因はまだ完全には解明されていませんが、ウイルス感染や免疫異常、ストレスなどが関与していると考えられています。診断には専門的な検査や慎重な経過観察が必要です。

その他の可能性のある病気

だるさは、上記以外にも様々な病気の症状として現れます。以下はその一部です。

  • 糖尿病: 血糖値のコントロールがうまくいかないと、体がエネルギーをうまく利用できず、だるさや疲労感、喉の渇き、頻尿などの症状が出ることがあります。
  • 腎臓病: 腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物が排出されにくくなり、だるさ、むくみ、貧血などが現れることがあります。
  • 肝臓病: 肝臓は体内の解毒や代謝を担う重要な臓器です。肝臓の機能が低下すると、だるさ、疲労感、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などが現れることがあります。
  • 心臓病: 心臓の機能が低下すると、全身に十分な血液が送られず、だるさ、息切れ、動悸、むくみなどが現れることがあります。
  • がん: 悪性腫瘍ができると、栄養が消費されたり、炎症物質が放出されたりすることで、だるさや体重減少、食欲不振などが現れることがあります。
  • リウマチ・膠原病: 関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患は、全身の炎症を伴い、だるさ、関節痛、発熱、皮膚症状など様々な症状が出ることがあります。
  • 睡眠時無呼吸症候群: 夜間の睡眠中に呼吸が止まる・弱まることを繰り返し、十分な睡眠が取れないため、日中の強い眠気やだるさにつながります。
  • 薬の副作用: 高血圧の薬、精神科の薬、花粉症の薬など、一部の薬は副作用としてだるさを引き起こすことがあります。

何科を受診すべき?

体がだるいと感じて医療機関を受診する場合、まずは「かかりつけ医」や「内科」を受診するのが一般的です。内科では、問診や簡単な身体診察、基本的な血液検査などを行い、だるさの一般的な原因(風邪などの感染症、貧血、生活習慣病など)を調べることができます。

もし、内科での検査で原因が特定できない場合や、特定の臓器に関わる症状(例えば、動悸や息切れが強い場合は循環器内科、腹痛を伴う場合は消化器内科、女性で生理や更年期に関連が疑われる場合は婦人科、精神的な落ち込みが強い場合は精神科や心療内科など)が見られる場合は、必要に応じて専門科への紹介を受けることになります。

  • 最初に受診すべき科:
    • かかりつけ医: 普段から健康状態を把握してもらっている医師がいる場合。
    • 内科: 原因が不明確で全身のだるさがある場合。
  • 症状に応じて検討すべき専門科:
    • 循環器内科(動悸、息切れ、胸痛)
    • 消化器内科(腹痛、吐き気、食欲不振、黄疸)
    • 呼吸器内科(咳、痰、息切れ、胸痛)
    • 内分泌内科(体重の変化、むくみ、暑がり/寒がりなど、甲状腺やホルモン関連が疑われる場合)
    • 血液内科(貧血が強い、リンパ節の腫れなど)
    • 脳神経内科(手足のしびれ、力が入らない、めまいなど)
    • 精神科/心療内科(気分の落ち込み、不安、不眠など精神的な要因が疑われる場合)
    • 婦人科(女性で生理や更年期が関連している可能性が高い場合)
    • 耳鼻咽喉科(鼻づまり、喉の痛み、めまいなど)
    • 整形外科/リウマチ科(関節痛や筋肉痛を伴う場合)

症状を整理して、医師に正確に伝えることが診断の手助けになります。「いつからだるいか」「どのようなだるさか」「だるさ以外にどのような症状があるか」「だるくなる時間帯や状況」「改善のために試したこと」などを具体的に説明できるように準備しておくと良いでしょう。

病院での検査・診断

医療機関を受診すると、医師はまず問診と身体診察を行います。その後、考えられる原因に基づいて必要な検査が提案されます。だるさの原因を調べるために一般的に行われる検査には以下のようなものがあります。

検査の種類 目的
問診 症状の詳細(いつから、どのようなだるさか、随伴症状など)、既往歴、服用中の薬、生活習慣(睡眠、食事、ストレスなど)を確認
身体診察 体温、血圧、脈拍測定、聴診(心臓、肺)、触診(リンパ節、腹部など)、顔色や皮膚の状態の確認、神経学的検査など
血液検査 貧血の有無(赤血球、ヘモグロビン値)、炎症の程度(CRP)、肝機能、腎機能、血糖値、甲状腺ホルモン値、電解質、ウイルス感染の有無など
尿検査 尿糖、尿タンパク、潜血、感染の有無など
心電図検査 心臓の電気的な活動を記録し、不整脈や虚血性心疾患の有無を確認する
胸部X線検査 肺や心臓の状態を確認し、肺炎や心不全などの可能性を調べる
腹部超音波検査 肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓などの状態を確認する

これらの基本的な検査で原因が特定できない場合や、特定の病気が強く疑われる場合は、さらに詳しい検査が行われることがあります。例えば、ホルモン負荷試験、自己抗体検査、CT検査、MRI検査、睡眠ポリグラフ検査などです。

診断は、問診、身体診察、検査結果などを総合的に判断して行われます。だるさの原因が特定されれば、それに応じた治療が開始されます。原因が複数にわたる場合や、精神的な要因が強い場合は、薬物療法だけでなく、生活指導やカウンセリングなども併用されることがあります。

まとめ

体がだるいという症状は、日常的な疲労や生活習慣の乱れから、精神的な不調、そして様々な病気のサインまで、非常に多様な原因によって引き起こされます。一時的なだるさであれば、十分な休息、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理といった生活習慣の見直しによって改善が期待できます。

しかし、強いだるさが長く続いたり、発熱、体重の変化、痛み、息切れなど他の気になる症状を伴ったりする場合は、軽視せずに医療機関を受診することが重要です。特に、本記事で挙げたような「危険なだるさ・注意すべき症状」が見られる場合は、速やかに医師の診察を受けてください。

だるさの原因を特定するためには、問診や身体診察に加え、血液検査などの様々な検査が行われます。まずはかかりつけ医や内科を受診し、必要に応じて専門科への紹介を受けるのが一般的な流れです。

つらいだるさを抱え込まず、体の声に耳を傾け、適切な対処を行いましょう。ご自身でのケアで改善しない場合や、不安を感じる場合は、医療の専門家に相談することで、原因が明らかになり、適切なサポートを受けることができます。


免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、診断や治療を保証するものではありません。体がだるい症状で不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、専門家の指示に従ってください。自己判断での治療や対応は危険な場合があります。

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