右の骨盤の横が痛い!考えられる原因と対処法【歩く・押すと痛い時】

骨盤の横が痛い、特に右側に痛みを感じているあなたは、日常生活で不便を感じたり、何かの病気ではないかと不安に思ったりしているかもしれません。骨盤周りの痛みは、原因が一つとは限らず、骨や関節、筋肉、神経の問題から、時には内臓の不調が隠れていることもあります。

この記事では、「骨盤の横が痛い 右」という症状について、考えられる様々な原因や、注意すべき危険なサイン、適切な受診先、そして自宅でできる対処法や予防策までを詳しく解説します。あなたの痛みの原因を探るヒントが見つかるかもしれません。

目次

右の骨盤の横が痛い原因とは?

右の骨盤の横に痛みを感じる場合、その原因は多岐にわたります。単なる筋肉の疲労から、骨格や関節の異常、神経の圧迫、さらには内臓の疾患まで、様々な可能性が考えられます。痛みの種類(鈍痛、鋭い痛み、ズキズキ、ピリピリなど)や、痛むタイミング(安静時、動作時、特定の姿勢など)、併発する症状などによって、原因を推測することができます。

ここでは、右の骨盤の横の痛みの主な原因をカテゴリー別に分けて詳しく見ていきましょう。

骨格や関節の問題

骨盤やその周囲の関節に問題がある場合、右の骨盤の横に痛みが生じることがあります。これらの構造的な問題は、体のバランスを崩し、特定の部位に過剰な負担をかけることで痛みを引き起こします。

骨盤の歪み・ズレ

骨盤は、体の中心で上半身と下半身をつなぐ重要な骨格です。日常的な姿勢の悪さや体の使い方の癖、出産などが原因で、骨盤に歪みやズレが生じることがあります。

例えば、いつも同じ側の足に体重をかけて立つ、片側に重心を置いて座る、長時間足を組むといった習慣は、骨盤を左右非対称に歪ませる原因となります。骨盤が歪むと、それに付着する筋肉や靭帯にも無理な負担がかかり、痛みが生じやすくなります。右の骨盤が左に比べて前に傾いたり、上に上がったりといった歪みがあると、右側の筋肉や関節に負担が集中し、骨盤の右側面に痛みとして現れることがあります。

このような骨盤の歪みは、自覚しにくいこともありますが、鏡で体の左右差(肩の高さ、ウエストの位置など)を確認したり、仰向けで寝たときに足の開き具合に左右差がないかなどをチェックしたりすることで、ある程度の傾向を知ることができます。ただし、正確な診断には専門家による診察が必要です。

仙腸関節炎

仙腸関節は、骨盤を構成する仙骨と腸骨をつなぐ関節で、骨盤の後ろ側、お尻のやや上の方に左右対称にあります。この関節は、通常あまり大きく動きませんが、歩行時や体重移動の際に上半身の重みを支え、下半身からの衝撃を吸収する役割を担っています。

仙腸関節に炎症が起きると、「仙腸関節炎」と呼ばれ、骨盤の横や後ろ、お尻、太ももの裏側などに痛みが生じることがあります。特に、片側の仙腸関節に負担がかかることで、右側の仙腸関節炎となり、右の骨盤の横やその周辺に痛みが出やすい傾向があります。

仙腸関節炎の原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 繰り返しの負担: 長時間の中腰作業、頻繁な腰の回旋動作、片側重心のスポーツ(ゴルフ、テニスなど)。
  • 外傷: 尻もちをつく、交通事故など。
  • 妊娠・出産: 妊娠中のホルモンの影響による靭帯の緩み、出産時の骨盤への負担。
  • 長時間の座位・立位: 特に硬い椅子に長時間座る、立ちっぱなしの仕事など。
  • 特定の疾患: 強直性脊椎炎などのリウマチ性疾患、感染症。

仙腸関節炎の特徴的な症状としては、椅子から立ち上がる時や座る時、寝返りを打つ時、階段を上る時などに骨盤の横や後ろに痛みが生じやすいことが挙げられます。また、同じ姿勢を長時間続けることで痛みが悪化することもあります。

診断には、医師による問診や触診に加え、レントゲンやMRIなどの画像検査が行われます。仙腸関節への局所麻酔薬の注射(ブロック注射)が、診断と治療を兼ねて行われることもあります。治療は、安静、薬物療法(消炎鎮痛剤)、リハビリテーション(ストレッチ、筋力トレーニング)、装具療法(骨盤ベルト)などが行われます。

股関節の問題(変形性股関節症など)

股関節は、骨盤の寛骨臼と大腿骨頭で構成される関節で、歩いたり走ったりする際に非常に重要な役割を果たしています。この股関節に問題が生じると、痛みがお尻や太ももの前側、膝などに放散することが知られていますが、骨盤の横(大転子部周辺)やその上の方に痛みを感じることも少なくありません。

特に「変形性股関節症」は、股関節の軟骨がすり減ることで関節が変形し、痛みや動きの制限が生じる病気です。日本人の場合、生まれつき股関節の骨の形成が不十分な「臼蓋形成不全」が原因となって、若いうちから股関節に負担がかかり、将来的に変形性股関節症になりやすい傾向があります。右側に臼蓋形成不全がある場合や、右側の股関節に繰り返し負担をかける生活習慣(片足重心など)がある場合に、右の股関節の痛みとして現れ、骨盤の横まで痛みが広がることがあります。

変形性股関節症の初期には、立ち上がりや歩き始めの際に股関節やその周辺(鼠径部、お尻、骨盤の横など)に痛みを感じることが多いです。病状が進行すると、安静時にも痛みが出たり、歩行距離が短くなったり、靴下を履く動作などが困難になったりします。

股関節の痛みに関連するその他の疾患としては、大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)、関節唇損傷、化膿性股関節炎などがあります。これらの疾患も、骨盤の横を含む股関節周辺に痛みをもたらす可能性があります。特にFAIは、股関節の骨の形が原因で、特定の動きで骨同士がぶつかり、関節軟骨や関節唇を傷める病気で、スポーツ選手や若い活動的な人に起こりやすいです。右利きのスポーツなどで右の股関節に負担がかかる場合に、右側の骨盤の横に痛みが現れることがあります。

股関節が原因の痛みが疑われる場合は、整形外科を受診して、レントゲンやMRIなどの画像検査を受けることが重要です。

筋肉や神経の問題

骨盤の横の痛みは、骨や関節だけでなく、周囲の筋肉や神経に原因があることも非常に多いです。特に、お尻や太ももの筋肉の凝りや使いすぎ、神経の圧迫などが痛みを引き起こします。

筋筋膜性疼痛症候群(お尻や股関節周りの筋肉痛)

「筋筋膜性疼痛症候群」は、筋肉やそれを覆う筋膜にしこり(トリガーポイント)ができ、その部位だけでなく、離れた場所にまで関連痛として痛みを引き起こす病態です。骨盤の横の痛みとして現れる場合、お尻の筋肉(中殿筋、小殿筋、梨状筋など)や、腰部、太ももの外側などの筋肉が原因となっていることが多いです。

これらの筋肉は、立ち姿勢を保ったり、歩いたり走ったりする際に骨盤を安定させる重要な役割を担っています。長時間のデスクワークで同じ姿勢を取り続けたり、運動不足で筋力が低下したり、逆に急な運動や使いすぎによって筋肉に過剰な負担がかかったりすると、筋肉が硬くなり、トリガーポイントができやすくなります。また、冷えやストレスも筋肉の緊張を高める要因となります。

特に、右側のお尻の筋肉(中殿筋や小殿筋)は、片足立ちの際に体のバランスを取ったり、歩行時に骨盤が傾かないように支えたりする働きが大きいです。右足に重心をかける癖や、右側の筋肉を酷使するスポーツや動作を繰り返すことで、これらの筋肉にトリガーポイントができ、右の骨盤の横や、太ももの外側、下の方にまで関連痛として痛みを飛ばすことがあります。

筋筋膜性疼痛症候群による痛みは、押すと特に痛む場所(トリガーポイント)がある、特定の動作や姿勢で痛みが誘発される、マッサージやストレッチで一時的に楽になることがある、といった特徴が見られます。自分で原因となっている可能性のある筋肉を優しくマッサージしたり、ストレッチを行ったりすることで痛みが軽減されることもありますが、自己判断が難しい場合や痛みが続く場合は専門家(整形外科医、理学療法士、鍼灸師など)に相談することをおすすめします。

坐骨神経痛

坐骨神経は、腰からお尻を通り、太ももの裏側、ふくらはぎ、足先まで伸びている末梢神経の中で最も太い神経です。この坐骨神経が、腰やお尻の辺りで圧迫されたり刺激されたりすることで生じる、痛みやしびれなどの症状を総称して「坐骨神経痛」と呼びます。

坐骨神経痛の原因としては、以下のような疾患が代表的です。

  • 腰椎椎間板ヘルニア: 腰の骨と骨の間にある椎間板が飛び出し、神経を圧迫するもの。
  • 腰部脊柱管狭窄症: 腰の脊柱管(神経の通り道)が狭くなり、神経を圧迫するもの。高齢者に多い。
  • 梨状筋症候群: お尻の深部にある梨状筋という筋肉の下を坐骨神経が通過しており、この梨状筋が硬くなったり炎症を起こしたりすることで神経が圧迫されるもの。

これらの原因疾患によって坐骨神経が刺激されると、坐骨神経の走行に沿って、お尻、太ももの裏側、ふくらはぎ、足先にかけて、痛みやしびれ、ピリピリとした感覚、感覚の鈍さ、筋力低下などの症状が現れます。坐骨神経は左右に一本ずつあるため、圧迫されている側の足に症状が出ます。もし右側の坐骨神経が圧迫されていれば、右のお尻や太ももの裏、そして右の骨盤の横辺りに痛みやしびれを感じることがあります。特に梨状筋症候群の場合、梨状筋は骨盤のすぐ内側から大腿骨にかけて付着しており、この筋肉の緊張や炎症が直接的に右の骨盤の横や後ろに痛みをもたらしやすいと言えます。

坐骨神経痛による痛みは、電気が走るような痛み、焼けるような痛み、重だるい痛みなど様々です。咳やくしゃみで痛みが響いたり、特定の姿勢で痛みが悪化したりすることもあります。足に力が入らない、感覚が鈍いといった症状がある場合は、神経の圧迫が比較的強い可能性があり、早めに医療機関を受診することが重要です。

診断には、医師による診察、問診、神経学的検査に加え、レントゲン、MRI、CTなどの画像検査が行われます。

内臓や血管の問題(右下腹部や骨盤周辺の痛み)

骨盤の横の痛み、特に右下腹部から骨盤にかけての痛みは、消化器、泌尿器、婦人科系の臓器、あるいは血管に問題がある可能性も考えられます。これらの原因による痛みは、緊急性が高い場合もあるため注意が必要です。痛む場所が骨盤の「横」というよりは、やや「前方」や「下方」よりになることが多いですが、関連痛として骨盤の横に感じられることもあります。

尿管結石

尿管結石は、腎臓で作られた結石が尿管に詰まることで、激しい痛み(疝痛発作)を引き起こす病気です。結石が右側の尿管にある場合、右の脇腹から下腹部、鼠径部にかけて、あるいは背中側から骨盤の横にかけて、我慢できないほどの激痛が生じることがあります。痛みは突然始まり、数時間続くこともあります。

尿管結石の痛みは、波があるのが特徴です。吐き気や嘔吐を伴ったり、血尿が出たりすることもあります。発熱がある場合は、尿路感染を合併している可能性があり、より注意が必要です。

尿管結石が疑われる場合は、泌尿器科を受診する必要があります。超音波検査やレントゲン、CT検査で結石の有無や位置を確認します。

虫垂炎(急性虫垂炎)

虫垂炎は、大腸の一部である虫垂に炎症が起こる病気で、いわゆる「盲腸」として知られています。典型的な症状は、初期にはみぞおちやへその周りの痛みが現れ、数時間から1日の経過で痛みが右下腹部に移動するのが特徴です。この右下腹部の痛みが、骨盤の右側の痛みと感じられることがあります。

虫垂炎の痛みは徐々に強くなり、押すと痛む(圧痛)場所がはっきりしてきます。発熱、吐き気、食欲不振を伴うことも多いです。虫垂が破裂すると、腹膜炎を起こし、命に関わる状態になることもあるため、右下腹部の痛みが続く場合や、発熱、吐き気などの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。通常は消化器内科または外科を受診します。

女性特有の疾患(卵巣茎捻転など)

女性の場合、右の骨盤の横や下腹部の痛みは、卵巣や卵管、子宮といった婦人科系の臓器の病気が原因である可能性も十分に考えられます。

  • 卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん): 卵巣にできた腫瘍などが原因で、卵巣を支える茎がねじれて血流が悪くなる病気です。右側の卵巣がねじれると、右の骨盤の横から下腹部にかけて、突然の激痛が生じます。吐き気や嘔吐を伴うことが多く、緊急手術が必要となることがあります。非常に強い痛みが突然始まった場合は、救急で医療機関を受診してください。
  • 卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ): 卵巣に液体などが溜まってできる良性の腫瘍です。大きくなると周囲を圧迫したり、茎捻転を起こしたりして痛みの原因となることがあります。
  • 子宮内膜症: 子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所(卵巣、腹膜など)にできて、炎症や癒着を起こす病気です。生理周期に合わせて痛みが強くなるのが特徴で、右の骨巣や腹膜に病巣がある場合に右の骨盤の横に痛みを感じることがあります。
  • 骨盤腹膜炎: 骨盤内の臓器に炎症が広がる病気です。発熱や強い痛みを伴います。

これらの疾患が疑われる場合は、婦人科を受診することが必要です。

血管系の疾患(動脈瘤破裂など)

非常にまれですが、腹部の大血管(腹部大動脈など)にできた動脈瘤が破裂したり、解離を起こしたりした場合に、腰や下腹部、骨盤周辺に激しい痛みが生じることがあります。これは非常に危険な状態であり、直ちに救急医療が必要となります。突然、我慢できないほどの激痛が始まった場合は、すぐに救急車を呼んでください。

日常生活や習慣による原因

骨盤の横の痛みは、特定の病気がなくても、普段の生活習慣や体の使い方によって引き起こされることも多いです。これらの原因は、気づきにくく、無意識のうちに体に負担をかけていることがあります。

姿勢の悪さや体の使い方の癖

  • 片足重心で立つ: いつも同じ側の足に体重をかけて立つ癖は、骨盤を歪ませ、片側の筋肉や関節に負担を集中させます。右足に体重をかける癖がある場合、右の骨盤の横の筋肉(特に中殿筋)や仙腸関節に負担がかかりやすくなります。
  • 足を組む: 足を組む癖も、骨盤を歪ませる大きな原因となります。特に、いつも同じ側の足を上にして組むと、骨盤が傾き、片側の筋肉や関節に負担がかかります。
  • 片側に体重をかけて座る: 椅子に座る際に、お尻の片側に体重をかけて斜めに座る姿勢は、骨盤だけでなく背骨の歪みにもつながり、全身のバランスを崩して痛みを引き起こします。
  • 猫背や反り腰: 不良姿勢は骨盤の傾きにも影響し、特定の筋肉に過緊張を生じさせたり、関節への負担を増やしたりします。
  • 片側で荷物を持つ: 重い荷物をいつも同じ側の手や肩で持つ癖は、体のバランスを取るために骨盤や腰、肩周りの筋肉に不均衡な負担をかけます。

これらの姿勢の悪さや体の使い方の癖が積み重なることで、特定の筋肉が凝り固まったり、関節に微細なズレが生じたりして、慢性の痛みの原因となることがあります。特に右側に集中して負担をかけている場合、右の骨盤の横に痛みを感じやすくなります。

スポーツや繰り返しの動作

特定のスポーツや仕事で、繰り返し同じ動作を行ったり、片側に強い負荷がかかったりする場合も、骨盤の横の痛みの原因となります。

  • 片側性のスポーツ: ゴルフのスイング、テニスのストローク、野球のバッティングやピッチングなど、体を片側に捻る動作や片側に重心をかける動作が多いスポーツは、骨盤や体幹の左右の筋肉に不均衡な負担をかけます。右打ちのゴルファーやテニスプレイヤーは、右側の骨盤周りの筋肉や関節に負担がかかりやすく、痛みの原因となることがあります。
  • ランニング: 特に舗装路での長距離ランニングや、不適切なフォーム、合わないシューズなどは、股関節や骨盤への衝撃を増大させ、痛みを引き起こすことがあります。左右の足の着地や蹴り出しのバランスが悪い場合、片側の骨盤に負担がかかりやすくなります。
  • 反復作業: 体を捻る、重いものを持ち上げる、長時間特定の姿勢を保つといった作業を繰り返す仕事も、特定の筋肉や関節に負担をかけ、痛みの原因となることがあります。

スポーツや仕事に関連する痛みの場合、オーバーユース(使いすぎ)による筋肉や腱の炎症、関節への負担などが主な原因となります。

妊娠・出産による骨盤の変化

妊娠中は、リラキシンというホルモンの影響で骨盤の靭帯が緩み、出産に向けて骨盤が開く準備が進みます。この靭帯の緩みや、お腹が大きくなることによる姿勢の変化(反り腰など)、体重増加などが、骨盤や仙腸関節に負担をかけ、痛みを引き起こすことがあります。特に、出産時には骨盤が大きく開き、周囲の筋肉や靭帯が引き伸ばされるため、産後も骨盤の不安定性や筋肉のダメージが痛みの原因となることがあります。

また、妊娠中や産後は、運動不足や抱っこによる体の負担などで、骨盤を支える腹筋や骨盤底筋、お尻周りの筋肉が弱くなりがちです。これらの筋肉の筋力低下も、骨盤の安定性を損ない、痛みを引き起こす要因となります。産後の骨盤ケアや適切な運動は、痛みの予防・改善に重要です。

ストレスや疲労

精神的なストレスや体の疲労も、痛みに大きく影響することがあります。強いストレスを感じていると、無意識のうちに全身の筋肉が緊張しやすくなります。特に、腰や骨盤周りの筋肉は緊張しやすい部位の一つです。筋肉が常に緊張した状態にあると、血行が悪くなり、疲労物質が溜まりやすくなり、痛みを引き起こしたり、既存の痛みを悪化させたりします。

また、睡眠不足や過労による体の疲労は、体の回復力を低下させ、痛みに敏感になることがあります。ストレスや疲労が原因で痛みが起きている場合、特定の身体的な原因が見つかりにくいこともあります。しかし、痛み自体がさらなるストレスとなり、悪循環に陥ることもあります。心身のリラックスや十分な休息を取ることは、痛みの軽減につながります。

骨盤の横の痛み 右、こんな症状は要注意

右の骨盤の横の痛みのほとんどは、筋肉や骨格系の問題など、緊急性の低い原因によるものですが、中にはすぐに医療機関を受診すべき危険なサインが隠れていることもあります。以下のような症状が見られる場合は、自己判断せず、速やかに医師の診察を受けてください。

我慢できないほどの激しい痛み

突然始まった、あるいは徐々に強くなり、日常生活が送れないほどの激しい痛みは、内臓疾患(尿管結石、卵巣茎捻転、虫垂炎など)や、血管系の問題(腹部大動脈瘤破裂など)といった、緊急性の高い病気の可能性を示唆します。特に、痛みが急激に悪化する場合や、痛みのために動けない場合は、迷わず救急車を呼ぶか、救急外来を受診してください。

安静にしても痛みが続く

通常の筋肉痛や疲労による痛みは、安静にしたり休息を取ったりすることで軽減することが多いです。しかし、寝ていても、座っていても痛みが続く、あるいは夜間に痛みが強くて眠れないといった場合は、炎症が強い、あるいは骨や関節、神経などに構造的な問題がある、または腫瘍などの可能性も考えられます。安静時痛は、病気が進行しているサインかもしれません。

発熱や吐き気を伴う

痛みに加えて、発熱や吐き気、嘔吐などの全身症状がある場合は、感染症や炎症性の病気(虫垂炎、尿路感染、骨盤腹膜炎など)の可能性が高まります。これらの病気は適切な治療が必要です。

足にしびれがある

骨盤の横の痛みに加えて、お尻から太もも、ふくらはぎ、足先にかけて、しびれやピリピリ感、感覚の鈍さ、あるいは足に力が入らない(筋力低下)といった症状がある場合は、坐骨神経が圧迫されている可能性が非常に高いです。特に、排尿・排便のコントロールが難しくなる(膀胱直腸障害)などの神経症状が出ている場合は、緊急性の高い状態(馬尾神経障害など)の可能性もあるため、すぐに医療機関を受診してください。

排尿・排便に異常がある

痛みに加えて、血尿が出る、尿が出にくい、頻尿、排便が困難、下痢や便秘が続くといった症状がある場合は、泌尿器系や消化器系の臓器に問題がある可能性が考えられます。これらの症状は、尿管結石、尿路感染、虫垂炎、腸閉塞などのサインである可能性があります。

骨盤の横の痛み 右、どこに相談すべき?(何科を受診?)

右の骨盤の横の痛みがある場合、原因を特定し適切な治療を受けるためには、医療機関を受診することが重要です。しかし、痛みの原因が多岐にわたるため、「何科に行けばいいのか分からない」と迷う方も多いでしょう。

まず最初に相談する診療科としては、一般的に「整形外科」が適しています。

整形外科

整形外科は、骨、関節、筋肉、靭帯、腱、神経など、体の運動器に関する病気やケガを専門とする診療科です。右の骨盤の横の痛みの原因として最も可能性が高い、骨盤の歪みや仙腸関節の問題、股関節の疾患、お尻や腰の筋肉の問題、坐骨神経痛の原因となる腰椎や股関節の問題などは、整形外科の専門範囲です。

整形外科では、医師による問診や触診に加え、以下のような検査が行われることが一般的です。

  • レントゲン検査: 骨の形や関節の状態、骨の変形、骨折などを調べます。
  • MRI検査: 骨だけでなく、椎間板、神経、筋肉、靭帯、関節軟骨などの軟部組織の状態を詳しく調べることができます。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、梨状筋症候群、筋肉の損傷などを診断するのに有用です。
  • CT検査: 骨の詳細な構造や、小さな骨折、石灰化などを調べるのに適しています。尿管結石の検査にも用いられます。
  • 血液検査: 炎症の有無や、リウマチ性疾患などの自己免疫疾患の可能性を調べます。
  • 神経学的検査: 痛みやしびれの原因が神経にあるかを調べるために、感覚や筋力、反射などを調べます。
  • ブロック注射: 痛みの原因となっている部位(仙腸関節、特定の神経など)に局所麻酔薬を注射し、痛みが軽減するかどうかで診断を確定したり、痛みを和らげたりします。

まずは整形外科を受診し、専門的な視点から痛みの原因を調べてもらうことをおすすめします。

その他検討すべき診療科

整形外科で原因が特定できない場合や、痛みに加えて整形外科の範囲外の症状がある場合は、他の診療科を受診する必要があります。痛みの症状や併発症状から、以下のような診療科が検討されます。

  • 泌尿器科: 痛みに加えて、血尿が出る、排尿時に痛みがある、頻尿、残尿感といった泌尿器系の症状がある場合。尿管結石や膀胱炎、腎盂腎炎などの可能性があります。
  • 婦人科: 女性で、痛みが生理周期と関連している、不正出血がある、おりものに異常がある、下腹部に張りやしこりを感じるといった婦人科系の症状がある場合。卵巣嚢腫、子宮内膜症、卵巣茎捻転、骨盤腹膜炎などの可能性があります。
  • 消化器内科/外科: 痛みが右下腹部に集中しており、発熱、吐き気、嘔吐、食欲不振などの症状を伴う場合。虫垂炎(盲腸)や憩室炎、腸閉塞などの可能性があります。激しい痛みを伴う場合は、外科での対応が必要になることもあります。
  • 救急科/外科: 突然の激痛で動けない、高熱が出ている、意識が朦朧としているなど、緊急性の高い状態が疑われる場合。迷わず救急車を呼ぶか、総合病院の救急外来を受診してください。腹部大動脈瘤破裂や卵巣茎捻転など、命に関わる病気の可能性があります。
  • 心療内科/精神科: 様々な検査をしても身体的な異常が見つからず、強いストレスや精神的な要因が痛みに大きく関与していると考えられる場合。

ご自身の症状をよく観察し、どの診療科が適切か判断に迷う場合は、まずはかかりつけ医や地域の医療機関に相談してみるのも良いでしょう。

自宅でできるセルフケア・対処法

医療機関を受診し、痛みの原因が特定された後、あるいは原因が特定される前でも、痛みを和らげるために自宅でできるセルフケアや対処法があります。ただし、痛みが強い場合や、原因が不明なうちは無理せず、医師の指示に従うことが重要です。

痛む場所を冷やす・温める

  • 冷やす(アイシング): 急性の痛み、つまり痛みが突然始まり、ズキズキとした痛みや熱っぽさを伴う場合(炎症が起きている可能性)には、痛む場所を冷やすのが効果的です。患部の炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。氷嚢や保冷剤(タオルで包む)などを患部に1回15〜20分程度当てます。ただし、冷やしすぎは血行不良を招くため、長時間当て続けたり、直接肌に当てたりしないように注意しましょう。怪我や強い痛みの直後に有効です。
  • 温める: 慢性的な痛み、つまり痛みが長く続いており、特に冷えや筋肉の凝りに関連していると考えられる場合、あるいは痛みが鈍く重い感じの場合は、患部を温めるのが効果的です。温めることで血行が促進され、筋肉の緊張が和らぎ、痛みが軽減されることがあります。温湿布、ホットパック、湯船にゆっくり浸かる、シャワーで温めるなどが有効です。ただし、痛みが強い急性期に温めると、かえって炎症が悪化することがあるため注意が必要です。

どちらが良いか判断に迷う場合は、両方を試してみて、より心地よく痛みが和らぐ方を選ぶのも一つの方法です。不安な場合は医師や理学療法士に相談しましょう。

骨盤周りのストレッチや軽い運動

痛みが強い時期は安静が必要ですが、痛みが少し落ち着いてきたら、骨盤周りの筋肉をほぐすストレッチや、軽い運動を取り入れることが痛みの軽減や再発予防につながります。ただし、無理に行うと痛みを悪化させる可能性があるため、痛みのない範囲で、ゆっくりと行うことが大切です。

  • お尻のストレッチ: 仰向けになり、片方の膝を抱え込むように胸に引き寄せます。お尻の筋肉(特に梨状筋)が伸ばされるのを感じましょう。反対側も同様に行います。または、椅子に座って片方の足首を反対の太ももに乗せ、ゆっくりと上半身を前に倒すストレッチも有効です。
  • 股関節のストレッチ: 仰向けになり、両膝を立てて倒します。片方の膝を内側に倒し、反対側の股関節の前側を伸ばすストレッチ。開脚ストレッチなど、股関節周りの柔軟性を高めるストレッチを行います。
  • 軽いウォーキング: 体全体の血行を促進し、筋肉を緩める効果があります。無理のない距離とペースで、痛みを感じたら中止しましょう。
  • 体幹の軽い運動: 骨盤を支える腹筋や背筋、骨盤底筋などを意識した軽い運動は、骨盤の安定性を高めるのに役立ちます。例えば、仰向けで膝を立てて寝て、お腹を凹ませながら腰を床に押し付けるドローインなどがあります。

運動を行う際は、痛みを我慢して無理に行わないことが最も重要です。痛みが悪化する場合は、すぐに中止し、専門家に相談してください。

正しい姿勢を意識する

日常的な姿勢の悪さは、骨盤への負担を増やし、痛みの原因となります。座る、立つ、歩くといった基本的な動作の中で、正しい姿勢を意識することが痛みの軽減や予防につながります。

  • 座る姿勢: 椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばし、骨盤を立てるように座ります。両足は床につけ、膝は約90度に曲げます。長時間同じ姿勢でいることを避け、定期的に立ち上がって体を動かしましょう。片側に体重をかけたり、足を組んだりする癖はやめましょう。
  • 立つ姿勢: お腹を引き締め、軽く顎を引き、背筋を伸ばして立ちます。体重は両足に均等にかけるように意識しましょう。片足に重心をかける癖はやめましょう。
  • 寝る姿勢: 仰向けで寝る場合、膝の下にクッションや枕を入れると腰への負担が軽減されます。横向きで寝る場合、膝の間にクッションや枕を挟むと、骨盤や背骨の歪みを防ぐことができます。
  • 荷物を持つ: 重い荷物を持つ際は、体の片側に偏らず、できるだけ両手で持ったり、リュックサックのように両肩で均等に支えたりするように工夫しましょう。

意識するだけでは難しい場合もありますが、日常的に意識することで、徐々に正しい姿勢が身についてきます。

休息をしっかりとる

体の痛みは、心身の疲労が原因であることも少なくありません。また、痛みがあること自体がストレスとなり、痛みを悪化させることもあります。十分な休息と睡眠を取ることは、体の回復力を高め、痛みを和らげるために非常に重要です。

忙しい日常の中でも、意識的にリラックスできる時間を作りましょう。好きな音楽を聴く、軽いストレッチをする、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるなど、自分に合ったリラックス方法を見つけることが大切です。また、睡眠時間を十分に確保し、質の良い睡眠を取るように心がけましょう。

痛みを繰り返さないためにできること

一度骨盤の横の痛みを経験すると、「また痛くなるのではないか」と不安になるかもしれません。痛みを繰り返さないためには、日頃から体のケアを意識し、根本的な原因にアプローチすることが重要です。

姿勢や体の使い方を改善する

痛みの原因が姿勢や体の使い方の癖にある場合、これを改善することが再発予防の鍵となります。しかし、長年染み付いた癖を自分で直すのは難しいこともあります。

  • 意識的な改善: 座り方、立ち方、歩き方、物を持つ時の動作など、日常生活の中で自分の体の使い方を意識してみましょう。特に、片側に負担をかけている癖がないか確認し、意識的に改善を試みます。
  • 専門家による指導: 自分だけでは難しい場合は、理学療法士や専門家(整体師、ピラティス・ヨガインストラクターなど)の指導を受けるのも有効です。体の歪みを評価してもらい、自分に合った正しい姿勢や体の使い方のアドバイス、具体的な運動指導を受けることができます。

正しい体の使い方ができるようになると、特定の部位への過剰な負担が減り、痛みの再発リスクを低減できます。

適度な運動を習慣にする

骨盤を支える筋肉(腹筋、背筋、お尻周りの筋肉、太ももの筋肉など)を強化し、体の柔軟性を維持することは、骨盤の安定性を高め、痛みの予防に非常に効果的です。また、適度な運動は血行を促進し、筋肉の凝りを予防する効果も期待できます。

  • 体幹トレーニング: 体幹(お腹周り)の筋肉は、骨盤の安定に不可欠です。プランク、ドローインなど、簡単な体幹トレーニングを習慣にしましょう。
  • お尻周りの筋肉トレーニング: 中殿筋や小殿筋など、骨盤の傾きを制御するお尻の筋肉を鍛えることで、歩行時などの骨盤の安定性が向上します。例:横向きになり、上の足を伸ばしたままゆっくり上げる(サイドレイズ)など。
  • ストレッチ: 股関節周り、お尻周り、太ももの裏側など、骨盤に関連する部位のストレッチを継続的に行い、体の柔軟性を保ちましょう。
  • 全身運動: ウォーキング、軽いジョギング、水泳、サイクリングなど、全身を使った有酸素運動は、血行促進や筋力維持に効果的です。

自分に合った運動を見つけ、無理のない範囲で継続することが大切です。運動習慣がない方は、軽いウォーキングから始めてみるのがおすすめです。

骨盤ベルトやサポーターの活用

骨盤ベルトやサポーターは、骨盤を一時的に安定させ、痛みを軽減する効果が期待できます。特に、妊娠中や産後の骨盤の不安定性による痛み、仙腸関節炎による痛みなどに対して有効な場合があります。

  • 効果: 骨盤を適度に固定することで、関節の動きを制限し、痛みを和らげたり、動作時の不安定感を軽減したりします。
  • 選び方: 自分の体のサイズに合ったものを選び、骨盤の適切な位置に装着することが重要です。医療用のものから市販のものまで様々な種類があります。不安な場合は医師や専門家に相談して選びましょう。
  • 注意点: 骨盤ベルトやサポーターは、あくまで一時的に痛みを軽減するための補助具です。長期間使いすぎると、骨盤を支える本来の筋肉が弱くなってしまう可能性があります。痛みが和らいできたら、徐々に外す時間を増やし、並行して筋力トレーニングを行うことが大切です。

骨盤ベルトを使うかどうかは、痛みの原因や程度によって異なります。必ずしもすべての人に効果があるわけではないため、医師に相談した上で使用を検討することをおすすめします。

まとめ

右の骨盤の横の痛みは、日常的な体の使い方から、骨格、筋肉、神経、さらには内臓の病気まで、様々な原因が考えられます。痛みの種類や強さ、その他の症状などを観察することで、ある程度原因を推測できますが、自己判断はせず、まずは医療機関を受診することが最も重要です。特に、激しい痛み、安静時の痛み、発熱や吐き気、足のしびれ、排泄異常などを伴う場合は、緊急性の高い病気の可能性もあるため、すぐに医師の診察を受けてください。

受診する際は、骨や関節、筋肉、神経系の問題が考えられる場合は整形外科を、その他の症状がある場合は泌尿器科や婦人科、消化器科なども検討しましょう。

痛みの原因が特定された後は、医師の指示に従い、必要に応じて薬物療法、リハビリテーション、物理療法などを受けます。同時に、自宅でできるセルフケアとして、痛む場所を適切に冷やしたり温めたりする、痛みのない範囲でストレッチや軽い運動を行う、正しい姿勢を意識する、十分な休息を取るなどを試してみましょう。

痛みを繰り返さないためには、日頃から姿勢や体の使い方を意識し、骨盤周りの筋肉を鍛える適度な運動を習慣にすることが大切です。必要に応じて骨盤ベルトなどを活用するのも良いでしょう。

右の骨盤の横の痛みは、体からのサインかもしれません。この機会に、ご自身の体と向き合い、適切なケアを行うことで、痛みのない快適な生活を取り戻しましょう。

免責事項

この記事は、右の骨盤の横の痛みの原因や対処法に関する一般的な情報提供を目的として作成されています。特定の疾患の診断や治療を推奨するものではありません。痛みの症状がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。自己判断による対処は、症状を悪化させる可能性もあります。

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