大人のヘルパンギーナは、子供がかかる夏風邪として知られるヘルパンギーナと同じ病気ですが、子供に比べて症状が強く出たり、長引いたりすることがあります。
高熱と激しい喉の痛みが特徴で、食事や水分摂取が困難になることも少なくありません。
この記事では、大人がヘルパンギーナにかかった場合の初期症状から治癒までの過程、原因、感染対策、そして他の病気との見分け方について、詳しく解説します。
万が一の時に慌てないよう、正しい知識を身につけておきましょう。
ヘルパンギーナは、主にエンテロウイルス属のウイルスによって引き起こされる感染症です。典型的な症状は、急な高熱と喉の奥にできる水疱や口内炎です。主に乳幼児や子供の間で夏場に流行するため、「夏風邪」の代表的な疾患として知られています。
しかし、ヘルパンギーナは子供だけがかかる病気ではありません。大人も感染する可能性があり、大人のヘルパンギーナは子供に比べて一般的に症状が重くなる傾向があります。これは、大人が初めてヘルパンギーナの特定のウイルスに感染した場合、子供よりも免疫応答が強く出やすいためと考えられています。また、大人の方が仕事や家事などで十分な休息が取れないことも、症状が強く出たり長引いたりする要因となることがあります。
子供が感染源となることが多く、家庭内で感染が広がりやすい点も大人のヘルパンギーナの特徴の一つです。子供は症状が比較的軽く済む場合でも、感染力は持っているため、家族である大人にうつしてしまうことがあります。
大人のヘルパンギーナ 初期症状と主な症状
大人がヘルパンギーナにかかった場合、どのような症状が現れるのでしょうか。初期症状から経過までを詳しく見ていきましょう。
どのような症状が出る?(高熱、喉の痛み、水疱など)
大人のヘルパンギーナの最も典型的な初期症状は、突然の38℃〜40℃といった高熱です。悪寒を伴うこともあります。発熱とほぼ同時に、または少し遅れて現れるのが激しい喉の痛みです。この喉の痛みがヘルパンギーナの最も特徴的な症状の一つで、非常に強く、飲み込みが困難になるほどです。
喉の奥、特に口蓋垂(のどちんこ)の周りや扁桃、軟口蓋といった部分に、直径1〜2mm程度の小さな赤い発疹や水疱が出現します。これらの水疱は通常1〜2日で破れて、白っぽい、または黄色っぽい膜で覆われた浅い潰瘍になります。この潰瘍が非常に痛みが強く、食事や水分を摂ることを億劫にさせます。
その他の症状として、全身の倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛など、インフルエンザのような全身症状が現れることもあります。食欲不振もよく見られますが、これは主に喉の痛みが原因です。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
大人の場合、子供に比べてこれらの症状、特に発熱と喉の痛みが強く出やすく、日常生活に支障をきたしやすい傾向があります。
喉の痛みがひどい場合
ヘルパンギーナによる喉の痛みは、非常に強く、食事や水分を飲み込む際に激痛を伴います。この痛みのせいで、食事はもちろん、水分摂取すら困難になることがあります。特に大人は、責任感から無理をして活動を続けたり、痛みを我慢したりすることがありますが、これが脱水症状につながるリスクを高めます。
喉の痛みがひどく、水分を十分に摂れない状態が続くと、脱水症状の兆候が現れます。例えば、尿量が減る、口や舌が乾く、めまいや立ちくらみがする、全身の倦怠感が強くなるなどです。重度の脱水は、意識障害やけいれんを引き起こす可能性もあり、非常に危険です。
喉の痛みが強い場合は、無理に固形物を食べようとせず、後述する「食事や水分補給の注意点」を参考に、喉に優しいものを選び、こまめに水分を摂ることが何よりも大切です。
熱なしの場合もある?
大人のヘルパンギーナでは、典型的な症状として高熱が挙げられますが、熱が出ない、または微熱で済むケースも存在します。特に、過去にヘルパンギーナの原因となるウイルスのいずれかに感染した経験がある場合や、免疫力が比較的保たれている場合などでは、発熱が軽度であったり、全く見られなかったりすることもあります。
しかし、たとえ熱がなくても、喉の痛みや口内の水疱・潰瘍といった特徴的な症状が現れることが多いです。これらの症状があれば、熱がなくてもヘルパンギーナと診断される可能性があります。
熱がないからといって軽く考えず、喉の痛みや口内の症状があればヘルパンギーナを疑い、適切な対処を行うことが重要です。特に、周囲でヘルパンギーナが流行している時期にこれらの症状が出た場合は注意が必要です。
大人のヘルパンギーナ 症状の画像
(※医師の解説記事として、口内病変の具体的な描写に留めます。実際の画像は医療機関で提示されるものなどを参考にしてください。)
大人のヘルパンギーナで特徴的なのは、喉の奥、特に口蓋垂(のどちんこ)の周囲や、扁桃、軟口蓋と呼ばれる部分に現れる症状です。初期には赤く点状になった部分が見られ、その後に1〜2mm程度の小さな、やや盛り上がった赤い発疹や水疱が出現します。この水疱は灰色がかったり、白っぽく見えることもあります。数日以内にこれらの水疱は破れて、中心部が白っぽい、または黄色の膜で覆われた浅い潰瘍になります。周囲は赤く腫れていることが多いです。
これらの病変は、口の前の方(舌や頬の内側など)にはあまりできず、喉の奥に集中するのがヘルパンギーナの典型的な所見です。痛みが非常に強く、視診で確認する際も患者さんは痛みを訴えることが多いです。医療機関では、これらの特徴的な口内所見を確認することで、ヘルパンギーナの診断を下すことが一般的です。
ヘルパンギーナの原因ウイルスと感染経路・感染力
ヘルパンギーナはウイルス感染症です。原因となるウイルスや、どのように人に感染するのかを知ることは、予防や感染拡大を防ぐ上で重要です。
原因となるウイルス
ヘルパンギーナの主な原因となるのは、エンテロウイルス属に含まれるウイルスです。特に、コクサッキーウイルスA群の複数の型(A2、A4、A5、A6、A10など)や、エコーウイルスの一部が原因となります。
エンテロウイルスは、ヒトの消化管内で増殖する性質を持つウイルス群で、ヘルパンギーナの他にも手足口病や夏風邪の原因となることがあります。これらのウイルスは非常に種類が多く、一度感染しても別の型のウイルスに感染すれば再びヘルパンギーナにかかる可能性があります。これが、子供が何度も夏風邪をひく理由の一つでもあります。大人が初めて感染するウイルス型であれば、子供よりも強い症状が出やすいと考えられています。
感染経路(飛沫感染、接触感染、経口感染)
ヘルパンギーナのウイルスは、主に以下の3つの経路で人から人へと感染します。
1. 飛沫感染: 感染者の咳やくしゃみ、会話によって飛び散る飛沫に含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。患者さんが症状が出ている急性期に最も起こりやすい感染経路です。
2. 接触感染: 感染者の鼻水、唾液、水疱の内容物、あるいはウイルスが付着したタオル、手すり、ドアノブ、おもちゃなどを触った手で、口や鼻に触れることで感染します。感染者が咳やくしゃみを手で覆った後、その手で物に触れることでもウイルスは広がります。
3. 経口感染: ウイルスが便中に排出され、その処理が不十分だった場合や、感染者が手洗いをせずに調理や食事の準備をした場合などに、ウイルスが口に入ることで感染します。特に症状が回復した後も、便中にはウイルスが数週間にわたって排出されることがあるため、この経路による二次感染に注意が必要です。
これらの感染経路により、ヘルパンギーナは特に集団生活をしている場所(保育園、幼稚園、学校など)や家庭内で感染が広がりやすい特徴があります。
家族にうつる?移る確率と感染力はいつまで?
ヘルパンギーナは非常に感染力が強い病気です。特に家庭内では、感染者がいると他の家族にうつるリスクが高いです。一緒に過ごす時間が長く、共有するものも多いため、飛沫感染、接触感染、経口感染のすべての経路で感染が起こりやすくなります。
感染力が最も強いのは、発熱などの症状が出ている急性期です。この時期は、咳やくしゃみ、唾液中に多量のウイルスが含まれています。
症状が回復した後、発熱や喉の痛み、口内病変が改善しても、便中にはウイルスが数週間にわたって排出されることがあります。特に小さなお子さんが感染した場合、オムツ交換などを通じてウイルスの排出が長期にわたり、大人への感染源となることがあります。症状がなくなったからといって、感染力が完全になくなるわけではないため、注意が必要です。
具体的な「移る確率」を一概に示すことは難しいですが、適切な予防策(手洗い、うがい、タオルの共有を避けるなど)を講じなければ、家族内で高確率で感染が広がると考えて良いでしょう。特に、他の家族がヘルパンギーナにかかったことがないウイルスの型であれば、感染する可能性は高くなります。
潜伏期間は?
ヘルパンギーナの潜伏期間は、一般的に2〜4日とされています。ウイルスが体内に侵入してから、発熱や喉の痛みといった最初の症状が現れるまでの期間です。
潜伏期間中は、通常症状はありませんが、ごく稀にこの期間からウイルスが排出され始めている可能性も指摘されています。しかし、感染力が最も高まるのは症状が出始めてからです。短い潜伏期間の後、突然の高熱で発症することが多いため、「昨日まで元気だったのに、急に熱が出た」という経過をたどることが多い病気です。
大人のヘルパンギーナ 何日で治る?治癒までの期間
大人がヘルパンギーナにかかった場合、どのくらいの期間で回復するのでしょうか。また、つらい喉の痛みはいつまで続くのでしょうか。
一般的な回復期間
大人のヘルパンギーナの一般的な回復期間は、発症からおおよそ1週間から10日程度です。
- 発熱: 多くの場合は発症から1〜2日で解熱します。長くても3〜4日程度で熱が下がるのが一般的です。ただし、大人の場合は子供より発熱期間がやや長引くこともあります。
- 喉の痛み・口内病変: 発症から2〜3日目が痛みのピークとなることが多いです。その後、水疱が潰瘍となり、徐々に痛みが軽減していきます。潰瘍が完全に治癒して痛みがなくなるまでには、発症から数日〜1週間程度かかるのが一般的です。
- 全身症状: 全身倦怠感や頭痛などの全身症状は、熱が下がるにつれて改善していくことが多いです。
ただし、これはあくまで一般的な経過であり、個人の免疫力や体調、原因となったウイルスの型によって回復期間には差があります。大人の場合、子供に比べて症状が長引いたり、回復に時間がかかったりするケースも少なくありません。無理をせず、しっかり休息を取ることが早期回復につながります。
喉の痛みはいつまで続く?
ヘルパンギーナで最もつらい症状の一つである喉の痛みは、発症から2〜3日目にピークを迎えることが多いです。この時期は、口内の水疱が破れて潰瘍になっている状態であり、飲み込むたびに強い痛みを伴います。
痛みのピークを過ぎると、徐々に潰瘍が治癒に向かい、痛みも軽減していきます。しかし、完全に痛みがなくなるまでには、発症から1週間程度かかると考えておきましょう。中には、痛みが完全に引くまで10日以上かかる方もいらっしゃいます。
痛みが続いている間は、食事や水分摂取に工夫が必要です。無理に固形物を食べたり、刺激物を摂ったりせず、喉への負担を最小限に抑えるようにしましょう。痛みが強く、水分も十分に摂れない場合は、脱水のリスクがあるため、医療機関に相談することが重要です。
ヘルパンギーナの治療法と自宅での過ごし方
ヘルパンギーナはウイルス感染症のため、特効薬はありません。治療の中心は、つらい症状を和らげる対症療法と、ウイルスに対する体の抵抗力を高めるための安静です。
特効薬はある?対症療法について
残念ながら、ヘルパンギーナの原因となるエンテロウイルスに直接効く特効薬は現在のところありません。インフルエンザに対する抗インフルエンザウイルス薬のような薬はありません。
そのため、医療機関で行われる治療は、症状を和らげるための対症療法が中心となります。
- 解熱剤: 高い熱が出てつらい場合に使用されます。アセトアミノフェンなどの、比較的安全性が高く、喉の痛みの軽減にも効果が期待できるものが処方されることが多いです。
- 痛み止め: 喉の痛みが強い場合に処方されます。解熱剤と同様に、痛みを和らげて食事や水分摂取を楽にする目的で使用されます。
- うがい薬: 喉の炎症を抑えたり、口の中を清潔に保ったりするために処方されることがあります。ただし、強い刺激のあるうがい薬は、かえって喉を傷める可能性もあるため、医師の指示に従いましょう。
- 口内炎治療薬: 口内の潰瘍の痛みを和らげるために、塗り薬や貼り薬が処方されることもあります。
これらの薬はウイルスを排除するわけではなく、あくまで症状を一時的に軽減するためのものです。体内でウイルスが排除されるのを待ちながら、安静にして回復を促すことが治療の基本となります。
食事や水分補給の注意点
ヘルパンギーナによる激しい喉の痛みのため、食欲がなくなったり、飲み込むのがつらくなったりします。このような時は、食事や水分補給に特別な注意が必要です。
- 喉への刺激を避ける: 熱いもの、冷たすぎるもの、辛いもの、酸っぱいもの、固いものなど、喉への刺激となるものは避けましょう。
- 柔らかく、滑らかなものを: プリン、ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム、冷めたポタージュスープ、豆腐、茶碗蒸し、お粥などを少量ずつ摂るのがおすすめです。
- 水分補給はこまめに: 脱水を防ぐため、少量ずつでも頻繁に水分を摂ることが非常に重要です。水、麦茶、冷ました薄めのお茶、イオン飲料(スポーツドリンクや経口補水液)などが良いでしょう。ただし、柑橘系のジュースなど酸っぱいものは喉にしみやすいので避けましょう。
- 栄養バランス: 痛みが強い間は十分に食事が摂れないかもしれませんが、回復にはエネルギーが必要です。食べられる範囲で、栄養価の高いものを選ぶと良いでしょう。完全に食事が摂れない場合は、ゼリー飲料などで栄養を補給するのも手です。
- アルコールとタバコは厳禁: 喉への刺激となるだけでなく、体の回復を妨げるため、回復するまでは完全に断ちましょう。
- 安静: 十分な睡眠と休息を取ることが、体の免疫力を高め、ウイルスの排除を助けます。無理せず、体を休ませることが早期回復につながります。
痛みが強く、本当に何も食べられない・飲めないという状態が続く場合は、点滴による水分・栄養補給が必要になることもありますので、医療機関に相談してください。
ヘルパンギーナと間違いやすい病気(溶連菌など)の見分け方
発熱や喉の痛みを主な症状とする病気は他にもいくつかあり、ヘルパンギーナと間違いやすいことがあります。特に子供の間で流行する溶連菌感染症とは症状が似ているため、見分け方が重要です。
溶連菌感染症との違い
溶連菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌という細菌によって引き起こされる感染症で、ヘルパンギーナと同様に子供に多いですが、大人もかかります。主な症状も発熱と喉の痛みですが、いくつかの重要な違いがあります。
以下の表に、ヘルパンギーナと溶連菌感染症の主な違いをまとめました。
特徴 | ヘルパンギーナ | 溶連菌感染症 |
---|---|---|
原因 | ウイルス(コクサッキーウイルス等) | 細菌(A群溶血性レンサ球菌) |
発熱 | 突然の高熱(38~40℃) | 高熱が出ることが多い |
喉の痛み | 強い痛み。特に飲み込み時 | 強い痛み |
口内病変 | 喉の奥(口蓋垂、扁桃など)に水疱や潰瘍ができる | 扁桃腺が赤く腫れ、白い膿が付着することが多い。口蓋に点状の出血が見られることも。 |
発疹 | 通常なし(稀に手足にできる場合あり) | 体や手足に赤い小さな発疹(猩紅熱)、舌がイチゴのように赤く腫れる(イチゴ舌)が見られることがある。 |
鼻水・咳 | 比較的少ない | 比較的少ない |
リンパ節腫脹 | 顎の下のリンパ節が腫れることも | 首のリンパ節が腫れることが多い |
治療薬 | 特効薬なし、対症療法中心 | 抗生物質による治療が必要 |
診断 | 主に症状と口内所見の視診 | 迅速診断キット、培養検査、症状の視診 |
最も大きな違いは、口内病変の種類と治療法です。ヘルパンギーナでは喉の奥に「水疱や潰瘍」ができるのに対し、溶連菌感染症では扁桃に「白い膿」が付着することが特徴です。また、ヘルパンギーナはウイルス性なので抗生物質は効きませんが、溶連菌感染症は細菌性なので抗生物質による治療が必要です。溶連菌感染症を適切に治療しないと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった合併症を引き起こすリスクがあるため、正確な診断が非常に重要です。
発熱と喉の痛みがある場合は、自己判断せず、医療機関を受診して医師に診断してもらうことが大切です。医療機関では、必要に応じて溶連菌の迅速検査などを行い、確定診断をつけます。
医療機関を受診する目安と予防策
ヘルパンギーナは通常は自然に回復する病気ですが、中には医療機関の受診が必要な場合や、感染拡大を防ぐための対策が重要な場合があります。
こんな時は病院へ
多くの大人のヘルパンギーナは、自宅での安静と対症療法で回復に向かいますが、以下のような場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
- 水分が全く摂れない、または極端に少ない: 強い喉の痛みで水分摂取が困難になり、脱水症状(尿量が減る、口が乾く、めまい、全身倦怠感など)の兆候が見られる場合。
- 高熱が数日以上続く、または一度下がった熱が再び上がる: 通常の発熱期間を超える場合や、他の合併症の可能性が考えられる場合。
- 呼吸が苦しい、息切れがある: 稀に、ヘルパンギーナの原因ウイルスが心臓や中枢神経などに影響を及ぼし、重篤な合併症を引き起こすことがあります。
- 意識が朦朧としている、けいれんを起こした: 中枢神経系の合併症(無菌性髄膜炎など)の可能性がある非常に危険な状態です。
- 頭痛が非常に強い、吐き気が止まらない: 無菌性髄膜炎などの可能性も否定できません。
- 症状が全く改善しない、または悪化している: 経過が思わしくない場合。
- 基礎疾患がある: 糖尿病、心臓病、呼吸器疾患などの持病がある方は、重症化しやすい可能性があるため、早めに医師に相談しましょう。
- 診断に迷う、不安がある: ヘルパンギーナかどうかわからない、他の病気(溶連菌など)の可能性が心配、といった場合も受診をおすすめします。
感染拡大を防ぐための予防法
ヘルパンギーナは感染力が強いため、自分自身が感染しないため、そして周囲に感染を広げないための予防策が非常に重要です。特に家庭内に小さな子供やお年寄りなど、免疫力が弱い方がいる場合は徹底した対策が必要です。
- 手洗いと手指消毒の徹底: 石鹸を使った正しい手洗いをこまめに行いましょう。特に、トイレの後、食事の前、外出から帰った時、咳やくしゃみ、鼻をかんだ後に必ず行います。アルコール手指消毒液も効果的です。
- うがい: 帰宅時や人混みに行った後などにうがいをすることで、喉に付着したウイルスを洗い流す効果が期待できます。
- 咳エチケット: 咳やくしゃみをする際は、ティッシュやハンカチ、上着の内側などで口鼻を覆い、飛沫の飛散を防ぎましょう。使用済みのティッシュはすぐにゴミ箱に捨てます。
- マスクの着用: 症状がある場合は、外出時や家族と接する際にマスクを着用することで、飛沫感染のリスクを減らすことができます。
- タオルや食器の共有を避ける: 家族間でも、タオルや食器、グラスなどの共有は避け、個別のものを使用しましょう。
- 排泄物の適切な処理: 感染者の便中にはウイルスが長期間排出されることがあります。特に乳幼児のオムツ交換の際は、使い捨て手袋を使用するなど注意し、交換後は石鹸でしっかり手洗いをしましょう。
- 換気: 部屋の空気を定期的に入れ替えることも感染予防に有効です。
- 体調管理: 十分な睡眠とバランスの取れた食事で、免疫力を維持することも感染予防につながります。
これらの予防策を日頃から実践することで、ヘルパンギーナだけでなく、様々な感染症から身を守ることができます。
【まとめ】大人のヘルパンギーナ、早期の適切な対処が重要
大人がヘルパンギーナにかかると、子供よりも症状が強く出やすい傾向があり、特に高熱と激しい喉の痛みがつらい特徴です。通常は1週間から10日程度で自然に回復しますが、症状が重い場合や、脱水などの合併症のリスクもあるため注意が必要です。
ヘルパンギーナには特効薬がないため、治療は症状を和らげる対症療法と、安静による体の回復力の促進が中心となります。喉の痛みが強い時期は、脱水を防ぐためにも水分補給に十分注意し、刺激の少ない柔らかい食事を摂るようにしましょう。
また、発熱や喉の痛みがある病気として、溶連菌感染症などとの鑑別が重要です。症状の特徴が異なるため、自己判断せずに医療機関を受診し、正確な診断を受けることが大切です。溶連菌の場合は抗生物質による治療が必要になります。
ヘルパンギーナは感染力が強いため、手洗いやうがい、咳エチケットといった基本的な感染対策を徹底し、家庭内や職場などでの感染拡大を防ぐことが重要です。
もし高熱や激しい喉の痛みといったヘルパンギーナが疑われる症状が現れた場合は、無理せず安静にし、必要に応じて医療機関を受診してください。特に水分が摂れない、症状が重い・改善しないといった場合は、迷わず医師の診察を受けましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状や状況に応じた医学的アドバイスを行うものではありません。特定の症状がある場合や、診断・治療に関するご相談は、必ず医療機関を受診し医師の判断を仰いでください。