肺炎と診断されたら?【絶対NG】回復を遅らせるやってはいけないこと

肺炎にかかってしまったとき、「早く治したい」「これ以上悪化させたくない」と思うのは当然のことです。
しかし、良かれと思ってした行動が、かえって回復を遅らせたり、病状を悪化させたりすることもあります。
肺炎から一日も早く回復するためには、正しい知識を持って「してはいけないこと」を避け、適切な療養生活を送ることが非常に重要です。

肺炎の原因は、細菌やウイルス、マイコプラズマなどの病原微生物など多岐にわたりますが、原因に関わらず避けるべき行動は共通しています[参照:長寿科学振興財団]
この記事では、肺炎の時に特に注意すべき点や、避けるべき行動について詳しく解説します。

目次

肺炎になったら最も大切なこと:安静と休養

肺炎は肺に炎症が起きている状態であり、体は病原体と戦い、ダメージを受けた肺の組織を修復しようとフル稼働しています。
この回復プロセスには、大量のエネルギーが必要です。
そのため、肺炎になったら何よりもまず、徹底した安静と十分な休養をとることが最も重要です[参照:長寿科学振興財団]

体を動かすことは、エネルギーを消費し、心肺機能に負担をかけます。
健康な時なら問題ない活動でも、肺炎で弱った体には大きな負担となります。
無理をすると、体の抵抗力が落ち、病原体が増殖しやすくなったり、炎症がさらに広がったりする可能性があります。

自宅療養で安静を保つポイント

自宅で療養する場合、できる限り体を動かさず、安静を保つことが回復への近道です。
具体的には、以下のような点に注意しましょう。

  • 寝ている時間を増やす: 日中も無理せず、横になって過ごしましょう。
    読書やスマートフォンなども、体が楽な体勢で行い、疲れたらすぐに休みます。
  • 身の回りのこと以外は人に任せる: 食事の準備や片付け、掃除、洗濯などの家事は、可能な限り家族に協力してもらうか、回復してから行うようにします。
    自分でできることでも、体力消耗につながるものは避けましょう。
  • 来客を控える: 友人を招いたり、長時間の面会をしたりすることは、体力を消耗するだけでなく、相手に病原体をうつしてしまうリスクもあります。
    回復するまでは、必要な連絡以外は控えめにしましょう。
  • 仕事や学校は休む: 完全に回復するまでは、仕事や学校には行かず、療養に専念してください。
    無理して出勤・登校すると、症状が悪化するだけでなく、周囲に感染を広げる原因にもなります。

安静は、体が持つ自然治癒力を最大限に引き出すための最も基本的な治療法です。
焦らず、しっかりと休息を取りましょう。

体を温めてゆっくり休む

安静と合わせて重要なのが、体を冷やさないようにすることです。
体が冷えると血行が悪くなり、免疫機能の働きが低下する可能性があります。

  • 室温・湿度を適切に保つ: 部屋を暖かくし、冷え込まないように調整しましょう。
    一般的に、室温は20~25℃程度、湿度は50~60%が快適とされています。
    乾燥は気道の粘膜を傷つけ、咳を悪化させることもあるため、加湿器などを利用して湿度を保つことが推奨されます。
  • 重ね着や寝具で調整: 寒さを感じるときは、薄手のものを重ね着したり、ブランケットを利用したりして体温調節をします。
    厚着しすぎて汗をかくと、かえって体を冷やす原因になることもあるので注意が必要です。
  • 首元や足元を温める: 首や足首などは冷えやすい場所です。
    タオルやスカーフで首元を温めたり、靴下を履いたりして保温に努めましょう。

体を温かくしてリラックスすることで、体の緊張がほぐれ、より質の良い休息につながります。

肺炎時の入浴に関する注意点

「体を清潔に保ちたい」という気持ちからお風呂に入りたくなるかもしれませんが、肺炎の症状があるときの入浴には注意が必要です。

熱がある時や体力が落ちている時の入浴は避ける

特に高熱がある場合や、咳やだるさなどで著しく体力が消耗している場合は、入浴は避けるべきです。

  • 体力の消耗: 入浴は、想像以上に体力を消耗する行為です。
    熱い湯船に浸かることで体温が上昇・下降し、体に大きな負担がかかります。
  • 湯冷めのリスク: 入浴後に体が冷えてしまうと、症状が悪化したり、別の風邪をひいてしまったりするリスクがあります。
  • 症状の悪化: 湯気による蒸気吸入は一時的に楽に感じることもありますが、体温の変化や体力消耗により、かえって咳や息苦しさが増すこともあります。

医師から許可が出るまでは、無理な入浴は控えるのが賢明です。

清拭(体を拭くこと)での対処法

入浴できない間は、濡らしたタオルなどで体を拭く「清拭(せいしき)」で清潔を保つようにしましょう。

  • 準備: ぬるま湯で絞ったタオル(温かい方が心地よい場合も)と乾いたタオルを用意します。
    必要に応じて、使い捨ての清拭用ウェットシートなどを利用しても良いでしょう。
  • 方法: 首、腕、胸、お腹、足など、体の各部分を順番に優しく拭いていきます。
    特に汗をかきやすい場所や、自分で拭きにくい背中などは、家族に手伝ってもらうと良いでしょう。
  • 注意点: 清拭中も体が冷えないように、拭いていない部分はタオルや寝具で覆っておきます。
    拭き終わったらすぐに乾いたタオルで水分を拭き取り、体を冷やさないようにしましょう。

清拭であれば、体への負担を最小限に抑えながら、ある程度の清潔感を保つことができます。

湯冷めに注意する

症状が軽快し、医師から入浴の許可が出た場合でも、湯冷めには十分注意が必要です。

  • 短時間で済ませる: 長湯はせず、体を温める程度に済ませます。
  • 浴室を暖かくしておく: 入浴前に浴室を暖めておき、急激な温度変化がないようにします。
  • 入浴後はすぐに体を拭き、保温する: 湯船から出たらすぐに体をしっかり拭き、バスローブを羽織るなどして体が冷えないようにします。
  • 湯冷めしやすい場所をしっかり保温: 特に髪は乾かしてから寝るようにし、首元なども冷やさないように注意しましょう。

体調が回復途上にあることを忘れず、慎重に入浴するようにしてください。

肺炎の時に避けるべき食事や水分摂取

食事は体力回復のために重要ですが、肺炎の症状によっては避けるべきものもあります。
また、適切な水分摂取は病状の改善に不可欠です。

刺激の強い食べ物や熱すぎるものは控える

咳やのどの痛みを伴うことが多い肺炎では、気道やのどを刺激するような食べ物は避けた方が良いでしょう。

  • 避けるべきもの: 香辛料を多く使った辛いもの、酸味が強いもの、硬いもの、極端に熱いものや冷たいものなどが挙げられます。
    これらはのどを刺激し、咳を誘発したり、痛みを悪化させたりする可能性があります。
  • おすすめの食事: 消化が良く、のどごしの良いものが適しています。
    例えば、お粥、うどん、豆腐、茶碗蒸し、スープ、ゼリー、ヨーグルトなどです。
    高カロリー・高タンパクなものを選ぶと、体力回復を助けます。
  • 食べやすい温度に冷ます/温める: 食事や飲み物は、体温に近い、あるいは少し温かいくらいの温度で摂ると、体への負担が少なく、のどへの刺激も和らぎます。

アルコールやカフェインを含む飲み物

肺炎の時は、アルコールやカフェインを含む飲み物は避けるべきです。

  • アルコール: アルコールは血管を拡張させる作用がありますが、同時に体の脱水を進める可能性があります。
    また、肝臓に負担をかけ、免疫機能の働きを妨げることもあります。
    さらに、薬を服用している場合は、薬の効果に影響を与えたり、副作用を強めたりするリスクも考えられます。
  • カフェイン: コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには利尿作用があり、脱水につながる可能性があります。
    また、心臓への負担を増やすことも考えられます。

これらの飲み物ではなく、水分補給には水やお茶(カフェインの少ないもの)、スポーツドリンクなどが適しています。

食欲がない時の工夫と水分補給の重要性

肺炎中は食欲が落ちてしまうことがよくあります。
しかし、体力回復のためには栄養補給が不可欠です。
無理にたくさん食べる必要はありませんが、少しでも体を起こせるようになったら、消化が良く栄養価が高いものを、食べるようにしましょう[参照:長寿科学振興財団]

  • 少量ずつ頻回に: 一度にたくさん食べられない場合は、少量ずつでも回数を分けて食べるようにしましょう。
  • 食べたいものを優先: 体力回復にはエネルギーが必要ですが、まずは「食べられるもの」を優先するのも良いでしょう。
    アイスクリームやプリン、栄養補助ゼリーなども活用できます。
  • 水分補給はこまめに: 発熱や咳、食欲不振があると、体は脱水しやすい状態になります。
    水分を多く取ることは、薬を飲むことと同じくらい重要です[参照:長寿科学振興財団]
    水、経口補水液、薄めたスポーツドリンク、果汁100%ジュースなどを、のどが渇く前にこまめに少しずつ飲むようにしましょう。
    特に発熱時は水分が奪われやすいので、意識して飲む必要があります。

十分な水分は、痰を排出しやすくするためにも重要です。
乾燥した気道では痰が硬くなり、排出しにくくなります。

肺炎の時にやってはいけない行動・避けるべきこと

安静・休養、入浴や食事の注意点以外にも、肺炎の時に避けるべき行動はいくつかあります。

無理な外出や運動は厳禁

先述の通り、安静が最も重要です。
体力を消耗する外出や運動は、回復を著しく遅らせる原因となります。

  • 外出: 買い物や散歩など、軽い外出であっても体力を消耗します。
    また、人混みでは他の感染症にかかるリスクもあります。
    必要なものがある場合は、家族に頼むか、ネットスーパーなどを利用しましょう。
  • 運動: 体を激しく動かす運動はもちろん、軽いストレッチなども、症状が落ち着くまでは避けるべきです。
    心肺機能に負担をかけ、病状を悪化させる可能性があります。

医師から運動や外出の許可が出るまでは、自宅で静かに過ごすことに徹しましょう。

喫煙は絶対にいけない理由

肺炎になったら、タバコは絶対に吸ってはいけません。

  • 気道の炎症悪化: タバコの煙は、健康な人でも気道に炎症を引き起こします。
    肺炎で炎症が起きている肺や気道にとっては、最悪の刺激となります。
    炎症をさらに悪化させ、咳や痰を増やし、呼吸を苦しくさせます。
  • 免疫機能の低下: 喫煙は体の免疫機能を低下させます。
    これにより、病原体と戦う力が弱まり、回復が遅れたり、肺炎が重症化したりするリスクが高まります。
  • 合併症のリスク上昇: 喫煙者は、非喫煙者に比べて肺炎の重症化や合併症(肺膿瘍など)のリスクが高いことが知られています。
  • 回復の遅延・症状悪化: 禁煙は肺炎の進行を遅らせ、息苦しさや咳の症状を減らす効果が期待できます。
    逆に喫煙を続けることは、回復を妨げ、症状を悪化させる原因となります[参照:東邦大学医療センター大森病院 呼吸器内科]
  • 周囲への影響: 副流煙は、同居する家族(特に子供やお年寄り)の健康にも悪影響を及ぼします。

禁煙は、肺炎からの回復を早め、再発予防や肺の健康維持のために最も効果的な方法の一つです。
この機会に、ぜひ禁煙を検討してください。
どうしても吸いたくなってしまう場合は、医師や薬剤師に相談してみましょう。

過度な飲酒を避ける

アルコール摂取は避けるべきですが、特に過度な飲酒は体に大きな負担をかけます。

  • 脱水促進: 大量のアルコールは利尿作用が強く、脱水を招きやすくなります。
  • 肝臓への負担: アルコールの分解は肝臓で行われます。
    肺炎で体が弱っているときに肝臓に負担をかけるのは避けたいところです。
  • 免疫機能抑制: 慢性的なアルコール摂取は免疫機能を抑制することが知られています。
    肺炎療養中に飲酒を続けることは、回復を妨げます。

肺炎を放置するとどうなる?重症化のリスク

肺炎は、風邪のような軽い病気だと勘違いされやすいことがありますが、放置すると非常に危険な病気です。
適切に治療せず放置した場合、以下のようなリスクが高まります。

肺炎の症状が悪化する可能性

軽度の肺炎であれば、適切な治療と安静で数日から1週間程度で症状が改善することが多いです。
しかし、放置したり、無理をしたりすると、肺の炎症が広がり、症状が急速に悪化する可能性があります。

  • 咳や痰の増加: 炎症が強くなると、咳や痰の量が増え、呼吸がさらに苦しくなります。
  • 発熱の持続・悪化: 高熱が続いたり、さらに体温が上昇したりすることがあります。
  • 呼吸困難: 肺の機能が低下し、十分に酸素を取り込めなくなると、息切れや呼吸困難といった重篤な症状が現れます。
  • 全身状態の悪化: 食欲不振、倦怠感、脱水などが進み、全身の状態が悪化します。

合併症を引き起こすリスク

肺炎を放置すると、炎症が肺以外の臓器に及んだり、他の病気を引き起こしたりする「合併症」のリスクが高まります。

合併症の種類 説明
膿胸 肺と胸壁の間に膿がたまる状態。
手術が必要になることもあります。
肺膿瘍 肺の組織が破壊されて空洞ができ、そこに膿がたまる状態。
敗血症 肺炎の原因菌が血液に入り込み、全身に広がって臓器障害を引き起こす状態。
髄膜炎 脳や脊髄を覆う膜に炎症が起きる状態。
心筋炎・心外膜炎 心臓の筋肉や膜に炎症が起きる状態。
呼吸不全 肺の機能が著しく低下し、人工呼吸器が必要になる状態。

これらの合併症は命に関わる可能性もあり、入院や集中治療室での治療が必要になることも少なくありません。
肺炎を「たかが風邪」と軽視せず、早期に医師の診断を受け、適切な治療を開始することが、重症化や合併症を防ぐために極めて重要です。

子供が肺炎の時に特に注意すること

子供は大人に比べて免疫機能が未熟なため、肺炎にかかりやすく、また重症化しやすい傾向があります。
子供が肺炎になった場合は、大人とは異なる注意点があります。

大人との症状の違いと観察のポイント

子供の肺炎は、必ずしも典型的な症状(高熱、ひどい咳、痰など)を示すとは限りません。

症状 大人の場合 子供の場合(特に乳幼児)
発熱 高熱が出やすい 高熱の場合もあれば、微熱または熱がないことも
激しい咳、痰を伴うことが多い 比較的軽い咳の場合も、犬が吠えるような咳も
呼吸 息苦しさ、胸の痛み 呼吸が速い、肩で息をする、鼻孔が広がる、肋骨の間が凹む(陥没呼吸)
全身症状 全身倦怠感、食欲不振 機嫌が悪い、元気がない、泣き止まない、
ミルクや離乳食を飲みたがらない
その他 顔色が悪い、唇が紫色になる(チアノーゼ)

子供の場合、特に呼吸の状態の変化に注意が必要です。
「呼吸が速い」「ゼーゼー、ヒューヒューといった音がする」「息をするたびに肩が上下する」「鼻の穴がぴくぴく動く」「苦しそうにうなる」といったサインが見られたら、すぐに医療機関を受診してください。
顔色や唇の色が悪くなっている場合も、酸素が足りていない可能性があるため、緊急性が高いサインです。

子供の安静確保と水分・栄養補給

子供の場合も、安静と休養が最も重要です。
遊びたい盛りの子供に安静を強いるのは難しいこともありますが、絵本を読んだり、静かなDVDを見せたりするなど、できるだけ体を休ませる工夫が必要です。

  • 水分補給: 脱水は子供の場合、あっという間に進行します。
    特に乳幼児は、泣いたり発熱したりすることで体から水分が失われやすいため、こまめに水分を摂らせましょう。
    母乳やミルク、子供用のイオン飲料、薄めた麦茶などが適しています。
    一度にたくさん飲めなくても、スプーンやスポイトで少量ずつでも与えることが大切です。
  • 栄養補給: 食欲がない場合は、無理に食べさせる必要はありませんが、少量でも口にできるものを与えましょう。
    消化の良いお粥やうどん、プリン、ゼリー、アイスクリームなどが食べやすいかもしれません。

医師の指示を守ることの重要性

子供の肺炎は進行が早い場合があるため、医師の診断と指示に正確に従うことが何よりも重要です。

  • 処方された薬を正しく飲ませる: 抗生剤など、処方された薬は指示された通りに、用法・用量を守って飲ませてください。
    「症状が良くなったから」と自己判断で飲むのをやめてしまうと、再燃したり、薬が効きにくくなったりする可能性があります。
  • 再診の指示を守る: 医師から「〇日後にまた来てください」と言われた場合は、必ず再診を受けましょう。
    症状が改善していても、肺の炎症が完全に治まっているか確認が必要です。
  • 気になる症状は伝える: 診察時に、子供の普段と違う様子や気になる症状(咳の仕方、呼吸の状態、機嫌など)は些細なことでも医師に伝えましょう。

子供は自分で症状をうまく伝えられません。
保護者がしっかりと観察し、医師と密に連携することが、子供の早期回復には不可欠です。

回復を早めるための過ごし方

肺炎の回復を早めるためには、「してはいけないこと」を避けるだけでなく、「するべきこと」を意識することも大切です。

処方された薬を正しく服用する

細菌性肺炎の場合は抗生剤が処方されます。
処方された薬は、医師の指示通りに、決められた期間、用法・用量を守って飲み切ることが非常に重要です。
症状が軽くなったからといって自己判断で中止すると、病原菌が完全に死滅せず、肺炎が再燃したり、その抗生剤が効きにくい耐性菌が出現したりするリスクがあります。

また、咳止めや痰を出しやすくする薬(去痰薬)、解熱鎮痛剤などが処方されることもあります。
これらの薬も、症状に応じて適切に服用することで、辛い症状が和らぎ、安静を保ちやすくなります。

十分な睡眠時間を確保する

睡眠は、体が日中の活動で疲弊した組織を修復し、免疫機能を整えるための重要な時間です。
肺炎療養中は、普段よりも多くの睡眠時間が必要です。
夜は早めに寝て、日中も眠気を感じたら迷わず休息を取りましょう。

  • 快適な睡眠環境: 部屋を暗く静かにし、室温・湿度を快適に保つことで、質の良い睡眠が得られやすくなります。
  • 寝やすい姿勢: 咳がひどくて寝苦しい場合は、少し上半身を起こした姿勢で寝ると楽になることがあります。
    枕を高くしたり、背中にクッションを入れたりして調整してみましょう。

部屋の湿度・温度を適切に保つ

先述の通り、室温は20~25℃程度、湿度は50~60%を目安に調整します。

  • 湿度: 特に冬場は空気が乾燥しやすく、乾燥した空気はのどの粘膜を傷つけ、咳を悪化させたり、痰を硬くして出しにくくしたりします。
    加湿器を使ったり、濡らしたタオルを干したりして湿度を保ちましょう。
    ただし、湿度が高すぎるとカビやダニの発生につながることもあるので、換気も適度に行い、適切な湿度を維持することが大切です。
  • 温度: 体を冷やすと免疫機能が低下しやすいため、部屋を暖かく保ち、体温を奪われないように注意しましょう。

医師に相談するタイミング

肺炎の治療は医師の管理のもとで行うことが前提ですが、療養中に以下のような症状が見られた場合は、すぐに医師に相談する必要があります。

症状が悪化した場合

治療を開始しても、以下のような症状が見られた場合は、病状が悪化しているサインかもしれません。

  • 発熱が続く、あるいは高熱になる
  • 咳や痰がひどくなる、痰の色が変わる(黄色や緑色、血が混じるなど)
  • 呼吸が速くなる、息苦しさが強くなる
  • 胸の痛みが強くなる
  • 体がだるく、起き上がれないほどになる
  • 食欲が全くなくなる

これらの症状が見られたら、迷わず主治医に連絡するか、夜間や休日であれば救急外来の受診を検討してください。

呼吸困難や強い胸の痛みがある場合

以下のような症状は、肺炎が重症化している、あるいは合併症を起こしている可能性を示す緊急性の高いサインです。

  • 少し動いただけでも息切れがする、座っていても息苦しい
  • 浅く速い呼吸を繰り返している
  • 顔色や唇の色が悪い(チアノーゼ)
  • 強い胸の痛みがあり、呼吸とともに増強する

これらの症状がある場合は、救急車を呼ぶか、速やかに救急医療機関を受診してください。

なかなか症状が改善しない場合

処方された薬を指示通りに服用し、安静に過ごしていても、数日経っても症状が改善しない、あるいは微熱や咳だけが長く続くといった場合も、医師に相談しましょう。

  • 薬が効きにくいタイプの肺炎である
  • 別の病気を合併している
  • 診断が見直される必要がある

など、さまざまな可能性が考えられます。
医師が病状を再評価し、必要に応じて検査を追加したり、治療法を変更したりすることがあります。

「このくらいの症状で受診して良いのかな?」と迷う場合でも、まずは医療機関に電話で相談してみることをお勧めします。
特に高齢者や基礎疾患がある方、小さなお子さんの場合は、病状が急変しやすいこともあるため、より慎重な対応が必要です。

【まとめ】肺炎回復の鍵は「してはいけないこと」を避けること

肺炎の回復は、適切な医療を受けることに加えて、患者さん自身の過ごし方が大きく影響します。
今回ご紹介した「肺炎の時にしてはいけないこと」を理解し、実践することが、早期回復と重症化予防への重要な一歩となります。

特に重要なのは、徹底した安静と休養、そして喫煙・過度な飲酒を避けることです。
これらは体力を消耗させたり、肺に直接的なダメージを与えたりするため、回復を妨げる最も大きな要因となります。

また、入浴や食事、水分摂取についても、体への負担を考慮し、体調に合わせた適切なケアを行うことが大切です。
子供の場合は、大人の肺炎とは異なるサインを見落とさないよう、注意深く観察し、少しでも心配な症状があれば速やかに医師に相談することが重要です。

肺炎は正しく対処すれば治る病気ですが、軽視したり無理をしたりすると、取り返しのつかない事態を招くこともあります。
医師の指示をしっかりと守り、「してはいけないこと」を避け、ご自身の体を労わって、しっかりと回復に専念しましょう。


免責事項:

本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療法を推奨するものではありません。
個々の症状や病状は異なりますので、具体的な診断や治療については、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。
本記事の情報に基づいて読者が行った一切の行為について、執筆者およびサイト運営者は責任を負いません。

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