もしかして病気?「耳が詰まった感じ」の意外な原因と対処法

耳が詰まった感じは、飛行機に乗っている時やエレベーターの昇降時など、一時的に起こることがありますが、日常生活で頻繁に感じたり、なかなか改善しなかったりする場合は、何らかの原因が隠れている可能性があります。この「耳が詰まった感じ」、医学的には「耳閉感(じへいかん)」と呼ばれ、聞こえにくさを伴うこともあれば、聞こえは正常なのに詰まった感じだけが続くこともあります。原因は耳自体にあることもあれば、全身の状態やストレスが関係していることもあります。この記事では、「耳が詰まった感じ」の主な原因から、自宅でできる対処法、そして医療機関での治療法までを詳しく解説します。症状が続く場合の受診の目安もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

耳が詰まった感じ、つまり耳閉感の原因は多岐にわたります。外耳(耳の穴から鼓膜まで)、中耳(鼓膜の奥にある空間)、内耳(平衡感覚や音を感じる部分)、さらには脳や精神的な要因まで、様々な場所に問題がある可能性があります。ここでは、主な原因として考えられるものをいくつかご紹介します。

耳垢が詰まる「耳垢栓塞」

最も一般的な原因の一つが、耳垢が耳の穴(外耳道)にたまり、固まってしまう「耳垢栓塞(じこうせんそく)」です。通常、耳垢は自然に外に排出されますが、体質や誤った耳掃除などによって外耳道の奥に押し込まれたり、固まったりすると、耳の穴を完全に塞いでしまいます。

  • 症状: 耳が詰まった感じ、難聴(聞こえにくい)、自分の声が響く(自声強響)、耳鳴り、外耳道の痛みやかゆみ。特に、入浴や水泳などで耳に水が入ると、耳垢が膨張して症状が悪化しやすい傾向があります。
  • メカニズム: 耳垢が外耳道を塞ぐことで、音が鼓膜に伝わりにくくなり、耳閉感や難聴が生じます。
  • 注意点: ご自身で耳垢を無理に取ろうとすると、かえって奥に押し込んだり、外耳道や鼓膜を傷つけたりする危険があります。耳垢栓塞が疑われる場合は、無理な自己処理は避け、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

中耳の炎症や貯留液「急性中耳炎」「滲出性中耳炎」

中耳は、鼓膜の奥にある小さな空間で、耳管という管で鼻の奥と繋がっています。この中耳に炎症が起きたり、液体がたまったりすることによっても耳閉感が生じます。

  • 急性中耳炎: 風邪などで鼻や喉に炎症が起きると、耳管を通じて細菌やウイルスが中耳に入り込み、炎症を起こす病気です。
    • 症状: 強い耳の痛み、発熱、耳閉感、難聴。子供に多いですが、大人もかかります。鼓膜が破れて耳だれが出ることもあります。
    • メカニズム: 中耳の炎症によって鼓膜の動きが悪くなったり、中耳に膿がたまったりすることで、音が伝わりにくくなり耳閉感や難聴が生じます。
  • 滲出性中耳炎(しんしゅつせい ちゅうじえん): 急性中耳炎の後に中耳に液体(滲出液)が残ったり、耳管の働きが悪くなって中耳に陰圧になったりすることで、液体がたまる病気です。痛みや発熱はほとんどありませんが、耳閉感や難聴が続きます。
    • 症状: 痛みはないが耳が詰まった感じ、難聴(テレビの音が大きいと言われる、聞き返しが増える)、自分の声が響く、耳鳴り。子供では気づかれにくいこともあります。
    • メカニズム: 中耳にたまった液体が鼓膜や耳小骨(音を伝える小さな骨)の動きを妨げることで、音が伝わりにくくなり耳閉感や難聴が生じます。特に耳管の機能不全が大きく関わります。
特徴 急性中耳炎 滲出性中耳炎
主な症状 強い耳の痛み、発熱、耳閉感、難聴 痛みはない、耳閉感、難聴、自分の声が響く、耳鳴り
原因 細菌・ウイルスの感染(風邪など) 耳管機能不全、急性中耳炎の後、アレルギー性鼻炎
発症 急性 比較的ゆっくり、または急性中耳炎の後
鼓膜の状態 赤く腫れていることが多い、破れることも 透明度が低い、凹んでいることも、動きが悪い
患者層 子供に多いが大人もかかる 子供に多いが大人もかかる

耳管の働きが悪くなる「耳管狭窄症」「耳管開放症」

耳管は、中耳と鼻の奥(上咽頭)をつなぐ細い管で、通常は閉じていますが、あくびや唾を飲み込むときに一時的に開いて中耳の圧力を外気圧と同じに保つ働きをしています(耳抜き)。この耳管の働きに異常が生じると、耳閉感の原因となります。

  • 耳管狭窄症(じかん きょうさくしょう): 耳管が炎症などで狭くなり、開きにくくなる状態です。風邪やアレルギー性鼻炎で鼻や喉が腫れると、耳管の入り口も炎症を起こしやすくなります。
    • 症状: 耳が詰まった感じ、難聴、耳鳴り。中耳炎の原因にもなります。飛行機に乗った時のような詰まり感が続くことがあります。
    • メカニズム: 耳管が狭くなったり閉じたりすることで、中耳の換気がうまくいかず、中耳内が陰圧になったり滲出液がたまったりします。
  • 耳管開放症(じかん かいほうしょう): 通常閉じている耳管が、開きっぱなしになってしまう状態です。急激な体重減少、妊娠、ストレスなどが原因となることがあります。
    • 症状: 自分の声や呼吸音が耳に大きく響く(自声強響、自己聴)、耳が詰まった感じがする(特に前かがみになった時や運動後)、耳鳴り。寝ているときや仰向けになっているときは症状が和らぐことが多いです。
    • メカニズム: 耳管が常に開いているため、鼻の奥と中耳が筒抜けになり、鼻腔内の音や圧力が直接中耳に伝わります。
特徴 耳管狭窄症 耳管開放症
主な症状 耳が詰まった感じ、難聴、耳鳴り 自分の声・呼吸音が響く、耳が詰まった感じ
耳管の状態 狭くなったり開きにくい状態 開きっぱなしの状態
原因 風邪、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎など 急激な体重減少、妊娠、ストレス、加齢など
メカニズム 中耳の換気不良、陰圧、滲出液貯留 鼻の奥の音や圧力が中耳に直接伝わる
症状の特徴 飛行機に乗った時の詰まり感に似る 前かがみや運動で悪化、仰向けで改善しやすい

内耳の異常による病気(メニエール病、突発性難聴など)

内耳は、音を感じ取る蝸牛(かぎゅう)と、体のバランスを保つ三半規管や耳石器がある重要な部分です。この内耳に異常が起きると、耳閉感だけでなく、めまいや難聴、耳鳴りといった様々な症状が現れることがあります。

  • メニエール病: 内耳のリンパ液が増えすぎる(内リンパ水腫)ことで起こると考えられている病気です。特定の誘因なく、突然、強いめまい、耳鳴り、難聴、耳閉感が同時に起こり、数時間から1日程度続いた後に治まることを繰り返します。症状は通常片耳に現れますが、両耳に発症することもあります。
    • 症状: 回転性のめまい、難聴(特に低音)、耳鳴り、耳閉感。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。発作を繰り返すのが特徴です。
  • 突発性難聴: ある日突然、片方の耳の聞こえが悪くなる病気です。原因は明らかになっていませんが、ウイルス感染や内耳の血流障害などが考えられています。耳閉感や耳鳴りを伴うことが多く、めまいを伴う場合もあります。
    • 症状: 突然の難聴(聞こえが悪くなる)、耳鳴り、耳閉感。めまいを伴うのは約半数です。発症からできるだけ早く治療を開始することが重要とされています。
  • その他の内耳疾患: 良性発作性頭位めまい症(特定の頭の動きでめまい)、前庭神経炎(めまい)、聴神経腫瘍(脳腫瘍の一つで、難聴や耳鳴り、耳閉感、顔面神経麻痺などを引き起こす)など、様々な内耳やその周辺の病気でも耳閉感が症状の一つとして現れることがあります。これらの疾患では、耳閉感以外の症状(めまい、顔のしびれなど)も重要な手がかりとなります。

内耳の病気の場合、放置すると難聴が固定されてしまったり、めまいが慢性化したりするリスクがあります。特に突発性難聴は治療開始までの期間が予後に関わるため、急な難聴や耳閉感を感じたら、すぐに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。

ストレスや自律神経の乱れ

耳に明らかな病気がないにも関わらず、耳が詰まった感じや耳鳴り、難聴といった症状が現れることがあります。このような場合、ストレスや疲労、睡眠不足などによる自律神経の乱れが関係している可能性があります。自律神経は、体温調節や血圧、心拍、消化器の働きなど、体の様々な機能をコントロールしていますが、ストレスなどがかかるとそのバランスが崩れ、血行不良や筋肉の緊張などを引き起こし、耳の機能にも影響を与えることがあります。

  • 症状: 耳が詰まった感じ、耳鳴り、聞こえにくい感じ。これらの症状は、体調や精神状態によって強弱が変化することがあります。首や肩のこり、頭痛、めまい、不眠、倦怠感など、他の不定愁訴を伴うことも少なくありません。
  • メカニズム: ストレスによって自律神経のバランスが崩れると、内耳の血流が悪くなったり、耳の周りや耳管の筋肉が緊張したりすることが考えられています。これにより、耳の機能に影響が出て耳閉感などが生じると考えられています。耳鼻咽喉科で検査しても異常が見つからないことも多く、「心因性」や「ストレス性」と診断されることもあります。
  • 注意点: ストレスや自律神経の乱れが原因であっても、まずは耳に器質的な病気がないかを耳鼻咽喉科で調べてもらうことが大切です。他の病気が隠れていないことを確認した上で、ストレスへの対処や生活習慣の見直しを行う必要があります。

その他、気圧の変化やアレルギーなど

これまでに挙げた以外にも、耳が詰まった感じを引き起こす原因はいくつかあります。

  • 気圧の変化: 飛行機の離着陸時や高速なエレベーターに乗っている時など、急激な気圧の変化があると、中耳の内圧と外気圧のバランスが一時的に崩れ、耳が詰まった感じが生じます。これは耳管の働きが追いつかないために起こる生理的な現象で、通常は唾を飲み込んだりあくびをしたりすることで改善します。
  • アレルギー性鼻炎: アレルギー性鼻炎で鼻の粘膜が腫れると、耳管の鼻側の開口部が塞がれてしまい、耳管の働きが悪くなることがあります。これにより、中耳の換気がうまくいかず、耳閉感や滲出性中耳炎を引き起こすことがあります。
  • 顎関節症(がくかんせつしょう): 顎の関節やその周辺の筋肉に異常がある状態です。耳は顎の関節のすぐ近くにあるため、顎関節症によって耳の周りの筋肉が緊張したり、関節の動きが悪くなったりすることが、耳閉感や耳鳴りといった症状を引き起こすことがあります。

このように、耳の詰まった感じは実に様々な原因によって引き起こされます。一時的なものであれば心配ないことが多いですが、繰り返したり、他の症状を伴ったりする場合は、原因を特定するために医療機関を受診することが大切です。

目次

耳が詰まった感じの治し方・対処法

耳が詰まった感じを改善するためには、その原因に応じた適切な対処や治療が必要です。ここでは、ご自宅でできる簡単な対処法から、医療機関での治療法までをご紹介します。

自宅でできる簡単な対処法(耳抜き、あくびなど)

一時的な耳の詰まりや、軽度の耳管機能不全によるものであれば、ご自宅でできる簡単な対処法で改善することがあります。

  • 耳抜き: 鼻をつまんで口を閉じ、ゆっくりと鼻をかむように息を送り込む方法(バルサルバ法)や、鼻をつまんで口を閉じ、唾を飲み込む方法などがあります。これにより、中耳に空気が送り込まれて内外の気圧差が解消され、詰まり感が改善することがあります。ただし、強くやりすぎると鼓膜を傷つけたり、中耳に炎症を起こしたりする危険があるため、力を入れすぎないように優しく行いましょう。
  • あくびをする: あくびをすると耳管が開きやすくなるため、耳の詰まりが解消されることがあります。自然なあくびが出ない場合は、あくびをするような動作だけでも効果があることがあります。
  • 唾を飲み込む: 唾を飲み込む動作も耳管を開かせるのに役立ちます。飴をなめたりガムを噛んだりして唾液の分泌を促し、こまめに飲み込むのも良いでしょう。
  • 蒸しタオルなどで耳の周りを温める: 耳の周りの血行を促進することで、耳管の働きが改善したり、筋肉の緊張が和らいだりして、耳閉感が和らぐことがあります。ただし、炎症がある場合など、逆効果になる可能性もあるため、症状が悪化する場合は中止してください。

これらの対処法は、気圧の変化による一時的な詰まりや、軽度の耳管機能の乱れには有効な場合があります。しかし、これらの方法で改善しない場合や、他の症状(痛み、難聴、めまいなど)を伴う場合は、別の原因が考えられるため、医療機関を受診することをお勧めします。

ツボ刺激による対処法(参考情報)

耳の詰まりに対する対処法として、ツボを刺激する方法が紹介されることもあります。これらは医療的な治療に代わるものではなく、あくまで補助的な参考情報として捉えてください。効果には個人差があります。

  • 耳門(じもん): 耳の穴のすぐ前にある、口を開けた時にへこむ部分。
  • 聴宮(ちょうきゅう): 耳門のすぐ下にある、口を開けた時にへこむ部分。
  • 聴会(ちょうえ): 聴宮のすぐ下にある、口を開けた時にへこむ部分。
  • 翳風(えいふう): 耳たぶの後ろ側にある、骨の出っ張りのすぐ下のくぼみ。
  • 足臨泣(あしりんきゅう): 足の甲にあり、薬指と小指の間を足首の方になぞっていき、骨と骨の間がへこんだ部分。

これらのツボを、指の腹で優しく押したり揉んだりしてみてください。強く押しすぎると痛めたりすることがあるため注意が必要です。ツボ刺激はリラクゼーション効果も期待できますが、症状が続く場合は必ず医療機関を受診してください。

ストレスによる耳の詰まりへの対処法

ストレスや自律神経の乱れが原因で耳の詰まりが起きていると考えられる場合は、原因となっているストレスへの対処や、自律神経のバランスを整える生活習慣の見直しが重要です。

  • 十分な休息と睡眠: 体と心を休めることが大切です。毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きるように心がけ、質の良い睡眠を十分に取りましょう。
  • 適度な運動: ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすことは、ストレス解消や血行促進に繋がります。
  • リラクゼーションを取り入れる: 入浴、アロマテラピー、音楽鑑賞、瞑想、ヨガなど、自分がリラックスできる時間を作りましょう。
  • 趣味や楽しみを持つ: ストレスから離れ、心を満たす時間を持つことも大切です。
  • バランスの取れた食事: ビタミンやミネラルをしっかり摂り、腸内環境を整えることも自律神経の安定に繋がります。
  • 専門家への相談: ストレスの原因が解決できない、症状が辛い、日常生活に支障が出ているといった場合は、心療内科や精神科、カウンセラーなどに相談することも検討しましょう。

ただし、これらの対処法を行う前に、必ず耳鼻咽喉科で耳に器質的な病気がないことを確認することが前提です。他の病気が隠れているのに「ストレスのせいだろう」と自己判断して放置しないように注意しましょう。

医療機関での主な治療法

耳の詰まった感じの原因が特定された場合は、耳鼻咽喉科でその原因に応じた専門的な治療が行われます。

耳垢栓塞の治療

耳鼻咽喉科では、専用の器具(耳鏡など)で耳の中をしっかりと観察し、耳垢の状態を確認します。耳垢が乾燥して固まっている場合は、事前に点耳薬で耳垢を柔らかくしてから、吸引器や鉗子(かんし)などの器具を使って安全に除去します。ごく稀に、水や吸引器で洗浄することもあります。専門家が行うため、ご自身で無理に取るよりも安全で確実です。

中耳炎の治療(抗生剤、粘液調整剤、通気療法など)

  • 急性中耳炎: 細菌感染が原因の場合は、抗生剤が処方されます。炎症を抑える消炎剤や、痛みを和らげる鎮痛剤が併せて処方されることもあります。鼻や喉の炎症がある場合は、その治療も同時に行います。膿がたまって鼓膜が強く膨らんでいる場合は、鼓膜を小さく切開して膿を出す処置(鼓膜切開術)を行うことがあります。
  • 滲出性中耳炎: まずは、中耳にたまった滲出液を減らすための薬(粘液調整剤など)や、耳管機能の改善を促す薬(抗アレルギー薬など)が処方されます。耳管の働きを良くするために、鼻から中耳に空気を送る「通気療法」(ポリッツァ法や耳管カテーテル法)が行われることもあります。薬や通気療法で改善しない場合や、難聴が強い場合は、鼓膜に小さなチューブを留置して換気を図る手術(鼓膜チューブ留置術)を行うことがあります。これは、特に子供で難聴が長く続くと言葉の発達に影響する可能性がある場合などに検討されます。

耳管機能異常の治療

  • 耳管狭窄症: 原因が鼻や喉の炎症にある場合は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの治療(点鼻薬、飲み薬など)を行います。中耳炎の治療と同様に通気療法が行われることもあります。
  • 耳管開放症: 原因となっている急激な体重減少がある場合は、栄養状態の改善を促します。点鼻薬(鼻の粘膜を腫れさせる作用のあるものなど)が処方されることもあります。生理食塩水を点鼻することで一時的に改善することもあります。症状が重く、保存的治療で改善しない場合は、耳管の開口部を塞ぐ手術などが検討されることもありますが、根治的な治療法は確立されていません。

内耳疾患の治療

  • メニエール病: めまいの発作時には、めまいを抑える薬や吐き気止めが使われます。発作がない間は、内耳のリンパ液のバランスを整える薬(利尿剤など)や、血行を改善する薬、ビタミン剤などが使われることがあります。生活習慣の改善(睡眠、ストレス管理、カフェイン・アルコールの制限など)も指導されます。薬物療法で改善しない場合、手術が検討されることもあります。
  • 突発性難聴: 発症から早期(通常2週間以内)に治療を開始することが非常に重要です。主な治療は、ステロイド薬の投与です。内服薬、点滴、鼓膜にステロイドを注入する方法などがあります。血行改善薬やビタミン剤なども併用されることがあります。重症の場合は入院して治療することもあります。早期治療開始が予後を左右するため、疑わしい場合は迷わずすぐに受診が必要です。
  • その他の内耳疾患: それぞれの病気に応じて、薬物療法、手術、リハビリテーションなど様々な治療が行われます。例えば、聴神経腫瘍であれば手術や放射線治療が検討されます。

このように、耳の詰まった感じの原因によって治療法は大きく異なります。原因を正確に診断し、適切な治療を受けることが、症状改善への近道となります。自己判断せず、必ず耳鼻咽喉科医に相談してください。

片耳だけ耳が詰まった感じがする場合

耳の詰まった感じが片方の耳だけに起きる場合、その原因が片側の耳に局所的に発生している可能性が高くなります。これは、耳垢栓塞や、片側だけの急性中耳炎・滲出性中耳炎など、外耳や中耳の局所的な問題であることが比較的よくあります。

しかし、注意が必要なのは、片耳だけの症状が内耳の病気を示唆している場合です。特に、突発性難聴や聴神経腫瘍などは、通常片方の耳に症状が現れます。これらの病気は、早期発見・早期治療が非常に重要であったり、放置すると重大な影響が出たりする可能性があるため、「片耳だけだから大丈夫だろう」と軽く考えず、特に急に症状が現れたり、難聴を伴ったりする場合は、すぐに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

また、耳管機能異常の場合も、片側の耳管にだけ問題が起きることもあります。例えば、アレルギー性鼻炎で片側の鼻詰まりがひどい場合に、そちら側の耳管に影響が出るといったケースです。

片耳だけの耳閉感であっても、その原因は多岐にわたります。自己判断で様子を見たりせず、症状が続く場合は必ず耳鼻咽喉科医に相談し、正確な診断を受けてください。

こんな症状がある場合は要注意!すぐに耳鼻咽喉科へ

耳が詰まった感じの多くは、それほど心配のない原因によるものですが、中には早期の対応が必要な病気が隠れていることもあります。以下の症状が耳閉感に併せて現れる場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。

  • 急に耳が聞こえなくなった、聞こえが悪くなった: 突発性難聴などの可能性があり、早期治療が非常に重要です。
  • 強い耳の痛みや発熱がある: 急性中耳炎など、炎症が強く起きている可能性があります。
  • 回転性のめまいや吐き気を伴う: メニエール病や突発性難聴、前庭神経炎など、内耳の異常が強く疑われます。
  • 顔の動きがおかしい、しびれる(顔面神経麻痺): 聴神経腫瘍など、脳神経に関わる病気の可能性もゼロではありません。
  • 耳鳴りが強く、止まらない: 内耳や脳の病気の可能性も考えられます。
  • 自分で耳掃除をしたら奥に押し込んでしまった、痛くなった: 耳垢栓塞を悪化させたり、外耳道や鼓膜を傷つけたりしている可能性があります。
  • 自宅での対処法を試しても改善しない、または症状が悪化する: 一時的な原因ではなく、根本的な治療が必要な病気が隠れている可能性があります。
  • 耳の詰まり感が数日以上続いている: 自然に治らない場合は、何らかの病気が原因である可能性が高まります。

これらの症状は、時に重大な病気のサインであることがあります。自己判断せず、まずは耳鼻咽喉科医の診察を受け、適切な診断と治療方針を確認することが、ご自身の健康を守るために最も大切です。

耳の詰まりに関するよくある質問

耳が詰まった感じについて、患者さんからよく聞かれる質問とその回答をご紹介します。

耳がこもる感じの治し方は?

耳がこもる感じ、つまり耳閉感の治し方は、その原因によって異なります。一時的なものであれば、耳抜きやあくび、唾を飲み込むなどの自宅でできる対処法で改善することがあります。しかし、中耳炎、耳管機能異常、内耳の病気、ストレスなどが原因の場合は、それぞれの原因に応じた薬物療法や手術、生活指導などの専門的な治療が必要になります。自己判断せず、まずは耳鼻咽喉科を受診して原因を特定することが重要です。

耳が詰まった感じがするのですが、どうすれば治りますか?

耳が詰まった感じを治すためには、まずその原因を特定することが不可欠です。耳垢が原因であれば耳鼻科での耳垢除去、中耳炎であれば抗生剤などによる治療、耳管機能異常であればその改善を目指す治療など、原因に応じた適切な処置や治療が必要です。ご自身でできる対処法はあくまで一時的な緩和策であり、根本的な解決にはならない場合が多いです。症状が続く場合は、必ず耳鼻咽喉科を受診し、医師の診断に基づいた治療を受けてください。

耳がふさがったような感じの原因は?

耳がふさがったような感じ、これも耳閉感の表現の一つです。原因としては、耳の穴に耳垢が詰まる耳垢栓塞、中耳に炎症や液体がたまる中耳炎(急性・滲出性)、耳管の働きが悪くなる耳管狭窄症や耳管開放症、内耳の病気(メニエール病、突発性難聴など)、ストレスや自律神経の乱れ、気圧の変化、アレルギー性鼻炎、顎関節症などが考えられます。このように非常に多くの原因があるため、自己判断せずに専門医の診察を受けることが重要です。

耳が詰まった感じはストレスが原因ですか?

ストレスや自律神経の乱れは、耳が詰まった感じの原因の一つとなり得ます。特に、耳鼻咽喉科で検査しても耳に明らかな異常が見つからない場合に、ストレスや心因的な要因が考えられることがあります。しかし、ストレスが原因だと自己判断してしまうのは危険です。耳閉感の裏には、耳垢栓塞、中耳炎、突発性難聴など、耳に器質的な病気が隠れている可能性も十分にあります。まずは耳鼻咽喉科を受診して、耳の病気がないかを確認してもらうことが、適切な対応のために最も大切です。他の病気が除外された上で、ストレスへの対処法を検討するようにしましょう。

まとめ:耳が詰まった感じが続く場合は専門医に相談を

「耳が詰まった感じ」は、多くの方が経験する比較的ありふれた症状です。飛行機に乗った時など一時的なものであれば心配ありませんが、症状が続いたり、難聴、痛み、めまいなどの他の症状を伴ったりする場合は、耳の病気や全身の状態が関係している可能性があります。

この記事では、耳垢栓塞、中耳炎、耳管機能異常、内耳疾患、ストレスなど、耳が詰まった感じを引き起こす様々な原因と、それぞれの対処法・治療法について解説しました。ご自宅でできる簡単な対処法もありますが、これらはあくまで一時的なものです。特に、急に症状が現れた場合や、症状が数日以上長引く場合、他の辛い症状を伴う場合は、原因を正確に診断し、適切な治療を受けることが重要です。

「たかが耳詰まり」と自己判断せず、不安を感じたり症状が改善しない場合は、必ず耳鼻咽喉科を受診してください。早期に適切な診断と治療を受けることで、症状の改善や、より重い病気の予防に繋がります。

【免責事項】
この記事で提供している医療情報は一般的なものであり、個々の症状や状態に合わせた診断や治療を代替するものではありません。耳が詰まった感じがある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。この記事の情報によって生じたいかなる損害についても、当方は責任を負いかねます。

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