RSウイルス 子供がかかったら?症状・治療・家庭ケアと重症化対策

RSウイルス感染症は、乳幼児や子供にとって注意が必要な呼吸器の感染症です。
特に小さなお子さん、中でも生後数ヶ月以内の赤ちゃんがかかると、重症化して入院が必要になるケースも少なくありません。
この感染症について、症状や経過、お家でのケア、そして大切な予防方法まで、保護者の皆様が知っておくべき情報を詳しく解説します。
お子様の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。

目次

RSウイルスとは?子供への主な感染経路

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus:呼吸器合胞体ウイルス)は、主に秋から冬にかけて流行するウイルスです。
しかし、近年では年間を通して感染が見られることもあり、特に夏に流行が始まる事例も報告されています(参照:九州大学)。
このウイルスは、私たちの気道(鼻、のど、肺など)で増殖し、様々な呼吸器症状を引き起こします。

RSウイルスは日本を含め世界中に分布しており、多くの子どもが感染する非常に一般的なウイルスです。厚生労働省のデータによると、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています(参照:国立成育医療研究センター)。
何度も感染と発病を繰り返しますが、特に初回感染時には、より重症化しやすいといわれています(参照:厚生労働省)。
特に注意が必要なのは、生後1歳未満の乳児、中でも生後6ヶ月以内にRSウイルスに感染した場合です。
細気管支炎や肺炎など、重症化するリスクが高いとされています(参照:厚生労働省)。
日本でも、国立成育医療研究センターの情報によると、毎年12~14万人の2歳未満の子ども達がRSウイルス感染症と診断され、約3万人が入院を必要としています。

RSウイルスの主な感染経路は、以下の2つです。

  • 飛沫感染: 感染者が咳やくしゃみをしたときに飛び散るウイルスを、近くにいる人が吸い込むことで感染します。
  • 接触感染: 感染者の鼻水や痰などがついた手で、共有のドアノブ、おもちゃ、手すりなどを触り、その手で自分の鼻や口などを触ることで感染します。ウイルスはプラスチックやステンレスなどの表面で数時間から長い場合は一日以上生存することもあります。

家族内での感染や、保育園、幼稚園など集団生活の場での感染が広がりやすいのが特徴です。
大人が感染しても軽い風邪症状で済むことが多いですが、その大人が赤ちゃんや小さなお子さんにウイルスをうつしてしまうケースも少なくありません。

RSウイルス 子供の症状と経過

RSウイルスに感染した場合、症状が出るまでの潜伏期間は通常2日から8日、多くは4日から6日程度です(参照:九州大学)。
症状は子供の年齢や初めての感染かどうかによって大きく異なります。

RSウイルス 子供の初期症状(鼻水、咳、発熱など)

RSウイルス感染症の初期症状は、一般的な風邪と非常に似ています。

  • 鼻水: 透明または少し黄色っぽい鼻水が出ることが多いです。
  • : 軽い咳から始まることが多いですが、徐々にひどくなる傾向があります。
  • 発熱: 熱が出ないこともありますが、微熱から高熱まで様々です。
  • のどの痛み: 機嫌が悪くなる原因の一つとして、のどの痛みが考えられます。
  • 活気の低下: いつもより元気がなく、ぐったりしていることがあります。

これらの症状は、感染初期にはRSウイルスかどうかを区別するのが難しいため、「ただの風邪かな?」と思ってしまうこともあります。
しかし、特に乳幼児の場合は、症状が急に悪化する可能性があるため注意が必要です。

RSウイルス 赤ちゃんの症状・サイン

RSウイルスに初めて感染した赤ちゃん、特に生後数ヶ月以内の赤ちゃんは、重症化のリスクが非常に高いです。
典型的な風邪症状に加え、以下のようなサインが見られることがあります。

  • ひどい咳: 痰がからんだようなゼーゼー、ヒューヒューという咳(喘鳴)が出始めます。気管支や肺の奥にある細気管支が炎症を起こして狭くなるためです。九州大学のサイトによると、感染したお子さんの約3割が細気管支炎などを発症し、咳や喘鳴、呼吸が速くなるなどの症状が現れます。
  • 呼吸が苦しそう: 息をするたびに肩を上下させたり、鼻の穴をピクピクさせたり、肋骨の間や鎖骨の下がペコペコとへこむ(陥没呼吸)など、呼吸が浅く速くなる様子が見られます。
  • ミルクの飲みが悪い: 呼吸が苦しいため、おっぱいやミルクを飲むのが難しくなります。哺乳途中で苦しそうに泣き出したり、一度に飲める量が減ったりします。
  • 顔色・唇の色が悪い: 酸素が十分に取り込めなくなると、顔色が悪くなったり、唇や爪の色が紫色になることがあります(チアノーゼ)。これは非常に危険なサインです。
  • 無呼吸発作: 短時間(数秒~数十秒)呼吸が止まることがあります。特に眠っているときに見られやすいです。これも赤ちゃんに特有の重症サインです。
  • ぐったりしている: 活気がなく、あやしても反応が鈍いなど、全身状態が悪化している様子が見られます。

これらのサインは、赤ちゃんの呼吸が苦しくなっている、あるいは酸素が足りなくなっている可能性を示しています。
これらのサインが見られたら、すぐに医療機関を受診してください(参照:厚生労働省)。

RSウイルス 症状のピークと期間

RSウイルスの症状は、発症から数日後にピークを迎えることが多いです。

  • 発症後2~3日: 鼻水や咳、発熱などの初期症状が現れます。
  • 発症後3~5日: 症状が最もひどくなる時期です。咳がひどくなり、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴が出現したり、呼吸が苦しくなるなどの症状が悪化しやすいです。特に赤ちゃんはこの時期に重症化リスクが高まります。
  • 発症後5日以降: ピークを過ぎると、徐々に症状は改善に向かいます。咳や鼻水はしばらく続くことがありますが、呼吸の苦しさは軽減されてくるのが一般的です。

症状の経過には個人差がありますが、特に呼吸器症状は長引くことがあります。

RSウイルス 何日で治る?回復までの目安

RSウイルス感染症の症状は、通常1週間から2週間程度で改善することが多いです。
ただし、咳や鼻水といった上気道炎の症状は、ウイルスがいなくなった後もしばらく(数週間)続くことがあります。

重症化した場合は、入院して治療を受ける必要があり、回復までにさらに時間がかかることもあります。
特に肺や気管支に炎症が広がった場合、完全に回復するまでには数週間を要することがあります。

また、RSウイルスに感染すると、気道が過敏になり、その後も風邪をひいたときなどに喘鳴が出やすい体質になる子供もいます。

RSウイルス 重症化しやすい子供とは?

RSウイルス感染症は、すべての子供が重症化するわけではありません。
特に以下のような子供は、重症化のリスクが高いと考えられています。

  • 生後3ヶ月未満の乳児: 月齢が小さいほど重症化しやすいです。特に早産で生まれた赤ちゃんは注意が必要です。
  • 早産児: 在胎週数が35週以下で生まれた赤ちゃんは、肺の発達が未熟なため重症化しやすいです。
  • 慢性肺疾患(CLD)がある子供: 肺に病気がある子供は、RSウイルスに感染すると呼吸状態が悪化しやすいです。
  • 先天性心疾患(CHD)がある子供: 特に肺高血圧を伴う心臓病がある場合、重症化リスクが高まります。
  • 免疫不全がある子供: 病気や治療の影響で免疫力が低下している子供は、感染しやすく重症化しやすいです。
  • ダウン症候群の子供: ダウン症候群の子供は、気道の構造や免疫機能の特徴から、RSウイルスに感染すると重症化しやすいことが知られています。
  • 神経筋疾患がある子供: 呼吸に関わる筋肉の働きが弱い子供も、重症化リスクが高いです。

これらの子供は、RSウイルス感染を予防するために特別な対策(後述のシナジス注射など)が必要となる場合があります。

RSウイルス 重症化した際の症状・入院基準

RSウイルス感染症が重症化すると、気管支や肺の奥に炎症が広がり、細気管支炎や肺炎を引き起こすことがあります。
重症化した際の主な症状は以下の通りです。

  • 強い呼吸困難: 息を吸うときも吐くときもゼーゼー、ヒューヒューという大きな喘鳴が聞こえ、明らかに呼吸が苦しそうに見えます。陥没呼吸が顕著になります。
  • 頻呼吸: 呼吸数が異常に多くなります。(目安として、乳児で1分間に60回以上、1歳以上で40回以上など。年齢によって異なりますが、普段より明らかに速い呼吸です。)
  • チアノーゼ: 唇や顔色が紫色になります。
  • 無呼吸発作: 特に睡眠中に呼吸が止まります。
  • 脱水症状: 呼吸が苦しくて水分が十分に取れず、おしっこの回数が減るなど脱水になることがあります。
  • 全身状態の悪化: ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い、けいれんを起こすなど、全身状態が明らかに悪化します。

これらの症状が見られる場合、入院が必要となることがあります。
入院の基準は医療機関によって異なりますが、一般的には以下のような状態が目安となります。

  • 呼吸が苦しく、酸素飽和度が低い
  • 無呼吸発作がある
  • ミルクや水分が十分に取れず、脱水の危険がある
  • 全身状態が悪く、家庭でのケアが難しい
  • 生後数ヶ月未満の乳児や重症化リスクが高い基礎疾患を持つ子供で、症状が比較的軽くても予防的に入院となる場合がある

入院した場合は、酸素投与、点滴による水分補給、痰の吸引、呼吸を助けるための医療機器(CPAPなど)の使用といった対症療法が行われます。

RSウイルス 診断と治療法

RSウイルスにかかったかな、と思ったら、早めに医療機関を受診することが大切です。
特に赤ちゃんの場合は、急変する可能性があるため様子見は禁物です。

RSウイルス 診断方法(検査について)

RSウイルス感染症の診断は、医師による問診や診察(呼吸の音を聞くなど)に加え、迅速抗原検査で行われることが多いです。

  • 迅速抗原検査: 鼻の奥に細い綿棒を入れて鼻水を採取し、RSウイルスの抗原があるかどうかを調べます。検査キットを使って15分程度で結果が出ることが多いです。この検査は、RSウイルスが流行している時期に、生後6ヶ月未満の乳児や入院が必要と考えられる重症例など、特定の基準を満たす場合に行われることが一般的です。検査の精度は発症からの日数によって変動することもあります。
  • 胸部レントゲン検査: 肺炎や細気管支炎を起こしていないか確認するために行われることがあります。
  • 血液検査: ウイルス感染による炎症の程度や、他の病気がないかなどを調べるために行われることがあります。

検査の結果が陰性でも、症状や流行状況からRSウイルス感染症と診断されることもあります。

RSウイルスに効く薬は?治療の基本

残念ながら、RSウイルスそのものに直接効果のある「特効薬」は現在のところありません。
インフルエンザのようにウイルスを退治する抗ウイルス薬は開発されていません。

RSウイルス感染症の治療は、基本的に対症療法となります。
これは、出ている症状を和らげ、子供の自然な回復をサポートするための治療です。

具体的には、以下のような治療が行われます。

  • 呼吸を楽にする治療: 鼻水を吸引して鼻づまりを解消したり、気管支を広げる吸入薬を使用したりすることがあります。呼吸が苦しい場合は、酸素吸入が行われます。
  • 水分・栄養補給: 熱や呼吸困難で水分が失われやすいため、こまめな水分補給が重要です。母乳、ミルク、湯冷まし、子供用イオン飲料、麦茶など、子供が欲しがるものを少量ずつ頻回にあげてください。離乳食を食べている場合は、ゼリーやプリン、スープなど、水分が多く喉越しの良いものがおすすめです。
  • 解熱剤: 熱が高くてつらそうな場合に、医師の指示のもと解熱剤を使用することがあります。
  • 去痰剤: 痰がからんで咳がつらそうな場合に、痰を出しやすくする薬が処方されることがあります。
  • 抗生物質: RSウイルスはウイルス感染なので抗生物質は効きません。しかし、RSウイルス感染症をきっかけに細菌性の肺炎などを合併した場合に、抗生物質が使用されることがあります。

これらの治療は、子供の症状や状態に合わせて医師が判断します。
家庭でできるケアも、治療をサポートする上で非常に重要です。

RSウイルス 家庭でのケアと注意点

RSウイルスに感染した子供の家庭でのケアは、症状を和らげ、回復を助けるためにとても大切です。

  • 安静: 十分な休息が大切です。無理に遊ばせたりせず、ゆったりと過ごせるようにしましょう。
  • 水分補給: 脱水を防ぐために、こまめに水分を与えましょう。母乳、ミルク、湯冷まし、子供用イオン飲料、麦茶など、子供が欲しがるものを少量ずつ頻回にあげてください。離乳食を食べている場合は、ゼリーやプリン、スープなど、水分が多く喉越しの良いものがおすすめです。
  • 鼻水・痰のケア: 鼻がつまっていると呼吸やミルクの飲みが悪くなります。家庭用の鼻吸い器でこまめに鼻水を吸引してあげましょう。痰がからんで苦しそうな場合は、体を起こし気味にしたり、背中を軽く叩いて痰を出しやすくする(タッピングや体位ドレナージ)などの工夫も有効ですが、無理はしないでください。部屋の湿度を適切に保つ(加湿器などを使用)と、鼻水や痰がサラサラになり出しやすくなることがあります。
  • 部屋の環境: 部屋の温度は快適に保ち(一般的に20~24度程度)、湿度は50~60%を目安に加湿器などで調整しましょう。空気清浄機を使用するのも良いでしょう。タバコの煙は症状を悪化させるため、禁煙を徹底してください。
  • 食事: 食欲がない場合は、無理に食べさせる必要はありません。水分補給を優先しましょう。食べられるようであれば、消化の良いものを少量ずつ与えてください。

【注意点】

  • 自己判断で薬を中止しない: 医師から処方された薬は、指示通りに使いましょう。
  • 急変のサインに注意: 赤ちゃんの症状のサイン(呼吸が苦しそう、顔色が悪い、ミルクが飲めない、ぐったりしているなど)に常に注意し、少しでも心配な様子があればすぐに医療機関に連絡または受診しましょう。
  • 他の家族への感染予防: 感染した子供と他の家族(特に小さな子供や高齢者)との接触は可能な限り控え、手洗いやうがい、マスクの着用などで感染が広がらないように注意してください。

家庭でのケアは重要ですが、医療的な判断が必要な場合もあります。
不安なことがあれば、遠慮なく医療機関に相談してください。

RSウイルス 予防方法と感染対策

RSウイルス感染症には有効な治療薬がないため、感染を予防することが最も重要です。
特に重症化リスクの高い子供がいる家庭では、徹底した感染対策が求められます。

感染経路を防ぐ対策

RSウイルスは飛沫感染と接触感染で広がります。
これらの感染経路を断つための基本的な対策は以下の通りです。

  • 手洗い: 石鹸を使った丁寧な手洗いが最も重要です。外出から帰ったとき、食事の前、咳やくしゃみ、鼻水を扱った後など、こまめに手洗いしましょう。子供にも習慣づけさせましょう。
  • アルコール消毒: 石鹸での手洗いが難しい場合や、ドアノブ、おもちゃなど多くの人が触れる場所の消毒には、アルコール手指消毒剤が有効です。
  • 咳エチケット: 咳やくしゃみをする際は、口と鼻をティッシュやハンカチ、または服の袖で覆い、飛沫の飛散を防ぎましょう。使用済みのティッシュはすぐにゴミ箱に捨てましょう。
  • マスクの着用: 感染者や感染が疑われる人が近くにいる場合、可能な年齢であればマスクを着用しましょう。ただし、赤ちゃんなど自分でマスクを外せない子供へのマスク着用は窒息の危険があるためやめましょう。大人が子供のケアをする際は、マスクを着用しましょう。
  • 換気: 定期的に窓を開けるなどして部屋の換気を行い、室内のウイルス量を減らしましょう。
  • おもちゃや共有物の清掃・消毒: 子供がよく触れるおもちゃやテーブル、ドアノブなどは、定期的に清掃・消毒しましょう。アルコールや塩素系消毒剤が有効です。
  • タバコの煙を避ける: 受動喫煙は子供の呼吸器症状を悪化させ、RSウイルス感染症の重症化リスクを高めます。子供の周囲での喫煙は絶対にやめましょう。
  • 感染者との接触を避ける: RSウイルスに感染している人や風邪症状のある人との濃厚接触は避けましょう。特に赤ちゃんや重症化リスクの高い子供は人混みを避けるようにしましょう。

RSウイルス 予防接種(シナジス)について

RSウイルス感染症には、一般的な意味での「ワクチン」(感染そのものを防ぐための予防接種)はまだ実用化されていません。
しかし、特定の重症化リスクの高い子供たちに対して、RSウイルス感染による重症化を予防するための注射があります。
これが「シナジス」と呼ばれる製剤です。

シナジスは、RSウイルスに対する抗体(パリビズマブ)を人工的に作ったものです。日本小児科学会のガイドラインによると、パリビズマブはRSウイルス流行期を通して、体重1kgあたり15mgを月に1回、筋肉内に投与します。
この抗体を体内に注入することで、RSウイルスに感染した場合でもウイルスの増殖を抑え、肺炎や細気管支炎といった重症化を防ぐ効果が期待できます。
ガイドラインによれば、パリビズマブの予防投与により感染の拡大を防止できるとの報告もありますが、これは無作為化試験による評価はまだされていません。

シナジスの投与対象となる子供は、主に以下の通りです(参照:日本小児科学会ガイドライン)。

  • 早産児: 在胎期間35週以下で出生した新生児など、特定の基準を満たす場合
  • 慢性肺疾患(CLD) のある子供
  • 先天性心疾患(CHD) があり、血行動態的に意義のある病変を有する子供
  • 免疫不全 がある子供
  • ダウン症候群 の子供

シナジスは、これらの対象となる子供のRSウイルスによる入院率や人工呼吸器使用率を明らかに減少させることが確認されています。
投与対象になるかどうかは、主治医が子供の状態を詳しく評価して判断します。
対象となる可能性のあるお子さんの保護者は、かかりつけの小児科医に相談してみましょう。

RSウイルス 大人への感染について

RSウイルスは子供だけの病気ではありません。
大人も感染します。
ただし、多くの大人はこれまでにRSウイルスに繰り返し感染しているため、免疫ができており、感染しても症状は軽い場合が多いです。

大人がRSウイルスに感染した場合の症状は、鼻水、軽い咳、のどの痛みといった、いわゆる「風邪」の症状とほとんど区別がつきません。
発熱はしないか、しても微熱程度で済むことが多いです。
数日から1週間程度で自然に回復します。

しかし、高齢者や喘息などの呼吸器系の持病がある方、免疫抑制状態にある方などが感染した場合は、子供と同じように気管支炎や肺炎を起こし、重症化するリスクがあります。

そして、最も重要な点は、大人がRSウイルスに感染していることに気づかずに、抵抗力の弱い赤ちゃんや子供にウイルスをうつしてしまう可能性があるということです。
大人がRSウイルスにかかっている場合でも、咳やくしゃみ、鼻水に含まれるウイルス量は多いため、感染源となり得ます。

そのため、家庭に赤ちゃんや小さなお子さんがいる場合は、大人が風邪のような症状が出た際にも、子供に接する際には手洗いやマスクの着用を徹底するなどの注意が必要です。

RSウイルス こんな時は病院へ!受診目安

RSウイルス感染症は、多くの場合は自然に回復しますが、特に赤ちゃんや重症化リスクの高い子供は注意が必要です。
以下のような症状が見られた場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。
夜間や休日の場合は、救急病院やこども医療電話相談(#8000)に相談してください。
受診の目安として、厚生労働省のサイトでは「呼吸が苦しそう、食事や水分摂取ができない時」を挙げています。

症状 説明 受診の目安
呼吸が苦しそう 息を吸うとき、吐くときにゼーゼー、ヒューヒューという音がする(喘鳴) すぐに受診
呼吸が速い、浅い
息をするたびに肩を上下させる、鼻の穴がピクピクする、鎖骨の下や肋骨の間がへこむ(陥没呼吸)
顔色・唇の色が悪い 顔色が青白い、唇や舌、爪の色が紫色になる(チアノーゼ) すぐに受診(救急対応が必要な可能性が高い)
ミルクや水分が飲めない 授乳を嫌がる、少量しか飲めない、吐いてしまう、おしっこの回数が少ない 脱水のサイン(元気がない、唇や皮膚が乾燥しているなど)があればすぐに受診
ぐったりしている 活気がなく、あやしても笑わない、反応が鈍い、呼びかけに答えない すぐに受診
無呼吸発作 短時間(数秒~数十秒)呼吸が止まる すぐに受診
ひどい咳が続く 咳で眠れない、咳き込んで吐いてしまう 呼吸が苦しそうでなくても、症状が辛そうであれば受診を検討
高熱が続く 高熱が数日続く、または一度下がった熱が再び上がる 全身状態と合わせて判断。ぐったりしているなど他の症状があればすぐに受診
その他 けいれんを起こした、普段と様子が明らかに違う すぐに受診

これらの症状は、RSウイルスによる細気管支炎や肺炎が進行しているサインかもしれません。
特に赤ちゃんは症状が急に悪化することがあるため、少しでも気になることがあれば早めに医療機関に相談しましょう。

まとめ:RSウイルスから子供を守るために

RSウイルス感染症は、特に乳幼児にとって重症化リスクの高い呼吸器感染症です。
初めて感染する生後1歳未満の赤ちゃん、そして早産児や基礎疾患を持つ子供たちは、細気管支炎や肺炎、無呼吸発作などを起こす可能性があり、注意が必要です。

記事で解説したように、RSウイルスに直接効く特効薬はありません。
治療は症状を和らげる対症療法が中心となり、重症化した場合は入院して呼吸や水分補給のサポートが必要となります。

したがって、お子さんをRSウイルスから守るためには、何よりも感染予防が重要です。
手洗い、咳エチケット、こまめな換気と清掃・消毒を家庭内で徹底しましょう。
特に、家族が風邪のような症状がある場合は、赤ちゃんとの接触に十分注意し、マスクの着用なども検討してください。

また、早産で生まれたお子さんや、心臓病、肺の病気など特定の基礎疾患があるお子さんは、重症化予防のためのシナジス注射の対象となる場合があります。日本小児科学会のガイドラインなどを参照し、主治医とよく相談し、必要な予防策を取りましょう。

そして、万が一RSウイルスにかかってしまったかな、と思ったら、お子さんの様子をよく観察し、特に赤ちゃんの重症化サイン(呼吸が苦しそう、ミルクが飲めない、顔色が悪い、ぐったりしているなど)を見逃さないことが大切です。
これらのサインが見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください(参照:厚生労働省)。
早期の医療的ケアが、重症化を防ぎ、お子さんの回復を助けることにつながります。

RSウイルスについて正しい知識を持ち、日頃から感染予防を心がけ、お子さんの体調の変化にいち早く気づいて適切に対応することが、お子さんの健康を守る上で最も重要です。

【免責事項】
本記事は、RSウイルス感染症に関する一般的な情報を提供することを目的としており、病気の診断や治療を代替するものではありません。
お子さんの症状についてご心配な場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。

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