胃痛を和らげる姿勢とは?寝る時・座る時の楽な方法

胃痛は突然やってきて、日常生活に支障をきたすつらい症状の一つです。特に、横になったり座ったりしている時に痛みが増すと、どうすれば楽になるのか悩む方も多いでしょう。実は、胃痛のタイプや原因によっては、姿勢を変えることで痛みが和らぐことがあります。また、姿勢以外にも、胃を休ませるための様々な対処法を知っておくことが大切です。

この記事では、胃痛時に楽になる可能性のある姿勢や寝方について、その理由とともに詳しく解説します。さらに、胃痛を和らげるための食事や飲み物、応急処置についてもご紹介します。ただし、胃痛の中には重篤な病気が隠れている場合もあります。この記事で紹介する対処法はあくまで一時的な緩和策であり、痛みが続く場合や気になる症状がある場合は、必ず専門家である医師に相談してください。

目次

胃痛時に楽になる体勢・姿勢

胃痛を感じたとき、まずは楽な姿勢を見つけようと試みる方が多いのではないでしょうか。実は、胃の構造や、胃痛を引き起こしている原因によっては、特定の姿勢をとることで痛みが和らぐことがあります。ここでは、胃痛時に試したい体勢や姿勢について、詳しく解説します。

横向きの寝方で胃痛を和らげる

胃痛時に横向きで寝ると、痛みが和らぐと感じる方は少なくありません。しかし、どちらの方向を下にするかによって、期待できる効果が異なります。胃の形状や、胃酸の逆流防止に関わる食道とのつながり方を理解すると、より効果的な寝方を選ぶことができます。

右を下にする寝方(胃もたれ・消化促進)

食後に胃もたれがする場合や、食べ過ぎて胃が重い感じがする場合には、右側を下にして横になる姿勢が有効とされることがあります。胃は体の左側から中央にかけて位置しており、幽門部(胃の出口)は体の右側寄りにあります。右側を下にして寝ることで、胃の内容物が重力によって幽門部の方へ流れやすくなり、胃からの排出(消化促進)が促されると考えられています。

ただし、この姿勢は胃酸の逆流を完全に防ぐものではありません。特に逆流性食道炎の症状がある場合は、後述する左側を下にする寝方の方が適していることがあります。あくまで胃もたれや消化不良の緩和を目的とした場合に試す価値のある姿勢です。

左を下にする寝方(胸焼け・逆流対策)

胸焼けや胃酸の逆流による胃痛(逆流性食道炎の症状)がある場合は、左側を下にして寝る姿勢が推奨されることが多いです。胃は食道から左側に入り込み、 J 字型をしています。食道と胃の接合部(噴門部)は、体の構造上、左側を下にして横になった場合に、胃の内容物よりも高い位置に来やすくなります。これにより、胃酸や消化途中の食物が食道へ逆流するのを物理的に防ぐ効果が期待できます。

また、左側を下にして寝ることは、食道の蠕動(ぜんどう)運動(内容物を下へ送る動き)を助けるという説もあります。逆流性食道炎の症状にお悩みの方は、特に試してみてほしい寝方です。就寝中に胃酸の逆流で目が覚めてしまう場合にも、この姿勢を意識することで症状が軽減する可能性があります。枕を高くすることも合わせて行うと、さらに効果を高めることができるでしょう。

仰向けやうつ伏せは胃痛に不向き?

胃痛がある時に、仰向けやうつ伏せで寝たり座ったりすると、かえって痛みが悪化することがあります。それぞれの姿勢がなぜ胃痛に不向きなのか、その理由を説明します。

仰向け(上向き)の姿勢
仰向けで平らに寝ると、胃と食道がほぼ同じ高さになりやすいため、胃酸が食道に逆流しやすくなります。特に食後すぐに仰向けになると、胃の中に内容物と胃酸が多くあるため、逆流のリスクが高まります。逆流性食道炎による胸焼けや喉の違和感、みぞおちの痛みなどを感じやすい方は、仰向けで寝る際は上半身を少し起こす(枕やクッションで高くする)工夫が必要です。

うつ伏せの姿勢
うつ伏せの姿勢は、胃や腹部全体を圧迫します。これにより、胃の中の圧力が高まり、胃痛が悪化したり、胃酸が逆流しやすくなったりする可能性があります。また、呼吸がしにくくなったり、体の他の部分に負担がかかったりすることもあります。胃痛がある時は、基本的にうつ伏せの姿勢は避けるのが賢明です。

座っている時の胃痛対策

立っている時や寝ている時だけでなく、座っている時にも胃痛を感じることがあります。特にデスクワーク中や食後に座っている時間が長い場合に起こりやすいかもしれません。座っている時の胃痛を和らげるためには、以下の点に注意しましょう。

  • 姿勢を正す: 背中を丸めて猫背になったり、お腹を圧迫するような姿勢は避けましょう。背筋を伸ばし、胃や腹部に圧迫がかからないようにゆったりと座ることを意識します。
  • 前かがみにならない: 深く前かがみになる姿勢は、胃を圧迫し、胃酸の逆流を招きやすくなります。適度に背もたれを使い、無理のない姿勢を保ちましょう。
  • 腹部を締め付けない服装: ベルトがきつすぎるズボンや、ウエスト部分がきついスカート、締め付けの強い下着などは、胃や内臓を圧迫して胃痛を悪化させる可能性があります。胃痛がある時は、できるだけ腹部を締め付けないゆったりとした服装を選びましょう。
  • 食後すぐに横にならない: 食後は消化のために胃が活発に働いています。食後すぐに横になると、胃酸が逆流しやすくなります。特に胃痛がある場合は、食後少なくとも2〜3時間は横にならないようにし、座っているか、軽く体を動かす程度に留めましょう。座る場合も、寄りかかってリラックスできる姿勢がおすすめです。

座っている時の胃痛は、無意識のうちにとっている姿勢や服装が影響していることがあります。少し意識するだけで楽になる場合があるので、試してみてください。

胃痛を和らげるその他の方法

胃痛を和らげる方法は、姿勢を変えることだけではありません。体の外側からのアプローチや、口にするものを見直すことも非常に効果的です。ここでは、姿勢以外にも胃痛を和らげる様々な方法について詳しく見ていきましょう。

胃痛を温めて緩和する

お腹、特に胃のあたりを温めることで、胃痛が和らぐことがあります。これは、温めることで血行が促進され、胃の筋肉の緊張が和らぐためと考えられています。冷えによる胃痛や、ストレス性の胃痛、筋肉の痙攣による痛みなどに特に有効な場合があります。

具体的には、以下のような方法で胃のあたりを温めることができます。

  • カイロ: 市販の使い捨てカイロを、下着の上からお腹に貼る(低温やけどに注意)。
  • 湯たんぽ: 湯たんぽをタオルなどでくるみ、お腹の上に置く。
  • 温かいタオル: 濡らしたタオルをレンジで温め、やけどしないように注意しながらお腹に当てる。
  • 腹巻: 冷えやすい体質の方は、普段から腹巻をするのも効果的です。
  • 入浴: シャワーだけでなく、湯船にゆっくり浸かって体を芯から温めることも、全身の血行促進につながり、胃の緊張を和らげる効果が期待できます。

ただし、胃や腸で炎症が起きている急性胃炎や胃腸炎の場合、温めるとかえって痛みが増すこともあります。温めても痛みが和らがない、あるいは悪化する場合は、無理に温めるのはやめましょう。また、高熱がある場合や、お腹全体が強く張っているような場合も、自己判断で温めるのは避けて医療機関に相談してください。

胃痛時に適した飲み物

胃痛がある時は、胃への負担を最小限に抑える飲み物を選ぶことが大切です。温かく、刺激の少ない飲み物がおすすめです。

飲み物 特徴と胃痛への影響
白湯・ぬるま湯 最も刺激が少なく、胃に負担をかけません。体を温め、リラックス効果も期待できます。
薄めの麦茶 カフェインを含まず、胃への刺激が少ない飲み物です。温かい状態で飲むと良いでしょう。
番茶 麦茶と同様にカフェインが少なく、胃に優しいお茶です。ただし、濃いものは避けて薄めに淹れましょう。
生姜湯 生姜には体を温める効果や、吐き気を抑える効果があると言われています。ただし、市販品の多くには砂糖が多く含まれるため、自家製でシンプルに作るか、成分を確認しましょう。
キャベツの絞り汁 キャベツに含まれるビタミンU(キャベジン)には、胃の粘膜を修復する効果があると言われています。胃痛が慢性的な場合にも試してみる価値があります。まずいと感じる場合は少量から。

胃痛時に避けたい飲み物

胃痛がある時に避けるべき飲み物は、胃酸の分泌を促進したり、胃の粘膜を刺激したりするものです。

飲み物 避けたい理由
コーヒー、紅茶 カフェインが多く含まれており、胃酸の分泌を促進します。胃酸過多による胃痛や胸焼けを悪化させる可能性があります。
炭酸飲料 胃を膨張させ、ゲップを誘発したり、胃酸の逆流を招きやすくしたりします。また、砂糖が多く含まれるものも胃に負担をかけます。
アルコール 胃の粘膜を直接刺激し、胃酸の分泌を強く促します。胃炎や胃潰瘍がある場合は、症状が著しく悪化する可能性があります。胃痛時は絶対に避けるべきです。
柑橘系のジュース 酸が強く、胃の粘膜を刺激したり、胃酸の逆流を悪化させたりする可能性があります。特に空腹時や胃痛が強い時は避けましょう。
冷たい飲み物 胃の血管を収縮させ、血行不良を招く可能性があります。また、胃腸の動きを乱すこともあります。必ず常温か温かい飲み物を選びましょう。
濃いお茶(緑茶など) タンニンが多く含まれており、胃の粘膜を刺激することがあります。また、カフェインも含まれています。薄めるか、胃に優しい種類のお茶を選びましょう。
牛乳(一部の場合) 牛乳は一時的に胃酸を薄める効果があるように感じられますが、牛乳に含まれるカルシウムやタンパク質が胃酸の分泌を促すため、結果的に胃酸過多を招くことがあります。人によっては胃痛が悪化する場合があるので注意が必要です。ただし、個人差が大きく、少量なら大丈夫な場合もあります。

胃痛時に適した食べ物

胃痛がある時は、消化が良く、胃に負担をかけない食べ物を選ぶことが最優先です。

食べ物(調理例) 特徴と胃痛への影響
おかゆ、うどん(やわらかく煮たもの) 消化が非常に良く、胃への負担が少ない炭水化物源です。エネルギー補給になります。味付けは薄めに。
白身魚(加熱したもの) 脂肪分が少なく、消化吸収が良いタンパク質源です。蒸したり茹でたりしてシンプルに調理しましょう。
鶏ささみ・むね肉(皮なし・加熱したもの) 白身魚と同様に低脂肪で消化が良いタンパク質源です。こちらもシンプルに調理します。
豆腐、卵(半熟・茶碗蒸しなど) 良質なタンパク質を柔らかく摂取できます。胃に優しく、栄養補給にも適しています。
じゃがいも、かぶ、大根(やわらかく煮たもの) 食物繊維が少なく、消化しやすい野菜です。ポタージュや煮物にして食べましょう。
りんご(すりおろし・コンポート) ペクチンが含まれており、胃の粘膜保護や整腸作用が期待できます。生のままだと繊維が刺激になることがあるため、すりおろしたり加熱したりするのがおすすめです。
バナナ エネルギー補給になり、比較的消化が良い果物です。カリウムも豊富です。
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