夜の足の痒みで眠れないあなたへ|原因は?むずむず脚症候群と対策

夜になると足が痒くて眠れない、集中できないといったつらい経験はありませんか?
日中はあまり気にならないのに、なぜか夜になると足の痒みが増すという方は少なくありません。
この夜間の足の痒みには、乾燥や湿疹といった皮膚のトラブルから、意外な体の病気、あるいは精神的な要因まで、様々な原因が考えられます。

この記事では、「夜になると足が痒い」という悩みを抱える方に向けて、その原因や自宅でできる対処法、そして医療機関を受診する目安について詳しく解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたの足の痒みの原因を推測するヒントが見つかり、適切な対策や受診の判断ができるようになるでしょう。

目次

なぜ夜になると足の痒みが増すの?

「日中は大丈夫なのに、どうして夜になると急に足が痒くなるんだろう?」と不思議に思う方もいるかもしれません。
夜間に痒みが増すのには、いくつかの理由が考えられます。

まず、人間の体は夜になるとリラックスモードになり、副交感神経が優位になります。
これにより、血管が拡張して血行が促進され、皮膚の温度がわずかに上昇します。
皮膚の温度が上がると、かゆみを伝える神経(C線維)が刺激されやすくなり、かゆみを感じやすくなると言われています。

また、睡眠中は覚醒している時と比べて、痒みに対する意識や注意力が低下します。
日中であれば、仕事や家事、趣味などに集中しているため、多少の痒みがあっても紛れることがあります。
しかし、夜になって活動が収まり、静かで何も刺激がない環境になると、体のかゆみに意識が向きやすくなり、かゆみを強く感じてしまうのです。

さらに、寝具や部屋の温度・湿度も関係します。
布団に入って体が温まると、上記のように血行が促進されて痒みが増すことがあります。
また、特に冬場は暖房の使用により空気が乾燥しやすく、皮膚の乾燥が進んで痒みが悪化するという悪循環に陥ることもあります。
パジャマや毛布の素材による刺激も、痒みを引き起こしたり悪化させたりする要因となり得ます。

このように、夜間の体の状態変化、外部からの刺激の減少、そして環境要因が複合的に作用することで、「夜になると足が痒い」という症状が顕著になると考えられています。

夜になると足が痒くなる主な原因

夜間の足の痒みには、皮膚そのものに原因がある場合と、皮膚以外の全身の病気が関係している場合があります。
ここでは、考えられる主な原因について詳しく見ていきましょう。

乾燥によるかゆみ(皮脂欠乏性湿疹など)

皮膚の乾燥は、夜間の足の痒みの最も一般的な原因の一つです。
特に、空気が乾燥しやすい秋から冬にかけてや、エアコンの使用が増える時期に悪化しやすい傾向があります。

皮膚の表面は、皮脂や角質細胞間脂質によって作られるバリア機能で守られています。
このバリア機能が正常に働くことで、皮膚内部の水分が保たれ、外部からの刺激(アレルゲンや細菌など)の侵入を防いでいます。
しかし、加齢、空気の乾燥、過度な洗浄(熱いお湯での長風呂、洗浄力の強い石鹸の使用など)によって皮脂や天然保湿因子が失われると、皮膚のバリア機能が低下します。

バリア機能が低下した乾燥した皮膚は、外部からのわずかな刺激にも敏感に反応しやすくなり、かゆみを感じやすくなります。
乾燥がさらに進むと、皮膚の表面が粉を吹いたように白っぽくなったり、細かな亀裂が入ったりします。
この状態を「皮脂欠乏症」と呼び、さらに悪化して赤みや湿疹(丘疹、鱗屑など)が現れると「皮脂欠乏性湿疹」と診断されます。

皮脂欠乏性湿疹による痒みは、特に皮脂腺の少ない部位、例えばすねや太ももの外側、脇腹などに起こりやすい特徴があります。
夜間、布団で温まると血行が促進されて痒みが強くなり、かくことで皮膚が傷つき、さらに乾燥や炎症が進むという悪循環に陥りやすいのです。

湿疹や皮膚炎(アトピー、接触皮膚炎など)

湿疹や皮膚炎は、皮膚に炎症が起こり、赤み、腫れ、小さな水ぶくれ、かさぶた、そして強い痒みを伴う病気の総称です。
夜間の足の痒みの原因として、様々な種類の湿疹や皮膚炎が考えられます。

  • アトピー性皮膚炎: アレルギー体質や皮膚のバリア機能異常が関わる慢性的な炎症性疾患です。
    強い痒みを伴う湿疹が体の様々な部位にでき、良くなったり悪くなったりを繰り返します。
    アトピー性皮膚炎がある場合、皮膚が乾燥しやすく外部からの刺激にも敏感なため、特に夜間や体が温まった時に痒みが強くなる傾向があります。
    足にも症状が現れることがあります。
  • 接触皮膚炎(かぶれ): 特定の物質が皮膚に触れることで起こる炎症です。
    原因物質には、金属(アクセサリー)、植物(ウルシ、ハゼ)、化学物質(洗剤、化粧品、衣類に使われる染料や加工剤)、薬剤(湿布、塗り薬)、ゴム製品などがあります。
    足の場合、靴や靴下、タイツ、衣類、洗剤などが原因となることがあります。
    触れた部位に一致して赤みや水ぶくれ、強い痒みが生じます。
  • 汗疹(あせも): 汗を出す管が詰まることで起こる炎症です。
    特に夏場や、厚着をして汗をかきやすい状況で発生しやすく、小さな赤いブツブツや水ぶくれができ、痒みを伴います。
    足にも、靴や靴下で蒸れやすい部分にできることがあります。
  • 貨幣状湿疹: 丸い形をした湿疹で、強い痒みを伴います。
    主に手足や体幹にできやすく、乾燥や傷、虫刺されなどがきっかけとなることがあります。
    痒みが非常に強く、夜間に掻き壊してしまうことも少なくありません。
  • うっ滞性皮膚炎: 足の静脈の血行が悪くなること(うっ滞)によって起こる皮膚炎です。
    主にすねや足首のあたりに、赤み、かさつき、色素沈着、痒みが生じます。
    進行すると潰瘍ができることもあります。
    高齢者や、足のむくみ(浮腫)がある方に多く見られます。

これらの湿疹や皮膚炎は、皮膚の炎症が痒みを引き起こしているため、掻くことで症状が悪化し、治りにくくなることがあります。
適切な診断と治療のためには、皮膚科医の診察が必要です。

虫刺されやアレルギー反応(ダニなど)

虫刺されやアレルギー反応も、突然の強い痒みの原因となります。
特に夜間の足の痒みとして注意したいのが、寝具に潜むダニによる被害です。

  • ダニ刺され: カーペット、ソファ、そして寝具はダニが繁殖しやすい環境です。
    特に夏から秋にかけてはダニの活動が活発になります。
    ダニに刺されると、赤い小さなポツポツができ、強い痒みを伴います。
    痒みは数日から1週間ほど続くこともあります。
    寝ている間に刺されることが多いため、夜間に痒みが増す原因となります。
    足は露出していることも多く、刺されやすい部位の一つです。
  • 蚊やその他の虫: 夏場などには、蚊やブユ、ノミなどに刺されることもあります。
    これらの虫に刺されると、すぐに痒みや腫れが生じ、夜間にかきむしってしまうことがあります。
  • アレルギー反応: 食物、薬剤、花粉、ハウスダストなど、様々な物質に対するアレルギー反応として、皮膚に痒みやじんましんが現れることがあります。
    特定の食べ物を食べた後や、アレルゲンに触れた後に症状が出やすいですが、体質によっては特定の時期に痒みが強くなることもあります。

ダニ対策としては、寝具をこまめに洗濯・乾燥させる、掃除機を丁寧にかける、防ダニシーツを使用するなどが有効です。
虫刺されの場合は、市販のかゆみ止めを使うこともできますが、症状がひどい場合やアレルギー反応が疑われる場合は医療機関を受診しましょう。

内臓の病気が原因(肝臓病、糖尿病など)

皮膚に明らかな湿疹や乾燥が見られないのに、全身的あるいは局所的に強い痒みがある場合、内臓の病気が原因となっている可能性があります。
このような痒みは「全身性掻痒症」と呼ばれ、特定の病気のサインであることがあります。
足の痒みも、全身性掻痒症の一症状として現れることがあります。

  • 肝臓病: 肝臓病、特に胆汁の流れが悪くなる「胆汁うっ滞」がある場合、体内に胆汁酸が溜まりやすくなり、これが皮膚に沈着して痒みを引き起こすと考えられています。
    痒みは全身に現れることが多いですが、足の裏や手のひらなど特定の部位で強く感じられることもあります。
    夜間に悪化しやすい傾向があります。
    黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、倦怠感、食欲不振、尿の色が濃くなるなどの症状を伴うことが多いです。
  • 腎臓病: 腎臓の機能が低下した「慢性腎臓病」が進行すると、体内の老廃物が十分に排出されず、血液中に溜まります(尿毒症)。
    これらの老廃物が痒みの原因となることがあります(尿毒症性掻痒症)。
    皮膚の乾燥を伴うことが多く、全身、特に背中や足に強い痒みを感じることがあります。
    透析を受けている方にもよく見られます。
  • 糖尿病: 糖尿病が進行すると、合併症として様々な神経障害が起こることがあります。
    この神経障害により、手足にしびれや痛みを感じることがある一方で、かゆみを感じることもあります。
    また、糖尿病患者は皮膚が乾燥しやすく、細菌や真菌(カビ)による感染症(水虫など)を起こしやすいため、それが痒みの原因となることもあります。
  • 血液の病気:
    鉄欠乏性貧血: 体内の鉄分が不足すると、貧血だけでなく皮膚の乾燥やかゆみを引き起こすことがあります。
    真性多血症: 血液を作る細胞が増えすぎて、赤血球などが過剰になる病気です。
    入浴など体が温まった時に全身に強い痒み(温熱性掻痒)が出やすい特徴があり、足にも現れます。
    悪性リンパ腫: 血液のがんの一種です。
    病気によっては、全身に強いかゆみを伴うことがあります。
    発熱、体重減少、リンパ節の腫れなどの症状も現れることがあります。
  • 甲状腺の病気: 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)では、代謝が異常に高まり、皮膚が乾燥してかゆみが生じることがあります。
    甲状腺機能低下症でも皮膚が乾燥しやすくなり、かゆみを伴うことがあります。
  • 悪性腫瘍: 一部の固形がん(胃がん、肺がん、乳がんなど)や血液のがんが、全身性の痒みを引き起こすことがあります。
    病気の進行に伴って現れることが多く、他の様々な症状を伴います。

これらの内臓の病気が原因で痒みが生じている場合、皮膚だけを治療しても改善は難しく、元の病気の治療が必要となります。
皮膚に異常が見られないのに痒みが続く場合や、痒み以外の全身症状(倦怠感、体重減少、発熱、黄疸など)がある場合は、内臓疾患の可能性も考慮し、早めに医療機関を受診することが重要です。

ストレスや精神的な要因

皮膚に異常がない、あるいは軽微な皮膚症状にもかかわらず、非常に強い痒みを感じる場合、ストレスや心理的な要因が関わっている可能性があります。
これを「心因性掻痒症」と呼ぶことがあります。

心理的なストレス、不安、うつ、疲労などが、脳や神経系に影響を与え、かゆみを感じやすくさせたり、かゆみに対する我慢を難しくさせたりすると考えられています。
痒みを感じることでさらに不安が増し、掻く行為が一時的な安心感につながるため、悪循環に陥ることもあります。

心因性の痒みは、特定の部位(背中や腕、足など)に限定されることもあれば、全身に現れることもあります。
夜間、特に寝床に入って何もすることがなくなると、かゆみに意識が集中しやすくなり、症状が悪化することがあります。

心因性掻痒症は、他の原因が全て除外された後に診断されることが多いですが、心理的なサポートやストレスマネジメント、必要に応じて精神科や心療内科での相談が有効な場合があります。

その他の原因(薬剤性など)

上記以外にも、夜間の足の痒みの原因となる可能性のあるものがあります。

  • 薬剤性掻痒: 特定の薬剤の副作用として、全身にかゆみが生じることがあります。
    高血圧の薬(特にACE阻害薬)、一部の抗生物質、痛み止め、コレステロールを下げる薬などが原因となる可能性があります。
    薬の種類や体質によって、服用を開始してから数日~数週間後に痒みが出現することがあります。
  • 妊娠性掻痒: 妊娠中にホルモンバランスの変化などが原因で、全身にかゆみが生じることがあります。
    特に妊娠後期に多く見られ、お腹だけでなく足にも痒みが出ることがあります。
    重症の場合、「妊娠性肝内胆汁うっ滞症」という病気の可能性もあり、胎児への影響も考えられるため、必ず産婦人科医に相談が必要です。
  • 高齢者掻痒症: 加齢に伴い、皮膚の皮脂腺や汗腺の機能が低下し、皮膚のバリア機能が衰えることで、皮膚が乾燥しやすくなります。
    これが原因で、特に冬場に全身(特にすね、太もも、背中など)に強い痒みが生じることがあります。
    皮脂欠乏性湿疹の一種と考えられます。

足に何もできていないのに痒いのはなぜ?

「足を見ても、湿疹や赤み、乾燥している様子も全くないのに、ひたすら痒い…」という場合、様々な可能性が考えられます。

最も可能性が高いのは、まだ見た目に現れていない程度の初期の皮膚の乾燥や、ごく軽微な刺激に対する反応です。
特に夜間、体が温まったり、衣類や寝具との摩擦があったりすることで、普段は感じないようなわずかな刺激にもかゆみを感じやすくなります。

また、前述した内臓の病気による全身性掻痒症の場合、初期には皮膚に目立った異常がないことがあります。
痒みが全身性であったり、痒み以外の症状を伴ったりする場合は、皮膚科だけでなく内科などの受診も検討すべきです。

さらに、ストレスや精神的な要因による心因性掻痒症の場合も、皮膚には全く異常がないことが一般的です。
他の原因が考えにくい場合や、心理的な負担が大きい場合は、専門家への相談が役立ちます。

このように、見た目に変化がなくても痒みがある場合は、皮膚のごく初期の変化、内臓疾患のサイン、あるいは心因性など、様々な原因が考えられます。
自己判断せず、痒みが続く場合は医療機関で相談することをおすすめします。

夜の足の痒みへの対処法

夜間の足の痒みを和らげ、快適な睡眠を取り戻すために、自宅でできる対処法がいくつかあります。
原因に応じた適切なケアを行うことが大切です。

正しい保湿ケアを行う

皮膚の乾燥が原因、あるいは痒みによって皮膚のバリア機能が低下している場合には、保湿ケアが非常に重要です。

保湿剤の種類と選び方:

保湿剤には、大きく分けて以下の種類があります。

  • ローション: さらっとしていて伸びが良く、広い範囲に塗りやすい。
    夏場など、べたつきが気になる季節にも使いやすい。
  • クリーム: ローションより油分が多く、しっかり保湿できる。
    一般的な乾燥に適している。
  • 軟膏: 最も油分が多く、保湿力・保護力が高い。
    特に乾燥がひどい場合や、皮膚がカサカサ・ゴワゴワしている場合に適している。
    刺激が少ないため、敏感肌の方にも使いやすい傾向がある。

足の乾燥の程度や季節、好みに合わせて使い分けましょう。
市販の保湿剤にも様々な種類がありますが、アレルギーテスト済みや敏感肌向けと記載されたものを選ぶと安心です。
医療機関で処方される保湿剤は、市販薬よりも有効成分が高濃度であったり、保険適用されたりするものがあります。

保湿剤の正しい使い方:

  • 塗るタイミング: 最も効果的なのは、入浴後やシャワー後の皮膚がまだ湿っている状態です。
    体を拭いたら、間を置かずにすぐに保湿剤を塗りましょう。
    これにより、皮膚の水分が蒸発するのを防ぎ、保湿成分が浸透しやすくなります。
  • 塗る量: ケチらず、たっぷり塗ることが大切です。
    目安としては、ティッシュペーパーが貼り付くくらいの量と言われています。
    特に乾燥しやすいすねや足首は念入りに塗りましょう。
  • 塗り方: 皮膚のキメに沿って、優しくなじませるように塗ります。
    ゴシゴシと擦り込むのは、皮膚に刺激を与えてしまうので避けましょう。
  • 頻度: 1日に1~2回、特に乾燥が気になる場合はそれ以上の回数塗っても構いません。
    継続することが何よりも重要です。

保湿ケアを続けることで、皮膚のバリア機能が回復し、痒みを感じにくい健康な肌状態を目指すことができます。

体を温めすぎない工夫

夜間、特に寝床で体が温まることで痒みが増す場合、体を温めすぎない工夫が有効です。

  • 入浴: 熱すぎるお湯での長風呂は、皮膚の皮脂を取り過ぎて乾燥を招き、痒みを悪化させることがあります。
    ぬるめのお湯(38~40℃程度)に、10~15分程度浸かるのがおすすめです。
    石鹸やボディソープの使用は、必要な部分だけにし、洗浄力がマイルドなものを選びましょう。
    ナイロンタオルなどでゴシゴシ洗うのも避けてください。
  • 寝具: 冬場に電気毛布を使用したり、厚手の毛布や羽毛布団を重ねすぎたりすると、体が温まりすぎて痒みが増すことがあります。
    掛け布団の枚数や素材を調節し、体温が上がりすぎないように工夫しましょう。
    通気性の良い素材や吸湿・放湿性に優れた素材(綿、シルクなど)のパジャマやシーツを選ぶのも効果的です。
  • 寝室の環境: 寝室の温度や湿度も重要です。
    冬場は暖房をつけすぎず、乾燥対策として加湿器を使用するのも良いでしょう。
    理想的な湿度は50~60%程度と言われています。
    夏場はエアコンを適切に使用し、寝汗をかきすぎないように調節しましょう。

生活習慣を見直す(ストレス、ダニ対策)

痒みは、皮膚だけでなく全身の状態とも密接に関わっています。
生活習慣を見直すことで、痒みの軽減につながることがあります。

  • ストレスマネジメント: ストレスは痒みを増悪させる要因となります。
    リラックスできる時間を作る、趣味を楽しむ、適度な運動を取り入れる、十分な睡眠を確保するなど、自分に合った方法でストレスを解消しましょう。
  • 寝具の清潔保持(ダニ対策): ダニによる痒みが疑われる場合、寝具の徹底的なケアが必要です。
    – シーツや布団カバーは週に1回程度洗濯し、高温乾燥機にかけるか、天日干しでしっかり乾燥させましょう。
    – 布団本体も定期的に干すか、布団乾燥機で高温処理を行いましょう。
    – 掃除機で寝具やベッド周りをこまめに掃除し、ダニの死骸や糞を取り除くことも重要です。
    吸引力の強い掃除機を使ったり、布団専用ノズルを使ったりすると効果的です。
    – 防ダニ加工の寝具やシーツを使用することも検討しましょう。
  • 食事: バランスの取れた食事を心がけ、皮膚の健康に必要な栄養素(タンパク質、ビタミン類、必須脂肪酸など)をしっかり摂取しましょう。
    特定の食品が痒みを誘発する場合(アレルギーなど)は、原因となる食品を避ける必要がありますが、自己判断せず専門家(医師や管理栄養士)に相談することをおすすめします。
  • 禁煙・節酒: 喫煙は血行を悪化させ、皮膚の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
    過度な飲酒も皮膚の炎症を悪化させたり、睡眠の質を低下させたりすることがあります。
    禁煙や節酒を心がけることも、痒みの改善につながる可能性があります。

これらの対処法は、痒みの原因が皮膚の乾燥や軽度な湿疹、あるいは一時的な刺激やストレスによる場合に有効です。
しかし、痒みが強い、長引く、見た目に明らかな異常がある、痒み以外の症状を伴うといった場合は、自己判断で済ませず、必ず医療機関を受診することが重要です。

病院を受診すべきケース・目安

夜間の足の痒みが続く場合や、症状が悪化している場合は、自己判断せずに医療機関を受診することをおすすめします。
専門家による適切な診断と治療を受けることで、痒みの原因が特定され、症状の改善が期待できます。

どんな症状があれば受診すべき?

以下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診することを検討しましょう。

【受診を検討すべき症状の目安】

症状のタイプ 具体的な状態 考えられる原因のヒント
痒みの程度 非常に強い痒みで、日常生活(特に睡眠)に支障が出ている 湿疹、内臓疾患、心因性など、原因に関わらず治療が必要な可能性が高い
痒みの持続期間 市販薬やセルフケアを試しても、数日〜1週間以上改善が見られない、あるいは悪化している 自己判断でのケアでは不十分な場合、より専門的な診断・治療が必要
見た目の変化 赤み、腫れ、発疹(ブツブツ、水ぶくれ)、かさつき、皮膚の厚み、色素沈着など、見た目に明らかな異常がある 皮膚炎、湿疹、感染症など、皮膚そのものの病気の可能性が高い
掻き壊し 痒くて我慢できずに掻いてしまい、皮膚が傷ついてジュクジュクしたり、出血したり、色素沈着ができてしまっている 感染のリスクや、湿疹の悪化を招いている可能性がある
痒みの範囲 足だけでなく、他の部位にも同様の痒みや皮膚症状が現れている(全身性掻痒) 内臓疾患や全身性の皮膚疾患(アトピー性皮膚炎など)、薬剤性などの可能性が高い
痒み以外の症状 痒みと同時に、以下の全身症状を伴う場合
・発熱、体重減少、倦怠感
・黄疸(皮膚や白目が黄色い)
・手足のしびれ
・リンパ節の腫れ
・異常なのどの渇き、頻尿
・皮膚以外の粘膜(口の中など)の異常
肝臓病、腎臓病、糖尿病、血液疾患、悪性腫瘍、甲状腺疾患など、内臓疾患が原因である可能性が高い。緊急性の高い場合もある。
特定の状況での発生 新しい薬を飲み始めてから痒みが出始めた、特定の物質に触れた後に痒みが出たなど、明らかな誘因がある 薬剤性、接触皮膚炎、アレルギー反応などの可能性が高い
不安が強い 痒みの原因が分からず、強い不安を感じている、あるいは痒みによって精神的に参ってしまっている 心因性掻痒症の可能性や、専門家による心のケアが必要な場合がある

これらの症状は、単なる乾燥ではない皮膚の病気や、体の中で何か問題が起きているサインかもしれません。
特に、痒み以外の全身症状を伴う場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。

何科を受診すれば良い?

足の痒みで病院を受診する場合、まずは皮膚科を受診するのが一般的です。

皮膚科医は、皮膚の状態を専門的に診察し、乾燥、湿疹、アレルギー、感染症など、皮膚そのものに原因がある病気を診断・治療します。
必要に応じて、皮膚の一部を採取して詳しく調べたり(皮膚生検)、アレルギー検査を行ったりすることもあります。

皮膚科医の診察の結果、皮膚に明らかな異常が見られない場合や、全身症状を伴う場合など、内臓の病気が疑われる場合は、皮膚科医から内科や他の専門科への受診を勧められることがあります。

例えば、黄疸がある場合は消化器内科や肝臓内科、手足のしびれがある場合は糖尿病科や神経内科、リンパ節の腫れや原因不明の発熱がある場合は血液内科などが考えられます。

受診の際のポイント:

  • いつから痒みが出たか、どのような時に痒みが強くなるか(特に夜間か?)、痒みの程度、痒みの範囲などを具体的に伝えましょう。
  • 痒み以外にどのような症状があるか、持病や内服中の薬(市販薬やサプリメントも含む)についても正確に伝えましょう。
  • 最近、何か生活環境の変化があったか(引っ越し、ペットを飼い始めた、寝具を変えたなど)、特定の物質に触れたかなども伝えるヒントになります。
  • スマートフォンなどで足の痒みの状態(湿疹などがある場合)を写真に撮っておくと、診察時に役立つことがあります。

自己判断で原因を決めつけず、専門家である医師に症状を詳しく伝えることが、適切な診断と治療への第一歩となります。

まとめ:夜間の足の痒み、気になる場合は専門家へ相談を

夜になると足が痒いという症状は、多くの人が経験する一般的な悩みですが、その背景には様々な原因が隠されている可能性があります。
単なる皮膚の乾燥や湿疹だけでなく、全身の病気や心理的な要因が関わっていることもあります。

夜間の痒みが増すのは、夜間に体が温まり血行が促進されること、痒みへの意識が向きやすくなること、部屋の乾燥などが複合的に影響するためと考えられています。

考えられる主な原因としては、以下のものが挙げられます。

  • 皮膚のトラブル: 乾燥(皮脂欠乏性湿疹)、湿疹・皮膚炎(アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、貨幣状湿疹など)、虫刺され(ダニなど)
  • 内臓の病気: 肝臓病、腎臓病、糖尿病、血液疾患、甲状腺疾患、悪性腫瘍など
  • その他の要因: ストレスや精神的な影響(心因性掻痒症)、薬剤性、妊娠など

自宅でできる対処法としては、保湿ケアをしっかり行うこと、体を温めすぎない工夫をすること、そしてストレスマネジメントやダニ対策など生活習慣を見直すことが有効です。

しかし、痒みが強い、長引く、見た目に明らかな異常がある、痒み以外の全身症状がある場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
まずは皮膚科を受診し、必要に応じて他の専門科へ紹介してもらうのが良い流れです。

夜間の足の痒みは、放置すると睡眠不足を招き、生活の質を著しく低下させる可能性があります。
また、重大な病気のサインであることも否定できません。
一人で悩まず、気になる症状があれば、専門家である医師に相談し、原因を特定して適切な治療を受けることが大切です。

免責事項:
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や診断を代替するものではありません。
個々の症状については、必ず医師やその他の医療専門家にご相談ください。
この記事の情報に基づいて発生したいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。

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