咳と喉の痛みは、私たちが日常で経験しやすい不快な症状の代表格です。風邪かな、と思うこともあれば、もう少し深刻な病気なのでは、と不安になることもあるでしょう。なぜ咳や喉の痛みが起こるのか、自分でできるケアにはどんなものがあるのか、そしてどんな時に病院に行くべきなのか。この記事では、咳と喉の痛みに悩むあなたのために、その原因から対処法、医療機関を受診する目安までを医師監修のもと詳しく解説します。つらい症状を正しく理解し、適切な対応をとるためにお役立てください。
咳と喉の痛み、その原因は?
咳や喉の痛みは、私たちの体が異物や刺激から身を守るための防御反応の一つです。空気の通り道である気道(鼻、喉、気管、気管支、肺)に何らかのトラブルが起きているサインとも言えます。原因は多岐にわたり、一時的なものから治療が必要な病気まで様々です。
感染症による原因
最も一般的な原因は、ウイルスや細菌による感染症です。これらの病原体が喉や気道に炎症を引き起こし、咳や痛みを招きます。
風邪(普通感冒)
風邪は、主にライノウイルスやコロナウイルスなど、様々なウイルスによって引き起こされる上気道の急性炎症です。
風邪の初期症状として、喉の痛みやイガイガ感を感じることがよくあります。その後、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳などの症状が現れ、全身倦怠感や微熱を伴うこともあります。咳は初期には乾いた咳(痰が絡まらない咳)であることが多く、病状が進むにつれて痰が絡む湿った咳に変化することがあります。通常は安静にしていれば数日から1週間程度で自然に軽快します。
インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症です。風邪よりも症状が急激かつ重く現れるのが特徴です。
高熱(38℃以上)が突然出て、悪寒、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感といった全身症状が強く現れます。喉の痛みや咳も伴いますが、風邪に比べて全身症状の辛さが際立ちます。咳は乾いた咳が多い傾向がありますが、痰を伴うこともあります。高齢者や基礎疾患がある方は重症化しやすいため注意が必要です。
COVID-19(コロナウイルス感染症)
COVID-19は、SARS-CoV-2というウイルスによって引き起こされる感染症です。症状は非常に多様で、無症状の場合から重症肺炎に至るまで幅広く見られます。
一般的な症状としては、発熱、咳、喉の痛み、倦怠感などが挙げられます。味覚や嗅覚の異常が特徴的な症状として知られていましたが、オミクロン株以降は比較的少なくなっています。咳は乾いた咳や痰を伴う咳、喉の痛みも様々な程度で見られます。インフルエンザと同様に、高齢者や基礎疾患がある方は重症化リスクが高いため、注意が必要です。診断には検査が必要です。
扁桃炎
扁桃炎は、喉の奥にある扁桃というリンパ組織に、主に細菌やウイルスが感染して炎症を起こす病気です。
特徴的な症状は、物を飲み込むのも辛いほどの強い喉の痛みです。扁桃が赤く腫れ、白い膿が付着することもあります。高熱や悪寒、首のリンパ節の腫れを伴うことも多いです。咳は扁桃の炎症が直接的な原因ではないことが多いですが、喉の刺激によって咳が出ることがあります。細菌性の場合は抗生物質による治療が必要です。
気管支炎・肺炎
気管支炎は気管や気管支に炎症が起きる病気で、肺炎は肺に炎症が起きる病気です。風邪やインフルエンザ、COVID-19などがきっかけで起こることがあります。
気管支炎では、コンコンという乾いた咳から始まり、次第に痰が絡む湿った咳に変化することが多いです。胸の痛みや息苦しさを伴うこともあります。肺炎はさらに重症で、高熱、強い咳、息切れ、胸の痛みなどが現れます。酸素を取り込む肺の機能が低下するため、呼吸が苦しくなることもあります。これらの病気は専門的な治療が必要になることが多いため、症状が重い場合や長引く場合は注意が必要です。
これらの一般的な感染症以外にも、咳や喉の痛みを伴うことのある他の感染症も存在します。例えば、全国的に風しんの流行が継続しており、千葉県でも、昨年、200件の届出がありました(https://www.city.katsuura.lg.jp/site/kosodate/1401.htmlより)。風しんとは風疹ウイルスによっておこる急性の発疹性感染症で、『三日ばしか』とも呼ばれ、例年春先から初夏にかけて流行します。風しんにかかったことのない方や予防接種を受けていない方は注意が必要です。
アレルギーによる原因
感染症以外にも、アレルギー反応が咳や喉の痛みを引き起こすことがあります。
花粉やハウスダスト、カビなどのアレルゲンを吸い込むと、体の免疫システムが過剰に反応し、喉や気道の粘膜に炎症を引き起こします。これにより、喉のイガイガ感やかゆみ、そして乾いた咳が出やすくなります。アレルギー性の咳は、特定の季節(花粉症など)や環境(特定の場所、時間帯)で症状が悪化する傾向があります。鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみといった他のアレルギー症状を伴うことが多いのも特徴です。
その他の原因
感染症やアレルギー以外にも、咳や喉の痛みの原因となる病気や状態があります。
逆流性食道炎
胃の内容物や胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜を刺激することで炎症が起きる病気です。食道だけでなく、逆流した胃酸が喉や気管まで達し、刺激することで咳や喉の痛みを引き起こすことがあります。特に寝ている間に逆流が起こりやすく、夜中や朝方に咳き込むことが多い傾向があります。胸やけや胃もたれ、酸っぱいものが込み上げてくる感じ(呑酸)といった胃腸の症状を伴うことが一般的ですが、これらの症状が目立たず、咳や喉の痛みだけが現れることもあります。
後鼻漏
鼻水が喉の奥に流れ落ちる状態です。鼻や副鼻腔の炎症(副鼻腔炎など)によって鼻水が増え、これが喉の粘膜を刺激することで咳や喉の痛みを引き起こします。特に、寝ている間に鼻水が喉に溜まりやすく、朝起きた時に咳が出やすいのが特徴です。鼻詰まりや鼻声、痰が絡む感じといった症状を伴うことが多いです。
喉の乾燥・酷使
空気が乾燥している環境に長時間いたり、声を出しすぎたりすることで、喉の粘膜が乾燥し、傷つきやすくなります。これにより、喉のイガイガ感や軽い痛み、そしてそれを和らげようとする乾いた咳が出ることがあります。特に冬場の乾燥した空気や、暖房の効いた部屋では注意が必要です。また、歌手や教師など、声をよく使う職業の方も喉を酷使することによる痛みや咳を起こしやすい傾向があります。
咳のしすぎで喉が痛い場合
どのような原因であれ、咳を繰り返し強くすることで、喉や気管の粘膜が物理的に刺激され、炎症や傷が生じ、痛みを伴うことがあります。また、咳をする際に喉の筋肉を酷使するため、筋肉痛のような痛みが現れることもあります。これは原因そのものではなく、咳という行為による二次的な症状と言えます。
つらい咳と喉の痛みを和らげる対処法
咳や喉の痛みがつらい時は、症状を和らげるための様々な方法があります。原因に対する治療が必要な場合もありますが、家庭でできるセルフケアや市販薬の活用で、症状の辛さを軽減できることがあります。
家庭でできるセルフケア
病院に行くほどではないと感じる場合や、治療と並行して行うセルフケアは、症状の緩和に有効です。
喉を保湿する
喉の粘膜が乾燥すると、咳や痛みが悪化しやすくなります。湿度を保つことが重要です。
- 加湿器を使う: 特に空気が乾燥しやすい冬場や、エアコンを使用する際は、加湿器を使って室内の湿度を50~60%に保つようにしましょう。
- マスクを着用する: 寝る時や外出時にマスクを着用すると、呼吸によって喉の周りの湿度を保つことができます。特に使い捨ての立体マスクなどは、口元に空間ができて蒸れにくく、保湿効果も期待できます。
- 飴やトローチをなめる: 唾液の分泌を促し、喉を潤す効果があります。はちみつ入りの飴などもおすすめです。ただし、小さいお子さんの場合は誤嚥に注意が必要です。
十分な休息と栄養をとる
体が病原体と戦うためには、十分な休息が必要です。睡眠をしっかりとることで免疫力が維持・向上し、回復を早めることができます。また、バランスの取れた食事で必要な栄養素を摂取することも大切です。特に、ビタミンCやビタミンDなどは免疫機能に関与すると言われています。食事が喉にしみる場合は、お粥やゼリー、スープなど、喉ごしの良いものを選ぶと良いでしょう。
効果的な水分補給
喉の乾燥を防ぐだけでなく、体全体の水分を維持することは重要です。水分をしっかり摂ることで、痰を柔らかくして出しやすくする効果も期待できます。
- こまめに水分を摂る: 一度に大量に飲むのではなく、少量ずつ頻繁に水分を摂るのが効果的です。
- 温かい飲み物: 温かい飲み物は、喉の痛みを和らげ、リラックス効果も期待できます。はちみつを溶かしたお湯や生姜湯、ノンカフェインのお茶などがおすすめです。ただし、熱すぎる飲み物はかえって喉を刺激することがあるので注意が必要です。
うがい・トローチの活用
喉の炎症を抑えたり、菌やウイルスを洗い流したりするために、うがいやトローチが有効です。
- うがい: 外出後や寝る前などに、水や生理食塩水、あるいはうがい薬を使ってうがいをすることで、喉に付着した病原体やアレルゲンを洗い流すことができます。炎症を抑える成分が含まれたうがい薬もあります。
- トローチ: 殺菌成分や抗炎症成分、または局所麻酔成分などが含まれており、喉の痛みや炎症を和らげる効果があります。口の中でゆっくり溶かしながら使用します。
症状に合わせた市販薬の選び方
市販薬は、症状の緩和に役立ちますが、原因そのものを治すわけではありません。また、薬にはそれぞれ特徴があり、症状に合わせて選ぶことが大切です。薬剤師や登録販売者に相談して選ぶことをお勧めします。
喉の痛みに効く市販薬
喉の痛みの主な原因は炎症です。炎症を抑える成分が含まれた薬を選びましょう。
- 抗炎症成分: イブプロフェン、ロキソプロフェン、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や、トラネキサム酸、アズレンスルホン酸ナトリウムなどの成分があります。これらの成分は、喉の炎症を抑え、痛みを和らげます。トローチ、ドロップ、スプレー、内服薬など様々なタイプがあります。
- 殺菌・消毒成分: セチルピリジニウム塩化物など。喉の表面の菌を抑える効果が期待できます。トローチやうがい薬に含まれます。
- 局所麻酔成分: ジブカイン塩酸塩など。一時的に喉の痛みの感覚を麻痺させて和らげます。ドロップなどに含まれることがあります。
成分の種類 | 主な作用 | 適した症状 | 剤形例 |
---|---|---|---|
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) (イブプロフェン、ロキソプロフェンなど) |
炎症を抑え、痛みを鎮める | 強い喉の痛み、発熱を伴う喉の痛み | 内服薬 |
トラネキサム酸 | 炎症・腫れを抑える | 喉の腫れや痛みが気になる | 内服薬 |
アズレンスルホン酸ナトリウム | 炎症を抑える | 喉の軽い痛みやイガイガ感 | うがい薬、スプレー |
セチルピリジニウム塩化物 | 殺菌・消毒 | 喉の表面の菌が気になる、予防的に使用したい | トローチ、ドロップ、うがい薬 |
ジブカイン塩酸塩 | 局所麻酔 | 一時的に痛みを早く和らげたい | ドロップ |
咳に効く市販薬
咳の種類(乾いた咳か、痰が絡む咳か)によって適した薬が異なります。
- 鎮咳成分: 咳中枢に作用して咳を鎮める成分です。コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物などがあります。乾いた咳(空咳)や、コンコンと続く咳に使われます。ただし、痰が絡む咳に使うと、痰を出すために必要な咳まで抑えてしまい、かえって症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。コデイン類は依存性のリスクや副作用があるため、使用上の注意をよく守る必要があります。
- 去痰成分: 気道に溜まった痰を柔らかくしたり、気道の粘膜の働きを助けたりして、痰を出しやすくする成分です。カルボシステイン、L-カルボシステイン、ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩などがあります。痰が絡んで咳き込む場合や、痰が切れにくい場合に有効です。
成分の種類 | 主な作用 | 適した症状 | 剤形例 |
---|---|---|---|
鎮咳成分 (コデイン、デキストロメトルファンなど) |
咳中枢に作用して咳を抑える | 乾いた咳、コンコンと続く咳、眠りを妨げるような咳 | 内服薬(錠剤、シロップ) |
去痰成分 (カルボシステイン、ブロムヘキシンなど) |
痰を柔らかくし、排出しやすくする | 痰が絡む咳、痰が切れにくい咳 | 内服薬(錠剤、シロップ)、吸入薬 |
市販薬を選ぶ際は、自分の症状が乾いた咳なのか、痰が絡む咳なのかをよく観察し、適切な成分の薬を選ぶことが大切です。また、他の薬を服用している場合や、持病がある場合は、必ず薬剤師や登録販売者に相談してください。
咳と喉の痛みはいつまで続く?経過の目安
咳と喉の痛みの症状が続く期間は、原因によって異なります。
一般的な風邪の場合、喉の痛みは比較的初期に現れ、数日でピークを越えて1週間以内には改善することが多いです。咳は少し遅れて出始め、風邪の他の症状が改善した後も長引くことがあります。咳だけが2週間〜3週間程度続くことも珍しくありません。これを感染後咳嗽(かんせんごがいそう)と呼び、気道の過敏性が高まっているために起こると考えられています。
インフルエンザやCOVID-19の場合も、多くは1〜2週間程度で症状は改善に向かいます。しかし、肺炎などを合併すると、症状が長引いたり重症化したりすることがあります。
アレルギー性の咳や喉の痛みは、アレルゲンに曝露している間は続く可能性があります。花粉症であれば花粉の飛散時期が終わるまで、ハウスダストであれば原因を取り除く対策をするまで症状が見られることがあります。
逆流性食道炎や後鼻漏による咳や喉の痛みは、それぞれの原因となる病気に対する適切な治療を行わないと改善しにくく、長期間続くことがあります。
咳が3週間以上続く場合は「遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)」、8週間以上続く場合は「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」と呼ばれ、感染後咳嗽以外の様々な原因(喘息、咳喘息、慢性閉塞性肺疾患、結核、肺がん、心不全など)が考えられます。安易に自己判断せず、医療機関を受診して原因を調べることが重要です。
咳と喉の痛み、熱がない場合の原因と対処法
咳と喉の痛みがあるけれど、熱はないという場合もよくあります。この場合、感染症の中でも比較的軽症である可能性や、感染症以外の原因が考えられます。
熱がない場合の咳と喉の痛みの原因として比較的多いのは、
- 風邪の初期や回復期: 熱が出ないか、あっても微熱で済む場合があります。
- アレルギー: アレルギー反応は炎症を伴いますが、必ずしも発熱するわけではありません。
- 逆流性食道炎: 胃酸の刺激による炎症なので、通常発熱はありません。
- 後鼻漏: 鼻や副鼻腔の炎症が原因ですが、軽度であれば発熱しないこともあります。
- 喉の乾燥や酷使: 物理的な刺激や炎症なので、発熱はありません。
- 咳のしすぎによる喉の痛み: 咳によって喉を傷めた状態なので、発熱はありません。
これらの原因に対する対処法としては、前述のセルフケア(喉の保湿、水分補給、休息など)が基本となります。特に、熱がないということは全身の消耗は比較的少ないことが多いですが、だからといって無理は禁物です。
市販薬を使う場合は、喉の痛みが主であれば抗炎症成分を含むもの、咳が主であれば咳の性質(乾いた咳か痰が絡むか)に合わせて鎮咳成分や去痰成分を含むものを選びます。ただし、熱がないからといって重症ではないとは限りません。症状が辛い場合や、いつもと様子が違うと感じる場合は、医療機関を受診することが大切です。特に、息苦しさがある場合や、水分も摂れないほど喉が痛い場合は、熱がなくても受診が必要です。
咳と喉の痛みがある場合の病院受診目安
多くの咳や喉の痛みは、安静やセルフケア、市販薬で数日から1週間程度で改善することが期待できます。しかし、中には医療機関での診察や治療が必要なケースもあります。以下のような場合は、早めに医療機関を受診することを検討しましょう。
こんな症状は要注意
咳や喉の痛みに加えて、以下のような症状が見られる場合は注意が必要です。
- 息苦しさや呼吸困難がある: 呼吸器の機能が低下している可能性があり、肺炎や気管支炎、喘息発作などが考えられます。
- 38℃以上の高熱が続く: インフルエンザや細菌性扁桃炎、肺炎など、より重い感染症の可能性が考えられます。
- 胸の痛みがある: 肺炎、気管支炎、心臓の病気などが関連している可能性もゼロではありません。
- 血痰が出る: 気道や肺からの出血が考えられ、精密検査が必要な場合があります。
- 声枯れが長く続く(2週間以上): 喉の炎症だけでなく、ポリープや腫瘍など他の原因が考えられます。
- 水分も摂れないほど喉が痛い: 脱水のリスクや、重度の扁桃炎などが考えられます。
- 全身倦怠感が強く、日常生活に支障がある: 体力が著しく消耗している可能性があります。
- 持病がある(心臓病、肺の病気、糖尿病など)または高齢者: 重症化のリスクが高い可能性があります。
何日で受診すべきか
症状の程度や上記のような危険信号があるかどうかが判断のポイントになります。
- 症状が軽い場合: セルフケアや市販薬で様子を見ても良いですが、症状が5日〜1週間程度経っても改善しない、あるいは悪化する場合は受診を検討しましょう。
- 症状が比較的重い場合(高熱、強い痛みなど): 2〜3日様子を見ても改善が見られない場合、あるいは症状が悪化する場合は早めに受診しましょう。
- 上記「こんな症状は要注意」に該当する症状がある場合: 迷わず、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
- 咳だけが3週間以上続く場合: 感染後咳嗽の可能性もありますが、他の原因も考えられるため、一度医療機関で相談することをお勧めします。
症状の種類・経過 | 受診検討の目安 | 考えられる原因例 |
---|---|---|
咳、喉の痛みのみで比較的軽い | 5日〜1週間程度様子を見て改善なければ | 風邪、アレルギー、乾燥・酷使、軽い後鼻漏など |
咳、喉の痛みに加えて高熱、強い倦怠感がある | 2〜3日様子を見て改善なければ、または悪化すれば | インフルエンザ、COVID-19、細菌性扁桃炎、肺炎など |
息苦しさ、呼吸困難がある | 速やかに受診 | 肺炎、気管支炎、喘息発作、COVID-19など |
胸の痛みがある | 速やかに受診 | 肺炎、気管支炎、心疾患など |
血痰が出る | 速やかに受診 | 気管支炎、肺炎、結核、肺がんなど |
声枯れが2週間以上続く | 耳鼻咽喉科を受診 | 喉頭炎、声帯ポリープ、喉頭がんなど |
水分も摂れないほどの強い喉の痛み | 速やかに受診 | 重度の扁桃炎、扁桃周囲膿瘍など |
咳だけが3週間以上続く | 医療機関で相談 | 感染後咳嗽、咳喘息、喘息、逆流性食道炎、後鼻漏、結核、肺がんなど |
持病がある方、高齢者で症状がある場合 | 症状が軽くても早めに受診を検討 | 重症化リスクが高いため |
何科を受診するか迷う場合は、まずは内科やかかりつけ医に相談するのが良いでしょう。必要に応じて耳鼻咽喉科や呼吸器内科などの専門医を紹介されることもあります。
まとめ:咳と喉の痛みの正しい理解と適切な対応
咳と喉の痛みは非常によくある症状ですが、その原因は風邪のような軽いものから、治療が必要な病気まで多岐にわたります。自分の症状をよく観察し、原因に合わせた適切な対処法を選ぶことが重要です。
家庭でできるセルフケアとして、喉の保湿、十分な休息と栄養、効果的な水分補給、うがいやトローチの活用は、症状の緩和に有効です。市販薬を使う場合は、咳や喉の痛みの原因や性質に合わせて、薬剤師や登録販売者に相談しながら適切なものを選びましょう。
症状の経過にも注意が必要です。一般的な風邪であれば1〜2週間程度で改善することが多いですが、咳だけが長引く場合や、症状が悪化する場合、あるいは息苦しさや高熱などの危険なサインが見られる場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。熱がなくても注意が必要な症状はあります。
この記事で解説した情報が、あなたの咳と喉の痛みの辛さを和らげ、適切な行動をとるための一助となれば幸いです。
免責事項:
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスや診断に代わるものではありません。個々の症状や病状は異なりますので、ご自身の健康状態に関して懸念がある場合や、判断に迷う場合は、必ず医師や薬剤師などの医療専門家にご相談ください。この記事の情報に基づいて行った行動によって生じたいかなる結果についても、当方は責任を負いかねます。