横になると鼻が詰まって息苦しい、なかなか寝付けない、睡眠中に目が覚めてしまう…。
夜になると特にひどくなる鼻詰まりは、つらいものです。
日中はそれほど気にならないのに、なぜか横になった途端に鼻が詰まってしまうのでしょうか。
この記事では、横になると鼻が詰まる原因を詳しく解説し、今すぐできる即効性のある対処法、そして快適な睡眠を取り戻すための寝る前の対策や根本的な治し方までをご紹介します。
つらい鼻詰まりから解放され、質の良い睡眠を手に入れるためのヒントを見つけてください。
横になると鼻が詰まる原因とは?
日中は比較的快適に過ごせていても、夜になって布団に入り、横になった途端に鼻が詰まる経験はありませんか?
この現象には、いくつかの生理的なメカニズムや、隠れた病気が関係している可能性があります。
原因を知ることで、適切な対処法や治療法を見つける第一歩となります。
寝ると副交感神経が優位になり鼻粘膜が充血する
私たちの体には自律神経という神経があり、活動している日中は主に交感神経が、リラックスして休んでいる夜間は主に副交感神経が優位になります。
この副交感神経が優位になることで、体は休息モードに入ります。
血管は拡張し、血圧は下がり、心拍数も穏やかになります。
この時、鼻の粘膜にある血管も拡張します。
鼻の粘膜は非常にデリケートで、血管が拡張するとその厚みが増し、空気の通り道である鼻腔が狭まります。
これが、特に夜間やリラックスしている時に鼻詰まりを感じやすくなる主な生理的な理由の一つです。
また、アレルギー反応が夜間に強まることもあります。
日中に吸い込んだ花粉やハウスダストなどのアレルゲンに対する体の反応が、リラックスして副交感神経が優位になる夜に現れやすくなる場合があるのです。
これにより、鼻粘膜の炎症や充血が悪化し、鼻詰まりがひどくなることがあります。
横になった姿勢による血流の変化
人間が立っている時や座っている時は、重力によって体の水分や血液は主に下半身に集まります。
しかし、横になると体の上下の区別がなくなり、水分や血液は全身に均等に分散されるようになります。
特に、頭部や顔周りの血流が増加しやすくなります。
鼻の粘膜には毛細血管が非常に豊富に張り巡らされています。
横になることで頭部に血液が集まりやすくなると、鼻粘膜の血管も拡張・充血しやすくなります。
これは、鼻の内部にある海綿体と呼ばれる組織がスポンジのように血液を溜め込み、膨張するためです。
この膨張によって鼻腔が狭まり、空気の流れが悪くなることで鼻詰まりを感じるのです。
どちらかの鼻腔が詰まりやすいと感じる場合、それは鼻中隔湾曲症など、元々鼻の内部構造に左右差があることが原因かもしれません。
横になった時の重力の影響が、構造的な問題をより顕著にする可能性があります。
例えば、右を下にして寝ると右側の鼻が詰まりやすい、といった具合です。
これは生理的な反応と構造的な問題が組み合わさって起こる現象と言えます。
呼吸器系の病気が隠れている可能性
一時的な鼻詰まりであれば生理的な反応やアレルギーなどが原因と考えられますが、毎晩のように横になると鼻が詰まる、あるいは日中も慢性的に鼻詰まりがある場合は、何らかの呼吸器系の病気が隠れている可能性があります。
主な病気の例:
- アレルギー性鼻炎(通年性または季節性):ハウスダスト、ダニ、カビ、ペットのフケ、花粉などに対するアレルギー反応によって、鼻粘膜が慢性的に炎症を起こし、腫れて鼻詰まり、鼻水、くしゃみなどの症状が出ます。
夜間に悪化しやすいのは、寝具に含まれるアレルゲン(ダニなど)との接触が増えることや、前述の副交感神経の影響も関係します。 - 血管運動性鼻炎:アレルギーが原因ではないにも関わらず、温度や湿度の変化、ストレス、タバコの煙、アルコールなどの非特異的な刺激によって鼻粘膜の血管が拡張・充血し、鼻詰まりや水様性鼻水が起こる病気です。
自律神経のバランスの乱れが関係していると考えられており、特にリラックス時に症状が出やすいことがあります。 - 慢性副鼻腔炎(蓄膿症):副鼻腔(鼻の周囲にある骨の中の空洞)の粘膜が炎症を起こし、膿が溜まる病気です。
鼻詰まり、黄色っぽい鼻水、頬や額の痛み、頭痛、嗅覚障害などが症状として現れます。
炎症が慢性化すると鼻の通りが悪くなり、特に横になると鼻水が喉に流れ込んだり、鼻詰まりが悪化したりすることがあります。 - 鼻中隔湾曲症:鼻の真ん中にある軟骨と骨でできた仕切り(鼻中隔)が左右どちらかに大きく曲がっている状態です。
多くの人に多少の曲がりはありますが、著しく曲がっていると鼻腔の片側または両側が狭くなり、慢性的な鼻詰まりの原因となります。
特に狭い方の鼻腔が、横になった時の血流増加の影響でより詰まりやすくなることがあります。 - 鼻茸(鼻ポリープ):鼻腔や副鼻腔の粘膜が炎症により腫れて、キノコ状の塊(ポリープ)ができる状態です。
アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎に合併することが多く、大きくなると鼻腔を塞いで強い鼻詰まりや嗅覚障害を引き起こします。
横になるとポリープが重力で移動したり、血流の変化で腫れが増したりして鼻詰まりが悪化することがあります。 - アデノイド肥大:特に小児において、鼻の奥にあるアデノイドというリンパ組織が肥大し、鼻呼吸を妨げる原因となります。
横になると気道が狭まりやすくなり、鼻詰まりやいびき、睡眠時無呼吸症候群の原因となることがあります。
これらの病気は、単なる一時的な症状ではなく、適切な診断と治療が必要な場合があります。
長期間症状が続く場合や、日中の活動にも影響が出るほどつらい場合は、専門医に相談することが重要です。
横になると鼻が詰まって寝れない・息苦しい時の即効性がある対処法
つらい鼻詰まりで寝付けない夜は、今すぐ少しでも楽になりたいと思いますよね。
ここでは、比較的即効性があり、自宅で手軽に試せる対処法をいくつかご紹介します。
ただし、これらの方法はあくまで一時的な緩和策であり、根本的な治療ではありません。
詰まっている鼻と反対側を上にして横向きに寝る
これは多くの人が経験的に知っている、比較的即効性のある対処法です。
もし右の鼻が詰まっているなら、左側を下にして横向きに寝ます。
逆に左の鼻が詰まっているなら、右側を下にして横向きに寝ます。
なぜこの方法で楽になるのでしょうか?
これは、横になったことによる重力の影響を利用するためです。
詰まっている側の鼻腔の血流が増加していると仮定すると、その側を上にすることで、重力によって血液や体液が下側(地面側)に流れやすくなり、詰まっている鼻腔の粘膜の充血が軽減されると考えられています。
完全に詰まりが解消されなくても、少しでも空気の通り道が確保されることで、息苦しさが軽減される可能性があります。
この姿勢をしばらく続けることで、詰まりが改善されることがあります。
ただし、長時間同じ姿勢でいると体が痛くなったり、寝返りを打つとまた詰まったりすることもあります。
蒸しタオルなどで鼻や顔周りを温める
温めることは、血行を促進する効果が期待できます。
蒸しタオルを軽く絞り、熱すぎない温度にして鼻の上や顔周りに当てると、鼻腔周囲の血行が良くなり、鼻の通りが改善されることがあります。
蒸気の加湿効果も鼻粘膜にとってはプラスに働くことがあります。
温めることで、鼻粘膜の腫れが一時的に引いたり、溜まっている鼻水が柔らかくなって流れやすくなったりすることが期待されます。
お湯を張った洗面器から上がる蒸気を吸い込むのも同様の効果が得られます。
ただし、やけどには十分に注意し、熱すぎる蒸気やタオルは避けましょう。
温湿布やホットアイマスクを鼻の付け根あたりに当てたり、温かいシャワーを浴びたりすることも、顔周りを温めて血行を促進するのに役立ちます。
就寝前に行うと、リラックス効果も得られて寝つきが良くなる可能性があります。
鼻詰まりに効くツボを押す
民間療法の一つとして、特定のツボを押すことで鼻詰まりが改善されると言われています。
効果には個人差がありますが、薬を使わずに試せる方法として知られています。
代表的なツボとしては、以下のものがあります。
- 迎香(げいこう):小鼻のすぐ横にあるくぼみ。
ここを人差し指の腹で優しく押したり、揉んだりします。
鼻詰まりに最もよく知られているツボです。 - 晴明(せいめい):目頭のやや内側にあるくぼみ。
軽く押したり、つまむように揉んだりします。
目の疲れにも効くとされています。 - 印堂(いんどう):眉間の真ん中にあるツボ。
ここを優しく押します。 - 合谷(ごうこく):手の甲側、親指と人差し指の骨が交わる部分にあるツボ。
強めに押すと全身の血行促進に繋がると言われています。
これらのツボを、気持ち良いと感じる強さで数十秒間、数回繰り返して押してみましょう。
強く押しすぎると痛みを感じることがあるため、注意が必要です。
ツボ押しだけで完全に鼻詰まりが解消されるとは限りませんが、リラックス効果も相まって、少しでも楽になる可能性があります。
市販の点鼻薬を使用する際の注意点
市販されている点鼻薬の中には、血管収縮剤が含まれており、鼻粘膜の血管を収縮させて急速に鼻の通りを良くする効果があるものがあります。
つらい鼻詰まりには即効性があり、非常に効果を感じやすいですが、使用には注意が必要です。
血管収縮剤入りの点鼻薬を使用する際の注意点:
- 使用回数・期間を守る:添付文書に記載されている使用回数や使用期間を必ず守ってください。
一般的に、1日数回、連続使用は数日間までとされています。 - 薬剤性鼻炎のリスク:血管収縮剤入りの点鼻薬を指示された量や期間を超えて使いすぎると、「薬剤性鼻炎」を引き起こす可能性があります。
これは、薬の効果が切れた後に鼻粘膜が反動でより強く充血し、さらに強い鼻詰まりが起こる状態です。
この鼻詰まりを解消するために再び点鼻薬を使う、という悪循環(リバウンド効果)に陥りやすくなります。
一度薬剤性鼻炎になってしまうと、治すのに時間がかかることがあります。 - 他の薬との併用:特定の病気で治療を受けている方や、他の薬を服用している方は、使用前に医師や薬剤師に相談してください。
- 眠気を催す成分に注意:抗ヒスタミン成分を含む点鼻薬は眠気を催すことがあります。
就寝前に使用する場合は問題ありませんが、日中に使用する場合は注意が必要です。
血管収縮剤以外の成分(ステロイドなど)を含む市販の点鼻薬もあります。
これらは効果が出るまでに時間がかかりますが、薬剤性鼻炎のリスクは低いとされています。
ご自身の症状や体質に合わせて、薬剤師に相談しながら適切な点鼻薬を選びましょう。
即効性を求めて血管収縮剤入りの点鼻薬に頼りすぎず、あくまで緊急時の対処として、最低限の使用にとどめることが重要です。
寝る前にできる鼻詰まり対策
寝る前に少し工夫をすることで、横になった時の鼻詰まりを軽減し、快適な睡眠をサポートすることができます。
毎日の習慣に取り入れやすい対策をご紹介します。
部屋の湿度・温度を適切に保つ
乾燥した空気は鼻粘膜を刺激し、炎症を悪化させたり、鼻水を乾燥させて固まらせたりして鼻詰まりを悪化させる原因となります。
特に冬場は暖房の使用により空気が乾燥しやすいため、注意が必要です。
就寝環境の湿度・温度の目安:
- 湿度:50%~60%程度が理想的とされています。
加湿器を使用したり、洗濯物を室内に干したりすることで湿度を保つことができます。
ただし、湿度が高すぎるとカビやダニが発生しやすくなるため、適切な湿度管理が必要です。 - 温度:一般的に20℃~22℃程度が快適な睡眠に適した温度と言われています。
低すぎても高すぎても体の負担となり、鼻粘膜の状態にも影響する可能性があります。
寝室の湿度と温度を適切に保つことで、鼻粘膜の乾燥を防ぎ、繊毛(ほこりなどを体外へ排出する働きを持つ粘膜表面の毛)の働きを助け、鼻詰まりの軽減に繋がります。
定期的な換気も、室内の空気を清潔に保ち、アレルゲンを減らすために重要です。
枕の高さを調整する
枕の高さを少し高くすることで、横になった時の頭部への血流集中を軽減し、鼻粘膜の充血を抑える効果が期待できます。
完全にフラットな状態よりも、頭が少し高い位置にある方が、重力によって血液や体液が下半身に戻りやすくなるためです。
ただし、枕が高すぎると首や肩に負担がかかり、かえって寝心地が悪くなったり、体の痛みが生じたりする可能性があります。
普段使っている枕の下にタオルを重ねたり、少し厚めの枕に変えてみたりするなど、ご自身にとって首や体に負担がかからない範囲で試してみるのが良いでしょう。
快適な姿勢を保てる高さを見つけることが重要です。
抱き枕を使って横向き寝をサポートするのも効果的です。
就寝前に体を温める(入浴など)
就寝前にゆっくりと湯船に浸かるなどして体を温めると、全身の血行が促進されます。
血行が良くなることで、鼻粘膜の血管も拡張しますが、同時に全身の緊張がほぐれてリラックス効果も得られます。
また、お風呂の蒸気も鼻粘膜を潤すのに役立ちます。
シャワーだけでなく、38℃~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくりと浸かるのがおすすめです。
体の芯から温まることで、副交感神経が優位になりやすく、リラックスして眠りに入りやすくなります。
入浴によって一時的に鼻の通りが良くなることもあります。
ただし、熱すぎるお湯はかえって体を興奮させてしまうことがあるため避けましょう。
また、入浴後すぐに布団に入ると体温が下がる過程で寝つきが悪くなることがあるため、入浴から就寝までにある程度の時間(1時間~2時間程度)を空けるのが良いとされています。
体を温める方法としては、軽いストレッチやウォーキングなどの適度な運動も効果的です。
ただし、寝る直前の激しい運動は体を興奮させてしまうため、就寝の数時間前に終えるようにしましょう。
温かい飲み物(カフェインを含まないもの)を飲むのも良い方法です。
これらの対策を寝る前の習慣として取り入れることで、横になった時の鼻詰まりを軽減し、スムーズに入眠できるようになることが期待されます。
横になると鼻が詰まる状態の根本的な治し方・治療法
一時的な対処法や寝る前の対策で症状が軽減されても、横になると鼻が詰まる状態が慢性的に続く場合は、その原因となっている問題を根本的に解決する必要があります。
そのためには、生活習慣の見直しや、必要に応じて医療機関での専門的な治療が必要です。
生活習慣の見直し
体の状態は、日々の生活習慣と密接に関わっています。
鼻詰まりの改善には、以下のような生活習慣の見直しが有効な場合があります。
- 食生活:バランスの取れた食事は、体の免疫力を高め、アレルギー反応や炎症を抑えるのに役立ちます。
特定の食品が鼻詰まりを引き起こすアレルギーの原因となっている場合もあります。
また、体を冷やす飲食物や、刺激の強い香辛料などは鼻粘膜を刺激する可能性があるため、摂りすぎに注意しましょう。
逆に、生姜やネギなど体を温める食材は血行促進に良いとされています。 - 適度な運動:日常的に適度な運動を行うことで、全身の血行が改善され、自律神経のバランスを整える助けになります。
運動中に一時的に鼻の通りが良くなることもあります。
ただし、無理な運動は避け、体調に合わせて行いましょう。 - 十分な睡眠:質の良い十分な睡眠は、体の回復力を高め、免疫機能を正常に保つために不可欠です。
睡眠不足は自律神経の乱れにつながり、鼻詰まりを悪化させる可能性があります。
規則正しい生活を送り、リラックスできる睡眠環境を整えることが重要です。 - ストレス管理:過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、血管運動性鼻炎のような症状を引き起こしたり、既存の鼻炎症状を悪化させたりすることがあります。
ストレス解消法を見つけ、心身ともにリラックスできる時間を持つことが大切です。 - 禁煙・受動喫煙を避ける:タバコの煙は鼻や喉の粘膜を刺激し、炎症を悪化させます。
喫煙者は禁煙を、非喫煙者は受動喫煙を避けることが、鼻粘膜の健康にとって非常に重要です。 - アレルゲン対策:アレルギー性鼻炎が原因の場合、原因となるアレルゲン(ハウスダスト、ダニ、花粉、ペットのフケなど)を避けることが最も基本的な対策です。
寝具をこまめに洗濯・乾燥させる、部屋の換気や掃除を徹底する、空気清浄機を使用するなど、生活環境からアレルゲンを減らす努力が必要です。
花粉症の場合は、飛散量の多い時期の外出を控えたり、マスクを着用したりすることも有効です。 - 鼻うがい:生理食塩水などを使った鼻うがいは、鼻腔内のアレルゲンやウイルス、細菌、埃などを洗い流し、鼻粘膜の炎症を抑えるのに効果的です。
慣れるまでは少し難しいかもしれませんが、正しく行えば鼻詰まりや鼻水の軽減に役立ちます。
ただし、真水で行ったり、やり方を間違えたりするとかえって鼻粘膜を傷める可能性があるため、専用のキットを使用するなどして正しい方法で行いましょう。
これらの生活習慣の見直しは、鼻詰まりだけでなく、全身の健康状態の改善にも繋がります。
すぐに劇的な効果が現れるわけではありませんが、継続することで体質が改善され、鼻詰まりにくい状態を作ることが期待できます。
病院での治療(薬物療法・手術など)
横になると鼻が詰まる原因がアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症などの病気にある場合は、医療機関での専門的な診断と治療が必要です。
自己判断で対処を続けるのではなく、耳鼻咽喉科などの専門医に相談しましょう。
主な治療法:
- 薬物療法:
原因となる病気の種類や重症度に応じて、様々な薬剤が処方されます。
- 抗ヒスタミン薬:アレルギー反応によって放出されるヒスタミンの働きを抑え、鼻水やくしゃみ、かゆみを抑える薬です。
眠気を催すタイプと、眠くなりにくいタイプがあります。
鼻詰まりへの効果は他の薬に比べて限定的な場合もあります。 - ステロイド点鼻薬:鼻粘膜の炎症を強力に抑える効果があり、鼻詰まりに対して高い効果が期待できます。
局所作用型のため全身への影響は少ないとされています。
毎日継続して使用することで効果が得られやすくなります。 - ロイコトリエン受容体拮抗薬:アレルギー反応に関わる別の物質(ロイコトリエン)の働きを抑える薬で、特に鼻詰まりや鼻閉感の軽減に効果があるとされています。
内服薬として使用されます。 - 血管収縮剤(内服薬または点鼻薬):鼻粘膜の血管を収縮させて鼻の通りを良くしますが、前述のように点鼻薬の使いすぎには注意が必要です。
内服薬もありますが、高血圧や心臓病のある方は使用できない場合があります。 - 粘液溶解薬:副鼻腔炎などで鼻水や痰が固まっている場合に、これらを柔らかくして排出しやすくする薬です。
- 漢方薬:体質を改善することで鼻炎症状を緩和する目的で処方されることもあります。
薬物療法は、症状をコントロールし、つらい鼻詰まりを軽減するために有効です。
ただし、医師の指示に従って正しく使用することが重要です。
- 手術療法:
薬物療法で改善が見られない場合や、鼻中隔湾曲症、鼻茸など、構造的な問題や慢性的な炎症が原因で鼻詰まりがひどい場合には、手術が検討されることがあります。
- 鼻中隔矯正術:曲がった鼻中隔を真っ直ぐにする手術です。
鼻腔を広げ、空気の通り道を確保することで鼻詰まりを改善します。 - 粘膜下下甲介骨切除術・粘膜下下甲介焼灼術:鼻腔の下側にある下鼻甲介という粘膜が慢性的に腫れている場合に行われる手術です。
粘膜の一部を切除したり、レーザーや高周波で焼灼したりして、鼻腔を広げます。
アレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎による鼻詰まりに有効な場合があります。 - 内視鏡下副鼻腔手術(ESS: Endoscopic Sinus Surgery):慢性副鼻腔炎や鼻茸に対して行われる手術です。
鼻の中から内視鏡を使って、炎症を起こした粘膜や鼻茸を除去し、副鼻腔と鼻腔の間の交通路を広げ、換気や排泄を改善します。 - アデノイド切除術:小児のアデノイド肥大が原因で鼻呼吸障害や睡眠時無呼吸がみられる場合に行われます。
手術は根本的な改善が期待できますが、全ての人に必要なわけではありません。
医師が患者さんの症状、鼻腔の構造、病気の種類などを総合的に判断し、薬物療法で効果が得られない場合や、症状が重い場合に選択されます。
手術方法によって、入院が必要な場合や、術後の経過観察が必要な場合などがあります。
ご自身の鼻詰まりの原因を特定し、最適な治療法を選択するためには、専門医の診察を受けることが不可欠です。
こんな時は病院へ!受診の目安
横になると鼻が詰まる症状は多くの人が経験するものですが、中には医療機関での診察が必要なケースもあります。
以下のような症状がみられる場合は、一度耳鼻咽喉科などの専門医を受診することをお勧めします。
- 症状が長期間(数週間以上)続いている:一時的な風邪などではない可能性があり、慢性的な鼻炎や他の病気が原因かもしれません。
- 鼻詰まりが日常生活や睡眠に支障をきたしている:夜間の鼻詰まりで寝付けない、頻繁に目が覚める、日中も集中できない、だるさが続くなど、生活の質が著しく低下している場合は、積極的な治療が必要かもしれません。
- 市販薬を使っても効果がない、または症状が悪化する:自己判断での対処では改善しない、あるいは市販の点鼻薬を使いすぎてかえって症状が悪化している(薬剤性鼻炎の可能性)場合は、専門医の診断が必要です。
- 鼻詰まり以外の症状がある:
- 黄色や緑色の粘り気のある鼻水が出る(副鼻腔炎の可能性)
- 頬や額が痛む、頭痛がする(副鼻腔炎の可能性)
- 嗅覚がおかしい、または全く感じない
- 鼻血が頻繁に出る
- いびきがひどい、睡眠中に呼吸が止まっているように見える(睡眠時無呼吸症候群の可能性)
- 発熱がある、全身がだるい
- 特定の環境で症状が悪化する:特定の季節(花粉症)、特定の場所(ハウスダストが多い場所)で症状が悪化する場合は、アレルギー性鼻炎の可能性が高いです。
- 片方の鼻だけが慢性的に詰まっている:鼻中隔湾曲症や片側性の鼻茸など、鼻の構造的な問題や病変が原因かもしれません。
これらの症状は、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症、鼻茸など、適切な治療を必要とする病気のサインである可能性があります。
早期に診断を受けることで、原因に合わせた効果的な治療を開始し、症状の改善だけでなく、病気の進行を防ぐことにも繋がります。
特に、睡眠障害が疑われる症状(大きないびき、睡眠中の呼吸停止、日中の強い眠気など)がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考慮し、専門医に相談することが重要です。
病院を受診する際は、いつからどのような症状が出ているか、症状が悪化する時間帯や状況(特に横になった時)、試した対処法とその効果、アレルギーの既往歴、服用中の薬などを医師に正確に伝えるようにしましょう。
まとめ|つらい鼻詰まりを解消して快適な睡眠を
横になると鼻が詰まるという症状は、夜間のリラックスによる副交感神経の優位化や、横になったことによる頭部への血流増加といった生理的なメカニズムが大きく関係しています。
しかし、単なる一時的な現象ではなく、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症など、様々な病気が原因となっている可能性もあります。
つらい鼻詰まりで寝れない時は、詰まっている鼻と反対側を上にして横向きに寝る、蒸しタオルで鼻周りを温める、ツボを押すといった即効性のある対処法が一時的な症状緩和に役立ちます。
しかし、これらはあくまで応急処置であり、根本的な解決にはなりません。
快適な睡眠を取り戻すためには、寝室の湿度や温度を適切に保つ、枕の高さを調整する、就寝前に体を温めるなど、寝る前の環境整備や習慣も重要です。
そして、症状が慢性的に続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、その原因となっている病気に対してアプローチする必要があります。
バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理、禁煙、アレルゲン対策といった生活習慣の見直しは、体の状態を整え、鼻詰まりにくい体質を作る上で非常に有効です。
さらに、病気が原因の場合は、医療機関での専門的な診断に基づいた薬物療法や手術療法が必要になることもあります。
抗ヒスタミン薬、ステロイド点鼻薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬などが症状緩和に用いられ、鼻の構造的な問題や難治性の炎症に対しては、鼻中隔矯正術や内視鏡下副鼻腔手術などの手術が検討されます。
長期間症状が続く、症状が重い、他の症状を伴うといった場合は、我慢せずに耳鼻咽喉科などの専門医に相談しましょう。
適切な診断と治療を受けることで、つらい鼻詰まりから解放され、快適な睡眠を取り戻し、日中の活動的な時間もより充実させることができるはずです。
諦めずに、ご自身に合った方法を見つけて、つらい夜間の鼻詰まりを解消しましょう。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や診断を代替するものではありません。
個々の症状については、必ず医師または専門家にご相談ください。
本記事の情報に基づいたいかなる行動によって生じた損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。