女性の残尿感、つらい悩みを解消!原因と自分でできる治し方

女性の皆さん、尿を出し切ったはずなのに、まだ膀胱に残っているような、あの不快な感覚に悩まされていませんか?「残尿感」は、日常生活の質を著しく低下させるつらい症状です。
もしかしたら、どこかで読んだ情報や一時的な対処法を試しているかもしれませんが、原因は一つとは限りません。
この記事では、女性特有の残尿感の原因から、医療機関で受けられる専門的な治療法、そしてご自宅でできるセルフケアまで、残尿感を解消するための具体的な治し方を分かりやすく解説します。
一人で抱え込まず、正しい知識を持って、つらい残尿感から解放される一歩を踏み出しましょう。

目次

残尿感 女性の主な原因

女性の残尿感は、様々な要因が複雑に絡み合って発生することがあります。単なる気のせいではなく、身体のサインである場合がほとんどです。
主な原因を知ることは、適切な治し方を見つけるための第一歩となります。

膀胱炎が原因の場合

女性の残尿感の原因として最も一般的で、かつ多くの人が経験しやすいのが膀胱炎です。
膀胱炎は、主に細菌が尿道から膀胱に入り込み、そこで繁殖することで炎症が起こる病気です。
女性は男性に比べて尿道が短く、細菌が膀胱に到達しやすいため、膀胱炎になりやすい構造になっています。

膀胱炎の典型的な症状は、頻尿(トイレが近い)、排尿時の痛み、そして残尿感です。
炎症を起こした膀胱は過敏になり、少しの尿でも刺激を感じやすくなります。
そのため、たとえ少量しか尿が残っていなくても、「まだ全部出ていない」「またすぐトイレに行きたい」という感覚を引き起こし、つらい残尿感につながります。

また、膀胱の炎症がひどくなると、尿が濁ったり、血が混じったりすることもあります。
これらの症状が見られる場合は、細菌感染が強く疑われるため、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

骨盤臓器脱との関連性

骨盤臓器脱とは、子宮や膀胱、直腸といった骨盤内の臓器が、本来あるべき位置から下がってきて、膣から外に出てしまう状態です。
特に、出産経験のある女性や閉経後の女性に多く見られます。

骨盤臓器脱が起こると、下がってきた膀胱や尿道が圧迫されたり、曲がったりすることがあります。
これにより、尿道が完全に開ききらず、排尿しても尿を完全に排出しきれない状態(排尿困難)が起こりやすくなります。
その結果、実際に膀胱に尿が残ってしまい、残尿感として自覚されるのです。

また、臓器が下がっていることで、常に膀胱や尿道に違和感や圧迫感を感じることもあり、これが残尿感につながるケースもあります。
骨盤臓器脱による残尿感は、横になったり座ったりすると軽減し、立ち上がったり歩いたりすると症状が強くなる傾向が見られることもあります。

ストレスや冷えによる影響

意外に思われるかもしれませんが、ストレスや身体の冷えも女性の残尿感の大きな原因となり得ます。
心と体は密接に関連しており、特に自律神経の乱れは、膀胱や尿道の働きに影響を与えることがあります。

過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、膀胱の筋肉が過剰に収縮したり、逆に弛緩しすぎたりすることがあります。
これにより、尿を十分に溜められなくなったり、排尿時に膀胱をしっかり収縮させられなくなったりして、残尿感を引き起こす可能性があります。
また、ストレス自体が身体の感覚を過敏にし、わずかな違和感でも残尿感として強く感じてしまうことも考えられます。

体の冷えも、膀胱周囲の筋肉を緊張させ、血行を悪化させることで残尿感につながることがあります。
特に、冬場や冷房の効いた場所に長時間いると、下半身が冷えやすくなります。
冷えによる膀胱の過敏性は、頻尿や尿意切迫感(急に強い尿意を感じて我慢できない感覚)とともに、残尿感として現れることがあります。
体を温めることは、これらの症状の緩和に役立ちます。

加齢による変化

女性は加齢に伴い、身体に様々な変化が現れますが、それは泌尿器系にも及びます。
特に、閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することは、骨盤底筋や膀胱、尿道の組織に影響を与えます。

エストロゲンの減少により、骨盤底筋が弱まり、膀胱や尿道を支える力が低下することがあります。
これは、前述の骨盤臓器脱のリスクを高めるだけでなく、尿道の閉まりが悪くなったり、膀胱の弾力性が失われたりすることにもつながります。

また、加齢によって膀胱の感覚神経が過敏になったり、逆に鈍くなったりすることも考えられます。
過敏になれば少しの尿で尿意を感じやすくなり、鈍くなれば排尿後も膀胱に尿が残っていることに気づきにくくなる可能性があります。
さらに、膀胱を完全に空にするための筋肉の収縮力が弱まることも、残尿感の一因となります。
これらの変化は徐々に進行するため、自覚症状として現れるまで時間がかかることもあります。

その他の原因(性病など)

膀胱炎や骨盤臓器脱、ストレス、加齢以外にも、女性の残尿感を引き起こす原因はいくつか存在します。
これらの中には、感染症や他の病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。

  • 性感染症(性病): クラミジアや淋菌などの性感染症が尿道に感染し、尿道炎を引き起こすことがあります。尿道炎の症状として、排尿時の痛みやかゆみ、そして残尿感が出ることがあります。特に、性行為の経験があり、これらの症状が見られる場合は、性感染症の可能性も考慮し、検査を受けることが推奨されます。
  • 尿路結石: 尿の通り道である腎臓、尿管、膀胱、尿道に石ができる病気です。結石が膀胱や尿道を刺激したり、尿の流れを妨げたりすることで、痛みや頻尿、残尿感を引き起こすことがあります。結石が動く際には、激しい痛みを伴うこともあります。
  • 膀胱の腫瘍: 稀ではありますが、膀胱にできた腫瘍(良性または悪性)が膀胱の内側を刺激したり、尿の排出を妨げたりして、残尿感や血尿などの症状を引き起こすことがあります。
  • 間質性膀胱炎: 膀胱の壁に慢性的な炎症が起こる病気で、原因は完全には解明されていません。膀胱の痛みや圧迫感、頻尿、尿意切迫感とともに、強い残尿感を伴うことが多いです。排尿しても症状が改善しないのが特徴的な場合もあります。

これらの原因は、自己判断が難しいため、残尿感が続く場合や他の症状(痛み、発熱、血尿など)を伴う場合は、必ず医療機関を受診し、正確な診断を受けることが重要です。

残尿感 女性の治し方【医療機関での治療】

つらい残尿感を根本的に改善するためには、その原因を正確に診断し、適切な治療を受けることが不可欠です。
医療機関では、問診や検査に基づいて、個々の状態に合わせた様々な治療法が提供されます。

泌尿器科での検査・診断

残尿感で医療機関を受診した場合、まずは医師による詳細な問診が行われます。
いつから、どのような時に残尿感を感じるか、排尿時の痛みや頻尿、血尿などの他の症状はあるか、過去の病歴や出産経験、服用している薬などを詳しく聞かれます。

次に、いくつかの検査が行われるのが一般的です。

  • 尿検査: 尿中の白血球や赤血球、細菌の有無などを調べます。膀胱炎などの尿路感染症を診断するために最も基本的な検査です。
  • 尿流量測定(ウロフロメトリー): トイレ型の測定器で排尿し、尿の勢いや量を測る検査です。尿の出が悪くないか、スムーズに排尿できているかなどを客観的に評価できます。
  • 残尿測定: 排尿後に超音波装置を使って膀胱にどのくらい尿が残っているかを測定します。実際にどの程度の残尿があるのかを知る上で重要な検査です。
  • 超音波検査: 腎臓や膀胱、子宮などの臓器に異常がないか、結石や腫瘍の有無、膀胱の形などを調べます。非侵襲的で身体への負担が少ない検査です。
  • 膀胱鏡検査: 必要に応じて、細いカメラを尿道から挿入し、膀胱の内部を直接観察する検査です。膀胱の粘膜の状態や腫瘍、結石などを詳しく調べることができます。

これらの検査結果を総合的に判断し、残尿感の正確な原因が診断されます。

薬による治療法

残尿感の原因に応じた薬物療法が行われます。

  • 抗菌薬(抗生物質): 膀胱炎など、細菌感染が原因の場合は、細菌を死滅させるための抗菌薬が処方されます。数日間服用することで、炎症が治まり、症状が改善するのが一般的です。処方された期間は最後まで服用することが大切です。
  • 過活動膀胱治療薬: 過活動膀胱による残尿感や頻尿、尿意切迫感に対しては、膀胱の過剰な収縮を抑える作用のある薬(抗コリン薬やβ3受容体作動薬など)が用いられます。これにより、膀胱に尿をより長く溜められるようになり、症状が緩和される可能性があります。
  • 漢方薬: 冷えやストレス、加齢に伴う体の不調が原因と考えられる場合や、他の薬が合わない場合などに、体質改善を目的に漢方薬が処方されることもあります。例えば、体内の水分バランスを整えるものや、血行を促進するもの、精神的な緊張を和らげるものなど、様々な種類があります。
  • 女性ホルモン補充療法: 閉経後の女性ホルモン減少が原因で骨盤底筋や泌尿器系の組織が弱まっている場合、ホルモン補充療法が検討されることがあります。膣に直接塗布するタイプのエストロゲン製剤などが用いられることがあります。

薬の種類や量は、個々の症状や病態、他の合併症などを考慮して医師が判断します。
必ず医師の指示に従って服用し、自己判断で中断したり量を変更したりしないようにしましょう。

生活指導や行動療法

薬物療法と並行して、または薬物療法が不要な場合に、生活習慣の改善や行動療法が推奨されることがあります。

  • 排尿習慣の見直し: トイレに行くタイミングをコントロールする訓練(膀胱訓練)や、一定時間ごとに計画的に排尿する習慣を身につけること(定時排尿)などが有効な場合があります。
  • 水分摂取量の調整: 水分を摂りすぎると尿量が増えて頻尿や残尿感につながることがありますが、逆に水分不足は尿を濃くし、膀胱を刺激したり細菌が繁殖しやすくなったりすることがあります。適切な水分摂取量について指導を受けます。
  • 食事内容の指導: 膀胱を刺激しやすい食品(カフェイン、アルコール、香辛料など)の摂取を控えるよう指導されることがあります。
  • 骨盤底筋トレーニング: 緩んだ骨盤底筋を鍛えることで、尿漏れや骨盤臓器脱による症状の改善を目指します。医療機関で正しい方法の指導を受けることが重要です。
  • 体重管理: 過体重は骨盤底筋に負担をかけるため、適正体重に戻すよう指導されることがあります。
  • ストレス管理: ストレスが原因と考えられる場合は、リラクゼーション法やカウンセリングなどが推奨されることもあります。

これらの生活指導や行動療法は、即効性があるわけではありませんが、継続することで症状の長期的な改善や再発予防につながります。

必要に応じた手術

骨盤臓器脱が進行し、保存療法(薬物療法やペッサリーなど)では症状が改善しない場合や、重度の排尿障害を伴う場合には、手術が検討されることがあります。

骨盤臓器脱に対する手術は、下がってしまった臓器を元の位置に戻し、再び下がってこないように補強することを目的とします。手術の方法は、臓器脱の種類や程度、患者さんの年齢や全身状態などによって異なります。自分の組織を使って補強する方法や、メッシュ(人工素材)を用いて補強する方法などがあります。

手術により、物理的に臓器の位置が正常に戻ることで、尿道の圧迫や曲がりが解消され、排尿がスムーズになることが期待できます。これにより、残尿感が改善される可能性があります。

また、尿路結石が尿の排出を妨げている場合など、他の疾患が原因で残尿感が強く出ている場合にも、その原因疾患に対する手術が必要となることがあります。例えば、尿路結石に対する体外衝撃波結石破砕術や内視鏡手術などです。

手術が必要かどうかは、詳細な検査結果や患者さんの希望、全身状態などを総合的に判断し、医師から説明を受け、十分に納得した上で決定することが重要です。

残尿感 女性の治し方【セルフケア・自宅でできること】

医療機関での治療と並行して、または症状が軽度な場合、ご自宅でできるセルフケアも残尿感の緩和や予防に非常に有効です。
日々の習慣を見直すことで、快適な排尿を取り戻すことができるかもしれません。

水分をしっかり摂る方法

水分摂取は、残尿感や膀胱炎の予防に欠かせません。「残尿感があるから、水を飲むとまたトイレに行きたくなるのでは…」と水分を控える方もいますが、これは逆効果になることがあります。

水分を十分に摂ることで尿量が増え、尿道から細菌を洗い流しやすくなります。これは特に膀胱炎の予防や初期段階での症状緩和に重要です。また、尿が薄まることで、膀胱への刺激が軽減されることもあります。

ただし、一度に大量に飲むのではなく、こまめに少量ずつ摂取するのがおすすめです。
特に、朝起きた時や、汗をかいた後などは意識して水分を摂りましょう。
就寝前に大量に飲むと夜間頻尿につながる可能性があるため、夜遅くの多量摂取は避けるのが無難です。
1日に必要な水分量は個人差がありますが、目安として1.5〜2リットル程度を目標にすると良いでしょう。
何を飲むかも大切で、カフェインやアルコールは利尿作用があったり、膀胱を刺激したりすることがあるため、水やお茶(カフェインの少ないもの)を中心に摂るのが良いでしょう。

尿を出し切る排尿方法 女性向け

排尿時に尿をしっかり出し切ることは、残尿感を減らすための基本的なセルフケアです。
慌てて排尿を済ませてしまったり、前かがみすぎる姿勢で排尿したりすると、膀胱が十分に収縮せず、尿が残ってしまうことがあります。

女性の場合、以下の点に注意して排尿を試みましょう。

  • 座り方: トイレの便座に深く腰掛け、足の裏が床につくようにします。もし足が床につかない場合は、足台などを利用して、膝が股関節よりやや高くなるような姿勢をとると、骨盤底筋がリラックスしやすくなります。
  • リラックス: 肩の力を抜き、深呼吸するなどしてリラックスします。力んで無理に排尿しようとすると、かえって筋肉が緊張して排尿を妨げることがあります。
  • 時間をかける: 急がず、尿が自然に出るのを待ちます。途中でも、少し時間を置いてみたり、軽くお腹(下腹部)を前に突き出すような意識を持ってみたりするのも良いでしょう。
  • 二段排尿法: 一度排尿を終えた後、すぐに立つのではなく、少し姿勢を変えたり、軽く前後に体を揺らしたりして、再度排尿を試みる方法です。これにより、残っていた尿が出やすくなることがあります。

これらの方法を試しても残尿感が強い場合は、実際に残尿が多い可能性もあるため、医療機関での検査を検討しましょう。

骨盤底筋トレーニングの実践

骨盤底筋は、膀胱や子宮、直腸などの骨盤内臓器を支え、尿道や肛門を締める働きをする筋肉群です。
この筋肉が弱くなると、尿漏れや骨盤臓器脱、そして残尿感の原因となることがあります。
骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)は、この筋肉を強化するための有効な方法です。

骨盤底筋の位置を確認するには、排尿中に尿を途中で止めようとしてみてください。その時に使う筋肉が骨盤底筋です。ただし、確認以外で排尿中にトレーニングを行うのは避けましょう。

トレーニングの基本的なやり方は以下の通りです。

  • 楽な姿勢(仰向け、座る、立つなど)でリラックスします。
  • お尻や太ももの力は抜いて、膣や尿道を締めるように骨盤底筋をゆっくりと引き締めます。
  • 5秒間ほどキープします。この時、息は止めないように自然な呼吸を心がけましょう。
  • ゆっくりと力を抜きます。
  • これを10回繰り返します。

これを1セットとし、1日に3〜5セット行うのが目安です。
最初は感覚がつかみにくいかもしれませんが、継続することで効果を実感できるようになります。
電車の中やテレビを見ながらなど、場所を選ばずに行えるので、日々の習慣に取り入れやすいでしょう。
ただし、間違った方法で行うと効果が得られなかったり、かえって症状が悪化したりする可能性もあるため、できれば一度専門家(医師、理学療法士など)から正しい指導を受けることをおすすめします。

体を温める冷え対策

体の冷えは、膀胱や周囲の筋肉の血行を悪化させ、残尿感を悪化させることがあります。
特に女性は冷えやすい体質の方も多いため、積極的に体を温める対策を取りましょう。

  • 服装: 下半身、特に腰やお腹周りを冷やさないようにします。腹巻やカイロ(低温やけどに注意)、厚手のソックスやタイツなどを活用しましょう。体を締め付けるようなきつい下着やズボンは血行を妨げる可能性があるため、避けた方が良い場合もあります。
  • 食事: 体を温める食材(生姜、ネギ、根菜類など)を積極的に食事に取り入れましょう。冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎには注意が必要です。
  • 入浴: シャワーだけでなく、湯船にゆっくり浸かることで、体の芯から温まります。お風呂にエッセンシャルオイル(リラックス効果のあるものなど)を数滴垂らすのも良いでしょう。
  • 運動: 適度な運動は血行を促進し、冷えの改善につながります。ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられるものを取り入れましょう。
  • 温めるアイテム: レンジで温めるタイプの湯たんぽや、電気毛布、ひざ掛けなども、局所的に体を温めるのに役立ちます。

体を温めることは、血行を良くし、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できるため、残尿感だけでなく、生理痛や肩こりなど、女性に多い他の不調の緩和にもつながることがあります。

残尿感に使える市販薬・漢方

薬局やドラッグストアでは、残尿感を含む尿トラブルに使える市販薬や漢方薬が販売されています。
これらは、一時的に症状を緩和したい場合や、医療機関に行く時間がない場合に役立つことがあります。

  • 市販薬: 膀胱炎の初期症状(残尿感、排尿痛、頻尿)に効くことをうたった内服薬や、清涼飲料水のような剤形のものがあります。これらは、生薬成分や消炎成分などが配合されていることが多いです。ただし、これらはあくまで対症療法であり、細菌感染を根本的に治す抗菌薬とは異なります。
  • 漢方薬: 残尿感や頻尿などの泌尿器症状に用いられる漢方薬としては、「五淋散(ごりんさん)」や「清心蓮子飲(せいしんれんしいん)」などがあります。五淋散は、尿路の炎症を鎮め、排尿痛や残尿感を和らげる効果が期待されます。清心蓮子飲は、精神的な緊張や体の熱を冷まし、頻尿や残尿感、落ち着かない感じなどに用いられます。

市販薬や漢方薬を使用する際は、以下の点に十分注意してください。

  • 原因の特定: 市販薬や漢方薬は、症状を和らげる効果が期待できますが、残尿感の根本的な原因(例えば、進行した骨盤臓器脱や膀胱腫瘍など)を治すわけではありません。症状が改善しない場合や悪化する場合は、必ず医療機関を受診してください。
  • 薬剤師への相談: ご自身の症状や体質、他に服用している薬などを薬剤師に伝え、適切な市販薬や漢方薬を選んでもらいましょう。
  • 使用上の注意: 製品に記載されている用法・用量を守り、副作用に注意しながら使用してください。

市販薬や漢方薬は、あくまで一時的な対処や補助的な役割として考え、症状が続く場合は必ず専門医に相談するようにしましょう。

残尿感 ムズムズ感の対処法

残尿感とともに、「ムズムズする」「すっきりしない」といった不快な感覚を伴うことがあります。
特に膀胱炎の初期や、原因がはっきりしない心因性の残尿感で感じやすいかもしれません。
このようなムズムズ感に対処するためのセルフケアとしては、以下のような方法があります。

  • 温める: 下腹部や腰を温めることで、筋肉の緊張が和らぎ、ムズムズ感が軽減されることがあります。温かいタオルやカイロ(低温やけどに注意)、腹巻などを活用しましょう。
  • 軽い運動やストレッチ: 体を動かすことで血行が促進され、不快感が紛れることがあります。簡単なストレッチや軽いウォーキングなどを試してみてください。
  • リラックス: ストレスや緊張がムズムズ感を強くすることがあります。深呼吸、軽い瞑想、好きな音楽を聴くなど、自分がリラックスできる方法を見つけて実践しましょう。
  • 意識をそらす: ムズムズ感に意識が集中すると、かえって症状が強く感じられることがあります。好きなことに没頭したり、誰かと話したりするなどして、意識を別のことに向けてみましょう。
  • 水分摂取: 十分な水分摂取は、尿を薄め、膀胱への刺激を軽減する効果が期待できます。

ムズムズ感が続く場合や、痛みを伴うようになった場合は、膀胱炎などが進行している可能性もあるため、医療機関を受診することが重要です。

残尿感 寝れない時の応急処置

つらい残尿感は、夜間に特に強く感じられ、眠りを妨げることがあります。「もう一度トイレに行っても、またすぐに行きたくなるのでは?」という不安から、ベッドに入ってもなかなか寝付けなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりすることもあるでしょう。

残尿感が気になって寝れない時の応急処置としては、以下のようなことが試せます。

  • 寝る前にトイレを済ませる: 就寝前に必ず一度排尿を済ませ、膀胱を空にしてからベッドに入りましょう。
  • 体を温める: 下腹部や腰周りを温めることで、膀胱の過敏性を落ち着かせ、不快感を和らげる効果が期待できます。腹巻をつけたり、湯たんぽを使ったりするのも良いでしょう。
  • リラックスできる環境を作る: 寝室を暗く静かにし、適温に保ちます。眠る前に温かい飲み物(カフェインの入っていないハーブティーなど)を飲んだり、軽い読書をしたりするなど、リラックスできる習慣を取り入れるのも効果的です。
  • 排尿姿勢を工夫する: もし夜中にトイレに行くことになったら、前述の「尿を出し切る排尿方法」を意識して、落ち着いて時間をかけて排尿することを心がけましょう。
  • 医師に相談する: 頻繁に夜間残尿感で目が覚めて睡眠不足になっている場合は、医師に相談しましょう。症状によっては、夜間の排尿を抑える薬や、心因性の場合は睡眠を助ける薬などが検討されることがあります。

これらの応急処置は、あくまで一時的な対処法です。
慢性的に夜間の残尿感に悩まされている場合は、生活習慣の見直しや、医療機関での根本的な治療が必要です。

残尿感 女性、すぐに病院へ行くべき目安

残尿感は多くの女性が経験する可能性のある症状ですが、中には病気のサインである場合もあります。
自己判断で様子を見すぎず、適切なタイミングで医療機関を受診することが、病気の早期発見・早期治療につながり、症状の悪化を防ぐ上で非常に重要です。

どんな症状が出たら受診が必要?

残尿感とともに、以下のような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診することを強く推奨します。

  • 排尿時の痛み: 尿を出す時に、ツーンとした痛みや灼熱感を伴う場合。
  • 頻尿: 一日に何度もトイレに行きたくなり、特に夜間も頻繁に目が覚める場合。
  • 尿意切迫感: 急に強い尿意を感じて、我慢するのが難しい場合。
  • 血尿: 尿がピンク色や赤色に見える場合や、目で確認できなくても尿検査で血が混じっていると言われた場合。
  • 尿の濁りや悪臭: 尿が白く濁っていたり、いつもと違う強い臭いがする場合。
  • 発熱: 38度以上の発熱を伴う場合、腎盂腎炎など上部尿路の感染症に波及している可能性があります。
  • 腰や背中の痛み: 片側または両側の腰や背中に痛みを伴う場合、腎臓や尿管に問題が起こっている可能性があります。
  • 残尿感が続き、日常生活に支障が出ている場合: 症状が長期間続き、仕事や睡眠、外出などに影響が出ている場合。
  • 市販薬などで改善しない場合: セルフケアや市販薬を試しても症状が改善しない場合や、かえって悪化する場合。

これらの症状は、単なる残尿感ではなく、膀胱炎や腎盂腎炎、尿路結石、その他の泌尿器系の病気のサインである可能性が高いです。
特に発熱や腰痛を伴う場合は、重症化する前に専門的な治療が必要です。

何科を受診すれば良い?

女性の残尿感やその他の泌尿器症状で迷う場合は、まず以下の診療科を検討しましょう。

  • 泌尿器科: 男女問わず、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)や男性生殖器の病気を専門とする科です。女性の膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、尿失禁、尿路結石、膀胱腫瘍など、残尿感の原因となる多くの疾患に対応しています。女性の泌尿器科医がいる病院を選ぶこともできます。
  • 婦人科: 女性特有の臓器である子宮や卵巣、膣などの病気を専門とする科ですが、骨盤臓器脱のように、婦人科的な問題が膀胱や尿道の症状を引き起こすこともあります。また、閉経後の女性ホルモン減少に伴う泌尿器症状についても相談できます。骨盤臓器脱が強く疑われる場合や、婦人科的な問題も同時に抱えている場合は、婦人科も選択肢の一つです。

どちらの科を受診するか迷う場合は、かかりつけ医に相談したり、病院の受付で症状を伝えて案内してもらったりすると良いでしょう。
多くの場合、残尿感の原因は泌尿器系の問題であるため、まずは泌尿器科を受診するのが一般的です。

残尿感 女性によく見られる症状・病気

残尿感を主症状とする、あるいは残尿感を伴うことの多い代表的な病気について、それぞれの特徴や治療法をもう少し詳しく見ていきましょう。
ご自身の症状と照らし合わせて、どのような病気の可能性があるのかを知ることは、適切な受診につながります。

急性膀胱炎

特徴: 女性の残尿感の最も一般的な原因。大腸菌などの細菌が尿道から侵入し、膀胱で炎症を起こす。
主な症状: 残尿感、頻尿(1日に10回以上)、排尿時の痛み(排尿の終わり頃にツーンとした痛みが多い)、尿の濁り、血尿、下腹部痛。発熱は通常見られない。
診断: 尿検査(白血球、細菌の検出)。
治療: 抗菌薬(抗生物質)の服用。通常、数日間の服用で症状は改善する。水分摂取も重要。

過活動膀胱

特徴: 膀胱が過敏になり、少しの尿量でも強い尿意を感じてしまう病気。原因は様々で、特定できないことも多い。
主な症状: 尿意切迫感(急に強い尿意を感じて我慢できない)、頻尿、夜間頻尿。これらの症状に伴って、尿を出し切ってもまだ膀胱に尿が残っているような残尿感を感じることがある。実際には残尿が少ない場合もある。
診断: 問診、排尿日誌(排尿の量や時間を記録)、尿流量測定、残尿測定。
治療: 行動療法(膀胱訓練、定時排尿)、薬物療法(膀胱の収縮を抑える薬)、骨盤底筋トレーニング。

症状 急性膀胱炎 過活動膀胱
残尿感 あり(炎症による過敏性) あり(膀胱の過敏性に伴う)
排尿痛 強い(排尿終末期) あまりない
頻尿 強い 強い
尿意切迫感 伴うことがある 強い(特徴的な症状)
尿の濁り/血尿 よく見られる 通常は見られない
発熱 通常なし なし
原因 細菌感染 膀胱の神経・筋肉の過敏性など不明

間質性膀胱炎

特徴: 膀胱の粘膜の下にある層に慢性的な炎症が起こる病気。原因不明で難治性のことが多い。
主な症状: 膀胱や骨盤部の痛み、圧迫感。頻尿、尿意切迫感。排尿しても痛みが軽くならない、あるいは増強する。残尿感も強く感じやすく、排尿してもスッキリしない感覚が続く。症状は変動することが多い。
診断: 問診、尿検査(通常、細菌は検出されない)、膀胱鏡検査(膀胱の粘膜の状態を確認)、膀胱水圧拡張術(診断と治療を兼ねる場合がある)。
治療: 薬物療法(抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、膀胱保護薬など)、膀胱内注入療法、理学療法、食事療法、手術(重症例)。

骨盤臓器脱

特徴: 骨盤内の臓器(膀胱、子宮、直腸など)が下がってきて、膣から出てしまう状態。出産や加齢、肥満などがリスク因子。
主な症状: 膣からの下垂感(何かが下がってくる感じ)、違和感、圧迫感。腰痛。排尿困難(尿が出しにくい)、残尿感、頻尿、尿失禁。下がった臓器を手で押さえると排尿しやすくなることもある。
診断: 視診、内診、超音波検査、MRI検査、尿流量測定、残尿測定。
治療: 保存療法(骨盤底筋トレーニング、ペッサリーの使用)、手術療法。

尿道カルンケル

特徴: 女性の尿道の出口付近にできる良性のポリープのようなできもの。閉経後の女性に比較的よく見られる。
主な症状: 排尿時の痛みや出血(特に拭いた時)、下着への少量の出血、尿道の違和感やムズムズ感。できものが大きい場合や炎症を起こしている場合に、尿道の閉塞感や残尿感を伴うことがある。
診断: 視診、触診。
治療: 薬物療法(ステロイド軟膏など)、切除術。

心因性残尿感

特徴: 明らかな器質的な病気(膀胱炎、骨盤臓器脱など)が見つからないにも関わらず、残尿感を強く感じる状態。ストレスや不安、緊張などが関係していると考えられている。
主な症状: 排尿してもすっきりしない感覚、膀胱に尿が残っているような感覚。尿検査や残尿測定では異常が見られないことが多い。症状は精神的な状態によって変動しやすい。
診断: 器質的な病気の除外診断(各種検査で異常がないことを確認)、問診による精神状態の評価。
治療: ストレス管理、リラクゼーション法、行動療法(膀胱訓練など)、カウンセリング、必要に応じて精神安定剤や抗うつ薬。

【まとめ】つらい残尿感は一人で悩まず専門家へ相談を

女性の残尿感は、膀胱炎、骨盤臓器脱、加齢、ストレス、冷え、その他の病気など、様々な原因によって引き起こされます。
原因が多岐にわたるため、自己判断での対処だけでは根本的な解決に至らないことも少なくありません。

日々のセルフケアとして、適切な水分摂取、正しい排尿習慣、骨盤底筋トレーニング、体を温める冷え対策などは、残尿感の緩和や予防に非常に有効です。
しかし、症状が長期間続く場合や、排尿時の痛み、頻尿、血尿、発熱などの他の症状を伴う場合は、必ず医療機関を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることが重要です。

特に、残尿感がひどくて日常生活に支障が出ている場合や、市販薬を試しても改善しない場合は、迷わず泌尿器科や婦人科の専門医に相談しましょう。
あなたのつらい残尿感には、必ず原因があり、それを解消するための道筋があります。
一人で抱え込まず、専門家のサポートを得ることで、きっと症状は改善に向かうはずです。

この記事が、残尿感に悩む多くの女性にとって、症状と向き合い、前向きな一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

免責事項:

この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。
個々の症状や状態に関しては、必ず医師や専門家にご相談ください。
記事の内容に基づいて行った行為によって生じたいかなる結果に関しても、一切の責任を負いかねます。

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