蓄膿症(副鼻腔炎)の治し方|症状・原因から病院の治療、セルフケアまで

副鼻腔炎とも呼ばれる蓄膿症は、鼻の奥にある副鼻腔という空洞に炎症が起き、膿が溜まってしまう病気です。慢性化すると日々の生活に支障をきたし、非常につらい症状が長く続くことがあります。しかし、適切な直し方を知り、早期に治療を開始すれば、多くの場合は改善が見込めます。

この記事では、蓄膿症の正しい直し方について、専門医の見解に基づいた最新の治療法から、自宅でできるセルフケア、そしてやってはいけないことまで詳しく解説します。つらい症状にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

目次

蓄膿症(副鼻腔炎)とは?原因と症状

蓄膿症、正式には副鼻腔炎は、鼻の周りにある骨の空洞(前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞、上顎洞)である副鼻腔に炎症が起こる病気です。通常、副鼻腔は鼻腔と細い通路でつながっており、ここで作られた粘液は常に鼻腔へと排出されています。しかし、この通路が塞がったり、粘液の排出が滞ったりすると、副鼻腔内に細菌やウイルスが繁殖しやすくなり、炎症や感染を引き起こします。これが副鼻腔炎です。

蓄膿症(副鼻腔炎)の主な原因

蓄膿症の原因は多岐にわたりますが、主に以下のものが挙げられます。

  • 細菌やウイルス感染: 風邪などのウイルス感染が先行し、その後に細菌による二次感染が起こることが多いです。急性副鼻腔炎の最も一般的な原因です。
  • アレルギー: 花粉症などのアレルギー性鼻炎があると、鼻の粘膜が腫れて副鼻腔への通路が狭くなり、炎症を起こしやすくなります。アレルギーが慢性副鼻腔炎の引き金となることもあります。
  • 真菌(カビ): 副鼻腔内に真菌が繁殖して炎症を引き起こすことがあります。特に免疫力が低下している方に見られます。
  • 鼻ポリープ: 慢性的な炎症により鼻腔や副鼻腔にポリープ(粘膜の良性腫瘍)ができると、副鼻腔の開口部を塞ぎ、換気や排泄を妨げて炎症を悪化させます。
  • 歯の感染症: 上顎洞の近くにある奥歯の根に感染が起こると、それが上顎洞に波及して副鼻腔炎を引き起こすことがあります。
  • 大気汚染や喫煙: これらは鼻の粘膜を刺激し、炎症を悪化させる要因となります。
  • 鼻中隔湾曲症: 鼻の中を左右に隔てる壁(鼻中隔)が大きく曲がっていると、片側の鼻腔が狭くなり、換気が悪くなって副鼻腔炎を引き起こしやすくなります。

これらの原因が単独または複合的に作用し、副鼻腔内の環境が悪化することで蓄膿症は発症します。

蓄膿症の典型的な症状

蓄膿症の症状は、炎症が起きている副鼻腔の場所や炎症の程度によって異なりますが、一般的に以下のような症状が見られます。

  • 鼻水: 黄色や緑色の粘り気のある鼻水が出ます。炎症がひどい場合は膿のような悪臭を伴うこともあります。鼻水が喉に流れ落ちる「後鼻漏」も多く見られます。
  • 鼻づまり: 鼻の粘膜が腫れたり、膿が溜まったりすることで、鼻が詰まります。片方だけ、あるいは両方の鼻が詰まることがあります。
  • 顔面痛・圧迫感: 炎症を起こしている副鼻腔の場所に応じて、頬、額、目の周り、鼻の付け根などに痛みや重い感じが出ます。特に、お辞儀をしたり階段を降りたりするなど、頭を下に向けたときに症状が悪化しやすいのが特徴です。
  • 頭痛: 顔面痛に関連して、額や後頭部などに頭痛が生じることがあります。特に前頭洞炎の場合に顕著です。
  • 嗅覚障害: 鼻づまりや炎症により、匂いを感じにくくなります。
  • その他: 咳、喉の痛み、発熱、倦怠感、集中力の低下などが伴うこともあります。特に小児では、鼻づまりによるいびきや睡眠障害が見られることもあります。

これらの症状が複数見られる場合は、蓄膿症の可能性が高いと考えられます。

蓄膿症は自然に治る?治癒の目安

蓄膿症になると、「自然に治るのだろうか」「いつまでこの症状が続くのだろう」と不安に感じる方も多いでしょう。蓄膿症は、その期間によって急性か慢性かに分類され、それぞれ自然治癒の可能性や治療のアプローチが異なります。

急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎

蓄膿症は、症状が続く期間によって以下のように分類されます。

  • 急性副鼻腔炎: 風邪などの後、急に発症し、症状が4週間以内でおさまるもの。ウイルスや細菌感染が主な原因です。多くの場合は適切な治療により比較的短期間で改善します。
  • 慢性副鼻腔炎: 症状が3ヶ月以上続くもの、または繰り返して起こるもの。急性副鼻腔炎が治りきらなかった場合や、アレルギー、鼻ポリープ、真菌などが原因で炎症が慢性化した状態です。自然に治ることは難しく、根気強い治療が必要となることが多いです。

副鼻腔炎は、急性期に適切に治療することが慢性化を防ぐ上で非常に重要です。

自然治癒の可能性と病院受診の目安

急性副鼻腔炎の場合、軽度であれば安静にして体の免疫力が高まることで、自然に改善することもあります。特に風邪に伴う一過性の炎症であれば、特別な治療をしなくても症状がおさまることは珍しくありません。

しかし、以下のような場合は自然治癒は難しく、早期に耳鼻咽喉科を受診することが強く推奨されます。

  • 症状が1週間以上続く場合: 特に黄色や緑色の鼻水、顔面痛、鼻づまりといった症状が続いている場合。
  • 症状が悪化している場合: 最初の数日よりも症状が強くなっている、または熱が高くなっている場合。
  • 激しい痛みがある場合: 顔面や頭部に我慢できないほどの痛みがある場合。
  • 市販薬を使用しても改善が見られない場合: 数日市販薬を使っても症状が全く変わらない、あるいは悪化する場合。
  • 慢性副鼻腔炎の既往がある場合: 以前にも蓄膿症になったことがあり、似た症状が現れた場合。
  • その他の全身症状がある場合: 高熱、激しいだるさ、目の周りの腫れなどがある場合。

慢性副鼻腔炎の場合は、自然に治ることはほとんど期待できません。放置すると、鼻ポリープが大きくなったり、炎症がさらに広がる可能性があります。3ヶ月以上症状が続いている場合は、必ず医療機関を受診しましょう。

早期に専門医の診察を受けることで、適切な診断と治療が受けられ、症状の早期改善や慢性化の予防につながります。

蓄膿症の主な治療法(病院編)

病院での蓄膿症治療は、原因や症状の程度、病気の期間(急性か慢性か)によって異なります。医師は問診や鼻腔内の診察、レントゲン検査やCT検査などを行い、最適な治療法を選択します。

薬物療法(抗生物質、漢方薬など)

蓄膿症治療の中心となるのが薬物療法です。主に以下のような種類の薬が用いられます。

  • 抗生物質: 細菌感染が原因の場合や、細菌による二次感染が疑われる場合に処方されます。炎症を引き起こしている細菌を殺菌・抑制する目的で使用されます。症状の改善が見られても、医師の指示通りに最後まで服用することが重要です。漫然と使い続けたり、自己判断で中断したりすると、耐性菌が出現するリスクがあります。
  • 粘液溶解薬・去痰薬: 副鼻腔内に溜まった粘り気のある鼻水や膿をサラサラにして、排出しやすくする薬です。カルボシステインやアンブロキソールなどが代表的です。
  • 抗ヒスタミン薬・ステロイド点鼻薬: アレルギーが原因や関与している場合に用いられます。鼻の粘膜の腫れを抑え、副鼻腔の開口部を広げる効果が期待できます。ステロイド点鼻薬は、特に鼻ポリープの縮小にも効果がある場合があります。
  • 消炎鎮痛剤: 顔面痛や頭痛が強い場合に、痛みを和らげるために処方されます。
  • 漢方薬: 鼻づまりや後鼻漏、排膿を促す目的で、体質や症状に合わせて処方されることがあります。葛根湯加川芎辛夷や辛夷清肺湯などがよく知られています。西洋薬と併用されることもあります。

これらの薬は、症状に応じて組み合わせて使用されます。医師は、患者さんの状態を定期的に確認しながら、薬の種類や量を調整します。

鼻処置(吸引、ネブライザー)

病院で行われる局所的な処置も、蓄膿症治療において重要です。

  • 鼻汁吸引: 専用の機械を使って、鼻腔や副鼻腔から鼻水や膿を吸引します。これにより、物理的に膿を取り除き、鼻の通りを良くすることができます。特に小児や自分でうまく鼻をかめない方、膿が多く溜まっている場合に有効です。
  • ネブライザー療法: 超音波や圧縮空気で薬液を霧状にし、鼻や口から吸入する治療法です。炎症を抑える薬や粘膜の腫れを和らげる薬、抗生物質などが用いられます。薬液が副鼻腔内まで届き、炎症部分に直接作用する効果が期待できます。鼻の通りが改善し、不快な症状が和らぐことが多いです。

これらの処置は、外来で手軽に行うことができ、薬物療法の効果を高める補助的な役割を果たします。

手術療法

薬物療法や鼻処置を数ヶ月続けても症状が改善しない慢性副鼻腔炎や、鼻ポリープが大きい場合、真菌性副鼻腔炎、歯性上顎洞炎など、特定の原因がある場合には手術が検討されます。

近年では、内視鏡を用いた手術が主流となっています。

  • 内視鏡下副鼻腔手術(ESS: Endoscopic Sinus Surgery): 鼻の穴から内視鏡を挿入し、副鼻腔の内部を観察しながら、病変部(炎症を起こした粘膜、鼻ポリープなど)を切除したり、副鼻腔と鼻腔をつなぐ通路を広げたりする手術です。これにより、副鼻腔の換気と排泄機能を改善し、炎症の慢性化を断ち切ることを目指します。
  • バルーン副鼻腔拡張術: 副鼻腔の開口部が狭くなっている場合に、バルーン(風船)カテーテルを用いて通路を広げる比較的新しい手術法です。粘膜へのダメージが少なく、体への負担が少ないのが特徴です。

手術は、慢性的な鼻づまりや顔面痛、嗅覚障害など、日常生活に大きな支障をきたしている場合に有効な治療選択肢となります。手術を検討する場合は、耳鼻咽喉科の専門医とよく相談し、メリットとデメリットを理解した上で判断することが重要です。

自宅でできる蓄膿症のケア・膿を出す方法

病院での治療と並行して、自宅でできるセルフケアも蓄膿症の症状緩和や改善に役立ちます。特に、副鼻腔に溜まった膿を排出しやすくするためのケアは重要です。

鼻うがいの正しいやり方と効果

鼻うがいは、鼻腔や副鼻腔内に溜まった鼻水や膿、アレルゲン、ほこりなどを洗い流す効果的な方法です。鼻の通りを良くし、炎症を抑える効果が期待できます。

鼻うがいの正しいやり方:

  • 準備するもの:
    洗浄液: 人間の体液に近い塩分濃度(約0.9%)の生理食塩水を用意します。水道水をそのまま使うと、鼻の粘膜に刺激を与えたり、浸透圧の違いでツーンとした痛みを感じたりすることがあります。薬局で生理食塩水を購入するか、ぬるま湯(体温程度、約35〜40℃)500mlに対して食塩を4.5g溶かして自作することもできます。
    洗浄器具: 鼻うがい専用のボトルやポット、シリンジなどがあります。自分が使いやすいものを選びましょう。
  • 洗浄液の温度: 冷たすぎると刺激になり、熱すぎると粘膜を傷める可能性があります。体温に近い、人肌程度の温度(35〜40℃)に温めましょう。
  • 行う姿勢: 洗面台などに立ち、軽く前かがみになります。顔を少し横に傾け、洗浄液を入れる側の鼻の穴を上向きにします。
  • 洗浄: 洗浄器具のノズルを上向きにした側の鼻の穴に軽く当てます。口を大きく開けて「あー」や「えー」といった声を出しながら、ゆっくりと洗浄液を流し込みます。口を開けることで、洗浄液が耳の方へ流れるのを防ぎやすくなります。
  • 排出: 洗浄液は、反対側の鼻の穴や口から出てきます。出てきた洗浄液と鼻水や膿を洗面台に排出します。
  • 反対側も: 反対側の鼻の穴も同様に行います。
  • 後始末: 鼻の中に残った洗浄液は、強くかまずに自然に垂らしたり、優しく鼻をかんだりして出します。洗浄器具は毎回きれいに洗い、乾燥させて清潔に保ちましょう。

鼻うがいの効果:

  • 鼻水や膿、かさぶたなどの物理的な除去。
  • 鼻粘膜に付着したウイルス、細菌、アレルゲンの洗浄。
  • 鼻粘膜の線毛運動の促進。
  • 鼻腔・副鼻腔の換気の改善。

毎日行うことで、鼻腔内を清潔に保ち、症状の緩和や悪化予防につながります。ただし、急性期の炎症が非常に強い場合や、耳に炎症がある場合は、鼻うがいを避けるべき場合もありますので、不安な場合は医師に相談してください。

膿を出しやすくするためのセルフケア

鼻うがい以外にも、副鼻腔に溜まった膿を出しやすくするためのセルフケアがあります。

  • 鼻を温める: 蒸しタオルを鼻や顔面に当てて温めると、血行が良くなり、鼻の粘膜の腫れが和らぎ、鼻水や膿が流れやすくなります。入浴中も体が温まり、湿度が高いので同様の効果が期待できます。
  • 部屋の湿度を保つ: 空気が乾燥していると、鼻水が固くなり排出されにくくなります。加湿器などを使って、部屋の湿度を適切(50〜60%程度)に保つようにしましょう。
  • 適度な運動: 体を動かすと血行が促進され、鼻の通りが良くなることがあります。ただし、無理のない範囲で行いましょう。
  • 体の向き: 溜まった膿を自然に出すために、炎症を起こしている副鼻腔がある方を下にして横になるなど、頭の向きを工夫することも有効な場合があります。例えば、右の上顎洞に膿が溜まっている場合は、右を下にして横になります。

これらのセルフケアは、あくまで補助的なものであり、医療機関での治療の代わりにはなりません。

食生活で気をつけたいこと

特定の食品が蓄膿症を直接引き起こすわけではありませんが、症状に影響を与える可能性のある食品はあります。

  • 避けた方が良い可能性のあるもの:
    • 刺激物: 唐辛子や香辛料などの刺激物は、鼻水が増えたり、鼻の粘膜を刺激したりすることがあります。
    • 冷たい飲食物: 体を冷やすことで免疫力が低下したり、鼻の粘膜の血行が悪くなったりする可能性があります。
    • 乳製品: 一部の人では、乳製品を摂ると鼻水が増えると感じる場合があります。ただし、科学的な根拠は限定的であり、個人差が大きいです。
  • 積極的に摂りたい可能性のあるもの:
    • 粘膜を健康に保つ栄養素: ビタミンA(緑黄色野菜、レバーなど)、ビタミンC(果物、野菜)、ビタミンE(ナッツ類、植物油)、亜鉛(牡蠣、肉類など)は、粘膜の健康維持や免疫機能に関わると言われています。
    • 炎症を抑える可能性のある食品: 青魚に含まれるオメガ3脂肪酸や、玉ねぎ、にんにくなどに含まれる成分は、炎症を抑える効果が期待できると言われています。

バランスの取れた食事を基本とし、特定の食品に偏りすぎず、ご自身の体調に合わせて調整することが大切です。

蓄膿症に効くと言われるツボについて

民間療法として、蓄膿症の症状緩和に効果があると言われているツボがいくつかあります。科学的なエビデンスは限定的ですが、試してみる価値はあるかもしれません。

  • 迎香(げいこう): 小鼻のすぐ横にあるツボです。鼻づまりや鼻水に効果があると言われています。人差し指で優しく押したり、クルクルと回したりしてみてください。
  • 印堂(いんどう): 左右の眉毛のちょうど真ん中にあるツボです。頭痛や鼻づまりに効果があると言われています。
  • 睛明(せいめい): 目頭のやや内側にあるツボです。目の疲れや鼻の症状に効果があると言われています。

これらのツボを押す際は、強い力で押さず、気持ち良いと感じる程度の力で行いましょう。症状が改善しない場合は、必ず医療機関を受診してください。

蓄膿症の人がやってはいけないこと

蓄膿症の症状を悪化させたり、治療を妨げたりする可能性がある行動があります。適切な直し方のためにも、以下の点に注意しましょう。

  • 鼻を強くかみすぎる: 鼻を強くかむと、鼻腔内の圧力が急激に高まり、細菌やウイルスが副鼻腔や耳の方へ押し込まれて、炎症が悪化したり、中耳炎を合併したりする危険性があります。片方ずつ優しくかむようにしましょう。
  • 自己判断で市販薬を長期間使用する: 市販の点鼻薬などには血管収縮剤が含まれていることがあり、使いすぎるとかえって鼻づまりが悪化する「薬剤性鼻炎」を引き起こすことがあります。また、抗生物質は市販されていません。自己判断で治療を遅らせると慢性化のリスクが高まります。
  • 自己判断で処方薬を中断する: 医師から処方された薬は、症状が改善しても指示された期間、容量を守って服用することが重要です。特に抗生物質は、途中でやめると細菌が完全に死滅せず、再発したり耐性菌が出現したりする可能性があります。
  • 冷たい空気や乾燥した空気に長時間当たる: 鼻の粘膜が刺激され、症状が悪化することがあります。マスクをするなどして、鼻を保護しましょう。
  • 喫煙: タバコの煙は鼻の粘膜に炎症を引き起こし、症状を悪化させる最大の要因の一つです。喫煙者は禁煙することが、蓄膿症治療・予防において非常に重要です。
  • 刺激物を過剰に摂取する: 前述の通り、刺激物は鼻水を増やす可能性があります。
  • 睡眠不足や過労: 体の免疫力が低下し、症状が回復しにくくなります。十分な休息をとり、規則正しい生活を心がけましょう。

これらの「やってはいけないこと」を避け、正しいケアを行うことが、蓄膿症の早期改善と再発予防につながります。

蓄膿症の予防策

蓄膿症を完全に予防することは難しいですが、日頃から以下の点に注意することで、発症リスクを減らすことができます。

  • 風邪やインフルエンザの予防: 蓄膿症は風邪などのウイルス感染が引き金となることが多いです。手洗い、うがい、マスクの着用、人混みを避けるなど、基本的な感染予防を徹底しましょう。
  • アレルギー性鼻炎の適切な管理: 花粉症などのアレルギー性鼻炎がある方は、適切に治療し、鼻の炎症を抑えることが重要です。アレルギー症状がひどい時期には、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
  • 鼻腔内の清潔を保つ: 必要に応じて、前述した鼻うがいを習慣にするのも良いでしょう。ただし、やりすぎは粘膜を傷める可能性があるので注意が必要です。
  • 部屋の湿度と換気: 空気が乾燥しないように加湿器を使用し、部屋の換気をこまめに行いましょう。
  • 規則正しい生活とバランスの取れた食事: 十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事は、免疫力を維持し、病気にかかりにくい体を作るために重要です。
  • 禁煙: 喫煙は鼻や喉の粘膜に悪影響を与え、蓄膿症のリスクを高めます。禁煙は最も効果的な予防策の一つです。
  • 鼻をいじりすぎない: 鼻の中を頻繁に触ったり、強くこすったりすると、粘膜を傷つけ、感染しやすくなります。

これらの予防策を実践し、鼻や体の健康を日頃から意識することが、蓄膿症の発症を防ぐことにつながります。

蓄膿症治療に関するよくある質問

蓄膿症に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

副鼻腔炎は自然に治りますか?

急性副鼻腔炎で、症状が軽度かつ短期間(1週間以内程度)であれば、体の免疫力によって自然に改善することもあります。しかし、症状が長引いたり、黄色や緑色の鼻水、顔面痛などが強く出ている場合は、自然治癒は難しいと考えられます。特に、症状が3ヶ月以上続く慢性副鼻腔炎は、自然に治ることはほとんどありません。自己判断せず、症状が見られたら早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

副鼻腔に溜まった膿はどうやって出せばいいですか?

副鼻腔に溜まった膿を自分で物理的に無理に出そうとするのは危険です。鼻を強くかみすぎると、かえって炎症を悪化させたり、中耳炎を引き起こしたりする可能性があります。副鼻腔の膿を排出させるには、主に以下の方法があります。

  • 病院での鼻処置: 耳鼻咽喉科で専用の吸引器を用いて、鼻腔や副鼻腔の膿を吸引してもらうのが最も効果的です。ネブライザー療法も、薬液の作用で膿を出しやすくする効果が期待できます。
  • 薬物療法: 粘液溶解薬など、膿をサラサラにして排出しやすくする薬が処方されます。抗生物質で原因菌を抑えることで、膿の産生そのものを減らすことも重要です。
  • 鼻うがい: 生理食塩水を使った鼻うがいは、鼻腔内の膿や鼻水を洗い流すのに有効です。正しい方法で行いましょう。
  • セルフケア: 温める、湿度を保つなど、鼻腔・副鼻腔の換気を改善するセルフケアも補助的に役立ちます。

最も重要なのは、自己判断で無理に出そうとせず、専門医の指導のもと、適切な治療を行うことです。

チクナインで蓄膿症は治りますか?

チクナインは、漢方薬である「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」を主成分とする市販薬です。辛夷清肺湯は、鼻づまりや慢性的な鼻炎、蓄膿症による鼻水や後鼻漏などに用いられる漢方処方で、鼻腔や副鼻腔の炎症を和らげ、膿の排出を助ける効果が期待されています。

チクナインを含む市販の漢方薬は、比較的軽度な症状に対して、症状緩和や体質改善を目的として使用されることがあります。一部の方には有効な場合がありますが、蓄膿症の原因や症状の程度によっては効果が不十分なこともあります。特に、細菌感染が強い場合や、鼻ポリープが大きい場合などには、医療機関で処方される西洋薬や処置が必要となることが多いです。

チクナインを使用しても症状が改善しない場合や、症状が重い場合は、市販薬に頼りすぎず、必ず耳鼻咽喉科を受診して専門医の診断と治療を受けましょう。

まとめ:蓄膿症は専門医へ相談し適切な直し方を

蓄膿症(副鼻腔炎)は、放置すると慢性化し、つらい症状が長く続く可能性のある病気です。しかし、適切な直し方を知り、早期に治療を開始すれば、多くの場合は改善が期待できます。

蓄膿症の正しい直し方は、病状や原因によって異なります。急性期であれば薬物療法や鼻処置で比較的早く改善が見込めますが、慢性化している場合はより根気強い治療が必要となったり、場合によっては手術が検討されたりすることもあります。

自宅でできる鼻うがいやセルフケアは、症状緩和や膿の排出を助ける有効な方法ですが、これらはあくまで補助的なケアです。自己判断で市販薬を使い続けたり、症状を放置したりすることは、慢性化や合併症のリスクを高める可能性があります。

つらい鼻づまりや顔面痛、黄色い鼻水などの症状が続く場合は、「そのうち治るだろう」と安易に考えず、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。専門医による正確な診断のもと、ご自身の状態に合わせた最適な治療法を選択することが、蓄膿症をきちんと「治す」ための最も確実な一歩です。早期発見・早期治療が、症状の改善と快適な日常生活を取り戻す鍵となります。

免責事項: この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医師による診断や治療に代わるものではありません。ご自身の症状については、必ず医療機関を受診し、医師の判断を仰いでください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次