【生理前】「食べても食べてもお腹が空く」原因と今日からできる対策

「食べても食べてもお腹が空く」「いくら食べても満腹感がない」――生理前になると、そんなつらい食欲に悩まされる女性は少なくありません。
普段は食事に気を付けていても、この時期ばかりはコントロールできず、つい食べ過ぎて後悔してしまうこともあるでしょう。
この生理前の異常な食欲は、多くの女性が経験する症状の一つであり、月経前症候群(PMS)の代表的な症状としても知られています。
なぜ生理前になるとこんなにもお腹が空くのか、その原因と、つらい食欲と上手に付き合うための具体的な対策について詳しく解説します。
原因を知り、適切な対策を講じることで、生理前の期間を少しでも快適に過ごす助けになれば幸いです。

目次

生理前にお腹が空く・食欲が止まらないのはなぜ?

生理前に「食べても食べてもお腹が空く」「食欲が止まらない」と感じるのには、いくつかの複雑な要因が関係しています。
主な原因として、ホルモンバランスの変化、血糖値の変動、そして精神的な影響が挙げられます。
これらの要因が複合的に作用し、生理前のつらい食欲を引き起こしていると考えられています。

ホルモンバランスの変化による影響

生理周期において、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は変動を繰り返します。
生理前、特に排卵後から生理が始まるまでの期間は、プロゲステロンの分泌が優位になります。
このプロゲステロンの増加こそが、生理前のさまざまな不調、そして食欲増加に大きく関わっています。

プロゲステロンは、妊娠を維持するための準備をするホルモンであり、基礎体温を上昇させたり、水分を体にため込みやすくしたりといった働きがあります。
食欲に関しては、プロゲステロンが脳の食欲中枢に作用し、食欲を増進させることが知られています。
また、プロゲステロンの分泌が増える時期は、幸せホルモンとも呼ばれる神経伝達物質であるセロトニンの分泌が減少する傾向があります。
セロトニンは気分を安定させたり、満腹感を得やすくしたりする働きを持っています。
セロトニンが減少すると、気分が落ち込んだりイライラしやすくなったりするだけでなく、食欲を抑える働きが弱まり、特に甘いものや炭水化物など、セロトニンレベルを一時的に上げる食品への欲求が高まると考えられています。
体が「不足したセロトニンを食事で補おう」としているような状態とも言えます。

さらに、プロゲステロンには体内のコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を促す作用があるという説もあります。
コルチゾールが増えると、食欲が増進されるだけでなく、脂肪をため込みやすくなるなど、体への影響も無視できません。
このように、生理前のホルモンバランス、特にプロゲステロンの増加とそれに伴うセロトニンやコルチゾールの変動が、食べても食べてもお腹が空く、という現象の根本的な原因の一つとなっています。

血糖値の急激な変動

生理前のホルモンバランスの変化は、血糖値のコントロールにも影響を与えます。
プロゲステロンの分泌が増加する時期は、インスリンの効果が一時的に低下する「インスリン抵抗性」が高まる傾向が見られます。
インスリンは血糖値を下げるホルモンですが、インスリン抵抗性が高まると、血糖値を下げるために通常よりも多くのインスリンが必要になります。

食事によって血糖値が上昇すると、体はインスリンを分泌して血糖値を下げようとします。
しかし、生理前はインスリンの効きが悪いため、血糖値が急激に上昇しやすく、その後、分泌されたインスリンによって逆に血糖値が急降下することがあります。
この血糖値の急激な下降が、脳に「エネルギーが不足している!」という信号を送り、「お腹が空いた」と感じさせる原因となります。

特に、甘いものや菓子パン、清涼飲料水など、血糖値を急激に上げるような食品を摂取すると、その後の血糖値の下降幅も大きくなり、強い空腹感やだるさを感じやすくなります。
この状態が、さらに甘いものが欲しい、何か食べたい、という欲求につながり、「食べても食べてもお腹が空く」という悪循環を生み出してしまうのです。
ジェットコースターのように上下する血糖値が、生理前の食欲を制御しにくくしている重要な要因と言えます。

精神的な要因

生理前は、ホルモンバランスの変化によって精神的に不安定になりやすい時期でもあります。
イライラ、不安、落ち込み、集中力の低下など、さまざまな精神症状が現れることがあります。
これらのネガティブな感情が、過食や特定の食べ物への欲求につながることがあります。

例えば、ストレスを感じると、多くの人は「ストレス解消のために何か食べたい」と感じることがあります。
生理前のイライラや落ち込みも同様に、食べることで一時的に気分を紛らわせたり、安心感を得ようとしたりすることがあります。
特に、甘いものや油っこいもの、炭水化物といった、いわゆる「コンフォートフード(心地よさを与える食べ物)」は、脳内で快感物質を分泌させやすく、精神的な安らぎを求めて手が伸びやすい傾向があります。

また、生理前の身体的な不調(だるさ、むくみ、頭痛など)が精神的な負担となり、それが食欲増加につながることもあります。
「つらいから、せめて好きなものを食べて気を紛らわせたい」という気持ちになることもあるでしょう。
このように、生理前の精神的な不安定さやストレスが、食欲を増進させ、「食べても食べてもお腹が空く」という感覚をさらに強めてしまう可能性があるのです。

生理前いつからお腹が空く?時期の目安

生理前の食欲増加は、月経前症候群(PMS)の症状の一つとして現れることが多いですが、その症状が現れるタイミングには個人差があります。
多くの場合は生理の数日前から症状を感じ始めますが、中にはもっと早い段階から食欲の変化を感じる人もいます。

生理3日前から顕著になる理由

一般的に、生理前の不調であるPMSの症状は、生理が始まる約1週間前から現れやすいと言われています。
食欲増加もこの時期に顕著になるケースが多く、特に生理が始まる3日前頃になると、「いつもよりお腹が空く」「食べても満足できない」といった感覚が強くなることがあります。

これは、生理周期の後半にあたる黄体期の中でも、特に後半にかけてプロゲステロンの分泌量がピークに達し、その後急激に減少する時期と重なるためです。
プロゲステロンが優位になることで、前述したような食欲増進作用や血糖値の不安定化が進み、生理の直前にかけて症状が強く現れやすくなります。
また、この時期はセロトニンレベルも低下しやすいことから、精神的な不安定さと相まって、食欲のコントロールがさらに難しくなる傾向があります。

生理が始まると、プロゲステロンの分泌量が減少し、これらの症状は自然と和らいでいくのが一般的です。
そのため、「生理が来た途端に食欲が落ち着いた」と感じる人も多くいます。

生理10日前から感じる人も

一方で、生理前の食欲増加を、生理が始まる10日前やそれよりも早い排卵期あたりから感じ始める人もいます。
これは、PMSの症状が現れる時期や程度に個人差が大きいためです。

排卵後、黄体期に入るとすぐにプロゲステロンの分泌が始まります。
このプロゲステロンの影響を比較的早くから受けやすい体質の人や、血糖値の変動に敏感な人、ストレスの影響を受けやすい人などは、黄体期の比較的早い段階、つまり生理の約10日前頃から食欲の変化を感じ始めることがあります。
この時期から、甘いものや高カロリーなものが無性に食べたくなったり、食事をしたのにすぐに空腹を感じたりすることがあります。

生理前の症状は、その人の体質やその時の体調、精神状態によっても左右されます。
必ずしも「生理の数日前から」という決まったパターンがあるわけではなく、排卵後すぐに症状が現れる人もいれば、全く感じない人もいます。
ご自身の体の周期を把握し、どのような時に食欲の変化を感じやすいかを知っておくことが、対策を立てる上で役立ちます。

生理前のお腹の空き・食欲どうすれば?対策

生理前の「食べても食べてもお腹が空く」というつらい食欲を完全に抑え込むのは難しいかもしれません。
しかし、原因を知り、適切な対策を講じることで、症状を和らげたり、食欲と上手に付き合ったりすることは可能です。
ここでは、具体的な対策方法をいくつかご紹介します。

我慢しないのも一つの方法

生理前の食欲に対して、過度に「食べてはいけない」と我慢しすぎると、かえってストレスが溜まり、その反動で後から一気に大量に食べてしまったり、罪悪感に苛まれたりすることがあります。
生理前の食欲増加は、ある程度ホルモンバランスの変化による自然な現象であることを理解し、自分を責めすぎないことが大切です。

「食べても食べてもお腹が空く」と感じる時は、まず空腹の原因を探るよりも、体が何かを求めているサインだと捉えてみましょう。
その上で、何を、どのように食べるかを工夫することで、衝動的な過食を防ぎ、心身への負担を減らすことができます。
少量であれば、自分が本当に食べたいと感じるものを質の良い形で取り入れることも、精神的な満足感につながり、結果的に過食を防ぐことにつながる場合もあります。
完全に我慢するのではなく、「どうせ食べるなら、体に良いものを少量だけ」「少しずつ、意識して食べる」といった柔軟な考え方を持つことも重要です。

食べていいもの・おすすめの食べ物

生理前のつらい食欲をコントロールするためには、何を食べるかが非常に重要です。
血糖値を安定させたり、不足しがちな栄養素を補ったりすることで、空腹感を和らげ、衝動的な食欲を抑えることが期待できます。
ここでは、生理前におすすめの食べ物とその理由について解説します。

血糖値の急上昇を防ぐ食品

生理前の食欲増加には、血糖値の不安定さが大きく関わっています。
そのため、血糖値を急激に上げにくい「低GI(グリセミック・インデックス)食品」を選ぶことが有効です。
低GI食品は、糖の吸収が穏やかで、食後の血糖値の上昇が緩やかになるため、その後の急降下を防ぎ、空腹感を抑えることにつながります。

  • 全粒穀物: 玄米、全粒粉パン、オートミールなど。白米や白いパンに比べて食物繊維が豊富で、血糖値の急上昇を抑えます。ビタミンやミネラルも豊富です。
  • 野菜: 特に葉物野菜、ブロッコリー、きのこ類、海藻類など。食物繊維が豊富で、満腹感を得やすく、血糖値の上昇を緩やかにします。食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」も効果的です。
  • 豆類: 大豆、豆腐、納豆、枝豆など。良質な植物性タンパク質と食物繊維が豊富で、腹持ちが良いです。
  • ナッツ類・種実類: アーモンド、くるみ、カシューナッツ、かぼちゃの種など。良質な脂質、タンパク質、食物繊維を含み、少量でも満足感が得られます。無塩・無糖のものを選びましょう。

食事の際には、これらの食品を積極的に取り入れ、ゆっくりよく噛んで食べることを意識しましょう。

ビタミンB6を含む食品

生理前の食欲増加や精神的な不安定さには、セロトニンの分泌量低下が関連していると考えられています。
セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸から合成されますが、その合成にはビタミンB6が重要な役割を果たします。
ビタミンB6をしっかり摂取することで、セロトニンの合成を助け、気分の安定や食欲のコントロールにつながる可能性があります。

  • 魚類: マグロ、カツオ、サンマ、イワシなど。特に赤身の魚に豊富です。
  • 肉類: 牛レバー、鶏むね肉、豚ヒレ肉など。
  • バナナ: 手軽に食べられるビタミンB6源です。
  • ナッツ類: くるみ、ピーナッツなど。
  • その他: にんにく、唐辛子などにも比較的多く含まれますが、食べ過ぎには注意が必要です。

これらの食品をバランスよく食事に取り入れることを意識しましょう。

その他の栄養素

生理前の不調や食欲増加には、ビタミンB6以外にも様々な栄養素が関わっています。

  • カルシウム: イライラや気分の落ち込みを緩和する効果が期待できます。乳製品、小魚、小松菜などに豊富です。
  • マグネシウム: 精神的な安定や、血糖値のコントロールに関わると言われています。海藻類、ナッツ類、豆類、大豆製品などに豊富です。
  • タンパク質: 満腹感を持続させる効果が高く、食べ過ぎを防ぐのに役立ちます。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食しっかり摂りましょう。
  • オメガ3脂肪酸: 気分の安定や炎症を抑える効果が期待できます。青魚(サバ、イワシなど)、アマニ油、えごま油などに含まれます。
  • トリプトファン: セロトニンの原料となるアミノ酸です。乳製品、大豆製品、ナッツ類、バナナなどに含まれます。ビタミンB6と一緒に摂ると効果的です。

これらの栄養素を含む食品を積極的に取り入れ、バランスの取れた食事を心がけることが、生理前の食欲コントロールにつながります。

生理前におすすめの食べ物例

カテゴリ おすすめの食品 含まれる栄養素(例) 期待できる効果(例)
血糖値安定(低GI) 玄米、オートミール、全粒粉パン 食物繊維、ビタミンB群、ミネラル 血糖値の急上昇防止、満腹感持続
野菜(葉物、きのこ、海藻)、豆類 食物繊維、ビタミン、ミネラル、タンパク質 満腹感向上、腸内環境改善
ビタミンB6 マグロ、カツオ、サンマ、鶏むね肉、バナナ、くるみ ビタミンB6 セロトニン合成促進、気分の安定、食欲抑制
その他栄養素 乳製品、小魚、小松菜(カルシウム) カルシウム イライラ緩和、精神安定
海藻、ナッツ、大豆製品(マグネシウム) マグネシウム 精神安定、血糖値コントロール
肉、魚、卵、大豆製品(タンパク質、トリプトファン) タンパク質、トリプトファン 満腹感持続、セロトニン原料
青魚、アマニ油(オメガ3脂肪酸) オメガ3脂肪酸 気分安定、炎症抑制

食べない方がいいもの・控えるべき食べ物

生理前のつらい食欲がある時期は、特定の食べ物が症状を悪化させる可能性があります。
これらの食品を控えることで、血糖値の不安定さを抑えたり、体の負担を減らしたりすることができます。

血糖値を急降下させる食品

血糖値を急激に上げてしまう食品は、その後の急降下を招き、かえって強い空腹感やだるさを引き起こします。
生理前は特に血糖値が不安定になりやすいため、これらの食品はなるべく避けるようにしましょう。

  • 精製された砂糖を使ったお菓子: ケーキ、クッキー、チョコレート、キャンディーなど。大量の砂糖は血糖値を一気に跳ね上げさせます。
  • 清涼飲料水・ジュース: 液体のため糖分の吸収が早く、血糖値が急上昇しやすいです。
  • 白い炭水化物: 白米、白いパン、うどんなど。食物繊維が少ないため、血糖値が上がりやすいです。これらを食べる際は、食物繊維が豊富な野菜やきのこなどと一緒に摂る、玄米や全粒粉のものを選ぶなどの工夫が必要です。
  • 菓子パン: 砂糖やバターが多く含まれ、血糖値を上げやすい上に高カロリーです。

これらの食品は、一時的に満足感を得られるかもしれませんが、その後の反動が大きく、かえって食欲を悪化させる可能性があります。

体を冷やすもの

生理前の不調や冷えは、血行不良を招き、食欲を含めた体の様々なバランスを崩す原因となることがあります。
体を冷やす食品を摂りすぎないように注意しましょう。

  • 冷たい飲み物・食べ物: アイスクリーム、かき氷、極端に冷やした飲み物など。
  • 体を冷やす性質のある野菜・果物: キュウリ、トマト、スイカ、メロンなど(夏野菜や南国の果物に多い)。これらの食品を食べる際は、加熱したり、体を温める性質のある食品と一緒に摂ったりするなどの工夫が必要です。
  • 白砂糖: 体を冷やす性質があると言われています。

生理前は、温かい飲み物やスープなどを積極的に摂り、体を冷やさないように意識することが大切です。

食欲をコントロールする食事以外の方法

生理前の食欲は食事内容だけでなく、日々の生活習慣や心の状態にも大きく影響されます。
食事の工夫と合わせて、生活全体を見直すことで、食欲をコントロールしやすくなることがあります。

生活習慣の見直し

  • 十分な睡眠: 睡眠不足はホルモンバランスを崩し、食欲を増進させるホルモン(グレリン)を増やし、食欲を抑えるホルモン(レプチン)を減らすと言われています。生理前は特に、質の良い睡眠を十分にとることを心がけましょう。毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい生活リズムを保つことも重要です。
  • 適度な運動: ウォーキング、軽いジョギング、ヨガ、ストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすことは、ストレス解消になり、気分の安定につながります。また、運動によって血糖値のコントロールがしやすくなる効果も期待できます。生理前の不調で動くのがつらい場合は、軽いストレッチや深呼吸をするだけでもリフレッシュになります。
  • 規則正しい食事時間: 毎日同じ時間に食事をすることで、体のリズムが整い、血糖値の急激な変動を防ぐことにつながります。食事と食事の間隔が空きすぎると、空腹感が強くなりすぎたり、次の食事で血糖値が急上昇しやすくなったりします。難しい場合は、健康的な間食(ナッツ、フルーツ、ヨーグルトなど)を少量取り入れるのも良いでしょう。

リラックス方法

生理前の精神的な不安定さやストレスは、食欲増加の一因となります。自分に合ったリラックス方法を見つけ、積極的に取り入れることが大切です。

  • 入浴: 温かいお風呂にゆっくり浸かることは、体の緊張を和らげ、リラックス効果を高めます。アロマオイル(ラベンダー、カモミールなど)を使うのもおすすめです。
  • アロマテラピー: リラックス効果のある香り(ラベンダー、ベルガモット、ゼラニウムなど)を嗅ぐことで、心の緊張を和らげることができます。アロマディフューザーを使ったり、アロマバスを楽しんだりするのも良いでしょう。
  • 軽いストレッチや深呼吸: 呼吸を整えたり、体をゆっくりと伸ばしたりすることは、心身のリラックスにつながります。
  • 趣味や好きなこと: 自分が楽しめることに時間を使うことも、ストレス解消になります。音楽を聴く、読書をする、映画を観る、絵を描く、編み物をするなど、何でも構いません。
  • マインドフルネスや瞑想: 今この瞬間に意識を集中させる練習をすることで、ネガティブな感情にとらわれにくくなり、衝動的な行動を抑える助けになります。

生理前にイライラしたり落ち込んだりした時は、一人で抱え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらったり、気分転換をしたりすることも大切です。

生理前の過食がひどいと感じたら

生理前の食欲増加は多くの女性が経験するものですが、その程度がひどく、日常生活に支障が出ている、自分でコントロールできないと感じる場合は、専門家に相談することも考えてみましょう。
我慢しすぎたり、一人で抱え込んだりする必要はありません。

受診を検討すべきケース

以下のような場合は、一度専門医に相談してみることをおすすめします。

  • 過食の頻度や量が異常に多く、自分で止められない: 食事を終えたばかりなのにすぐに強い空腹感を感じ、大量に食べ続けてしまう、といった状態が続く場合。
  • 過食によって体重が著しく増加している: 毎月生理前に体重が増え、それがなかなか戻らず、健康や体型に影響が出ている場合。
  • 過食に伴って強い自己嫌悪や罪悪感を感じる: 食べた後に激しい後悔の念に苛まれ、精神的に落ち込んでしまう場合。
  • 過食以外のPMS症状(イライラ、気分の落ち込み、だるさなど)も重い: 食欲だけでなく、他の生理前の不調も日常生活に大きな影響を与えている場合。
  • 仕事や学業、人間関係に支障が出ている: 生理前の不調や過食によって、普段通りの生活を送ることが難しくなっている場合。
  • 自分で対策を講じても改善が見られない: 食事や生活習慣を見直したり、リラックス方法を試したりしても、食欲や不調が改善しない場合。

これらの症状が当てはまる場合は、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)、あるいは摂食障害などの可能性も考慮し、適切な診断や治療を受けることが大切です。

専門家への相談

生理前の過食や不調について相談できる専門家はいくつかいます。

  • 婦人科: 生理前の不調は女性ホルモンの変動が大きく関わっているため、まずは婦人科に相談するのが一般的です。医師に症状を詳しく伝え、PMSやPMDDの診断や治療法について相談できます。低用量ピルや漢方薬、精神安定剤などが処方されることもあります。
  • 心療内科・精神科: 過食の背景に強いストレス、不安、うつ症状など、精神的な問題が大きく関わっている場合は、心療内科や精神科への相談も有効です。カウンセリングや薬物療法によって、心の状態を安定させ、食欲のコントロールをサポートしてもらえます。
  • 栄養士・管理栄養士: 食事内容や栄養バランスの偏りが食欲の変動につながっていることもあります。専門的な知識を持つ栄養士に相談することで、生理前の時期におすすめの具体的な食事メニューや、栄養バランスの改善方法についてアドバイスを受けることができます。
  • 専門の相談窓口: 女性の健康に関する相談窓口や、摂食障害に関する相談窓口など、専門の機関に相談することも可能です。

一人で悩まず、専門家の力を借りることで、つらい症状が和らぎ、生理前の期間をより快適に過ごせるようになる可能性があります。勇気を出して相談してみましょう。

まとめ:生理前の食欲と上手に付き合うために

生理前に「食べても食べてもお腹が空く」という現象は、多くの女性が経験する自然な体の変化の一部です。
これは主にホルモンバランスの変化、特にプロゲステロンの増加やそれに伴う血糖値やセロトニンの変動、そして精神的な要因が複合的に影響して起こります。
生理の数日前から症状が顕著になることが多いですが、個人差があり、排卵後比較的早い時期から感じる人もいます。

つらい食欲と上手に付き合うためには、過度に我慢せず、体の声に耳を傾けつつ、工夫を凝らすことが大切です。
具体的には、血糖値を安定させる低GI食品や、セロトニン合成に関わるビタミンB6、その他の必要な栄養素を意識的に摂取すること。
一方で、血糖値を急激に上げたり、体を冷やしたりする食品は控えることが推奨されます。
食事内容の見直しと合わせて、十分な睡眠、適度な運動、リラックスできる時間を設けるなど、生活習慣全体を整えることも食欲コントロールに有効です。

もし生理前の過食がひどく、自分でコントロールできない、日常生活に支障が出ていると感じる場合は、一人で抱え込まず、婦人科や心療内科などの専門家への相談を検討しましょう。
適切なサポートを受けることで、症状が和らぎ、生理前の期間をより楽に過ごせるようになります。

生理前の食欲は、体がいつもと違う状態にあるサインでもあります。
ご自身の体の変化を理解し、優しく向き合いながら、この時期を少しでも心穏やかに過ごせるように工夫を重ねていきましょう。

監修者情報

(本記事は、一般的な情報提供を目的としており、特定の医療従事者による監修を示すものではありません。個別の症状については、必ず医療機関にご相談ください。)

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