アフターピル(緊急避妊薬)を服用したことで、「将来、妊娠しにくくなるのでは?」「不妊症になってしまうのではないか?」と不安に感じている方は少なくありません。
インターネット上の情報や友人からの話を聞いて、より心配になってしまうこともあるかもしれません。
しかし、医学的な観点から見ると、アフターピルを服用したことが原因で将来不妊になるということは、基本的にありません。
この不安は、アフターピルがどのように体に作用するのか、その仕組みを正しく理解することで解消できます。
この記事では、アフターピルと不妊の関係について、医学的な根拠に基づいて詳しく解説します。
服用による体への影響や、よくある疑問にもお答えしますので、望まない妊娠への不安やアフターピルに関する疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
そして、正しい知識を得た上で、必要であれば専門家への相談を検討しましょう。
繰り返しになりますが、アフターピル(緊急避妊薬)を一度、あるいは複数回服用したとしても、将来不妊症になる可能性はほとんどありません。
これは医学的な根拠に基づいた確かな情報です。
アフターピルが体にもたらす影響は一時的なものであり、妊娠するために必要な生殖機能(卵巣の働きや子宮の状態など)に永続的なダメージを与えることはないと考えられています。
この結論に至る理由として、アフターピルの主な作用が「排卵の抑制」にあること、そしてその効果が限られた期間しか持続しないことが挙げられます。
次のセクションで、アフターピルの作用機序について詳しく見ていきましょう。
なぜ不妊に繋がらない?アフターピルの作用機序
アフターピルが不妊に繋がらない最大の理由は、その作用機序が主に排卵を抑制することにあるためです。
アフターピルの主成分は、主に黄体ホルモン(レボノルゲストレルなど)またはその関連成分(ウリプリスタル酢酸エステルなど)です。
これらの成分は、女性の体内で妊娠に関わるホルモンバランスに一時的に作用します。
具体的には、アフターピルに含まれるホルモン成分が脳下垂体に働きかけ、排卵を促す黄体形成ホルモン(LH)の急激な増加(LHサージ)を抑制します。
LHサージが抑制されると、卵巣からの排卵が起こりにくくなります。
もし排卵がまだ起こっていなかった場合、排卵を遅らせたり、阻止したりすることで、精子と卵子が出会うことを防ぎます。
また、アフターピルは子宮内膜にも一時的に影響を与え、受精卵が着床しにくくする可能性も指摘されていましたが、近年の研究では、排卵抑制が主な作用であり、子宮内膜への影響による着床阻害作用は限定的であると考えられています。
すでに着床が完了してしまっている妊娠に対しては、アフターピルは効果がありません。
重要なのは、これらのホルモン作用があくまで一時的なものであるという点です。
アフターピルの成分は、服用後比較的短い期間で体内で代謝・分解され、体外に排出されます。
体内のホルモンバランスは、薬の成分がなくなるにつれて徐々に元の状態に戻っていきます。
卵巣機能そのもの(卵子を作る能力やホルモンを分泌する能力)や、子宮や卵管といった妊娠に必要な臓器の構造や機能に、アフターピルが長期的な悪影響を与えるという医学的な報告はありません。
そのため、服用後に生理周期が回復すれば、将来的に自然妊娠する能力が損なわれる心配はないのです。
アフターピルの効果は一時的
アフターピルが将来の不妊に繋がらないもう一つの重要な理由は、その効果が極めて一時的であるという点です。
アフターピルは、望まない妊娠の可能性が生じた「緊急時」に、その特定の性行為による妊娠を回避するために用いられる薬です。
その作用は、服用後の数日間に限定されます。
服用されたアフターピルの有効成分は、体内に取り込まれた後、血液中を循環し、標的となる臓器(主に脳下垂体や卵巣)に作用します。
しかし、これらの成分は体内で速やかに代謝され、多くの場合、服用後24時間から48時間程度で血中濃度が大幅に低下します。
その後、体外に排出されていきます。
薬の成分が体内からなくなれば、ホルモンバランスに対する一時的な影響も消失します。
卵巣は再び通常の機能を回復し、次の生理周期では通常通り排卵が起こる準備が始まります。
子宮内膜も、次回の生理に向けて適切に変化していきます。
このように、アフターピルの作用は、妊娠に至る可能性がある特定のタイミングに対してのみ働くように設計されており、女性の生殖システム全体に長期的な変化をもたらすものではありません。
例えるなら、一時的に交通規制をかけて特定の車の通行を妨げるようなもので、道路そのものを破壊したり、将来的に交通の流れを恒久的に変えてしまったりするようなものではありません。
したがって、アフターピルを服用したことによって、卵巣が機能しなくなったり、子宮に妊娠できないような異常が生じたりする心配はないのです。
服用後の数週間で体が生理周期を取り戻せば、将来の妊娠能力は維持されます。
アフターピルの「飲みすぎ」や「複数回服用」と不妊の関係
「一度の服用では不妊にならないのは分かったけれど、短期間に何度も服用したり、過去に複数回服用したことがある場合はどうなの?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言うと、繰り返し服用しても、それ自体が直接的に将来の不妊症を引き起こすという医学的な根拠はありません。
しかし、だからといってアフターピルを頻繁に使用することは推奨されません。
不妊とは別のリスクやデメリットがあるためです。
短期間での複数回服用は推奨されない理由(不妊以外)
アフターピルを短期間に複数回、あるいは繰り返し服用することが推奨されないのは、不妊以外の様々な理由があるからです。
最も大きな理由の一つは、ホルモンバランスの大きな乱れです。
アフターピルは高用量のホルモン剤を一時的に体内に取り込むことで排卵を抑制します。
これを短期間に繰り返すと、体の自然なホルモンサイクルが何度も強制的にリセットされたり、かく乱されたりします。
これにより、不正出血が頻繁に起こったり、生理周期が不規則になったり、次の生理がいつ来るか予測できなくなるといった影響が出やすくなります。
生理周期の乱れは、排卵日の特定を困難にし、かえって妊娠や避妊の管理を複雑にしてしまう可能性があります。
また、アフターピルは副作用として吐き気、頭痛、倦怠感、乳房の張りなどを伴うことがあります。
繰り返し服用することで、これらの副作用が頻繁に現れたり、程度が強く感じられたりする可能性があります。
心身への負担が大きくなることが懸念されます。
さらに、アフターピルはあくまで「緊急避妊薬」であり、避妊率は100%ではありません。
特に服用が遅れると避妊率は低下します。
アフターピルに頼りすぎることは、避妊に失敗するリスクを増やすことにつながります。
繰り返し服用しているにも関わらず妊娠に至ってしまうという事態も起こりえます。
経済的な負担も無視できません。
アフターピルは医療用医薬品であり、基本的に保険適用外のため、一度の処方で数千円から二万円程度の費用がかかります。
頻繁に服用すれば、その分の経済的負担が大きくなります。
これらの理由から、アフターピルはあくまで緊急時の選択肢であり、日常的、あるいは計画的な避妊方法としては不適切です。
望まない妊娠を確実に防ぐためには、低用量ピルやIUS(子宮内避妊システム)、コンドームといった計画的な避妊方法を継続的に行うことが非常に重要です。
連続服用による将来の妊娠への影響は?
短期間に複数回アフターピルを服用した場合でも、それが直接的に将来の妊娠能力を損なう、つまり不妊に繋がるという医学的な根拠は、繰り返しになりますがありません。
アフターピルの主成分であるホルモン剤は、体内で代謝・分解され、体外に排出されることで作用を終えます。
体内に蓄積されて長期的な悪影響を及ぼすようには作られていません。
排卵を抑制する作用も、卵巣がホルモン指令を受け取る一時的な状態を変化させるものであり、卵巣そのものに不可逆的なダメージを与えるものではありません。
卵巣にある卵子の数(卵巣予備能)が減ったり、卵子の質が低下したりすることもありません。
ただし、度重なるアフターピルの服用によって生理周期が乱れると、「本当に排卵が起こるのか」「きちんと妊娠できる体に戻るのだろうか」といった精神的な不安が増す可能性があります。
ストレスや不安は、間接的に生理周期に影響を与えることもあります。
この心理的な側面が、あたかも不妊になったかのような感覚につながる可能性は否定できません。
しかし、これは薬の作用による体の変化ではなく、心の状態によるものです。
体が元気で健康な状態であれば、アフターピルの影響は一時的なものであり、次の生理周期やその後の周期で通常通り排卵が起こるようになります。
もし、アフターピルの服用をやめた後も生理不順が続く場合は、アフターピルの影響ではなく、他の原因(ストレス、体重の変化、多嚢胞性卵巣症候群などの疾患)が考えられますので、婦人科を受診して相談することが大切です。
したがって、過去に複数回アフターピルを服用した経験があったとしても、過度に不妊の心配をする必要はありません。
それよりも、今後の避妊についてどのように考えていくか、計画的な避妊方法への移行を専門家と相談することの方が、望まない妊娠を防ぎ、安心して過ごすためにずっと重要です。
アフターピル服用で気になること(不妊以外の関連疑問)
アフターピルを服用するにあたって、不妊以外にも様々な疑問や不安があることでしょう。
ここでは、よくある疑問について解説します。
副作用について(いつから、いつまで、ない人もいる?)
アフターピルの服用後、様々な副作用が現れる可能性があります。
これは、体内に高用量のホルモン剤が一時的に入ることによる体の反応です。
主な副作用として以下が挙げられます。
- 吐き気・嘔吐: 最もよく知られている副作用です。
服用後数時間以内に現れることが多く、通常は数時間から一日程度で治まります。
吐き気止めを事前に服用したり、アフターピルと同時に処方してもらったりすることで軽減できる場合があります。
服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、薬の成分が十分に吸収されていない可能性があるため、医師に相談して再服用が必要か確認してください。 - 頭痛: 服用後、頭痛を感じることがあります。
通常は軽度で、市販の鎮痛剤で対処できる場合が多いです。 - 倦怠感: だるさや疲労感を感じることがあります。
- 乳房の張り: ホルモンの影響で胸が張ったような感覚になることがあります。
- 下腹部痛: 生理痛のような下腹部の痛みを感じることがあります。
- 不正出血: 服用後数日以内に、少量から生理のような量の出血が見られることがあります。
これはホルモンバランスの変動によるもので、通常は心配ありません。
しかし、出血が続く場合や量が多い場合は、他の原因も考えられるため医師に相談しましょう。
これらの副作用は、服用後数時間から数日以内に現れることが一般的です。
症状のピークは服用後24時間以内であることが多く、通常は数時間から数日程度で自然に改善していきます。
ほとんどの場合、重篤なものではなく、日常生活に大きな支障をきたすほどではありません。
ただし、副作用の出方には個人差が非常に大きいです。
全く副作用を感じない方もいれば、強く感じる方もいます。
体質やその時の体調によっても異なり、過去に服用経験があっても、今回も同じ副作用が出る、あるいは出ないとは限りません。
稀に、血栓症などの重篤な副作用の可能性が指摘されることがありますが、アフターピルの服用と明確な因果関係が確立されているわけではなく、非常に稀なケースです。
ただし、血栓症のリスクが高い方(喫煙者、肥満、過去に血栓症になったことがある、特定の疾患がある方など)は、アフターピル服用前に医師に必ず相談してください。
副作用が心配な場合や、強く出ている場合は、自己判断せず、必ず処方を受けた医師や薬剤師に相談しましょう。
適切なアドバイスや対処法(例: 吐き気止め)を提案してもらえる可能性があります。
生理が遅れるのはなぜ?
アフターピルを服用すると、次の生理が予定日から数日程度遅れることがよくあります。
これは、アフターピルの主成分であるホルモン剤が、女性の自然なホルモンサイクルに一時的に介入し、排卵のタイミングや子宮内膜の状態に影響を与えるためです。
具体的には、アフターピルが排卵を抑制したり遅らせたりすることで、その後のホルモン分泌のパターンが変わり、通常であれば生理を引き起こすホルモンの低下が起こるタイミングがずれます。
これにより、生理が予定よりも後に来るという現象が起こります。
服用時期によって、生理への影響の出方が異なることもあります。
- 生理開始直後や卵胞期早期(排卵前早期)に服用した場合: アフターピルが排卵を抑制し、その後のホルモン分泌が変わることで、生理周期全体がリセットされるような形になり、次の生理は通常よりも遅れる可能性が高いです。
- 排卵直前や排卵期に服用した場合: すでにLHサージが起こりかけていたり、排卵が間近に迫っていたりする場合、アフターピルが排卵を完全に阻止できないこともあります。
この場合でもホルモンバランスは一時的に変動するため、予定通りの生理が来ることもありますが、数日遅れたり、逆に数日早く来たりすることもあります。 - 黄体期(排卵後)に服用した場合: すでに排卵が終わっているため、アフターピルは排卵抑制作用を発揮しません。
この時期に服用しても、すでに受精卵が移動中であったり、着床が始まっていたりする場合は妊娠を阻止できません。
ホルモン剤の影響で、予定通りに生理が来たり、少し早く不正出血のような形で出血が見られた後に生理が来たりと、パターンは様々です。
一般的に、アフターピル服用後の次の生理は、通常予定されている日から数日〜1週間程度遅れてくることが多いとされています。
しかし、1週間以上遅れることも珍しくなく、2週間以上遅れる場合は、アフターピルの効果が不十分であった、あるいは服用時期が適切でなかったなどの理由で妊娠が成立してしまった可能性も考慮に入れる必要があります。
アフターピル服用後に生理が来ない場合は、まず妊娠検査薬で確認することが推奨されます。
妊娠検査薬は性行為から3週間以降、または次の生理予定日から1週間遅れても生理が来ない場合に正確な結果が得られやすいとされています。
妊娠検査薬で陰性であっても生理が来ない場合や、不安な場合は、必ず婦人科を受診して医師に相談してください。
医師による診察や検査で、生理が遅れている原因(妊娠、ストレス、他の疾患など)を特定することができます。
生理が来ないこと自体が、将来の不妊に繋がるわけではありません。
多くの場合、一時的なホルモン変動によるものであり、時間の経過とともに周期は回復します。
しかし、生理周期の乱れは、体の状態を知る重要なサインでもありますので、不安な場合は専門家に相談することが最も安心です。
アフターピルの避妊率は?
アフターピルは「緊急避妊薬」であり、100%の避妊効果があるわけではありません。
その避妊率は、服用した薬剤の種類や、性行為からアフターピルを服用するまでの時間によって大きく変動します。
日本で主に用いられているアフターピルの種類と、一般的な避妊率の目安は以下の通りです。
薬剤の種類 | 主成分 | 服用期限 | 避妊率(性行為後24時間以内の服用) | 避妊率(性行為後72時間以内の服用) | 避妊率(性行為後120時間以内の服用) | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
ノルレボ錠/レボノルゲストレル錠(LNG法) | レボノルゲストレル | 性行為後72時間(3日)以内 | 約95% | 約85% | – | 世界的に最も普及している方法。早期の服用ほど効果が高い。性行為後72時間を過ぎると避妊効果は期待できないとされるが、最新の研究では120時間以内でも効果がある可能性も示唆されている。 |
エラワン錠 | ウリプリスタル酢酸エステル | 性行為後120時間(5日)以内 | 約98%(72時間以内) | 約98%(72時間以内) | 約85%(120時間以内) | LNG法よりも遅いタイミングでも比較的高い避妊効果が期待できる。日本国内ではまだ一般的ではない場合もある。 |
ヤッペ法 | 中用量ピル | 性行為後72時間(3日)以内に1回目、12時間後に2回目 | 約75% | 約58% | – | 昔から行われている方法。副作用(特に吐き気)が出やすい。現在の主流はLNG法やエラワン錠。 |
上記の避妊率はあくまで目安であり、個人の体質や生理周期、性行為のタイミングなどによって変動します。
この表からもわかるように、アフターピルは、性行為からできるだけ早く服用することが最も重要です。
時間が経過するにつれて避妊率は低下してしまいます。
特に排卵日近くでの性行為の場合、アフターピルが排卵を完全に阻止できない可能性があり、避妊に失敗するリスクが高まります。
また、アフターピルは、服用した性行為による妊娠の可能性を低くする薬であり、それ以降の性行為に対する避妊効果はありません。
服用後、すぐに避妊対策をしないと、再び妊娠する可能性があります。
アフターピルを服用したにも関わらず妊娠に至ってしまったというケースも実際に存在します。
これは、薬が効かなかった場合や、すでに排卵・受精・着床がかなり進んでいた場合などが考えられます。
したがって、アフターピルはあくまで「緊急時」の最終手段として捉え、安易に頼るべきではありません。
望まない妊娠を避けるためには、コンドームや低用量ピルといった、より確実性の高い計画的な避妊方法を普段から行うことが最も重要です。
避妊について不安がある場合は、必ず医療機関で相談し、自分に合った避妊方法を見つけるようにしましょう。
アフターピルの種類と選び方
日本国内で処方されるアフターピルは、主に以下の3種類(または方法)があります。
- 1. レボノルゲストレル法(ノルレボ錠、レボノルゲストレル錠など):
- 有効成分: レボノルゲストレル(合成黄体ホルモン)
- 服用方法: 性行為後72時間(3日)以内に1錠服用。
- 特徴: 現在、日本や世界で最も一般的に使用されている方法です。
ヤッペ法に比べて副作用が少なく、避妊率も高いとされています。
医療ガイドラインでも推奨される第一選択肢となっています。
ジェネリック医薬品も承認されており、先発薬のノルレボ錠よりも安価に入手できる場合があります。
- 2. ウリプリスタル酢酸エステル法(エラワン錠):
- 有効成分: ウリプリスタル酢酸エステル
- 服用方法: 性行為後120時間(5日)以内に1錠服用。
- 特徴: LNG法よりも服用できる時間帯が長く、性行為から時間が経ってしまっても比較的高い避妊効果が期待できるとされています。
作用機序はLNG法とは少し異なりますが、主に排卵抑制に働きます。
日本国内ではまだ取り扱っている医療機関が少ない場合があります。
- 3. ヤッペ法(中用量ピル):
- 有効成分: エチニルエストラジオールとレボノルゲストレル(中用量ピルに含まれる成分)
- 服用方法: 性行為後72時間(3日)以内に中用量ピルを2錠服用し、その12時間後にさらに2錠服用(計4錠)。
- 特徴: 昔から行われている方法ですが、LNG法やエラワン錠に比べて避妊率がやや低く、吐き気や嘔吐などの副作用が出やすいというデメリットがあります。
現在では、これらの新しい薬剤が手に入らない場合に検討されることが多いです。
どの薬剤を選ぶべきかは、性行為からの経過時間、費用、副作用への懸念、既往症や服用中の薬などを考慮して、医師と相談して決定するのが最も適切です。
特に、性行為から72時間を過ぎてしまった場合は、エラワン錠が選択肢となりますが、医師の判断が必要不可欠です。
アフターピルはどこで手に入る?
アフターピルは、ドラッグストアや薬局で誰でも自由に購入できる市販薬ではありません。
医師の診察を受け、処方箋をもらう必要がある医療用医薬品です。
主に以下の場所で手に入れることができます。
- 1. 産婦人科・婦人科:
- 女性の性と生殖に関する専門医がいるため、最も安心して相談できる場所です。
体調や状況に合わせて適切な薬剤を処方してもらえるだけでなく、今後の避妊方法や性感染症についても相談できます。 - 診療時間内に受診する必要があります。
- 女性の性と生殖に関する専門医がいるため、最も安心して相談できる場所です。
- 2. 一部の一般クリニック:
- 婦人科を標榜していなくても、アフターピルの処方を行っているクリニックもあります。
事前に電話などで確認すると良いでしょう。
- 婦人科を標榜していなくても、アフターピルの処方を行っているクリニックもあります。
- 3. オンライン診療:
- 近年、オンラインで医師の診察を受け、アフターピルを処方してもらう方法も普及しています。
予約から診察、薬の配送までを自宅などで完結できるため、クリニックに行く時間がない方や、対面での受診に抵抗がある方にとって便利な選択肢です。
- 近年、オンラインで医師の診察を受け、アフターピルを処方してもらう方法も普及しています。
個人輸入や海外サイトでの購入は絶対に避けてください。
偽造薬である可能性や、品質が保証されない薬によって健康被害を受けるリスクが非常に高いです。
また、万が一健康被害が生じても、国の救済制度の対象外となります。
必ず日本の医療機関を通じて、医師の処方を受けるようにしましょう。
オンライン診療でアフターピルを処方してもらう流れ
オンライン診療を利用してアフターピルを処方してもらう流れは、クリニックによって多少異なりますが、一般的なステップは以下のようになります。
ステップ1:クリニックの選択と予約
- アフターピルのオンライン診療に対応しているクリニックを探します。
インターネット検索などで情報収集し、料金、診療時間、配送スピード、プライバシーへの配慮などを比較検討します。 - クリニックのウェブサイトなどから、オンライン診療の予約を行います。
日時を選択し、氏名や連絡先などを登録します。
夜間や土日祝日に対応しているクリニックもあります。
ステップ2:問診票の入力
- 予約後、多くの場合、オンラインで事前に問診票への入力が求められます。
現在の状況(性行為からの時間、最終生理日、既往症、服用中の薬、アレルギーなど)や、希望する薬剤などについて回答します。
正直かつ正確に入力することが、安全な処方のために非常に重要です。
ステップ3:医師によるオンライン診察
- 予約した時間に、医師とのオンライン診察(ビデオ通話や電話)が行われます。
問診票の内容に基づき、医師が現在の状況を確認し、アフターピルの適応があるか、どの薬剤が適切かなどを判断します。 - 疑問や不安な点があれば、この際に医師に相談しましょう。
副作用や服用方法についても説明を受けることができます。 - 診察時間は短い場合が多いですが、状況に応じて医師が必要な情報を確認します。
ステップ4:決済
- 診察後、処方が決定したら薬代と送料などの費用を支払います。
支払い方法はクレジットカードが一般的ですが、クリニックによっては他の方法(後払いなど)に対応している場合もあります。
ステップ5:薬の配送と受け取り
- 決済が完了したら、クリニックから指定した場所(自宅など)へ薬が配送されます。
多くの場合、プライバシーに配慮し、品名には薬の名前ではなく「サプリメント」や「雑貨」などと記載されることが多いです。 - 配送は通常、当日発送や翌日発送など迅速に行われますが、クリニックや地域によってかかる時間は異なります。
緊急性が高いため、可能な限り早く届けてくれるクリニックを選ぶことが重要です。 - 自宅以外に、ヤマト運輸などの営業所留めに対応しているクリニックもあります。
オンライン診療は、場所を選ばずにアクセスでき、人目を気にせず受診できるという大きなメリットがあります。
しかし、直接体に触れて診察を受けるわけではないため、問診票への正確な入力と医師への正直な申告が非常に重要です。
また、緊急性の高い場合は、対面診療の方が迅速な対応が可能な場合もありますので、状況に応じて判断しましょう。
まとめと専門家への相談
この記事では、「アフターピルは不妊に繋がるのか」という多くの人が抱える不安について、医学的な観点から解説しました。
繰り返しになりますが、アフターピル(緊急避妊薬)を服用しても、将来不妊症になる可能性はほとんどありません。
アフターピルの主な作用は排卵の一時的な抑制であり、その効果は服用後数日で消失します。
卵巣機能や子宮の状態に永続的な悪影響を及ぼすことはないと考えられています。
しかし、アフターピルはあくまで緊急避妊のための薬であり、頻繁な服用は推奨されません。
短期間での複数回服用は、ホルモンバランスの乱れ、不正出血、生理不順、副作用の増加といった不妊以外のデメリットを招く可能性があります。
これらの影響も、服用をやめれば多くの場合は回復しますが、体のリズムを大きく崩すことは避けるべきです。
アフターピルは避妊率が100%ではなく、服用タイミングが遅れるほど効果は低下します。
望まない妊娠を最も確実に防ぐ方法は、低用量ピルやIUSなど、日常的に継続できる計画的な避妊方法を正しく行うことです。
もし、アフターピルについて不安なことや疑問がある場合、あるいは今後の避妊について相談したい場合は、迷わず専門家(医師、薬剤師)に相談することが非常に重要です。
- 産婦人科・婦人科: 最も専門的な相談ができます。
体の状態を診てもらい、最適なアドバイスを受けることができます。 - オンライン診療: 忙しい方や受診に抵抗がある方にとって便利な選択肢です。
プライバシーに配慮した形で相談・処方を受けることができます。 - 薬剤師: アフターピル服用後の副作用や飲み合わせなどについて、薬の専門家としてアドバイスを受けることができます。
アフターピルに関する正しい知識を持ち、適切に使用することは、望まない妊娠を防ぎ、女性自身の心と体を守るために不可欠です。
不安や疑問を一人で抱え込まず、信頼できる専門家のサポートを得ながら、自身の性と健康について向き合っていきましょう。
免責事項:
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。
個別の健康状態や症状については、必ず医療機関を受診し、医師の判断を仰いでください。
アフターピルの服用に関しても、必ず医師の処方を受け、医師や薬剤師の指示に従ってください。