おしりのできものは、座る時や下着に触れるたびに気になったり、痛みやかゆみを伴ったりと、日常生活に影響を与えることも少なくありません。「たかができもの」と自己判断で放置していると、悪化したり、思わぬ病気が隠れていたりすることもあります。
この記事では、おしりのできものができる原因から、考えられる様々な種類、症状別の見分け方、ご自身でできるケア方法、そして「これは病院に行った方がいいかも?」と判断する目安や、受診すべき診療科について詳しく解説します。おしりのできものでお悩みの方が、ご自身の症状を正しく理解し、適切な対処ができるよう、分かりやすく丁寧にご説明します。
おしり できもの、考えられる原因とは?
おしりにできものができる原因は一つではありません。皮膚の構造や日常生活の習慣、さらには細菌やウイルス感染など、さまざまな要因が考えられます。
おしりのできものの主な原因
おしりの皮膚は、他の体の部位と比較していくつかの特徴があります。まず、常に下着や衣服に覆われており、通気性が悪くなりがちです。また、座るという動作によって常に圧迫や摩擦を受けやすい部位でもあります。さらに、汗や皮脂の分泌、さらには便が付着する可能性もあり、細菌が繁殖しやすい環境になりがちです。
このようなおしりの皮膚の特性に加え、以下のような要因が組み合わさることで、できものができやすくなります。
- 毛穴の詰まりと炎症: 皮脂や角質が毛穴に詰まり、そこに細菌が繁殖することで炎症が起こります。
- 摩擦や蒸れ: 下着や衣類、長時間座っていることによる摩擦や蒸れが、皮膚に刺激を与え、バリア機能を低下させます。
- 細菌やウイルス感染: 黄色ブドウ球菌などの細菌や、特定のウイルスが皮膚に感染することで、できものが形成されます。
これらの原因が単独であるいは複合的に作用することで、おしりに様々な種類のできものが発生します。
毛穴の詰まりと炎症
おしりには多くの毛穴があり、皮脂腺から皮脂が分泌されています。通常、皮脂は毛穴から排出されますが、様々な要因で毛穴が詰まることがあります。毛穴が詰まると、中に皮脂や古い角質が溜まり、面皰(めんぽう)と呼ばれる状態になります。この詰まった毛穴の中で、皮膚の常在菌であるアクネ菌や黄色ブドウ球菌などが異常に増殖すると、炎症が引き起こされ、赤みや腫れを伴う「できもの」となります。
特に、タイトな衣服や下着による締め付け、ムダ毛処理による刺激、不十分な洗浄などが毛穴詰まりを悪化させる要因となります。おしりは座っている時間が長いと圧迫されるため、毛穴からの皮脂排出が妨げられやすい環境でもあります。
日常生活における原因(摩擦、蒸れなど)
おしりは日常的に様々な刺激にさらされています。
- 摩擦: 下着やズボンの生地との摩擦、硬い椅子に長時間座ることによる摩擦などが、皮膚の表面を傷つけたり、毛穴を刺激したりします。摩擦によって皮膚のバリア機能が低下すると、外部からの刺激や細菌の侵入に対して弱くなります。
- 蒸れ: おしりは衣服に覆われているため、汗や皮脂が蒸発しにくく、湿った状態になりがちです。特に夏場や、通気性の悪い下着・衣服を着用していると蒸れやすくなります。高温多湿な環境は細菌や真菌(カビ)が繁殖しやすい条件であり、炎症や感染を引き起こす原因となります。
- 不衛生: トイレの後の不十分な拭き取りや、シャワーでの洗浄不足などにより、おしりの皮膚が不衛生な状態になると、細菌が繁殖しやすくなります。ただし、洗いすぎも皮膚のバリア機能を損なうため注意が必要です。
- 乾燥: 一見関係なさそうですが、皮膚が乾燥すると、バリア機能が低下し、刺激に弱くなります。乾燥を補うために皮脂が過剰に分泌され、毛穴詰まりを引き起こすこともあります。
- ストレスや睡眠不足: 体全体の免疫力が低下し、皮膚のターンオーバーが乱れることで、できものができやすくなることがあります。
- 食生活: 偏った食生活や油っぽい食事の過剰摂取などが、皮脂の分泌を増やし、毛穴詰まりの原因となることもあります。
細菌やウイルス感染
おしりにできるできものの中には、特定の細菌やウイルスへの感染が原因で発生するものもあります。
- 細菌感染: 皮膚に小さな傷があったり、毛穴が詰まったりした場所に、常在菌である黄色ブドウ球菌などが入り込み、感染を起こすことがあります。これが「おでき(せつ)」や「毛嚢炎(もうのうえん)」といった化膿性の炎症を引き起こします。
- ウイルス感染: 性行為によってヒトパピローマウイルス(HPV)に感染すると、おしりの周りや肛門周辺に「尖圭コンジローマ」と呼ばれるイボ状のできものができることがあります。また、稀ですが、ヘルペスウイルスによる感染が、おしり周辺に水ぶくれや痛みを伴うできものとして現れることもあります。
これらの感染性の病気は、適切な治療が必要となるため、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。
おしり できもの、どんな種類がある?症状別の見分け方
おしりにできるできものには、様々な種類があります。見た目や触感、痛みやかゆみの有無など、症状によって考えられる病気が異なります。ご自身の症状と照らし合わせながら、可能性のある病気を理解しましょう。
おしりのできものでよく見られる症状
おしりにできるできものの症状は多岐にわたりますが、代表的なものとして以下が挙げられます。
- 赤みや腫れ: 炎症が起きているサインです。
- 痛み: 炎症が強い場合や、神経に近い場所にできている場合に感じやすい症状です。座る時や触れた時に特に痛むことがあります。
- かゆみ: 炎症や乾燥、アレルギーなどが原因で起こることがあります。
- しこり: 皮膚の下にしこりのような塊ができることがあります。硬さや大きさは様々です。
- 膿(うみ): 細菌感染などにより、内部に膿が溜まることがあります。黄色や白色の膿が見られたり、破れて出てきたりします。
- ぶよぶよした感触: 液体や柔らかい組織が溜まっている場合に触れるとぶよぶよとした感触があります。
- 表面の穴や黒点: 粉瘤などに見られることがあります。毛穴が詰まっているように見えることもあります。
- イボ状の突起: ウイルス感染などによるできもので見られることがあります。
考えられる病気の種類
おしりのできものとして考えられる主な病気を以下に挙げます。それぞれの特徴を理解することで、ご自身の症状がどの病気に当てはまる可能性が高いかを推測する手助けになります。
おしりニキビ・毛嚢炎
おしりにできるできものとして最も一般的です。
- おしりニキビ: 顔にできるニキビと同様に、毛穴に皮脂が詰まり、アクネ菌などが繁殖して炎症を起こしたものです。初期段階では小さな白いポツポツ(白ニキビ)や黒いポツポツ(黒ニキビ)として現れ、進行すると赤く腫れて痛みを伴う赤いニキビや、膿を持つ黄ニキビになります。おしりの場合は、座る時の摩擦や蒸れが原因となりやすいです。
- 毛嚢炎(もうのうえん): 毛穴の奥にある毛包(毛根を包む組織)に細菌が感染して炎症を起こしたものです。多くの場合、黄色ブドウ球菌などが原因です。毛穴ごとに小さな赤いブツブツができ、中心に小さな膿点が見られることもあります。ニキビと似ていますが、面皰(毛穴の詰まり)を伴わないのが特徴です。カミソリ負けや毛抜きによる刺激なども原因となります。
どちらも比較的軽症で、数日から1週間程度で自然に治ることも多いですが、悪化すると範囲が広がったり、大きなおできになったりすることもあります。
おでき(せつ)
毛包やその周辺組織に細菌(主に黄色ブドウ球菌)が感染して起こる、より大きな化膿性の炎症です。毛嚢炎が深部に進行した状態とも言えます。
最初は小さく赤いしこりですが、数日かけて徐々に大きくなり、強い痛みや熱感を伴うようになります。中心部に膿が溜まり、黄色く見えることがあります。膿が自然に破れて出てくることもありますが、放置すると周囲に炎症が広がったり、複数の病巣が融合してさらに大きくなったりすることもあります(よう:癰)。痛みが強く、歩行や座位が困難になる場合もあります。
粉瘤(アテローマ)
皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に本来は剥がれ落ちるはずの皮膚の角質や皮脂が溜まってできる良性の腫瘍です。大きさは数ミリから数センチ、時にはそれ以上に大きくなることもあります。
触ると比較的やわらかく、皮膚の下でコロコロと動くしこりとして感じられます。中心部に小さな黒点状の開口部(セントラルポア)が見られることが多いですが、おしりの場合は分かりにくいこともあります。通常は痛みやかゆみはありませんが、袋の中に細菌が感染して炎症を起こすと、赤く腫れて強い痛みを伴い、膿が溜まることがあります。この炎症を起こした状態が、おできやニキビと間違われやすいです。自然に治ることはなく、治療には外科的な摘出が必要です。
脂肪腫
皮膚の下にできる脂肪細胞の良性腫瘍です。触るとやわらかく、ぶよぶよとした弾力のあるしこりとして感じられます。大きさは様々ですが、数センチになることもあります。
通常、痛みやかゆみはなく、ゆっくりと大きくなる傾向があります。皮膚の表面と強く癒着していることは少なく、皮膚の下で比較的自由に動くことが多いです。悪性化することは非常に稀ですが、見た目の変化や大きくなる速度が速い場合は、他の病気との鑑別が必要となることもあります。治療は外科的な摘出です。
化膿性汗腺炎
特にアポクリン汗腺が集中している部位(脇の下、股、おしりなど)にできる、慢性的な炎症性の病気です。毛穴の詰まりが原因で汗腺や毛包に炎症が起こり、繰り返しおできのような痛みを伴うしこりや膿瘍(膿が溜まった袋)ができます。
一度できると再発しやすく、症状が進行すると、皮膚の下で膿の通り道(瘻孔:ろうこう)ができたり、皮膚が硬くなったり引きつれたりすることがあります。複数のしこりが広範囲にできることも少なくありません。痛みや腫れが強く、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。自然に治ることは難しく、専門的な治療が必要となります。
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染によって、性器や肛門周辺の皮膚や粘膜にできるイボ状のできものです。おしり、特に肛門の周りや肛門の中にできることがあります。
最初は小さくピンク色や肌色のポツポツとしたできものですが、数が増えたり大きくなったりして、鶏のとさかやカリフラワーのような形になることもあります。通常、痛みやかゆみはほとんどありませんが、大きさや場所によっては気になることがあります。性感染症の一つであり、パートナーへの感染を防ぐためにも、早期の診断と治療が重要です。
肛門周囲膿瘍
肛門の周りにある小さなくぼみ(肛門陰窩)に細菌が感染し、炎症を起こして肛門の周りの組織に膿が溜まる病気です。おしりの割れ目の近くや、肛門から少し離れた場所にしこりとして現れます。
急激な痛み、腫れ、熱感を伴うことが多く、座ったり歩いたりするのが困難になるほどの強い痛みが生じます。発熱を伴うこともあります。進行すると、皮膚が破れて膿が出てくることがあります。この状態が続くと、肛門と皮膚をつなぐトンネル(痔ろう)が形成されることがあり、痔ろうになると手術が必要になる場合が多いです。肛門周囲膿瘍は放置すると重症化する可能性があるため、強い痛みや腫れがある場合は速やかに医療機関を受診する必要があります。
痔核(いぼ痔)
おしりのできものと思われがちですが、厳密には皮膚の病気ではなく、肛門のクッション部分の血管がうっ血して腫れたものです。直腸側にできる内痔核と、肛門の外側にできる外痔核があります。
外痔核が血栓を伴って急に腫れると、おしりの外側に硬く痛いしこりとして触れることがあります。これが「血栓性外痔核」で、おできと間違われることがあります。血栓性外痔核は強い痛みを伴いますが、数日から1週間程度で自然に小さくなることもあります。内痔核は通常痛みがありませんが、大きくなると排便時に肛門の外に出てくることがあります(脱出)。出血や残便感、かゆみなどの症状を伴うこともあります。
肛門皮垂(スキンタグ)
痔核や肛門周囲の炎症が治った後に、皮膚が垂れ下がってヒラヒラした突起となったものです。痛みはなく、大きさも様々です。見た目以外に問題がないことが多いですが、清潔を保ちにくく、かゆみや炎症の原因となることもあります。邪魔になる場合や、他の病気との鑑別が必要な場合は切除することもあります。
症状から考える病気(痛い、かゆい、しこり、ぶよぶよなど)
具体的な症状から、可能性の高い病気を絞り込むことができます。
おしり できもの 痛い 赤い
- 可能性が高い: おでき(せつ)、炎症を起こした粉瘤、肛門周囲膿瘍、毛嚢炎、血栓性外痔核
- 特徴: 炎症が強く起きている状態です。赤みや腫れを伴い、触れると痛みが強くなることが多いです。特に強い痛みや発熱がある場合は、おできや肛門周囲膿瘍など、化膿性の病気の可能性が高く、早期の治療が必要です。
おしり できもの しこり
- 可能性が高い: 粉瘤、脂肪腫、おでき(初期)、化膿性汗腺炎、肛門周囲膿瘍、血栓性外痔核、尖圭コンジローマ
- 特徴: 皮膚の下に触れる塊です。硬さや可動性、表面の状態(黒点など)によって可能性のある病気が異なります。粉瘤や脂肪腫は通常痛みがありませんが、炎症を起こすと痛みを伴います。おできや肛門周囲膿瘍は、しこりが急速に大きくなり、痛みを伴うことが多いです。
おしり できもの ぶよぶよ
- 可能性が高い: 粉瘤、脂肪腫、膿瘍(おできや肛門周囲膿瘍など、膿が溜まったもの)
- 特徴: 内部に液体や柔らかい組織。触ると弾力がある。炎症時は痛みを伴う。
おしり できもの かゆい
- 可能性が高い: おしりニキビ、毛嚢炎(初期)、乾燥による湿疹、接触皮膚炎(下着や洗剤によるかぶれ)、真菌感染(カンジダなど)
- 特徴: 炎症の初期や、皮膚の乾燥、外部からの刺激などが原因でかゆみが生じることがあります。かきむしると悪化したり、細菌感染を起こしたりする可能性があるため注意が必要です。性感染症の一部(尖圭コンジローマなど)も、かゆみを伴うことがあります。
おしり できもの 座ると痛い
- 可能性が高い: おでき(せつ)、炎症を起こした粉瘤、肛門周囲膿瘍、血栓性外痔核、化膿性汗腺炎
- 特徴: おしりのできものが圧迫されることで痛みが強くなる症状です。特に、皮膚の浅い部分に炎症が強いできものがある場合や、肛門に近い部分のできものの場合に顕著です。おできや肛門周囲膿瘍など、腫れが強く化膿している状態では、座る動作が困難になるほどの痛みが生じることがあります。
症状別の可能性のある病気を表にまとめると以下のようになります。
主な症状 | 考えられる病気 | 特徴 |
---|---|---|
痛い、赤い | おでき(せつ)、炎症性粉瘤、肛門周囲膿瘍、毛嚢炎、血栓性外痔核、化膿性汗腺炎 | 急性炎症。強い痛み、腫れ、熱感。膿を伴うことも。肛門周囲膿瘍は発熱も。 |
しこり | 粉瘤、脂肪腫、おでき(初期)、化膿性汗腺炎、肛門周囲膿瘍、血栓性外痔核、尖圭コンジローマ | 皮膚下の塊。硬さ、可動性、表面(黒点など)で種類が異なる。 |
ぶよぶよ | 粉瘤、脂肪腫、膿瘍(おでき、肛門周囲膿瘍など) | 内部に液体や柔らかい組織。触ると弾力がある。炎症時は痛みを伴う。 |
かゆい | おしりニキビ、毛嚢炎(初期)、湿疹、接触皮膚炎、真菌感染、尖圭コンジローマ | 炎症や刺激、乾燥、感染などが原因。かきむしりに注意。 |
座ると痛い | おでき(せつ)、炎症性粉瘤、肛門周囲膿瘍、血栓性外痔核、化膿性汗腺炎 | 圧迫で痛みが増強。特に浅い部分の炎症や肛門付近のできもの。 |
イボ状の突起 | 尖圭コンジローマ、肛門皮垂(スキンタグ) | 盛り上がった見た目。コンジローマは増殖性、スキンタグは皮膚のたるみ。 |
膿が出ている | おでき(せつ)、毛嚢炎、炎症性粉瘤、肛門周囲膿瘍 | 化膿性の病気。黄色や白色の膿。自然に破れることも。 |
あくまで一般的な傾向であり、正確な診断には医療機関での診察が必要です。
おしり できもの、自分でできる対処法や市販薬
比較的軽度なおしりのできもの(おしりニキビや軽い毛嚢炎など)であれば、ご自宅でのケアや市販薬で対応できる場合もあります。しかし、症状によっては自己判断が危険な場合もあるため、適切な知識を持つことが重要です。
日常的なケアのポイント(清潔、摩擦回避)
おしりにできものができた時、そして今後できものができないようにするためには、日々の生活習慣が大切です。
- 清潔を保つ: シャワーや入浴時には、おしりを優しく丁寧に洗いましょう。刺激の強い石鹸や、ゴシゴシ洗うのは避け、弱酸性のボディソープなどをよく泡立てて、手で優しく洗うのがおすすめです。洗い残しは感染の原因になりますが、洗いすぎは皮膚に必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥やバリア機能の低下を招きます。洗った後は、清潔なタオルで水分をしっかりと拭き取り、完全に乾燥させましょう。
- 摩擦を避ける: タイトな下着やズボンは避け、ゆったりとした通気性の良いものを選びましょう。素材は綿やシルクなど、肌触りが良く吸湿性に優れたものがおすすめです。長時間座り続ける場合は、時々立ち上がって休憩したり、クッションを使ったりして、おしりへの圧迫や摩擦を軽減する工夫をしましょう。
- 蒸れを防ぐ: 汗をかいたらこまめに拭き取ったり、シャワーを浴びたりして、常に清潔で乾燥した状態を保ちましょう。特に夏場や運動後は注意が必要です。通気性の良い下着や衣服を選ぶことも重要です。
- 保湿を行う: 乾燥は皮膚のバリア機能を低下させ、できものができやすい状態を作ります。顔や体と同じように、おしりの皮膚も保湿することが大切です。入浴後など、清潔にした後に保湿クリームやローションを塗ることで、皮膚のうるおいを保ち、バリア機能をサポートできます。ただし、できものが炎症を起こしている場合は、刺激になる可能性もあるため注意が必要です。
- 睡眠と食生活: 十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけましょう。体の内側から健康を保つことが、皮膚の健康維持にもつながります。特にビタミンB群やCは皮膚の健康に関わる栄養素です。
おしり おでき 直し方
おしりにできた小さなおできやニキビを自分で治したいと考える方もいるかもしれません。軽い炎症であれば、先述の日常ケアを丁寧に行うことで自然に改善することもあります。
- 清潔にする: 患部を清潔に保つことが基本です。優しく洗浄し、乾燥させましょう。
- 触らない・潰さない: 気になっても、患部を触ったり、自分で潰したりするのは絶対にやめましょう。指からの細菌が付着して感染が悪化したり、炎症が周囲に広がったり、跡が残ったりする原因になります。特に粉瘤などは、自分で潰しても袋状の構造が残っている限り再発します。
- 市販薬を試す: 症状に合った市販薬を使用することで、炎症を鎮めたり、細菌の増殖を抑えたりすることができます。
市販薬で対応できる場合(おしり できもの 薬)
おしりのできものに使える市販薬としては、主に以下の種類があります。
- 抗生物質配合軟膏: 細菌の増殖を抑える効果があります。毛嚢炎や小さなおできなど、細菌感染が疑われる場合に有効です。フシジン酸ナトリウムやテトラサイクリンなどが配合されています。
- ステロイド配合軟膏: 炎症を抑える効果があります。赤みや腫れ、かゆみが強い場合に有効です。ただし、長期使用や広範囲への使用は副作用のリスクがあるため注意が必要です。抗生物質とステロイドの両方が配合されているものもあります。
- 化膿止め(抗生物質の内服薬): 重症の場合や範囲が広い場合は、医師の処方が必要ですが、市販薬としては、抗菌作用のある成分(イソジンなど)を含む消毒薬や軟膏があります。
- アクネ菌に効く薬: おしりニキビに対しては、顔のニキビ治療薬と同じく、アクネ菌の繁殖を抑える成分(イオウなど)や炎症を抑える成分が配合されたクリームやジェルが有効な場合があります。
市販薬を選ぶ際は、薬剤師や登録販売者に相談し、症状に合ったものを選ぶようにしましょう。
市販薬を使う上での注意点
市販薬は手軽に入手できますが、使用には注意が必要です。
- 症状の判断: 市販薬はあくまで対症療法であり、すべての種類のおしりのできものに有効なわけではありません。特に、しこりが大きい、痛みが強い、膿が溜まっている、発熱があるといった場合は、市販薬では対応できない可能性が高く、かえって診断や治療の遅れにつながることがあります。
- 使用期間: 市販薬は漫然と使い続けるべきではありません。通常、数日~1週間程度使用しても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、使用を中止し、医療機関を受診してください。
- 副作用: どのような薬にも副作用のリスクがあります。使用中に皮膚の刺激感、かゆみ、発疹などの異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、必要であれば医師や薬剤師に相談してください。
- 塗り薬の注意: 塗り薬を使用する際は、清潔な指や綿棒で適量を塗布し、患部以外には広がらないように注意しましょう。
自己判断での市販薬使用は、症状の悪化や診断の遅れを招く可能性があります。少しでも不安な症状がある場合は、迷わず医療機関を受診することをおすすめします。
こんな症状は要注意!病院に行く目安と何科を受診すべき?
ご自宅でのケアや市販薬で様子を見ても改善しない場合や、特定の症状が現れた場合は、医療機関を受診する必要があります。早期に適切な診断と治療を受けることが、症状の悪化を防ぎ、早期回復につながります。
医療機関を受診すべき症状
以下のような症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することを強く推奨します。
- 痛みが強い: 座ったり歩いたりするのが困難なほどの強い痛みがある。
- 急に大きくなった: 数日のうちにできものが急速に大きくなった。
- 赤みや腫れが広がる: 炎症が周囲の皮膚に広がってきている。
- 膿が出ている、または溜まっている: できものから膿が出ている、または黄色や白色の膿点がはっきりと見える。
- しこりが硬い、または可動性が少ない: 皮膚の下のしこりが硬く、あまり動かない。
- 発熱を伴う: できものの痛みや腫れとともに、全身の発熱がある。
- 数が増えた: できものが次々に新しくできたり、広範囲に広がったりしている。
- 長期間治らない: 1週間~10日以上経っても症状が改善しない、または悪化している。
- 何度も繰り返す: 一度治っても、同じ場所や別の場所におできやニキビのようなできものが繰り返しできる。
- 形状が特殊: イボ状、カリフラワー状など、一般的なニキビやおできとは異なる見た目をしている。
- 自分で潰してしまった: 自分で潰してしまい、炎症が悪化したり、化膿したりしている。
- 糖尿病などの持病がある: 免疫力が低下している可能性があるため、感染性の病気が重症化しやすい。
これらの症状は、おできや毛嚢炎が悪化している場合だけでなく、粉瘤の炎症、肛門周囲膿瘍、化膿性汗腺炎、尖圭コンジローマなど、専門的な治療が必要な病気のサインである可能性があります。
おしり できものは何科に行けばいい?
おしりのできもので受診する場合、症状やできものの種類、場所によって適切な診療科が異なります。
- 皮膚科: ほとんどのおしりのできもの(ニキビ、毛嚢炎、おでき、粉瘤、脂肪腫、化膿性汗腺炎、尖圭コンジローマなど)は皮膚の病気であるため、まずは皮膚科を受診するのが一般的です。皮膚のできものの診断や治療(塗り薬、飲み薬、簡単な切開など)を専門としています。
- 肛門科: 肛門の近くや、おしりの割れ目の深い部分にできたできもの、特に強い痛みを伴う場合や、痔の症状も疑われる場合は、肛門科を受診することも良いでしょう。肛門周囲膿瘍や痔核など、肛門に関連する病気の診断・治療を専門としています。外科が肛門科を標榜している場合もあります。
- 外科: 大きなおできや膿瘍を切開して膿を出す必要がある場合、粉瘤や脂肪腫など手術による摘出が必要な場合、化膿性汗腺炎の治療などでは外科的な処置が必要になることがあります。肛門周囲膿瘍から痔ろうに進行した場合も外科的な手術が必要です。
- 泌尿器科・婦人科: 稀ですが、男性で尖圭コンジローマが疑われる場合は泌尿器科、女性の場合は婦人科でも診察が可能です。
まずは皮膚科を受診し、もし必要であれば他の科を紹介してもらうという流れで問題ない場合が多いですが、肛門の痛みが非常に強い場合などは最初から肛門科を受診することも検討しましょう。
病院での主な検査・治療法
医療機関を受診すると、医師による診察が行われます。
- 視診・触診: 医師が実際におしりのできものの状態を観察し、触って硬さや可動性、痛みの程度などを確認します。見た目や触感から、ある程度の病気を推測します。
- 問診: いつからできたか、どのような症状があるか、痛みの変化、既往歴、生活習慣などについて詳しく聞かれます。
- 超音波検査: 皮膚の下のしこりの内部構造(液体が溜まっているか、塊があるかなど)を詳しく調べたい場合に、超音波検査を行うことがあります。粉瘤や脂肪腫、膿瘍の診断に有用です。
- 細菌培養検査: 膿が出ている場合など、細菌感染が疑われる場合は、膿を採取して原因となっている細菌の種類を特定するための培養検査を行うことがあります。適切な抗生物質を選択するために重要です。
- 病理検査: 手術で切除した組織や、診断が難しい場合に、組織の一部を採取(生検)して顕微鏡で詳しく調べる検査です。腫瘍が悪性でないかなどを確認します。
これらの検査結果や診察に基づいて、医師は適切な治療法を決定します。
- 薬物療法: 炎症を抑えるための抗炎症薬、細菌感染に対しては抗生物質の飲み薬や塗り薬、かゆみ止めなど、症状や原因に応じた薬が処方されます。
- 切開・排膿: 大きく腫れて痛みが強いおできや膿瘍、炎症を起こした粉瘤などで膿が溜まっている場合は、皮膚を切開して膿を出す処置(切開排膿)が行われることがあります。膿を出すことで痛みが和らぎ、治りが早まります。
- 手術療法: 粉瘤や脂肪腫、痔ろうなど、できものそのものを根本的に取り除く必要がある場合は、手術が行われます。局所麻酔で行えるものから、入院が必要な場合まで、病気の種類や大きさによって異なります。
- その他: 尖圭コンジローマなどウイルス性の病気に対しては、液体窒素による凍結療法やレーザー治療、塗り薬などが用いられます。
おしりニキビ 大きいなどのケース
「おしりニキビが大きい」「いつも同じ場所におできができる」など、特定の症状で悩んでいる方もいるかもしれません。
- おしりニキビが大きい: 通常のニキビよりも炎症が強く、深く膿が溜まっている状態かもしれません。これは「結節」や「嚢腫」と呼ばれる重症のニキビに近い状態で、跡が残りやすいため、早めに皮膚科を受診し、適切な治療(抗生物質の内服や、場合によっては切開など)を受けることが重要です。
- 同じ場所におできが繰り返す: 同じ場所に繰り返しおできができる場合、その下に粉瘤が隠れていて、炎症を繰り返している可能性があります。また、化膿性汗腺炎の初期症状であることも考えられます。繰り返す場合は、一度医療機関で詳しい診断を受けることをおすすめします。
いずれの場合も、自己判断せずに専門家の意見を仰ぐことが、適切な治療への近道です。
おしり できものを予防するには?
おしりのできものは、日頃のケアや生活習慣を見直すことで、ある程度予防することができます。再発を防ぐためにも、以下の予防策を実践してみましょう。
予防のための生活習慣
- 清潔を保ちつつ洗いすぎない: 毎日の入浴で、おしりを優しく丁寧に洗いましょう。刺激の少ない石鹸やボディソープを使い、よくすすいでください。ただし、過度な洗浄やゴシゴシ洗いは皮膚のバリア機能を損なうため避けてください。
- 通気性の良い下着を選ぶ: 綿や吸湿速乾性のある素材の下着を選び、締め付けの少ないデザインのものにしましょう。ナイロンや化学繊維の下着は蒸れやすい傾向があります。
- 長時間同じ姿勢でいない: 座りっぱなしや立ちっぱなしは、おしりへの圧迫や摩擦を増やし、血行を悪くする可能性があります。定期的に体勢を変えたり、軽いストレッチをしたりして、血行を促進しましょう。クッションを使うのも有効です。
- 肌を乾燥させない: 入浴後などは、ボディクリームやローションでしっかりと保湿しましょう。特に乾燥しやすい季節は念入りにケアしてください。ただし、塗りすぎも毛穴詰まりの原因になることがあるので、適量を心がけましょう。
- バランスの取れた食事: ビタミン類(特にビタミンB群やC)、ミネラル、食物繊維などを積極的に摂取し、バランスの取れた食事を心がけましょう。油っこいものや甘いものの摂りすぎは、皮脂の分泌を増やしたり、皮膚の炎症を悪化させたりする可能性があります。
- 十分な睡眠とストレス管理: 睡眠不足やストレスは免疫力を低下させ、皮膚の状態を悪化させることがあります。規則正しい生活を送り、ストレスを上手に解消する方法を見つけましょう。
- ムダ毛処理に注意: おしりのムダ毛処理をする場合は、皮膚を傷つけないように注意が必要です。清潔なカミソリを使ったり、専用のシェービング剤を使ったり、処理後はしっかりと保湿したりと、丁寧に行いましょう。可能であれば、皮膚への負担が少ない脱毛方法(医療脱毛など)も検討できます。
- 適切な衣類を選ぶ: タイトすぎるジーンズや化学繊維の衣服は、摩擦や蒸れを引き起こしやすいです。ゆったりとした、吸湿性・通気性の良い素材の衣服を選びましょう。
これらの予防策を日常生活に取り入れることで、おしりの皮膚を健康な状態に保ち、できものができにくい環境を作ることができます。
まとめ:おしり できものは原因特定と適切なケアが大切
おしりにできるできものは、単なるニキビやおできから、粉瘤、肛門周囲膿瘍、尖圭コンジローマなど、様々な病気が考えられます。見た目や痛み、しこりの有無など、症状によって原因となる病気が異なります。
軽いおしりニキビや毛嚢炎であれば、日々の清潔ケアや摩擦・蒸れを防ぐといった対策、あるいは症状に合った市販薬で改善することもあります。しかし、痛みが強い、急に大きくなる、膿が出る、発熱を伴う、長期間治らない、同じ場所に繰り返すなどの症状がある場合は、自己判断せずに必ず医療機関を受診することが重要です。
おしりのできものは、皮膚科で相談するのが一般的ですが、肛門に近い場所や強い痛みを伴う場合は肛門科や外科も選択肢となります。医師による適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、早期の回復につながります。
日頃からおしりの皮膚を清潔に保ち、摩擦や蒸れを避け、健康的な生活習慣を心がけることが、できものの予防につながります。おしりのサインを見逃さず、気になる症状があれば迷わずに専門家に相談しましょう。
免責事項: 本記事で提供する情報は一般的な知識であり、特定の症状に対する自己診断や治療を推奨するものではありません。個々の症状や状況に応じた診断および治療は、必ず医師またはその他の医療専門家にご相談ください。本記事の情報に基づいて行われた行為によって生じた損害については、一切の責任を負いかねます。