妊娠中のダウン症検査|NIPT・羊水検査の種類、費用、時期、迷う方へ

妊娠中のダウン症検査について、どのような種類があるのか、いつ、どこで受けられるのか、費用はどのくらいかかるのか、といった疑問をお持ちではないでしょうか。

この記事では、ダウン症をはじめとする赤ちゃんの染色体異常の可能性を知るために妊娠中に受けられる検査の種類や目的、それぞれの精度や費用、リスクについて詳しく解説します。また、検査を受けるかどうか迷っている方への情報や、よくある質問にもお答えします。この記事が、検査について考え、ご夫婦で話し合うための一助となれば幸いです。

目次

ダウン症検査の種類と目的

妊娠中に受けられるダウン症検査には、大きく分けて「スクリーニング検査」と「確定診断検査」の2種類があります。これらの検査は、妊娠中の早い段階で赤ちゃんの健康状態に関する情報を得ることを目的として行われます。これにより、ご夫婦は赤ちゃんの将来について考え、必要な準備やサポートについて検討する時間を十分に持つことができます。

妊娠中に受けられる検査

妊娠中にダウン症を診断する方法は、大きく非確定的検査と確定的検査の2つに分けられます。非確定的検査はリスクを推定するスクリーニング検査、確定的検査は診断を確定する検査です。

スクリーニング検査(確率を知る検査)

スクリーニング検査は、赤ちゃんがダウン症などの染色体異常である「可能性」や「確率」を知るための検査です。診断を確定するものではありません。比較的早期に受けられるものが多く、母体や赤ちゃんへの物理的な負担はほとんどありません。あくまで可能性を示す検査であり、診断を確定するものではありません。検査で「陽性」や「高い確率」と出た場合でも、必ずしも赤ちゃんがダウン症であるとは限らないため、確定診断検査の検討が必要になります。

NIPT(新型出生前診断)

NIPT(Non-invasive Prenatal Testing)は、非侵襲的出生前検査とも呼ばれ、お母さんの採血だけで行える新しいスクリーニング検査です。妊娠早期から受けられるため、近年注目度が高まっています。

NIPTの仕組みと対象疾患

NIPTは、お母さんの血液中に含まれる赤ちゃんのDNA断片(cell-free DNA: cfDNA)を分析する検査です。妊娠が進むと、お母さんの血液中には、お母さん自身のDNAだけでなく、赤ちゃん(胎盤由来)のDNA断片も循環するようになります。NIPTでは、この赤ちゃんのDNA断片の量を調べ、染色体異常による特定の染色体の数の増減がないかを統計的に解析します。
主な検査対象は、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13トリソミー)といった常染色体の数的異常です。施設によっては、性染色体異常(ターナー症候群、クラインフェルター症候群など)や、特定の微細欠失症候群を検査対象に含めている場合もあります。

NIPTの精度(感度・特異度)

NIPTは、従来のスクリーニング検査に比べて精度が高いとされています。特に、21トリソミー(ダウン症)に対する感度(疾患がある人を正しく陽性と判断する確率)は99%以上、特異度(疾患がない人を正しく陰性と判断する確率)も99%以上と報告されています。
ただし、「精度が高い」というのは、「見つけ出す能力が高い」という意味であり、100%正確な診断ができるわけではありません。偽陽性(疾患がないのに陽性と出る)や偽陰性(疾患があるのに陰性に出る)の可能性もゼロではありません。特に、検査対象とする染色体異常の種類や施設の解析技術によって、精度には差が生じうる点に注意が必要です。施設によっては、胎児DNAのメチル化パターンを分析する最新技術により、従来のNIPTより高精度な検査(検出率99.9%以上など)を提供している場合もあります。参考

NIPTを受けられる最適な時期

NIPTは、妊娠10週0日から受けられるのが一般的です。検査の性質上、お母さんの血液中に赤ちゃんのcfDNAが十分に循環している必要があります。多くの施設では、妊娠10週以降を推奨しています。検査可能な期間は施設によって異なりますが、一般的には妊娠15週頃まで、遅くとも妊娠20週頃までとしている場合が多いようです。早期に結果を知りたい場合に適した検査と言えます。

NIPTの費用相場と保険適用

NIPTは公的な医療保険の適用外となるため、全額自己負担の自費診療となります。検査費用は施設によって大きく異なり、一般的な相場は10万円から20万円程度です。対象とする染色体異常の種類を増やすと、費用が高くなる傾向があります。一部の自治体では、妊婦向けの検査費用に対する助成制度を設けている場合もありますので、お住まいの自治体に確認してみると良いでしょう。

認定施設と非認定施設の違い

NIPTを提供する施設には、「認定施設」と「非認定施設」があります。

  • 認定施設: 日本医学会によって認定された施設(大学病院や総合周産期母子医療センターなど)です。遺伝カウンセリング体制が整っており、検査前後に遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーによる丁寧な説明や相談が受けられます。検査対象は原則として21, 18, 13トリソミーのみで、検査を受けられる対象者にも一定の基準(高齢出産、超音波マーカーなど)があります。
  • 非認定施設: 認定施設以外のクリニックなどです。検査対象の範囲が広い(性染色体異常や微細欠失などを含む)ことや、検査対象者の基準が緩やかであることなどが特徴として挙げられます。一方で、遺伝カウンセリング体制が不十分な場合や、商業的な側面が強い場合もあるため、施設選びには慎重さが求められます。

どちらの施設を選ぶにしても、検査内容、精度、費用、そして検査後のサポート体制について十分な説明を受け、納得した上で判断することが重要ですし、非認定施設は高コストであるという側面もあります。参考

NIPTのリスクと注意点

NIPTはお母さんの採血だけで行われるため、母体や胎児への直接的な身体的リスクはほとんどありません。しかし、以下の点に注意が必要です。

  • 偽陽性・偽陰性の可能性: NIPTはスクリーニング検査であり、結果が100%正確ではありません。陽性の場合でも、確定診断(羊水検査など)が必要です。
  • 検査できない・結果が出ない可能性: お母さんの体格や妊娠週数によっては、cfDNAの量が少なく検査ができない、あるいは結果が出ない場合があります。
  • 検査対象以外の疾患: NIPTで検出できるのは一部の染色体異常に限られます。その他の遺伝子疾患や先天性疾患を検出することはできません。
  • 心理的負担: 検査結果によっては、ご夫婦が精神的な負担を抱える可能性があります。検査前に、結果をどのように受け止めるか、どのような選択肢があるかを話し合っておくことが重要です。
  • 施設選びの重要性: 非認定施設の中には、十分な説明や遺伝カウンセリングを提供せず、商業的な目的で検査を提供しているところもあると指摘されています。信頼できる施設を選ぶことが大切です。

コンバインド検査

コンバインド検査は、超音波検査とお母さんの血液検査を組み合わせることで、赤ちゃんがダウン症などである確率を算出するスクリーニング検査です。妊娠11週から13週に実施され、超音波で胎児のNT(後頸部浮腫)の厚さを測定し、母体血中の特定物質を分析します。参考

コンバインド検査の仕組み

コンバインド検査は、主に以下の2つの要素を組み合わせて解析します。

  • 胎児超音波検査: 妊娠11週から13週の間に行われる超音波検査で、胎児の首の後ろのむくみ(NT: Nuchal Translucency)の厚さなどを測定します。NTの厚みは、ダウン症などの染色体異常との関連性が指摘されています。
  • 母体血清マーカー検査: お母さんの血液中の特定の物質(hCG-β、PAPP-Aなど)の濃度を測定します。これらの物質の濃度も、染色体異常によって変動することが知られています。

これらの測定値と、お母さんの年齢、妊娠週数などを組み合わせて統計的に解析し、赤ちゃんが21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーである確率を算出します。

コンバインド検査の精度と時期

コンバインド検査の精度は、単独の母体血清マーカー検査よりも高いとされています。21トリソミーに対する検出率は80%程度、偽陽性率は5%程度と報告されています。参考 ただし、施設や測定者によって精度にばらつきが生じる可能性があります。
検査を受けられる時期は、超音波でNTを正確に測定する必要があるため、妊娠11週0日から13週6日までと限定されています。比較的早い時期に受けられるスクリーニング検査の一つです。

母体血清マーカー検査(クアトロマーカーテストなど)

母体血清マーカー検査は、お母さんの血液中のいくつかの成分の濃度を測定し、赤ちゃんが特定の染色体異常である確率を算出するスクリーニング検査です。クアトロマーカーテストやトリプルマーカーテストなどが代表的です。この検査は安全で低コストですが、精度は約75%とされています。参考

母体血清マーカー検査の仕組みと時期

この検査では、お母さんの血液中の特定のタンパク質やホルモン(AFP, h-hCG, uE3, Inhibin Aなど)の濃度を測定します。これらの物質は妊娠中に変動し、赤ちゃんがダウン症などの染色体異常を持つ場合に特徴的な変動を示すことがあるため、その濃度パターンを解析してお母さんの年齢と組み合わせ、確率を算出します。
検査を受けられる時期は、一般的に妊娠15週から18週頃が適しています。ただし、妊娠20週頃まで受けられる場合もあります。

母体血清マーカー検査の精度

母体血清マーカー検査の精度は、他のスクリーニング検査に比べてやや低いとされています。21トリソミーに対する検出率は、クアトロマーカーテストで約80%、トリプルマーカーテストで約70%程度、偽陽性率は約5%と報告されています。あくまで確率を示すものであり、確定診断には不向きです。

胎児超音波検査(初期・中期ドック)

通常の妊婦健診で行われる超音波検査でも、赤ちゃんの成長や形態を確認する中で、ダウン症などの染色体異常を示唆する可能性のある所見が見られることがあります。初期精密超音波検査(初期ドック)や中期精密超音波検査(中期ドック)と呼ばれる、より詳しく胎児を観察する検査もあります。

エコー検査でわかる可能性のある特徴

超音波検査でダウン症の可能性を示唆するとされる所見には、以下のようなものがあります。

  • 首の後ろのむくみ(NT)の厚み
  • 鼻骨の形成不全または低形成
  • 心臓や消化管などの構造的な異常
  • 大腿骨や上腕骨の長さが短い
  • 手足の指の異常(短指、 Clinodactylyなど)
  • 腎盂の拡張
  • 腸管の輝度の上昇(Echogenic Bowel)
  • 単一臍帯動脈

これらの所見は「マーカー」と呼ばれ、単独では診断にはなりませんが、複数見られる場合や程度が強い場合に、染色体異常の可能性が通常より高いと判断されることがあります。

エコー検査の限界と確率

超音波検査は、あくまで赤ちゃんの形態や成長を確認する検査であり、染色体異常を直接診断するものではありません。上記のようなマーカーが見られたとしても、多くの場合は染色体異常ではないこともありますし、逆にマーカーが見られなくても染色体異常である可能性もあります。
エコー検査だけでダウン症の確定診断はできません。マーカーが見つかった場合は、医師から詳しい説明を受け、NIPTや確定診断検査(羊水検査など)を検討するかどうかを話し合うことになります。エコー検査でダウン症の可能性を示唆する所見が見つかる確率は、経験豊富な医師が注意深く検査しても限定的であり、全てのダウン症児で見つかるわけではありません。

確定診断検査(診断を確定する検査)

確定診断検査は、赤ちゃんの染色体そのものを調べるため、診断結果の精度が非常に高い検査です。羊水検査や絨毛検査があり、精度はほぼ100%ですが、流産などのリスクがあります。参考 スクリーニング検査で陽性または確率が高いと判定された場合や、高齢出産、過去の妊娠で染色体異常があったなどの理由で検討されるのが一般的です。

羊水検査

羊水検査は、子宮内の羊水を採取して、羊水中に含まれる胎児由来の細胞から染色体を分析する検査です。

羊水検査の仕組みと対象疾患

羊水検査では、まずお腹に局所麻酔を行い、超音波ガイド下で細い針を使って子宮内の羊水を少量(約20ml程度)採取します。採取した羊水に含まれる胎児由来の細胞を培養し、染色体の数や構造を顕微鏡で詳しく調べます。この検査により、染色体異常の有無を確定できます。
主な検査対象は、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13トリソミー)といった常染色体の数的異常、および性染色体異常です。染色体構造異常(転座、欠失、重複など)も検出可能です。

羊水検査の精度と時期

羊水検査の精度は非常に高く、染色体異常の診断においてほぼ100%正確な結果が得られます。
検査を受けられる時期は、羊水量が十分に増え、胎児の細胞が採取しやすくなる妊娠15週頃から18週頃が一般的です。遅くとも妊娠20週頃までに行われることが多いです。

羊水検査の費用とリスク

羊水検査は保険適用外の自費診療となることが一般的ですが、医療上の必要性が高いと認められる場合は保険適用されるケースもあります。費用は施設によって異なりますが、一般的な相場は10万円から20万円程度です。
羊水検査には、流産や破水、子宮内感染などの合併症リスクが伴います。流産のリスクは0.2%~0.3%程度と報告されていますが、これは施設の技術や経験によっても変動します。参考 検査を受ける前に、医師からリスクについて十分な説明を受けることが重要です。

絨毛検査

絨毛検査は、胎盤の一部となる絨毛組織を採取して、その細胞の染色体を分析する検査です。羊水検査よりも早い時期に受けられる確定診断検査です。

絨毛検査の仕組みと対象疾患

絨毛検査では、経腹的(お腹から針を刺す方法)または経頸管的(子宮頸部から細いカテーテルを挿入する方法)で、胎盤の絨毛組織を少量採取します。採取した絨毛細胞は、胎児と同じ染色体情報を持っているため、この細胞から染色体を分析し、染色体異常の有無を確定します。
検査対象となる染色体異常は、羊水検査と同様に、常染色体の数的異常や性染色体異常、染色体構造異常などです。

絨毛検査の精度と時期

絨毛検査の精度も羊水検査と同様に高く、染色体異常の診断においてほぼ100%正確な結果が得られます。ただし、まれに胎盤の染色体と胎児本体の染色体が異なる「モザイク」という状態が見られることがあり、その場合は診断が複雑になることがあります。
検査を受けられる時期は、羊水検査よりも早く、妊娠10週頃から13週頃に行われるのが一般的です。妊娠初期に確定診断の結果を得たい場合に選択肢となります。

絨毛検査の費用とリスク

絨毛検査も保険適用外の自費診療となることが一般的です。費用は施設によって異なりますが、一般的な相場は10万円から20万円程度です。
絨毛検査には、羊水検査と同様に流産や子宮内感染などの合併症リスクが伴います。流産のリスクは羊水検査と同程度、あるいはやや高いとする報告もあり、0.3%~0.5%程度とされています。参考 また、非常にまれですが、妊娠初期の絨毛検査が胎児の四肢形成に影響を与える可能性も指摘されています。リスクについて医師から十分な説明を受けた上で判断することが重要です。

NIPTと羊水検査はどう違う?どちらを選ぶ?

NIPTと羊水検査は、どちらも赤ちゃんの染色体異常に関する情報を得るための検査ですが、その性質と目的は大きく異なります。どちらを選ぶか、あるいは両方受けるべきかについては、ご夫婦の考え方や状況によって判断が異なります。

スクリーニング検査と確定診断の違い

最大の違いは、スクリーニング検査(NIPT)が「可能性」を知る検査であるのに対し、確定診断検査(羊水検査)が「確定」する検査であるという点です。参考

  • NIPT: お母さんの血液中のcfDNAの量を統計的に解析し、染色体異常の「確率」が高いか低いかを判定します。非侵襲的で母体・胎児への身体的リスクはほとんどありませんが、偽陽性や偽陰性の可能性があり、結果は診断を確定するものではありません。高コストである側面もあります。参考
  • 羊水検査: 羊水中の胎児細胞から直接染色体を分析し、染色体異常の有無を「確定」します。診断精度はほぼ100%ですが、羊水を採取する際に流産などのリスク(約0.2-0.3%)が伴います。参考

つまり、まず身体的負担の少ないNIPTで確率を知り、もし確率が高いと出た場合に、確定診断のために羊水検査を検討する、という流れが一般的です。

NIPT陽性の場合に羊水検査が必要な理由

NIPTの結果が「陽性」または「可能性が高い」と出た場合、それは赤ちゃんがダウン症などの染色体異常である確率が通常よりも高いことを意味しますが、確定診断ではありません。 前述の通り、NIPTには偽陽性の可能性があるため、陽性が出た場合でも、実際には赤ちゃんに染色体異常がないケースが存在します。
そのため、NIPTで陽性となった場合には、その結果を確定させるために、羊水検査や絨毛検査といった確定診断検査を受けることが強く推奨されます。参考 確定診断によって、赤ちゃんの染色体異常の有無を確実に知ることができます。これは、その後の妊娠の継続や、出産に向けた準備、必要な医療的ケアの計画などを進める上で非常に重要なステップとなります。

各検査の費用比較と注意点

出生前検査は、多くの場合、公的な医療保険が適用されない自費診療となります。そのため、検査費用は医療機関によって大きく異なります。

NIPTの費用

NIPTの費用相場は、施設の種類や検査対象とする染色体異常の範囲によって幅があります。

  • 認定施設: 一般的に15万円~20万円程度。検査対象は主に21, 18, 13トリソミーに限定される場合が多いです。
  • 非認定施設: 施設によって大きく異なり、10万円を切る安価な施設から20万円を超える施設まで様々です。性染色体異常や微細欠失など、検査対象を広く設定できる場合が多く、それによって費用も変動します。非認定施設は高コストであるという側面もあります。参考

安さだけで施設を選ぶのではなく、提供される遺伝カウンセリングの質や、検査対象、偽陽性・偽陰性だった場合の対応なども含めて検討することが重要です。

羊水検査・絨毛検査の費用

羊水検査や絨毛検査の費用相場も、施設によって異なりますが、一般的には10万円~20万円程度です。

  • 羊水検査: 10万円~20万円程度
  • 絨毛検査: 10万円~20万円程度

これらの検査は、医学的な理由(スクリーニング検査での陽性、超音波所見、高齢など)がある場合に検討されることが多く、その理由によっては保険適用となるケースもあります。しかし、基本的に自費診療と考えておくのが無難です。

その他のスクリーニング検査の費用

  • コンバインド検査: 2万円~5万円程度。超音波検査と血液検査を組み合わせた費用です。参考
  • 母体血清マーカー検査(クアトロマーカーテストなど): 1万円~3万円程度。血液検査のみの費用です。この検査は低コストです。参考
  • 胎児超音波検査(初期・中期ドック): 数千円~数万円。通常の妊婦健診の範囲内で行われる場合は費用がかからないこともありますが、精密な検査として行う場合は別途費用がかかります。

これらの費用はあくまで目安であり、医療機関や地域によって異なります。事前に希望する施設の費用を確認することが大切です。

費用に関する助成制度

一部の自治体では、出生前検査(特に羊水検査や絨毛検査)の費用の一部を助成する制度を設けている場合があります。これは、検査のリスクや費用負担を軽減し、必要な人が検査を受けやすくすることを目的としています。お住まいの市区町村のウェブサイトを確認するか、担当窓口に問い合わせてみると良いでしょう。ただし、NIPTに対する助成はまだ少ない現状です。

ダウン症検査はいつから受けられる?(検査時期のまとめ)

それぞれの検査には、最も適した時期があります。妊娠週数によって選択できる検査が限られるため、どの検査を受けるか検討する際には、現在の妊娠週数と照らし合わせることが重要です。

検査の種類ごとの実施時期

各検査の一般的な実施時期は以下の通りです。

  • NIPT: 妊娠10週0日~妊娠15週頃(施設によっては20週頃まで可能な場合も)
  • 絨毛検査: 妊娠10週頃~妊娠13週頃
  • コンバインド検査: 妊娠11週0日~妊娠13週6日参考
  • 母体血清マーカー検査: 妊娠15週頃~妊娠18週頃(20週頃まで可能な場合も)
  • 羊水検査: 妊娠15週頃~妊娠18週頃(20週頃まで可能な場合も)
  • 胎児超音波検査(初期ドック): 妊娠11週頃~妊娠13週頃
  • 胎児超音波検査(中期ドック): 妊娠18週頃~妊娠20週頃

妊娠週数と選択できる検査

妊娠週数ごとの検査選択肢の例を以下に示します。

妊娠週数 スクリーニング検査の選択肢 確定診断検査の選択肢
妊娠10週頃 NIPT、絨毛検査(ただし、時期が早いため施設を選ぶ必要あり) 絨毛検査
妊娠11~13週 NIPT、コンバインド検査、胎児超音波検査(初期ドック) 絨毛検査
妊娠15~18週 NIPT(時期による)、母体血清マーカー検査、羊水検査 羊水検査
妊娠18週以降 NIPT(時期による)、母体血清マーカー検査(時期による)、胎児超音波検査(中期ドック) 羊水検査(時期による)

どの検査を、いつ受けるかを決めるためには、ご夫婦でよく話し合い、必要であれば医師や専門家(遺伝カウンセラーなど)に相談することが大切です。

ダウン症検査を受けるか迷っている方へ

出生前検査を受けるかどうかは、ご夫婦にとって非常にデリケートで重要な決断です。検査を受けることにはメリットもデメリットもあり、どちらの道を選ぶにしても、精神的な負担が伴う可能性があります。

検査のメリット・デメリット

検査を受けることの主なメリットとデメリットを整理してみましょう。

メリット

  • 心の準備ができる: 赤ちゃんに染色体異常がある可能性や診断が確定した場合、出産に向けて情報収集したり、必要な医療的サポートや福祉サービスについて調べたりするなど、心の準備や具体的な準備をする時間を持つことができます。
  • 不安の軽減: 検査結果が陰性であった場合、赤ちゃんがダウン症などである可能性が低いことが分かり、妊娠中の不安を軽減できる場合があります。
  • 将来の計画: 診断が確定した場合、ご夫婦で赤ちゃんの将来について話し合い、どのような育児をしていくか、どのような生活を送るかなど、具体的な計画を立てる助けになります。

デメリット

  • 精神的負担: 検査結果を待つ間や、結果を受け止める際に、大きな精神的な負担を感じることがあります。特に、陽性や確率が高いと出た場合、ご夫婦で深刻な話し合いや決断が必要になることがあります。
  • 偽陽性・偽陰性の可能性: スクリーニング検査では偽陽性や偽陰性の可能性があります。偽陽性の場合、不要な心配や確定診断検査のリスクを伴う可能性があります。
  • 検査のリスク: 確定診断検査(羊水検査、絨毛検査)には、流産などのリスクが伴います。
  • 結果が出ない可能性: NIPTなど、一部の検査ではまれに技術的な理由で結果が出ない場合があります。

検査はあくまで選択肢の一つであり、受けることが義務ではありません。これらのメリット・デメリットを理解した上で、ご夫婦が何を最も大切にしたいかを話し合うことが重要です。

検査結果をどう受け止めるか

出生前検査を受けるにあたって、検査結果をどのように受け止めるかを事前に話し合っておくことが非常に大切です。

  • もし検査結果が陽性だった場合、どのように考え、どのような選択をするのか。
  • たとえダウン症などの診断が確定した場合でも、その赤ちゃんをどのように迎え入れるのか。
  • もし診断が確定した場合、どのような情報やサポートが必要になるのか。

これらの問いに対する明確な答えがない場合でも、漠然とした考えを共有しておくだけで、いざという時にパニックにならずに済みます。検査は、ご夫婦が赤ちゃんのことをより深く考え、将来について話し合うきっかけにもなります。

相談できる窓口・専門機関

出生前検査について迷っている場合や、検査結果について不安がある場合は、一人で悩まずに専門家や相談窓口に相談することが推奨されます。

  • 産婦人科医: かかりつけの産婦人科医に、検査の種類やリスク、時期について相談できます。
  • 遺伝カウンセラー: 遺伝に関する専門知識を持つカウンセラーです。検査の詳しい内容、精度、リスク、結果の意味、その後の選択肢などについて、分かりやすく説明し、ご夫婦の悩みや不安に寄り添ってくれます。認定遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医がいる施設を選ぶと、より専門的なカウンセリングが期待できます。
  • 認定施設: NIPTの認定施設など、遺伝カウンセリング体制が整っている医療機関では、検査前に遺伝カウンセリングを受けることが必須となっている場合が多いです。
  • 地域の相談窓口: 各自治体や保健所、障害者支援センターなどに、妊娠・出産や育児に関する相談窓口が設けられている場合があります。
  • 患者家族会: ダウン症のある子どもの家族などで構成される患者家族会では、同じ立場の方々から具体的な育児の情報や精神的なサポートを得られる場合があります。

これらの相談先を利用することで、検査に関する正確な情報を得られるだけでなく、ご夫婦の気持ちを整理し、納得のいく選択をするためのサポートを得られます。

ダウン症検査に関するよくある質問

ダウン症検査について、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

ダウン症の検査費用はいくらですか?

検査の種類や受ける施設によって大きく異なります。スクリーニング検査である母体血清マーカー検査やコンバインド検査は1万円~5万円程度、NIPTは10万円~20万円程度が目安です。確定診断検査である羊水検査や絨毛検査は10万円~20万円程度が目安となります。これらは自費診療の場合の一般的な相場であり、医療機関によって料金設定が異なるため、事前に確認が必要です。一部自治体による助成制度がある場合もあります。コンバインド検査の費用は3~5万円程度です。参考
母体血清マーカーテストは低コストで、費用は約1~3万円です。参考

ダウン症かどうかわかる検査は?

ダウン症(21トリソミー)であるかどうかを「確定」できる検査は、羊水検査と絨毛検査といった確定診断検査です。参考 これらの検査は赤ちゃんの染色体を直接調べるため、診断精度は非常に高い(ほぼ100%)です。NIPTや母体血清マーカー検査、コンバインド検査は、あくまで可能性や確率を知るためのスクリーニング検査であり、診断を確定するものではありません。

妊娠中にダウン症かどうかわかる検査は?

はい、妊娠中に受けられる検査でダウン症の可能性や診断を知ることができます。可能性を知るスクリーニング検査としてはNIPT(妊娠10週頃~)、コンバインド検査(妊娠11~13週)、母体血清マーカー検査(妊娠15~18週)、超音波検査などがあります。確定診断ができる検査としては、絨毛検査(妊娠10~13週)と羊水検査(妊娠15~18週)があります。

羊水検査とNIPTのどちらがいいですか?

どちらが良いかは、ご夫婦が何を重視するかによって異なります。

  • NIPT: 母体への負担が少なく、早い時期に受けられますが、結果は確率であり確定診断ではありません。陽性の場合は羊水検査などの確定診断が必要になります。参考 費用は施設によって幅があります。
  • 羊水検査: 診断を確定できますが、羊水を採取する際に流産などのリスクが伴います(約0.2-0.3%)。参考 NIPTより受けられる時期が遅くなります。

まずNIPTを受けて確率を知り、陽性の場合に羊水検査を検討するという流れが一般的ですが、最初から確定診断を希望する場合は羊水検査を検討することになります。医師や遺伝カウンセラーとよく相談して決めましょう。

エコー検査だけでダウン症とわかりますか?

いいえ、超音波検査だけでダウン症を確定診断することはできません。超音波検査では、赤ちゃんの形態的な特徴(マーカー)からダウン症の可能性を示唆する所見が見られることはありますが、これらの所見があっても染色体異常でないことの方が多く、また所見がなくても染色体異常である場合もあります。
エコー検査で気になる所見が見つかった場合は、NIPTや確定診断検査の検討が推奨されます。

ダウン症検査をご検討中の方へ

ダウン症などの出生前検査は、赤ちゃんの健康に関する情報を得るための重要な手段の一つです。しかし、検査を受けるかどうか、どの検査を選ぶか、そして検査結果をどのように受け止めるかは、ご夫婦にとって簡単ではない決断です。

当院では、出生前検査の一つとしてNIPTを提供しております。

当院でのNIPTについて

(※ここにクリニックのNIPTに関する具体的な情報を記載します。例:検査対象の染色体、費用、遺伝カウンセリングの体制、特徴など。ただし、今回は執筆のみのため具体的な内容は割愛し、読者が補足できるよう示唆に留めます。)
当院では、NIPTを通じて、妊娠中の皆様が赤ちゃんの染色体異常に関する情報を得るサポートをしております。検査の正確性はもちろんのこと、検査前後の丁寧な遺伝カウンセリングを通じて、ご夫婦が安心して検査を受け、結果を理解し、その後の選択について納得のいく判断ができるよう努めております。

NIPTについて詳しく知りたい方、検査を受けるべきか迷っている方、他の検査との違いを知りたい方など、どんな疑問や不安でもお気軽にご相談ください。経験豊富な医師やスタッフが、お一人お一人の状況に合わせた情報提供とサポートを行います。

ご予約・お問い合わせ

NIPTに関するご相談や検査のご予約は、お電話またはウェブサイトの予約フォームから承っております。

(※ここにクリニックの連絡先や予約方法に関する情報を記載します。例:電話番号、受付時間、予約フォームへのリンクなど。)

検査に関する疑問や不安について、まずは話を聞いてみたいという方も歓迎いたします。お気軽にお問い合わせください。


免責事項

この記事で提供する情報は、一般的な知識の提供を目的としており、個別の医療アドバイスや診断、治療方針を示すものではありません。出生前検査に関する疑問や不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師や遺伝専門家にご相談ください。検査の選択や結果の解釈、その後の判断については、ご自身の責任において行ってください。医療情報は常に更新される可能性があるため、最新の情報については専門家にご確認ください。参考にした情報源は以下の通りです。参考1,参考2,参考3

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