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うつ病の人にかける言葉|心に寄り添う声かけとNGな言葉

大切な家族や友人がうつ病になった時、「何か力になりたい」と思う一方で、「どんな言葉をかけたら良いのだろう」「不用意な一言で傷つけてしまったらどうしよう」と悩んでしまうのは、とても自然なことです。相手を大切に思うからこそ、言葉選びは慎重になります。

この記事では、うつ病で苦しんでいる人へかける言葉に悩むあなたのために、具体的なNGワードや、相手が安心する言葉、そして状況別の正しい接し方までを詳しく解説します。大切な人に寄り添うためのヒントがきっと見つかるはずです。

目次

うつ病の人への基本的な接し方・心構え

言葉をかける前に、まずうつ病の人と接する上での基本的な心構えを理解しておくことが非常に重要です。正しい理解が、適切なサポートの第一歩となります。

うつ病とはどういう状態か理解する

うつ病は、「気持ちの弱さ」や「甘え」が原因で起こるものではありません。ストレスなどをきっかけに、脳のエネルギーが極端に低下し、感情や意欲をコントロールする機能がうまく働かなくなる「脳の病気」です。

  • エネルギーの枯渇: 何もする気力が起きない、起き上がれない。
  • 思考力の低下: 集中できない、決断ができない。
  • 感情のコントロール不能: 理由もなく悲しくなる、涙が止まらない、イライラする。
  • 身体的な不調: 眠れない、食欲がない、頭痛やめまいがする。

このように、本人の意思ではどうにもならない状態にあることを理解しましょう。「気の持ちようで何とかなる」という考えは、本人をさらに追い詰めてしまう可能性があります。

まずは見守ることから始める

「何かしてあげなければ」と焦る気持ちは分かりますが、まずは静かに見守ることが基本です。本人が安心して休める環境を整え、そっと寄り添う姿勢が何よりも大切になります。過度な干渉や励ましは、かえってプレッシャーになることがあります。

否定せず、ただ話に耳を傾ける

もし本人が自分の気持ちを話し始めたら、アドバイスや意見をしようとせず、ただひたすら耳を傾けてください。これを「傾聴」と言います。

「それは違うよ」「もっとポジティブに考えなよ」といった否定や評価は絶対に避けましょう。「つらいんだね」「そう感じているんだね」と、相手の言葉をそのまま受け止め、共感する相槌を打つだけで、本人は「理解してもらえた」と少しだけ安心することができます。

かけてはいけない言葉とその理由

良かれと思ってかけた言葉が、うつ病の人を深く傷つけてしまうことがあります。ここでは、代表的なNGワードとその理由を解説します。

具体的なNGワード集

NGワードの例 なぜNGなのか
頑張って すでに限界まで頑張っており、これ以上頑張れない自分を責めてしまう。
気の持ちようだよ 病気の状態を本人の気持ちの問題だと否定することになり、追い詰める。
甘えるな、しっかりしろ 病気のつらさを理解せず、人格を否定する言葉。最も傷つける言葉の一つ。
いつ治るの? 回復を焦らせ、プレッシャーを与える。本人が一番治したいと思っている。
もっとつらい人もいる 他人と比較されることで、自分のつらさを軽視されたと感じ、孤立感を深める。
気分転換に〜へ行こう 外出や活動するエネルギーがなく、誘いを断ることに罪悪感を抱かせてしまう。
なぜ?どうして? 原因を追及されると、自分を責める思考に陥りやすい。

なぜ「頑張って」はいけないのか?

「頑張って」という言葉は、日常でよく使われる応援の言葉ですが、うつ病の人にとっては最も避けるべき言葉の一つです。

うつ病の人は、症状と闘いながら、周囲に迷惑をかけたくないという思いで、すでに心身の限界を超えて頑張っています。その状態で「頑張って」と言われると、「これ以上どう頑張ればいいんだ」「頑張りが足りないと思われているんだ」と感じ、絶望的な気持ちにさせてしまうのです。

その他のタブーとされる言葉

  • 安易な励まし: 「元気出して」「前向きに」といった言葉は、そうできない自分を責める原因になります。
  • 楽観的な言葉: 「すぐ良くなるよ」「心配いらない」といった根拠のない言葉は、つらい現実とのギャップに本人を苦しめます。
  • 原因の詮索: 「何が原因なの?」と問い詰めることは、本人を混乱させ、罪悪感を増大させる可能性があります。

鬱の人が喜ぶ・安心する言葉

では、どのような言葉をかければ良いのでしょうか。重要なのは、評価せず、無理強いせず、相手の存在そのものを肯定することです。

具体的な「良い言葉」の例

  • 「ゆっくり休んでね」
  • 「何もできなくてもいいんだよ」
  • 「つらい時はいつでも話を聞くよ」
  • 「そばにいるからね」
  • 「あなたがいてくれるだけで嬉しい」
  • 「生きていてくれるだけで十分だよ」

これらの言葉は、相手に何かを要求するのではなく、安心感と安全な場所を提供します。

共感と理解を示す言葉

本人がつらさを口にした時は、その気持ちに寄り添う言葉が効果的です。
「それはしんどかったね」「つらい気持ちを話してくれてありがとう」といった共感の言葉は、本人の孤独感を和らげます。

存在を肯定する言葉

うつ病になると、自己肯定感が著しく低下し、「自分には価値がない」「迷惑ばかりかけている」と感じがちです。
そんな時に、「あなたがいるだけで私の支えになっているよ」「無理しなくていいからね」といった無条件で相手の存在を肯定する言葉は、何よりの救いになります。

選択肢を与える言葉

何か手伝いを申し出る際は、相手にプレッシャーを与えない聞き方が大切です。
「何かしてほしいことある?」と聞くよりも、「何か私にできることがあったら、いつでも言ってね」と、行動するかどうかの選択肢を相手に委ねる形が望ましいでしょう。これにより、本人は自分のペースで助けを求めることができます。

状況別の声かけと接し方のポイント

相手との関係性によって、適切な距離感や接し方は変わってきます。

家族への声かけ・接し方

毎日顔を合わせる家族は、最も身近なサポーターですが、その分、過干渉になりやすい側面もあります。

  • 本人のペースを尊重する: 「早く寝なさい」「ちゃんと食べなさい」と管理するのではなく、本人が自分で決められるように見守りましょう。
  • 言葉より行動で示す: 食事の準備や部屋の片付けなど、本人ができずつらいと感じていることを黙ってサポートする行動が、安心感につながります。
  • 家庭を安全な場所にする: 家事や育児などの負担を減らし、本人が罪悪感なく休める環境を作りましょう。

友人・知人への声かけ・接し方

友人や知人の場合は、家族とは異なる「つかず離れず」の距離感が重要です。

  • 無理に会おうとしない: 本人から連絡がない限り、無理に会う約束を取り付けようとするのは避けましょう。
  • 見守っていることを伝える: 「最近どうかなと思って。返信は気にしないでね」といった短いメッセージで、気にかけていることを伝えるだけで十分です。
  • いつも通りの自分でいる: 会えた時には、変に気を遣いすぎず、いつも通りに接することが、相手の心を楽にすることもあります。

LINEやメールでの連絡方法

会えない時のコミュニケーション手段としてLINEやメールは有効ですが、使い方には配慮が必要です。

  • 短く、簡潔に: 長文は読むだけでエネルギーを消耗させてしまいます。
  • 質問形を避ける: 「元気?」「調子はどう?」といった質問は、返信の義務感を生み、負担になります。
  • 「返信不要」と添える: 「返信は気にしないでね」「読んでもらうだけで嬉しいよ」と一言添えるだけで、相手のプレッシャーは大きく軽減されます。
  • ポジティブな近況報告: 「近所の桜が綺麗だったよ」といった、返事を必要としない穏やかな近況報告も良いでしょう。

うつ病の人への連絡はどうする?

連絡の頻度やタイミングに悩むことも多いでしょう。

連絡しない方が良い場合とは?

本人がSNSの更新を一切やめたり、「そっとしておいてほしい」という意思表示をしたりした場合は、一時的に連絡を控えるのが賢明です。連絡が途絶えても、それは関係が悪化したわけではなく、本人が回復に集中するための時間だと理解しましょう。

適度な連絡と見守りのバランス

完全に連絡を絶つのではなく、例えば数週間に1回程度、「元気にしてるかな?寒くなってきたから暖かくしてね。返信は不要です」といった短いメッセージを送るのは有効です。これにより、「自分は忘れられていない」という安心感を与えることができます。

返信できない状態への理解

うつ病の症状が重いときは、メッセージを読んで理解することはできても、内容を考えて返信するだけのエネルギーが残っていません。既読になっても返信がないのは、あなたのことを無視しているわけでは決してないのです。「既読スルー=元気な証拠」くらいに捉え、気にしないようにしましょう。

うつ病の回復をサポートするために大切なこと

焦らず、長い目で見守ることが、回復への一番の近道です。

専門家への相談を勧めるタイミング

本人の状態が明らかに悪化している、自傷や自殺をほのめかす言動が見られる、といった場合は、迷わず専門家への相談を促しましょう。

その際は、「病院へ行きなさい」と命令するのではなく、「あなたのことがとても心配だから、一度専門の先生に相談してみない?」「よかったら一緒に病院を探そうか?」と、寄り添う姿勢で優しく提案することが大切です。

焦らず回復を見守る姿勢

うつ病の回復は、一直線に進むわけではありません。良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、ゆっくりと時間をかけて回復していきます。一喜一憂せず、「三歩進んで二歩下がる」のが当たり前だと理解し、長い目で見守りましょう。

そして何より、サポートするあなた自身の心と体の健康も大切にしてください。一人で抱え込まず、信頼できる人に相談したり、公的な支援機関を利用したりすることも検討しましょう。あなたが元気でいることが、結果的に大切な人を支える力になります。

免責事項:この記事はうつ病の方への接し方に関する情報提供を目的としており、医学的な診断や治療に代わるものではありません。心身の不調を感じる場合や、ご家族の対応に悩む場合は、必ず精神科や心療内科などの専門医療機関にご相談ください。

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