足の付け根の痛みが片方だけ…女性に多い原因と病院の目安

足の付け根の痛みに悩む女性は少なくありません。特に、痛みが片方だけに出ている場合、一体何が原因なのか、どうすれば良くなるのか、不安に感じることもあるでしょう。この記事では、女性の足の付け根が片方だけ痛む様々な原因から、ご自身でできる対処法、そして病院に行くべき目安や適切な診療科まで、詳しく解説します。ご自身の痛みの特徴と照らし合わせながら、改善のための第一歩を踏み出しましょう。

目次

女性の足の付け根、片方だけ痛む原因とは?

女性の足の付け根、特に鼠径部(そけいぶ)周辺の痛みは、様々な原因が考えられます。痛みが片方だけに限定されている場合、そこにはいくつかの特徴や背景が隠されていることが多いです。

片方だけの痛みに隠された特徴

なぜ両方ではなく、片方の足の付け根だけが痛むのでしょうか。これは、体の使い方や特定の部位への負担が偏っているサインかもしれません。

  • 日常の癖や習慣: 片側の足に重心をかけて立つ癖、特定の姿勢で座り続ける、片側だけで重い荷物を持つなどが原因で、体のバランスが崩れ、片方の股関節や骨盤周辺に過度な負担がかかることがあります。
  • スポーツや運動: ランニングや片側に体重をかけるスポーツなど、特定の動作を繰り返すことで、片側の筋肉や関節にストレスが集中し、炎症や痛みを引き起こすことがあります。
  • 骨盤の歪み: 骨盤が左右どちらかに傾いたり、ねじれたりしていると、その影響で片側の股関節や周囲の筋肉に負担がかかりやすくなります。出産や姿勢の悪さが骨盤の歪みの原因となることがあります。
  • 病気や怪我: 股関節自体の問題(変形、炎症など)や、周囲の神経や血管の問題が片側に起こっている場合、痛みが片方だけに現れます。

このように、片側だけの痛みは、体の非対称性や特定の部位への偏った負荷が原因となっているケースが多いです。

足の付け根 片方だけの痛みの主な原因

足の付け根の片方の痛みには、整形外科的な問題から内科的な問題、神経系の問題まで、多岐にわたる原因が考えられます。

股関節の不調や病気

足の付け根の痛みの原因として最も一般的なのは、股関節に関連する問題です。

  • 変形性股関節症: 股関節の軟骨がすり減り、関節が変形することで痛みが生じます。初期には歩き始めや動き始めに痛みが出ることが多く、進行すると安静時にも痛むようになります。女性に比較的多く、片方だけに症状が出ることもあります。変形性股関節症について(日本整形外科学会)変形性股関節症について(NHK健康チャンネル)も参照してください。
  • 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI): 股関節の骨の形状に異常があり、股関節を大きく動かした際に骨と骨がぶつかり合う(インピンジメント)ことで痛みが生じます。スポーツをする若い女性にも見られます。特定の動きで足の付け根の内側や外側が痛むのが特徴です。大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)について(日本整形外科学会)も詳しい情報を提供しています。
  • 臼蓋形成不全: 股関節の受け皿である臼蓋(きゅうがい)の形成が不十分な状態で、生まれつき股関節が不安定になりやすい体質です。若い頃は無症状でも、加齢とともに股関節に負担がかかり、痛みや変形性股関節症に進行することがあります。これも片方だけに症状が出ることがあります。
  • 関節唇損傷: 股関節の関節唇(かんせつしん)という軟骨組織が損傷することで、痛みやひっかかり感が生じます。スポーツ外傷や臼蓋形成不全が原因となることがあります。
  • 股関節炎: 股関節に炎症が起きることで痛み、腫れ、熱感などが生じます。感染や他の病気が原因となることもあります。

骨盤の歪み

骨盤の歪みも、片方の足の付け根の痛みに大きく関わります。

  • 仙腸関節炎: 骨盤の一部である仙骨と腸骨をつなぐ仙腸関節に炎症が起きることで、腰や臀部だけでなく、足の付け根に痛みが放散することがあります。片側の仙腸関節の動きが悪くなったり、炎症が起きたりすることで、片側の足の付け根に負担がかかりやすくなります。
  • 姿勢の悪化: 猫背や反り腰、片側に体重をかけた座り方や立ち方などが、骨盤のバランスを崩し、片側の股関節周囲に負担をかけ、痛みの原因となります。

筋肉や靭帯の問題

足の付け根周辺には多くの筋肉や靭帯があり、これらに問題が生じても痛みが起こります。

  • 内転筋群の痛み: 太ももの内側にある内転筋は、股関節の内転(足を閉じる動き)に関わります。スポーツや過度の使用により、内転筋の筋肉痛、筋挫傷、腱鞘炎などが起こり、足の付け根の内側が痛むことがあります。開脚や内転の動きで痛みが強くなることが多いです。
  • 腸腰筋の痛み: お腹の奥深くにある腸腰筋は、股関節の屈曲(太ももを上げる動き)に関わります。長時間座っていたり、急激な運動を行ったりすることで緊張し、足の付け根の前側が痛むことがあります。階段を昇る、座った状態から立ち上がるなどの動作で痛みが強くなる傾向があります。
  • 恥骨結合炎: 骨盤の前面にある恥骨結合部に炎症が起きるもので、特にランニングやサッカーなどのスポーツ選手に多く見られます。股関節の内側や下腹部、足の付け根にかけて痛みが広がることがあります。片側だけに痛みが出ることもあります。
  • 靭帯損傷/炎症: 股関節周囲にはいくつかの強い靭帯があり、これらが損傷したり炎症を起こしたりすると痛みの原因となります。

神経の圧迫や炎症

神経が圧迫されたり炎症を起こしたりすることで、足の付け根に痛みやしびれが現れることがあります。

  • 坐骨神経痛: 腰やお尻で坐骨神経が圧迫されることで、お尻から太ももの裏側、ふくらはぎにかけて痛みやしびれが生じることが多いですが、稀に足の付け根の外側や裏側に痛みが放散することもあります。椎間板ヘルニアや梨状筋症候群などが原因となります。
  • 外側大腿皮神経痛: 太ももの外側の皮膚の感覚を司る神経(外側大腿皮神経)が、足の付け根周辺で圧迫されることで、太ももの外側にしびれや痛みが現れます。タイトな衣服や肥満、妊娠などが原因となることがあります。足の付け根の外側から太もも外側にかけて症状が出ます。

リンパ節の腫れ

足の付け根(鼠径部)にはリンパ節があり、感染症や炎症などによってリンパ節が腫れて痛みを引き起こすことがあります。触るとコリコリとして痛みを伴うしこりのように感じられることがあります。風邪、性感染症、下肢の炎症などが原因となることがあります。

女性特有の痛みの原因

女性は、体の構造やホルモンバランスの変化により、足の付け根の痛みを経験しやすい場合があります。

妊娠・出産の影響

妊娠中は、胎児の成長や姿勢の変化、体重増加、ホルモン(リラキシンなど)の影響による骨盤の関節や靭帯の緩みなどが原因で、足の付け根や骨盤周辺に痛みが生じやすくなります。出産後も、骨盤が元の状態に戻る過程や、授乳や抱っこによる姿勢の負担などから痛みが続くことがあります。特に産後は骨盤の歪みが残りやすく、片側の足の付け根に痛みが集中する原因となることがあります。

生理やホルモンバランスの変化

生理前や生理中に、ホルモンバランスの変化(特にリラキシンの分泌増加)により、骨盤の関節や靭帯が緩みやすくなり、足の付け根に痛みが現れることがあります。また、更年期になると女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、骨や関節、筋肉の健康が損なわれやすくなるため、股関節痛などの原因となることがあります。

婦人科系の疾患

稀ではありますが、子宮や卵巣などの婦人科系の疾患が、足の付け根に痛みを引き起こすことがあります。

  • 子宮内膜症: 子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所にでき、炎症や癒着を引き起こす病気です。下腹部痛が主ですが、足の付け根に痛みが放散することもあります。
  • 卵巣嚢腫や卵巣の腫瘍: 卵巣にできた腫れものが大きくなったり、茎捻転(ねじれ)を起こしたりすると、下腹部痛や腰痛が生じ、足の付け根に痛みが感じられることがあります。片方の卵巣の問題であれば、片方の足の付け根に痛みが現れやすいです。
  • 骨盤内炎症性疾患: 子宮や卵管、卵巣などに細菌感染が起こり炎症を起こす病気です。下腹部痛や発熱が主ですが、足の付け根に関連痛が生じることもあります。

これらの婦人科系の疾患による痛みは、婦人科での診察が必要です。

年代別の原因(例:40代女性に多い原因)

足の付け根の痛みの原因は、年代によって傾向が異なります。

  • 20代~30代: スポーツや過度な運動による筋肉や靭帯の損傷、FAI(大腿骨寛骨臼インピンジメント)、妊娠・出産による骨盤の負担などが比較的多く見られます。骨盤の歪みや姿勢の悪さからくる痛みもこの年代で顕著になることがあります。
  • 40代~50代: 加齢による股関節の軟骨の変性(変形性股関節症の初期)、更年期によるホルモンバランスの変化、骨盤底筋群の衰えなどが原因となることがあります。また、仕事や育児による長年の体の使い方の癖が、この年代になって痛みを引き起こすケースも少なくありません。婦人科系の疾患による関連痛の可能性も考慮すべき年代です。
  • 60代以降: 変形性股関節症の進行、骨粗鬆症による骨折リスクの上昇などが主な原因となります。加齢に伴う筋力低下やバランス能力の低下も、股関節への負担を増やし痛みに繋がることがあります。

特に40代女性の場合、仕事や家事、育児などで忙しく、自身の体のケアを後回しにしがちな時期です。更年期に向けてホルモンバランスが変化し始めることもあり、これまで経験したことのない体の不調を感じることも増えます。長年の体の使い方の癖や、蓄積された疲労、そしてホルモン変化が複合的に影響し、片方の足の付け根に痛みが出やすい年代と言えるでしょう。

足の付け根 片方だけの痛みの主な原因のまとめ

原因の分類 主な例 特徴 関連する診療科(目安)
股関節の不調/病気 変形性股関節症、FAI、臼蓋形成不全、関節唇損傷、股関節炎 歩き始めの痛み、特定の動きでの痛み、関節のひっかかり、安静時痛(進行期) 整形外科
骨盤の歪み 仙腸関節炎、姿勢の悪化 腰や臀部からの放散痛、片側の負担増、特定の姿勢での痛み 整形外科、整骨院/整体
筋肉/靭帯の問題 内転筋痛、腸腰筋痛、恥骨結合炎、靭帯損傷/炎症 筋肉や腱を押すと痛む、特定の動き(開脚、屈曲など)で痛む、スポーツ後に出やすい 整形外科、スポーツ整形
神経の圧迫/炎症 坐骨神経痛(稀に)、外側大腿皮神経痛 しびれや放散痛を伴うことがある、感覚異常、特定の姿勢や圧迫で症状が出やすい 整形外科、脳神経外科
リンパ節の腫れ 感染症、炎症 鼠径部のしこり、触ると痛む、発熱や他の感染症状を伴うことがある 内科、外科、皮膚科
女性特有の要因 妊娠・出産、生理/ホルモンバランス、子宮内膜症、卵巣嚢腫、骨盤内炎症性疾患 妊娠中/産後の発症、生理周期に関連、下腹部痛や不正出血などを伴うことがある、婦人科の既往歴や症状 産婦人科/婦人科

※上記の表は一般的な目安です。症状によっては他の原因や診療科も考えられます。

足の付け根 片方だけの痛みの対処法と予防

足の付け根の片方の痛みに対して、ご自身でできる対処法や、痛みを予防するための方法をご紹介します。

まずは安静とセルフチェック

痛みが出始めたら、まずは無理な動きを避け、安静にすることが重要です。特に炎症が疑われる場合は、無理に動かすと悪化することがあります。

  • 安静: 痛む側の足に負担をかけないように、できるだけ安静に過ごしましょう。激しい運動や長時間歩くことは避けてください。
  • 冷却: 痛みが強く熱感や腫れがある場合は、炎症を抑えるために患部を冷やすことが効果的です。氷嚢や保冷剤をタオルで包んで、15分程度冷やしましょう。ただし、慢性的な痛みの場合は温める方が良いこともあります。
  • セルフチェック: どんな時に痛むのか(歩くとき、立ち上がるとき、特定の姿勢など)、痛みの強さ、痛む場所(内側、外側、前側、奥など)、他に症状(しびれ、熱感、腫れなど)はないか、などを観察しましょう。片方だけの痛みの場合、痛む側の体の使い方に癖がないか(片側に重心をかける、片側の足だけ組むなど)も意識してみましょう。これらの情報は、病院を受診した際に医師に伝える上で役立ちます。

痛みを和らげる日常ケア

日々の生活の中で、足の付け根への負担を減らし、痛みを和らげるためのケアを取り入れましょう。

正しい姿勢を意識する

姿勢は、体のバランスに大きく影響します。特に片方だけの痛みは、姿勢の偏りが原因の可能性があります。

  • 立つとき: 体重を左右均等にかけるように意識しましょう。片足に重心をかける癖をやめます。
  • 座るとき: 背筋を伸ばし、骨盤を立てて座ります。足を組む癖がある人は、左右均等に組むか、できるだけ組まないようにします。椅子の高さが合っているか、長時間同じ姿勢でいないかも確認しましょう。
  • 歩くとき: 左右の足で均等に地面を踏みしめるように意識します。大股すぎず、小股すぎず、自然な歩幅で歩きましょう。

体重管理と適度な運動

体重が増えると、股関節への負担が増します。適正体重を維持することが、痛みの軽減や予防に繋がります。また、適度な運動は、股関節周囲の筋力を維持・向上させ、関節を安定させるのに役立ちます。

  • ウォーキング: 股関節への負担が比較的少なく、全身の血行を促進します。痛みが強い場合は無理せず、痛みのない範囲で行いましょう。
  • 水中ウォーキング: 水の浮力で体重の負担が軽減されるため、陸上での運動が難しい場合でも行いやすいです。
  • 筋力トレーニング: 股関節を支えるお尻(大殿筋、中殿筋)や体幹の筋肉を鍛えることで、股関節への負担を減らすことができます。専門家の指導のもと、安全に行いましょう。

体を温める

慢性的な痛みの場合は、患部を温めることで血行が促進され、筋肉の緊張が和らぎ、痛みが軽減されることがあります。

  • 入浴: 湯船にゆっくり浸かることで、全身の血行が良くなります。
  • ホットパックや使い捨てカイロ: 痛む場所に直接貼ることで、局所的に温めることができます。低温やけどに注意しましょう。
  • 腹巻きやブランケット: お腹や腰周りを冷やさないようにすることも、骨盤周辺の血行維持に役立ちます。

ただし、急な痛みや熱感がある場合は、温めることで炎症が悪化する可能性があるため、冷却を優先してください。判断に迷う場合は専門家に相談しましょう。

片方の痛みに有効なストレッチ・体操

足の付け根の痛みが、筋肉の緊張や骨盤の歪みから来ている場合、ストレッチや体操が有効です。ただし、痛みがある時に無理に行うと悪化することがあります。痛みのない範囲で、ゆっくりと行いましょう。

足の付け根 内側のストレッチ

内転筋群の柔軟性を高めるストレッチです。

  • 開脚前屈ストレッチ: 床に座り、両足を大きく開きます。背筋を伸ばし、ゆっくりと体を前に倒します。足の付け根の内側が心地よく伸びるのを感じましょう。痛みを感じたら無理せず、できる範囲で行います。
  • カエル足ストレッチ: 四つん這いになり、膝を肩幅より大きく開きます。股関節を開くようにして、肘をついて体を前に倒します。内転筋が伸びるのを感じます。

足の付け根 外側のストレッチ

股関節の外旋筋や大殿筋などを伸ばすストレッチです。

  • 仰向け股関節外旋ストレッチ: 仰向けになり、片方の膝を立てます。反対側の足首を立てた膝の上に乗せ、そのまま膝を自分の方に引き寄せます。お尻から足の付け根の外側にかけて伸びるのを感じます。
  • 横向きレッグリフト: 横向きになり、下側の腕で頭を支えます。上の足をまっすぐ伸ばし、お尻の外側を意識しながらゆっくりと上に持ち上げます。これはストレッチというよりは筋力トレーニングですが、股関節の外側を安定させるのに役立ちます。

骨盤の歪みを整えるストレッチ

骨盤周りの筋肉のバランスを整え、骨盤の歪みを改善に導くストレッチです。

  • キャット&カウ(猫のポーズ): 四つん這いになり、息を吐きながら背中を丸め(猫のポーズ)、息を吸いながら背中を反らせます(牛のポーズ)。骨盤の動きを滑らかにします。
  • ブリッジ: 仰向けになり、膝を立てて足裏を床につけます。息を吐きながらゆっくりとお尻を持ち上げ、背中を反らせます。骨盤周りの筋肉を活性化させます。
  • お尻伸ばしストレッチ: 仰向けになり、片方の膝を抱え込み、お腹に引き寄せます。お尻や腰の筋肉の緊張を和らげます。

これらのストレッチは、毎日続けることで効果が得られやすくなります。無理な痛みを感じたらすぐに中止し、専門家(理学療法士など)に相談することをおすすめします。

医療機関の受診目安と何科に行くべきか

ご自身でのケアで改善が見られない場合や、症状が強い場合は、医療機関を受診することが重要です。自己判断で放置せず、専門家の診断を受けましょう。

こんな症状は危険信号!

以下のような症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。

  • 痛みが急激に強くなった
  • 安静にしていても痛む
  • 夜間も痛みが強く眠れない
  • 痛みに加えて発熱がある
  • 足の付け根が腫れている、熱を持っている
  • 足に痺れがある、感覚が鈍い
  • 体重が意図せず減少した
  • 歩行が困難になった
  • 痛みが数週間以上続いている、または悪化している
  • ご自身で原因が全く分からない

これらの症状は、単なる筋肉疲労ではなく、より重篤な病気が隠されている可能性を示唆しています。

足の付け根の痛みは何科で診てもらう?

足の付け根の痛みの原因は多岐にわたるため、どの科を受診すれば良いか迷うことがあるかもしれません。一般的な目安は以下の通りです。

整形外科

足の付け根の痛みの原因が、骨、関節、筋肉、靭帯、神経系に関わるものである可能性が最も高いです。変形性股関節症、FAI、筋肉の痛み、坐骨神経痛などは整形外科の専門分野です。まずは整形外科を受診するのが最も一般的で適切な選択と言えるでしょう。レントゲンやMRIなどの画像検査で、骨や関節の状態を詳しく調べることができます。

婦人科

妊娠・出産に関連する痛みや、生理周期に伴う痛み、子宮筋腫や卵巣嚢腫など婦人科系の疾患が原因で痛みが起きている可能性がある場合は、婦人科の受診を検討しましょう。特に、下腹部痛や生理周期の異常、不正出血などを伴う場合は、婦人科的な原因が疑われます。

その他(泌尿器科など)

稀なケースですが、尿路結石などが原因で、関連痛として足の付け根に痛みを感じることがあります。発熱や排尿時の痛みを伴う場合は、泌尿器科の受診も視野に入れる必要があります。

迷う場合は、かかりつけ医や総合病院の受付で症状を伝え、適切な診療科について相談してみるのも良いでしょう。

病院での診断と治療法

病院では、医師による問診と診察が行われ、必要に応じて検査が行われます。

  • 問診・診察: いつから、どのような痛みがあるのか、痛む場所、痛みの性質(ズキズキ、ジンジンなど)、痛みが強くなる動作、他の症状などを詳しく聞かれます。医師が足の付け根や股関節の動き、筋肉の状態などを触診・視診します。
  • 画像診断(レントゲン・MRIなど):
    • レントゲン: 骨の形や関節の隙間、変形の有無などを確認できます。変形性股関節症や骨の構造異常の診断に有用です。
    • MRI: 骨だけでなく、軟骨、靭帯、筋肉、神経などの状態を詳しく見ることができます。関節唇損傷や筋肉・神経の問題、腫瘍などが疑われる場合に用いられます。
    • CT: 骨の詳細な構造を立体的に把握するのに適しています。
    • 超音波(エコー)検査: 筋肉や靭帯、血管、リンパ節の状態などをリアルタイムで確認できます。簡便に行える検査です。
  • 血液検査: 炎症の程度やリウマチなどの自己免疫疾患、感染症などが疑われる場合に行われることがあります。
  • 尿検査: 泌尿器系の問題が疑われる場合に行われます。

診断に基づき、適切な治療法が選択されます。

  • 薬物療法:
    • 鎮痛剤: 痛みを和らげるために使用されます。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが一般的です。
    • 湿布薬: 局所の炎症や痛みを和らげるために使用されます。
    • 筋弛緩剤: 筋肉の緊張が痛みの原因となっている場合に使用されることがあります。
    • 神経障害性疼痛治療薬: 神経の圧迫や炎症による痛みに使用されることがあります。
    • 注射: 関節内にヒアルロン酸製剤やステロイド剤を注射し、痛みや炎症を抑える治療法もあります。
  • リハビリテーション:
    • 運動療法: 股関節周囲の筋肉を強化したり、柔軟性を改善したりすることで、関節の安定性を高め、痛みを軽減します。ストレッチや筋力トレーニングなどを専門家(理学療法士)の指導のもとで行います。
    • 物理療法: 温熱療法、電気療法、超音波療法などを用いて、血行促進や痛みの緩和を図ります。
    • 徒手療法: 専門家が手を使って、関節の動きを整えたり、筋肉の緊張をほぐしたりします。
  • 手術: 変形性股関節症が進行し、薬物療法やリハビリテーションで痛みが改善しない場合などには、人工股関節置換術などの手術が検討されることがあります。

痛みの原因や程度によって、これらの治療法が単独で、あるいは組み合わせて行われます。医師とよく相談し、ご自身に合った治療法を選択することが大切です。

まとめ|足の付け根の片方だけの痛み、原因を知り適切に対処しましょう

女性の足の付け根の片方の痛みは、日常生活の癖や姿勢、運動習慣、そして股関節や骨盤、筋肉、神経、リンパ節、さらには女性特有の要因(妊娠・出産、ホルモンバランス、婦人科系疾患)など、様々な原因が考えられます。片方だけの痛みは、体のバランスの偏りを示唆していることが多く、その特徴を知ることが原因特定の手がかりとなります。

痛みが軽度であれば、まずは安静、冷却(または温熱)、正しい姿勢の意識、体重管理、適度な運動、そして股関節や骨盤周りのストレッチや体操などのセルフケアを試してみましょう。特に片方だけの痛みの場合、痛む側に負担をかけている癖を見直し、体の使い方を改善することが重要です。

しかし、痛みが強かったり、安静にしても改善が見られなかったり、発熱や痺れなどの危険信号を伴う場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診してください。足の付け根の痛みは、整形外科が最も一般的な受診先ですが、症状によっては婦人科なども考慮が必要です。病院では、問診や画像検査などによって痛みの原因を特定し、適切な薬物療法やリハビリテーションなどの治療を受けることができます。

足の付け根の片方だけの痛みは、体のバランスが崩れているサインかもしれません。ご自身の痛みの特徴を把握し、日々のケアを見直すとともに、必要であれば専門家の力を借りて、原因に適切に対処し、痛みのない快適な毎日を取り戻しましょう。

※この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断や治療法を推奨するものではありません。個々の症状については、必ず医療機関で医師の診断を受けてください。

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