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診断書がもらえないケースとは?原因と対処法を徹底解説

病気や怪我で仕事を休む必要がある時、公的な手続きを行う時など、診断書が必要になる場面は少なくありません。「医師に診断書を発行してもらえなかった」「どうして断られたんだろう?」そんな経験や疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

診断書は単なる書面ではなく、医師が患者さんの健康状態や病状、経過などを医学的な根拠に基づいて証明する重要な書類です。しかし、残念ながらすべてのケースで希望通りに診断書が発行されるわけではありません。医師には診断書の発行義務がありますが、同時に発行を拒否できる「正当な事由」も法律で認められています。

この記事では、診断書が発行してもらえないのはなぜなのか、医師が発行を拒否できる法的な理由や具体的なケース、そして過去の診察に対する診断書発行について、医師法に基づきながら詳しく解説します。さらに、診断書発行をスムーズに依頼するための注意点や、もし拒否された場合の対処法についてもご紹介します。この記事を読めば、診断書発行に関する疑問が解消され、必要な時に適切に対応できるようになるでしょう。

診断書 もらえないケースとは?医師が発行を拒否できる理由

診断書は、医師がその権威と専門性に基づいて作成する公的な意味合いを持つ文書です。患者さんの状態を客観的に証明するものであり、様々な手続きや判断の根拠となります。しかし、発行の依頼をすれば必ずしも応じてもらえるわけではありません。医師法には、医師の診断書作成義務と、その義務が免除されるケースが定められています。まずは、診断書発行の基本的な考え方と、医師が発行を拒否できる法的な根拠について見ていきましょう。

目次

診断書発行の基本的な前提|なぜ診察が必要なのか?

診断書は、医師が診察を通じて得た医学的知見に基づいて作成されます。ここが、診断書が信頼されるための最も重要な前提です。

医師法第20条の規定と診断書の信頼性

医師法第20条には、医師は「自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付してはならない」と明確に定められています。これは「無診察治療等の禁止」と呼ばれる規定です。この規定は、医師が実際に患者さんの状態を把握しないまま診断や治療を行うことを禁じ、医療行為の適正を確保することを目的としています。

診断書についても同様で、医師は患者さんを直接診察し、その時点または診療期間を通じて確認した症状、身体所見、検査結果などに基づかなければ診断書を作成できません。これにより、診断書に記載される内容の正確性と信頼性が担保されます。

診察に基づかない診断書は原則作成できない

前述の医師法第20条にあるように、医師は原則として診察をせずに診断書を作成することはできません。これは、患者さんが「前に診てもらった時と同じような症状だから」「いつものことだから」と考えて、診察を受けずに診断書だけを依頼した場合でも変わりません。

診断書に記載される「診断名」「病状の程度」「治療期間の見込み」「就労の可否」などは、その時点の患者さんの状態を正確に反映している必要があります。症状は変化する可能性がありますし、合併症や新たな問題が生じていることもあります。診察を通じて最新の情報を得なければ、正確な診断書は作成できないのです。

例外的に、例えば患者さんが死亡した後に死亡診断書を作成する場合など、特別の規定がある場合や、過去の診療記録に基づき、その時点での病状などを記載する一部の診断書については、直近の診察を伴わないケースもあり得ますが、これもあくまで診療記録という医学的根拠に基づいています。基本的には、診断書発行には原則として診察が伴う、という点を理解しておくことが重要です。

診断書をもらえない「正当な事由」とは?医師が拒否できる法的根拠

医師は、患者さんから診断書の発行を求められた場合、正当な事由がなければこれを拒むことはできません(医師法第19条第2項)。これは医師の重要な義務の一つです。しかし、この「正当な事由」がある場合には、医師は診断書の発行を拒否することが法的に認められています。では、具体的にどのようなケースが「正当な事由」に当たるのでしょうか。

医師法第19条第2項に定められた拒否事由

医師法第19条第2項では、「診察若しくは検案を求められた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められています。この条文は主に診察や検案の求めに対するものですが、診断書の作成も診察に基づいて行われるため、診断書の発行についても「正当な事由」があれば拒否できると解釈されています。

「正当な事由」の具体的な内容は法律で明記されているわけではなく、個別の状況に応じて判断されます。過去の裁判例や厚生労働省の見解、医師会などの指針などが参考になります。一般的に、「正当な事由」と認められる可能性があるのは、以下のようなケースです。

患者に病名を知らせない方が良い場合

患者さんの病状や精神状態によっては、診断名や病状の詳細を知らせることが、かえって患者さんの心身に悪影響を及ぼす可能性があると医師が判断する場合があります。例えば、

  • 重篤な病気で、患者さんがまだ病名告知を受けられる精神状態にない場合:告知が強い精神的ショックを与え、治療に悪影響を及ぼしたり、自殺のリスクを高めたりする可能性がある場合。
  • 特定の精神疾患で、病名告知が妄想や不安を増強させる可能性がある場合:患者さんの病状理解が困難であり、病名を知ることで混乱を招く場合。
  • パニック障害や不安障害などで、病名告知や詳細な病状説明が強い恐怖心や症状悪化につながる可能性がある場合:患者さんの特性を考慮し、病状の伝え方を慎重に判断する必要がある場合。

このようなケースでは、医師は患者さんの最善の利益を考慮し、あえて病名を記載した診断書の発行を避けたり、内容を限定したりすることがあります。ただし、これは患者さん本人の依頼に対するもので、ご家族などへの説明は別途検討されるべき問題です。

診断書が不正利用される恐れがある場合

診断書が悪用される可能性があると医師が判断した場合も、発行を拒否する「正当な事由」となり得ます。診断書は公的な証明力を持つため、不正な目的で使用されることは社会的な信頼を損ない、場合によっては犯罪にもつながりかねません。

例えば、

  • 虚偽の病状を記載させようとする場合:実際にはない症状や病状を診断書に記載するよう強く要求された場合。
  • 傷病手当金や保険金の不正受給目的が疑われる場合:実際の病状と診断書の記載内容に乖離がある、または患者さんの言動から不正受給を計画している可能性が疑われる場合。
  • 裁判や係争において、事実を歪める目的で使用しようとする場合:病状を誇張したり、存在しない後遺障害を記載させようとしたりする場合。
  • 第三者への脅迫や恐喝に診断書を利用しようとする場合:診断書を武器に、特定の人物に圧力をかけようとする意図がうかがえる場合。

医師は、診断書の依頼を受けた際に、その利用目的や患者さんの言動などから、不正な目的があると判断した場合、発行を拒否する正当な事由となります。医師には、医学的な真実に基づいた診断書を作成する義務があり、虚偽の内容の診断書を作成することは許されません。

患者本人以外からの診断書発行請求

診断書は、原則として患者さん本人のプライバシーに関わる情報が記載されています。そのため、患者さん本人以外からの診断書発行請求は、「正当な事由」となり得ます。

  • 患者さんの同意や委任状がない第三者からの請求:例えば、患者さんの配偶者や親、職場、学校などから、患者さん本人の同意なしに診断書の提出を求められた場合。個人情報保護の観点から、医師は安易に第三者に患者さんの医療情報を提供することはできません。
  • 成年後見人や代理権限を持つ者からの請求:この場合は原則として発行可能ですが、その権限の範囲や診断書の利用目的によっては、医師が慎重に判断することもあります。
  • 死亡した患者さんの診断書請求:死亡診断書や死体検案書は、遺族など一定の範囲の人物が請求できますが、それ以外の診断書については、利用目的や請求者の関係性によっては発行が制限されることがあります。

患者さん本人以外が診断書の発行を依頼する場合は、患者さん本人の明確な同意を示す委任状などが必要となるのが一般的です。プライバシー保護は医師の重要な義務の一つであるため、医師はこの点を厳格に判断します。

医学的な判断が困難な場合

診断書に記載する内容について、医学的な判断が困難である場合も、医師が発行を拒否する正当な事由となり得ます。診断書は医学的な根拠に基づいていなければならず、医師の専門性をもって判断できない事項を記載することはできません。

  • 診断基準を満たさない場合:依頼された診断名について、患者さんの症状や検査結果が医学的な診断基準を満たしていない場合。
  • 原因や診断が確定していない場合:症状はあるものの、現時点では原因が不明であったり、診断が確定する段階に至っていなかったりする場合。経過観察が必要であったり、さらなる検査が必要であったりする場合。
  • 将来の病状や経過の断定:特定の治療の効果や、将来的な病状の推移、後遺障害の有無などを現時点で断定的に記載することが、医学的に困難である場合。診断書は基本的に「現時点」または「過去の診療時点」での医学的事実を記載するものです。
  • 非医学的な内容の記載要求:「〇〇できるようになることを保証する」といった、医学的な証明の範囲を超える内容や、因果関係が医学的に不明確な事項を記載するよう求められた場合。

医師は、自身の医学的な知識と経験に基づき、客観的な根拠がある範囲でのみ診断書を作成できます。根拠のないことや、医学的に判断できないことを記載することは、医師の職業倫理に反するため、このような依頼は拒否されることになります。

医師が診断書の発行を「必要なし」と判断するケース

法的な「正当な事由」とまでは言えないものの、医師が診断書の作成を「必要なし」あるいは「不適切」と判断し、結果として発行を拒否または難色を示すケースも存在します。これらは、法的な義務以前に、医師の医学的な判断や職業倫理に基づくものです。

症状や診断が客観的に確認できない場合

患者さんが訴える症状が、医師の診察や客観的な検査では確認できない場合、診断書の発行が難しくなることがあります。

  • 自覚症状のみの場合:例えば、「疲労感が強い」「なんとなく体調が悪い」といった自覚症状のみで、発熱、炎症反応、画像所見など、医学的に客観的な所見が得られない場合。
  • 症状が軽微で診断書にする必要性が乏しい場合:風邪の初期症状など、数日で回復が見込まれるような軽微な症状で、休業などを要するほどの状態ではないと判断される場合。
  • 仮病や詐病が疑われる場合:患者さんの訴えと診察所見に明らかな矛盾がある、あるいは過去の受診歴などから仮病の可能性が高いと医師が判断した場合。

診断書は、医学的な事実を証明するものです。客観的な根拠がない、あるいは乏しい状態で診断書を作成することは、その信頼性を損ないます。医師は、自身の専門性に基づいて、診断書を作成するに足る医学的な根拠があるかを判断します。

診断書の利用目的が不適切と判断される場合

診断書そのものの内容に問題はなくても、患者さんが診断書を利用しようとしている目的が、医療の目的や社会通念上不適切であると医師が判断した場合も、発行を拒否されることがあります。

  • 単なる好奇心や自己満足のため:特に手続き等が必要なわけではなく、「自分の病名を書いてもらいたい」「記念にほしい」といった目的の場合。
  • 第三者への嫌がらせや報復のため:診断書の内容を盾に、特定の人物を精神的に追い詰めたり、困らせたりする目的がうかがえる場合。
  • 社会的なルールや倫理に反する目的:例えば、不正な行為を正当化するために診断書を利用しようとする場合など。

医師は、単に患者さんの求めに応じるだけでなく、診断書が社会的にどのように利用されるかについても一定の配慮を行うことがあります。不適切な目的での診断書発行は、医師自身の信頼性だけでなく、医療界全体の信頼を損なう可能性があるため、慎重な判断が求められます。

【表:診断書発行を断られる主なケースの比較】

ケース分類 具体的な状況例 医師の判断根拠 法的根拠との関連性
正当な事由(医師法) 患者に重篤な病名を伝えない方が良い 患者の心身への悪影響回避 医師法19条2項(診察/検案の拒否事由に準ずる解釈)
診断書が不正利用(詐欺など)される恐れがある 診断書の信頼性維持、不正防止、職業倫理 医師法19条2項に準ずる解釈、虚偽診断書作成の禁止
患者本人以外からの請求(同意なし) プライバシー保護(個人情報保護法など)、守秘義務 医師法19条2項に準ずる解釈、守秘義務違反の可能性
医学的な判断が困難(診断未確定、根拠乏しい) 医学的真実性・正確性の担保、職業倫理 医師法20条(無診察診断の禁止)の間接的な適用、職業倫理
必要なしと判断されるケース 客観的な症状・所見がない(自覚症状のみ) 医学的根拠の欠如 法的拒否事由ではないが、医学的判断に基づく不作成
利用目的が不適切(嫌がらせ、好奇心) 医療の目的からの逸脱、社会通念上の不適切さ、職業倫理 法的拒否事由ではないが、職業倫理に基づく不作成

※上記の表は一般的な傾向を示すものであり、個別のケースによって判断は異なります。

過去の診察に対する診断書発行は可能か?

「以前、〇〇で診察してもらった時の診断書がほしい」と依頼するケースもあるでしょう。過去の診察に対する診断書発行は可能なのでしょうか?

原則は診療時の状況に基づく記載

診断書は、原則として診察を行った時点における患者さんの病状や診断を記載するものです。過去の診察に対する診断書を依頼された場合、医師は当時の診療記録(カルテなど)を確認し、その記録に基づいた診断書を作成することになります。

つまり、診断書に記載される内容は、依頼を受けた時点の最新の病状ではなく、過去の診察日またはその期間における医学的な事実に限られます。

診療記録に基づき後から発行可能な場合もある

過去の診察に対する診断書は、当時の診療記録が正確かつ詳細に残っている場合に限り、後から発行が可能な場合があります。

  • 記録が明確な場合:診療記録に、診断名、症状、行った検査とその結果、処方内容、病状の経過などが具体的に記載されており、医師がその記録から当時の医学的な判断を再現できる場合。
  • 比較的最近の受診である場合:あまりにも期間が経過していると、当時の状況を正確に判断することが難しくなるため、比較的最近の受診であれば発行しやすい傾向があります。
  • 特定の目的で様式が決まっている場合:例えば、過去の傷病に対する障害年金申請など、特定の期間の病状を証明する診断書で、様式が定められている場合など。

ただし、以下のような場合は、過去の診察に対する診断書の発行が困難、あるいは不可能な場合があります。

  • 診療記録がない、または不十分な場合:受診記録が残っていなかったり、記録があっても内容が簡潔すぎて当時の病状や診断の根拠が不明確であったりする場合。
  • 期間が著しく経過している場合:何年も前の受診について、当時の状況を正確に証明することが医学的に困難な場合。
  • 依頼内容が診療記録と矛盾する場合:患者さんの依頼内容が、当時の診療記録に記載されている事実と明らかに異なる場合。
  • 依頼された内容が、過去の診療時点では判断できなかった事項である場合:例えば、過去のある時点での症状が、後になって別の病気(過去の診療時点では診断されていなかった病気)によるものであったと証明する診断書など、過去の診療記録だけでは記載の根拠がない場合。

過去の診断書発行を依頼する際は、いつ頃どのような症状で受診したのか、診断書の利用目的などを医師に正確に伝え、当時の診療記録に基づいて発行が可能か相談する必要があります。医師は診療記録を確認し、発行の可否を判断します。

診断書発行を依頼する際の注意点と対処法

診断書の発行をスムーズに行うためには、患者さん側もいくつかの点に注意し、医師に協力することが大切です。また、万が一発行を拒否された場合の対処法も知っておくと安心です。

医師へ症状と診断書の必要性を正確に伝える

診断書の発行を依頼する際は、まずご自身の現在の症状や体調を医師に正確に伝えましょう。診断書は診察に基づいて作成されるため、医師が正確な状態を把握することが不可欠です。

さらに、なぜ診断書が必要なのか、その利用目的を明確に伝えることも非常に重要です。例えば、「会社に提出して休職の手続きに使う」「学校に提出して授業を欠席した証明にする」「公的な制度(傷病手当金、障害年金など)の申請に使う」といった具体的な目的を伝えましょう。これにより、医師は診断書に記載すべき内容や重要度を理解しやすくなります。

利用目的が不明確であったり、曖昧であったりすると、医師は診断書の必要性を判断できなかったり、利用目的が不適切なのではないかと疑念を抱いたりする可能性があります。正直かつ具体的に目的を伝えることが、スムーズな発行への第一歩です。

必要な診断書の様式や提出先を明確にする

提出先によっては、指定された診断書の様式がある場合があります。例えば、会社の休職診断書、傷病手当金申請書、障害年金申請書など、特定の様式に医師が記入する必要がある場合です。

依頼する際は、指定の様式があるかどうかを確認し、もしあれば必ず持参して医師に提示しましょう。様式によって記載すべき項目が異なるため、医師が適切な内容を記載するために必要不可欠です。

また、提出先がどこであるかを伝えることも役立ちます。提出先に応じて、医師が診断書に含めるべき情報(例:勤務に関する配慮の必要性、特定の期間の病状など)を判断する際の参考になることがあります。

診断書発行を拒否された場合の対応策

もし診断書の発行を拒否された場合、感情的にならず、冷静に対応することが大切です。

  1. 拒否された理由を確認する: まずは、医師に「なぜ診断書を発行できないのでしょうか?」と理由を丁寧に尋ねましょう。医師は「正当な事由」や医学的な判断に基づいて拒否しているはずです。理由を理解することで、問題が解決できる場合もあります。

    • 理由が「正当な事由」に該当する場合: 法的に認められた理由であれば、その医師から診断書の発行を受けることは難しいかもしれません。例えば、不正利用の恐れがある場合は、ご自身の依頼内容に問題がないか見直す必要があります。
    • 理由が医学的な判断に基づく場合: 「現時点では診断書を作成するほどの病状ではない」「客観的な根拠がない」といった理由であれば、今後の治療方針について医師とよく相談し、病状の改善や経過観察を通じて、将来的に診断書が必要になる状況か改めて判断してもらうことになります。また、追加の検査などで診断の確定を待つ必要があるかもしれません。
    • 理由が手続き上の問題である場合: 必要な様式を持ってこなかった、医師の専門外であるといった理由であれば、改めて依頼する、あるいは適切な診療科や医療機関を紹介してもらうなどの対応が可能かもしれません。
  2. 他の医師への相談: 同じ医療機関内の別の医師や、別の医療機関の医師にセカンドオピニオンを求める形で相談することも一つの方法です。ただし、診断書は診察に基づかなければならないため、改めて診察を受けて、その医師の判断を仰ぐことになります。病状や経緯を正確に伝えることが重要です。
  3. 公的な相談窓口の利用: 診断書発行に関するトラブルや疑問がある場合は、お住まいの地域の医師会や医療に関する相談窓口に問い合わせてみることも検討できます。ただし、診断書の作成可否は最終的に医師の医学的判断によるため、必ずしも希望通りの解決が得られるとは限りません。あくまで相談や情報の提供を受ける窓口として利用しましょう。
  4. 提出先の担当者との相談: 診断書の提出を求められている先(会社、学校、役所など)の担当者に、診断書の発行が困難であることを伝え、代替となる書類(例:受診証明書、診療明細書など)で対応可能か相談してみるのも現実的な方法です。

重要なのは、医師との良好なコミュニケーションを心がけることです。診断書は、患者さんの状態を医師が責任をもって証明する書類であることを理解し、なぜ必要なのか、どのように利用するのかを正確に伝える努力をしましょう。

シアリスED治療薬についてよくある質問

ここからは、診断書発行に関するよくある疑問にお答えします。

診断書の種類(傷病手当金、障害年金、休職、学校提出など)による違いは?

診断書は、提出先や目的に応じて様々な種類があります。形式や記載すべき項目が異なるのが一般的です。

  • 傷病手当金: 健康保険組合などに提出。特定の傷病により労務不能であることを証明。発病日、初診日、病名、症状、労務不能と認められる期間などが主な記載項目。
  • 障害年金: 日本年金機構などに提出。病気や怪我による障害の状態が、定められた基準に該当することを証明。病歴、現在の病状、日常生活能力の状態、予後見込みなどが詳細に記載される。多くの場合、指定の様式がある。
  • 休職・復職: 会社に提出。病状により休職が必要であること、または回復により復職が可能であることを証明。病名、症状、休職期間の目安、就労の可否、勤務上の配慮事項などが記載される。会社の指定様式があることも多い。
  • 学校提出: 学校に提出。病気や怪我による欠席や配慮の必要性を証明。病名、欠席期間、安静にする必要性、運動制限などが記載される。

どの診断書も医師が医学的な根拠に基づいて作成しますが、提出先が求める情報に合わせて内容は調整されます。依頼する際は、どの種類の診断書が必要なのかを明確に伝え、指定様式があれば必ず提示しましょう。

診断書に期限はあるか?

診断書自体に法的に定められた有効期限はありません。しかし、診断書に記載される病状は、時間の経過とともに変化する可能性があります。そのため、提出先が「発行日から〇ヶ月以内のもの」など、独自の有効期限や要件を設けているのが一般的です。

例えば、公的な手続きや会社の休職手続きなどでは、「発行から3ヶ月以内の診断書」のように指定されることが多いです。診断書を提出する前に、提出先のルールを確認しておくことが重要です。必要に応じて、最新の状態に基づいた診断書を改めて依頼する必要があります。

また、過去の診断書を依頼する場合も、その診断書が当時の状態を証明するものであるため、現在の状態を証明するものではない点に注意が必要です。

費用はどのくらいか?保険適用は?

診断書の発行費用は、医療機関によって異なります。健康保険は適用されず、自由診療扱いとなります。費用相場は、簡単な診断書であれば1通数千円程度ですが、傷病手当金や障害年金など、記載項目が多く詳細な証明が必要な診断書は、5,000円~1万円以上かかることもあります。

医療機関の受付などに料金表が掲示されているか、事前に問い合わせて確認すると良いでしょう。

セカンドオピニオンで診断書はもらえるか?

セカンドオピニオンは、現在の診断や治療法について、主治医以外の医師の意見を聞くことを目的としています。セカンドオピニオン外来では、通常、診断書の発行は行われません。これは、セカンドオピニオンの医師は診断や治療を行うのではなく、意見を提供する立場だからです。

しかし、セカンドオピニオンを受けた結果、その医師に改めて診断や治療を依頼し、通常の診察に移行した場合は、その後の診察に基づいて診断書を作成してもらうことは可能です。

あくまでセカンドオピニオンは「意見を聞く」場であり、診断書の発行を目的としたものではないことを理解しておきましょう。

受診していない医療機関の診断書はもらえる?

原則として、受診していない医療機関の診断書は発行してもらえません。診断書は、医師が自ら診察し、確認した医学的な事実に基づいて作成されるものだからです(医師法第20条)。

「他の病院で診断された病名だけを書いてほしい」「〇〇という病気だと言われたので、診断書だけ発行してほしい」といった依頼は、無診察診断にあたるため、医師は応じることができません。診断書が必要な場合は、必ずその医療機関で診察を受け、その医師の診断に基づいて発行を依頼する必要があります。

【まとめ】診断書 もらえないケースを理解し、適切に依頼しよう

診断書は、医師が患者さんの健康状態や病状を医学的根拠に基づいて証明する非常に重要な書類です。しかし、この記事で見てきたように、医師には法的に診断書発行を拒否できる「正当な事由」が存在します。また、法的な拒否事由に至らなくても、医学的な判断や職業倫理に基づいて発行を「必要なし」「不適切」と判断するケースもあります。

診断書がもらえない主なケースとしては、以下の状況が考えられます。

  • 医師法に基づく「正当な事由」がある場合(患者への悪影響、不正利用の恐れ、本人以外の請求、医学的判断の困難)
  • 医師が医学的根拠や利用目的から「必要なし」と判断した場合(客観的所見の欠如、不適切な利用目的)
  • 過去の診察に対する依頼で、診療記録が不十分などの理由により、当時の状況を正確に証明できない場合
  • そもそも診察を受けていない医療機関への依頼

診断書の発行をスムーズに行うためには、患者さん側も協力が必要です。まずは、なぜ診断書が必要なのか、その利用目的を医師に正直かつ具体的に伝えましょう。また、提出先から指定された診断書の様式があれば、必ず持参して提示してください。これらの情報提供は、医師が診断書に記載すべき内容を判断する上で非常に役立ちます。

万が一、診断書の発行を拒否された場合は、感情的にならず、まずは医師に拒否された理由を丁寧に確認することが重要です。理由を理解すれば、必要な対応策が見えてくることもあります。場合によっては、他の医師への相談や、提出先の担当者と代替手段について相談することも検討できます。

診断書発行は、医師と患者さんとの信頼関係の上に成り立ちます。医師は医学的な真実に基づき、社会的な責任を持って診断書を作成しています。この点を理解し、適切なコミュニケーションを心がけることで、必要な時に診断書を円滑に発行してもらえる可能性が高まるでしょう。

※本記事の情報は一般的な内容であり、個別の状況や医療機関の方針によって異なる場合があります。診断書の発行に関する具体的な判断は、必ず担当の医師にご確認ください。また、医師法等の解釈については、専門家にご確認ください。

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