化学流産は、妊娠を待ち望む方にとって非常に辛い経験となり得ます。妊娠検査薬で喜びを感じた後に訪れる予期せぬ出血は、大きな不安や悲しみにつながるでしょう。
しかし、化学流産は決して珍しいことではなく、その後の妊娠に影響を与えることも少ないとされています。この化学流産について、正しい知識を持つことは、不必要な不安を和らげ、次のステップへ進むための一助となります。
この記事では、化学流産とは何か、その原因や起こりやすい時期、症状、そしてその後の妊娠について、専門的な情報を分かりやすく解説します。化学流産に関する疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。
化学流産とは
化学流産(かがくりゅうざん)という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。これは、妊娠初期に起こる現象の一つですが、医学的な定義における「流産」とは少し異なる点があります。まずは、化学流産の正しい定義と、妊娠の初期段階で何が起こっているのかを理解することから始めましょう。
化学流産とは?正しい定義とメカニズム
化学流産は、妊娠のごく初期に起こる、臨床的には確認されない流産を指します。具体的には、性行為後に妊娠の可能性がある状況で、市販の妊娠検査薬を使って検査した際に一時的に陽性反応が出たものの、その後生理のような出血があり、超音波検査で子宮内に胎嚢(たいのう:赤ちゃんが入る袋)が確認される前に妊娠が終了してしまう状態です。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。妊娠は、精子と卵子が受精し、受精卵が子宮内膜に着床することで成立します。着床が始まると、受精卵からヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが分泌されます。このhCGホルモンは、妊娠の継続に必要なホルモン分泌を促したり、妊娠検査薬に反応したりする物質です。化学流産の場合、受精卵が子宮内膜に着床し、hCGホルモンの分泌が始まったため妊娠検査薬が陽性を示すのですが、その後、胎嚢が確認できる段階に至る前に、何らかの理由で妊娠の継続が停止し、子宮内膜と一緒に剥がれ落ちてしまうのです。
医学的な定義における「流産」は、妊娠22週未満で妊娠が終了することを指し、通常は超音波検査で胎嚢や胎芽(赤ちゃん本体)が確認された後のものとされます。したがって、化学流産は厳密には医学的な流産の定義には含まれず、「生化学的妊娠(Biochemical pregnancy)」と呼ばれることもあります[2]。妊娠検査薬の性能向上により、以前は気づかれなかったごく初期の妊娠経過がわかるようになったために認識されるようになった現象と言えます[1]。
生化学的妊娠とは
生化学的妊娠とは、文字通り「生化学的な反応によってのみ確認できる妊娠」という意味です。つまり、妊娠検査薬が、妊娠によって分泌されるhCGホルモンに反応して陽性を示した状態であり、超音波検査で胎嚢や胎芽が確認される前の段階の妊娠を指します。
化学流産は、この生化学的妊娠が成立した後に、臨床的な妊娠(超音波で胎嚢が確認できる妊娠)へと進まずに終わってしまったケースと言えます。多く[3]の場合は、次の生理予定日頃か少し遅れて出血が起こり、通常の生理と区別がつかないこともあります。
このように、化学流産と生化学的妊娠はほぼ同義で使われることが多いですが、生化学的妊娠という言葉は、妊娠の初期段階をより客観的に表現する際に用いられます。
化学流産の主な原因
化学流産は、受精卵が子宮に着床し、hCGホルモンの分泌が始まったものの、その後の発育が停止してしまう現象です。この妊娠の継続が停止してしまう原因は様々ですが、最も多いと考えられているのは受精卵自身の問題です。
染色体異常によるもの
化学流産の最も主要な原因として挙げられるのが、受精卵の染色体異常です。人間の細胞には通常23対46本の染色体があり、親から受け継がれます。受精卵は、精子と卵子それぞれから23本ずつの染色体を受け取って形成されますが、この過程で染色体の数や構造に異常が生じることがあります。
染色体異常のある受精卵の多くは、たとえ着床できたとしても、その後の正常な細胞分裂や発育が進まず、残念ながら妊娠を継続することができません。自然淘汰のプロセスとして、生命力が弱い受精卵が妊娠初期に失われるのは生物学的には珍しいことではありません。化学流産の約6~7割は、この受精卵の染色体異常が原因であると考えられています[4]。
これは、母体の年齢に関わらず一定の確率で起こり得ることですが、特に高齢になるにつれて卵子の質の低下に伴い染色体異常の発生率が高まる傾向があるため、化学流産の確率も上昇すると言われています。
母体側に起因する要因
受精卵側の問題だけでなく、母体側の要因も化学流産に関与することがあります。ただし、これらの要因が直接化学流産を引き起こすというよりも、着床や妊娠初期の維持を難しくする可能性が指摘されています[5]。
考えられる母体側の要因としては、以下のようなものがあります。
- ホルモンバランスの異常: 妊娠初期には、黄体ホルモン(プロゲステロン)などが子宮内膜を維持し、妊娠を継続させるために重要な役割を果たします。これらのホルモン分泌が不十分な場合(黄体機能不全など)、子宮内膜の状態が妊娠に適さず、着床がうまくいかなかったり、着床しても維持できなかったりすることがあります。
- 子宮の形態異常: 子宮の形に先天的な異常があったり、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどがあったりする場合、受精卵の着床を妨げたり、着床後の血流が悪くなったりすることで、妊娠の継続が難しくなることがあります。
- 血液凝固異常: 血液が固まりやすい体質(凝固亢進傾向)の場合、子宮内の微小な血管に血栓ができやすく、受精卵への血流が悪くなることで着床やその後の発育に影響を与える可能性があります。抗リン脂質抗体症候群などがこれに該当します。
- 免疫の異常: 母体の免疫システムが受精卵を異物と認識し、攻撃してしまうことによって着床や妊娠継続が阻害される可能性も考えられていますが、まだ研究段階の分野です。
- その他: 甲状腺機能異常や糖尿病などの持病、喫煙、過度の飲酒、ストレスなども、間接的に妊娠初期の経過に影響を与える可能性が指摘されています。
ただし、化学流産の多くは原因不明であり、特定するのが難しい場合がほとんどです[6]。一度や二度の化学流産で、これらの母体側の深刻な問題があるとは限りません。多くの場合、偶発的な現象として起こると考えられています。
化学流産が起こる時期と経過
化学流産は、妊娠のごく初期、特に妊娠検査薬で陽性反応が出るか出ないかのタイミングで起こることが多いです。具体的にどのような時期に起こり、どのような経過をたどるのでしょうか。
妊娠何週目に多い?
化学流産が起こりやすい時期は、妊娠週数で言うと妊娠4週~5週頃が最も多いとされています。これは、ちょうど生理予定日を迎える頃から、生理予定日を少し過ぎた時期に当たります。
この時期は、受精卵が子宮内膜に着床し、hCGホルモンの分泌が始まるタイミングです。妊娠検査薬は、このhCGホルモンに反応して陽性を示すため、妊娠検査薬が陽性になった直後、または陽性になったものの胎嚢が確認されるよりも前に妊娠の継続が停止した場合に化学流産として認識されます。
本来生理が来るはずだった時期に化学流産が起こると、出血や腹痛が生理と区別がつかないため、妊娠に気づかないまま経過してしまうことも少なくありません。妊娠検査薬を使用した場合や、不妊治療中でホルモン値などを測定している場合に、初めて化学流産として認識されることが多いでしょう[7]。
妊娠検査薬の反応(いつまで陽性?)
化学流産の場合、妊娠検査薬は一時的に陽性を示しますが、妊娠の継続が停止するため、hCGホルモンの分泌が減少し、やがて陰性に戻ります。
妊娠検査薬が陽性になるのは、hCGホルモンが尿中に含まれる量がある一定の値(検査薬の感度による)を超えた場合です。化学流産では、着床によって一時的にhCGホルモンの分泌が始まるため陽性反応が出ます。しかし、妊娠の継続が止まるとhCGホルモンは減少し、数日後には再び陰性となります。
陽性反応が出てから陰性に戻るまでの期間は個人差がありますが、一般的には数日から1週間程度で反応が薄くなり、陰性になることが多いようです。陽性反応の濃さがだんだん薄くなっていく様子を、妊娠検査薬を続けて使用して確認する方もいらっしゃいますが、これはあくまで目安であり、診断は医療機関で行うべきです。
化学流産かと思ったら継続するケース
まれに、「妊娠検査薬で陽性反応が出たものの、その後出血があり、化学流産かと思ったけれど、その後の診察で胎嚢が確認された」というケースも報告されています。
これは、おそらく着床出血や初期の不安定な状態での一時的な出血であり、必ずしも化学流産の兆候ではなかったと考えられます。妊娠初期には、受精卵が子宮内膜に潜り込む際(着床時)や、子宮内膜が厚くなる過程で、少量の出血が見られることがあります(着床出血)。また、ホルモンバランスの変化や子宮の充血などによっても、不正出血が起こることがあります。
これらの出血は、必ずしも流産を示すものではありません。出血があっても妊娠が継続することは十分にあります。そのため、妊娠検査薬で陽性反応が出た後に少量の出血があったとしても、「化学流産に違いない」と自己判断せず、必ず医療機関を受診して医師の診断を仰ぐことが重要です。医師は、超音波検査や血液検査(hCGホルモン値の測定など)によって、妊娠の状態を正確に判断してくれます。
化学流産の症状と兆候
化学流産の最も典型的な症状は、生理のような出血と腹痛です。しかし、その程度は個人差が大きく、全く症状がない場合もあります。
生理との違い
化学流産で起こる出血や腹痛は、通常の生理と非常によく似ているため、妊娠検査薬を使用していなければ区別がつかないことがほとんどです。
一般的に、化学流産による出血は、通常の生理予定日頃か少し遅れて始まり、出血量や痛みの程度も生理とほぼ同じか、人によってはやや重い程度と感じることがあります。生理周期が順調な方の場合、生理予定日を過ぎても生理が来ないため妊娠を期待し、検査薬で陽性を確認した後に生理のような出血が始まったことで、「もしかして化学流産?」と気づくパターンが多いです。
化学流産と生理の見分け方として、「出血が始まる前に妊娠検査薬が陽性になったかどうか」が唯一の客観的な指標と言えます。妊娠検査薬を使わずに、予定日を過ぎた生理が来ただけであれば、それは通常の生理であり、化学流産かどうかを判断することはできません。
出血や腹痛の程度
化学流産による出血量や腹痛の程度は、通常の生理の範囲内であることがほとんどです。出血量は少量の場合もあれば、生理2日目のような多い量の場合もあります。腹痛も、生理痛のような軽い痛みから、人によってはいつもより少し強い痛みを感じる場合もあります。
ごくまれに、通常の生理よりも出血量が多くなったり、痛みが強くなったりすることもありますが、重篤な状態になることは非常に少ないです。出血期間も、通常の生理と同じくらいか、やや短めの場合が多いようです。
出血や痛みが通常の生理と明らかに異なる(例えば、非常に大量の出血が止まらない、耐えられないほどの激しい腹痛があるなど)場合は、化学流産とは別の原因による可能性も考えられますので、速やかに医療機関を受診することが重要です。
つわりの有無
化学流産では、一般的につわりを感じることはほとんどありません。
つわりは、妊娠の成立後、hCGホルモンなどの影響によって起こると考えられていますが、化学流産は妊娠が非常に初期の段階で終了するため、つわりを感じるほどホルモン分泌が続かないことが多いからです。
もちろん、ごくまれに「化学流産だったけれど、少し気持ち悪さを感じた」という方もいるかもしれませんが、これはホルモンのごく一時的な変動や、妊娠への期待からくる精神的な影響である可能性も考えられます。医学的には、化学流産で本格的なつわり症状が出ることはないとされています。
気づかないことも多い?
前述のように、化学流産による出血や腹痛は生理とよく似ています。そのため、妊娠を積極的に望んでいなかったり、普段から生理不順があったりする方の場合は、化学流産が起こっても単なる「いつもと少し違う生理だった」あるいは「生理が遅れただけ」と感じてしまい、妊娠に気づかないまま経過してしまうことも非常に多いです。
化学流産を認識するのは、多くの場合、妊娠検査薬で陽性反応が出た後に生理のような出血があった方です。不妊治療を受けている方や、基礎体温を測っている方など、日頃から自分の体の変化に敏感な方ほど、化学流産に気づきやすいと言えるでしょう。
これは、化学流産が医学的な流産とは異なり、胎嚢が確認される前の段階で完了するため、特別な処置が必要になることがほとんどないためでもあります。気づかずにいても、体の機能としては次の周期にスムーズに進んでいくことが一般的です[8]。
化学流産の確率
化学流産は、妊娠の初期段階で起こる現象として、私たちが思っているよりも頻繁に起こっています。具体的な発生確率について見てみましょう。
自然妊娠での発生確率
自然妊娠において、化学流産がどのくらいの確率で起こるかを正確に把握するのは難しいとされています。なぜなら、前述の通り、多くの場合は妊娠検査薬を使わなければ単なる遅れた生理と区別がつかず、化学流産として認識されないまま終わってしまうからです。
しかし、妊娠を望む多くの女性が妊娠検査薬を使用するようになり、その存在が広く知られるようになりました。検査薬を使わない場合も含めた、すべての妊娠のごく初期段階を考慮すると、化学流産を含む超早期の妊娠停止は、全妊娠の約40~50%という高い確率で起こっているという推計もあります[7]。
これは、受精卵が子宮内膜に着床する過程や、着床後のごく初期の発育段階で、生命力の弱い受精卵が自然淘汰されるためと考えられています。化学流産は、妊娠が成立しなかった、あるいは妊娠のごく初期で自然淘汰されたという、生物学的には普遍的な現象と言えるでしょう。
医学的な流産(胎嚢確認後の流産)の確率は全妊娠の約15~20%とされていることと比較しても、化学流産がいかに多くの妊娠初期に起こっているかが分かります。
年齢による影響
化学流産の発生確率には、女性の年齢が影響すると考えられています。前述のように、化学流産の主な原因は受精卵の染色体異常であり、この染色体異常の発生率は女性の加齢とともに上昇する傾向があります。
特に35歳を過ぎると、卵子の質の低下により染色体異常が生じやすくなると言われています。そのため、化学流産の確率も年齢とともに高まる傾向が見られます。
年齢 | 化学流産を含む超早期の妊娠停止の推定確率 |
---|---|
~30歳 | 40%程度 |
35歳 | 40~50%程度 |
40歳 | 50~60%程度 |
45歳~ | 70%以上 |
※上記はあくまで推定値であり、個人差があります。また、認識されていない化学流産を含めた確率と考えられます。
このように、年齢が高くなるにつれて化学流産の確率は上昇する傾向にありますが、これはあくまで統計的な話であり、若い方でも化学流産を経験することはありますし、高齢の方でもスムーズに妊娠・出産に至る方もたくさんいらっしゃいます。年齢による影響は、妊娠全体に関わる確率の一部として理解することが大切です。
化学流産後の妊娠について
化学流産を経験すると、「次の妊娠は大丈夫だろうか」「妊娠しにくくなるのではないか」といった不安を感じる方も多いでしょう。しかし、多くの研究から、化学流産がその後の妊娠に悪い影響を与える可能性は低いと考えられています[8]。
次の妊娠までの推奨期間
化学流産後の次の妊娠までの推奨期間について、明確な医学的根拠に基づいた定めはありません[8]。これは、化学流産が子宮内膜へのダメージをほとんど伴わない、非常に初期の段階で終了する現象であるためです。
通常の流産(特に手術が必要な場合)では、子宮内膜の回復を待つために数ヶ月の避妊期間を設けることが推奨される場合がありますが、化学流産の場合は自然な生理と同様の経過をたどるため、医学的には次の生理が来れば、いつでも妊娠を試みて良いと考えられています。
ただし、精神的な回復期間は人それぞれです。化学流産は、妊娠を期待していた方にとっては精神的なショックとなることもあります。体の準備だけでなく、心の準備が整うまで、焦らずにパートナーと話し合って次の妊娠のタイミングを考えることが大切です。不安が強い場合は、医師に相談してみましょう。
化学流産後は妊娠しやすい?
化学流産を経験した後に「妊娠しやすくなった」と感じる方もいらっしゃるようです。これについて、科学的に明確な根拠があるわけではありません。
しかし、化学流産を経験したということは、「受精卵が着床できる状態であった」「妊娠初期に必要なホルモン分泌が始まった」ということを意味します。つまり、少なくとも妊娠の第一歩を踏み出せる体の状態であったと考えられます。
また、化学流産を経験したことで、妊娠を望む気持ちがより強くなり、基礎体温の測定や排卵日の予測などを積極的に行うようになった結果、タイミングが合いやすくなったという可能性も考えられます。
医学的には、化学流産自体が直接的にその後の妊娠率を上げるということは言われていませんが、化学流産を経験したからといって妊娠しにくくなるということもありませんので、過度に心配する必要はないでしょう。
繰り返す化学流産(習慣性流産)の可能性
化学流産を一度経験したからといって、繰り返し起こる「習慣性流産」であると判断されるわけではありません[9]。前述の通り、化学流産は非常に頻繁に起こる現象であり、偶発的に起こることがほとんどです。
習慣性流産は、一般的に妊娠22週未満の流産を3回以上繰り返す場合に診断されます[9]。化学流産は医学的な流産の定義には含まれないため、化学流産を何回経験しても、それをもって習慣性流産と診断されることはありません。
ただし、超音波で胎嚢が確認できる段階の流産を繰り返している方が、その間に化学流産も何度か経験している、というケースはあり得ます。もし、胎嚢確認後の流産を繰り返している場合は、習慣性流産の可能性を考慮し、原因を調べるための検査(染色体検査、内分泌検査、子宮の検査、血液凝固検査など)を検討する必要があります[10]。
化学流産を繰り返すという明確な定義はありませんが、「毎回妊娠検査薬が陽性になるものの、すぐに生理が来てしまう」というパターンを繰り返す場合、何らかの母体側の要因(ホルモンバランスの異常や着床に関する問題など)が隠れている可能性もゼロではありません。不安な場合は、不妊治療専門のクリニックなどで相談してみるのも良いでしょう。
化学流産に関するよくある質問
化学流産について、多くの方が疑問に思われるであろう点について、Q&A形式でまとめました。
化学流産だとどうわかる?
化学流産は、妊娠検査薬で陽性反応が出た後に、超音波検査で胎嚢が確認されないまま生理のような出血が起こり、妊娠が終了した状態を指します。したがって、化学流産であったと判断するには、以下の経過をたどる必要があります[7]。
- 性行為後に妊娠の可能性がある状況である。
- 生理予定日頃、または少し遅れて、市販の妊娠検査薬で陽性反応が出る。
- その後、生理のような出血が始まる。
- 出血が始まる前に、医療機関での超音波検査で子宮内に胎嚢が確認されていない。
- 出血後、妊娠検査薬が陰性に戻る。
妊娠検査薬を使わずに生理が来た場合や、検査薬で陽性が出たものの医療機関を受診しなかった場合は、それが化学流産であったかどうかを断定することはできません。
化学流産は何週が多い?
化学流産が起こりやすい時期は、妊娠4週~5週頃です[7]。これは、生理予定日頃から1週間程度遅れた時期にあたります。この時期は、受精卵が着床し、妊娠検査薬に反応するhCGホルモンの分泌が始まるタイミングです。
化学流産後は妊娠しやすい?
化学流産を経験したからといって、医学的に妊娠しやすくなるという明確な根拠はありません[8]。しかし、化学流産が起こったということは、少なくとも妊娠の第一歩である着床が可能な体の状態であったことを示唆します。化学流産を経験した後の次の周期に妊娠する方も多くいらっしゃいます。
自然妊娠で化学流産になる確率は?
自然妊娠において、妊娠検査薬で検出されないものも含めた超早期の妊娠停止(化学流産を含む)は、全妊娠の約40~50%という高い確率で起こっていると推定されています[7]。妊娠検査薬で陽性が出て化学流産として認識されるケースは、その中のごく一部と考えられます。
化学流産かと思ったら継続することはある?
はい、あります。妊娠初期には、着床出血やホルモンバランスの変化などにより、少量の出血が見られることがあります。妊娠検査薬で陽性が出て出血があったとしても、必ずしも化学流産であるとは限りません[7]。出血後も妊娠が継続し、超音波検査で胎嚢が確認されるケースもあります。出血があった場合は自己判断せず、必ず医療機関を受診して医師の診断を受けてください。
妊娠検査薬はいつまで陽性を示す?
化学流産の場合、hCGホルモンの分泌が減少するため、妊娠検査薬は一時的な陽性反応の後、数日から1週間程度で陰性に戻ることが多いです。
化学流産でもつわりはあるの?
化学流産では、一般的につわりを感じることはほとんどありません[7]。妊娠の非常に初期段階で終了するため、つわりを引き起こすほどホルモン分泌が継続しないからです。
化学流産に気づかないことはある?
はい、気づかないことの方が圧倒的に多いと言えます[8]。特に妊娠検査薬を使用しない場合、化学流産による出血は通常の生理と区別がつかないため、「単に生理が遅れただけ」「生理の様子がいつもと少し違った」と感じるだけで、それが化学流産であったと認識されることはほとんどありません。
化学流産は、多くの女性が経験する可能性のある、普遍的な現象です。自分だけではないということを知り、必要以上に自分を責めたり心配したりしないことが大切です。
化学流産に関するまとめ
化学流産は、妊娠検査薬で陽性反応が出たものの、超音波検査で胎嚢が確認される前に妊娠が終了してしまう状態です。医学的な流産とは異なり、「生化学的妊娠」とも呼ばれます[2]。
化学流産の最も主な原因は、受精卵の染色体異常による自然淘汰と考えられており[4]、これは年齢が高くなるにつれて確率が上昇する傾向があります。その他、母体側の要因も関与する可能性はありますが[5]、一度や二度の化学流産で原因が特定できることは少なく、多くは偶発的な現象として起こります[6]。
化学流産は、妊娠4週~5週頃に起こることが多く[7]、症状は生理とよく似た出血や腹痛が一般的です。しかし、症状の程度には個人差があり、全く気づかないこともあります[8]。妊娠検査薬で陽性が出た後に生理のような出血があった場合に、化学流産として認識されることが多いでしょう[7]。
化学流産を経験したからといって、その後の妊娠に悪い影響を与える可能性は低いとされています[8]。次の妊娠までの推奨期間は医学的に定められていませんが[8]、精神的な準備期間を設けることも大切です。一度や二度の化学流産で習慣性流産と診断されることもありません[9]が、繰り返す場合は専門医に相談することをお勧めします[10]。
化学流産は、妊娠を望む方にとっては残念な経験となるかもしれませんが、多くの女性に起こり得る普遍的な現象であり、決してご自身のせいではありません。正しい知識を持ち、必要以上に不安を抱え込まないことが重要です。
不安な時は専門医に相談しましょう
この記事では化学流産について一般的な情報を提供しましたが、個々の状況は人によって異なります。もし、化学流産を経験して不安な気持ちが強い場合や、症状について心配なことがある場合、あるいは化学流産を繰り返しているなどの場合は、一人で抱え込まずに必ず婦人科や不妊治療専門のクリニックなど、専門医に相談することをお勧めします。
医師は、あなたの体の状態を正確に診断し、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。安心して次のステップに進むためにも、専門家の助けを借りることが大切です。[11]
免責事項:[12]
本記事は、化学流産に関する一般的な情報を提供する目的で作成されており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。個人の健康状態や症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。本記事の情報によって生じたいかなる結果についても、当方は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。