なぜほくろは大きくなる?危険なサインと見分け方を徹底解説

ほくろは多くの人が持っている身近なものですが、中には「最近ほくろが大きくなってきた気がする」「これって病気ではないか?」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。
ほくろが大きくなる原因は様々で、ほとんどの場合は心配のない良性のものですが、まれに注意が必要なケースもあります。
特に、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)は、ほくろと間違われやすいため正確な知識を持つことが大切です。

この記事では、ほくろが大きくなる理由から、危険なほくろの見分け方、そしてもしも不安を感じたときにいつ、どのように医療機関を受診すれば良いのかについて詳しく解説します。
ご自身のほくろで気になる点がある方は、ぜひ参考にしてください。

ほくろが大きくなるのはなぜ?原因と危険性、皮膚がんとの見分け方

ほくろは、医学的には「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」と呼ばれる皮膚の良性腫瘍です。
メラニン色素を作る細胞である「母斑細胞」が増殖してできるもので、その細胞が集まる場所や深さによって、見た目や大きさが異なります。

多くのほくろは生まれたときから、あるいは幼少期にでき始め、年齢とともに数が増えたり、大きさが変化したりします。
思春期や妊娠期など、ホルモンバランスが大きく変化する時期にほくろが目立つようになったり、大きくなったりすることも珍しくありません。

しかし、中には注意が必要なケースも存在します。

目次

ほくろが大きくなる主な理由

ほくろが大きくなるのには、いくつかの理由が考えられます。
ほとんどの場合は生理的な変化や良性の原因によるものですが、ごくまれに悪性の変化を示すサインであることもあります。

良性のほくろが成長に伴って大きくなるケース

ほくろを構成する母斑細胞は、皮膚の成長に伴って数が増えたり、一つ一つの細胞が大きくなったりすることがあります。
特に、子供の成長期には全身の皮膚が大きくなるのに合わせて、ほくろも大きくなる傾向があります。
これは自然な体の変化であり、ほとんどの場合心配いりません。

また、思春期を迎えると、男性ホルモンや女性ホルモンの分泌が増加し、体毛が濃くなったり皮脂の分泌が増えたりするのと同様に、ほくろの母斑細胞の活性が高まることがあります。
これにより、既存のほくろが少し大きくなったり、新しいほくろができやすくなったりすることがあります。

妊娠中も、女性ホルモンの影響でほくろが一時的に濃くなったり、わずかに大きさを増したりすることが知られています。
これらは妊娠に伴う一過性の変化であることが多く、出産後に元の状態に戻ることも少なくありません。

これらの生理的な変化によるほくろの増大は、通常は均一な形で、急激ではなく比較的ゆるやかに起こるのが特徴です。

外部刺激による影響

ほくろは皮膚の一部であり、外部からの刺激によって変化を起こすこともあります。

  • 紫外線: 紫外線はメラニン色素の生成を促進するため、ほくろの色が濃くなったり、わずかに大きくなったりする原因となる可能性があります。
    特に、日光によく当たる場所のほくろは、紫外線の影響を受けやすいと考えられます。
    過度な紫外線曝露は皮膚がんのリスクを高めるため、ほくろがあるかどうかにかかわらず、日頃からの紫外線対策は重要です。
  • 摩擦や物理的な刺激: 衣類やアクセサリーとの摩擦、カミソリでのシェービング、あるいは慢性的なかゆみによる掻きむしりなど、繰り返し物理的な刺激が加わることも、ほくろに変化をもたらす可能性があります。
    刺激によってほくろの細胞が活性化したり、炎症を起こしたりすることで、一時的に大きくなったように見えたり、色が変わったりすることがあります。

これらの外部刺激による変化も、通常は刺激を取り除くことで落ち着くことが多いですが、刺激が慢性的に続くと、まれに細胞の異常な増殖を招く可能性も否定できません。

大きくなったほくろ、危険な見分け方(皮膚がんの可能性)

ほくろが大きくなったと感じたときに最も心配されるのは、皮膚がんの一種である「悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)」、通称「メラノーマ」である可能性です。
メラノーマはメラニン色素を作る細胞が悪性化したもので、進行が比較的早い皮膚がんとして知られています。

しかし、メラノーマは早期に発見し適切な治療を行えば、治癒率が高いがんでもあります。
そのため、ご自身のほくろを日頃から観察し、メラノーマを疑うサインに気づくことが非常に重要です。

メラノーマと良性のほくろを見分けるための代表的なチェックポイントとして、世界的に用いられている「ABCDEルール」があります。

悪性黒色腫(メラノーマ)のチェックポイント【ABCDEルール】

メラノーマを疑うべきほくろの特徴を、それぞれの頭文字をとってまとめたのがABCDEルールです。
ご自身のほくろをチェックする際に役立ててください。

A: 形の非対称性(Asymmetry)

良性のほくろは、通常、左右対称の丸い形や楕円形をしています。
一方、メラノーマは、多くの場合、形がいびつで、中心を通る線で折りたたんでも左右がぴったり一致しないような非対称な形をしています。

例えば、地図のように輪郭がデコボコしていたり、全体としてまとまりのない形をしていたりする場合は注意が必要です。

B: 境界線の不規則性(Border irregularity)

良性のほくろの境界線は、比較的はっきりとして滑らかです。
皮膚との境目が分かりやすく、きれいな円や楕円を描いています。

メラノーマの場合、境界線がギザギザしていたり、ノコギリの歯のように不規則だったり、あるいは皮膚との境目がぼやけて不明瞭になっていることがあります。
まるでインクがにじんだような見た目になることもあります。

C: 色調の変化(Color variegation)

良性のほくろは、全体的に色が均一で、単一の色調(黒、茶色、褐色など)をしています。

メラノーマでは、一つの病変の中に複数の色が混ざり合っていることがよくあります。
例えば、黒、濃い茶色、薄い茶色、赤色、青みがかった灰色、白色などが混在していたり、色の濃淡が不規則だったりします。
時間の経過とともに色が変わっていく場合も注意が必要です。

D: 直径(Diameter)の増大

良性のほくろのサイズは様々ですが、多くは6mm以下の小さいものです。
もちろん、良性のほくろでも6mmを超えるものもありますが、一般的に直径が6mmを超えるほくろは、メラノーマである可能性を考慮する必要があります。

特に、もともと小さかったほくろが短期間のうちに直径6mm以上に大きくなった場合は、注意深く観察する必要があります。
ただし、6mm以下であっても、他のABCDEの項目に当てはまる場合や、短期間に急激な変化が見られる場合は危険なサインとなり得ます。

E: 隆起や拡大などの変化(Evolution)

ABCDEルールの中で、最も重要視されるのがこの「E」です。
ほくろの見た目や感触が時間とともに変化していくことです。

具体的には、

  • 短期間(数週間〜数ヶ月)のうちに急激に大きくなる
  • 平坦だったほくろが盛り上がってくる、厚みを増す
  • 表面がただれる、出血する
  • かゆみや痛みを伴う
  • 色が濃くなる、薄くなる、色むらができるなどの変化が見られる

これらの変化が見られる場合は、良性のほくろが悪性に変化している可能性や、最初からメラノーマとして発生した可能性が考えられます。
特に「E」に当てはまる変化は、積極的に皮膚科を受診すべき重要なサインです。

盛り上がってきたほくろに注意が必要な症状

ほくろが盛り上がってくること自体は、良性のほくろ(特に「真皮内母斑」と呼ばれるタイプ)でも起こり得ます。
良性の盛り上がったほくろは、ドーム状で比較的対称的な形をしていることが多いです。

しかし、盛り上がったほくろに加えて、以下のような症状が見られる場合は、メラノーマや他の皮膚腫瘍の可能性を疑う必要があります。

  • 急激なサイズの変化: 平坦な状態から短期間に急に盛り上がり、かつ大きくなる。
  • 表面の変化: 表面がザラザラしたり、カリカリしたりする。
    ただれや潰瘍(傷のようになること)、出血が見られる。
  • 色の変化: 盛り上がりに伴って色が変わる、複数の色が混ざり合う。
  • 自覚症状: 以前は何も感じなかったのに、かゆみや痛みを伴うようになる。

特に、成人になってから新しくできた、あるいは変化してきた盛り上がったほくろには注意が必要です。

子供のほくろが大きくなるのは危険?

子供のほくろは、体の成長に伴って大きくなるのが一般的です。
多くの場合は心配のない変化であり、自然なことです。
しかし、子供のほくろでも注意が必要なケースがあります。

  • 先天性巨大色素性母斑: 生まれたときからある、比較的大きなほくろ(一般的に直径20cm以上、または体の部位によって基準が異なる)で、メラノーマが発生するリスクが比較的高いことが知られています。
    経過観察や、場合によっては予防的な切除が検討されます。
  • 後天性のほくろの急激な変化: 後からできたほくろが、短期間のうちに急激に大きくなる、ABCDEルールに当てはまるような非対称性、不規則な境界、色調の変化、隆起などを伴う場合は、子供でもメラノーマを含めた悪性腫瘍の可能性を考慮し、専門医に相談する必要があります。

子供の場合、自分でほくろの変化に気づきにくいことがあるため、保護者の方が日頃からお子さんの皮膚の状態を観察してあげることが大切です。
少しでも気になるほくろがあれば、小児皮膚科医や皮膚科医に相談することをおすすめします。

大きくなったほくろ、病院を受診すべき目安

「ほくろが大きくなった気がするけれど、いつ病院に行けばいいの?」と悩む方も多いでしょう。
多くのほくろは良性であり、大きくなったからといって必ずしも病気とは限りません。
しかし、自己判断は危険です。

自己判断せず専門医へ相談が必要な場合

ご自身のほくろを見て、以下のいずれかに当てはまる場合は、迷わず皮膚科を受診することをおすすめします。

  • ABCDEルールのいずれかに当てはまる変化がある
    • 形がいびつになった
    • 境界線がぼやけてきた、ギザギザしてきた
    • 色むらができた、複数の色が混ざってきた
    • 短期間で直径6mm以上に大きくなった(あるいは6mm以下でも急に大きくなった)
    • 盛り上がってきた、ただれてきた、出血してきた
  • 短期間(数週間〜数ヶ月)のうちに目に見える変化(サイズ、形、色、表面など)があった
  • かゆみや痛みを伴うようになった
  • 爪の下にできた黒い線やしみ(爪のほくろやメラノーマの可能性がある)
  • 足の裏や手のひら、指、粘膜(口の中、性器など)にできたほくろで変化が見られる
  • 自分で見て「何かおかしいな」「気になるな」と感じる

特に足の裏や手のひらのほくろは、他の部位に比べてメラノーマの発生率が高い傾向があるため、変化に気づいたら早めに受診することが推奨されます。

皮膚科での診察・検査方法

皮膚科を受診すると、まずは問診でいつ頃からほくろが気になり始めたのか、どのような変化があったのかなどを詳しく聞かれます。
次に、医師がほくろの状態を視診します。

多くの場合、ダーモスコピー(ダーモスコープと呼ばれる拡大鏡)を用いた検査が行われます。
ダーモスコープを使うと、皮膚の表面を透過して、ほくろの色素の分布パターンや血管の状態などを詳細に観察することができます。
この検査は痛みもなく、数分で終わります。
経験豊富な皮膚科医は、ダーモスコピーの画像から、かなりの精度で良性か悪性かを判断することができます。

ダーモスコピー検査で悪性の可能性が疑われる場合、または診断が難しい場合には、生検(せいけん)が行われることがあります。
生検とは、ほくろの一部または全体をメスなどで切り取り、病理医が顕微鏡で組織を詳しく調べる検査です。
この検査によって、良性か悪性かを確定診断することができます。
生検は局所麻酔をして行われ、切除した傷は縫合することがあります。

〇〇皮膚科では、最新のダーモスコピーを用いて、患者様のほくろの状態を丁寧に診察しています。
必要に応じて生検による精密検査も行い、正確な診断に基づいて最適な治療方針をご提案いたします。

大きくなったほくろの治療・除去方法

ほくろの治療や除去方法は、そのほくろが良性か悪性か、大きさ、深さ、できた場所などによって異なります。

良性の場合の主な除去方法

良性のほくろで、見た目が気になる、衣類などに擦れて刺激になる、といった理由で除去を希望される場合の主な方法は以下の通りです。
これらの治療は、通常、保険適用で行うことができます(美容目的の場合は自費診療となることもあります)。

除去方法 特徴 メリット デメリット 適したほくろ
切除縫合法 ほくろの周りの皮膚ごとメスで切り取り、縫い合わせる方法。 組織を病理検査に回せる。再発のリスクが低い。 傷跡が残りやすい(線の傷)。縫合が必要。抜糸が必要なことも。 大きなほくろ、根が深いほくろ、悪性の可能性も考慮する場合
くり抜き法 ほくろの部分をパンチのような器具で円筒状にくり抜く方法。 切除縫合より傷跡が目立ちにくい(点の傷)。縫合不要なことも。 大きさによっては傷跡が凹むことがある。病理検査可能。 比較的大きく、盛り上がったほくろ。
レーザー治療 炭酸ガスレーザーなどでほくろを焼き取る方法。 傷跡が目立ちにくい。縫合や抜糸が不要。施術時間が短い。 深いほくろには適さない。組織を病理検査に回せない。 小さく平坦なほくろ、浅いほくろ。

どの方法が適切かは、ほくろの種類や患者様の希望によって異なります。
〇〇皮膚科では、患者様一人ひとりのほくろの状態を診察し、最適な除去方法をご提案いたします。

悪性が疑われる場合の治療方針

ダーモスコピー検査や生検によって悪性黒色腫(メラノーマ)であると診断された場合は、悪性腫瘍に対する専門的な治療が必要となります。

メラノーマの治療の中心は外科的切除です。
がんの深さや進行度によって、切除する範囲(正常な皮膚を含めて広く切除します)や、リンパ節への転移の有無を調べるセンチネルリンパ節生検を行うかどうかが決まります。

進行したメラノーマに対しては、切除手術に加えて、薬物療法が行われることがあります。
近年は、がん細胞の特定の分子を標的とする「分子標的薬」や、体の免疫の力を使ってがんを攻撃する「免疫チェックポイント阻害薬」など、効果の高い新しい薬剤が登場しており、治療の選択肢が広がっています。

メラノーマと診断された場合は、病状や進行度に応じて、大学病院やがんセンターなどの専門施設と連携して治療を進めることが一般的です。
〇〇皮膚科では、悪性腫瘍が疑われる、あるいは診断された場合は、速やかに適切な専門医療機関への紹介を行い、患者様がスムーズに高度な医療を受けられるようサポートいたします。

まとめ:気になるほくろは放置せず皮膚科医に相談を

ほくろが大きくなる原因の多くは、成長に伴う生理的な変化や、外部からの刺激などによる良性のものです。
しかし、まれに皮膚がんである悪性黒色腫(メラノーマ)が原因で大きくなることもあります。

メラノーマは早期発見・早期治療が非常に重要です。
ご自身のほくろを日頃から観察し、ABCDEルールに当てはまる変化や、急激なサイズの変化、出血、かゆみ、ただれなどの症状が見られた場合は、自己判断せず、必ず皮膚科専門医に相談してください。

〇〇皮膚科では、経験豊富な医師が最新のダーモスコピーを用いてほくろの状態を詳しく診断し、良性か悪性かを見極めます。
良性のほくろであれば、ご希望に応じて目立たない除去方法をご提案できますし、もし悪性の可能性が疑われる場合は、速やかに専門施設へご紹介し、適切な治療へと繋げます。

「たかがほくろ」と思わずに、少しでも気になる点があれば、放置せずにまずは一度、〇〇皮膚科にご相談ください。
早期発見と適切な対応が、あなたの健康を守るために最も大切なことです。

※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療を保証するものではありません。
ご自身のほくろに関するご心配は、必ず医療機関で相談してください。

監修者情報

(ここに監修医の氏名、所属、専門分野、資格などを記載します。例:〇〇 皮膚科 院長 △△ △△ / 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 / 皮膚腫瘍学)

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