抗原検査とは、主に感染症の原因となっているウイルスや細菌などが持つ特有の物質(抗原)を検出する検査手法の一つです。
特に新型コロナウイルス感染症が拡大して以降、迅速に感染の有無を確認できる検査として広く認知されるようになりました。
この検査は、体内に病原体が存在しているかどうかを比較的短時間で判定することを目的としています。
発熱や咳などの症状がある場合に、その症状が病原体によるものかを確認したり、感染拡大を防ぐために早期に感染者を発見したりする際に用いられます。
この記事では、抗原検査の基本的な仕組みから、よく比較されるPCR検査や抗体検査との違い、メリット・デメリット、検査キットの種類や使い方、そして検査結果が出た場合の対応まで、抗原検査について知っておくべきことを網羅的に解説します。
抗原検査でわかること、検出対象
抗原検査で検出されるのは、病原体そのものが持っている特徴的なタンパク質などの「抗原」です。
例えば、新型コロナウイルス感染症の抗原検査であれば、ウイルスの表面にあるスパイクタンパク質や、ウイルスの内部にあるヌクレオカプシドタンパク質といった、ウイルスに特有のタンパク質を検出します。
この検査の目的は、「現在、体内に特定の病原体が存在し、感染しているかどうか」を調べることです。
つまり、検査時点で体内に十分な量の病原体(とその抗原)が存在していれば陽性となり、感染している可能性が高いと判断されます。
逆に、抗原が検出されなければ陰性となりますが、これは必ずしも感染していないことを意味するわけではありません。
病原体の量がまだ少ない場合や、採取した検体中に抗原が十分に存在しない場合には、実際には感染していても陰性と出てしまう「偽陰性」の可能性もゼロではないため、注意が必要です。
抗原検査は、発症初期など、体内のウイルス量が多い時期に最も感度が高くなるとされています。
どのような仕組み?検査方法
抗原検査の仕組みは、主に抗原抗体反応を利用したイムノクロマト法という技術に基づいています。
これは、妊娠検査薬などにも使われている技術です。
検査キットの中には、特定の抗原に特異的に結合する「抗体」があらかじめ固定されています。
検体(鼻の奥の粘液や唾液など)を採取してキットに滴下すると、検体中の抗原(もし存在すれば)が、キット内の標識(色がついた粒子など)と結合した別の抗体と結合します。
この複合体が、キットのメンブレン上を毛細管現象で移動していき、判定ラインの場所に固定されたさらに別の抗体と結合します。
もし検体中に目的の抗原が存在すれば、判定ラインの部分に複合体が捕捉され、標識の色(通常は赤や青)が現れてラインが見えるようになります。
これが陽性反応です。
抗原が存在しない場合は、この複合体が形成されないため、判定ラインには何も現れません。
また、検査が正しく行われたかを確認するための「コントロールライン」もキットには含まれています。
検体を滴下し、試薬が正しく流れていれば、抗原の有無にかかわらずコントロールラインは必ず表示される仕組みになっています。
コントロールラインが表示されない場合は、検査が失敗していることになります。
検査方法としては、主に以下の二つがあります。
- 鼻咽頭ぬぐい液: 医療機関などで、細い綿棒を鼻の奥(鼻咽頭部)まで入れて粘液を採取する方法です。
比較的多くのウイルスが存在しやすい部位から採取するため、精度が高いとされています。 - 唾液: 自宅などでキットを使用する際に多い方法です。
専用の容器に唾液を採取します。
鼻咽頭ぬぐい液に比べると検体採取の負担は少ないですが、唾液中のウイルス量は採取のタイミングや体調によって変動しやすい場合があります。
いずれの方法も、採取した検体をキットの指示に従って処理し、反応時間(通常10〜30分程度)を待って判定します。
抗原検査と他の検査との違いを比較
感染症の検査方法には、抗原検査の他にもPCR検査や抗体検査などがあります。
それぞれ検査でわかることや得意なことが異なります。
ここでは、これらの検査の違いを比較してみましょう。
PCR検査との違いは?
PCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応法)は、病原体の遺伝子(RNAやDNA)を検出する検査です。
抗原検査と同様に、現在の感染を確認するための検査ですが、その仕組みと感度に大きな違いがあります。
比較項目 | 抗原検査 | PCR検査 |
---|---|---|
検出対象 | 病原体のタンパク質(抗原) | 病原体の遺伝子(RNA/DNA) |
わかること | 現在の感染(体内に十分な抗原があるか) | 現在の感染(体内に病原体の遺伝子があるか) |
仕組み | 抗原抗体反応(イムノクロマト法など) | 遺伝子増幅(DNA/RNAを増やす) |
検出感度 | 比較的低い(一定量以上の抗原が必要) | 非常に高い(微量の遺伝子でも検出可能) |
検査時間 | 短い(10〜30分程度) | 長い(数時間〜1日以上) |
必要な機器 | 特殊な機器は不要(キットのみ) | 特殊な遺伝子増幅装置が必要 |
費用 | 比較的安価(キットは数千円程度) | 比較的高価(機器や試薬が必要) |
検査場所 | 医療機関、検査センター、自宅(キット使用) | 医療機関、検査センター(専門設備が必要) |
適したタイミング | 発症初期〜中期(ウイルス量が多い時期) | 発症初期〜回復期(微量でも検出可能) |
PCR検査の最大の特徴は、検体中の病原体の遺伝子を試験管内で人工的に増幅させる「増幅」のステップがあることです。
これにより、たとえ検体中に病原体の量が非常に少なくても、遺伝子を増やして検出することができるため、抗原検査に比べてはるかに感度が高いとされています。
つまり、抗原検査では陰性になってしまうような、感染初期や回復期のウイルス量が少ない状態でも、PCR検査なら陽性を検出できる可能性が高くなります。
一方で、PCR検査は遺伝子増幅のための特殊な機器が必要であり、検査に時間もかかるため、結果が出るまでに時間を要します。
また、費用も抗原検査に比べて高くなる傾向があります。
このように、抗原検査は迅速性・手軽さに優れ、PCR検査は正確性・高感度に優れていると言えます。
症状が出てすぐに感染しているか大まかに知りたい場合や、多くの人をスクリーニングしたい場合には抗原検査が、より確実に感染の有無を確認したい場合や、感染初期などウイルス量が少ない可能性のある場合にはPCR検査が適していると言えます。
抗体検査との違いは?
抗体検査は、病原体に感染したりワクチンを接種したりした後に、体内で作られる抗体を検出する検査です。
抗体とは、免疫システムが病原体を攻撃・排除するために作り出すタンパク質の一種です。
比較項目 | 抗原検査 | 抗体検査 |
---|---|---|
検出対象 | 病原体のタンパク質(抗原) | 病原体に対する抗体 |
わかること | 現在の感染(体内に十分な抗原があるか) | 過去の感染やワクチン接種による免疫反応(抗体があるか) |
仕組み | 抗原抗体反応(イムノクロマト法など) | 抗原抗体反応(イムノアッセイ法など) |
検出感度 | 現在の感染確認には有効だが、病原体量に依存 | 抗体が作られる時期に依存 |
検査時間 | 短い(10〜30分程度) | 比較的短いものから長いものまで |
必要な機器 | 特殊な機器は不要(キットのみ) | キットタイプは不要、ラボでの検査は特殊機器が必要 |
費用 | 比較的安価 | 様々 |
検査場所 | 医療機関、検査センター、自宅(キット使用) | 医療機関、検査センター(血液採取が必要) |
適したタイミング | 発症初期〜中期 | 感染から数日〜数週間後、またはワクチン接種後 |
抗体は、病原体に感染してから体内で作られるまでに数日〜数週間かかるのが一般的です。
そのため、抗体検査で抗体が検出されたとしても、それは過去の感染やワクチン接種を示唆するものであり、検査時点で現在感染しているかどうかを判断するのには適していません。
感染のごく初期にはまだ抗体ができていないため、感染していても陰性となります。
つまり、抗原検査は「犯人(ウイルスなど)が今、ここにいるか」を調べる検査、PCR検査は「犯人(ウイルスなど)の痕跡(遺伝子)が今、ここに残っているか」を調べる検査、抗体検査は「過去に犯人(ウイルスなど)と戦った証拠(抗体)が体内に残っているか」を調べる検査と言えます。
それぞれの検査には適した目的とタイミングがあり、状況に応じて使い分けることが重要です。
抗原検査のメリット・デメリット
抗原検査は、迅速で手軽というメリットがある一方で、精度に関するデメリットも存在します。
これらを理解しておくことが、抗原検査を適切に利用するために不可欠です。
メリット(迅速性、簡易性など)
抗原検査の主なメリットは以下の通りです。
- 検査結果が迅速に出る: 最も大きなメリットです。
一般的に、検体採取から10分〜30分程度で結果が出ます。
これにより、感染している可能性をすぐに把握でき、その後の行動(自宅待機、医療機関受診など)を迅速に判断できます。 - 検査方法が比較的簡易: PCR検査のように専門的な機器や高度な技術が必要ありません。
採取した検体をキットに滴下するだけで検査ができるため、医療機関だけでなく、検査センターや、承認されたキットであれば自宅でも検査が可能です。 - 特別な設備が不要: 検査に必要なのは、基本的にキットと検体だけです。
そのため、検査場所を選ばず、どこでも比較的容易に実施できます。
ドライブスルー方式の検査など、様々な場所での検査実施を可能にしました。 - 費用が比較的安価: PCR検査と比較すると、検査にかかる費用が抑えられる傾向があります。
市販のキットも数千円程度で購入できるものがあります。
これらのメリットにより、抗原検査は発熱などの症状がある人がすぐに感染の可能性を確認したい場合や、イベント開催前、帰省前など、速やかに結果を知りたい場合に有効な手段となります。
デメリット(精度、適切なタイミングなど)
一方で、抗原検査には以下のようなデメリットも存在します。
- PCR検査に比べて感度が低い: 抗原検査は、体内に一定量以上の抗原が存在しないと検出ができません。
特に、感染初期(発症前や発症直後)や、回復期でウイルス量が減少している時期には、実際には感染していても抗原が検出されず、偽陰性となってしまう可能性があります。 - 偽陽性が出る可能性もある: 実際には感染していないのに、誤って陽性と判定されてしまう偽陽性の可能性もゼロではありません。
これは、他のウイルスや細菌と反応してしまったり、キットの操作ミスがあったりすることが原因で起こり得ます。
偽陽性の場合、不要な隔離や追加の検査が必要になることがあります。 - 適切な検査タイミングが重要: 感度がウイルス量に依存するため、検査を行うタイミングが結果に大きく影響します。
一般的に、発症後数日間(ウイルス量がピークになる時期)に検査することが推奨されており、このタイミングを外れると偽陰性の可能性が高まります。
症状がない人が検査を行う場合、いつ感染したか不明なため、適切なタイミングを判断するのが難しい場合があります。 - 「研究用」キットの注意点: 市場には、国の承認を得ていない「研究用」の抗原検査キットも流通しています。
これらは性能が保証されておらず、正確な判定が期待できないため、注意が必要です。
信頼性の高い「体外診断用医薬品」として承認されたキットを選ぶことが重要です。
これらのデメリットを理解した上で、抗原検査の結果のみに依存せず、症状や他の検査結果、医師の判断と合わせて総合的に判断することが大切です。
特に陰性の場合でも、感染対策は継続し、必要に応じて再検査や医療機関への相談を検討するべきです。
抗原検査の種類と入手方法
抗原検査は、実施する場所や使用するキットの種類によっていくつかの方法があります。
医療機関で行う検査
発熱や咳などの症状があり、医療機関を受診した場合、医師が必要と判断すれば抗原検査が行われることがあります。
医療機関で使用される抗原検査キットは、国が「体外診断用医薬品」として承認したもので、一定の性能が確認されています。
医療機関での検査の流れ(一般的な例):
- 受診: 発熱などの症状がある場合は、かかりつけ医や地域の相談窓口に連絡し、指示に従って受診します。
- 診察: 医師が症状や接触歴などを問診します。
- 検体採取: 医師や看護師が、鼻咽頭ぬぐい液や唾液を採取します。
- 検査: 採取した検体を用いて抗原検査キットで検査を行います。
- 結果判定: 10分〜30分程度で結果が出ます。
- 結果説明と診断: 医師から結果の説明を受け、陽性であれば感染と診断され、今後の療養について指示を受けます。
陰性でも症状がある場合は、追加の検査(PCR検査など)を検討したり、経過観察の指示が出たりすることがあります。
医療機関での検査は、医師の診察と管理のもとで行われるため、検査結果の信頼性が高く、結果に応じた適切な医療的な判断や指示を受けることができるというメリットがあります。
費用については、公的な医療保険が適用される場合があります。
抗原検査キットについて
医療機関に行かなくても、自分で検体を採取して検査できる抗原検査キットも広く流通しています。
これには、国の承認を受けたものと、承認を受けていない「研究用」のものがあります。
抗原検査キットはどこで買える?(薬局など)
国の承認を受けた「体外診断用医薬品」としての抗原検査キットは、主に以下の場所で購入できます。
- 薬局・ドラッグストア: 薬剤師がいる店舗で購入可能です。
購入時に薬剤師からキットの使い方の説明や注意点などの情報提供を受けることができます。 - インターネット販売: 厚生労働省の承認を受けた体外診断用医薬品の抗原検査キットも、インターネットで購入できるようになりました。
ただし、販売サイトが正規の登録販売者であるか、キットが承認済みであるかなどを自分で確認する必要があります。「研究用」と称して販売されている承認を受けていないキットも多いため、購入時には特に注意が必要です。 - 一部のコンビニエンスストアなど: 一部の店舗でも取り扱いがある場合があります。
購入時の注意点:
必ず「体外診断用医薬品」として国の承認を受けているキットを選びましょう。
パッケージにその旨の表示があるか確認してください。「研究用」と表示されているキットは、性能が保証されておらず、正確な検査結果が得られない可能性があります。
抗原検査キットの値段はどれくらい?
抗原検査キットの値段は、種類(体外診断用医薬品か研究用か、製造メーカーなど)や購入場所によって大きく異なります。
- 体外診断用医薬品: 一般的に、1個あたり1,500円〜3,000円程度で購入できるものが多いようです。
性能が保証されているため、研究用よりも価格は高めです。 - 研究用: 研究用のキットは、数百円〜1,000円程度と安価なものもあります。
しかし、繰り返しますが、性能の信頼性には問題があるため、自己判断での利用は避けるべきです。
購入する際は、価格だけでなく、必ず「体外診断用医薬品」であるかを確認し、使用期限や保管方法なども確認しましょう。
抗原検査結果の見方と陽性・陰性の場合の対応
抗原検査キットで検査を行った後の結果の見方と、それぞれの結果に応じた適切な対応について説明します。
検査結果の見方
多くの抗原検査キットは、メンブレン上のラインの出現で結果を判定するイムノクロマト法を採用しています。
キットには、通常、検体を滴下する部分と、結果が表示される判定窓があります。
判定窓には、コントロールライン(Cライン)とテストライン(Tライン)の2つのラインが表示される領域があります。
- 陽性: コントロールライン(C)とテストライン(T)の両方にラインが表示された場合。
体内に十分な抗原が存在することを示唆します。 - 陰性: コントロールライン(C)にのみラインが表示され、テストライン(T)にはラインが表示されなかった場合。
体内に検出可能なレベルの抗原が存在しないことを示唆します。 - 無効: コントロールライン(C)にラインが表示されなかった場合。
検査が失敗しているか、キットに問題がある可能性があります。
この場合は、新しいキットを使って再検査が必要です。
テストライン(T)のみにラインが表示される場合も無効です。
キットによって判定窓の表示方法やラインの色が異なる場合があるため、必ず付属の取扱説明書をよく読んでから検査を行い、結果を確認してください。
抗原検査が陽性だった場合
抗原検査で陽性となった場合は、現在、病原体に感染している可能性が非常に高いと考えられます。
特に、発熱や咳などの症状がある人が体外診断用医薬品のキットで陽性となった場合は、感染していると判断して速やかに適切な対応をとる必要があります。
陽性の場合の一般的な対応(感染症の種類やガイドラインによって異なる場合があります):
- 医療機関への連絡・受診: 検査キットで陽性となった場合は、速やかにかかりつけ医や自治体の相談窓口に連絡し、医療機関の受診について指示を仰ぎましょう。
医療機関で改めて確定診断(医師による診断)を受けることが重要です。 - 外出を控える: 他の人への感染を防ぐため、医療機関への受診以外は外出を控えて自宅で待機してください。
- 療養期間: 医師の診断や自治体の指示に従い、定められた期間、自宅や指定された宿泊施設などで療養します。
- 家族などへの対応: 同居している家族などがいる場合は、感染が広がらないように注意し、必要に応じて家族も検査を受けることを検討します。
抗原検査はPCR検査より感度が低いとはいえ、症状がある人が陽性となった場合の信頼性は比較的高いとされています。
偽陽性の可能性もゼロではありませんが、基本的には感染しているものとして対応することが、感染拡大防止のために重要です。
抗原検査が陰性だった場合
抗原検査で陰性となった場合でも、必ずしも感染していないとは限りません。
特に以下の点に注意が必要です。
陰性の場合の注意点:
- 偽陰性の可能性: 上述のように、感染初期や回復期でウイルス量が少ない場合、または検体採取が適切に行われなかった場合などに、実際は感染しているのに陰性と出てしまう偽陰性の可能性があります。
- 症状がある場合: 陰性でも発熱や咳などの症状がある場合は、他の病気である可能性も考えられますが、偽陰性の可能性も考慮して慎重に対応する必要があります。
症状が続く場合や悪化する場合は、再度抗原検査を行うか、より感度の高いPCR検査を受けること、あるいは医療機関を受診して医師の判断を仰ぐことが推奨されます。 - 無症状の場合: 症状がない状態で検査を受けて陰性だった場合、検査時点では検出可能なウイルス量がなかったことを意味します。
しかし、検査後に感染したり、潜伏期間中であったりする可能性はあります。
陰性の場合の一般的な対応:
- 陰性であっても、感染対策(マスク着用、手洗い、うがい、換気、密集を避けるなど)は継続することが重要です。
- 症状がある場合は、自宅で療養し、症状の変化に注意してください。
症状が続く、悪化するなど、少しでも心配な点があれば医療機関に相談しましょう。 - 心配な場合は、数日後に再度抗原検査を受けるか、PCR検査を受けることも検討できます。
抗原検査で陰性だったからといって完全に安心して行動するのではなく、「感染している可能性もゼロではない」という意識を持つことが、自分自身や周囲の人を守る上で大切です。
検査に適切なタイミングは何日目から?
抗原検査の感度は、体内のウイルス量に大きく依存します。
一般的に、ウイルス量が最も多くなるのは、発症した日、または発症から数日以内(概ね2日〜5日程度)とされています。
この時期に抗原検査を行うことで、最も正確な結果が得られる可能性が高まります。
- 症状がある場合: 発熱や咳などの症状が出始めた日(発症日)から検査することが推奨されます。
発症から時間が経ちすぎるとウイルス量が減少してしまい、陰性となってしまう偽陰性の可能性が高まります。
発症から7日以上経過している場合など、抗原検査では正確な判断が難しくなることがあります。 - 症状がない場合(濃厚接触者など): 濃厚接触者となった場合など、症状がない人が検査を受ける場合は、感染したと思われる日から数日間(概ね2日〜5日程度)経過してから検査することで、ウイルス量が検出可能なレベルに達している可能性が高まります。
感染のごく初期(感染直後〜1日程度)はまだウイルス量が非常に少ないため、陰性となる偽陰性の可能性が高くなります。
検査タイミングのポイント:
- 発症初期に検査する: 症状が出たらできるだけ早く(特に発症から数日以内)に検査することが推奨されます。
- 適切なタイミングを外れたら: 発症から時間が経ちすぎた場合や、症状がない場合の検査で陰性だった場合は、偽陰性の可能性を考慮し、再検査やPCR検査を検討したり、症状の変化に注意したりすることが重要です。
- 体外診断用医薬品のキットの注意書きを確認する: キットによって推奨される検査タイミングが記載されている場合があるため、使用前に確認しましょう。
どのタイミングで検査を受けるべきか迷う場合は、医療機関や地域の相談窓口に相談することをお勧めします。
まとめ
抗原検査は、病原体が持つ特有のタンパク質(抗原)を検出することで、現在感染しているかどうかを迅速に判定できる検査です。
PCR検査が病原体の遺伝子を増幅して検出する高感度な検査であるのに対し、抗原検査は迅速かつ手軽に実施できるというメリットがあります。
一方で、PCR検査に比べると感度が低く、特にウイルス量が少ない感染初期や回復期には偽陰性となる可能性があるというデメリットも理解しておく必要があります。
抗体検査は過去の感染や免疫の有無を調べる検査であり、現在の感染を調べる抗原検査やPCR検査とは目的が異なります。
抗原検査は、医療機関で行われるもののほか、国の承認を受けた「体外診断用医薬品」のキットを薬局などで購入して自宅で実施することも可能です。
自宅で検査する際は、必ず承認済みのキットを選び、正しい手順で使用することが重要です。
抗原検査で陽性となった場合は、感染している可能性が非常に高いため、速やかに医療機関に連絡し、医師の診断を受けて指示に従ってください。
陰性だった場合でも、偽陰性の可能性を考慮し、症状がある場合は医療機関に相談したり、感染対策を継続したりすることが大切です。
検査は発症初期(特に発症から数日以内)に行うことで、より正確な結果が得られる可能性が高まります。
抗原検査は、感染の可能性を迅速に把握し、その後の適切な行動を判断するための有効な手段の一つですが、その特性を理解し、他の情報(症状、接触歴など)と合わせて総合的に判断することが、検査結果を適切に活用するために不可欠です。
免責事項: 本記事の情報は、一般的な知識として提供されるものであり、医学的なアドバイスや診断に代わるものではありません。
特定の症状や健康状態に関するご質問は、必ず医療専門家にご相談ください。
検査結果の解釈やその後の対応については、医師の判断を仰ぐことが最も重要です。
また、感染症に関する情報は日々更新される可能性があります。
最新の情報については、厚生労働省や国立感染症研究所などの公的機関のウェブサイトをご参照ください。