咳が止まらないなら何科?まずは呼吸器内科へ【症状別の受診目安】

咳が止まらない状態が続くと、日常生活に支障をきたすだけでなく、「何か重い病気なのではないか」と不安になる方も多いでしょう。
しかし、咳の原因は多岐にわたるため、「何科に行けばいいのだろう?」と迷ってしまうことも少なくありません。
この記事では、咳が止まらない場合に適切な受診先を、考えられる原因や症状別に詳しく解説します。
病院に行くべきタイミングや、自宅でできる対処法についてもご紹介していますので、長引く咳にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

目次

まず結論|咳が止まらない場合に最適なのは呼吸器内科

結論から申し上げると、咳が止まらない、特に長引く咳(慢性咳嗽)の場合に最も適切な受診先は呼吸器内科です。

呼吸器内科は、気管、気管支、肺など、呼吸器全般の疾患を専門とする診療科です。
咳はこれらの呼吸器系の異常を示す主要な症状の一つであるため、呼吸器内科医は咳の原因を診断し、適切な治療を行うための専門知識と経験を豊富に持っています。

なぜ呼吸器内科が推奨されるのか?長引く咳の原因との関係

咳は、私たちの体が気道に入った異物や過剰な分泌物(痰)を外に出そうとする防御反応です。
一時的な咳は風邪などの感染症によって起こることが多いですが、2週間、3週間と咳が続く場合は、単なる風邪ではない病気が原因となっている可能性が高まります。
このような長引く咳は「慢性咳嗽」と呼ばれ、その原因は呼吸器系の疾患が多くを占めます。

呼吸器内科では、問診や聴診に加え、胸部X線検査やCT検査、呼吸機能検査、喀痰検査、アレルギー検査など、咳の原因を詳しく調べるための様々な検査を行うことができます。
これにより、風邪以外の慢性的な気管支の炎症、肺炎、喘息、結核、肺がんなど、専門的な診断と治療が必要な疾患を正確に見つけることが可能です。

長引く咳の背景には、呼吸器専門医による詳細な診断と、それに基づいた適切な治療が必要な疾患が隠れていることが少なくありません。
そのため、咳が長引いている場合は、迷わず呼吸器内科を受診することをお勧めします。

内科を受診する場合|どのような症状なら良いか

「普段からかかりつけ医として利用している」という理由で、まず内科を受診することを考える方もいるでしょう。
内科は幅広い疾患に対応するため、もちろん咳の症状で内科を受診することも可能です。

特に、以下のような症状の場合、まずはお近くの内科を受診するのも良いでしょう。

  • 発熱や全身の倦怠感を伴う、比較的急に始まった咳
  • 風邪の初期症状として現れる咳
  • 持病(高血圧や糖尿病など)でかかりつけ医がいる場合

内科医は、風邪や急性気管支炎など、比較的軽症の呼吸器感染症の診断・治療を行うことができます。
また、他の全身疾患が原因で咳が出ている可能性も考慮し、初期的なスクリーニング検査を行うことも可能です。

ただし、内科で診察を受けた結果、咳の原因が特定できなかったり、専門的な検査や治療が必要と判断されたりした場合は、呼吸器内科への紹介となることが多いです。
最初から呼吸器系の疾患が強く疑われる場合や、咳が長期間続いている場合は、最初から呼吸器内科を選ぶ方が効率的と言えるでしょう。

耳鼻咽喉科を受診する場合|咳以外の症状との関連

咳の原因が、鼻や喉、副鼻腔など、耳鼻咽喉科の領域にある場合もあります。

特に、以下のような症状に加えて咳が出ている場合は、耳鼻咽喉科の受診も検討できます。

  • 鼻水や鼻づまりがひどい
  • 喉の痛みや違和感が強い
  • 後鼻漏(鼻水が喉に流れ落ちる感じ)がある
  • 声枯れを伴う
  • 耳の症状(痛みや聞こえにくいなど)がある

例えば、副鼻腔炎によって鼻水が喉に流れ落ち(後鼻漏)、それが刺激となって咳を引き起こす「副鼻腔気管支症候群」と呼ばれる病気があります。
また、アレルギー性鼻炎や喉頭アレルギーが咳の原因となることもあります。

耳鼻咽喉科では、鼻や喉の状態を内視鏡などで詳細に観察し、これらの耳鼻咽喉科領域の疾患が咳の原因となっているかを診断します。
原因が耳鼻咽喉科の疾患であれば、その治療によって咳も改善することが期待できます。
ただし、咳の症状が主体である場合や、耳鼻咽喉科の治療でも改善しない場合は、やはり呼吸器内科での精査が必要となります。

症状別|咳が止まらない時に考えられる主な原因と適切な受診科

咳の性質や、他の症状の有無によって、考えられる原因や適した受診科が変わってきます。
ご自身の症状と照らし合わせて参考にしてください。

症状の特徴 考えられる主な原因(一部) 適切な受診科の目安
熱がないのに咳が止まらない 感染後咳嗽、咳喘息、アトピー咳嗽、逆流性食道炎、副鼻腔気管支症候群 呼吸器内科、内科、耳鼻咽喉科(他の症状による)
痰が絡む咳が続く 気管支炎、肺炎、副鼻腔気管支症候群、COPD 呼吸器内科、内科、耳鼻咽喉科(鼻症状が主体の場合)
乾いた咳が続く 感染後咳嗽、咳喘息、アトピー咳嗽、逆流性食道炎、薬剤性咳嗽 呼吸器内科、内科(薬剤性咳嗽)、耳鼻咽喉科(喉の症状)
息苦しさを伴う咳 喘息、COPD、肺炎、心疾患、肺塞栓症 呼吸器内科、循環器内科(心疾患が疑われる場合)、救急科
特定の環境や時間帯で咳が出る 咳喘息、アトピー咳嗽、アレルギー性鼻炎に伴う咳 呼吸器内科、耳鼻咽喉科、アレルギー科
胸痛や血痰を伴う咳 肺炎、肺塞栓症、肺がん、気管支拡張症 呼吸器内科、救急科

※あくまで目安であり、最終的な診断は医師が行います。
複数の原因が絡んでいることもあります。

熱がないのに咳が止まらない場合

熱がないのに咳だけが続く場合、様々な原因が考えられます。
風邪などの感染症の急性期を過ぎた後に咳だけが残る「感染後咳嗽」は比較的よく見られますが、通常は数週間以内に改善します。

3週間以上続く場合は、風邪以外の原因を疑う必要があります。
代表的なものとしては、「咳喘息」や「アトピー咳嗽」といったアレルギーに関連する咳、胃酸の逆流が原因の「逆流性食道炎」、鼻水が喉に流れることによる「副鼻腔気管支症候群」、あるいは一部の降圧薬の副作用(薬剤性咳嗽)などがあります。
これらの場合、多くは呼吸器内科や内科、耳鼻咽喉科での詳しい検査が必要です。

痰が絡む咳が続く場合

「ゴホンゴホン」といった湿った咳で、痰を伴う場合は、気管支や肺に炎症や分泌物があることが考えられます。

急性期の原因としては、気管支炎肺炎などがあります。
慢性的に痰が絡む咳が続く場合は、慢性気管支炎気管支拡張症、あるいは肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)の可能性もあります。
また、先述の副鼻腔気管支症候群でも痰が絡む咳が見られることがあります。

これらの疾患の診断や治療には、呼吸器内科での詳しい検査が不可欠です。
痰の色や量、粘稠度なども診断の手がかりになりますので、医師に詳しく伝えるようにしましょう。

乾いた咳が続く場合

「コンコン」といった乾いた咳で、痰を伴わない場合は、気道が過敏になっている、あるいは物理的な刺激があることが考えられます。

風邪などの感染症の回復期に一時的に見られることもありますが、長引く場合は咳喘息アトピー咳嗽が代表的な原因です。
これらはアレルギー反応によって気道が過敏になり、少しの刺激でも咳が出やすくなる病気です。
夜間や早朝、あるいは冷たい空気に触れた時などに悪化しやすい特徴があります。

その他、逆流性食道炎による胃酸の刺激、一部の薬剤の副作用、あるいはまれに間質性肺炎肺がんの初期症状として乾いた咳が見られることもあります。
乾いた咳が続く場合も、呼吸器内科で原因を特定してもらうことが重要です。

息苦しさを伴う咳の場合

咳に加えて息苦しさを感じる場合は、注意が必要です。
これは、気道が狭くなっている、あるいは肺の機能が低下しているサインかもしれません。

最も一般的な原因は気管支喘息です。
喘息発作時は、気道の炎症と収縮によって呼吸が困難になり、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴を伴う咳が出ることがあります。

その他、肺炎の進行、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の悪化、あるいは心臓の機能が低下して肺に水分がたまる心不全(心臓喘息)などが原因で、息苦しさを伴う咳が出ることがあります。

息苦しさを伴う咳は、速やかに医療機関を受診すべき危険な症状です。
特に安静にしていても息苦しい、横になれないほど苦しいといった場合は、救急性の高い疾患の可能性もあるため、躊躇せずに救急外来を受診することも検討してください。

特定の環境や時間帯で咳が出る場合(アレルギーなど)

特定の場所に行った時、特定の物質に触れた時、あるいは夜間や早朝といった特定の時間帯にだけ咳が出やすい場合、アレルギーが関連している可能性が高いです。

咳喘息アトピー咳嗽は、ハウスダスト、ダニ、花粉、ペットの毛などのアレルゲンによって引き起こされることがあります。
冷たい空気、乾燥、タバコの煙、香水などの刺激によって誘発されることもあります。

また、アレルギー性鼻炎によって引き起こされる後鼻漏が原因で咳が出る場合もあります。

このような場合は、呼吸器内科やアレルギー科、鼻症状が強ければ耳鼻咽喉科を受診し、アレルギー検査などを行って原因を特定することが、適切な治療につながります。

咳が止まらない場合に考えられる病気の種類

咳が止まらない場合に考えられる病気は多岐にわたりますが、ここでは主なものをいくつかご紹介します。

感染症による咳(風邪、気管支炎、肺炎、マイコプラズマ、コロナなど)

最も一般的な原因は、ウイルスや細菌による呼吸器の感染症です。

  • 風邪(感冒): ウイルス感染によって起こる上気道炎。
    通常は数日から1週間程度で改善しますが、咳だけが数週間続くこともあります(感染後咳嗽)。
  • 急性気管支炎: 気管や気管支の炎症。
    痰を伴う咳が見られます。
  • 肺炎: 肺の炎症。
    発熱、痰を伴う咳、息苦しさ、胸痛などの症状が現れます。
    細菌性、ウイルス性(インフルエンザ肺炎、COVID-19など)、非定型肺炎(マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎など)があります。
    特に高齢者や免疫力が低下している方では重症化しやすいです。
  • 百日咳: 特徴的な「コンコンコンヒュー」という咳発作が長く続く細菌感染症。
    近年成人でも増加傾向にあります。

咳喘息・アトピー咳嗽

慢性咳嗽の主要な原因として、近年注目されています。

  • 咳喘息: 気管支喘息と同様に気道が過敏になる病気ですが、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や呼吸困難を伴わず、咳だけが唯一の症状であることが特徴です。
    特に夜間から早朝にかけて咳が出やすく、布団に入ると咳き込む、エアコンの風やタバコの煙で咳が出るなどの誘発因子があります。
    治療には吸入ステロイド薬などが用いられ、放置すると気管支喘息に移行することがあります。
  • アトピー咳嗽: 咳喘息と似ていますが、さらに乾いた咳が特徴で、気管支拡張薬が効きにくい傾向があります。
    喉のイガイガ感やかゆみを伴うこともあります。
    アレルギー体質の方に多く見られ、原因アレルゲンの回避や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬などが治療に用いられます。

副鼻腔気管支症候群

鼻や副鼻腔の慢性的な炎症(慢性副鼻腔炎など)によって鼻水が喉に流れ落ちる「後鼻漏」が、気管や気管支を刺激して咳を引き起こす病気です。
痰が絡む湿った咳が多く、特に朝起きた時や横になった時に咳が出やすい傾向があります。
鼻や喉の症状(鼻づまり、鼻水、喉の違和感など)を伴うことが多いです。
耳鼻咽喉科と呼吸器内科の両方の視点からのアプローチが必要となる場合があります。

その他の病気(逆流性食道炎、心疾患など)

呼吸器系以外の病気が原因で咳が出ることもあります。

  • 逆流性食道炎: 胃酸が食道に逆流し、食道や喉を刺激して咳を引き起こすことがあります。
    特に食後や横になった時に咳が出やすく、胸やけや胃もたれなどの症状を伴うこともあります。
    消化器内科で診断・治療が行われます。
  • 心疾患(心不全など): 心臓のポンプ機能が低下すると、肺に水分がたまりやすくなり、労作時の息切れや夜間の咳、横になった時の息苦しさ(起坐呼吸)などが現れることがあります。
    特に高齢者や心臓病の既往がある方で息苦しさを伴う咳がある場合は、循環器内科での精査が必要です。
  • 薬剤性咳嗽: 一部の薬剤、特に高血圧の治療に用いられるACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)の副作用として、乾いた咳が出ることがあります。
    薬を中止することで咳が改善します。
  • その他: 結核、肺がん、間質性肺炎、非結核性抗酸菌症など、より専門的な診断・治療が必要な呼吸器疾患が原因となっている可能性もあります。

このように、咳の原因は非常に多岐にわたります。
自己判断で市販の咳止め薬などを漫然と服用せず、医療機関で正確な診断を受けることが重要です。

咳が止まらない|病院に行くタイミングは?何日で受診すべき?

咳がどのくらい続いたら病院に行くべきか、迷うポイントですよね。
一般的には、咳が続く期間によって考えられる原因や緊急性が異なります。

2~3週間以上咳が続く場合(慢性咳嗽)

咳が2週間以上続く場合は「遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)」、3週間以上続く場合は「慢性咳嗽」と呼ばれます。

風邪などのウイルス感染による咳は通常2週間以内、長くても3週間以内には自然に軽快することがほとんどです。
したがって、咳が3週間以上続いている場合は、単なる風邪の後遺症ではない、別の病気が原因となっている可能性が非常に高くなります。

咳が2~3週間以上続いている場合は、必ず医療機関を受診してください。
特に、慢性咳嗽の原因として多いのは、咳喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群、逆流性食道炎、薬剤性咳嗽などですが、中には結核や肺がんなどの重篤な疾患が隠れている可能性も否定できません。
これらの病気は早期発見・早期治療が非常に重要です。

長引く咳の場合は、前述の通り呼吸器内科での詳しい検査を受けることが最も推奨されます。

急な発症でもすぐに医療機関を受診すべき危険な症状

咳が出始めてから日が浅くても、以下のような症状を伴う場合は、緊急性の高い病気の可能性があります。すぐに医療機関を受診してください。

  • 高熱(38℃以上)を伴う場合
  • 強い息苦しさがある、呼吸が速い、浅い
  • 胸の痛みがある
  • 血痰が出る(ピンク色や赤色の痰)
  • 顔色が悪く、唇が紫色になっている(チアノーゼ)
  • 意識がはっきりしない、ぐったりしている
  • 咳で眠れない、食事も摂れないなど、日常生活に著しい支障が出ている
  • 持病(心臓病、肺疾患、腎臓病、免疫不全など)がある方

これらの症状は、肺炎、肺塞栓症、心不全、あるいは気道異物など、命に関わる病気のサインである可能性があります。
夜間や休日であっても、救急外来を受診することを躊躇しないでください。

2~3週間以内でも受診を検討すべきケース

咳が2~3週間続いていなくても、以下のような場合は早めに医療機関を受診することを検討しましょう。

  • 咳の症状が徐々に悪化している
  • 咳のために夜眠れない体力が消耗するなど、日常生活に支障が出始めている
  • 風邪薬や市販の咳止め薬を飲んでも全く改善しない
  • 周りに感染症が流行している(インフルエンザ、COVID-19など)
  • 高齢者乳幼児基礎疾患(心臓病、肺疾患、糖尿病など)がある方

これらの場合は、感染症が重症化したり、他の病気が隠れていたりする可能性も考慮し、早めに医師の診断を受けることが安心につながります。

病院での検査や治療法について

医療機関を受診すると、まず問診や診察が行われ、必要に応じて様々な検査が行われます。

咳の原因を特定するための検査

咳の原因を特定するために、医師は以下のような検査を組み合わせて診断を進めます。

  • 問診・聴診: 咳が始まった時期、期間、頻度、咳の性質(乾いた咳か、痰を伴うか)、痰の色や量、悪化する時間帯や誘発因子、既往歴、内服薬、喫煙歴、アレルギーの有無、職業、家族の病歴などを詳しく尋ねられます。
    聴診器で肺や心臓の音を聞きます。
  • 胸部X線検査(レントゲン): 肺炎、結核、肺がん、胸水、心拡大など、肺や心臓の異常を簡便に調べることができます。
    咳の検査では最も一般的に行われる検査の一つです。
  • 胸部CT検査: X線検査よりも詳細に肺の状態を画像化できます。
    肺炎の広がり、気管支拡張症、間質性肺炎、肺がんなどをより正確に診断するのに有用です。
  • 呼吸機能検査: 肺活量や1秒量などを測定し、肺の空気の出し入れの能力を調べます。
    喘息やCOPDなどの診断や重症度評価に役立ちます。
  • 喀痰検査: 痰の色、量、性状を調べたり、顕微鏡で細菌やウイルス、細胞などを観察したりします。
    痰の中に含まれる病原体を特定するための培養検査や、がん細胞の有無を調べる細胞診なども行われます。
  • 血液検査: 炎症の程度を示すCRPや白血球数、感染症の原因となる抗体、アレルギー反応を示す好酸球やIgE抗体などを調べます。
  • アレルギー検査: 血液検査や皮膚テストなどで、特定の物質(ハウスダスト、ダニ、花粉、カビなど)に対するアレルギーの有無や程度を調べます。
    咳喘息やアトピー咳嗽、アレルギー性鼻炎などが疑われる場合に行われます。
  • 呼気一酸化窒素(FeNO)検査: 吐き出す息に含まれる一酸化窒素の濃度を測定します。
    気道の炎症の程度を示す指標の一つであり、特にアレルギー性の気道炎症(喘息など)の診断や治療効果の判定に有用です。
  • 気管支鏡検査: 稀に、診断が難しい場合や、肺がんなどが強く疑われる場合に行われます。
    細い内視鏡を気管支に入れて、気道の状態を直接観察したり、組織を採取したりする検査です。
  • pHモニタリング検査(逆流性食道炎疑い時): 食道内に留置したセンサーで食道内のpH(酸性度)を測定し、胃酸の逆流の程度を調べます。

これらの検査結果を総合的に判断し、咳の原因疾患を特定します。

咳の原因に合わせた主な治療法(薬について)

咳の治療は、原因となっている病気の種類によって大きく異なります。
対症療法として咳止めを使う場合もありますが、原因そのものを治療しないと咳は止まりません。

  • 感染症による咳:
    • 細菌感染(肺炎、細菌性気管支炎など)の場合は、抗生物質が処方されます。
    • ウイルス感染(風邪、インフルエンザ、COVID-19など)の場合は、特別な治療薬がない場合も多く、安静や水分補給などの対症療法が中心となります。
      インフルエンザやCOVID-19には抗ウイルス薬が有効な場合があります。
    • マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎などの非定型肺炎には、マクロライド系の抗生物質などが有効です。
  • 咳喘息・アトピー咳嗽:
    • 気道の炎症を抑えるために、吸入ステロイド薬が治療の中心となります。
      毎日継続して使用することで効果が現れます。
    • 気道を広げる気管支拡張薬(吸入薬や貼り薬、飲み薬)が併用されることもあります。
    • アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン薬や、ロイコトリエン拮抗薬などが用いられることもあります。
  • 副鼻腔気管支症候群:
    • 副鼻腔炎の治療として、抗生物質(特にマクロライド系抗生物質を少量長期にわたって使用)、去痰薬抗アレルギー薬などが用いられます。
      鼻の洗浄なども有効です。
  • 逆流性食道炎:
    • 胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)H2ブロッカーなどの胃酸抑制薬が用いられます。
      生活習慣の改善(食生活の見直し、食後すぐに横にならないなど)も重要です。
  • 薬剤性咳嗽:
    • 原因となっている薬剤の中止や変更を行います。
  • 対症療法としての咳止め:
    • 原因療法が基本ですが、咳があまりにひどく体力を消耗する場合や夜眠れない場合などには、症状を和らげる目的で咳止め(鎮咳薬)が処方されることがあります。
      しかし、咳止めを漫然と使用すると、原因疾患の発見を遅らせたり、痰を溜め込んでしまう可能性もあるため、医師の指示に従って適切に使用することが重要です。
      特に、痰を伴う咳の場合に強い咳止めを使うと、痰が排出されにくくなり、かえって症状が悪化することもあるため注意が必要です。
  • 漢方薬:
    • 個々の体質や症状に合わせて、麦門冬湯(ばくもんどうとう)や清肺湯(せいはいとう)などの漢方薬が処方されることもあります。

このように、咳の治療法は原因によって全く異なります。
自己判断で市販薬を続けるのではなく、医療機関で正確な診断を受け、適切な治療を受けることが最も大切です。

咳が止まらない時の自宅での対処法・緩和策

医療機関を受診するまでの間や、治療と並行して、自宅でできる咳の緩和策や対処法をいくつかご紹介します。
これらはあくまで対症療法であり、根本的な治療にはなりませんので、症状が続く場合は必ず医師の診察を受けてください。

乾燥を防ぐ・喉を潤す

空気が乾燥していると、気道の粘膜が乾燥し、咳が出やすくなります。
特に冬場やエアコンを使用している環境では、加湿を心がけましょう。

  • 加湿器を使用する: 部屋の湿度を50~60%程度に保つのが理想的です。
  • マスクを着用する: マスクをすると、呼気によってマスク内の湿度が高まり、吸い込む空気を湿らせることができます。
    外出時だけでなく、就寝時にマスクをして寝るのも効果的です。
  • 水分をこまめに摂る: 温かい飲み物(お茶、白湯など)は喉を潤し、痰を出しやすくする効果も期待できます。
    冷たい飲み物は喉を刺激することがあるため、避けた方が良い場合もあります。
  • 飴やトローチをなめる: 喉の乾燥を防ぎ、刺激を和らげます。
    メントールなどの刺激成分が含まれていないものがお勧めです。
  • うがいをする: 喉の乾燥を防ぎ、付着したウイルスや細菌、アレルゲンなどを洗い流す効果が期待できます。

喉への刺激を避ける工夫

喉や気管支への刺激は咳を誘発したり悪化させたりすることがあります。
できる限り刺激を避けるようにしましょう。

  • 禁煙・受動喫煙を避ける: タバコの煙は気道を強く刺激し、咳の大きな原因となります。
    喫煙者の方は禁煙を、非喫煙者の方も副流煙を避けることが非常に重要です。
  • 強い匂いを避ける: 香水、芳香剤、タバコの煙、排気ガス、化学物質の蒸気などは、気道を刺激して咳を誘発することがあります。
    可能な範囲で避けるようにしましょう。
  • 冷たい空気や急な温度変化を避ける: 冷たい空気を吸い込んだり、暖かい場所から急に寒い場所へ移動したりすると、気道が収縮して咳が出やすくなることがあります。
    外出時にはマフラーやマスクで口元を覆う、室内では急激な温度変化を避けるなどの工夫をしましょう。
  • 大声を出す、長時間話し続けるなどを控える: 喉に負担をかける行為は、咳を悪化させることがあります。
    安静を心がけ、喉を休ませましょう。
  • ほこりやハウスダストを減らす: 部屋の掃除をこまめに行い、空気清浄機を使用するなどして、咳の原因となるアレルゲンや刺激物を減らすように努めましょう。

また、睡眠不足や疲労は体の免疫力を低下させ、症状を長引かせる原因となります。
十分な休息をとり、体を休ませることも大切です。
ただし、これらの対処法はあくまで症状を和らげるためのものです。
咳が長引く場合や症状が重い場合は、必ず医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けてください。

まとめ|長引く咳は自己判断せず呼吸器専門医に相談を

咳が止まらない時、何科を受診すべきか迷うのは自然なことです。
風邪の引き始めや軽症であれば内科でも対応可能ですが、咳が2~3週間以上続く場合は、風邪以外の病気が隠れている可能性が高く、呼吸器内科を受診することが最も推奨されます。
呼吸器内科医は咳の原因疾患の診断と治療の専門家であり、様々な検査を用いて正確な診断を下し、適切な治療法を選択することができます。

また、発熱や息苦しさ、胸痛、血痰などを伴う咳は、緊急性の高い病気のサインである可能性があります。
このような場合は、咳の期間に関わらず、速やかに医療機関を受診してください。

咳の原因は非常に多岐にわたるため、自己判断で市販薬を漫然と使い続けることは、原因疾患の発見を遅らせるリスクを伴います。
長引く咳でお悩みであれば、決して軽視せず、まずは呼吸器内科医に相談し、ご自身の咳の原因をしっかりと調べてもらうことが、早期回復への第一歩となります。

免責事項:

この記事は、一般的な情報提供を目的としており、医師の診断や治療に代わるものではありません。
個々の症状や健康状態は異なるため、具体的な診断や治療については、必ず医師や専門家の判断を仰いでください。
本記事の情報に基づいて行った行為の結果について、当方は一切責任を負いません。


【本記事の作成における補足事項】

記事の信頼性を高めるため、公的機関や専門性の高いウェブサイトの情報参照を試みましたが、今回ご提示いただいたサイトリストには、参照に用いることが許可されているドメイン(.go.jp, .or.jpなど)に該当するものが含まれていなかったため、本文中への具体的な引用やリンク挿入は行っておりません。
記事の内容は、一般的な医学的知見に基づいています。
何卒ご了承ください。

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